JPH10293374A - ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤

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JPH10293374A
JPH10293374A JP9101494A JP10149497A JPH10293374A JP H10293374 A JPH10293374 A JP H10293374A JP 9101494 A JP9101494 A JP 9101494A JP 10149497 A JP10149497 A JP 10149497A JP H10293374 A JPH10293374 A JP H10293374A
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JP
Japan
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epitaxial
epitaxial portion
silver halide
silver
emulsion
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Application number
JP9101494A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Ando
浩明 安藤
Haruhiko Masutomi
春彦 益富
Hisahiro Okada
尚大 岡田
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エピタキシャル部を有する平板状粒子に対す
る色素吸着状態を改良し、感度、保存安定性の向上に優
れたハロゲン化銀写真乳剤の提供。 【解決手段】 (111)主面を有し、平均臭化銀含有
率が70モル%以上、平均等価円直径が0.7μm以
上、平均粒子厚さが0.03以上0.3μm以下であ
り、かつエピタキシャル配置された平板状ハロゲン化銀
粒子が総粒子投影面積の90%を越える割合を占め、該
平板状粒子のエピタキシャル部の増感色素被覆率が非エ
ピタキシャル部の増感色素被覆率の10%以上80%以
下であることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は写真に有用なハロゲ
ン化銀写真乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】平板状ハロゲン化銀粒子にエピタキシャ
ル部分を設け写真性能を改善しようとする試みは以前よ
りなされてきた。例えば、米国特許4,435,501
号ではホスト平板状粒子に部位指示体を吸着させた後銀
塩を沈着させることで、典型的にはエッジ或いはコーナ
ーにのみエピタキシャル部を設けられることが記載され
ている。エピタキシャル部の溶解度についてエピタキシ
ャル部の溶解度が高いと現像に有利になることから感度
粒状関係の改良効果が期待できる場合のあることが記載
されている。一方特開平8−171162号では、あえ
てエピタキシャル中のヨウ化物組成を上げエピタキシャ
ル部の溶解度を下げた場合に感度粒状関係の改良効果が
得られたことなどが記載されている。このようにエピタ
キシャル部の溶解度については好ましい態様が幾つか提
案されている。
【0003】しかし、これらの特許においてはエピタキ
シャル部と平板状粒子部の表面のハロゲン化物組成或い
は晶癖については言及されておらずそれが増感色素吸着
状態に影響し感度或いは保存安定性の向上をもたらす可
能性があるにもかかわらず具体的にエピタキシャル部と
平板状粒子部の増感色素吸着状態の好ましい姿を提示し
てはいない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、エピタキシャル
部を有する平板状粒子に対する色素吸着状態を改良し、
感度、保存安定性の向上を図るハロゲン化銀写真乳剤を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0006】(111)主面を有し、平均臭化銀含有率
が70モル%以上、平均等価円直径が0.7μm以上、
平均粒子厚さが0.03以上0.3μm以下であり、か
つエピタキシャル配置された平板状ハロゲン化銀粒子が
総粒子投影面積の90%を越える割合を占め、該平板状
粒子のエピタキシャル部の増感色素被覆率が非エピタキ
シャル部の増感色素被覆率の10%以上80%以下であ
ることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
【0007】好ましい態様として、前記平板状粒子のエ
ピタキシャル部の増感色素被覆率が非エピタキシャル部
の増感色素被覆率の20%以上70%以下であること、
又前記エピタキシャル部の塩化銀含有率が10%以上8
0%以下であること、等が挙げられる。
【0008】即ち本発明者らによる鋭意検討の結果、ハ
ロゲン化銀写真乳剤の感度或いは保存安定性の向上には
エピタキシャル部と非エピタキシャル部の増感色素(以
下、単に色素ともいう)被覆率の比率が重要なファクタ
ーであることを見出し本発明に至ったものである。特に
エピタキシャル部の色素被覆率が非エピタキシャル部の
被覆率の10%以上80%以下であるときに感度、保存
