JPH10291422A - 四輪駆動車のトランスファ固定装置 - Google Patents

四輪駆動車のトランスファ固定装置

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JPH10291422A
JPH10291422A JP10416497A JP10416497A JPH10291422A JP H10291422 A JPH10291422 A JP H10291422A JP 10416497 A JP10416497 A JP 10416497A JP 10416497 A JP10416497 A JP 10416497A JP H10291422 A JPH10291422 A JP H10291422A
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Kunio Morisawa
邦夫 森沢
Shozo Okuda
祥三 奥田
Ikutomo Tsuchiya
郁智 土屋
Yasuo Sato
康夫 佐藤
Hiroshi Ozaki
宏 尾崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体に伝達される振動を一層低減させること
ができる四輪駆動車のトランスファ固定装置を得る。 【解決手段】 トランスファ28の振動し易い部分すな
わちトランスアクスル26に連結された部分から所定距
離離間した先端部40に設けられた固定部42を、重量
が大きい横置きエンジン24を車体に固定するために剛
性が十分に大きくされたリヤエンジンマウント18のエ
ンジン側部材44の中間位置50に固定されるために上
記横置きエンジン24と上記トランスファ28との相対
的な振動が好適に抑制されるとともに、上記先端部40
がそのエンジン側部材44に直接支えられることによっ
て、上記リヤエンジンマウント18のインシュレータ4
8が吸収すべき振動モードが単純且つ明確にされる結
果、上記リヤエンジンマウント18の防振特性のチュー
ニングを容易且つ十分に行なえるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動車のトランス
ファを固定するトランスファ固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】四輪駆動車のトランスファを固定するト
ランスファ固定装置が従来より知られている。たとえ
ば、公開実用新案公報昭和62年第189231号に記
載されたトランスファ固定装置はその一例である。図9
と図10とに車両上方および車両後方から見た図をそれ
ぞれ示すように、上記公報に記載の四輪駆動車の駆動力
伝達装置200は、車両前方に配設された横置きエンジ
ン204と、その横置きエンジン204に車両側方から
連結されたトランスアクスル206と、そのトランスア
クスル206に車両側方から連結されて上記横置きエン
ジン204の車両後方側に配設されたトランスファ20
8とを含んでおり、上記横置きエンジン204と上記ト
ランスアクスル206とは、図11に示すエンジンマウ
ント210のような固定装置を介して図示しない車体に
固定されている。
【0003】上記エンジンマウント210は、上記横置
きエンジン204に連結されるエンジン側部材212
と、車体に連結される車体側部材214と、それら二つ
の部材の間に設けられてそれらの微小な相対移動を許容
するゴム製のインシュレータ216とを含んでいる。上
記横置きエンジン204および上記トランスアクスル2
06は、定在的振動波である図9の車両前後方向の振動
モードaおよび図10の車両上下方向の振動モードbに
示すように振動するが、一般に、上記エンジンマウント
210のような固定装置の防振特性や取付位置が上記振
動モードaおよびbの振幅を共に抑制するように設定さ
れる。
【0004】一方、上記トランスファ208は、定在的
振動波である図9の車両前後方向の振動モードcおよび
図10の車両上下方向の振動モードdに示すように振動
するが、この振動を抑制するために、上記トランスファ
208の中央部220とその中央部220よりも上記ト
ランスアクスル206から遠ざかる側であって外形が小
さいために上記横置きエンジン204からの距離が大き
い先端部222とが、トランスファ固定装置226を構
成する二つのスチフナ228および230によりそれぞ
れ上記横置きエンジン204に固定されている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】しかしながら、上記トランス
ファ208の振動の振幅が大きい部位である上記先端部
222を上記横置きエンジン204に固定する上記スチ
フナ230では、それら先端部222と横置きエンジン
204との距離が大きいために相互の結合剛性が十分に
得られにくいので、上記トランスファ208の先端部2
22と上記横置きエンジン204とが相対的に振動し易
い状況にある。この相対的な振動は上記横置きエンジン
204を介して前記エンジンマウント210および車体
に伝達されるので、車体には、上記振動モードaおよび
bで示した振動と、その振動とは振動数や位相が一般に
異なる上記先端部222と上記横置きエンジン204と
の相対的な振動とを重ね合わせた複雑な振動が伝達され
ることになる。このため、このような複雑な振動を上記
エンジンマウント210の防振特性のチューニングによ
って共に十分に減衰させることは困難であるため、車体
に伝達される振動を十分に低減させることができなかっ
た。たとえば、形状や材質を変化させることで静的およ
び動的ばね定数を設定し、上記ゴム製のインシュレータ
216の共振振動数を上記重ね合わされた互いに振動数
が異なる二種の振動のいずれか一方の振動数に一致さ
せ、そのインシュレータ216の共振振動数と振動数が
一致した振動を上記インシュレータ216による吸収に
よって減衰させることは比較的容易に行ない得るが、振
動数が異なる二種の振動をこのような共振振動数の調整
に基づく防振特性のチューニングによって共に十分に減
衰させることは一般に困難なことである。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであり、その目的とするところは、車体に伝達さ
れる振動を一層低減させることができる四輪駆動車のト
