JPH10270014A - シート状電極とこれを用いた電池 - Google Patents

シート状電極とこれを用いた電池

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JPH10270014A
JPH10270014A JP9076201A JP7620197A JPH10270014A JP H10270014 A JPH10270014 A JP H10270014A JP 9076201 A JP9076201 A JP 9076201A JP 7620197 A JP7620197 A JP 7620197A JP H10270014 A JPH10270014 A JP H10270014A
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sheet
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negative electrode
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池の製造工程を安定化させ、製造得率を向
上させるとともに、内部短絡の故障の少ない電池を製造
するための電極シートを提供することを課題とする。 【解決手段】 シート状の電極とシート状のセパレータ
ーを巻回した渦巻き電極群を電池缶に収納して製造する
電池用のシート状電極において、該シート状電極の長手
方向の少なくともいずれかの端部における幅方向の両端
が90°を超える角または曲線で形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池に使用するシ
ート状電極に関し、特にサイクル特性が安定した電池を
高い製造得率で製造することのできるシート状電池の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、二次電池の分野では他の電池に比
べ高容量なリチウム電池が注目され、二次電池市場で大
きな伸びを示している。このリチウム二次電池は、正負
電極とセパレーターを巻回ないしは積層した電極群を電
池缶に挿入した後電解液を注入しその後封口することに
よって製造される。できるだけ高容量の電池を作製する
ためには、できるだけ多くの電極材料を電池缶に挿入す
る必要があり、そのため巻回ないしは積層した電極群は
密な構成となっている。
【0003】しかしながら、電極群を密な構成にする
と、様々な故障が発生する。例えば、巻回電極群におい
ては、巻回していく間に電極群の外形が円柱状ではなく
なってしまったり、電極群を強く巻き締めすると内部短
絡が発生したりする故障が発生し、改善がのぞまれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、巻回電
極群作製時及びこれらの電極群を電池に用いたときの故
障が、電極群の形状が真の円柱状となっていないこと、
及びこの原因がシート状電極の端部形状にあることを突
きとめ本発明に至った。図5(A)、(B)は、従来技
術による巻回前の電極群を示す。図5(A)は、電極群
の側面図であり、図5(B)は、電極群の上面図であ
り、図5(A)の電極群を上方から見た図である。電極
群の巻回は、最初に巻き芯20にセパレーター21と2
2を巻き込み、次いでシート状の正極35と負極36を
セパレーター21と22を介して巻き込む。正極35及
び負極36の表面形状は矩形である。正極35は巻き芯
20とセパレーター21にその先端を挟まれた状態で巻
き込まれていくが、正極35の先端の挟み込み時には、
正極35の先端の角41にオレが発生することがある。
また、電極の幅方向(図5(B)の水平方向)の張力が
均一とならず、中央部42よりも端部43に大きな力が
働きやすい。その際、両端部43に同じ力が働けばよい
が、片側に力が偏るとゆがんだ円柱状の電極群の電極群
が形成されることがわかった。正極の角41のオレは、
セパレーター21を突き破り内部短絡の重大な故障を引
き起こす原因となるし、張力の偏りは巻回群の形状をい