安定性が最も良好な効果を奏する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明のハロゲン化銀写真乳剤は、(1)
(111)主面を有し、(2)平均臭化銀含有率が70
モル%以上、(3)平均等価円直径が0.7μm以上、
(4)平均粒子厚さが0.03以上0.3μm以下、
(5)かつエピタキシャル配置された平板状ハロゲン化
銀粒子が総粒子投影面積の90%を越える割合を占め、
(6)該平板状粒子のエピタキシャル部の増感色素被覆
率が非エピタキシャル部の増感色素被覆率の10%以上
80%以下である。即ち本発明のハロゲン化銀写真乳剤
は、含有される平板状ハロゲン化銀粒子(以下、単に平
板状粒子ともいう)のエピタキシャル部の増感色素被覆
率が非エピタキシャル部の増感色素被覆率の10%以上
80%以下であることを特徴とするものである。
【0011】本発明のハロゲン化銀写真乳剤(以下、単
に本発明の乳剤ともいう)に含有される平板状粒子は、
公知のものが利用できる。その調製法は、クリーブ著
「写真の理論と実際」(1930、131ページ);ガ
トフ著「フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エ
ンジニアリング」(1970年、第14巻248〜25
7ページ);米国特許4,434,226号、同4,4
10,310号、同4,433,048号、同4,43
9,520号及び英国特許第2,112,157号など
の記載の方法により調製することができる。本発明にお
いては、(1)総粒子(全)投影面積の90%以上を占
める平板状粒子は全て(111)主面を有している。こ
のような平板状粒子は、典型的には三角形又は六角形の
主面を有しており、粒子の平板状構造は平行な2枚の双
晶面を含むことに起因している。
【0012】又前記平板状粒子は、(2)本発明の乳剤
に含有される全ハロゲン化銀に対する平均臭化銀含有率
が70mol%以上であり、例えば沃臭化銀、沃塩臭化
銀が含まれる。カメラ感度フィルムの場合、平板状粒子
は沃化銀を全ハロゲン化銀に対して少なくとも0.25
mol%含有することが好ましく、1.0以上4.0m
ol%未満含有することが更に好ましい。これらの低レ
ベルの沃化銀含有量は本発明の乳剤においても企図され
る。前記平板状粒子には、少量の塩化物イオンを含ませ
ることが可能である。米国特許第5,372,927号
(De1ton)には、全ハロゲン化銀粒子に対して塩
化銀0.4以上20mol%以下及び沃化銀10mol
%以下を含有し、残部が臭化銀である平板状粒子を含有
した乳剤が開示されており、塩化物イオンの存在は実際
に平板状粒子の厚さの減少に役立つことが開示されてい
る。
【0013】更に前記平板状粒子は上記(1)及び
(2)に加え(3)平均円相当径(平均ECD)が0.
7μm以上であり、かつ(4)平均粒子厚さが0.03
以上0.3μm以下である。平均ECDを少なくとも
0.7μmに維持することにより実現される利点は、前
記米国特許第5,250,403号等に開示されてい
る。極めて大きな平均ECDを有する乳剤は科学的粒子
研究用に調製されることはあるが、写真用途の場合、平
均ECDは通常10μm未満であり、ほとんどの場合5
μm未満であり、1以上4μm以下の範囲であることが
特に好ましい。又平均粒子厚さは0.03以上0.3μ
m以下であるが、0.03μm未満では粒子の状態が非
常に不安定となり粒子自体の奏する効果が望めない。一
方0.3μmを越えると投影面のハロゲン化銀量が増加
し、平板状粒子の本来のメリットが薄くなる傾向にあ
り、好ましくない。
【0014】本発明では、平板状粒子は単分散性に優れ
ていることが好ましい。本発明における平板状粒子は、
円相当径分布の変動係数(COV)が30%以下である
ことが好ましく、20%以下であることが更に好まし
い。ここで本発明における「変動係数」とは、粒子の円
相当径(ECD)の標準偏差を平均ECDで割った商に
100を乗じた値である。本発明においては、円相当径
分布の変動係数が30%以下の平板状粒子を「単分散性
に優れた平板状粒子」と称し、又それを含有する乳剤を
「単分散性に優れた乳剤」と呼ぶ。単分散性に優れた乳
剤では、粒子調製後の増感過程において粒子間で均一に
増感がかかり易くなること等が推定され、高感度かつ低
カブリな乳剤を得る一因となっている。単分散性に優れ
た平板状粒子の構造及び製造法は、例えば特開昭63−
151618号に記載されている。
【0015】そして、(5)本発明における平板状粒子
はエピタキシャル配置されており該エピタキシャル部
は、基盤となる平板状粒子(以下、ホスト平板粒子とも
いう)の選択された部位、特にハロゲン化銀突起部をエ
ピタキシャル配置することにより達成され、像様露光で
の光子吸収により放出された伝導帯電子の増感部位への
競争が減少され、よって感度が向上することが一般的に
いわれている。米国特許第4,435,501号では、
ホスト平板粒子の表面の選択された部位に、銀塩をエピ
タキシャル付着することによる感度の向上を開示してい
る。該特許では感度の増加は銀塩のエピタキシャル付着
をホスト平板粒子の表面積の小部分に制限したためとし
ている。即ち、ホスト平板粒子の主平面の限定された部
分へのエピタキシャル配置は主平面の全部又は殆どを覆
う場合よりも効率的であり、好ましいのはホスト平板粒