ランスファ固定装置を得るところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、車体側に固定される
車体側部材と、原動機側に固定される原動機側部材と、
それら車体側部材および原動機側部材の間に設けられて
それらの相対振動を許容するインシュレータとを備えた
原動機用マウントを介して車体に固定された原動機と、
該原動機に連結されたトランスアクスルと、該トランス
アクスルに連結されたトランスファとを含む四輪駆動車
の前記トランスファを固定するトランスファ固定装置に
おいて、前記トランスファの前記トランスアクスルに連
結された部分から所定距離離間した部分を前記原動機用
マウントの原動機側部材に固定したことにある。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、上記トランスファの振
動し易い部分すなわち上記トランスアクスルに連結され
た部分から所定距離離間した部分を、重量が大きい上記
原動機を車体に固定するために本来的に剛性が十分に大
きくされた上記原動機用マウントの原動機側部材に固定
したことから、上記原動機と上記トランスファとの間の
結合剛性が高められて相対的な振動が生じにくくなり、
且つトランスファが原動機側部材に直接連結されてそれ
に支えられることにより、上記原動機用マウントが吸収
すべき振動モードが単純化および明確化されるので、上
記原動機用マウントの防振特性のチューニングによって
上記原動機の振動を容易に且つ十分に減衰させることが
できる。その結果、車内の静粛性を容易に向上させるこ
とができる。
【0009】また、上記原動機を車体に固定する上記原
動機用マウントが上記トランスファ固定装置としても機
能するようになることから、トランスファを固定する装
置が原動機用マウントとは別に設けられる場合に比し
て、車両の重量や製造コストを抑えることができる利点
がある。
【0010】
【発明の他の態様】ここで、好適には、上記トランスフ
ァの前記トランスアクスルに連結された部分から所定距
離離間した部分は、上記トランスファの定在的振動波を
示す振動モードの振幅が最大の位置の近傍の部分とされ
る。このようにすれば、上記トランスファが、その振動
モードの振幅が最大の位置の近傍において前記原動機側
部材に固定されることになるので、振動モードの振幅が
比較的小さい位置において上記原動機側部材に固定され
る場合に比較して上記トランスファの振動をより好適に
抑制できる利点がある。
【0011】また、好適には、上記トランスファが、そ
の内部に両端部が軸受を介して回転可能に支持される円
筒状の部材である第1ギヤ部材と、左右1対の駆動輪の
一方に接続され且つ上記第1ギヤ部材に中心軸が一致さ
せられた状態で貫通させられ、さらに上記第1ギヤ部材
の上記一方の駆動輪側の端部が支持される位置よりも上
記一方の駆動輪側の位置において上記トランスファの内
部に軸受を介して支持される車軸とを含むようにされる
とともに、上記トランスファの上記トランスアクスルに
連結された部分から所定距離離間した部分の位置が、上
記車軸が軸受を介して支持される位置の近傍とされる。
このようにすれば、上記車軸が上記トランスファの内部
において軸受を介して支持される位置が、その車軸に接
続される一方の駆動輪に近づけられることから、上記車
軸に作用する曲げ応力を抑制することができるので、上
記車軸の外径、延いてはその車軸を支持する軸受の外径
を小さくすることができ、さらには上記トランスファの
上記車軸が軸受を介して支持される位置の近傍すなわち
上記トランスファの上記トランスアクスルに連結された
部分から所定距離離間した部分の外形を小型化できる。
したがって、上記原動機側部材の断面形状を、上記小型
化された部分が小さくなった分だけ大きくすることがで
きるので、上記原動機側部材の曲げ剛性、延いては上記
トランスファの取付剛性をより好適に確保できる利点が
ある。たとえば、上記原動機側部材が上記小型化された
部分の上側に配設される場合は、上記原動機側部材の断
面形状を下側へ大きくすることができることから、上記
原動機側部材の曲げ剛性を向上させることができるの
で、上記トランスファの取付剛性をより好適に確保でき
ることになる。
【0012】また、好適には、上記原動機側部材が上記
トランスファの上記トランスアクスルに連結された部分
から所定距離離間した部分の上方に配設され、その原動
機側部材の下側には、上記トランスファの上記トランス
アクスルに連結された部分から所定距離離間した部分の
外周面に対向し且つその外周面の上側からわずかに離間
して位置する湾曲面が形成される。このようにすれば、
上記トランスファの上記トランスアクスルに連結された
部分から所定距離離間した部分を跨ぐように配設される
上記原動機側部材の上下方向の厚みを、上記トランスフ
ァの上記トランスアクスルに連結された部分から所定距
離離間した部分に干渉することなく好適に大きくするこ
とができるので、上記原動機側部材の曲げ剛性、延いて
は上記トランスファの取付剛性を十分に確保できる利点
がある。
【0013】また、好適には、上記原動機側部材が上記
トランスファの上記トランスアクスルに連結された部分
から所定距離離間した部分の上方に配設され、その原動
機側部材の両端部には、上記トランスファの上記トラン
スアクスルに連結された部分から所定距離離間した部分
の外周の下側をその外周の下側からわずかに離間した状
態で、その部分を原動機側部材と共に囲む湾曲した補強
部材の両端部がそれぞれ一体的に連結される。このよう
にすれば、上記トランスファの上記トランスアクスルに
連結された部分から所定距離離間した部分に干渉するこ
となく上下方向の厚みを好適に大きくすることができる
上記補強部材によって、上記原動機側部材の曲げ剛性、
延いては上記トランスファの取付剛性を一層十分に確保
できる利点がある。
【0014】また、好適には、上記トランスファ固定装
置は、上記トランスファの上記トランスアクスルに連結
された部分から所定距離離間した部分に設けられた第1
固定部と、上記原動機側部材の中間位置に備えられた第
2固定部と、それら第1固定部と第2固定部との両方に
それぞれボルトにより連結される連結部材とを含むよう
にされる。一般に、ボルトによる連結の際には、ボルト
の径よりもそのボルトが貫通させられる穴の径の方が大