びつにし電池缶への挿入不良や内部短絡を引き起こす原
因となっていることがわかった。正極35のみならず、
負極36も同様である。
【0005】本発明の課題は、巻回電極群の製造工程を
安定化させ、製造得率を向上させるとともに、内部短絡
等の故障の少ないシート状電極を提供することである。
【0006】更に詳しくは、電極巻き込み時の張力の不
均一をなくし巻きズレや電極の先端オレの少ないシート
状電極を提供すること、巻回群の形状を均一にし、電池
缶への挿入が容易な電極群を製造可能なシート状電極を
提供すること、内部短絡の少ない電池を提供することに
ある。
【0007】本発明者は、シート状電極の先端が矩形状
であると、挟み込まれたときの張力が両側端に働き、両
側端部の張力が均等となりにくいこと、側端部が折れや
すいことを見いだし本発明に至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、シート
状の電極とシート状のセパレーターを巻回した渦巻き電
極群を電池缶に収納して製造する電池用のシート状電極
において、該シート状電極の長手方向の少なくともいず
れかの端部における幅方向の両端が90°を超える角ま
たは曲線で形成されるシート状電極により解決された。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい態様につ
いて説明するが本発明はこれらに限定されるものではな
い。円筒状電池缶に挿入する円柱状の巻回電極群を作成
する場合を説明する。通常巻回電極群と電池缶との間の
クリアランスは、両側合わせて0.5mm程度である。
自動化した製造工程においては、片側約0.25mmの
クリアランスでの挿入工程が必要となる。巻回電極群の
断面形状が真円から崩れると、挿入工程の達成が困難と
なり、工程の得率が低下する。
【0010】なお、2枚のセパレータと2枚の電極シー
トを用いる場合、一方の電極シートは2枚のセパレータ
に挟まれるので、その位置を安定化し易い。特に問題と
なるのは、上側セパレータ上に載せる他方の電極シート
である。説明の簡単化のため、まず上側セパレータとそ
の上に載る電極シート(正極シートを例に取る)とを抽
出して説明する。
【0011】図1(A)〜(D)は、本発明の実施の形
態による電極の長手方向の端部の例を示す。正極35の
端部の例を以下に示すが、正極負極の少なくとも何れか
を以下の形状とすることができる。図1(A)〜(E)
は、正極35の上面図(図5(B)は同じ方向から見た
図)であり、正極35の長手方向(図の垂直方向)の一
方の端部を示す。両方の端部を図に示す形状にしてもよ
いし、いずれか一方の端部のみを図に示す形状にしても
よいが、その形状を有する端部が巻芯側(巻回電極群の
中心側)にくることが必要である。
【0012】図1(A)〜(D)は、いずれも破線で示
す矩形の電極の端部の両角部を切り欠くことにより、電
極35を形成することができる。両端1は、電極35の
長手方向の端における幅方向(図の水平方向)の両端で
あり、中央部2は、電極35の長手方向の端における幅
方向の中央部である。図1(A)は、電極35の幅方向
の両端1から中央部2へかけて曲線で形成され、かつ中
央部2が両端1よりも突出している電極35を示す。図
1(B)は、中央部2が直線で形成され、両端1が直線
と曲線の交わりで形成され、かつ中央部2が両端1より
も突出している電極35を示す。図1(C)は、両端1
が90°を超える角で形成され、中央部2が直線で形成
され、かつ中央部2が両端1よりも突出している電極3
5を示す。図1(D)は、長手方向の端部が2段で形成
される電極35を示す。すなわち、両端1から中央部2
へはなだらかに形状が変化している必要はなく、多段の
形状により電極35の端部を形成してもよい。この際、
両端1の形状は、直線と曲線の交わりでも90°を超え
る角であってもよい。
【0013】電極35の両端1は直線と上方向に(長手
方向の端の方向に)凸形状の曲線の交わり(図1
(A)、(B)、(D))または90°(より好ましく
は100°)を超える角(図1(C))であることが好
ましい。さらに、中央部2が両端1よりも上方向に(長