子のエッジに実質的に制限され、且つ主平面への被覆量
が限定される場合であり、更に効率的で好ましいのはホ
スト平板粒子のコーナー又はその近傍又は他の別個の部
位に制限される場合である。ホスト平板粒子それ自体の
主平面のコーナーの間隔は、光電子競争をほぼ最大感度
が実現できる程度に十分減少させる。前記米国特許で
は、エピタキシャル付着速度を遅くすることによりホス
ト平板粒子へのエピタキシャル配置部位の数を減少でき
ることが開示されている。よって、本発明においてもホ
スト平板粒子の表面積にエピタキシャル配置されるハロ
ゲン化銀突起部はホスト平板粒子の表面積の小部分に制
限することが好ましく、コーナー又はその近傍に制限さ
れることが特に好ましい。具体的には50%未満である
ことが好ましく、30%未満であることが更に好まし
い。又、エピタキシャル配置されるハロゲン化銀突起部
の銀量は、ホスト平板粒子の銀量に対して0.3以上2
5%以下であることが好ましく、0.5以上15%以下
であることが更に好ましい。
【0016】本発明におけるエピタキシャル部は、ホス
ト平板粒子のコーナー又はその近傍の制限された位置に
形成されることが好ましく、これを達成するための方法
としては公知の方法を適用することができる。本発明
は、米国特許4,435,501号のようにホスト平板
状粒子の表面にヨウ化物イオン、アミノアザインデン
類、もしくは分光増感色素を部位指向体(site d
irector)として吸着させた後、ハロゲン塩水溶
液及び硝酸銀水溶液を添加或いは微粒子乳剤(Lipp
mann)を添加することにより達成できる。
【0017】ホスト平板粒子の構造的崩壊を回避するた
めに、エピタキシャル配置されるハロゲン化銀突起部は
その総溶解度がホスト平板粒子を形成するハロゲン化銀
の総溶解度よりも高いことが好ましい。よって、エピタ
キシャル配置されるハロゲン化銀突起部は具体的には塩
化銀であることが好ましい。塩化銀は臭化銀のように面
心立方格子構造を形成するので、エピタキシャル付着を
容易にする。平板状粒子の構造的一体性を保持するため
に、エピタキシャル付着は該平板状粒子を形成するハロ
ゲン化物の溶解性を制限する条件下で行われることが好
ましい。しかし、エピタキシャル配置されたハロゲン化
銀突起部のハロゲン化物がホスト平板粒子からのもので
あることが意図される場合がある。即ち、少量の臭化物
及び場合によっては沃化物を含有する塩化銀突起部が具
体的に意図される。
【0018】次に、エピタキシャル部の色素被覆率を非
エピタキシャル部の色素被覆率の10以上80%以下に
する手法について述べる。
【0019】色素吸着後にエピタキシャル部を設ける場
合、設けたエピタキシャル部には増感色素が吸着してい
ない場合がある。このとき、単に増感色素を新たに添加
するだけでエピタキシャル部の増感色素の被覆率を非エ
ピタキシャル部の10%以上80%以下にすることは必
ずしも可能ではない。単に、増感色素を添加して、エピ
タキシャル部の色素被覆率を非エピタキシャル部の10
%以上80%以下にできない場合は、以下のような手
法、或いはそれらの組み合わせを用いる必要がある。即
ち、(a)エピタキシャル部及び非エピタキシャル部の
表面ハロゲン化物組成及び晶癖で被覆率をコントロール
する、(b)増感色素吸着時の乳剤の銀電位をコントロ
ールする、等が挙げられる。
【0020】(a)の手法について説明する。エピタキ
シャルの形態として円みを帯び(100)、(111)
のような特定の晶癖を有する面の大きさが小さい場合が
ある。このような場合、J会合体を形成する色素は吸着
しにくくエピタキシャル部の色素被覆率は小さくなり非
エピタキシャル部に対して10%より小さくなる傾向に
ある。このようなときエピタキシャル部を設けた後に少
量の銀塩を沈着させエピタキシャル部を更に成長させる
とEAg、晶癖制御剤の有無等の条件によって(10
0)、(111)面を形成できる。その後、増感色素を
更に添加吸着させることでエピタキシャル部分の色素被
覆率を非エピタキシャル部に対して10%以上80%以
下にすることができる。
【0021】エピタキシャル部分のハロゲン組成を非エ
ピタキシャル部と変える場合、該エピタキシャル部のヨ
ード組成を高くしておけば高ヨウ化物組成の部分に選択
的に吸着する増感色素を用いることでエピタキシャル部
の増感色素被覆率を非エピタキシャル部に対して10%
以上80%以下にすることが可能である。逆にヨウ化物
組成の小さい部分に選択的に吸着する色素を用いる場合
は、エピタキシャル部表面のヨウ化物組成を低くすれば
よい。このようにしてエピタキシャル部の色素被覆率を
非エピタキシャル部の10%以上80%以下に制御する
ことが可能である。
【0022】(b)の手法について説明する。色素の吸
着力は、乳剤の銀電位に大きく依存する場合がある。例
えば、エピタキシャル部と非エピタキシャル部のそれぞ
れの表面のハロゲン組成が異なるときは、色素の吸着力
の銀電位依存性はエピタキシャル部と非エピタキシャル
部で異なる場合がある。エピタキシャル部の増感色素被
覆率が非エピタキシャル部に対して10%以下である場
合は、EAgをエピタキシャル部の色素吸着に適した銀
電位にして色素を添加することでエピタキシャル部の増
感色素被覆率を非エピタキシャル部に対して10%以上
80%以下にすることが可能である。エピタキシャル部
と非エピタキシャル部それぞれの増感色素被覆率は以下