きくされることから、その穴の径がボルトの径より大き
い分だけ、そのボルトにより連結される二つの部分の相
対的な位置のずれが許容される。したがって、上述のよ
うにすれば、上記第1固定部と上記連結部材とがボルト
を用いて連結される箇所と、上記第2固定部と上記連結
部材とがボルトを用いて連結される箇所との二箇所にお
いて、上記相対的な位置のずれが許容されるので、上記
連結部材が用いられない場合たとえば上記トランスファ
の第1固定部と上記原動機側部材の第2固定部とが直接
ボルトにより連結される場合等のように、上記トランス
ファと前記原動機との相対的な位置のずれを許容できる
箇所が一箇所だけである場合に比して、組付誤差等に起
因する上記トランスファと上記原動機との相対的な位置
の変動を吸収させることができ、上記トランスファの組
付作業を容易にすることができるという利点がある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例であるト
ランスファ固定装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】図1は、四輪駆動車の駆動力伝達装置10
が、フロントエンジンマウント12、レフトエンジンマ
ウント14、ライトエンジンマウント16およびリヤエ
ンジンマウント18を介して図示しない車体のメインフ
レームやそのメインフレームの車両前方に図示しない防
振ゴムを介して固定されるサブフレーム20に固定され
る状況の一例を示す斜視図であり、図2は、上記駆動力
伝達装置10と、原動機用マウントである上記リヤエン
ジンマウント18と、上記サブフレーム20の車両後方
側の部分との相対的な配置を示す平面図である。
【0017】上記駆動力伝達装置10は、図2に示すよ
うに、出力軸が車両左右方向すなわち車両の幅方向或い
は横方向となるように配設された原動機である横置きエ
ンジン24と、その横置きエンジンの車両左側の端部に
車両左側方から連結されたトランスアクスル26と、上
記横置きエンジン24の車両後方に隣接し且つその横置
きエンジン24の長手方向と略平行な方向に上記トラン
スアクスル26から突き出すように配設されたトランス
ファ28とを含んで、上記横置きエンジン24の出力
を、上記トランスアクスル26および上記トランスファ
28からそれぞれ車両左右方向に突き出た左右前輪の車
軸32および34等を介して図示しない左右の前輪に伝
達するとともに、上記トランスファ28から車両後方に
突き出た連結部36を介して図示しないプロペラシャフ
ト、図示しない後輪デファレンシャルギヤ、図示しない
後輪の車軸等を介して図示しない左右の後輪にも伝達す
る。
【0018】上記駆動力伝達装置10の前記サブフレー
ム20への固定は、図1に示すように、上記横置きエン
ジン24が前記フロントエンジンマウント12およびリ
ヤエンジンマウント18を介してそれぞれ上記サブフレ
ーム20の車両前方側および車両後方側の部分に固定さ
れるとともに、上記トランスアクスル26が前記レフト
エンジンマウント14を介して上記サブフレーム20の
車両左側の部分に固定されることによって成されてい
る。また、上記駆動力伝達装置10は、上記横置きエン
ジン24が前記ライトエンジンマウント16を介して前
記図示しないメインフレームの車両右側の部分に固定さ
れることによって上記メインフレームにも固定されてい
る。
【0019】上記トランスファ28は、前述のように前
記トランスアクスル26に連結されるとともに、図3に
も示すように、そのトランスアクスル26に連結された
基部から所定距離離間した部分であってその基部よりも
外径が小さいために上記横置きエンジン24からの距離
が上記貴部に比較して大きい先端部40の上側に備えら
れた固定部42が、上記リヤエンジンマウント18のエ
ンジン側部材44に二本のボルト45を用いて固定され
ることによって、そのエンジン側部材44に直接支えら
れている。上記固定部42は、図10および図11に示
した前記従来のトランスファ108の振動モードcおよ
びdと同様の本実施例のトランスファ28の振動モード
の振幅が最大の位置の近傍に備えられている。
【0020】上記リヤエンジンマウント18は、図2の
I−I視断面図である図4にも示すように、上記横置き
エンジン24の車両後方側に面した部分に車両前後方向
に略平行な状態に固定されて上記固定部42の上方を通
る長手状の部材である原動機側部材すなわち上記エンジ
ン側部材44と、上記サブフレーム20上の車両後方側
の部分に固定された車体側部材すなわちフレーム側部材
46と、それらエンジン側部材44およびフレーム側部
材46の間に設けられ、それらの相対的な振動あるいは
微小な相対移動を許容する防振装置すなわちゴム製のイ
ンシュレータ48とを含んでおり、重量が大きい上記横
置きエンジン24を支持して車体に固定するために、上
記エンジン側部材44およびフレーム側部材46は、そ
の剛性が十分に大きくされている。
【0021】上記トランスファ28は、上記固定部42
が上記剛性が大きくされたエンジン側部材44の中間位
置50に固定されることによって、上記横置きエンジン
24との相対的な振動が好適に抑制されるとともに、上
記サブフレーム20に上記インシュレータ48およびフ
レーム側部材46を介して固定される上記エンジン側部
材44に直接支えられることによって、上記インシュレ
ータ48が吸収すべき振動モードが単純且つ明確にされ
る。また、上記固定部42が固定される中間位置50は
上記エンジン側部材44の横置きエンジン24に固定さ
れる部分に比較して上記インシュレータ48に近い位置
にあって上記トランスファ28がエンジン側部材44に
直接支えられることから、トランスファ28が横置きエ
ンジン24を介して支えられる場合に比較して、トラン
スファ28の固有の別の振動が生じて外乱となることが
好適に抑制されるため、横置きエンジン24を固定する
ための前記リヤエンジンマウント18、前記フロントエ
ンジンマウント12等の制振特性のチューニングも容易
になる。本実施例においては、上記トランスファ28の
先端部40に備えられた固定部42と、その固定部42
が固定される上記エンジン側部材44を含む上記リヤエ
ンジンマウント18と、上記二本のボルト45とによっ
て、トランスファ固定装置52が構成されているのであ
る。
【0022】上記エンジン側部材44の中間位置50の
