JP2004067852A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は良好な難燃性と耐トラッキング性および、高度な耐候性が均衡して優れる耐電圧部品に適した成型用ポリエステル樹脂組成物を得ること。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)ケイ酸金属塩系充填材1〜100重量部、(C)酸化チタン1〜30重量部、(D)有機臭素化合物1〜60重量部、(E)アンチモン化合物1〜50重量部を含有してなるポリエステル樹脂組成物、さらに(F)繊維状補強材を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部含有してなる上記ポリエステル樹脂組成物。
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対し、(B)ケイ酸金属塩系充填材1〜100重量部、(C)酸化チタン1〜30重量部、(D)有機臭素化合物1〜60重量部、(E)アンチモン化合物1〜50重量部を含有してなるポリエステル樹脂組成物、さらに(F)繊維状補強材を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部含有してなる上記ポリエステル樹脂組成物。
Description
本発明はポリエステル樹脂組成物に関し、さらに詳しくは優れた難燃性、電気特性、耐候性を示すポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0001】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と表すことがある)に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた化学的特性や、機械的特性を利用して、自動車部品、電気・電子部品等、幅広い分野に使用されている。
【0002】
しかしながら、熱可塑性ポリエステル樹脂は難燃性に乏しく、特に電気・電子部品への適用に際しては難燃化が必須となっている。
【0003】
従来、熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃化方法にはハロゲン化合物、リン化合物などとアンチモン化合物などの難燃助剤を配合する方法が一般的である。このような難燃剤と難燃助剤を配合した場合には、引張伸びを始めとする機械的特性の低下や、電気絶縁性、特に耐トラッキング性の低下、また耐候性の著しい低下という問題があった。
【0004】
熱可塑性ポリエステル樹脂のこのような欠点を改善するために、圧縮微粉タルク、臭素化ポリスチレンおよび三酸化アンチモンなどの難燃助剤等を配合することによって耐トラッキング性および難燃性に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を得る方法が特開2000−109657号公報に記載されている。しかしながら、同公報記載の発明は、難燃性及び耐トラッキング性に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂について開示されているが、さらに耐候性も備えた熱可塑性ポリエステル樹脂については何ら開示されていない。また、同公報には必要に応じてさらに無機充填材を配合しうることが記載されているが、その配合効果に関しては記載されていない。
【0005】
このように従来技術では、熱可塑性ポリエステル樹脂本来の特性を損なうことなく、良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を有するポリエステル樹脂組成物は得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は良好な難燃性と耐トラッキング性、および、耐候性が均衡して優れる耐電圧部品に適したポリエステル樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記のポリエステル樹脂本来の特性を損なうことなく良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を両立すべく検討した結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に有機臭素化合物、アンチモン化合物、ケイ酸金属塩系充填材、および酸化チタンを含有せしめることにより、上記の目的が達成できることを見いだし本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂(B)ケイ酸金属塩系充填剤、(C)酸化チタン、(D)有機臭素化合物、(E)アンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物であり、好ましくは、(F)繊維状補強材を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜100重量部含む上記のポリエステル樹脂組成物であり、さらに好ましくは(F)繊維状補強材がガラス繊維であるポリエステル樹脂組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0010】
本発明で用いる熱可塑性ポリエステルとしては、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成誘導体)とジオール(あるいは、そのエステル形成誘導体)とを主成分とする重縮合反応によって得られる重合体ないしは共重合体などが使用できる。
【0011】
上記ジカルボン酸としてテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸,2,2′′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4′−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
【0012】