のような手法で求められる。
【0023】エピタキシャル部を設ける前の平板状粒子
に飽和吸着するような量の色素を添加し顕微分光で非エ
ピタキシャル部の吸収スペクトルを測定する。又、エピ
タキシャルを設けた後に増感色素を添加し、非エピタキ
シャル部のスペクトルを顕微分光で測定し飽和吸着時の
スペクトル強度と比較し非エピタキシャル部の色素被覆
率を求める。更に、粒子のSEM写真からエピタキシャ
ル部を球換算してその直径を求め表面積を算出し非エピ
タキシャル部との和を求め非エピタキシャル部の色素被
覆率からエピタキシャル部の色素被覆率が算出できる。
尚、顕微分光法による個々の平板粒子に対する色素吸着
量測定法は、1996年5月 日本写真学会春季年会予
稿集、p15からの記載を参考にすることができる。
【0024】本発明においては、エピタキシャル部の色
素被覆率を非エピタキシャル部の20%以上70%以下
とするのが好ましい。
【0025】本発明の乳剤においては、平板状粒子中に
ドーパントを含有することが好ましい。平板状粒子の全
体、表面、コア或いはエピタキシャル部に設けることが
可能である。ここで「ドーパント」とは、平板状粒子を
形成するハロゲン化銀の面心立方結晶格子構造内に組み
込まれる銀及びハロゲン化物イオン以外の物質を意味す
る。ドーパントの導入は高濃度での導入及び/又は粒子
核形成前、粒子核形成中又は粒子核形成直後に導入され
る場合は形成中の平板状粒子の厚さを増加させる原因に
なるが、本発明においては粒子成長過程で導入させるこ
とが好ましく、この場合は厚さの増加を引き起こさない
という効果がある。よってドーパントは粒子成長過程の
初期に適当量導入しそのまま継続するか粒子成長過程の
後期段階で導入することが好ましい。又ドーパントは、
平板状粒子の厚さの増加を完全に回避しながら後述する
ハロゲン化銀突起部を形成するときに導入することも可
能である。一部分を平板状粒子に導入し残部をハロゲン
化銀突起部に導入することも可能であり特に好ましい。
上記ドーパントは種々の公知のドーパントを適用できる
がドープされるのは写真性能の改良に有用であればどん
な元素でも良い。それら元素のアンモニウム塩、酢酸
塩、硝酸塩、硫酸塩或いは以下に示すような配位子を有
する6配位、4配位錯体など粒子形成時に溶解させるこ
とのできる塩の形であれば添加できる。配位化合物のリ
ガンドとしては、ハロ、アコ、シアノ、シアネート、ニ
トロシル、チオニトロシル、オキソ、カルボニルの中か
ら選ぶことができる。これら金属化合物の1種類のみ用
いてもよいが、複数種併用してもよい。
【0026】上記平板状粒子に、還元増感を施すことも
可能である。還元増感核はホールトラップに有効である
場合は低ヨウ化物含有部に主として施すことで、色素中
のホールが感光核にトラップされた光電子との再結合を
起こすことを有効に防げるため、高ヨウ化物含有部に還
元増感を施すことでそれを達成することも可能である。
【0027】本発明の乳剤は、硫黄に代表されるカルコ
ゲン及び/又は金による化学増感が施されていることが
好ましい。エピタキシャル配置されたハロゲン化銀突起
部を有する平板状粒子の場合は、それ自体で硫黄及び/
又は金を用いた実質的に最適な化学増感により得られる
のに匹敵する程度にまで感度を増加させるが、その上に
ハロゲン化銀をエピタキシャル配置した平板状粒子に化
学増感が施されると、更に感度が増加するため好まし
い。化学増感法は公知の方法を適用でき、例えばRes
earch Disclosure(以下、RD)、1
989年12月、アイテム308119、セクションII
I「化学増感」に記載されている。化学増感剤も公知の
種々のものを適用できる。特にエピタキシャル配置され
たハロゲン化銀突起部を有する平板状粒子の場合は、硫
黄増感剤をミドルカルコゲン(典型的には硫黄)及び貴
金属(典型的には金)化学増感剤と組み合わせて用いる
ことが好ましい。意図する硫黄増感剤には、米国特許第
3,271,157号、同3,574,628号及び同
3,737,313号に記載されているチオエーテル類
が含まれる。好ましい硫黄増感剤は、米国特許第2,2
22,264号、同2,448,534号及び同3,3
20,069号に記載されているチオシアネート類であ
る。又好ましい種類のミドルカルコゲン増感剤は、米国
特許第4,749,646号及び同4,810,626
号に記載されている種類のテトラ置換ミドルカルコゲン
尿素である。化学増感には、更にセレン、テルル、パラ
ジウム、ロジウム増感を挙げることができ、それら複数
の組み合わせを用いて行うことも可能である。
【0028】本発明においては、種々のカブリ防止剤又
は写真安定剤を使用することができる。その例として
は、RD17643(1978年)24〜25頁に記載
のアゾール類やアザインデン類、特開昭59−1684
42号記載の窒素を含むカルボン酸類及びリン酸類、或
いは特開昭59−111636号記載のメルカプト化合
物及びその金属塩、特開昭62−87957号に記載さ
れているアセチレン化合物類などが用いられる。これら
の添加物はより詳しくはRD17643(1978
年)、同18716(1979年11月)及び同307
105(1989年11月)に記載されている。ただ
し、これらの物質が平板状粒子部に吸着している増感色
素と交換吸着することが起こりうる。この時、一度脱着
した増感色素がエピタキシャル部に再吸着しエピタキシ
