JPH10286299A - アミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法 - Google Patents

アミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法

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JPH10286299A
JPH10286299A JP9093991A JP9399197A JPH10286299A JP H10286299 A JPH10286299 A JP H10286299A JP 9093991 A JP9093991 A JP 9093991A JP 9399197 A JP9399197 A JP 9399197A JP H10286299 A JPH10286299 A JP H10286299A
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Koichi Muraoka
浩一 村岡
Takeki Hirata
雄樹 平田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶の析出が生じないアミノ酸配合注射液充
填容器およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 ヘッドスペース4の体積をアミノ酸配合
注射液2の体積の2%以下に調整したアミノ酸配合注射
液充填容器1であって、ガス透過性の可撓性容器3にア
ミノ酸配合注射液2を充填し、ヘッドスペース4内の空
気を特定のガスで置換して前記容器3を密閉した後、こ
の容器3を前記特定のガスの吸収剤とともに外装袋に封
入して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶の析出を防止
したアミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】アミ
ノ酸輸液に代表されるアミノ酸配合注射液は、一般に、
プラスチック製の輸液バッグなどに充填した状態で供給
されている。アミノ酸輸液は、手術前後の患者や低栄養
状態の患者等への栄養補給を目的として、単独あるいは
糖・電解質輸液などと共に、末梢静脈又は中心静脈よ
り、点滴投与される。
【0003】ところが、上記アミノ酸配合注射液は、貯
蔵中や運搬中の温度変化などによって、アミノ酸の結晶
が析出するおそれがある。特に、L−シスチン、L−チ
ロシン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸等は溶
解度が低いので、それらを配合したものはその傾向が高
くなる。また、冬季の寒冷時にも、結晶が析出しやすく
なる。
【0004】アミノ酸配合注射液は、当然のことながら
投与の際には結晶が析出していないことが必要である。
従って、結晶が析出した製剤については、加湿、浸盪な
どの手段で再び溶解させて使用している。しかしなが
ら、繁多な作業を要する医療現場において、このような
余分な作業が加わることは、従事者にとって大きな負担
となっている。
【0005】そこで、本発明の目的は、結晶の析出が生
じないアミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決する過程において、従来のアミノ酸配合注射液充填
容器は、アミノ酸配合注射液の充填時に容器から注射液
がこぼれないように、アミノ酸配合注射液の体積に対し
て10%程度のヘッドスペースが設けられていることに
着目し、このヘッドスペースの体積と結晶の析出との関
係を検討した結果、アミノ酸配合注射液を充填した容器
内のヘッドスペースの体積をアミノ酸配合注射液の体積
の2%以下にすると、保存中や貯蔵中に温度変化などが
生じてもアミノ酸の結晶が析出することがないというま
ったく新たな事実を見出し、本発明のアミノ酸配合注射
液充填容器を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明のアミノ酸配合注射液充
填容器は、アミノ酸配合注射液を可撓性容器内に充填密
閉してなるものであって、前記容器内のヘッドスペース
の体積が前記アミノ酸配合注射液の体積の2%以下であ
ることを特徴とする。本発明のアミノ酸配合注射液充填
容器は、上記容器がガス非透過性の容器であってもよ
い。また、上記容器がガス透過性の容器であり、かつこ
の容器をガス非透過性の可撓性外装容器内に封入したも
のであって、前記容器内のヘッドスペースと、前記容器
