JP3789592B2 - アミノ酸配合注射液充填容器の製造方法 - Google Patents
アミノ酸配合注射液充填容器の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶の析出を防止したアミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
アミノ酸輸液に代表されるアミノ酸配合注射液は、一般に、プラスチック製の輸液バッグなどに充填した状態で供給されている。アミノ酸輸液は、手術前後の患者や低栄養状態の患者等への栄養補給を目的として、単独あるいは糖・電解質輸液などと共に、末梢静脈又は中心静脈より、点滴投与される。
【0003】
ところが、上記アミノ酸配合注射液は、貯蔵中や運搬中の温度変化などによって、アミノ酸の結晶が析出するおそれがある。特に、L−シスチン、L−チロシン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸等は溶解度が低いので、それらを配合したものはその傾向が高くなる。また、冬季の寒冷時にも、結晶が析出しやすくなる。
【0004】
アミノ酸配合注射液は、当然のことながら投与の際には結晶が析出していないことが必要である。従って、結晶が析出した製剤については、加湿、浸盪などの手段で再び溶解させて使用している。
しかしながら、繁多な作業を要する医療現場において、このような余分な作業が加わることは、従事者にとって大きな負担となっている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、結晶の析出が生じないアミノ酸配合注射液充填容器およびその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決する過程において、従来のアミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸配合注射液の充填時に容器から注射液がこぼれないように、アミノ酸配合注射液の体積に対して10%程度のヘッドスペースが設けられていることに着目し、このヘッドスペースの体積と結晶の析出との関係を検討した結果、アミノ酸配合注射液を充填した容器内のヘッドスペースの体積をアミノ酸配合注射液の体積の2%以下にすると、保存中や貯蔵中に温度変化などが生じてもアミノ酸の結晶が析出することがないというまったく新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
上記本発明のアミノ酸配合注射液が充填された可撓性容器の製造方法は、ガス透過性の可撓性容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を特定のガスで置換して前記容器を密閉した後、この容器を前記特定のガスの吸収剤とともにガス非透過性の可撓性外装容器に封入することにより、前記ヘッドスペースの体積が前記アミノ酸配合注射液の体積の2%以下になるように調整することを特徴とするものである。
アミノ酸の結晶の析出をより確実に防止するには、上記ヘッドスペースの体積、あるいは上記ヘッドスペースと上記空間部分との体積の和が実質的に0であるのが好ましい。
【0009】
上記製造方法によれば、ヘッドスペースの体積がアミノ酸配合注射液の体積の2%以下である本発明のアミノ酸配合注射液充填容器を簡単に製造することができる。
なお、本発明において「ヘッドスペース」とは、容器内にアミノ酸配合注射液を充填密閉したとき、アミノ酸配合注射液の液面上に生じる容器内の上部空間のことである。また、本発明において「アミノ酸配合注射液」とは、注射、点滴などを目的として、常法により調製したアミノ酸配合溶液である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の実施形態を図1および図2を参照して説明する。
図1は、本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の一実施形態を示している。かかるアミノ酸配合注射液充填容器1は、アミノ酸配合注射液2を充填密閉した可撓性容器3からなり、ヘッドスペース4の体積がアミノ酸配合注射液2の体積の2%以下、好ましくは実質的に0%となるように調整されたものである。なお、符号5はアミノ酸配合注射液充填容器1の口部材を示す。
【0011】
図2は、本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の他の実施形態を示している。かかるアミノ酸配合注射液充填容器11は、アミノ酸配合注射液2を充填密閉した、ガス選択透過性を有する可撓性容器31からなり、ヘッドスペース4の体積がアミノ酸配合注射液2の体積の2%以下、好ましくは実質的に0%となるように調整されたものである。