下側には、上記トランスファ28の先端部40の外周面
に対向し且つその外周面の上側からわずかに離間して位
置する湾曲面54が形成されることによって、上記先端
部40を跨ぐように配設されている。その結果、上記エ
ンジン側部材44の下側の大きさが上記トランスファ2
8の先端部40に干渉することなくその両端側ほど大き
くされており、上記エンジン側部材44の剛性が全体と
して十分に確保されているので、上記中間位置50に上
記固定部42を介して固定される上記トランスファ28
の取付剛性も十分に確保されている。
【0023】上記インシュレータ48はよく知られた通
常の防振用のゴムであり、その形状や材質を変更して静
的および動的ばね定数を設定することによって、上記エ
ンジン側部材44と上記フレーム側部材46との間の防
振特性すなわち上記横置きエンジン24とサブフレーム
20との間の防振特性のチューニングを行なうことがで
きる。なお、この防振特性のチューニングにおいては、
上記リヤエンジンマウント18の上記サブフレーム20
上における位置が変更される場合もある。本実施例のト
ランスファ固定装置52が前述のように上記横置きエン
ジン24と上記トランスファ28との相対的な振動を好
適に抑制することができることから、上記横置きエンジ
ン24と上記サブフレーム20との間の振動モードが単
純化され、その単純な振動を抑制するための上記防振特
性のチューニングも容易になるので、通常はその防振効
果も大きくなる。
【0024】つぎに、上記トランスファ28の前記先端
部40の外径が一層小さくされている構造を詳細に説明
する。図5は、上記トランスファ28の内部を拡大して
示す断面図であり、図6は、図5におけるJ−J視断面
図である。
【0025】上記トランスファ28は、前記トランス
アクスル26のトランスアクスルケース60の組合せ面
62に密着させられる組合せ面64を備えて上記トラン
スアクスル26の車両右方側に接続されるとともに、車
両後方側に車両前後方向に延びる貫通穴を有する長手状
のエクステンションハウジング68が取り付けられ、且
つ車両前方側へ開く開口部70を有するトランスファケ
ース72と、そのトランスファケース72の開口部7
0の周囲に形成された組合せ面74に密着させられるこ
とによりその開口部70を塞ぐトランスファケースカバ
ー76と、一方の端部80および他方の端部82にお
いてころがり軸受84および86を介して上記トランス
ファケース72に回転可能に支持された概して円筒状の
リングギヤマウントケース90と、このリングギヤマウ
ントケース90の軸方向の中間部外周にボルトにより固
定されたハイポイドギヤであるリングギヤ92とを含む
第1ギヤ部材94と、車両前方側の一方の端部に上記
リングギヤ92と噛み合わされるハイポイドギヤである
ピニオンギヤ98が形成されるとともに、車両後方側の
他方の端部100が、前記連結部36を車両後方側に備
えて図示しないプロペラシャフトと連結させられる継手
部材102とスプライン嵌合させられた第2ギヤ部材1
04とを含むものである。
【0026】上記第2ギヤ部材104は、車両前方側す
なわちリングギヤ92側の端部の2箇所において2つの
ころがり軸受110および112を介して回転可能に支
持されて上記トランスファケース72内に装着されると
ともに、車両後方側の端部100が継手部材102およ
びすべり軸受116を介して上記エクステンションハウ
ジング68に支持されている。なお、上記ころがり軸受
84、86、110および112は、外輪とそれ以外の
部分とが分離可能な円すいころ軸受である。
【0027】前記右前輪の車軸34は、その右前輪側の
端部118が車軸用軸受たるころがり軸受120を介し
て上記トランスファケース72に回転可能な状態で支持
されるとともに、前記トランスアクスル26側の端部1
22が車軸用軸受たるころがり軸受124を介して前記
トランスアクスル26に内蔵された図示しない前輪デフ
ァレンシャルギヤ装置のデファレンシャルケースの車両
右側に一体的に設けられた円筒状部材126の内周面に
相対回転可能に支持されている。なお、上記車軸34の
端部118を支持する上記ころがり軸受120や前記リ
ングギヤマウントケース90の一方の端部80を支持す
る上記ころがり軸受84は、前記先端部40の内部に設
けられている。
【0028】上記リングギヤマウントケース90の他方
の端部82は、前記ころがり軸受86が嵌め着けられて
いる位置よりも先端側の外周面において、上記円筒状部
材126の先端部の内周面とスプライン嵌合させられて
いる。このスプライン嵌合により、前記横置きエンジン
24の出力が、上記図示しない前輪デファレンシャルギ
ヤ装置のデファレンシャルケース、前記第1ギヤ部材9
4、前記第2ギヤ部材104、前記継手部材102、図
示しないプロペラシャフト、前輪と後輪との回転数の違
いを許容する差動装置としての図示しないビスカスカッ
プリング、図示しない後輪デファレンシャルギヤ装置等
を介して後輪にも伝達される。
【0029】上記リングギヤマウントケース90の一方
の端部80に嵌め着けられたころがり軸受84は、上記
トランスファケース72に上記開口部70を通して車両
前方側から取り付けられる固定部材すなわち軸受キャッ
プ130とトランスファケース72との間に挟持されて
いる。上記トランスファケース72にころがり軸受84
に向かって形成された円環状の受面132と上記ころが
り軸受84の外輪との間の受面132側にリング状のス
ペーサ136が、ころがり軸受84側にシム138がそ
れぞれ嵌め入れられている。上記リングギヤマウントケ
ース90の他方の端部82に嵌め着けられたころがり軸
受86は、上記トランスファケース72の前記トランス
アクスル26側に設けられた段付穴140内に、リング
状のシム142とともに嵌め入れられている。上記スペ
ーサ136、シム138およびシム142の厚さを設定
することにより、上記2つのころがり軸受84および8
6の予圧が適正に調整される。
【0030】上記軸受キャップ130は、図6にも示す
ように、前記組合せ面74と平行に上記トランスファケ
ース72の内部に形成された取付面144に2本のボル
ト146によって取り付けられるとともに、上記ころが
り軸受84の外周面と略同じ曲率の円筒状の内周面の一
部を形成する凹曲面150が形成されたものである。上
記トランスファケース72には、上記凹曲面150と対