ャル部と平板状粒子部の色素被覆率の比を変えてしまう
場合がある。しかしこのような現象は抑制剤添加からの
熟成時間を調整することで防ぐことが可能であったり、
添加量、化合物種をコントロールすることで防ぐことが
可能である。
【0029】上記平板状粒子の分光増感に用いることが
できる色素としては、エピタキシャル部と非エピタキシ
ャル部の被覆率コントロールが可能であれば公知のすべ
ての分光増感色素が使用可能である。例えば分光増感色
素は公知の種々のものを適用でき、例えばRD、198
9年12月、アイテム308119、セクションIV
「分光増感及び減感」に記載されているものが挙げられ
る。エピタキシャル配置されたハロゲン化銀突起部を有
する平板状粒子の場合は、前述したようにエピタキシャ
ル付着時に部位指向体として既に分光増感色素が吸着さ
れている場合が多いため、特に有利である。この場合、
エピタキシャル付着時に添加する分光増感色素は適宜選
択して使用することが好ましく、必要に応じて増感工程
で更に分光増感色素を追加することも可能である。
【0030】本発明の乳剤の調製時に用いられる保護コ
ロイドとしてはゼラチンを用いるのが有利であるが、そ
れ以外の親水性コロイドも用いることができる。例えば
ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポ
リマー、アルブミン、ガゼインなどの蛋白質、ヒドロキ
シエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セ
ルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導体、
アルギン酸ソーダ澱粉誘導体のような糖誘導体、ポリビ
ニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロ
リドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアク
リルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラ
ゾール等の単一或いは共重合体のような多種の合成親水
性高分子物質を用いることができる。ゼラチンとして
は、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチン、ゼラチン
の加水分解物、酵素分解物を用いることもできる。
【0031】本発明ではエピタキシャル部を設けるとき
にハロゲン化銀の微粒子を用いる場合があるので、その
微粒子に写真有用性化合物を吸着させておくことが可能
である。即ち化学増感剤、抑制剤の他、還元増感剤、増
感色素を吸着させておいてもよい。分光増感色素をあら
かじめ吸着させておいてもよい。又、還元増感核そのも
のドーパントを含有させておいてもよい。具体的に開示
してきた特徴以外は本発明の乳剤、その調製、及びこれ
らの乳剤を含有する写真要素は任意の好ましい従来のも
のを採用することができる。従来の特徴は、RD365
巻1994年9月(36544)の記述を参考にするこ
とができる。
【0032】本発明の乳剤は更に何れかの通常の方法に
より種々の写真感光材料に使用することができる。1つ
の態様としては例えば少なくとも2層のハロゲン化銀乳
剤層を有する多層写真感光材料に使用するのに適し又カ
ラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルムのような
多層写真感光材料である場合上層側に塗設した乳剤層は
下層側のそれより短い波長の光に感光する場合が多い。
【0033】本発明の乳剤は下層で感光することを意図
しているマイナスブルー光の散乱が大きく減少し、透過
性に優れており、上層のハロゲン化銀乳剤層にも好まし
く適用できる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、ハロゲ
ン化物イオン濃度は、銀に対するモル%(M%)で表
す。
【0035】実施例1 (平板状粒子の作製)撹拌機を備えた容器に石灰処理骨
ゼラチン3.75g、KBr4.76g、消泡剤、39
℃でpHを1.8に調整するのに十分な量の硫酸及び水
6リットルを入れた。AgNO3溶液とハロゲン化物
(KBrとKIをそれぞれ98.5M%及び1.5M
%)溶液(両方2.5M)とを、ヨウ臭化銀0.013
35モルを生成するのに十分な量でバランスをとり、同
時に添加することで核形成を行った。核形成中、pBr
とpHは、最初に反応器内溶液で設定された値にほぼ維
持された。核形成に続いて温度を9分間で54℃に上昇
させた。反応器とその内容物とをこの温度で9分間保持
した後、石灰処理骨ゼラチン100gを水1.5リット
ルに溶解した溶液を54℃で反応器に添加した。次に、
pHを5.90に上昇させ、1M KBr溶液を反応器
に添加した。核形成から24.5分後に成長段階が始ま
り、その間に2.5M AgNO3、2.8M KBr
及びAgI(Lippmann)の0.148M懸濁液
を(a)成長しているハロゲン化銀結晶中のヨウ化物レ
ベルを4.125M%に均一に維持すること、及び
(b)ヨウ臭化銀が0.848モル生成するまで反応器
内pBrを核形成と成長の始まる前に上記したKBrの
添加により得られた値に維持するように比例させて添加
した(53.33分間、一定流量)。その後、1M K
Brを添加して過剰Br-濃度を調整しpBrが2.2
