JP3646519B2 - 非水二次電池用電極シートとこれらを用いた非水二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製造安定性とサイクル特性に優れた非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のニッカド電池やニッケル水素電池に比べ、高容量のリチウムイオン二次電池が携帯用の機器に多用されて来ている。しかしながら、リチウムイオン二次電池のサイクル寿命は開発当初より大幅に改良されてきているとはいえ、まだ不十分であり、さらなる改良が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、電極の製造の安定性を向上させる電極シートを提供することであり、また電極寸法等の精度を改良することのできる電極シートを提供することであり、更にこれらの電極シートを用いることによりサイクル寿命の長い高容量型の非水二次電池を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、集電体の両面に合剤層を有する帯状の非水二次電池用電極シートは、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する部分の長さの長い方に対して、1%以上15%以下であり、且つ該未塗布部が前記電極シートの長手方向の両端の両面にあり、少なくとも一端の未塗布部の長さが表裏面で異なり、さらに電極リードの幅より少なくとも1mm長い一端の未塗布部において電極リードを溶接して構成されることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい形態について列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0006】
(1)集電体の両面に合剤層を有する帯状の電極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、1%以上15%以下であることを特徴とする非水二次電池用電極シート。
【0007】
(2)集電体の両面に合剤層を有する帯状の負極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、1%以上5%以下であることを特徴とする非水二次電池用負極シート。
【0008】
(3)集電体の両面に合剤層を有する帯状の負極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、1.5%以上4%以下であることを特徴とする非水二次電池用負極シート。
【0009】
(4)該集電体の両面の未塗布部が電極シートの長手方向の両端にあり、その長さが2mm以上であることを特徴とする項2または3に記載の非水二次電池用負極シート。
【0010】
(5)項2又は3の集電体は、厚みが5μm以上15μm以下の導電層を有するシートであることを特徴とする非水二次電池用負極シート。
【0011】
(6)集電体の両面に合剤層を有する帯状の正極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、5%以上15%以下であることを特徴とする非水二次電池用正極シート。
【0012】
(7)集電体の両面に合剤層を有する帯状の正極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、6%以上12%以下であることを特徴とする非水二次電池用正極シート。
【0013】
(8)該集電体の両面に未塗布部が電極シートの長手方向の両端にあり、その長さが2mm以上であることを特徴とする項6または7に記載の非水二次電池用正極シート。
【0014】
(9)項6又は7の集電体は、厚みが5μm以上15μm以下の導電層を有するシートであることを特徴とする非水二次電池用正極シート。
【0015】
(10)正極シート、セパレーター、負極シートを巻回してなる電極群と非水電解質を電池缶に組み込んでなる非水二次電池において、正負電極シートの少なくとも一方が項1〜9のいずれかに記載の電極シートであることを特徴とする非水二次電池。
【0016】
(11)該電極群の最外周に位置する電極シートの最外周部分が、集電体の外周側に合剤層を有さず、内周側のみに合剤層を有することを特徴とする項10に記載の非水二次電池。
【0017】
(12)該電極群の最内周に位置する電極シートの最内周部分が、集電体の巻回群中心側に合剤層を有さず、電極群側のみに合剤層を有することを特徴とする項10に記載の非水二次電池。
【0018】
(13)項11および12の電極シートが負極シートであることを特徴とする非水二次電池。
【0019】
(14)項11の電極シートが負極シート、項12の電極シートが正極シートであることを特徴とする非水二次電池。
