JPH10286275A - 膝関節用サポータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の膝関節用サポータは、膝の周囲に巻き
付けるサポータ本体に側方にのみ引っ張る固定用ベルト
を取付けたものであった。従って、サポータ本体は側方
にのみ引っ張られるため、太さの異なる大腿部と下腿部
に対して張力を適切に調節して加えることができなかっ
た。 【解決手段】 伸縮性の小さな２本のストラップ１０，
１０をＸ字状に組合せ、前記ストラップ１０，１０の交
叉部分１１をサポータ本体２０の中央部分２１に取付け
る。ストラップ１０の両端部には面ファスナー１２を取
付ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、膝の内側の負担を
小さくするための膝関節用サポータに関し、詳しくは膝
への着脱を容易にすることができるだけでなく、太さの
異なる大腿部と下腿部とに適切な張力を加えることによ
り、膝の圧迫される部分への負荷を調節し軽減すること
ができる膝関節用サポータに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】いわゆるＯ脚と称される内反膝やＸ脚と
称される外反膝を矯正するため、種々の膝関節用サポー
タが提案されている。このような膝関節用サポータとし
て、膝の周囲に巻き付けるサポータ本体に複数本の固定
ベルトを取付け、その固定ベルトの両端部を緊縛するこ
とによって、膝の外側又は内側の患部への負担を軽減す
るようにしたものがある。しかしこのような従来の膝関
節用サポータは、患部の固定保持のため、固定ベルトを
緊縛する方法が複雑であり、手軽に装着できないといっ
た不具合があった。

【０００３】このような不具合を解消するための膝関節
用サポータが実公平７−２５９３１号公報に開示されて
いる。この膝関節用サポータは、図６に示すように、２
本の伸縮性固定ベルト４、５をそれぞれ略Ｖ字状に折り
曲げ、その２本の伸縮性固定ベルト４、５を対向させて
菱形を形成し、離隔した両端部を重ね合わせ、その両端
部のみを伸縮性を有するサポータ本体１に上下の位置関
係で取付け、各伸縮性固定ベルト４、５の折曲端部に非
伸縮性固定ベルト６、７を取付け、その非伸縮性固定ベ
ルト６、７に面ファスナー（図示せず）を配設してなる
ものである。さらに、面ファスナーをサポータ本体１の
一方の翼部１ａの裏面にも配設し、サポータ本体１の他
方の毛織り状の翼部１ｂの表面と重ね合わせて、両翼部
１ａ，１ｂを容易に着脱することができるように構成さ
れている。

【０００４】このような膝関節用サポータを使用するに
は、サポータ本体１を大腿部・膝関節部・下腿部の後背
部より被覆し、それらの前面部にてサポータ本体１の両
翼部１ａ，１ｂを接合し、その後、２つの非伸縮性固定
ベルト６、７を強く引っ張りながら面ファスナーを重ね
合わせて止着する。これにより、内側または外側の副靱
帯部が伸縮性固定ベルト４、５および非伸縮性固定ベル
ト６，７によって膝関節の外側または内側方向に押圧固
定され、従って、立位状態における正常位置が強制的に
保持されるというものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の実公平７−２５
９３１号公報に開示された膝関節用サポータは、容易に
装着することができるようにするため、伸縮性固定ベル
ト４、５とは別に設けた非伸縮性固定ベルト６、７を強
く引っ張りながら面ファスナーを重ね合わせて止着する
ことができるようにしたものである。従って、非伸縮性
固定ベルト６、７を伸縮性固定ベルト４、５とは別に設
けるという構成であっても、結局、サポータ本体１の張
力は非伸縮性固定ベルト６、７が引っ張られる側方（水
平方向）にのみ調節可能であるにとどまった。