手方向の端の方向に)突出していることが好ましい。
【0014】図1(E)は、図1(A)〜(D)の電極
に必要なさらなる条件を示す。本実施の形態による電極
35は、長手方向の端部が矩形でなく、矩形の角を丸め
た形状である。言い換えると、矩形の角部の直角が落と
され鈍角化されている。この丸め込みにより電極を巻回
する際に電極の角のオレ等を防止することができる。た
だし、矩形の角を極くわずかに丸めただけでは、上記の
効果をほとんど期待できない。そこで、図1(E)の破
線に示すように、電極35の長手方向の端部を矩形に近
似したときに、当該矩形の角を少なくとも最小切り欠き
部3以上切り欠いていることが望ましい。最小切り欠き
部3は、当該矩形の角を構成する長さLの2つの辺を含
む直角三角形で形成される。長さLは、1mm以上、電
極幅の1/3以下の長さであり、1mmが好ましく、2
mmがより好ましい。
【0015】図2は、図5(B)に対応する巻回前の電
極群の上面図である。巻芯20に電極35を載せたセパ
レータ21を巻回して行くと、まず電極35の幅方向の
中央部2が巻芯20に巻き込まれ、続いて電極35の幅
方向の両端1が巻芯20に巻き込まれる。まず、中央部
2が巻芯20上に巻き込まれることにより、電極35と
巻芯20との相対的位置関係が定まる。電極35の両角
が丸め込まれていることにより、巻芯20と電極35と
が初めて接触した時に両角がまくれて折り返される事故
を防止できる。巻芯20と電極35との相対的位置関係
が安定化した後、両端1が巻芯上に巻き込まれるので、
両端に不均等な係合力が働くことを防止できる。
【0016】図3は、図5(A)に対応する巻回前の電
極群の側面図である。巻芯20は、例えば直径が3.5
mmであり、シート状の2枚の絶縁性セパレータ21と
22の一端近傍を折り返すように挟む。正極集電体23
は、中央部の両面に正極合剤25が塗布されており、先
端CTの近傍の両面には正極合剤が塗布されていない。
正極リード24は、正極集電体23の上の正極合剤が塗
布されていない部分に接合されている。負極集電体26
は、中央部の両面に負極合剤27が塗布されており、先
端CTの近傍の両面には負極合剤が塗布されていない。
【0017】正極集電体23は、巻芯20とセパレータ
21の間に挟まれて巻回される。負極集電体26は、2
枚のセパレータ21と22の間に挟まれて巻回される。
負極集電体26の先端CTがセパレータ21を挟んで対
向する正極集電体23の部分の巻芯20側の面に正極リ
ード24が接合されている。すなわち、正極集電体23
上で正極リード24が接合されている部分は、セパレー
タ21を挟んで負極集電体26の先端CTの端部と対向
する。
【0018】正極リード24を正極集電体23に接合す
る際にバリが生じ、正極リード24に対向するセパレー
タ21が破損することがある。例えば、セパレータ21
の厚さは30μmであり、正極集電体23の厚さは20
μmである。その部分でセパレータ21が破損すると、
正極集電体23と負極集電体26が短絡してしまう。そ
のような短絡を回避するため、以下の対策を行なっても
よい。
【0019】正極リード24が接合された正極集電体2
3の部分にセパレータ21を挟んで対向する負極シート
36の先端CTの周辺部分の面(表面)を絶縁性材料3
0で被覆する。当該CTの周辺部の表面及び裏面を覆う
ように絶縁性材料で被覆してもよい。絶縁性材料30
は、負極集電体26の露出部に設けることが好ましい
が、負極集電体26の先端CTまで負極合剤を設けて負
極合剤上に絶縁性材料を設けてもよい。負極集電体26
の先端CTは、図1(A)〜(D)に示すように、幅方
向の角が丸められている。
【0020】絶縁性材料で被覆するには、樹脂を塗布又
は塗り付けたり、絶縁テープを貼り付ければよい。絶縁
性材料は、粘着性絶縁テープが好ましい。
【0021】絶縁性材料30で負極集電体26を被覆す
れば、正極リード24のバリがセパレータ21を貫通し
ても絶縁性材料30によって保護される。正極リード2
4のバリと負極集電体26の接触を回避することができ
るので、正極35と負極36の短絡を防止できる。ま