0になるまで添加を行った。続いて2.5M AgNO
3、2.8M KBr及びAgI(Lippmann)
の0.148M懸濁液の流入を再開した(添加流量を加
速し、セグメント初期流量:セグメント最終流量=1:
12.6)。又、添加は反応器内のpBrが2.20を
維持するように2.8M KBr及びAgI(Lipp
mann)の0.148M懸濁液の流量を調節しながら
行った。その結果、ヨウ臭化銀が合計19.5モル
(4.125M%I)生成した。AgNO3、AgI及
びKBrの添加が完了したとき、生じた乳剤層を凝集洗
浄し、pHとpBrをそれぞれ保存値6と2.5に調整
した。
【0036】得られた乳剤を、走査電子頭微鏡(SE
M)により調査した結果、総粒子投影面積の99.5%
を超える割合を平板状粒子が占めていた。この乳剤の平
均ECDは1.88μmであり、それらのCOVは32
%であった。平板状粒子が存在する粒子のほぼ全てを占
めているので、平均粒子厚さを下記の色素吸着法を用い
て測定した。飽和被覆量に必要とされる1,1’−ジエ
チル−2,2’−シアニン色素のレベルを測定し、この
色素の溶液吸収係数が77,300リットル/(モル・
cm)であり、1モル当たりの部位面積が0.566n
2であると仮定して、表面積についての式を解いた。
色素吸着測定から求めた乳剤粒子の平均厚さは、0.1
40μmであった。
【0037】(増感色素存在下でのエピタキシャル部の
作製)乳剤0.5モルを40℃で溶融し、AgNO3
液とKI溶液を同時添加することによりpBrを約4に
調整した。このときAgNO3溶液とKI溶液は、この
調整中に少量沈殿するハロゲン化銀が12%Iとなるよ
うな比で添加した。次に2M%NaCl(ヨウ臭化銀ホ
ストの最初の量を基準として)を添加後分光増感色素1
乃至3を合計被覆率が約70%になるように1:1:1
の割合で添加し、その後AgNO3溶液とNaCl溶液
のバランスをとったダブルジェット添加により6M%A
gClエピタキシャル部を形成させた。この操作により
エピタキシャル部がホスト平板状粒子の主としてコーナ
ーとエッジに生じた。このときエピタキシャル部はほぼ
半径0.1μmの球形で、非エピタキシャル部とエピタ
キシャル部の面積比は7:1であった。更に非エピタキ
シャル部とエピタキシャル部の増感色素被覆率を測定し
たところ以下の通りであった。
【0038】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・70% エピタキシャル部色素被覆率・・・・・0% 即ち、エピタキシャル部の色素被覆率は、非エピタキシ
ャル部に対して約0%であった。
【0039】〈乳剤A〉 (エピタキシャル部の色素被覆率をコントロールした場
合−本発明)エピタキシャル部を有する平板状粒子(以
後、エピタキシャル粒子と呼ぶ)を含む乳剤に対し、エ
ピタキシャル粒子に対する銀量で1%相当の臭化銀微粒
子乳剤(Lippmann)を添加し60℃、120m
Vで30分間熟成したところ微粒子乳剤は消失してい
た。
【0040】続いて分光増感色素1乃至3を追加して最
適に分光増感を施した。尚、「最適に分光増感を施す」
とは、化学増感終了時の感度が最も高くなるような添加
量の色素を添加、吸着させたことを意味する。このとき
の色素被覆率は以下の通りであった。
【0041】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・80% エピタキシャル部色素被覆率・・・・20% 即ちエピタキシャル部の増感色素被覆率は、非エピタキ
シャル部に対して約25%であった。これより後はチオ
シアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カ
リウムを添加して最適に化学増感を施した後4−ヒドロ
キシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザイン
デン(以下、TAI)及び1−フェニル−5−メルカプ
トテトラゾール(以下、PMT)を添加した。全ての成
分を添加後、混合物を60℃に加熱して増感を完了さ
せ、冷却後更にPMTを添加した。
【0042】〈乳剤B〉 (エピタキシャル部の増感色素被覆率を更に上げる場合
−本発明)乳剤Aの製造過程においてエピタキシャル部
の色素被覆率のコントロールを臭化銀微粒子の代わりに
ハロゲン組成がBr:I:Cl=95:1:4の微粒子
乳剤を用いて行った。続いて分光増感色素1乃至3を追
加して最適に分光増感を施した。このときの色素被覆率
は、以下の通りであった。
【0043】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・80% エピタキシャル部色素被覆率・・・・50% 即ちエピタキシャル部の増感色素被覆率は、非エピタキ
シャル部に対して約63%であった。これより後はチオ
シアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カ
リウムを添加して最適に化学増感を施した後、TAI及
びPMTを添加した。全ての成分を添加後、混合物を6
0℃に加熱して増感を完了させ、冷却後更にPMTを添
加した。
【0044】〈乳剤C〉 (エピタキシャル部と非エピタキシャル部の色素被覆率
をコントロールしない場合−比較例)乳剤A,Bと異な