を成し、凹曲面150とともに上記ころがり軸受84の
外周面と略同じ曲率の円筒の内周面を構成する凹曲面1
52が形成されている。これらの凹曲面150および1
52により構成される円筒の内周面によって、上記ころ
がり軸受84が上記軸受キャップ130が上記トランス
ファケース72に取り付けられることによりトランスフ
ァケース72に強固に固定される。
【0031】前記第1ギヤ部材94は、その中心軸上
に、前記図示しない右前輪に接続される側の端部118
において上記トランスファケース72に回転可能に支持
される車軸34が貫通させられる円筒状の部材であり、
その車軸34は、上記第1ギヤ部材94の前記一方のこ
ろがり軸受84を介して上記トランスファケース72に
支持される位置よりも、車両右側の位置において上記こ
ろがり軸受120を介して上記トランスファケース72
に回転可能に支持されている。したがって、上記車軸3
4が上記トランスファケース72に支持される位置をそ
の車軸34に接続される駆動輪に近づけることができる
ことから、上記車軸34に作用する曲げ応力を抑制する
ことができるので、上記車軸34の外径、延いては上記
車軸34を支持するころがり軸受120や、第1ギヤ部
材94の端部80およびその端部80を支持するころが
り軸受84の外径等を小さくすることができ、前記先端
部40の外径を小さくすることができるのである。上記
先端部40の外径が小さくされると、その先端部40を
跨ぐように配設された前記エンジン側部材44の上下方
向の厚みを大きくすることができ、上記エンジン側部材
44の剛性、延いては上記トランスファ28の取付剛性
を十分に確保することができるようになる。
【0032】このように、本発明のトランスファ固定装
置52によれば、上記トランスファ28の振動し易い部
分すなわち上記先端部40を、重量が大きい上記横置き
エンジン24を前記サブフレーム20を介して車体に固
定するために本来的に剛性が十分に大きくされた上記リ
ヤエンジンマウント18のエンジン側部材44に固定し
たことから、上記横置きエンジン24と上記トランスフ
ァ28との間の結合剛性が高められて相対的な振動が生
じにくくなり、且つトランスファ28がエンジン側部材
44に直接連結されてそれに支えられることにより、上
記リヤエンジンマウント18が吸収すべき振動モードが
単純化および明確化されるので、上記リヤエンジンマウ
ント18の防振特性のチューニングによって上記横置き
エンジン24の振動を容易に且つ十分に減衰させること
ができる。その結果、車内の静粛性を容易に向上させる
ことができる。
【0033】また、上記横置きエンジン24を上記サブ
フレーム20を介して車体に固定する上記リヤエンジン
マウント18が上記トランスファ固定装置52としても
機能するようになることから、トランスファを固定する
装置が原動機用マウントとは別に設けられる場合に比し
て、車両の重量や製造コストを抑えることができる利点
がある。
【0034】また、上記トランスファ28の前記トラン
スアクスル26に連結された部分から所定距離離間した
部分すなわち前記先端部40は、上記トランスファ28
の定在的振動波を示す振動モードの振幅が最大の位置の
近傍に位置しているので、上記トランスファ28が、そ
の振動モードの振幅が最大の位置の近傍において上記エ
ンジン側部材44に固定されることになるので、振動モ
ードの振幅が比較的小さい位置において上記エンジン側
部材44に固定される場合に比較して上記トランスファ
の振動をより好適に抑制できる利点がある。
【0035】また、上記トランスファ28が、その内部
に前記一方の端部80および他方の端部82がそれぞれ
前記ころがり軸受84および86を介して回転可能に支
持される円筒状の部材である前記第1ギヤ部材94と、
右前輪に接続され且つ上記第1ギヤ部材94に中心軸が
一致させられた状態で貫通させられ、さらに上記第1ギ
ヤ部材94の上記一方の端部80が支持される位置より
も上記右前輪側の位置において上記トランスファ28の
内部にころがり軸受120を介して支持される前記車軸
34とを含むようにされるとともに、上記先端部40の
位置が、上記車軸34が上記ころがり軸受120を介し
て支持される位置の近傍とされている。したがって、上
記車軸34が上記トランスファ28の内部において上記
ころがり軸受120を介して支持される位置が、その車
軸34に接続される右前輪に近づけられることから、上
記車軸34に作用する曲げ応力を抑制することができる
ので、上記車軸34の外径、延いてはその車軸34を支
持する上記ころがり軸受120の外径を小さくすること
ができ、さらには上記トランスファ28の上記車軸34
が上記ころがり軸受120を介して支持される位置の近
傍すなわち上記先端部40の外形を小型化できる。その
ため、上記エンジン側部材44の断面形状を、上記先端
部40の外形が小型化された分だけ大きくすることがで
きるので、上記エンジン側部材44の曲げ剛性、延いて
は上記トランスファ28の取付剛性をより好適に確保で
きる利点がある。上記エンジン側部材44は上記先端部
40の上側に配設されており、その断面形状を下側へ大
きくできることから、上記エンジン側部材44の曲げ剛
性を向上させることができるので、上記トランスファの
取付剛性をより好適に確保できることになる。
【0036】また、上記エンジン側部材44が上記トラ
ンスファ28の上記トランスアクスル26に連結された
部分から所定距離離間した部分すなわち上記先端部40
の上方に配設され、そのエンジン側部材44の下側に
は、上記先端部40の外周面に対向し且つその外周面の
上側からわずかに離間して位置する湾曲面54が形成さ
れていることから、上記先端部40の外周の上側を跨ぐ
ように配設された上記エンジン側部材44の上下方向の
厚みを、上記先端部40に干渉することなく好適に大き
くすることができるので、上記エンジン側部材44の曲
げ剛性、延いては上記トランスファの取付剛性を十分に
確保できる利点がある。
【0037】つぎに、本発明の別の実施例を図面に基づ
いて説明する。なお、以下の説明において前述の実施例
と共通する部分については同じ符号を付して説明を省略
する。
【0038】図7に示すように、本実施例のリヤエンジ
ンマウント160は、前述の実施例のエンジン側部材4
4と同様の部材の両端部に、上記先端部40の外周の下
側をその外周の下側からわずかに離間した状態で囲む湾
