JP3527805B2 - 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents
難燃性ポリエステル系樹脂組成物Info
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Description
樹脂に関し、詳しくは、耐トラッキング性に優れた黒色
難燃性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
脂が利用されてきた。しかし近年、樹脂部品に対して要
求される性能が高まるにつれ、ポリカーボネート、ポリ
フェニレンエーテル、ABS樹脂等の非晶性樹脂は耐熱
性、耐薬品性、耐トラッキング性等の電気特性が不十分
となってきている。一方、ポリエステル、ポリオレフィ
ン等の結晶性の樹脂はそれ自体、耐絶縁破壊性に優れて
おり、自動車部品であるイグニッションコイルをはじめ
とする電機部品の絶縁性材料として有用であり以前に増
して広く使用されている。しかしながら、難燃性、耐熱
性が不十分であることからハロゲン・アンチモン系難燃
剤及びガラスファイバー等充填剤を添加する必要があ
り、また、外観上の点より黒色に着色するためにカーボ
ンブラックの添加が行われているが、得られる樹脂組成
物は、耐トラッキング性や絶縁破壊電圧が低いという欠
点があった。
ラッキング性、耐絶縁破壊性、耐熱性及び難燃性に優
れ、かつ良好な黒の着色性を有する難燃性ポリエステル
系樹脂組成物を提供することにある。
解決するためになされたものであり、その要旨は、
(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に、
(B)無機充填剤20〜80重量部、(C)ハロゲン系
難燃剤2〜40重量部、(D)酸化アンチモンまたはア
ンチモン酸塩2〜40重量部、(E)黒色有機染料また
は顔料0.1〜5重量部を配合してなる難燃性ポリエス
テル系樹脂組成物に存する。
おける(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香
族ポリエステル系樹脂であり、芳香環を重合体の連鎖単
位に有するポリエステル樹脂であって、芳香族ジカルボ
ン酸および/またはそのエステル形成性誘導体とジオー
ルおよび/またはそのエステル形成性誘導体とを主成分
とする重縮合反応により得られる重合体もしくは共重合
体である。
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1、5−ナフタレ
ンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2、
2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3、3’−ジカルボ
ン酸、ビフェニル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエーテル−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタ
ン−4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−
4、4’−ジカルボン酸、ジフェニルイソプロピリデン
−4、4’−ジカルボン酸、1、2−ビス(フェノキ
シ)エタン−4、4’−ジカルボン酸、アントラセン−
2、5−ジカルボン酸、アントラセン−2、6−ジカル
ボン酸、p−ターフェニレン−4、4’−ジカルボン
酸、ピリジン−2、5−ジカルボン酸等が挙げられ、好
ましくはテレフタル酸である。
混合して使用しても良い。なお、少量であればこれらの
芳香族ジカルボン酸と共にアジピン酸、アゼライン酸、
ドデカンジオン酸、セバシン酸、等の脂環式ジカルボン
酸を1種以上混合して使用することができる。
プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプ
ロパン−1、3−ジオール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロヘキ
サン−1、4−ジメタノール等の脂環式ジオールが挙げ
られる。これらのジオールは2種以上を混合して使用し
ても良い。なお、少量であれば、分子量400〜6、0
00の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコー
ル、ポリ−1、3−プロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコールなどを1種以上混合して使用するこ
とができる。
ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレ
ンテレフラレート、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタ
レート、ポリエチレン−1、2−ビス(フェノキシ)エ
タン−4、4’−ジカルボキシレートポリシクロヘキサ
ンジメタノールテレフタレート等を挙げることができ、
またポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポ
リブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチ
レンイソフタレート/デカンジカルボキシレート、等の
共重合ポリエステルが挙げられ、好ましくはポリブチレ
ンテレフタレートである。
[η]としては、0.7〜1.2dl/gであることが
好ましく、固有粘度の測定は、フェノール/1,1,
2,2,−テトラクロロエタン=50/50(重量比)
混合溶液中で30℃で行われる。
は、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状強化剤やチタン酸
カリや石膏繊維のようなウィスカー、タルク、クレイ、
ワラストナイト、マイカ、ベントナイト、モンモリロナ
イト、炭酸カルシウム、ほう酸亜鉛、錫酸亜鉛、酸化亜
鉛等の粉末状強化材があげられる。
リエステル樹脂100重量部に対して、20〜80重量
部である。無機充填剤が20重量部未満では、成形品に