【0020】
(15)項11の電極シートが正極シート、項12の電極シートが負極シートであることを特徴とする非水二次電池。
【0021】
(16)項11および12の電極シートが正極シートであることを特徴とする非水二次電池。
【0022】
(17)電極シートと電極端子を連結する電極リードが、電極シートの両面のいずれにも合剤層がない合剤未塗布部に取り付けられていることを特徴とする項10〜16のいずれかに記載の非水二次電池。
【0023】
以下、本発明の実施例の形態について詳細に説明する。
非水二次電池は、以下で詳述する集電体の両面に電極合剤を塗布してなる正極、負極及びセパレーターを、セパレーターが正負極を隔てるように配置して積層又は巻回した電極群を、電池缶に挿入し、電解質を添加注入した後封口し、適宜エージングを施して製作する。この非水二次電池のサイクル特性を改良し、これらの電池に用いられる電極シートの製造適性と精度を改良することが望まれている。電池の形態としては、巻回電極群を用いるのであればいわゆる角型、円筒型、扁平型等のいずれであってもよい。
【0024】
非水二次電池のサイクル特性の劣化には、各種の要因がある。リチウムイオンを吸蔵放出するいわゆるリチウムインタカレーション化合物そのものの構造を安定にすることは当然であるが、安定な化合物を用いても、正負極のバランスが不適切な場合は劣化が早くなる。こうした観点からは、電極の寸法精度及び電極配置精度を良くすることが課題となる。また、充放電を繰り返す時に生じる電極間の微小短絡の原因としては、リチウムデンドライトの生成の他に、電極合剤層の崩れや電極切断時の電極くずの混入等がある。更に、電極から正負極端子に至る回路のいずれかの部分での抵抗の上昇等も劣化の原因となる。特に電極リードと集電体との溶接部分で生じる抵抗は発熱劣化等の原因となりうる。
【0025】
図1は、電極シートの断面図である。集電体21の上面には、電極合剤層22aが形成され、下面には電極合剤層22bが形成されている。集電体21の上面は、電極合剤の塗布部B1と未塗布部A1、A2を有する。集電体21の下面は、電極合剤の塗布部D1と未塗布部C1、C2を有する。各未塗布部は、集電体端部から中央部に向かって延在する。集電体21の上面の未塗布部A1には、電極リード23が溶接により接合される。その溶接により、電極リード23のバリが集電体21の下面に突き出ることがある。電極リード23が接合された集電体21の両面は、未塗布部A1、C1であるので、そのバリにより集電体21の電極合剤層が剥がれることはない。
【0026】
電極シートの両端の、集電体のいずれの面にも合剤層を有さない部分をX1、X2とする。以下、A、B、C、D、Xは、それぞれその領域の長さ(図中、横方向の寸法)も示すものとする。また、合剤層B1、D1の長い方をmax(B1、D1)とする。図1の構成においては、X1=A1=C1、X2=A2、max(B1、D1)=B1である。
【0027】
本実施例の形態による電極シートは、、上記の劣化要因を改良低減させるものであり、電極の合剤層を有さない集電体のみの部分24、25を裁断することにより、電極合剤の裁断くずの発生を抑制すると共に、電極長さの精度を向上させることのできる。また、集電体の合剤未塗布部A1に直接電極リード23を溶接することにより、電極合剤を剥がし取り溶接部の集電体を露出させ、そこに電極リードを溶接する方法で生じる浮遊抵抗の発生を防止することができる。また、本実施例の形態によれば、合剤剥がし等の余分の工程を含まず、製造コストが安価で、精度の高い電極製造方法を提供することができる。
【0028】
電極シートは、集電体21の両面に合剤層22a、22bを有する帯状の電極シートであり、かつ該集電体21の両面のいずれにも合剤層を有さない未塗布部の長さ(X1+X2)が、一方の面に合剤層22a又は22bを有する電極部分の長さの長い方max(B1、D1)に対して、1%以上15%以下である電極シートである。「一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方」とは、長尺状の電極シートの表裏面の電極合剤層22a及び22bの長手方向の長さの中の長い方を言う。これは、表裏面の合剤層22a、22bの長さを意図的に変更する場合、例えば、表裏面の合剤塗布端部26と27の位置を長手方向にずらすことにより、電極塗布乾燥後のプレスローラー等による圧縮時の切断等の故障を避ける場合、あるいは極性の異なる電極と対向しない部分には合剤層を設けないことにより、効率を向上し、劣化を避ける場合等があるからである。集電体21の両面に未塗布部のある部分の長さX1、X2は、長すぎると電池容量が低下するし、短すぎると、電極の裁断や電極リード23の溶接に支障がでるので、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さB1、D1の長い方に対して、1%以上15%以下であることが好ましい。