曲面162が上側に形成されて全体として湾曲した形状
の補強部材164の両端部がそれぞれ一体的に連結され
たエンジン側部材166と、前述の実施例のリヤエンジ
ンマウント18と同じフレーム側部材46およびインシ
ュレータ48とを含んでいる。
【0039】その結果、上記エンジン側部材164の前
記中間位置50の下側には、前記湾曲面54と上記湾曲
面162とが内周面を構成する貫通穴168が形成さ
れ、上記先端部40の前記固定部42は、その貫通穴1
68に上記先端部40が貫通させられた状態で上記エン
ジン側部材166の前記中間位置50に固定されてい
る。本実施例においては、上記トランスファ28の先端
部40に備えられた固定部42と、その固定部42が固
定される上記エンジン側部材166を含む上記リヤエン
ジンマウント160と、上記二本のボルト45とによっ
て、トランスファ固定装置170が構成されているので
ある。
【0040】このように、本発明のトランスファ固定装
置170によれば、上記トランスファ28の振動し易い
部分すなわち上記先端部40を、重量が大きい前記横置
きエンジン24を前記サブフレーム20を介して車体に
固定するために本来的に剛性が十分に大きくされた上記
エンジン側部材166に固定したことから、上記横置き
エンジン24と上記トランスファ28との間の結合剛性
が高められて相対的な振動が生じにくくなり、且つトラ
ンスファ28がエンジン側部材166に直接連結されて
それに支えられることにより、上記リヤエンジンマウン
ト160が吸収すべき振動モードが単純化および明確化
されるので、上記リヤエンジンマウント160の防振特
性のチューニングによって上記横置きエンジン24の振
動を容易に且つ十分に減衰させることができる。その結
果、車内の静粛性を容易に向上させることができる。
【0041】また、上記横置きエンジン24を上記サブ
フレーム20を介して車体に固定する上記リヤエンジン
マウント160が上記トランスファ固定装置170とし
ても機能するようになることから、トランスファを固定
する装置が原動機用マウントとは別に設けられる場合に
比して、車両の重量や製造コストを抑えることができる
利点がある。
【0042】また、上記トランスファ28の前記トラン
スアクスル26に連結された部分から所定距離離間した
部分すなわち上記先端部40は、上記トランスファ28
の定在的振動波を示す振動モードの振幅が最大の位置の
近傍の部分とされているので、上記トランスファ28
が、その振動モードの振幅が最大の位置の近傍において
上記エンジン側部材166に固定されることになるの
で、振動モードの振幅が比較的小さい位置において上記
原動機側部材に固定される場合に比較して上記トランス
ファ28の振動をより好適に抑制できる利点がある。
【0043】また、上記トランスファ28が、その内部
に両端部80および82が前記ころがり軸受84および
86を介して回転可能に支持される円筒状の部材である
前記第1ギヤ部材94と、右前輪に接続され且つ上記第
1ギヤ部材94に中心軸が一致させられた状態で貫通さ
せられ、さらに上記第1ギヤ部材94の上記右前輪側の
端部80が支持される位置よりも上記右前輪側の位置に
おいて上記トランスファ28の内部に前記ころがり軸受
120を介して支持される前記車軸34とを含むように
されるとともに、上記トランスファ28の上記トランス
アクスル26に連結された部分から所定距離離間した部
分すなわち上記先端部40の位置が、上記車軸34が上
記ころがり軸受120を介して支持される位置の近傍と
されている。したがって、上記車軸34が上記トランス
ファ28の内部において上記ころがり軸受120を介し
て支持される位置が、その車軸34に接続される上記右
前輪に近づけられることから、上記車軸34に作用する
曲げ応力を抑制することができるので、上記車軸34の
外径、延いてはその車軸34を支持する上記ころがり軸
受120の外径を小さくすることができ、さらには上記
トランスファ28の上記車軸34が上記ころがり軸受1
20を介して支持される位置の近傍すなわち上記トラン
スファ28の上記トランスアクスル26に連結された部
分から所定距離離間した部分である上記先端部40の外
形を小型化できる。そのため、上記エンジン側部材16
6の断面形状を、上記小型化された部分すなわち上記先
端部40が小さくなった分だけ大きくすることができる
ので、上記エンジン側部材166の曲げ剛性、延いては
上記トランスファ28の取付剛性をより好適に確保でき
る利点がある。本実施例のように、上記エンジン側部材
166が上記先端部40の上側に配設される場合は、上
記エンジン側部材166の断面形状を下側へ大きくする
ことができることから、上記エンジン側部材166の曲
げ剛性を向上させることができるので、上記トランスフ
ァ28の取付剛性をより好適に確保できることになる。
【0044】また、上記エンジン側部材166が上記ト
ランスファ28の上記トランスアクスル26に連結され
た部分から所定距離離間した部分すなわち上記先端部4
0の上方に配設され、そのエンジン側部材166の下側
には、上記先端部40の外周面に対向し且つその外周面
の上側からわずかに離間して位置する前記湾曲面54が
形成されているので、上記先端部40を跨ぐように配設
された上記エンジン側部材166の上下方向の厚みを、
上記先端部40に干渉することなく好適に大きくするこ
とができるので、上記エンジン側部材166の曲げ剛
性、延いては上記トランスファ28の取付剛性を十分に
確保できる利点がある。
【0045】また、上記エンジン側部材166が上記ト
ランスファ28の上記トランスアクスル26に連結され
た部分から所定距離離間した部分すなわち上記先端部4
0の上方に配設され、そのエンジン側部材166の両端
部には、上記トランスファ28の上記先端部40の外周
の下側をその外周の下側に接触しない程度に離間した状
態で、その部分をエンジン側部材166と共に囲む湾曲
した補強部材164の両端部がそれぞれ一体的に連結さ
れているので、上記トランスファ28の上記先端部40
に干渉することなく上下方向の厚みを好適に大きくする
ことができる上記補強部材164によって、上記エンジ
ン側部材166の曲げ剛性、延いては上記トランスファ
28の取付剛性を一層十分に確保できる利点がある。
【0046】つぎに、本発明のさらに別の実施例を図面