十分な強度が得られにくく、80重量部を越えると、射
出成形を行うための十分な流動性が得られ難い。無機充
填剤の配合量は、強度と流動性とのバランスの点から、
熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、好ま
しくは25〜75重量部、より好ましくは30〜70重
量部である。
具体例としては、例えば、テトラブロモビスフェノール
Aのエポキシオリゴマー、ペンタブロモベンジルポリア
クリレート、ポリブロモフェニルエーテル、ブロム化ポ
リスチレン、ブロム化エポキシ、ブロム化イミド、ブロ
ム化ポリカーボネート等が挙げられる。
塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、5〜40
重量部である。ハロゲン系難燃剤が5重量部未満では、
十分な難燃性が得られにくく、40重量部を越えると物
性が低下しやすい。ハロゲン系難燃剤の配合量は、難燃
性と物性とのバランスの点から、熱可塑性ポリエステル
樹脂100重量部に対して、好ましくは7〜30重量
部、より好ましくは8〜25重量部である。
ては三酸化アンチモン(Sb2O3)、五酸化アンチモン
(Sb2O5)等が挙げられ、またアンチモン酸塩として
はアンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
塩の配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部
に対して、2〜40重量部である。酸化アンチモンまた
はアンチモン酸塩が2重量部未満では、十分な難燃性が
得られにくく、40重量部を越えると物性が低下しやす
い。酸化アンチモンまたはアンチモン酸塩の配合量は、
難燃性と物性とのバランスの点から、熱可塑性ポリエス
テル樹脂100重量部に対して、好ましくは2〜30重
量部、より好ましくは3〜20重量部である。
黒色有機顔料としては、9,10−アントラセンジオン
骨格を有する化合物、9,10−アントラセンジオン骨
格を有する化合物の混合物が好ましい。(E)黒色有機
染料または黒色有機顔料の具体例としては、12H−フ
タロペリン−12−オン、1−アミノ−4ヒドロキシ−
2−フェノキシ9,10−アントラセンジオン、1,
4,−ビス((4−メチルフェニル)アミノ)−9,1
0−アントラセンジオンおよび9,10−アントラセン
ジオン、1−ヒドロキシ−4−((4−メチルフェニ
ル)アミノ)−9,10−アントラセンジオン等が挙げ
られる。これらの黒色有機染料または黒色有機顔料は、
1種または2種以上を混合したものを用いることができ
る。黒色有機染料または黒色有機顔料としては、好まし
くは、12H−フタロペリン−12−オン、1−アミノ
−4ヒドロキシ−2−フェノキシ9,10−アントラセ
ンジオン、1,4,−ビス((4−メチルフェニル)ア
ミノ)−9,10−アントラセンジオンおよび9,10
−アントラセンジオン、1−ヒドロキシ−4−((4−
メチルフェニル)アミノ)−9,10−アントラセンジ
オンの混合物である。なお、黒色有機染料または黒色有
機顔料に、電気特性を損なわない範囲で、例えば、0.
3重量部以下、好ましくは0.2重量部以下のカーボン
ブラックを併用することもできるが、カーボンブラック
を併用しないことが好ましい。
配合量は、熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対
して、0.1〜5重量部である。黒色有機染料または黒
色有機顔料が0.1重量部未満では、十分な黒の着色性
が得られにくく、5重量部を越えると物性が低下しやす
い。黒色有機染料または黒色有機顔料の配合量は、着色
性と物性とのバランスの点から、熱可塑性ポリエステル
樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜4重量
部、より好ましくは0.3〜3重量部である。
性、電気絶縁性を損なわない限りにおいて、その目的に
応じPTFEやポリオレフィン等の他の樹脂、各種無機
充填剤、各種エラストマー成分、耐熱材、酸化防止剤、
耐候剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、帯電防止剤
等を添加することができる。
に特に制限はなく、通常の方法が満足に使用できる。し
かしながら、一般に溶融混練が望ましい。装置としては
特に押し出し機を例として挙げることができ回分的また
は連続的に運転する。
庫、TV、オーディオ、自動車、洗濯機、乾燥機などに
使用される電機部品の活電部分のための成形材料として
使用することができる。例えば、スイッチ、端子、継電
器コイルボビンやそのケース、高電圧コイルボビンやそ
のケース、ブラウン管偏向ヨークなどとして用いること
ができる。特に高温−高湿雰囲気下で高電圧と近接して
活電部品/部材として使用される分野において有用であ
る。
明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。
下のものを使用した。 1)成分(A)熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリブチレ
ンテレフタレート、NOVADUR5008AS(三菱
エンジニアリングプラスチックス社製)、以下PBTと
称す。 2)成分(B)ガラス繊維、直径13μm、長さ3mm
のガラスチョップドストランド。 3)成分(C)ハロゲン系難燃剤、ペンタブロモベンジ
ルポリアクリレート、以下、PBBPAと称す。 4)成分(D)三酸化アンチモン(Sb2O3) 5)成分(E)黒色有機染料、ブラックAN(濤和化学
社製) 6)安定剤、ヒンダードフェノル系熱安定剤 7)離型剤、ポリエチレンワックス
法は次のとおりである。 a)耐トラッキング性試験:IEC112に準拠して湿
式比較トラッキング指数(CTI)を測定。数値が大き
い程、耐トラッキング性に優れている。 b)難燃性試験:UL94試験に従って測定。 c)色調判定:目視により黒色度を判定。
ト、ガラス繊維、難燃剤、三酸化アンチモン、黒色有機
染料、安定剤及び離型剤を表−1に示す量(重量部)配
合し、二軸押出機(スクリュー径35mm)を用いて、
バレル設定温度260℃、回転数200rpmで押出ペ