と外装容器との間に生じる空間部分との体積の和が上記
アミノ酸配合注射液の体積の2%以下であるものでもよ
い。
【0008】アミノ酸の結晶の析出をより確実に防止す
るには、上記ヘッドスペースの体積、あるいは上記ヘッ
ドスペースと上記空間部分との体積の和が実質的に0で
あるのが好ましい。上記本発明のアミノ酸配合注射液充
填容器の製造方法は、ガス透過性の可撓性容器にアミノ
酸配合注射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を特定
のガスで置換して前記容器を密閉した後、この容器を前
記特定のガスの吸収剤とともにガス非透過性の可撓性外
装容器に封入することにより、前記ヘッドスペースの体
積が前記アミノ酸配合注射液の体積の2%以下になるよ
うに調整することを特徴とするものである。
【0009】上記製造方法によれば、ヘッドスペースの
体積がアミノ酸配合注射液の体積の2%以下である本発
明のアミノ酸配合注射液充填容器を簡単に製造すること
ができる。なお、本発明において「ヘッドスペース」と
は、容器内にアミノ酸配合注射液を充填密閉したとき、
アミノ酸配合注射液の液面上に生じる容器内の上部空間
のことである。また、本発明において「アミノ酸配合注
射液」とは、注射、点滴などを目的として、常法により
調製したアミノ酸配合溶液である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のアミノ酸配合注射液充填
容器の実施形態を図1および図2を参照して説明する。
図1は、本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の一実施
形態を示している。かかるアミノ酸配合注射液充填容器
1は、アミノ酸配合注射液2を充填密閉した可撓性容器
3からなり、ヘッドスペース4の体積がアミノ酸配合注
射液2の体積の2%以下、好ましくは実質的に0%とな
るように調整されたものである。なお、符号5はアミノ
酸配合注射液充填容器1の口部材を示す。
【0011】図2は、本発明のアミノ酸配合注射液充填
容器の他の実施形態を示している。かかるアミノ酸配合
注射液充填容器11は、アミノ酸配合注射液2を充填密
閉した、ガス選択透過性を有する可撓性容器31からな
り、ヘッドスペース4の体積がアミノ酸配合注射液2の
体積の2%以下、好ましくは実質的に0%となるように
調整されたものである。
【0012】この実施形態において、アミノ酸配合注射
液充填容器11は、ヘッドスペース4に充填された気体
の吸収剤7とともに、ガス非透過性の外装容器6内に密
閉されている。なお、外装容器6には、アミノ酸配合注
射液充填容器11が複数収納されていてもよい。符号5
は図1と同様である。以下、本発明のアミノ酸配合注射
液充填容器の製造方法を説明する。 (i) ガス透過性の可撓性容器を用いたアミノ酸配合注射
液充填容器の製造 このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス透過性の可撓
性容器にアミノ酸配合注射液を充填密閉した後、前記容
器を外部から加圧することにより、ヘッドスペース内の
空気を前記容器の外部に除去することによって製造され
る。
【0013】上記ガス透過性の可撓性容器には、ガス透
過度が10cm3 /m2 ・24h・atm以上である可
撓性プラスチックフィルムが用いられる。具体的には、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
(α−オレフィン)共重合体など、従来より医療用容器
などに用いられている種々のプラスチックフィルムを用
いることができる。上記例示のプラスチックフィルムは
単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。また、
上記2種以上のフィルムを積層して使用してもよい。
【0014】アミノ酸配合注射液充填容器を外部から加
圧する手段としては、例えば、バネ等を有する2枚の板
や空気加圧バッグ(例えば、特開昭58−190450
号公報参照)等の加圧具を用いて前記容器を挟むといっ
た方法があげられる。また、このアミノ酸配合注射液充
填容器は、上記加圧手段を用いて容器を加圧した状態を
維持することにより、ヘッドスペースのガスを完全に除
去することができ、かつ容器内にガスが入り込むのを防
ぐことができる。従って、上記容器を外部から加圧する
操作は、アミノ酸配合注射液を実際に使用する直前まで
行うのが好ましい。
【0015】上記アミノ酸配合注射液充填容器は、アミ
ノ酸配合注射液をガス透過性の可撓性容器に充填密閉し