た、巻回時に負極集電体26にオレが生じても、オレの
部分が絶縁性材料で保護されるので、内部短絡を防止す
ることができる。
【0022】図4は、シリンダ型電池の断面図である。
電池の形状はシリンダー、角のいずれにも適用できる。
巻芯を角形にすれば、角型電池を製造することができ
る。電池は、セパレーター21、22と共に巻回した上
記正極シート35と負極シート36を電池缶11に挿入
し、電池缶11と負極シート36を電気的に接続し、電
解液15を注入し封口して形成する。電池蓋12は正極
端子を有し、ガスケット13を介して電池缶11の上部
口に嵌合される。正極シート35は、電池蓋12に電気
的に接続される。この時、安全弁14を封口板として用
いることができる。更に電池の安全性を保証するために
PTC(正温度係数)素子16を用いるのが好ましい。
【0023】以下に電極(正極及び負極)の構成材料に
ついて説明する。電極は、集電体上に正極活物質を含む
正極合剤を塗布してなる正極と、集電体上に負極材料を
含む負極合剤を塗布してなる負極からなり、これらの電
極は更に、後で説明する拡散制御層を有する形態が好ま
しい。また、正極もしくは負極の合剤上もしくは拡散制
御層の上にリチウム金属薄膜を有する構成が特に好まし
い。電極合剤は、正極活物質や負極材料等のリチウムの
挿入放出が可能な化合物を主体とし、導電材や結着剤等
を混合分散して得られる。
【0024】正極中の活物質は、軽金属を挿入放出でき
るものであれば良いが、好ましくはリチウム含有遷移金
属酸化物であり、更に好ましくはLix CoO2 、Li
x NiO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob
1-b z 、Lix Cob Fe1-b z 、Lix Mn2
4 、Lix MnO2 、Lix Mn23 、Lix Mn
b Co2-b z 、Lix Mnb Ni2-b z 、Lix
b 2-b z 、Li x Mnb Fe1-b z (ここでx
=0.05〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8
〜0.98、z=1.5〜5)である。
【0025】以下、本明細書で言う軽金属とは、周期律
表第1A族(水素を除く)及び第2A族に属する元素で
あり、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムであ
り、特にリチウムであることが好ましい。
【0026】負極材料は、軽金属を挿入放出できるもの
であれば良いが、好ましくは黒鉛(天然黒鉛、人造黒
鉛、気相成長黒鉛)、コークス(石炭または石油系)、
有機ポリマー焼成物(ポリアクリロニトリルの樹脂また
は繊維、フラン樹脂、クレゾール樹脂、フェノール樹
脂)、メゾフェースピッチ焼成物、金属酸化物、金属カ
ルコゲナイド、リチウム含有遷移金属酸化物及びカルコ
ゲナイドである。
【0027】特に、Ge、Sn、Pb、Bi、Al、G
a、Si、Sbの単独あるいはこれらの組み合わせから
なる酸化物、カルコゲナイドが好ましい。更に、これら
に網目形成剤として知られているSiO2 、B23
25 、Al23 、V25 などを加えて非晶質化
させたものが特に好ましい。これらは化学量論組成のも
のであっても、不定比化合物であっても良い。
【0028】これらの化合物の好ましい例として以下の
ものを挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0029】GeO、GeO2 、SnO、SnO2 、S
nSiO3 、PbO、SiO、Sb 25 、Bi2
3 、Li2 SiO3 、Li4 Si27 、Li2 GeO
3 、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl
0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3. 65、SnAl0.4 0.5
0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.
