JPH10280446A - 逆打工法による免震建物の構築方法 - Google Patents

逆打工法による免震建物の構築方法

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JPH10280446A
JPH10280446A JP9102389A JP10238997A JPH10280446A JP H10280446 A JPH10280446 A JP H10280446A JP 9102389 A JP9102389 A JP 9102389A JP 10238997 A JP10238997 A JP 10238997A JP H10280446 A JPH10280446 A JP H10280446A
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龍吉 亀田
Yoshihito Kazama
義仁 風間
Keiji Ogura
桂治 小倉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地下部分に免震装置を介装する建物を、容易
かつ短い工期で構築することができる逆打工法による免
震建物の構築方法を得る。 【解決手段】 地中1にケーシング2を打込んで内部を
掘削し、このケーシング内にコンクリートを打設して場
所打ち杭3を施工するとともに、この場所打ち杭の上部
から地上まで延出し、かつ免震装置を介装すべき位置に
免震装置が収納可能な管状部6を有する構真柱5を立設
し、次いで1階の先行躯体9等を順次施工し、これを利
用して地下最下階部分を基礎の床付レベルLまで掘削し
た後に、構真柱5回りの基礎を含めた地下最下層の躯体
13を施工し、次いで管状部内に免震装置18を取付け
た後に免震装置の側方に位置する管状部6を切断するこ
とにより、構真柱に作用する逆打荷重を免震装置を間に
介して支持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、逆打工法によって
地下部分に免震装置を介装した免震建物を構築するため
の、逆打工法による免震建物の構築方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年における、各種建築物に対する免震
性付与の要請から、建物の基礎部分(軸力材)や特定の
階層の柱(軸力材)の柱頭、中間あるいは柱脚に、積層
ゴム等からなる免震装置を介装することにより、地盤か
ら建物あるいは階層間に伝播しようとする振動を絶縁し
て、建物の躯体に生じる応力や変形を抑制するようにし
た免震工法が多く採用されている。従来このような建築
物のうち、地下部分を有する建物の基礎部分に免震装置
を介装する基礎免震構造の建物を構築する場合には、先
ず基礎の下端レベルまで掘削するとともに、さらに地下
ピットを形成し、基礎部分を施工して上記地下ピット内
に免震装置を設置した後に、順次地下階の躯体を施工し
ている。このため、地下部分を有する建物を基礎免震構
造とする上記免震化工法にあっては、地下ピットを形成
するために余分な工期を要するうえに、さらに上記地下
工事が完了した後に、地上躯体の構築を行なって行くた
めに、建物全体としての工期が極めて長くなるという問
題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、従来より、この
種の地下部分を有する建物を構築する工法として、逆打
工法と呼ばれる施工方法が採用されている。この逆打工
法は、先ず地中にケーシングを打込んで内部を掘削し、
上記ケーシング内にコンクリートを打設して場所打ち杭
を施工するとともに、この場所打ち杭に、建物本体の鉄
骨柱あるいはRC柱の芯材となる構真柱を建て込み、次
いでこの構真柱の上部において1階の梁等を先行して構
築した後に、これを支保工として地下階部分を掘削しつ
つ、斜梁や水平切梁等を利用して地下階部分を順次施工
して行き、最終的に基礎の床付レベルまで掘削して上記
構真柱回りの基礎を含めた地下最下層の躯体を施工する
ものである。
【0004】このような逆打工法によれば、1階の先行
躯体に基づいて、地下階の施工と地上階の施工とを同時
並行して行なうことが可能になるとともに、さらに地下
階についても、下方に向けて掘削しつつ、これと並行し
て地下階の躯体を順次構築して行くことができるため
に、建物全体としての躯体構築に要する工期を大幅に短
縮することができるという利点がある。
【0005】しかしながら、上記逆打工法にあっては、