【０００６】しかし、膝関節用サポータは膝の上下部を
含む周囲に巻き付けるものであり、膝よりも上側の大腿
部と膝よりも下側の下腿部とでは太さが異なるだけでな
く、個人差もあることから、サポータ本体の張力調節が
側方のみであると、大腿部と下腿部のそれぞれに適切な
張力を加えることができない。すなわち、大腿部の張力
が適切であると、下腿部の張力が弱くなり、逆に下腿部
の張力が適切であると、大腿部の張力が強くなり過ぎて
しまうことになる。

【０００７】そこで本発明は、膝への着脱を容易にする
ことができるだけでなく、太さの異なる大腿部と下腿部
のそれぞれに対して、４つの異なる方向に、適切な張力
を加えることにより、膝の圧迫されている部分の負担を
調節可能に軽減することができる膝関節用サポータを提
供することを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る第１の膝関節用サポータは、 膝の周
囲に巻きつけるサポータ本体とこのサポータ本体よりも
伸縮性の小さい２本のストラップとを備え、前記２本の
ストラップをＸ字状に組合せ、その交叉部を前記サポー
タ本体の中央部に取付けたことを特徴とするものであ
る。

【０００９】上記第１の膝関節用サポータは、例えば、
内反膝のように膝関節が外側に偏位して、膝の内側が圧
迫されて痛みを生じている場合は、両ストラップの交叉
部が膝関節の外側に位置し、ストラップの離隔した両端
部が膝関節の内側に位置するようにしてストラップを止
着する。すると、両ストラップの交叉部を基点としてＸ
字状すなわち４方向に張力が加わり、膝関節の真横を外
側から内側へ押圧する力と、膝関節よりも上側および下
側を内側から外側へ押圧する２か所の力とが膝に加えら
れる。この外側から内側へ押す力と内側から外側へ押す
２か所の力とが釣り合うことから、内側から外側へ押す
一つの力よりも外側から内側へ押す力の方が大きく、外
側に偏位した膝関節が内側へ矯正される。

【００１０】上記の課題を解決するための本発明に係る
第２の膝関節用サポータは、上記第１の膝関節用サポー
タであって、２本のストラップの両端部にそれぞれ面フ
ァスナーを配設したことを特徴とするものである。

【００１１】上記第２の膝関節用サポータは、各ストラ
ップの両端部に面ファスナーが配設されたことにより、
各ストラップをサポータ本体に、場合により各ストラッ
プの両端部同士を、着脱可能に止着してサポータ本体を
適度に緊縛することができる。

【００１２】上記の課題を解決するための本発明に係る
第３の膝関節用サポータは、上記の第１または第２の膝
関節用サポータであって、ストラップの交叉部に面ファ
スナーを配設し、この面ファスナーによって、ストラッ
プをサポータ本体の中央部に着脱自在に取付けたことを
特徴とするものである。

【００１３】上記第３の膝関節用サポータによれば、２
本のストラップの交叉部分に面ファスナーを配設したこ
とにより、ストラップの交叉部を面ファスナーによって
サポータ本体中央部の比較的自由な位置に着脱可能に固
定することができる。また、ストラップのみ又はサポー
タ本体のみを交換することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明に係る膝関節用サポータの
好ましい実施の形態を図１から図５を参照しながら説明
する。この実施の形態に係る膝関節用サポータは、図１
に示すように、まず伸縮性の小さな２本のストラップ１
０、１０をＸ字状に組合せる。次に、両ストラップ１
０、１０の交叉部１１を形成する重畳部をのみを互いに
縫着し、この縫着された交叉部１１の裏面に面ファスナ
ー１２を配設する。一方、伸縮性の大きいサポータ本体
２０の中央部２１には前記面ファスナー１２の受け側と
してファスナー止着部２２配設する。そして、面ファス
ナー１２をファスナー止着部２２に止着することによ
り、前記交叉部１１を中央部２１に取付ける。なお、ス
トラップ１０、１０としては、いわゆるパワーネットと
称される弾性繊維で構成された編み物生地を使用し、サ
ポータ本体２０は綿とナイロンとで構成された編み物生
地を使用すると好ましい。また、面ファスナー１２は毛
羽立てた硬質樹脂の先端部を折り返してフック状に形成
したものである。