5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、SnAl0.4 0.4
0.4 Ba0.083.28、SnAl0.5 0.4 0.5 Mg
0.1 0.2 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1
Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg
0.050.1 3.03、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba
0.083.34、Sn1.2 Al0.5 0.3 0. 4 Cs0.2
3.5 、SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1
2.8 、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、Sn
Si0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0. 2 2.95、SnS
0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、Sn0.9 Mn
0.3 0. 4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9
0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb 0.1 2.95、Sn0.3
Ge0.7 Ba0.1 0.9 3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg
0. 1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9
3.35
【0030】さらに負極材料は、軽金属、特にリチウム
を挿入して用いることができる。リチウムの挿入方法
は、電気化学的、化学的、熱的方法が好ましい。
【0031】負極材料へのリチウム挿入量は、リチウム
の析出電位に近似するまででよいが、上記の好ましい負
極材料当たり50〜700モル%が好ましい。特に10
0〜600モル%が好ましい。
【0032】正極及び負極中の導電剤は、グラファイ
ト、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェ
ンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維やポリフェニ
レン誘導体であり、特にグラファイト、アセチレンブラ
ックが好ましい。
【0033】正極及び負極中の結着剤は、ポリアクリル
酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコー
ル、澱粉、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロリド、ポ
リビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、
SBR(styrene−butadiene−rub
ber)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体
(EPDM:ethylene−propylene−
diene methylene linkage)、
スルホン化EPDM、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポ
リエチレンオキシドであり、特にポリアクリル酸、カル
ボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは、粒子
サイズが1ミクロン以下の水分散ラテックスとして使用
するとより好ましい。
【0034】正極及び負極の支持体即ち集電体は、材質
として、正極にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケ
ル、チタン、またはこれらの合金であり、負極には銅、
ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金
であり、形態としては、箔、エキスパンドメタル、パン
チングメタル、金網である。特に、正極にはアルミニウ
ム箔、負極には銅箔が好ましい。
【0035】次にリチウムイオンの拡散制御層について
説明する。拡散制御層は、少なくとも1層からなり、同
種又は異種の複数層により構成されていても良い。これ
らの層は、水不溶性の粒子と結着剤から構成される。結
着剤は電極合剤を形成する時に用いる結着剤と同じもの
を用いることが出来る。拡散制御層に含まれる水不溶性
粒子の割合は2.5重量%以上、96重量%以下が好ま
しく、5重量%以上、95重量%以下がより好ましく、
10重量%以上、93重量%以下が特に好ましい。
【0036】上記の水不溶性の粒子としては、導電性粒
子と実質的に導電性を持たない粒子の両方又はいずれか
を用いることができる。導電性粒子としては金属、金属
酸化物、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラックや黒鉛
等の炭素粒子を挙げることが出来る。水への溶解度は、
100ppm以下、好ましくは不溶性のものが好まし
い。これらの水不溶導電性粒子の中で、アルカリ金属特
にリチウムとの反応性が低いものが好ましく、金属粉
末、炭素粒子がより好ましい。粒子を構成する元素の2
0℃における電気抵抗率としては、5×109 Ω・m以
下が好ましい。
【0037】上記の金属粉末としては、リチウムとの反
応性が低い金属、即ちリチウム合金を作りにくい金属が
好ましく、具体的には、銅、ニッケル、鉄、クロム、モ
リブデン、チタン、タングステン、タンタルが好まし
い。これらの金属粉末の形は、針状、柱状、板状、塊状
のいずれでもよく、最大径が0.02μm以上、20μ
m以下が好ましく、0.1μm以上、10μm以下がよ
り好ましい。これらの金属粉末は、表面が過度に酸化さ
れていないものが好ましく、酸化されているときには還
元雰囲気で熱処理することが好ましい。
【0038】上記の炭素粒子としては、従来電極活物質
が導電性でない場合に併用する導電材料として用いられ
る公知の炭素材料を用いることが出来る。これらの材料