レットを作った。このペレットから各種物性測定用の試
験片を射出成形し、評価を行った。結果を表−1に示
す。
ト、ガラス繊維、安定剤及び離型剤を表−1に示す量
(重量部)配合し、二軸押出機(スクリュー径35m
m)を用いて、バレル設定温度260℃、回転数200
rpmで押出ペレットを作った。このペレットから各種
物性測定用の試験片を射出成形し、評価を行った。結果
を表−1に示す。 〔比較例2〜3〕ポリブチレンテレフタレート、ガラス
繊維、難燃剤、三酸化アンチモン、カーボンブラック、
安定剤及び離型剤を表−1に示す量(重量部)配合し、
二軸押出機(スクリュー径35mm)を用いて、バレル
設定温度260℃、回転数200rpmで押出ペレット
を作った。このペレットから各種物性測定用の試験片を
射出成形し、評価を行った。結果を表−1に示す。 〔比較例4〕ポリブチレンテレフタレート、ガラス繊
維、難燃剤、三酸化アンチモン、カーボンブラック、黒
色有機染料、安定剤及び離型剤を表−1に示す量(重量
部)配合し、二軸押出機(スクリュー径35mm)を用
いて、バレル設定温度260℃、回転数200rpmで
押出ペレットを作った。このペレットから各種物性測定
用の試験片を射出成形し、評価を行った。結果を表−1
に示す。
トラッキング性、耐絶縁破壊性、耐熱性及び難燃性に優
れ、かつ良好な黒の着色性を有し、電気部品等に使用し
ても安全性が高く、工業的に非常に有利である。
Claims (6)
- 【請求項1】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100
重量部に、(B)無機充填剤20〜80重量部、(C)
ハロゲン系難燃剤2〜40重量部、(D)酸化アンチモ
ンまたはアンチモン酸塩2〜40重量部、(E)黒色有
機染料または黒色有機顔料0.1〜5重量部を配合して
なる難燃性ポリエステル系樹脂組成物。 - 【請求項2】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂の固有
粘度[η]が、0.7〜1.2dl/g(30℃のフェ
ノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=50/
50(重量比)混合溶液中での測定)であることを特徴
とする請求項1に記載の難燃ポリエステル系樹脂組成
物。 - 【請求項3】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、ポ
リブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求
項1または2に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成
物。 - 【請求項4】 (E)黒色有機染料または黒色有機顔料
が、9,10−アントラセンジオン骨格を有する化合物
であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに
記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。 - 【請求項5】 (E)黒色有機染料または黒色有機顔料
が、12H−フタロペリン−12−オン、1−アミノ−
4ヒドロキシ−2−フェノキシ9,10−アントラセン
ジオン、1,4,−ビス((4−メチルフェニル)アミ
ノ)−9,10−アントラセンジオンおよび1−ヒドロ
キシ−4−((4−メチルフェニル)アミノ)−9,1
0−アントラセンジオンからなる群から選ばれた少なく
とも1種であることを特徴とする請求項1ないし3のい
ずれかに記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。 - 【請求項6】 (E)黒色有機染料または黒色有機顔料
が、12H−フタロペリン−12−オン、1−アミノ−
4ヒドロキシ−2−フェノキシ9,10−アントラセン
ジオン、1,4,−ビス((4−メチルフェニル)アミ
ノ)−9,10−アントラセンジオンおよび1−ヒドロ
キシ−4−((4−メチルフェニル)アミノ)−9,1
0−アントラセンジオンの混合物であることを特徴とす
る請求項5に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP00703796A JP3527805B2 (ja) | 1996-01-19 | 1996-01-19 | 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 |
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---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09194694A JPH09194694A (ja) | 1997-07-29 |
JP3527805B2 true JP3527805B2 (ja) | 2004-05-17 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP00703796A Expired - Fee Related JP3527805B2 (ja) | 1996-01-19 | 1996-01-19 | 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3527805B2 (ja) |
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---|---|---|---|---|
JP6309948B2 (ja) * | 2013-04-26 | 2018-04-11 | ウィンテックポリマー株式会社 | ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 |
-
1996
- 1996-01-19 JP JP00703796A patent/JP3527805B2/ja not_active Expired - Fee Related
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