【0012】
この実施形態において、アミノ酸配合注射液充填容器11は、ヘッドスペース4に充填された気体の吸収剤7とともに、ガス非透過性の外装容器6内に密閉されている。なお、外装容器6には、アミノ酸配合注射液充填容器11が複数収納されていてもよい。符号5は図1と同様である。
以下、本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の製造方法を説明する。
(i) ガス透過性の可撓性容器を用いたアミノ酸配合注射液充填容器の製造
このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス透過性の可撓性容器にアミノ酸配合注射液を充填密閉した後、前記容器を外部から加圧することにより、ヘッドスペース内の空気を前記容器の外部に除去することによって製造される。
【0013】
上記ガス透過性の可撓性容器には、ガス透過度が10cm3 /m2 ・24h・atm以上である可撓性プラスチックフィルムが用いられる。具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、架橋エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(α−オレフィン)共重合体など、従来より医療用容器などに用いられている種々のプラスチックフィルムを用いることができる。上記例示のプラスチックフィルムは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。また、上記2種以上のフィルムを積層して使用してもよい。
【0014】
アミノ酸配合注射液充填容器を外部から加圧する手段としては、例えば、バネ等を有する2枚の板や空気加圧バッグ(例えば、特開昭58−190450号公報参照)等の加圧具を用いて前記容器を挟むといった方法があげられる。
また、このアミノ酸配合注射液充填容器は、上記加圧手段を用いて容器を加圧した状態を維持することにより、ヘッドスペースのガスを完全に除去することができ、かつ容器内にガスが入り込むのを防ぐことができる。従って、上記容器を外部から加圧する操作は、アミノ酸配合注射液を実際に使用する直前まで行うのが好ましい。
【0015】
上記アミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸配合注射液をガス透過性の可撓性容器に充填密閉した後、上記加圧手段によってヘッドスペース内のガスを前記容器の外部に除去し、さらにこの容器をガス非透過性の外装容器に密着させた状態で封入したものであってもよい。この場合、上記加圧手段を用いて容器を加圧した状態を維持し続ける必要がない。なお、この場合、上記容器と外装容器との間に生じる空間部分と、前記容器のヘッドスペースとの体積の和が、アミノ酸配合注射液の体積の2%以下となるよう調節する必要がある。
(ii)ガス選択透過性を有する可撓性容器を用いたアミノ酸配合注射液充填容器の製造
このアミノ酸配合注射液充填容器は、大気中にほとんど存在しないガス(以下、「希ガス」という)に対する選択透過性を有する可撓性容器内にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を前記希ガスで置換して密閉した後、前記ヘッドスペース内と前記容器の外部とにおける前記希ガスの分圧の差を利用して希ガスを容器外部に流出させ、前記ヘッドスペースの体積をアミノ酸配合注射液の体積の2%以下に調整することによって製造される。
【0016】
上記希ガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン等のガスがあげられる。
ガス選択透過性を有する可撓性容器には、希ガスに対するガス透過度が高いものの、前記希ガス以外のガスに対する透過度が極めて低い可撓性プラスチックフィルムが用いられる。具体的には、希ガスに対するガス透過度が5cm3 /m2 ・24h・atm以上であって、希ガス以外のガスに対する透過度が0.5cm3 /m2 ・24h・atm以下であるものが用いられる。
【0017】
希ガスに対する選択透過性を有する可撓性プラスチックフィルムのうち、ヘリウムに対して選択透過性を有するものとしては、例えばポリビニルアルコール等があげられる。具体的には、日合フィルム社製の商品名「ボブロン」(ポリビニルアルコール)があげられる。
上記アミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸配合注射液および希ガスをガス透過性の可撓性容器に充填密閉した後、この容器を、希ガスに対するガス選択透過性を有する外装容器に密着させた状態で封入したものであってもよい。なお、この場合、上記容器と外装容器との間に生じる空間部分と、前記容器のヘッドスペースとの体積の和が、アミノ酸配合注射液の体積の2%以下となるように調節することが望ましい。