予めケーシングを用いて打設した場所打ち杭に構真柱を
建て込んで、この構真柱に逆打荷重を支持させつつ地下
階の上方から下方に向けて掘削し、最終的に当該構真柱
回りの基礎部分を含む躯体を施工する工法であるため
に、上述した基礎部分に免震装置を介装する基礎免震構
造を採る建築物に対しては、すでに逆打荷重を支持して
いる構真柱に、後から免震装置を取付けることが困難で
あり、よって施工上および工期の観点から採用すること
が難しいという問題点があった。
【0006】本発明は、かかる従来の免震建物の構築方
法が有する課題を有効に解決すべくなされたもので、地
下部分に免震装置を介装する建物を、容易かつ短い工期
で構築することができる逆打工法による免震建物の構築
方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る逆打工法による免震建物の構築方法は、地中にケ
ーシングを打込んで内部を掘削し、このケーシング内に
コンクリートを打設して場所打ち杭を施工するととも
に、この場所打ち杭に、上部が地上まで延出し、かつ免
震装置を介装すべき位置に当該免震装置が収納可能な管
状部を有する構真柱を立設し、次いで1階と各地下階の
先行躯体を順次施工し、この躯体を利用して地下最下階
部分を基礎の床付レベルまで掘削した後に、構真柱回り
の基礎を含めた地下最下層の躯体を施工し、次いで管状
部内に免震装置を取付けた後に免震装置の側方に位置す
る上記管状部を切断することにより、構真柱に作用する
逆打荷重を上記免震装置を間に介して支持させることを
特徴とするものである。
【0008】この際に、請求項2に記載の発明は、ケー
シング内に立設する前に、予め管状部に免震装置が挿通
可能な開口部を穿設するとともに、当該開口部を蓋体に
よって閉じておき、免震装置を取付ける際に、蓋体を取
外して開口部から免震装置を内部に組込み、次いで上記
管状部内の免震装置の上下部にグラウトを充填して固化
させた後に、上記免震装置の側方に位置する管状部を切
断することを特徴とするものである。
【0009】また、請求項3に記載の本発明に係る逆打
工法による免震建物の構築方法は、地中にケーシングを
打込んで内部を掘削し、このケーシング内にコンクリー
トを打設して場所打ち杭を施工するとともに、この場所
打ち杭の上部から地上まで延出し、かつ免震装置を介装
すべき位置に当該免震装置が収納された管状部を有する
構真柱を立設し、次いで1階の先行躯体を施工し、この
躯体を利用して地下階部分を基礎の床付レベルまで掘削
した後に、構真柱回りの基礎を含めた地下最下層の躯体
を施工し、次いで上記管状部を切断することにより、構
真柱に作用する逆打荷重を免震装置を間に介して支持さ
せることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
逆打工法による免震建物の構築方法を、逆打工法によっ
て基礎免震構造の建物を構築する場合に適用した一実施
形態について説明する。図1〜図8は、本実施形態の上
記構築方法を順次工程に沿って示したものである。本構
築方法においては、先ず図1に示すように、地中1にケ
ーシング2を打込んで内部を掘削し、次いでケーシング
2内の下部に、籠状鉄筋3a等の杭の配筋を設置した後
に、コンクリートを打設して場所打ち杭3を施工する。
そして、上記コンクリートが硬化しないうちに、ケーシ
ング2の上方からワイヤ4を介して揚重した構真柱5を
吊り降ろし、多数本のスタッドボルトが立設された脚部
を、籠状鉄筋3a内に所定の根入れ長さ挿入することに
より、当該構真柱5の下端部を場所打ち杭3と一体化さ
せるとともに、他方その上端部を地上に仮設した架台1
aに固定する。
【0011】なお、上記構真柱5を建て込むには、場所
打ち杭用の穴を掘削し、籠状鉄筋3a等の配筋を設置し
た後に、構真柱5を吊り込み、下端部を籠状鉄筋3a内
に挿入してコンクリートを場所打ち杭3の上面レベルま
で打設することにより、構真柱5の脚部と場所打ち杭3
とを一体化させる工法を採ってもよい。
【0012】ここで、構真柱5は、クロスH鋼柱あるい
は鋼管柱であり、さらに基礎から幾分上方の免震装置を
介装する位置には、この免震装置が収納可能な内径を有
する丸形鋼管(管状部)6が一体的に介装されている。
そして、この丸形鋼管6には、予め上記免震装置を後に
挿入するための開口部7が穿設されており、ケーシング
2内に吊り込む際には、開口部7は後工程において内部
に埋戻し土や泥水等が入らないように蓋体によって閉じ
られている。このようにして、構真柱5を建て込んだ後
に、図2に示すように、ケーシングを引き抜いて、構真