た後、上記加圧手段によってヘッドスペース内のガスを
前記容器の外部に除去し、さらにこの容器をガス非透過
性の外装容器に密着させた状態で封入したものであって
もよい。この場合、上記加圧手段を用いて容器を加圧し
た状態を維持し続ける必要がない。なお、この場合、上
記容器と外装容器との間に生じる空間部分と、前記容器
のヘッドスペースとの体積の和が、アミノ酸配合注射液
の体積の2%以下となるよう調節する必要がある。 (ii)ガス選択透過性を有する可撓性容器を用いたアミノ
酸配合注射液充填容器の製造 このアミノ酸配合注射液充填容器は、大気中にほとんど
存在しないガス(以下、「希ガス」という)に対する選
択透過性を有する可撓性容器内にアミノ酸配合注射液を
充填し、ヘッドスペース内の空気を前記希ガスで置換し
て密閉した後、前記ヘッドスペース内と前記容器の外部
とにおける前記希ガスの分圧の差を利用して希ガスを容
器外部に流出させ、前記ヘッドスペースの体積をアミノ
酸配合注射液の体積の2%以下に調整することによって
製造される。
【0016】上記希ガスとしては、例えばヘリウム、ア
ルゴン等のガスがあげられる。ガス選択透過性を有する
可撓性容器には、希ガスに対するガス透過度が高いもの
の、前記希ガス以外のガスに対する透過度が極めて低い
可撓性プラスチックフィルムが用いられる。具体的に
は、希ガスに対するガス透過度が5cm3 /m2・24
h・atm以上であって、希ガス以外のガスに対する透
過度が0.5cm 3 /m2 ・24h・atm以下である
ものが用いられる。
【0017】希ガスに対する選択透過性を有する可撓性
プラスチックフィルムのうち、ヘリウムに対して選択透
過性を有するものとしては、例えばポリビニルアルコー
ル等があげられる。具体的には、日合フィルム社製の商
品名「ボブロン」(ポリビニルアルコール)があげられ
る。上記アミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸配合
注射液および希ガスをガス透過性の可撓性容器に充填密
閉した後、この容器を、希ガスに対するガス選択透過性
を有する外装容器に密着させた状態で封入したものであ
ってもよい。なお、この場合、上記容器と外装容器との
間に生じる空間部分と、前記容器のヘッドスペースとの
体積の和が、アミノ酸配合注射液の体積の2%以下とな
るように調節することが望ましい。 (iii) ガス透過性の可撓性内装容器とガス非透過性の可
撓性外装容器とを用いたアミノ酸配合注射液充填容器の
製造 このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス透過性の可撓
性内装容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペ
ース内の空気を特定のガスで置換して前記内装容器を密
閉した後、この内装容器を前記特定のガスの吸収剤とと
もにガス非透過性の外装容器に封入して、前記特定のガ
スを前記吸収剤に吸収させることにより、前記ヘッドス
ペースの体積をアミノ酸配合注射液の体積の2%以下に
調整することによって製造される。
【0018】上記ガス透過性の可撓性内装容器には、前
記例示の、ガス透過性が10cm3/m2 ・24h・a
tm以上である可撓性プラスチックフィルムが用いられ
る。前記例示のプラスチックフィルムは単独でまたは2
種以上を混合して用いてもよい。また、上記2種以上の
フィルムを積層して使用してもよい。上記ガス非透過性
の可撓性外装容器には、ガス透過性が極めて低い可撓性
プラスチックフィルムまたはシート(以下、フィルムを
代表させて説明する)が用いられる。
【0019】ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチッ
クフィルムとしては、ガス透過度が0.5cm3 /m2
・24h・atm以下、好ましくは0.1cm3 /m2
・24h・atm以下のものであればよい。具体的に
は、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ
塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルア
ルコール、ポリアミド、ポリエステル等の従来公知の種
々のプラスチックフィルムを用いることができる。上記
例示のプラスチックフィルムは単独でまたは2種以上を
混合して用いてもよい。
【0020】また、ガス非透過性の可撓性容器は、2種
以上の可撓性プラスチックフィルムの積層体からなる容
器であってもよい。この場合、積層体の少なくとも1層