(iii) ガス透過性の可撓性内装容器とガス非透過性の可撓性外装容器とを用いたアミノ酸配合注射液充填容器の製造
このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス透過性の可撓性内装容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を特定のガスで置換して前記内装容器を密閉した後、この内装容器を前記特定のガスの吸収剤とともにガス非透過性の外装容器に封入して、前記特定のガスを前記吸収剤に吸収させることにより、前記ヘッドスペースの体積をアミノ酸配合注射液の体積の2%以下に調整することによって製造される。
【0018】
上記ガス透過性の可撓性内装容器には、前記例示の、ガス透過性が10cm3 /m2 ・24h・atm以上である可撓性プラスチックフィルムが用いられる。前記例示のプラスチックフィルムは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。また、上記2種以上のフィルムを積層して使用してもよい。
上記ガス非透過性の可撓性外装容器には、ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフィルムまたはシート(以下、フィルムを代表させて説明する)が用いられる。
【0019】
ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフィルムとしては、ガス透過度が0.5cm3 /m2 ・24h・atm以下、好ましくは0.1cm3 /m2 ・24h・atm以下のものであればよい。具体的には、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル等の従来公知の種々のプラスチックフィルムを用いることができる。上記例示のプラスチックフィルムは単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
また、ガス非透過性の可撓性容器は、2種以上の可撓性プラスチックフィルムの積層体からなる容器であってもよい。この場合、積層体の少なくとも1層が上記例示のガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフィルムであればよい。
上記特定のガスとしては、例えば二酸化炭素、酸素などがあげられ、酸化しやすいアミノ酸を配合した場合には二酸化炭素を採用するのが好ましい。
【0021】
二酸化炭素の吸収剤としては、例えば和光純薬社製の「ワコーライム」、(株)アイカ製の「バラライム」、三菱瓦斯化学社製の「エージレスE」、東亜合成社製の「バイタロン」等、さらには水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液を小型のガス透過性プラスチック容器に収容したものなどがあげられる。
酸素の吸収剤としては、従来公知の種々の脱酸素剤、例えば水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄などの鉄化合物を有効成分とするものを使用できる。その代表的な市販品の商品名としては、例えば三菱瓦斯化学社製の「エージレス」、日本化薬社製の「モジュラン」、日本曹達社製の「セキュール」等があげられる。
【0022】
前記外装容器内に収納される前記内装容器の数は1個に限定されるものではなく、2個以上収納してもよい。
前記吸収剤の使用量は、前記内装容器の数や、ヘッドスペースの体積に応じて適宜調整すればよい。
前記吸収剤は粉末、錠剤等の種々の形態で使用できる。また、上記吸収剤は、前記内装容器とともに前記外装容器内に収納して使用するほか、前記外装容器の内側に添付して使用してもよい。
【0023】
上記アミノ酸配合注射液充填容器は、上記容器と外装容器との間に生じる空間部分と、前記容器のヘッドスペースとの体積の和が、アミノ酸配合注射液の体積の2%以下となるように調節する必要がある。また、ヘッドスペースの体積をより少なくするという観点から、前記空間部分の空気をヘッドスペースに存在する特定のガスと同じガスで置換しておくのが好ましい。
(iv)ガス非透過性の可撓性容器を用いたアミノ酸配合注射液充填容器の製造
このアミノ酸配合注射液充填容器は、ガス非透過性の可撓性容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペースの体積がアミノ酸配合注射液の体積の2%以下の状態で容器を密封することによって製造される。また、上記ヘッドスペースの体積を実質的に0にするには、公知の液中シール法にてアミノ酸配合注射液の密封を行えばよい。