柱5回りに土砂8を埋め戻して構真柱の剛性を確保した
後に、1階の梁9およびスラブ10等を含めた先行躯体
を施工する。
【0013】次いで、上記梁9を支保工として、図3に
示すように、地下階部分を根伐するとともに、この掘削
と並行して、適宜斜梁や水平切梁11を仮設することに
よって図示されない掘削部側面の矢板を支持して行く。
そして、各地下階の先行躯体を順次施工して、最終的
に、地下最下層の基礎の床付レベルLまで掘削した後
に、図4に示すように、床付レベル上の所定位置に型枠
を組んでコンクリートを打設することにより、地中梁1
2および構真柱5回りの耐圧基礎13を含めた地下最下
層の躯体を構築する。次に、図5に示すように、地下1
階の梁14を架設して、スラブ15並びに構真柱5およ
びその丸形鋼管6の開口部7上部回りに基礎16を施工
するとともに水平切梁11を解体し、さらに図6に示す
ように、地下1階の構真柱5回りに型枠を配設してコン
クリートを打設することにより、地下1階の立上り柱1
7を構築し、同様にして図示されない地下1階部分の壁
を含めた躯体を施工する。
【0014】以上により地下部分の躯体の施工が完了し
たら、図7に示すように、構真柱5の丸形鋼管6の開口
部7を塞いでいた蓋体を取外し、開口部7から免震装置
18を挿入して内部に据え付けた後に、丸形鋼管6内の
免震装置18の上下部にグラウトを充填して固化させ
る。このようにして、構真柱5内に免震装置18が一体
的に組込まれた後に、図8に示すように、免震装置18
の側方に位置する丸形鋼管6を全周にわたって切断して
取外すことにより、構真柱5に作用する逆打荷重を免震
装置18を間に介して支持させる。これにより、この建
物における基礎免震構造の施工が完了する。
【0015】このように、本免震建物の構築方法によれ
ば、逆打工法によって地下部分を構築するに際して、予
め構真柱5に免震装置18を収納可能な丸形鋼管6を介
装しておき、地下部分の躯体の施工が完了した後に、丸
形鋼管6の開口部7から上記免震装置18を挿入して据
え付け、その上下部にグラウトを注入して構真柱5と一
体化させた後に、免震装置18の側方に位置する丸形鋼
管6を切断することにより、この建物における基礎免震
構造を構築することができるため、上述した逆打工法に
おける工期短縮化の効果とあいまって、地下部分に基礎
免震構造を有する建物を、容易かつ短い工期で構築する
ことができる。
【0016】また、特に本実施形態においては、ケーシ
ング2内に吊り込む前に、予め構真柱5の丸形鋼管6に
開口部7を穿設するとともに、一旦蓋体によってこれを
閉じておき、一連の施工が完了した後に、上記蓋体を取
外して内部に免震装置18を挿入するようにしているの
で、地下最下部において丸形鋼管6に穴開け作業を行な
う必要がなく、よって複数階の地下部分を有する建物に
適用した場合に、より一層作業が容易になるとともに工
期の短縮化を図ることができて好適である。
【0017】なお、上記開口部7は、施工条件によって
は地上で穿設しておかずに、免震装置18を据え付ける
際に、その場で穿設するようにしてもよい。また、上記
免震装置18を挿入するための管状部についても、丸形
鋼管6に限定されるものではなく、免震装置18を組込
むことができる寸法であれば、角形鋼管等の他の形状の
管状部材を使用することも可能である。さらに、上記実
施の形態においては、逆打工法によって基礎部分に免震
装置が介装された基礎免震構造の建物を構築する場合に
ついてのみ説明したが、これに限らず、複数階の地下部
分を有する建物において、当該地下部分の中間階におけ
る柱に免震装置を介装する建物に対しても同様に適用す
ることが可能である。
【0018】また、上記実施の形態においては、ケーシ
ング2内に吊り込む前に、予め構真柱5の丸形鋼管6に
開口部7を穿設しておき、一連の施工が完了した後に、
地下において内部に免震装置18を挿入するようにして
いるが、これに限るものではなく、例えば請求項3に記
載の発明のように、地上において構真柱5の丸形鋼管6
内に免震装置18を組込むとともに、その上下部にグラ
ウトを充填・固化させることにより構真柱5の丸形鋼管
6内に一体的に据え付けておき、これをケーシング2内
に吊り込んで、上述した一連の地下部分の施工が完了し
た後に、丸形鋼管6の外周部を切断することにより、構
真柱5に作用する逆打荷重を上記免震装置18を間に介
して支持させるようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3のい