としてはサーマルブラック、ファーネスブラック、チャ
ンネルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラッ
ク、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛、
人工黒鉛、炭素繊維等があげられる。これらの炭素粒子
を結着剤と混合分散するためには、カーボンブラックと
黒鉛を併用するのが好ましい。カーボンブラックとして
は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが好まし
い。炭素粒子は、0.01μm以上、20μm以下が好
ましく、0.02μm以上、10μm以下がより好まし
い。
【0039】上記の実質的に導電性を持たない粒子とし
てはテフロンの微粉末、SiC、窒化アルミニウム、ア
ルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フォルス
テライト、ステアタイトを挙げることが出来る。これら
の粒子の重量は、導電性粒子の0.01倍以上、10倍
以下で使うと好ましい。
【0040】これらの拡散制御層の厚みは0.1μm以
上50μm以下が好ましく、0.3μm以上20μm以
下がより好ましく、0.5μm以上10μm以下が特に
好ましい。
【0041】電極合剤上もしくは拡散制御層上に有する
ことのできるリチウム金属の薄膜は、厚みが5〜150
μmであることが好ましく、5〜100μmがさらに好
ましく、10〜75μmが特に好ましい。リチウムは、
純度90重量%以上のものが好ましく、98重量%以上
のものが特に好ましい。電極シート上のリチウムの重ね
合せパターンとしてはシート全面に重ね合わせることが
好ましいが、リチウムは電極が電解液と接した後エージ
ングによって徐々に電極中に拡散するため、シート全面
ではなくストライプ、枠状、円板状のいずれかの部分的
重ね合わせであってもよい。ここで言う重ね合せとは電
極合剤もしくは拡散制御層を有するシート上に直接リチ
ウムを主体とした金属箔を圧着することを意味する。
【0042】次に重ね合わせるリチウム量に付いて、負
極を例に説明する。負極シート上に重ね合せるリチウム
は、電極が電解液と接触するとイオン化・拡散して負極
合剤中の負極材料中に挿入される。このリチウム挿入量
(予備挿入量という)としては、好ましくは負極材料に
対して0.5〜4.0当量であり、さらに好ましくは1
〜3.5当量であり、特に好ましくは1.2〜3.2当
量である。1.2当量よりも少ないリチウムを負極材料
に予備挿入した場合には電池容量が低く、また3.2当
量より多くのリチウムを予備挿入した場合にはサイクル
性劣化があり、それぞれ好ましくない。
【0043】リチウムを主体とした金属箔の切断、貼り
付け等のハンドリング雰囲気は露点−30℃以下−80
℃以上のドライエアー又はアルゴンガス雰囲気下が好ま
しい。ドライエアーの場合は−40℃以下−80℃以上
がさらに好ましい。また、ハンドリング時には炭酸ガス
を併用してもよい。特にアルゴンガス雰囲気の場合は炭
酸ガスを併用することが好ましい。
【0044】次に、図4に示す電池のうち電極以外の要
素を説明する。セパレータは、イオン透過度が大きく、
所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、
材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマ
ー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガ
ラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織
布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質と
して、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
とポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの
混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、
形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特
に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微
孔性フィルムが好ましい。
【0045】電解液は、有機溶媒としてプロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、
1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テト
ラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメ
チルスフォキシド、ジオキソラン、1,3−ジオキソラ
ン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタ
ン、アセトニトリル、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピ
オン酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタ
ン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2
−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、
テトラヒドロ誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロ
パンサルトンの少なくとも1種以上を混合したもの、ま
た電解質として、LiClO4 、LiBF4 、LiPF
6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、LiAsF
6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボ
ン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、
LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチ
ウムの1種以上の塩を溶解したものが好ましい。特にプ
ロピレンカーボネートあるいはエチレンカーボネートと
1、2−ジメトキシエタン及び/あるいはジエチルカー
ボネートとの混合溶媒にLiCF3 SO3 、LiClO
4 、LiBF4 、及び/あるいはLiPF6 を溶解した
ものが好ましく、特に、少なくともエチレンカーボネー
トとLiPF6 を含むことが好ましい。
【0046】有底電池外装缶は、材質として、ニッケル
メッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS30
4、SUS304L,SUS304N、SUS316、
SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニ
ッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミ
ニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、
形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長
方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合
は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が
好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレ
ス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。
【0047】ガスケットは、材質として、オレフィン系
ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、
ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水
分透過性を有するオレフィン系ポリマーが好ましく、特
にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロ
ピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであること
が好ましい。
【0048】電池は必要に応じて外装材で被覆される。
外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フ
ィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。
また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設
け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0049】電池は必要に応じて複数本を直列及び/ま
たは並列に組み電池パックに収納される。電池パックに
は正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/ま
たは電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池
及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニタ
ーし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設け
ても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び
負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全
体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端
子等を外部端子として設けることもできる。また電池パ
ックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を
内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接
することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱
できるように固定しても良い。さらには、電池パックに
電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設
けても良い。
【0050】電池は様々な機器に使用される。特に、ビ
デオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニ
ター内蔵ムービーカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフ
カメラ、使い捨てカメラ、レンズ付きフィルム、ノート
型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、
コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、
自動車等に使用されることが好ましい。
【0051】
【実施例】以下に具体例を挙げ、本発明をさらに詳しく
説明するが、発明の主旨を超えない限り、本発明は実施
例に限定されるものではない。
【0052】(負極シートの作製)負極材料としてSn
0.5 0.5 3 を77.5重量%、鱗片状黒鉛を1
7.01重量%、酢酸リチウムを0.94重量%、更に
結着剤としてポリフッ化ビリニデンを3.78重量%お
よびカルボキシメチルセルロースを0.77重量%加
え、水を媒体として混練して、負極合剤層用スラリーを
作製した。
【0053】厚さ18μmの銅箔(負極集電体)26の
両面に、幅18mmの剥離用テープを443mm間隔に
貼り付けた。該スラリーをこの銅箔26の両面に、エク
ストルージョン法により幅500mmの塗布を行い、乾
燥した。乾燥後剥離テープを引き剥がし、集電体の露出
部を形成した。図3に示すように、乾燥後の負極合剤2
7の厚みは集電体26を除き90μmであった。その
後、ローラープレス機により負極合剤27の厚みを集電
体26を除き78μmに圧縮成型した。その後230℃
で20分間熱処理をし、室温に戻した後、57.5mm
幅にスリットした。
