JPH10292098A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JPH10292098A
JPH10292098A JP10302097A JP10302097A JPH10292098A JP H10292098 A JPH10292098 A JP H10292098A JP 10302097 A JP10302097 A JP 10302097A JP 10302097 A JP10302097 A JP 10302097A JP H10292098 A JPH10292098 A JP H10292098A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐絶縁破壊電圧、着色性および機械的物性に
優れ、且つ耐熱性に優れたポリエステル樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100
重量部に対し、(B)無機充填剤5〜60重量部および
(C)フェナジン環を有する染料または顔料0.1〜1
0重量部を配合してなるポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル樹脂
組成物に関し、更に詳しくは、電機部品の成形材料とし
て有用なポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より電気部品には各種の熱可塑性樹
脂が利用されてきている。近年、樹脂製部品に対して要
求される性能が高まるにつれ、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンエーテル、ABS樹脂等の非晶性樹脂では、
耐熱性、耐薬品性、耐絶縁破壊電圧性、耐トラッキング
性等の電気特性が不十分となってきている。他方、ポリ
エステル、ポリオレフィン等の結晶性樹脂は、耐絶縁破
壊性に優れており、自動車部品であるイグニッションコ
イルをはじめとする電機部品の絶縁性材料として広く使
用されている。しかし、最近の電子機器の小型化の趨勢
から電装部品自体も薄肉小型化されてきており、その結
果絶縁距離が小さくなり、樹脂製部品の耐絶縁破壊電圧
の更なる向上が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐絶
縁破壊電圧、着色性および機械的物性に優れ、且つ耐熱
性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにあ
る。
【0004】
【発明を解決するための手段】本発明は、上述の問題を
解決するためになされたものであり、その要旨は、
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、
(B)無機充填剤5〜60重量部および(C)フェナジ
ン環を有する染料または顔料0.1〜10重量部を配合
してなるポリエステル樹脂組成物に存する。
【0005】以下、本発明につき詳細に説明する。本発
明における(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、
公知の芳香族ポリエステル系樹脂を用いることができ
る。芳香族ポリエステル系樹脂としては、芳香環を重合
体の連鎖単位に有するポリエステルであり、芳香族ジカ
ルボン酸及びジオール(およびそれらのエステル形生成
誘導体)を主成分とする重縮合反応により得られる重合
体もしくは共重合体である。
【0006】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレ
ンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2、
2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3、3’−ジカルボ
ン酸、ビフェニル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタ
ン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−
4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン
−4、4’−ジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4、4’−ジカルボン酸、アントラセン−
2、5−ジカルボン酸、アントラセン−2、6−ジカル
ボン酸、p−ターフェニレン−4、4’−ジカルボン
酸、ピリジン−2、5−ジカルボン酸等が挙げられ、好
ましくはテレフタル酸が挙げられる。
【0007】芳香族ジカルボン酸は2種以上を混合して
使用してもよい。なお、少量であればこれらの芳香族ジ
カルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸、セバシン酸、等の脂環式ジカルボン酸を1種
以上混合して使用することができる。
【0008】ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキ
シレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチ
ルプロパン−1、3−ジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シク
ロヘキサン−1、4−ジメタノール、等の脂環式ジオー
ル、およびそれらの混合物等が挙げられる。なお、ジオ
ール成分の40重量%以下、好ましくは30重量%以下
であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、
すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1、3−プ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールな
どを1種以上共重合してもよい。
【0009】芳香族ポリエステエルの具体例としては、
ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタ
レート、ポリエチレン−1、2−ビス(フェノキシ)エ
タン−4、4’−ジカルボキシレートポリシクロヘキサ
ンジメタノールテレフタレート等、また、ポリエチレン
イソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフ
タレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレー
ト/デカンジカルボキシレート等の共重合ポリエステル
が挙げられ、好ましくはポリブチレンテレフタレートお
よびポリブチレンテレフタレートを50重量%以上含む
芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0010】ポリブチレンテレフタレートの固有粘度
は、好ましくは、0.6〜1.5dl/gであり、より
好ましくは、0.7〜1.4dl/gである。ここで固
有粘度の値は、30℃のフェノール/1,1,2,2,
−テトラクロロエタン=50/50(重量比)混合溶液
中で測定された結果より算出される。
【0011】本発明における(B)無機充填剤として
は、ガラス繊維等の繊維状強化剤やチタン酸カリや石膏
繊維のようなウィスカー、タルク、クレイ、ワラストナ
イト、マイカ、ベントナイト、モンモリナイト、炭酸カ
ルシウム、ほう酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化亜鉛、ガラスビ
ーズ、ガラスフレーク、硫酸バリウム等の粉末状強化材
等が挙げられ、好ましくは、ガラス繊維および/または
マイカが挙げられる。
【0012】(B)無機充填剤の配合量は、(A)熱可
塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、5〜60
重量部である。無機充填剤の配合量が5重量部未満であ
ると強度および耐熱性が不十分であり、60重量部を越
えると流動性が低下する。無機充填剤の配合量は、熱可
塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ましく
は25〜55重量部である。
【0013】ガラス繊維としては、好ましくは、シラン
カップリング剤やチタン系カップリング剤等で表面処理
されたガラス繊維が挙げられる。表面処理剤としては、
例えば、γーアミノプロピルトリメトキシシラン、N−
βー(アミノエチル)ーγーアミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−βー(アミノエチル)ーγーアミノプロ
ピルジメトキシメチルシラン等の如きアミノシラン系;
γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γーグ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、βー(3,4
ーエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
などのエポキシシラン系:イソプロピルトリスステアロ
イルチタネート,イソプロピルトリドデシルベンゼンス
ルホニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオク
チルホスファイト)チタネートなどのチタン系カップリ
ング剤などが挙げられる。
【0014】本発明における(C)フェナジン環を有す
る染料または顔料としては、例えば、アジン染料が挙げ
られ、具体例としては、サフラニン、インジュリン、ニ
グロシン、アニリンブラックおよびこれらの誘導体等が
挙げられ、好ましくは、ニグロシンおよびニグロシンの
誘導体等の黒色染料および黒色顔料が挙げられる。
【0015】ニグロシンおよびニグロシンの誘導体とし
ては、好ましくは、カラー・インデックスにおいてC.