りエピタキシャル部を作製直後、分光増感色素1乃至3
を添加して最適に分光増感を施した。このとき非エピタ
キシャル部とエピタキシャル部の色素被覆率は以下の通
りであった。
【0045】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・90% エピタキシャル部色素被覆率・・・・・5% 即ち、エピタキシャル部の色素被覆率は、非エピタキシ
ャル部に対して約5%であった。これより後はチオシア
ン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カリウ
ムを添加して最適に化学増感を施した後、TAI及びP
MTを添加した。全ての成分を添加後、混合物を60℃
に加熱して増感を完了させ、冷却後更にPMTを添加し
た。
【0046】〈乳剤D〉 (エピタキシャル部の増感色素被覆率を非エピタキシャ
ル部の80%より大きくした場合−比較例2)エピタキ
シャル粒子を含む乳剤に対し、エピタキシャル粒子に対
する銀量で1%相当のヨウ臭化銀微粒子乳剤(臭素:ヨ
ウ素=9:1)(Lippmann)を添加し60℃、
120mVで30分間熟成したところ、微粒子乳剤は消
失していた。更に、分光増感色素1乃至3を添加して最
適に分光増感を施した。このとき非エピタキシャル部と
エピタキシャル部の色素被覆率は以下の通りであった。
【0047】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・70% エピタキシャル部色素被覆率・・・・60% エピタキシャル部の色素被覆率は非エピタキシャル部に
対して86%であった。これより後はチオシアン酸カリ
ウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カリウムを添加
して最適に化学増感を施した後、TAI及びPMTを添
加した。全ての成分を添加後、混合物を60℃に加熱し
て増感を完了させ、冷却後更にPMTを添加した。
【0048】〈単層評価試料作製〉得られた乳剤A〜D
を灰色銀ハレーション防止層で被覆した酢酸セルロース
フィルム支持体にそれぞれ塗布し、この乳剤層を界面活
性剤とビス(ビニルスルホニル)メタン硬膜剤(ゼラチ
ン総重量に対して1.75重量%)とを含有する4.3
g/m2ゼラチン層でオーバーコートした。乳剤塗布量
は0.646g Ag/m2であり、この層にはカプラ
ー1及び2、界面活性剤及びゼラチン総量1.08g/
2も含有させた。このようにして乳剤A〜Dに対して
それぞれ単層感光材料1〜4を得た。
【0049】
【化1】
【0050】(評価)得られた感光材料1〜4をそれぞ
れイエローフィルターを介した白色光にて0.01秒ウ
ェッジ露光し、以下の処理工程に従って発色現像した。
【0051】
【表1】
【0052】※:補充量は感光材料1m2当たりの値で
ある。
【0053】発色現像、漂白液、定着液、安定液は、以
下のものを使用した。
【0054】 (発色現像) 水 800ml 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 亜硫酸カリウム 3.0g 臭化ナトリウム 1.3g 沃化カリウム 1.2mg ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 塩化ナトリウム 0.6g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.5g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%
硫酸を用いてpH10.06に調整する。
【0055】 (漂白液) 水 700ml 1,3ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g エチレンジアミン四酢酸 2.0g 硝酸ナトリウム 40g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を
用いてpH4.4に調整する。
【0056】 (定着液) 水 800ml チオシアン酸アンモニウム 120g チオ硫酸アンモニウム 150g 亜硫酸ナトリウム 15g エチレンジアミン四酢酸 2g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を
用いてpH6.2に調整する。
【0057】 (安定液) 水 900ml ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製 L−77) 0.1g アンモニア水 0.5ml
【0058】
【化2】
【0059】水を加えて1リットルとし、アンモニア水
又は50%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0060】その後、光学濃度計(コニカ製PDA−6
5型)を用いて感度及びカブリを測定した。感光材料1
の感度を100としたときのそれぞれの相対感度を表2
に示す。尚、カブリは感光材料を55℃、相対湿度20
%の雰囲気下に7日間放置した後、カブリ濃度の増加分
を測定した(ΔFog)。この値は、感光材料1の値を
+10(カブリは増加した)とし、他の感光材料はそれ
に対する相対値で表した。
【0061】得られた結果を以下の表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2から明らかなように、本発明のハロゲ