これらのジカルボン酸は2種異常を混合して使用してもよい。なお、少量であればこれらのジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を一種以上混合して使用することができる。
【0013】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなど、およびそれらの混合物などが挙げられる。なお少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを1種以上共重合せしめてもよい。
【0014】
これらの重合体ないし共重合体の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートなどの共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうちポリブチレンテレフタレートが好ましく使用できる。またこれら熱可塑性ポリエステル樹脂は、0.5%o−クロロフェノール溶液で25℃で測定したときの相対粘度が、1.2〜2.0の範囲にあるものが好ましい。上記範囲であると機械的特性にすぐれ、かつ成形性にすぐれた組成物が得られる。
【0015】
本発明で用いる(B)ケイ酸金属塩系充填材としては、例えばタルクなどのケイ酸マグネシウム系充填材、カオリン等のケイ酸アルミニウム系充填材、マイカ等のケイ酸アルミニウム−カリウム系充填材、ワラステナイト等のケイ酸カルシウム系充填材などが挙げられる。なかでもケイ酸マグネシウム系充填材が好ましい。形状としては板状のものが好ましく、なかでも板状のケイ酸マグネシウム系充填材が特に好ましく用いられる。
【0016】
ケイ酸金属塩充填材の平均粒子径は、1.0〜4.1μmが好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.0μmが良い。
【0017】
また(B)ケイ酸金属塩系充填材には必要に応じてシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等による表面処理を施すことができる。
【0018】
上記(B)ケイ酸金属塩系充填材の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部の範囲が良い。
【0019】
本発明で用いる(C)酸化チタンとしては、分散性、それによる隠蔽効果の点から平均粒子径が1.0〜5.0μmのものが好ましく、特に1.0〜3.0μmのものが好ましく、さらに1.0〜2.0μmのものが好ましい。
【0020】
また、本発明で用いる(C)酸化チタンは、隠蔽効果の点からルチル型が好ましい。
【0021】
本発明で用いる酸化チタンは黄変現象を抑制するために、また優れた分散性を発現するために若干のSiO2またはAlO2で表面処理されたものが好ましい。
【0022】
上記(C)酸化チタンの含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、さらに1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0023】
本発明で用いる(D)有機臭素化合物における、臭素含有量は60重量%以上が好ましい。(D)有機臭素化合物の臭素含有量がこの範囲であると比較的少ない添加量で高度な難燃性を得られ、高度な耐トラッキング性、耐候性を得ることができる。
【0024】
このような有機臭素化合物としては、例えばポリペンタブロモベンジルアクリレート、デカブロモジフェニルエーテル等が挙げられる。なかでもポリペンタブロモベンジルアクリレートが好ましい。
【0025】
上記有機臭素化合物の含有量は熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜60重量部であることが好ましく、さらに5〜30重量部であることが好ましい。(D)有機臭素化合物の添加量が上記範囲であると難燃性、および機械的特性の両方に特に優れた成形品が得られる。
【0026】
本発明ではさらに(E)アンチモン化合物が配合される。これは難燃助剤としてはたらくものであり、具体的には三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられ、またアンチモン酸塩としてはアンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
【0027】
本発明で用いる(E)アンチモン化合物の平均粒径としては特に限定はされないが、好ましくは1.0〜2.0μmで、さらに好ましくは1.0〜1.5μmである。(E)アンチモン化合物の粒径が上記範囲内であると、比較的少ない添加量で高度な難燃性が得られ、その結果、優れた耐トラッキング性、耐候性を有する組成物が得られる。 上記(E)アンチモン化合物の含有量は(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、さらに1〜30重量部であることが好ましい。アンチモン化合物の添加量が上記範囲であると難燃性に特に優れた成形品が得られる。
【0028】
本発明では成形品の強度を向上させるためにポリエステル樹脂組成物中にさらに(F)繊維状補強材を含有せしめることが好ましい。かかる繊維状補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられ、特にガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては公知のガラス繊維を使用することが可能である。
【0029】
また(F)繊維状補強材を配合する場合には、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、さらに5〜70重量部の範囲が好ましい。
【0030】
本発明の組成物には、熱可塑性ポリエステルの結晶核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸エステルの部分ナトリウム塩、あるいはバリウム塩などの有機カルボン酸金属塩、アイオノマーなど)また結晶化促進剤(例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノート)などのポリアルキレングリコール誘導体や安息香酸エステル、ポリラクトン類、N−置換トルエンスルホアミドなど)を併用することができる。