に基づいて説明する。図8に示すように、本実施例のリ
ヤエンジンマウント176は、図3、図4等に示した前
述の実施例のエンジン側部材44と同様の部材であって
その下側に形成された湾曲面54の一部に切欠178が
設けられたものであるエンジン側部材180と、前述の
実施例のリヤエンジンマウント18等と同じフレーム側
部材46およびインシュレータ48とを含んでいる。ま
た、本実施例のトランスファ28の先端部40には、上
記切欠178の内部に、その切欠178の内面からわず
かに離間した状態で収容される第1固定部すなわち固定
部182が形成されている。
【0047】上記先端部40に形成された固定部182
は、連結部材184を介して上記エンジン側部材180
の第2固定部すなわち中間位置50に固定される。上記
固定部182および中間位置50は、それぞれ二本ずつ
の前記ボルト45が螺合させられる二つの雌ねじ穴を備
えており、また、上記連結部材184は、それら合計四
つの雌ねじ穴に対応する四つの貫通穴を備えている。そ
して、上記固定部182の上記中間位置50への固定
は、上記合計四本のボルト45が上記連結部材184の
四つの貫通穴を通された後に上記固定部182および上
記中間位置50に備えられた各二つの雌ねじ穴にそれぞ
れ螺合されることによって成される。上記連結部材18
4に備えられる四つの貫通穴の内径は、上記ボルト45
を容易に貫通させることができるようにそのボルト45
の外径よりも、たとえば1〜2mm程度のわずかな値だ
け大きくされている。本実施例においては、上記トラン
スファ28の先端部40に備えられた固定部182と、
上記エンジン側部材180を含む上記リヤエンジンマウ
ント176と、それらを連結する上記連結部材184お
よび上記四本のボルト45とによって、トランスファ固
定装置186が構成されているのである。
【0048】このように、本発明のトランスファ固定装
置186によれば、上記トランスファ28の振動し易い
部分すなわち上記先端部40を、重量が大きい前記横置
きエンジン24を前記サブフレーム20を介して車体に
固定するために本来的に剛性が十分に大きくされた上記
エンジン側部材180に固定したことから、上記横置き
エンジン24と上記トランスファ28との間の結合剛性
が高められて相対的な振動が生じにくくなり、且つトラ
ンスファ28がエンジン側部材180に直接連結されて
それに支えられることにより、上記リヤエンジンマウン
ト176が吸収すべき振動モードが単純化および明確化
されるので、上記リヤエンジンマウント176の防振特
性のチューニングによって上記横置きエンジン24の振
動を容易に且つ十分に減衰させることができる。その結
果、車内の静粛性を容易に向上させることができる。
【0049】また、上記横置きエンジン24を上記サブ
フレーム20を介して車体に固定する上記リヤエンジン
マウント176が上記トランスファ固定装置186とし
ても機能するようになることから、トランスファを固定
する装置が原動機用マウントとは別に設けられる場合に
比して、車両の重量や製造コストを抑えることができる
利点がある。
【0050】また、上記トランスファ28の上記トラン
スアクスル26に連結された部分から所定距離離間した
部分すなわち前記先端部40は、上記トランスファ28
の定在的振動波を示す振動モードの振幅が最大の位置の
近傍の部分とされているので、上記トランスファ28
が、その振動モードの振幅が最大の位置の近傍において
上記エンジン側部材180に固定されることになるの
で、振動モードの振幅が比較的小さい位置において上記
エンジン側部材180に固定される場合に比較して上記
トランスファ28の振動をより好適に抑制できる利点が
ある。
【0051】また、上記トランスファ28が、その内部
に前記両端部80および82が前記ころがり軸受84お
よび86を介して回転可能に支持される円筒状の部材で
ある前記第1ギヤ部材94と、前記右前輪に接続され且
つ上記第1ギヤ部材94に中心軸が一致させられた状態
で貫通させられ、さらに上記第1ギヤ部材94の上記右
前輪側の端部80が支持される位置よりも上記右前輪側
の位置において上記トランスファ28の内部に前記ころ
がり軸受120を介して支持される前記車軸34とを含
むようにされるとともに、上記トランスファ28の上記
先端部40の位置が、上記車軸34が上記ころがり軸受
120を介して支持される位置の近傍とされているの
で、上記車軸34が上記トランスファ28の内部におい
て上記ころがり軸受120を介して支持される位置が、
その車軸34に接続される上記右前輪に近づけられるこ
とから、上記車軸34に作用する曲げ応力を抑制するこ
とができるので、上記車軸34の外径、延いてはその車
軸34を支持する上記ころがり軸受120の外径を小さ
くすることができ、さらには上記トランスファ28の上
記車軸34が上記ころがり軸受120を介して支持され
る位置の近傍すなわち上記トランスファ28の上記先端
部40の外形を小型化できる。したがって、上記エンジ
ン側部材180の断面形状を、上記先端部40が小さく
なった分だけ大きくすることができるので、上記エンジ
ン側部材180の曲げ剛性、延いては上記トランスファ
28の取付剛性をより好適に確保できる利点がある。本
実施例のように、上記エンジン側部材180が上記小型
化された先端部40の上側に配設される場合は、上記エ
ンジン側部材180の断面形状を下側へ大きくすること
ができることから、上記エンジン側部材180の曲げ剛
性を向上させることができるので、上記トランスファ2
8の取付剛性をより好適に確保できることになる。
【0052】また、上記エンジン側部材180が上記ト
ランスファ28の上記トランスアクスル26に連結され
た部分から所定距離離間した部分すなわち上記先端部4
0の上方に配設され、そのエンジン側部材180の下側
には、上記先端部40の外周面に対向し且つその外周面
の上側からわずかに離間して位置する湾曲面54が形成
されることから、上記先端部40を跨ぐように配設され
る上記エンジン側部材180の上下方向の厚みを、上記
先端部40に干渉することなく好適に大きくすることが
できるので、上記エンジン側部材180の曲げ剛性、延
いては上記トランスファ28の取付剛性を十分に確保で
きる利点がある。
【0053】また、上記トランスファ固定装置186
は、上記トランスファ28の上記トランスアクスル26