【0024】
上記ガス非透過性の可撓性容器には、前記例示の、ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフィルムが用いられる。
ヘッドスペースの体積を実質的に0にするために用いられる液中シール法は、ガス透過性が極めて低い可撓性プラスチックフィルムからなる容器をアミノ酸配合注射液中で密閉する方法である。
【0025】
上記液中シール法を用いる場合、アミノ酸配合注射液を充填する容器は、最も内側の層にポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱シールが可能なプラスチックフィルムを配した積層体からなるのが好ましい。
上記(i) 〜(iv)に示した本発明のアミノ酸配合注射液充填容器は、製造後または製造工程の途中の適当な段階で滅菌を行うことができる。滅菌方法としては、医療分野で通常行われている種々の方法を採用することができる。中でも、高圧蒸気滅菌、熱水シャワー滅菌、熱水滅菌などの公知の加熱滅菌法が一般的である。なお、上記滅菌工程は、アミノ酸配合注射液の充填が無菌状態で行われている場合には、必ずしも必要ではない。
【0026】
本発明において、アミノ酸配合注射液を構成するアミノ酸としては、純粋結晶状アミノ酸であるのが好ましく、例えばグリシン(Gly) 、アラニン(Ala) 、バリン(Val) 、ロイシン(Leu) 、イソロイシン(Ile) 、セリン(Ser) 、トレオニン(Thr) 、アスパラギン酸(Asp) 、グルタミン酸(Glu) 、アスパラギン(Asn) 、グルタミン(Gln) 、リシン(Lys) 、ヒドロキシリシン(Hyl) 、アルギニン(Arg) 、システイン(Cys) 、シスチン(Cys-Cys) 、メチオニン(Met) 、フェニルアラニン(Phe) 、チロシン(Tyr) 、トリプトファン(Trp) 、ヒスチジン(His) 、プロリン(Pro) 、4−ヒドロキシプロリン(4Hyp)等があげられる。
【0027】
上記各アミノ酸は通常遊離アミノ酸の形態で用いられるが、特に遊離形態である必要はなく、薬理学的に許容される金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、鉱酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩等)または有機酸塩(例えば酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩等)などの形態で、あるいは生体内で加水分解されて遊離アミノ酸に変換されるエステルの形態で用いることもできる。上記塩およびエステルの具体例としては、例えばL−リジン塩酸塩、L−リジン酢酸塩、L−リジンリンゴ酸塩、L−アルギニン塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩水和物、L−メチオニンメチルエステル、L−メチオニンエチルエステル等をあげることができる。
【0028】
また、上記アミノ酸は、その一部または全部をN−アシル誘導体(例えばN−アセチル−L−チロシン、N−アセチル−L−トリプトファン、N−アセチル−L−プロリン等の形態で用いてもよい。これらの誘導体は、遊離アミノ酸形態では溶解度が低く、沈澱が生成する危険がある場合に特に有効に利用できる。また、これらは、アミノ酸製剤に還元糖を配合する場合に見られることがあるメイラード反応による褐変現象を有利に抑制できる利点もある。
【0029】
さらに、上記アミノ酸は2種のアミノ酸の塩(例えば、L−アルギニン−L−グルタミン酸塩、L−リジン−L−アスパラギン酸塩等)、あるいは同種または異種のアミノ酸をペプチド結合させたジペプチドの形態(例えば、L−チロシル−L−チロシン、L−アラニル−L−チロシン、L−アルギニル−L−チロシン等)としても利用することができる。前記L−メチオニンはその一部または全部をL−シスチンまたはL−システインで代替することも可能である。
【0030】
【実施例】
(アミノ酸配合注射液の調製)
下記各アミノ酸を、以下の表1の組成となるように注射用水に溶解した。
【0031】
【表1】
【0032】
(アミノ酸配合注射液充填容器の製造)
実施例1
上記アミノ酸配合注射液500mlを無菌条件にてポリエチレン製の容器に充填し、容器内のヘッドスペースの空気50mlを二酸化炭素で置換した後、ゴム栓付き口部材を取りつけて前記容器を密封した。
【0033】