【0031】
本発明の組成物において、更に必要に応じて他の各種添加剤(例えば、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など)、他の熱可塑性樹脂(例えばアクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドなど)、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂など)を添加でき、さらに他の充填材(例えば炭素繊維、チタン酸カリウム等のウイスカおよび有機繊維等、クレー、シリカ、セリサイト、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ガラスパウダーなど)を添加することができる。充填剤はそのまま配合することによっても性能を発現できるが、樹脂との親和性、接着性を高めるために適当な表面処理剤が使用できる。
【0032】
本発明のポリエステル組成物の製造法は特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂、有機臭素化合物、アンチモン化合物、ケイ酸金属塩系充填材、および酸化チタン、更には必要に応じて繊維状補強材、添加剤を配合し、スクリュー式押出機によってペレットに調製して組成物とする一括ブレンド方法、またスクリュー式押出機にまず樹脂成分を供給して溶融し、他の供給口より繊維状補強材、更には必要に応じて添加剤を供給混練しペレットに調整し、組成物とする分割ブレンド方法などが挙げられ、特に分割ブレンド方法を好適に用いることができる。ポリエステル樹脂組成物の形状としては、通常0.5mm〜10mmの長さを有するペレットとするのが好ましい。
【0033】
かくして得られる本発明のポリエステル樹脂組成物は、射出成形、押出成形、吹き込み成形、真空成形などの任意の成形方法により望みの成形品にすることができる。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂組成物は良好な難燃性、極めて優れた比較トラッキング指数、および高度な耐候性を有している。多くの場合、UL94で測定してV−0を示す難燃性を有し、またIECに準拠して測定した比較トラッキング指数が600V以上と優れた耐トラッキング性を有しながら、紫外線150時間照射後の変色値△Eが2.0以下である極めて高度な耐候性を具備している。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、かかる特性を活かして耐電圧部品の成形材料として適しており、それから得られる耐電圧部品は耐久性を有し、実用性に極めて優れている。
【0035】
特に常時100V以上の電圧と近接している部品、または、通常は低電圧であるが回路の断続で100V以上の電圧と近接する部品に好適である。
【0036】
具体的には、特に電気・電子部品、自動車部品として使用される耐電圧部品、例えば、ソケット、コイル、端子台、プラグ、スイッチ、リレー部品、ブレーカー部品に好ましく利用できる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例においては次の化合物を使用した。
【0038】
成分(A)熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリブチレンテルフタレート、”トレコン”1100S(東レ製)(相対粘度1.44、長径3mm、短径2mm、長さ3mmの楕円柱状粒体)以下PBTと称す。
【0039】
成分(B)ケイ酸金属塩系充填材:タルク、”ミクロンホワイト”#5000A(林化成製)、板状、平均粒径4.1μm。
【0040】
成分(C)酸化チタン:ルチル型酸化チタン、”タイペーク”CR63(石原産業製)。
【0041】
成分(D)有機臭素化合物:ポリペンタブロモベンジルアクリレート、”FR1025”(デッド・シー・ブロミン社製)以下PBB−PAと称す。
【0042】
成分(E)アンチモン化合物:三酸化アンチモン、”PATOX−M”(日本精鉱製)。
【0043】
成分(F)繊維状補強材:ガラス繊維、”ガラスチョップドストランド”3J948(日東紡績製)、平均繊維長3.0mm、平均繊維径10μm。
【0044】
ウォラステナイト:”WICROLL 10”(キンセイマテック製)、中心粒径4.0−4.5μm。
【0045】
酸化防止剤:▲1▼ヒンダードフェノール系酸化防止剤、”TTHP”(東レファインケミカル製)、▲2▼チオエーテル系酸化防止剤、”アデカスタブ”AO−412S(旭電化製)。
【0046】
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、”サイアソーブ”UV5411(サイテックインダストリーズインク製)。
【0047】
実施例及び比較例の評価方法を以下に示す。
【0048】
耐トラッキング性試験は角板成形品(80×80×3mm厚)を用いて国際電気標準会議(IEC)に準拠して、比較トラッキング指数を測定した。
【0049】
引張試験はASTM Type1ダンベルを用いてASTM−D638に準拠して測定を行った。曲げ試験はASTM−D790に準拠し、測定を行った。
【0050】
難燃性は棒状の試験片(125.0×13.0×0.72mm厚)を使用しUL94に準拠して測定した。
【0051】
耐候性はスガ試験機製フェードメータを使用し、試験片(50×50×1mm厚)に紫外線を150時間照射した。紫外線照射後試験片をカラーコンピュータを使用し、紫外線照射前試験片からの変色値△Eを測定した。
実施例1〜3