が上記例示のガス透過性が極めて低い可撓性プラスチッ
クフィルムであればよい。上記特定のガスとしては、例
えば二酸化炭素、酸素などがあげられ、酸化しやすいア
ミノ酸を配合した場合には二酸化炭素を採用するのが好
ましい。
【0021】二酸化炭素の吸収剤としては、例えば和光
純薬社製の「ワコーライム」、(株)アイカ製の「バラ
ライム」、三菱瓦斯化学社製の「エージレスE」、東亜
合成社製の「バイタロン」等、さらには水酸化ナトリウ
ム水溶液や水酸化カリウム水溶液を小型のガス透過性プ
ラスチック容器に収容したものなどがあげられる。酸素
の吸収剤としては、従来公知の種々の脱酸素剤、例えば
水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄などの鉄化合物を有効成分と
するものを使用できる。その代表的な市販品の商品名と
しては、例えば三菱瓦斯化学社製の「エージレス」、日
本化薬社製の「モジュラン」、日本曹達社製の「セキュ
ール」等があげられる。
【0022】前記外装容器内に収納される前記内装容器
の数は1個に限定されるものではなく、2個以上収納し
てもよい。前記吸収剤の使用量は、前記内装容器の数
や、ヘッドスペースの体積に応じて適宜調整すればよ
い。前記吸収剤は粉末、錠剤等の種々の形態で使用でき
る。また、上記吸収剤は、前記内装容器とともに前記外
装容器内に収納して使用するほか、前記外装容器の内側
に添付して使用してもよい。
【0023】上記アミノ酸配合注射液充填容器は、上記
容器と外装容器との間に生じる空間部分と、前記容器の
ヘッドスペースとの体積の和が、アミノ酸配合注射液の
体積の2%以下となるように調節する必要がある。ま
た、ヘッドスペースの体積をより少なくするという観点
から、前記空間部分の空気をヘッドスペースに存在する
特定のガスと同じガスで置換しておくのが好ましい。 (iv)ガス非透過性の可撓性容器を用いたアミノ酸配合注
射液充填容器の製造 このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス非透過性の可
撓性容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペー
スの体積がアミノ酸配合注射液の体積の2%以下の状態
で容器を密封することによって製造される。また、上記
ヘッドスペースの体積を実質的に0にするには、公知の
液中シール法にてアミノ酸配合注射液の密封を行えばよ
い。
【0024】上記ガス非透過性の可撓性容器には、前記
例示の、ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフ
ィルムが用いられる。ヘッドスペースの体積を実質的に
0にするために用いられる液中シール法は、ガス透過性
が極めて低い可撓性プラスチックフィルムからなる容器
をアミノ酸配合注射液中で密閉する方法である。
【0025】上記液中シール法を用いる場合、アミノ酸
配合注射液を充填する容器は、最も内側の層にポリエチ
レン、ポリプロピレンなどの熱シールが可能なプラスチ
ックフィルムを配した積層体からなるのが好ましい。上
記(i) 〜(iv)に示した本発明のアミノ酸配合注射液充填
容器は、製造後または製造工程の途中の適当な段階で滅
菌を行うことができる。滅菌方法としては、医療分野で
通常行われている種々の方法を採用することができる。
中でも、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌、熱水滅菌な
どの公知の加熱滅菌法が一般的である。なお、上記滅菌
工程は、アミノ酸配合注射液の充填が無菌状態で行われ
ている場合には、必ずしも必要ではない。
【0026】本発明において、アミノ酸配合注射液を構
成するアミノ酸としては、純粋結晶状アミノ酸であるの
が好ましく、例えばグリシン(Gly) 、アラニン(Ala) 、
バリン(Val) 、ロイシン(Leu) 、イソロイシン(Ile) 、
セリン(Ser) 、トレオニン(Thr) 、アスパラギン酸(As
p) 、グルタミン酸(Glu) 、アスパラギン(Asn) 、グル
タミン(Gln) 、リシン(Lys) 、ヒドロキシリシン(Hyl)
、アルギニン(Arg) 、システイン(Cys) 、シスチン(Cy
s-Cys) 、メチオニン(Met) 、フェニルアラニン(Phe)
、チロシン(Tyr) 、トリプトファン(Trp) 、ヒスチジ
ン(His) 、プロリン(Pro) 、4−ヒドロキシプロリン(4
Hyp)等があげられる。
【0027】上記各アミノ酸は通常遊離アミノ酸の形態
で用いられるが、特に遊離形態である必要はなく、薬理