I.Solvent Black 7として規定される黒
色染料または黒色顔料が挙げられ、C.I.Solve
nt Black 7として規定される染料または顔料と
しては、例えば、NIGROSINE BASE EXB
P、NUBIAN COMPLEX BLACK G−0
2、NUBIAN BLACK PC−0850、NIG
ROSINE BASE EE、NIGROSINE B
ASE EX、SPECIAL BLACK EB、NI
GROSINEBASE SA、NIGROSINE B
ASE SAPおよびNIGROSINE BASE N
B等が挙げられる。なお、これらの染料または顔料に、
電気特性を損なわない範囲で少量のカーボンブラックを
併用することもできる。
【0016】(C)フェナジン環を有する染料または顔
料の配合量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100
重量部に対して、0.1〜10重量部である。フェナジ
ン環を有する染料または顔料の配合量が0.1重量部未
満であると、電気絶縁性が不十分であり、10重量部を
越えると物性の低下の原因となりやすい。フェナジン環
を有する染料または顔料の配合量は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜8
重量部であり、より好ましくは0.2〜5重量部であ
る。
【0017】本発明の樹脂組成物には、物性や電気絶縁
性を損なわない限りにおいて、その目的に応じ難燃剤、
難燃助剤、PTFEやポリオレフィン等の他の樹脂、各
種無機充填剤、各種エラストマー成分、耐熱材、酸化防
止剤、耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、帯電
防止剤等を添加することができる。
【0018】本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方
法としては、特に制限はなく、溶融混練等の通常の製造
方法が使用できる。製造装置としては、例えば、一軸押
出機、二軸押出機等が挙げられ、回分的または連続的に
運転することができる。
【0019】本発明のポリエステル樹脂組成物は、高い
絶縁破壊電圧と優れた耐熱性を有し、実施例で示されて
いるように、ポリブチレンテレフタレートにフェナジン
環を有する染料とガラス繊維が特定量配合された場合3
5kv/mm以上の絶縁破壊電圧を有する着色された樹
脂組成物が得られ、また、ポリブチレンテレフタレート
にフェナジン環を有する染料、ガラス繊維およびマイカ
が特定量配合された場合45kv/mm以上の絶縁破壊
電圧を有する着色された樹脂組成物が得られる。
【0020】本発明のポリエステル樹脂組成物は、エア
コン、冷蔵庫、TV、オーディオ、自動車、洗濯機、乾
燥機などに使用される電機部品の活電部分のための成形
材料として使用することができる。本発明のポリエステ
ル樹脂組成物を成形してなる成形品は、例えば、イグニ
ッションコイル、ディストリビューターキャップ、配電
ローター等の自動車用高電圧部品、スイッチ、端子、継
電器コイルボビンやそのケース、高電圧コイルボビンや
そのケース、ブラウン管偏向ヨークなどとして用いるこ
とができ、特に高温−高湿雰囲気下で高電圧と近接して
活電部品/部材として使用される分野において有用であ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。尚、比較例及び実施例に
おいては次の原材料を使用した。 (1)ポリブチレンテレフタレート:商品名NOVAD
UR5008AS、極限粘度0.85、三菱化学社製。
(以下「PBT」と略記することがある。) (2)ガラス繊維:ガラスチョップドストランド、直径
13μm長さ3mm、商品名T−123、日本電気硝子
社製。(以下「GF」と略記することがある。) (3)マイカ:商品名ミカレットA−21B、山口雲母
社製。(以下「マイカ」と略記することがある。)
【0022】(4)フェナジン環を有する染料−1:商
品名NIGROSINE BASE EXBP、オリエン
ト化学社製。(以下、「染料−1」と略記することがあ
る。) (5)フェナジン環を有する染料−2:商品名NUBI
AN COMPLEXBLACK G−02、オリエント
化学社製。(以下、「染料−2」と略記することがあ
る。) (6)フェナジン環を有する染料−3:商品名NUBI
AN BLACK PC−0850、オリエント化学社
製。(以下、「染料−3」と略記するこたがある。) (7)アントラキノン系染料:商品名ANブラック、濤
和化学社製。(以下、「染料−4」と略記することがあ
る。)
【0023】(8)耐絶縁破壊電圧性試験:JIS C
2110に準拠して測定を行った。 (9)色調判定:目視による黒色度の判定並びにカラー
コンピューターを用いてLabの測定を行った。 (10)耐熱老化性試験:160℃の熱風循環式オーブ
ンで500時間処理後の耐熱性を確認した。○:昇華性
がなく耐熱性が良好。×:昇華性あり耐熱性が不良。
【0024】〔実施例1〜3〕ポリブチレンテレフタレ
ート、ガラス繊維および黒色有機染料を表−1に示す比