表1に示す重量部の各成分をスクリュー径57mmΦの二軸押出機を用いて、バレル設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmで押出し、ペレットを製造した。このペレットから各種物性測定用の試験片をシリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、以下の試験を行った。得られた組成物は何れも高い難燃性、耐トラッキング性、耐候性を有する材料であった。
【0052】
比較例1〜4
比較例の配合処方並びに評価結果を、表1に示す。
比較例1では、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(C)酸化チタン8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は難燃性、耐候性が良好なものの耐トラッキング性が不十分であった。
また、比較例2で(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同様に製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は難燃性、耐トラッキング性は良好なものの、耐候性が不十分であった。
また、比較例3で(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(C)酸化チタン8重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、耐候性は良好なものの、難燃性が不十分であった。
【0053】
比較例4で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(C)酸化チタン8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、耐候性は良好なものの、難燃性が不十分であった。
【0054】
比較例5で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、ウォラステナイト8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、難燃性は良好なものの、耐候性が不十分であった。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
上述したように、本発明のポリエステル樹脂組成物により、良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を備えた成形品を得ることができる。しかも機械的特性、耐熱性、成形性、および成形品外観が均衡して優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関するもので、特に電気・電子部品などの配線部品材料として有用である。
【0001】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」と表すことがある)に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた化学的特性や、機械的特性を利用して、自動車部品、電気・電子部品等、幅広い分野に使用されている。
【0002】
しかしながら、熱可塑性ポリエステル樹脂は難燃性に乏しく、特に電気・電子部品への適用に際しては難燃化が必須となっている。
【0003】
従来、熱可塑性ポリエステル樹脂の難燃化方法にはハロゲン化合物、リン化合物などとアンチモン化合物などの難燃助剤を配合する方法が一般的である。このような難燃剤と難燃助剤を配合した場合には、引張伸びを始めとする機械的特性の低下や、電気絶縁性、特に耐トラッキング性の低下、また耐候性の著しい低下という問題があった。
【0004】
熱可塑性ポリエステル樹脂のこのような欠点を改善するために、圧縮微粉タルク、臭素化ポリスチレンおよび三酸化アンチモンなどの難燃助剤等を配合することによって耐トラッキング性および難燃性に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物を得る方法が特開2000−109657号公報に記載されている。しかしながら、同公報記載の発明は、難燃性及び耐トラッキング性に優れた熱可塑性ポリエステル樹脂について開示されているが、さらに耐候性も備えた熱可塑性ポリエステル樹脂については何ら開示されていない。また、同公報には必要に応じてさらに無機充填材を配合しうることが記載されているが、その配合効果に関しては記載されていない。
【0005】
このように従来技術では、熱可塑性ポリエステル樹脂本来の特性を損なうことなく、良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を有するポリエステル樹脂組成物は得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は良好な難燃性と耐トラッキング性、および、耐候性が均衡して優れる耐電圧部品に適したポリエステル樹脂組成物を得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記のポリエステル樹脂本来の特性を損なうことなく良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を両立すべく検討した結果、熱可塑性ポリエステル樹脂に有機臭素化合物、アンチモン化合物、ケイ酸金属塩系充填材、および酸化チタンを含有せしめることにより、上記の目的が達成できることを見いだし本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂(B)ケイ酸金属塩系充填剤、(C)酸化チタン、(D)有機臭素化合物、(E)アンチモン化合物を含有するポリエステル樹脂組成物であり、好ましくは、(F)繊維状補強材を(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して1〜100重量部含む上記のポリエステル樹脂組成物であり、さらに好ましくは(F)繊維状補強材がガラス繊維であるポリエステル樹脂組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0010】