学的に許容される金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリ
ウム塩等)、鉱酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩等)または
有機酸塩(例えば酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩等)など
の形態で、あるいは生体内で加水分解されて遊離アミノ
酸に変換されるエステルの形態で用いることもできる。
上記塩およびエステルの具体例としては、例えばL−リ
ジン塩酸塩、L−リジン酢酸塩、L−リジンリンゴ酸
塩、L−アルギニン塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩水和
物、L−メチオニンメチルエステル、L−メチオニンエ
チルエステル等をあげることができる。
【0028】また、上記アミノ酸は、その一部または全
部をN−アシル誘導体(例えばN−アセチル−L−チロ
シン、N−アセチル−L−トリプトファン、N−アセチ
ル−L−プロリン等の形態で用いてもよい。これらの誘
導体は、遊離アミノ酸形態では溶解度が低く、沈澱が生
成する危険がある場合に特に有効に利用できる。また、
これらは、アミノ酸製剤に還元糖を配合する場合に見ら
れることがあるメイラード反応による褐変現象を有利に
抑制できる利点もある。
【0029】さらに、上記アミノ酸は2種のアミノ酸の
塩(例えば、L−アルギニン−L−グルタミン酸塩、L
−リジン−L−アスパラギン酸塩等)、あるいは同種ま
たは異種のアミノ酸をペプチド結合させたジペプチドの
形態(例えば、L−チロシル−L−チロシン、L−アラ
ニル−L−チロシン、L−アルギニル−L−チロシン
等)としても利用することができる。前記L−メチオニ
ンはその一部または全部をL−シスチンまたはL−シス
テインで代替することも可能である。
【0030】
【実施例】
(アミノ酸配合注射液の調製)下記各アミノ酸を、以下
の表1の組成となるように注射用水に溶解した。
【0031】
【表1】
【0032】(アミノ酸配合注射液充填容器の製造) 実施例1 上記アミノ酸配合注射液500mlを無菌条件にてポリ
エチレン製の容器に充填し、容器内のヘッドスペースの
空気50mlを二酸化炭素で置換した後、ゴム栓付き口
部材を取りつけて前記容器を密封した。
【0033】次いで、上記容器を、ポリビニルアルコー
ルの多層フィルム(商品名「ボブロン」、前出)からな
る外装容器に二酸化炭素吸収剤(商品名「バイタロ
ン」、前出)1個(約5g)とともに収容し、前記容器
と外装容器との間の空間部分内の空気(約100ml)
を二酸化炭素で置換した状態で外装容器を密封し、アミ
ノ酸配合注射液充填容器を得た。
【0034】上記アミノ酸配合注射液充填容器を室温で
約2週間放置することにより、上記ヘッドスペースと上
記空間部分との体積の和を0にすることができた。 実施例2 アミノ酸配合注射液を充填する容器として、ポリエチレ
ンテレフタレートと、シリカ蒸着ポリビニルアルコール
と、直鎖状低密度ポリエチレンとの3層からなるフィル
ムから成形されたバッグを用いた。このバッグの空気透
過度は、0.1cm3 /(m2 ・24h・atm)以下
であった。
【0035】実施例1で使用したのと同じアミノ酸配合
注射液500mlを上記容器に充填し、容器内のヘッド
スペースを窒素置換し、その体積を10mlに調節した
上で、ゴム栓付き口部材を取りつけて前記容器を密封し
た。次いで、105℃で40分間高圧蒸気滅菌を行っ
た。こうして得られたアミノ酸配合注射液充填容器は、
滅菌後および室温で約2週間放置した後も上記ヘッドス
ペースの体積が変化しなかった。
【0036】比較例1〜2 実施例1で使用したのと同じアミノ酸配合注射液500
mlをポリエチレン製の容器に無菌状態にて充填し、容
器内のヘッドスペースの体積を比較例毎に変えて密封し
た。前記ヘッドスペースの体積は、比較例1が25m
l、比較例2が50mlとなるように調節した。
【0037】(評価試験)上記実施例1〜2および比較
例1〜2で得られたアミノ酸配合注射液充填容器各20
個を恒温室内に並べて横置し、まず5℃放置し、その後
6時間毎のサイクルで温度設定を35℃と5℃とに変化
させた。放置開始から3日経過後、さらに5℃で6時間
放置し、各容器内にアミノ酸の結晶が析出しているかど
うかを、目視観察した。
【0038】各実施例および比較例において、結晶の析
出が認められた容器の数を求め、各総数に対する割合を
算出した。その結果を、アミノ酸配合注射液の体積に対
するヘッドスペースの体積の割合(%)とともに表2に