ずれかに記載の本発明に係る逆打工法による免震建物の
構築方法にあっては、逆打工法によって地下部分を構築
するに際して、予め構真柱に免震装置を収納可能な管状
部を介装しておき、地下部分の躯体の施工が完了した後
に、据え付けられた上記免震装置の側方に位置する管状
部を切断することにより、この建物における免震構造を
構築することができるため、この種の逆打工法における
工期短縮化の効果とあいまって、地下部分に免震構造を
有する建物を、容易かつ短い工期で構築することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態において構真柱を建て込む
状態を示す正面図である。
【図2】同、1階の先行躯体を施工した状態を示す正面
図である。
【図3】同、地下部分を掘削した状態を示す正面図であ
る。
【図4】同、基礎および地中梁を施工した状態を示す正
面図である。
【図5】同、地下1階の梁・スラブ・基礎を施工した状
態を示す正面図である。
【図6】同、切梁解体後、地下1階の立上り柱を施工し
た状態を示す正面図である。
【図7】同、構真柱の丸形鋼管内に免震装置を組込む状
態を示す正面図である。
【図8】同、免震装置の据え付け後、丸形鋼管の外周を
切断した状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 地中 2 ケーシング 3 場所打ち杭 5 構真柱 6 丸形鋼管(管状部) 7 開口部 9 梁(1階の先行躯体) 13 耐圧基礎 16 基礎 18 免震装置 L 基礎の床付レベル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中にケーシングを打込んで内部を掘削
    した後に、上記ケーシング内にコンクリートを打設して
    場所打ち杭を施工するとともに、この場所打ち杭に、上
    部が地上まで延出し、かつ免震装置を介装すべき位置に
    当該免震装置が収納可能な管状部を有する構真柱を立設
    し、次いで1階と各地下階の先行躯体を順次施工し、当
    該躯体を利用して地下最下階部分を基礎の床付レベルま
    で掘削した後に、上記構真柱回りの基礎を含めた地下最
    下層の躯体を施工し、次いで上記管状部内に免震装置を
    取付けた後に、上記免震装置の側方に位置する上記管状
    部を切断することにより、上記構真柱に作用する逆打荷
    重を上記免震装置を間に介して支持させることを特徴と
    する逆打工法による免震建物の構築方法。
  2. 【請求項2】 上記ケーシング内に立設する前に、予め
    上記管状部に上記免震装置が挿通可能な開口部を穿設す
    るとともに、当該開口部を蓋体によって閉じておき、上
    記免震装置を取付ける際に、上記蓋体を取外して上記開
    口部から上記免震装置を内部に組込み、次いで上記管状
    部内の免震装置の上下部にグラウトを充填して固化させ
    た後に、上記免震装置の側方に位置する管状部を切断す
    ることを特徴とする請求項1に記載の逆打工法による免
    震建物の構築方法。
  3. 【請求項3】 地中にケーシングを打込んで内部を掘削
    した後に、上記ケーシング内にコンクリートを打設して
    場所打ち杭を施工するとともに、この場所打ち杭の上部
    から地上まで延出し、かつ免震装置を介装すべき位置に
    当該免震装置が収納された管状部を有する構真柱を立設
    し、次いで1階の先行躯体を施工し、当該躯体を利用し
    て地下階部分を基礎の床付レベルまで掘削した後に、上
    記構真柱回りの基礎を含めた地下最下層の躯体を施工
    し、次いで上記管状部を切断することにより、上記構真
    柱に作用する逆打荷重を上記免震装置を間に介して支持
    させることを特徴とする逆打工法による免震建物の構築
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014020097A (ja) * 2012-07-18 2014-02-03 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 免震装置支持構造及び免震装置支持構造の施工方法
JP2016079596A (ja) * 2014-10-14 2016-05-16 株式会社大林組 地下部に免震層が有る建物の構築方法、及び該構築方法により構築された建物

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