本発明で用いる熱可塑性ポリエステルとしては、ジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成誘導体)とジオール(あるいは、そのエステル形成誘導体)とを主成分とする重縮合反応によって得られる重合体ないしは共重合体などが使用できる。
【0011】
上記ジカルボン酸としてテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸,2,2′′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4′−p−ターフェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が好ましく使用できる。
【0012】
これらのジカルボン酸は2種異常を混合して使用してもよい。なお、少量であればこれらのジカルボン酸とともにアジピン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を一種以上混合して使用することができる。
【0013】
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオールなど、およびそれらの混合物などが挙げられる。なお少量であれば、分子量400〜6,000の長鎖ジオール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを1種以上共重合せしめてもよい。
【0014】
これらの重合体ないし共重合体の好ましい例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4′−ジカルボキシレートなどのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレートなどの共重合ポリエステルが挙げられる。これらのうちポリブチレンテレフタレートが好ましく使用できる。またこれら熱可塑性ポリエステル樹脂は、0.5%o−クロロフェノール溶液で25℃で測定したときの相対粘度が、1.2〜2.0の範囲にあるものが好ましい。上記範囲であると機械的特性にすぐれ、かつ成形性にすぐれた組成物が得られる。
【0015】
本発明で用いる(B)ケイ酸金属塩系充填材としては、例えばタルクなどのケイ酸マグネシウム系充填材、カオリン等のケイ酸アルミニウム系充填材、マイカ等のケイ酸アルミニウム−カリウム系充填材、ワラステナイト等のケイ酸カルシウム系充填材などが挙げられる。なかでもケイ酸マグネシウム系充填材が好ましい。形状としては板状のものが好ましく、なかでも板状のケイ酸マグネシウム系充填材が特に好ましく用いられる。
【0016】
ケイ酸金属塩充填材の平均粒子径は、1.0〜4.1μmが好ましく、さらに好ましくは1.0〜2.0μmが良い。
【0017】
また(B)ケイ酸金属塩系充填材には必要に応じてシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等による表面処理を施すことができる。
【0018】
上記(B)ケイ酸金属塩系充填材の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは1〜80重量部の範囲が良い。
【0019】
本発明で用いる(C)酸化チタンとしては、分散性、それによる隠蔽効果の点から平均粒子径が1.0〜5.0μmのものが好ましく、特に1.0〜3.0μmのものが好ましく、さらに1.0〜2.0μmのものが好ましい。
【0020】
また、本発明で用いる(C)酸化チタンは、隠蔽効果の点からルチル型が好ましい。
【0021】
本発明で用いる酸化チタンは黄変現象を抑制するために、また優れた分散性を発現するために若干のSiO2またはAlO2で表面処理されたものが好ましい。
【0022】
上記(C)酸化チタンの含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、さらに1〜20重量部の範囲が好ましい。
【0023】
本発明で用いる(D)有機臭素化合物における、臭素含有量は60重量%以上が好ましい。(D)有機臭素化合物の臭素含有量がこの範囲であると比較的少ない添加量で高度な難燃性を得られ、高度な耐トラッキング性、耐候性を得ることができる。
【0024】
このような有機臭素化合物としては、例えばポリペンタブロモベンジルアクリレート、デカブロモジフェニルエーテル等が挙げられる。なかでもポリペンタブロモベンジルアクリレートが好ましい。
【0025】
上記有機臭素化合物の含有量は熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜60重量部であることが好ましく、さらに5〜30重量部であることが好ましい。(D)有機臭素化合物の添加量が上記範囲であると難燃性、および機械的特性の両方に特に優れた成形品が得られる。
【0026】
本発明ではさらに(E)アンチモン化合物が配合される。これは難燃助剤としてはたらくものであり、具体的には三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられ、またアンチモン酸塩としてはアンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。特に三酸化アンチモンが好ましく用いられる。
【0027】
本発明で用いる(E)アンチモン化合物の平均粒径としては特に限定はされないが、好ましくは1.0〜2.0μmで、さらに好ましくは1.0〜1.5μmである。(E)アンチモン化合物の粒径が上記範囲内であると、比較的少ない添加量で高度な難燃性が得られ、その結果、優れた耐トラッキング性、耐候性を有する組成物が得られる。 上記(E)アンチモン化合物の含有量は(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、さらに1〜30重量部であることが好ましい。アンチモン化合物の添加量が上記範囲であると難燃性に特に優れた成形品が得られる。
【0028】