率で配合し、次いで二軸押出機(スクリュー径35m
m)を用いて、バレル設定温度255℃、回転数200
rpmで成形チップを得た。得られたペレットからスク
リューインライン射出成形機にてシリンダー温度260
℃、金型温度80℃で各種物性測定用の100mm×1
00mm×1mmt試験片を射出成形し、評価を行っ
た。結果を表−1に示す。
【0025】〔比較例1〕 ポリブチレンテレフタレ
ートおよびガラス繊維を表−1に示す比率で配合し、実
施例1と同様にして成形チップを得、得られたペレット
から実施例1と同様にして試験片を射出成形し、評価を
行った。結果を表−1に示す。 〔比較例2〜3〕 ポリブチレンテレフタレート、ガ
ラス繊維およびカーボンブラックを表−1に示す比率で
配合し、実施例1と同様にして成形チップを得、得られ
たペレットから実施例1と同様にして試験片を射出成形
し、評価を行った。結果を表−1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】〔実施例4〜7〕ポリブチレンテレフタレ
ート、ガラス繊維、マイカおよび黒色有機染料を表−2
に示す比率で配合し、次いで二軸押出機(スクリュー径
35mm)を用いて、バレル設定温度255℃、回転数
200rpmで成形チップを得た。得られたペレットか
らスクリューインライン射出成形機にてシリンダー温度
260℃、金型温度80℃で各種物性測定用の100m
m×100mm×1mmt試験片を射出成形し、評価を
行った。結果を表−2に示す。
【0028】〔比較例4〕 ポリブチレンテレフタレ
ート、ガラス繊維およびマイカを表−2に示す比率で配
合し、実施例5と同様にして成形チップを得、得られた
ペレットから実施例5と同様にして試験片を射出成形
し、評価を行った。結果を表−2に示す。 〔比較例5〕 ポリブチレンテレフタレート、ガラス
繊維、マイカおよびカーボンブラックを表−2に示す比
率で配合し、実施例5と同様にして成形チップを得、得
られたペレットから実施例5と同様にして試験片を射出
成形し、評価を行った。結果を表−2に示す。 〔比較例6〕 ポリブチレンテレフタレート、ガラス
繊維、マイカおよび黒色有機染料4を表−2に示す比率
で配合し、実施例5と同様にして成形チップを得、得ら
れたペレットから実施例5と同様にして試験片を射出成
形し、評価を行った。結果を表−2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、耐
絶縁破壊電圧が非常に高く、着色性および機械的物性に
優れ、且つ耐熱性にも優れており、電気部品等に使用し
ても安全性が高く、工業的に有用である。本発明のポリ
エステル樹脂組成物は、ニグロシンまたはニグロシン誘
導体が使用された場合、黒色の着色性に優れ、カーボン
ブラックによる着色で問題となっていた絶縁破壊電圧の
低下を防止でき、工業的利用価値が高い。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100
    重量部に対し、(B)無機充填剤5〜60重量部および
    (C)フェナジン環を有する染料または顔料0.1〜1
    0重量部を配合してなるポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポ
    リブチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタ
    レートを50重量%以上含む芳香族ポリエステルである
    ことを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 ポリブチレンテレフタレートの固有粘度
    が、0.6〜1.5dl/gであることを特徴とする請
    求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)無機充填剤が、ガラス繊維および
    /またはマイカであることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (C)フェナジン環を有する染料または
    顔料が、ニグロシンまたはニグロシン誘導体であること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリ
    エステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 ニグロシンまたはニグロシン誘導体が、
    C.I.Solvent Black 7として規定され
    る染料または顔料であることを特徴とする請求項5に記
    載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 絶縁破壊電圧が35kv/mm以上であ
    ることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載
    のポリエステル樹脂組成物。
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