【００１５】各ストラップ１０の両端部の裏面にも面フ
ァスナー１２を配設し、各ストラップ１０の両端部をサ
ポータ本体２０に、場合により各ストラップ１０の両端
部同士を、容易に止着することができるようにする。こ
のため、この面ファスナー１２の受け側としてサポータ
本体２０側にファスナー止着部２２、２２を配設し、こ
れに各面ファスナー１２を容易に着脱できるようにす
る。ファスナー止着部２２、２２は、ストラップ１０を
サポータ本体２０の上部および下部にそれぞれ止着でき
るようにするため、サポータ本体２０の各端部付近の上
下両縁に配設する。

【００１６】上記のように、面ファスナー１２は各スト
ラップ１０の両端部およびストラップ１０の交叉部１１
に配設し、これに対応してサポータ本体２０の各端部付
近および中央部２１にファスナー止着部２２を配設し、
これにより、ストラップ１０の交叉部１１を着脱可能に
サポータ本体２０に取付けうる構成とした。このように
ストラップ１０の交叉部１１がサポータ本体２０と着脱
可能な別体とすることによって、ストラップ１０をサポ
ータ本体２０に止着する位置をある程度、自由に変える
ことができ、また ストラップ１０のみ又はサポータ本
体２０のみを交換することができる。

【００１７】また、サポータ本体２０は膝部に巻き付け
て止着するため、サポータ本体２０の片側の端縁部の裏
面に面ファスナー１２を配設するとともに、これに対応
して反対側の端縁部の表面に上記のような止着部２２を
配設する。さらに、サポータ本体２０の中央部２１であ
ってストラップ１０を配設した部位よりも若干中心寄り
の位置には、膝を屈曲した際にたわみを逃がしやすいよ
うにするため窓穴２３を形成している。

【００１８】上記のように構成したこの実施の形態に係
る膝関節用サポータの使用方法について説明する。

【００１９】まず、両ストラップ１０の交叉部１１の面
ファスナー１２をサポータ本体２０側の中央部２１の止
着部２２に止着し、各ストラップ１０の一方の端部の面
ファスナー１２をサポータ本体２０の端部付近の止着部
２２に止着する。そして、サポータ本体２０を膝に巻き
付ける。このとき、サポータ本体２０の窓穴２３が膝の
裏側に位置するようにして、サポータ本体２０の端縁部
の面ファスナー１２を他方の端縁部の止着部２２に止着
する。

【００２０】ただし、使用者がいわゆるＯ脚と称される
内反膝であるため、膝の内側が圧迫されて膝の内側に痛
みがある場合は、図２から図５に示すように、ストラッ
プ１０の交叉部１１が膝関節の外側に位置するように、
サポータ本体２０を膝に巻き付ける。そして、サポータ
本体２０に止着していない側のストラップ１０の端部を
引っ張りながらその端部を図５に示すように、サポータ
本体２０の端部付近の止着部２２に止着する。

【００２１】ストラップ１０はＸ字状に組み合わされた
ものであるから、サポータ本体２０に止着されたストラ
ップ１０の両端部は、膝関節の上側と下側とに位置す
る。従って、ストラップ１０の交叉部１１を基点として
Ｘ字状すなわち４方向に張力が加わり、この４方向の張
力を調節することにより、大腿部と下腿部の太さの違い
に応じて調節された強さで、各ストラップ１０を適切に
緊縛することができる。そして図２に示すように、スト
ラップ１０の交叉部１１が膝関節の外側から内側へ押圧
する力Ａと、ストラップ１０の両端部が膝関節の内側２
箇所から外側へ押圧する力Ｂ，Ｂとが膝の３点に加えら
れる。この２つの押圧する力ＡとＢ＋Ｂとは釣り合うた
め、内側から外側へ押圧する単独の力Ｂよりも、外側か
ら内側へ押す力Ａの方が大きいので、外側に偏位した膝
関節が内側へ矯正される。すると、圧迫されていた膝関
節の内側は、圧迫が軽減され、膝の内側の負担が減少さ
れる。