本発明では成形品の強度を向上させるためにポリエステル樹脂組成物中にさらに(F)繊維状補強材を含有せしめることが好ましい。かかる繊維状補強材としては、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられ、特にガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては公知のガラス繊維を使用することが可能である。
【0029】
また(F)繊維状補強材を配合する場合には、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、さらに5〜70重量部の範囲が好ましい。
【0030】
本発明の組成物には、熱可塑性ポリエステルの結晶核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸エステルの部分ナトリウム塩、あるいはバリウム塩などの有機カルボン酸金属塩、アイオノマーなど)また結晶化促進剤(例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノート)などのポリアルキレングリコール誘導体や安息香酸エステル、ポリラクトン類、N−置換トルエンスルホアミドなど)を併用することができる。
【0031】
本発明の組成物において、更に必要に応じて他の各種添加剤(例えば、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、シリコンオイルなどの離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤など)、他の熱可塑性樹脂(例えばアクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドなど)、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂など)を添加でき、さらに他の充填材(例えば炭素繊維、チタン酸カリウム等のウイスカおよび有機繊維等、クレー、シリカ、セリサイト、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ガラスパウダーなど)を添加することができる。充填剤はそのまま配合することによっても性能を発現できるが、樹脂との親和性、接着性を高めるために適当な表面処理剤が使用できる。
【0032】
本発明のポリエステル組成物の製造法は特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性ポリエステル樹脂、有機臭素化合物、アンチモン化合物、ケイ酸金属塩系充填材、および酸化チタン、更には必要に応じて繊維状補強材、添加剤を配合し、スクリュー式押出機によってペレットに調製して組成物とする一括ブレンド方法、またスクリュー式押出機にまず樹脂成分を供給して溶融し、他の供給口より繊維状補強材、更には必要に応じて添加剤を供給混練しペレットに調整し、組成物とする分割ブレンド方法などが挙げられ、特に分割ブレンド方法を好適に用いることができる。ポリエステル樹脂組成物の形状としては、通常0.5mm〜10mmの長さを有するペレットとするのが好ましい。
【0033】
かくして得られる本発明のポリエステル樹脂組成物は、射出成形、押出成形、吹き込み成形、真空成形などの任意の成形方法により望みの成形品にすることができる。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂組成物は良好な難燃性、極めて優れた比較トラッキング指数、および高度な耐候性を有している。多くの場合、UL94で測定してV−0を示す難燃性を有し、またIECに準拠して測定した比較トラッキング指数が600V以上と優れた耐トラッキング性を有しながら、紫外線150時間照射後の変色値△Eが2.0以下である極めて高度な耐候性を具備している。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、かかる特性を活かして耐電圧部品の成形材料として適しており、それから得られる耐電圧部品は耐久性を有し、実用性に極めて優れている。
【0035】
特に常時100V以上の電圧と近接している部品、または、通常は低電圧であるが回路の断続で100V以上の電圧と近接する部品に好適である。
【0036】
具体的には、特に電気・電子部品、自動車部品として使用される耐電圧部品、例えば、ソケット、コイル、端子台、プラグ、スイッチ、リレー部品、ブレーカー部品に好ましく利用できる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明の効果を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例においては次の化合物を使用した。
【0038】
成分(A)熱可塑性ポリエステル樹脂:ポリブチレンテルフタレート、”トレコン”1100S(東レ製)(相対粘度1.44、長径3mm、短径2mm、長さ3mmの楕円柱状粒体)以下PBTと称す。
【0039】
成分(B)ケイ酸金属塩系充填材:タルク、”ミクロンホワイト”#5000A(林化成製)、板状、平均粒径4.1μm。
【0040】
成分(C)酸化チタン:ルチル型酸化チタン、”タイペーク”CR63(石原産業製)。
【0041】
成分(D)有機臭素化合物:ポリペンタブロモベンジルアクリレート、”FR1025”(デッド・シー・ブロミン社製)以下PBB−PAと称す。
【0042】
成分(E)アンチモン化合物:三酸化アンチモン、”PATOX−M”(日本精鉱製)。
【0043】
成分(F)繊維状補強材:ガラス繊維、”ガラスチョップドストランド”3J948(日東紡績製)、平均繊維長3.0mm、平均繊維径10μm。
【0044】
ウォラステナイト:”WICROLL 10”(キンセイマテック製)、中心粒径4.0−4.5μm。
【0045】
酸化防止剤:▲1▼ヒンダードフェノール系酸化防止剤、”TTHP”(東レファインケミカル製)、▲2▼チオエーテル系酸化防止剤、”アデカスタブ”AO−412S(旭電化製)。
【0046】