次いで、上記容器を、ポリビニルアルコールの多層フィルム(商品名「ボブロン」、前出)からなる外装容器に二酸化炭素吸収剤(商品名「バイタロン」、前出)1個(約5g)とともに収容し、前記容器と外装容器との間の空間部分内の空気(約100ml)を二酸化炭素で置換した状態で外装容器を密封し、アミノ酸配合注射液充填容器を得た。
【0034】
上記アミノ酸配合注射液充填容器を室温で約2週間放置することにより、上記ヘッドスペースと上記空間部分との体積の和を0にすることができた。
実施例2
アミノ酸配合注射液を充填する容器として、ポリエチレンテレフタレートと、シリカ蒸着ポリビニルアルコールと、直鎖状低密度ポリエチレンとの3層からなるフィルムから成形されたバッグを用いた。このバッグの空気透過度は、0.1cm3 /(m2 ・24h・atm)以下であった。
【0035】
実施例1で使用したのと同じアミノ酸配合注射液500mlを上記容器に充填し、容器内のヘッドスペースを窒素置換し、その体積を10mlに調節した上で、ゴム栓付き口部材を取りつけて前記容器を密封した。次いで、105℃で40分間高圧蒸気滅菌を行った。
こうして得られたアミノ酸配合注射液充填容器は、滅菌後および室温で約2週間放置した後も上記ヘッドスペースの体積が変化しなかった。
【0036】
比較例1〜2
実施例1で使用したのと同じアミノ酸配合注射液500mlをポリエチレン製の容器に無菌状態にて充填し、容器内のヘッドスペースの体積を比較例毎に変えて密封した。前記ヘッドスペースの体積は、比較例1が25ml、比較例2が50mlとなるように調節した。
【0037】
(評価試験)
上記実施例1〜2および比較例1〜2で得られたアミノ酸配合注射液充填容器各20個を恒温室内に並べて横置し、まず5℃放置し、その後6時間毎のサイクルで温度設定を35℃と5℃とに変化させた。
放置開始から3日経過後、さらに5℃で6時間放置し、各容器内にアミノ酸の結晶が析出しているかどうかを、目視観察した。
【0038】
各実施例および比較例において、結晶の析出が認められた容器の数を求め、各総数に対する割合を算出した。その結果を、アミノ酸配合注射液の体積に対するヘッドスペースの体積の割合(%)とともに表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
表2から明らかなように、実施例1および2のアミノ酸配合注射液充填容器は、アミノ酸の結晶の析出が全く認められなかった。一方、比較例1〜2では、注射液中にアミノ酸の結晶の析出が認められるものが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明のアミノ酸配合注射液充填容器によれば、保存中や運搬中の温度変化などによって、アミノ酸配合注射液中にアミノ酸の結晶が析出するのを防止することができるので、析出した結晶を溶かすといった余分な作業を、看護婦や薬剤師に強いることがない。
【0042】
また、本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の製造方法によれば、結晶の析出が生じないアミノ酸配合注射液充填容器を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアミノ酸配合注射液充填容器の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明のアミノ酸配合注射液充填容器を吸収剤とともに外装容器に封入した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アミノ酸配合注射液充填容器
2 アミノ酸配合注射液
3 可撓性容器
4 ヘッドスペース
6 可撓性外装容器
7 吸収剤
11 アミノ酸配合注射液充填容器
31 可撓性容器
Claims (3)
- ガス透過性の可撓性容器にアミノ酸配合注射液を充填し、ヘッドスペース内の空気を特定のガスで置換して前記容器を密閉した後、この容器を前記特定のガスの吸収剤とともにガス非透過性の可撓性外装容器に封入して、前記ヘッドスペースの体積を前記アミノ酸配合注射液の体積の2%以下に調整することを特徴とする、アミノ酸配合注射液が充填された可撓性容器の製造方法。
- 上記容器を外装容器に封入する際に、前記容器と外装容器との間に生じる空間部分内の空気を上記特定のガスで置換して、上記ヘッドスペースと前記空間部分との体積の和を上記アミノ酸配合注射液の体積の2%以下に調整する、請求項2記載のアミノ酸配合注射液が充填された可撓性容器の製造方法。
- 上記特定のガスが二酸化炭素であり、上記吸収剤が二酸化炭素吸収剤である、請求項2または3記載のアミノ酸配合注射液が充填された可撓性容器の製造方法。
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