ン化銀写真乳剤を用いた感光材料1及び2は高感度であ
りかつ保存時でも低カブリを示し、保存安定性に優れて
いることが分かる。即ちエピタキシャル部の増感色素被
覆率が非エピタキシャル部の10%以上80%以下であ
る場合は、本発明の効果を好適に奏することが分かる。
【0064】実施例2 (増感色素の存在しない条件下でのエピタキシャル部の
作製)実施例1で得られた平板状粒子に対して、Jou
rnal of Imaging Science、p
161(1988)に記載のように増感色素を用いずヨ
ウ化物イオンを用いてエピタキシャル部を設けた。即ち
乳剤0.5molを40℃で溶解しKI水溶液を6mm
ol添加した後、遠心分離し上澄みを除去し0.02M
のNaCl水溶液で再分散した。pAgを7.5に保持
し、40℃でダブルジェットで硝酸銀水溶液と塩化ナト
リウム水溶液を添加し平板状粒子に対して銀量で1%に
相当するエピタキシャル部を設けることができた。この
とき、エピタキシャル部はほぼ半径0.05μmの球形
で、非エピタキシャル部とエピタキシャル部の面積比
は、約30:1であった。
【0065】〈乳剤E〉 (エピタキシャル部の増感色素被覆率が非エピタキシャ
ル部の10%以下である場合の例−比較例)続いて分光
増感色素1乃至3を追加して最適に分光増感を施した。
このときの増感色素被覆率は、以下の通りであった。
【0066】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・90% エピタキシャル部色素被覆率・・・・・5% 即ちエピタキシャル部の増感色素被覆率は非エピタキシ
ャル部に対して約6%であった。これより後はチオシア
ン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カリウ
ムを添加して最適に化学増感を施した後、TAI及びP
MTを添加した。全ての成分を添加後、混合物を60℃
に加熱して増感を完了させ、冷却後更にPMTを添加し
た。
【0067】〈乳剤F〉 (増感色素の存在しない条件下で作製したエピタキシャ
ル粒子で、エピタキシャル部の増感色素被覆率が非エピ
タキシャル部の10%以上80%以下である場合の例−
本発明)乳剤Eにおいて増感色素を添加する前に、エピ
タキシャル粒子に対する銀量で1%相当のヨウ臭化銀微
粒子乳剤(臭素:ヨウ素=99:1)(Lippman
n)を添加し、60℃、120mVで30分間熟成した
ところ微粒子乳剤は消失していた。この後、前述の乳剤
Eのように最適に分光増感したときの増感色素被覆率
は、以下の通りであった。
【0068】 非エピタキシャル部色素被覆率・・・90% エピタキシャル部色素被覆率・・・・20% 即ちエピタキシャル部の増感色素被覆率は非エピタキシ
ャル部に対して約20%であった。これより後はチオシ
アン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸カリ
ウムを添加して最適に化学増感を施した後、TAI及び
PMTを添加した。全ての成分を添加後、混合物を60
℃に加熱して増感を完了させ、冷却後更にPMTを添加
した。
【0069】実施例1と同様にして感光材料を作製し、
評価を行った。尚、乳剤E,Fに対応する感光材料は5
及び6である。得られた結果を以下の表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3から明らかなように、本発明のハロゲ
ン化銀写真乳剤を用いた感光材料は高感度でありかつ保
存時でも低カブリを示し、保存安定性に優れていること
が分かる。即ちエピタキシャル部の増感色素被覆率が非
エピタキシャル部の10%以上80%以下である場合
は、本発明の効果を好適に奏することが分かる。
【0072】
【発明の効果】本発明により、エピタキシャル部を有す
る平板状粒子に対する色素吸着状態を改良し、高感度及
び保存時でのカブリが良好、即ち保存安定性の向上に優
れたハロゲン化銀写真乳剤を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (111)主面を有し、平均臭化銀含有
    率が70モル%以上、平均等価円直径が0.7μm以
    上、平均粒子厚さが0.03以上0.3μm以下であ
    り、かつエピタキシャル配置された平板状ハロゲン化銀
    粒子が総粒子投影面積の90%を越える割合を占め、該
    平板状粒子のエピタキシャル部の増感色素被覆率が非エ
    ピタキシャル部の増感色素被覆率の10%以上80%以
    下であることを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】 前記平板状粒子のエピタキシャル部の増
    感色素被覆率が非エピタキシャル部の増感色素被覆率の
    20%以上70%以下であることを特徴とする請求項1
    記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  3. 【請求項3】 前記エピタキシャル部の塩化銀含有率が
    10%以上80%以下であることを特徴とする請求項1
    又は2記載のハロゲン化銀写真乳剤。
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