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、”サイアソーブ”UV5411(サイテックインダストリーズインク製)。
【0047】
実施例及び比較例の評価方法を以下に示す。
【0048】
耐トラッキング性試験は角板成形品(80×80×3mm厚)を用いて国際電気標準会議(IEC)に準拠して、比較トラッキング指数を測定した。
【0049】
引張試験はASTM Type1ダンベルを用いてASTM−D638に準拠して測定を行った。曲げ試験はASTM−D790に準拠し、測定を行った。
【0050】
難燃性は棒状の試験片(125.0×13.0×0.72mm厚)を使用しUL94に準拠して測定した。
【0051】
耐候性はスガ試験機製フェードメータを使用し、試験片(50×50×1mm厚)に紫外線を150時間照射した。紫外線照射後試験片をカラーコンピュータを使用し、紫外線照射前試験片からの変色値△Eを測定した。
実施例1〜3
表1に示す重量部の各成分をスクリュー径57mmΦの二軸押出機を用いて、バレル設定温度260℃、スクリュー回転数200rpmで押出し、ペレットを製造した。このペレットから各種物性測定用の試験片をシリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で射出成形し、以下の試験を行った。得られた組成物は何れも高い難燃性、耐トラッキング性、耐候性を有する材料であった。
【0052】
比較例1〜4
比較例の配合処方並びに評価結果を、表1に示す。
比較例1では、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(C)酸化チタン8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は難燃性、耐候性が良好なものの耐トラッキング性が不十分であった。
また、比較例2で(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同様に製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は難燃性、耐トラッキング性は良好なものの、耐候性が不十分であった。
また、比較例3で(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(C)酸化チタン8重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、耐候性は良好なものの、難燃性が不十分であった。
【0053】
比較例4で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、(C)酸化チタン8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え、実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、耐候性は良好なものの、難燃性が不十分であった。
【0054】
比較例5で、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に(B)ケイ酸金属塩系充填材30重量部、ウォラステナイト8重量部、(D)有機臭素化合物13重量部、(E)アンチモン化合物6重量部、(F)繊維状補強材15重量部を加え実施例と同じ方法で製造かつ評価した。その結果、得られた組成物は耐トラッキング性、難燃性は良好なものの、耐候性が不十分であった。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
上述したように、本発明のポリエステル樹脂組成物により、良好な難燃性と耐トラッキング性、高度な耐候性を備えた成形品を得ることができる。しかも機械的特性、耐熱性、成形性、および成形品外観が均衡して優れた熱可塑性ポリエステル樹脂組成物に関するもので、特に電気・電子部品などの配線部品材料として有用である。
Claims (10)
- (A)熱可塑性ポリエステル樹脂、(B)ケイ酸金属塩系充填材、(C)酸化チタン、(D)有機臭素化合物、および(E)アンチモン化合物を含有してなるポリエステル樹脂組成物。
- (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100重量部に対して、(B)ケイ酸金属塩系充填材1〜100重量部、(C)酸化チタン1〜30重量部、(D)有機臭素化合物1〜60重量部、および(E)アンチモン化合物1〜50重量部を含有してなる請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
- さらに(F)繊維状補強材を(A)ポリエステル樹脂組成物100重量部に対して1〜100重量部含有してなる請求項1または2記載のポリエステル樹脂組成物。
- (F)繊維状補強材がガラス繊維である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- (B)ケイ酸金属塩系充填剤がタルクである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- (D)有機臭素化合物がポリペンタブロモベンジルアクリレートである請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- 耐電圧部品に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- IECに準拠して測定した比較トラッキング指数が600V以上である請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
- 紫外線フェードメーターで150時間照射した際、カラーコンピュータで測定した変色値△Eが2.0以下である請求項4記載のポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか記載のポリエステル樹脂組成物からなる耐電圧部品。
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