に連結された部分から所定距離離間した部分すなわち上
記先端部40に設けられた前記固定部182と、上記エ
ンジン側部材180の中間位置50と、それら固定部1
82と中間位置50との両方にそれぞれ前記ボルト45
により連結される連結部材184とを含むようにされて
いる。一般に、ボルトによる連結の際には、ボルトの径
よりもそのボルトが貫通させられる穴の径の方が大きく
されることから、その穴の径がボルトの径より大きい分
だけ、そのボルトにより連結される二つの部分の相対的
な位置のずれが許容される。したがって、上述のように
すれば、上記固定部182と上記連結部材184とが上
記ボルト45を用いて連結される箇所と、上記中間位置
50と上記連結部材184とが上記ボルト45を用いて
連結される箇所との二箇所において、上記相対的な位置
のずれが許容されるので、上記連結部材184が用いら
れない場合たとえば上記トランスファ28の上記固定部
182に相当する部分と上記エンジン側部材180の上
記中間位置50に相当する部分とが直接上記ボルト45
により連結される場合等のように、上記トランスファと
前記原動機との相対的な位置のずれを許容できる箇所が
一箇所だけである場合に比して、組付誤差等に起因する
上記トランスファ28と上記横置きエンジン24との相
対的な位置の変動を吸収させることができ、上記トラン
スファ28の組付作業を容易にすることができるという
利点がある。
【0054】以上、本発明の実施例を図面に基づいて説
明したが、本発明は以下に示す態様でも実施できる。
【0055】たとえば、前述の実施例のインシュレータ
48の代わりに、そのインシュレータ48と同様のゴム
製のインシュレータと、内部に液体が封入された二つの
液室を有し且つそれらの間にオリフィスを内蔵してそれ
ら二つの液室間で上記液体の出入りを許容することによ
って、比較的振動数の低い振動を好適に抑制する液体封
入式防振装置とを含むよく知られた液体封入式インシュ
レータのような他の防振装置を設けてもよい。また、上
記二つの液室間の上記液体の流量を電気的に制御して抑
制する振動の振動数を変化させ得るよく知られた電子制
御装置付きの液体封入式インシュレータを用いてもよ
い。
【0056】また、前述の実施例のトランスファ28の
中央部が、図7および図8に示した前記従来のスチフナ
228と同様のスチフナを介して上記横置きエンジン2
4に固定されるようにしてもよい。このようにすれば、
上記トランスファ28を上記横置きエンジン24にさら
に大きい剛性で固定することができるので、上記横置き
エンジン24と上記トランスファ28との相対的な振動
をさらに好適に抑制できる利点がある。このようなスチ
フナは、上記トランスファ28が元々剛性が大きい前記
エンジン側部材44等に既に固定されているため、上記
従来のスチフナ228より剛性が小さくても、得られる
制振効果は大きくなる。
【0057】また、図8に示した前記エンジン側部材1
80の両端部に、図7に示した前記エンジン側部材16
6に一体的に接続された前記補強部材164と同様の補
強部材の両端部がそれぞれ接続されてもよい。このよう
にすれば、上記トランスファ28の組付けの容易性と、
上記横置きエンジン24と上記トランスファ28との相
対的な振動のより好適な抑制効果とを共に得ることがで
きるという利点がある。
【0058】その他、本発明はその主旨を逸脱しない範
囲において種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】四輪駆動車の駆動力伝達装置が、フロントエン
ジンマウント、リヤエンジンマウント等を介してサブフ
レームに固定される状況を示す斜視図である。
【図2】上記駆動力伝達装置と、上記リヤエンジンマウ
ントと、上記サブフレームの車両後方側の部分との相対
的な配置を示す平面図である。
【図3】上記駆動力伝達装置のトランスファが上記駆動
力伝達装置の横置きエンジンに本発明のトランスファ固
定装置によって固定される状況を拡大して示す斜視図で
ある。
【図4】図2のI−I視断面図である。
【図5】上記トランスファの内部構成を示す平面断面図
である。
【図6】図5のJ−J視断面図である。
【図7】本発明の別の実施例のトランスファ固定装置を
示す図4に相当する図である。
【図8】本発明のさらに別の実施例のトランスファ固定
装置を示す図4に相当する図である。
【図9】従来のトランスファ固定装置を示す平面図であ
る。
【図10】図9の従来のトランスファ固定装置の車両後
方視を示す図である。
【図11】従来の原動機用マウントの一例を示す図であ
る。
【符合の説明】
18:リヤエンジンマウント(原動機用マウント) 20:サブフレーム(フレーム) 24:横置きエンジン(原動機) 26:トランスアクスル 28:トランスファ 44、166、180:エンジン側部材(原動機側部
材) 46:フレーム側部材(車体側部材) 48:インシュレータ 52、170、186:トランスファ固定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 康夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 尾崎 宏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体側に固定される車体側部材と、原動
    機側に固定される原動機側部材と、それら車体側部材お
    よび原動機側部材の間に設けられてそれらの相対振動を
    許容するインシュレータとを備えた原動機用マウントを
    介して車体に固定された原動機と、該原動機に連結され
    たトランスアクスルと、該トランスアクスルに連結され
    たトランスファとを含む四輪駆動車の前記トランスファ
    を固定するトランスファ固定装置において、 前記トランスファの前記トランスアクスルに連結された
    部分から所定距離離間した部分を前記原動機用マウント
    の原動機側部材に固定したことを特徴とする四輪駆動車
    のトランスファ固定装置。
JP10416497A 1997-04-22 1997-04-22 四輪駆動車のトランスファ固定装置 Expired - Fee Related JP3591210B2 (ja)

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