【0054】この電極の集電体露出部にニッケル製の負
極リードを40kHzで超音波溶接した。その後、図3
に示すように、負極リードと集電体露出部を覆うように
幅15mmのポリプロピレン製保護テープ30を電極を
幅方向に覆うように貼り付け、リード溶接端部から5m
mの位置で図1(A)に示す形状に切断し、負極シート
を作成した。
【0055】(正極シートの作製)正極材料として、L
iCoO2 を92.71重量%、アセチレンブラックを
3.26重量%、炭酸水素ナトリュウムを0.93重量
%、さらに結着剤としてポリビニリデンフロライドを1
重量%、エチルヘキシルアクリレートを主体とするエチ
ルヘキシルアクリレートとアクリル酸との共重合体を
1.66重量%、カルボキシメチルセルロースを0.4
4重量%加え、水を媒体として混練して得られたスラリ
ーを厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)の両面に
塗布した。塗布は間欠的に行い、長さ403mmの合剤
塗布部と、33mmの未塗布部が交互に繰り返すように
した。
【0056】乾燥した後、プレスローラーで成形し集電
体を除く電極の厚みが190μmの正極シートを作製し
た。この正極シートを240℃で20分間熱処理し、室
温に戻した後56mm幅にスリットした。合剤端部から
3mmの位置で切断し、集電体の露出部が先端部(巻芯
に最初に巻き込まれる側)30mm、後端部3mmの正
極シートを作成した。この正極シートの先端部の両端部
を、端から4mmを図1(B)に示す円弧状に切断し
た。図3に示すように、集電体23の露出部の先端から
5mmの位置に、100μm厚み、4mm幅のアルミニ
ウムリード24を超音波溶接した。
【0057】(シリンダー電池の組立)上記負極シート
および正極シートを露点−40℃以下の乾燥空気中で2
30℃30分間脱水乾燥した。さらに、図6に示すよう
に、脱水乾燥済み正極シート35、幅60.5mm、長
さ600mmの微多孔性ポリプロピレンフィルムセパレ
ーター(セルガード2400)21、脱水乾燥済み負極
シート36およびセパレーター22の順で積層し、これ
を巻き込み機で渦巻き状に巻回した。図3に示すよう
に、この時巻回群の中心付近の正極リード24部分には
負極先端の保護テープ30部分が対向するように配置し
た。
【0058】この巻回体を負極端子を兼ねるニッケルメ
ッキを施した鉄製の有底シリンダー型電池缶11に収納
した。さらに、1リットル当たりLiPF6 とLiBF
4 を各々0.9,0.1mol含有し、溶媒がエチレン
カーボネート、ブチレンカーボネートとジメチルカーボ
ネートの容量比が2:2:6である混合液からなる電解
質15を電池缶11に注入した。正極端子を有する電池
蓋12をガスケット13を介してかしめて、直径17m
m、高さ67mmのシリンダー型電池を作製した。な
お、正極端子12は正極シート35と、電池缶11は負
極シート36とあらかじめリード端子により接続した。
なお、14は安全弁である。
【0059】図1(A)に示す形状の電極シートを巻回
し、電極群を形成した結果、巻回時に電極シートのオレ
が発生せず、真円に近い円柱状の電極群が得られた。巻
回ミスまたは電極群の不良が発生せず、高い電極群得率
が得られた。
【0060】また、真円に近い円柱状の電極群が得られ
たため、円柱状の電池缶へ電極群を容易に収納すること
ができ、収納成功率が向上した。上記の2つの製造得率
が向上したため、電池の製造工程が安定し、高い製造効
率が得られた。
【0061】さらに、巻回時に電極シートのオレが発生
しなかったため、セパレータの破損により内部短絡の故
障が発生することもなかった。内部短絡のない電池が得
られた。
【0062】さらに、正極シートの先端部の集電体露出
部先端の両端部を3mmの直角三角形の部分だけおとし
たものを電池に用いた場合にも、上記と同等の効果が得
られた。
【0063】
【発明の効果】本発明のように、電極シートの角を丸め
ることにより、電池の製造得率が向上し、内部短絡の故
障の少ない電池を得ることができる。
【0064】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による電極シートの上面図
である。
【図2】巻回前の電極群の上面図である。
【図3】巻回前の電極群の側面図である。
【図4】シリンダ型電池の断面図である。
【図5】従来技術による巻回前の電極群である。図5
(A)は電極群の側面図であり、図5(B)は電極群の
上面図である。
【符号の説明】
1 両端 2 中央部 3 最小切欠部 35 正極シート 36 負極シート 11 電池缶 12 電池蓋 13 ガスケット 14 安全弁 15 電解液 16 PTC素子 20 巻芯 21、22 セパレータ 23 正極集電体 24 正極リード 25 正極合剤 26 負極集電体 27 負極合剤 30 絶縁性材料 35 正極シート 36 負極シート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状の電極とシート状のセパレータ
    ーを巻回した渦巻き電極群を電池缶に収納して製造する
    電池用のシート状電極において、該シート状電極の長手
    方向の少なくともいずれかの端部における幅方向の両端
    が90°を超える角または曲線で形成されるシート状電
    極。
  2. 【請求項2】 前記長手方向の端部において、電極の幅
    方向の両端よりも幅方向の中央部が突出している請求項
    1記載のシート状電極。
  3. 【請求項3】 前記長手方向の端部を矩形に近似したと
    きに該矩形の角を含む直角三角形の部分が少なくとも欠
    けており、該直角三角形の直角を構成する2辺がそれぞ
    れ1mm以上である請求項1又は2記載のシート状電
    極。
  4. 【請求項4】 該シート状電極の長手方向の少なくとも
    いずれかの端部の表面が絶縁性材料で被覆されている請
    求項1〜3のいずれかに記載のシート状電極。
  5. 【請求項5】 シート状の正極及び負極とシート状のセ
    パレータを巻回してなる渦巻き電極群であって、該正極
    及び負極の少なくとも一方が請求項1記載のシート状電
    極である渦巻き電極群と、 前記渦巻き電極群を収納する電池缶とを有する電池。
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