【００２２】次に、使用者がいわゆるＸ脚と称される外
反膝の場合は、膝の外側が圧迫されて膝の外側に痛みが
生じる。よって、両ストラップ１０の交叉部１１が膝関
節の内側に位置するように、サポータ本体２０を膝に巻
き付ける。すると、ストラップ１０の交叉部１１が膝関
節の内側から外側へ押す力を加え、圧迫されていた膝関
節の外側が圧迫されなくなり、膝の外側の負担が軽減さ
れる。

【００２３】なお、本発明は上記の実施の形態に限定す
ることなく、種々のバリエーションが可能である。例え
ば、両ストラップ１０の交叉部１１とサポータ本体２０
の中央部２１は、面ファスナー１２とファスナー止着部
２２とによって止着する方式ではなく、あらかじめ一体
に縫着しておいてもよい。また、両ストラップ１０の交
叉部を形成する重畳部を縫着するのではなく、この部分
も互いに面ファスナーで係合固定してもよい。なお、サ
ポータ本体２０には、ストラップ１０の交叉部１１を止
着する部位やストラップ１０の両端部を止着する部位
に、例えば、板バネのようなステーを上下方向に配設し
て、サポータ着用者の膝部の保持固定を図りながら矯正
を行う構成としてもよい。

【００２４】

【発明の効果】請求項１記載の発明によれば、２本のス
トラップをＸ字状に組合せ、ストラップの交叉部をサポ
ータ本体の中央部に取付けたことにより、両ストラップ
の交叉部を基点としてＸ字状すなわち４方向に張力が加
わり、この４方向の張力を調節することにより、大腿部
や下腿部の太さに応じて調節された強さで、膝関節の真
横から押圧する力と、膝関節の上および下から押圧する
力とを３点で膝の部分に加えることができる。従って、
圧迫されている膝の部分の負担は、適切に軽減すること
ができる。この結果、内反膝や外反膝は確実に矯正され
るという効果を有する。

【００２５】また、請求項２および請求項３記載の発明
によれば、ストラップに面ファスナーを配設したことに
より、サポーター本体をストラップで容易に緊縛するこ
とができ、使い勝手が向上する。従って、膝関節用サポ
ータを膝に装着する上での煩わしさがなくなり、内反膝
や外反膝は確実に矯正されることとなる。また、ストラ
ップのみ又はサポータ本体のみを交換することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る膝関節用サポータの展開図であ
る。

【図２】この発明に係る膝関節用サポータを膝に装着し
た状態の正面図である。

【図３】この発明に係る膝関節用サポータを膝に装着し
た状態の外側を示す図である。

【図４】この発明に係る膝関節用サポータを膝に装着し
た状態の背面図である。

【図５】この発明に係る膝関節用サポータを膝に装着し
た状態の内側を示す図である。

【図６】従来の膝関節用サポータの展開図である。

【符号の説明】

１０ ストラップ １１ 交叉部 １２ 面ファスナー ２０ サポータ本体 ２１ 中央部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 膝の周囲に巻きつけるサポータ本体とこ
   のサポータ本体よりも伸縮性の小さい２本のストラップ
   とを備え、前記２本のストラップをＸ字状に組合せ、そ
   の交叉部を前記サポータ本体の中央部に取付けたことを
   特徴とする膝関節用サポータ。
2. 【請求項２】 前記２本のストラップの両端部にそれぞ
   れ面ファスナーを配設したことを特徴とする請求項１記
   載の膝関節用サポータ。
3. 【請求項３】 前記ストラップの交叉部に面ファスナー
   を配設し、この面ファスナーによって、ストラップをサ
   ポータ本体の中央部に着脱自在に取付けたことを特徴と
   する請求項１または２記載の膝関節用サポータ。