示す。
【0039】
【表2】
【0040】表2から明らかなように、実施例1および
2のアミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸の結晶の
析出が全く認められなかった。一方、比較例1〜2で
は、注射液中にアミノ酸の結晶の析出が認められるもの
が確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明のアミノ酸配合注射液充填容器に
よれば、保存中や運搬中の温度変化などによって、アミ
ノ酸配合注射液中にアミノ酸の結晶が析出するのを防止
することができるので、析出した結晶を溶かすといった
余分な作業を、看護婦や薬剤師に強いることがない。
【0042】また、本発明のアミノ酸配合注射液充填容
器の製造方法によれば、結晶の析出が生じないアミノ酸
配合注射液充填容器を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の一実施
形態を示す正面図である。
【図2】本発明のアミノ酸配合注射液充填容器を吸収剤
とともに外装容器に封入した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アミノ酸配合注射液充填容器 2 アミノ酸配合注射液 3 可撓性容器 4 ヘッドスペース 6 可撓性外装容器 7 吸収剤 11 アミノ酸配合注射液充填容器 31 可撓性容器

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アミノ酸配合注射液を可撓性容器内に充填
    密閉してなるアミノ酸配合注射液充填容器であって、前
    記容器内のヘッドスペースの体積が前記アミノ酸配合注
    射液の体積の2%以下であることを特徴とするアミノ酸
    配合注射液充填容器。
  2. 【請求項2】上記ヘッドスペースの体積が実質的に0で
    ある請求項1記載のアミノ酸配合注射液充填容器。
  3. 【請求項3】上記容器がガス透過性の内装容器であり、
    かつこの内装容器がガス非透過性の可撓性外装容器内に
    封入されたものであって、前記内装容器内のヘッドスペ
    ースと、前記内装容器と外装容器との間に生じる空間部
    分との体積の和が上記アミノ酸配合注射液の体積の2%
    以下である請求項1記載のアミノ酸配合注射液充填容
    器。
  4. 【請求項4】上記ヘッドスペースと上記空間部分との体
    積の和が実質的に0である請求項3記載のアミノ酸配合
    注射液充填容器。
  5. 【請求項5】上記容器がガス非透過性の容器である請求
    項1記載のアミノ酸配合注射液充填容器。
  6. 【請求項6】ガス透過性の可撓性容器にアミノ酸配合注
    射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を特定のガスで
    置換して前記容器を密閉した後、この容器を前記特定の
    ガスの吸収剤とともにガス非透過性の可撓性外装容器に
    封入して、前記ヘッドスペースの体積を前記アミノ酸配
    合注射液の体積の2%以下に調整することを特徴とする
    アミノ酸配合注射液充填容器の製造方法。
  7. 【請求項7】上記容器を外装容器に封入する際に、前記
    容器と外装容器との間に生じる空間部分内の空気を上記
    特定のガスで置換して、上記ヘッドスペースと前記空間
    部分との体積の和を上記アミノ酸配合注射液の体積の2
    %以下に調整する請求項6記載のアミノ酸配合注射液充
    填容器の製造方法。
  8. 【請求項8】上記特定のガスが二酸化炭素であり、上記
    吸収剤が二酸化炭素吸収剤である請求項6または7記載
    のアミノ酸配合注射液充填容器の製造方法。
JP09399197A 1997-04-11 1997-04-11 アミノ酸配合注射液充填容器の製造方法 Expired - Fee Related JP3789592B2 (ja)

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JP2005509503A (ja) * 2001-11-17 2005-04-14 アベンティス・フアーマ・リミテッド 吸着剤及びその使用
CN115254871A (zh) * 2022-07-21 2022-11-01 小洋电源股份有限公司 一种用于废旧蓄电池回收的拆解装置

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