【0029】
電極が負極シートの場合には、集電体の両面の未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、1%以上5%以下である場合がより好ましく、1.5%以上4%以下である場合が特に好ましい。
【0030】
電極が正極シートの場合には、集電体の両面の未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する電極部分の長さの長い方に対して、5%以上15%以下である場合がより好ましく、6%以上12%以下である場合が特に好ましい。
【0031】
合剤塗布部に対する未塗布部長が長い場合には、未塗布部の薄い電極部分と合剤が両面に塗布された厚い部分とが同じ搬送経路を通るため、搬送中にシワを発生したり、切断故障を発生したりする。
【0032】
短い場合には、負極の場合はリード溶接不良等の溶接工程でのトラブルの原因となりやすい。正極の場合は、巻回群中心付近の正極リード溶接部が原因となると考えられる内部短絡が増大する。
【0033】
集電体の両面の合剤未塗布部は、電極の一つの端にあってもよいが、電極シートの長手方向の両端にあり、かつ少なくとも一端の長さが2mm以上である場合がより好ましい。すなわち、未塗布部X1、X2の少なくともいずれかの長さが2mm以上であることが好ましい。電極リード23を溶接する部分では、未塗布部がリードの幅(図1の水平方向の長さ)より少なくとも1mm以上長いことが好ましい。
【0034】
集電体露出部を作成する方法には、いわゆる間欠塗布の方法、テープ等により予め露出部分を保護しておき、テープ上の合剤を含めてテープをはぎ取る方法が好ましいが、その他、連続塗布した後、機械的あるいは薬品により合剤層を削り落とす方法等がある。合剤層には、各種の塩や、酸、アルカリとなる成分が含まれており、金属集電体表面を変質させるため、集電体上に合剤を連続塗布する方法は、電極リードを溶接する時に高抵抗を示すことがあり、好ましくない。
【0035】
集電体露出部を作成するには、合剤層を集電体上に一度塗布した後に部分的に除去する方法は好ましくなく、合剤層の未塗布により集電体露出部を作成するのが好ましい。合剤層の未塗布部は、集電体上に一度合剤層を塗布した後に除去したものを含まない。
【0036】
集電体は、厚みが5μm以上15μm以下の導電層を有するシートであることが好ましい。厚みが5μm未満の場合は、電極製造時の切断故障等が増大する。また、15μmを越えると、集電体の占める容積の増大により電池容量が低下する不具合がある。
【0037】
集電体の材質としては、正極にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、負極には銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、形態としては、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には銅箔が好ましい。
【0038】
更に集電体は、厚さを薄くするため、プラスチックシートの両面上に金属層を形成したものであってもよい。プラスチックは、延伸性及び耐熱性に優れたものが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレートである。金属だけでは、弾性がほとんどないので、外力に弱い。プラスチック上に金属層を形成すれば、衝撃に強くなる。
【0039】
集電体の形態は有孔の箔、エキスパンドメタルであってもよいし、特開昭59−18578号、同61−74268号等に記載の発泡金属、多孔質発泡金属、1〜20μm程度の金属繊維からなる金属繊維シートや金網であってもよい。上記の有孔集電体の孔は、開口率が0.1%以上、20%以下が好ましく、1%以上、10%以下が特に好ましい。有孔集電体の孔の大きさは1×10-7cm2 以上、1×10-2cm2 以下が好ましく、3×10-6cm2 以上、2×10-3cm2 以下が特に好ましい。孔は、リチウムイオンが透過できるように、集電体の表裏面を連通していることが必要である。特に好ましいのは、孔が集電体を貫通している場合である。
【0040】
巻回電極群に用いられる電極シートは、集電体の両面に合剤層を有さない部分を有すると共に、必要に応じて、片方の面にのみ合剤層を有する形態をとってもよい。巻回電極群の最外周の電極が負極である場合には、この負極の最外周の外側の面には、対向する正極がないので負極合剤はある必要がない。また、最内周の電極が正極である場合には、この正極の最内周の内周側の面には、対向する負極がないので正極合剤はある必要がない。
【0041】
図3は、シリンダ型電池の断面図である。電池の形状はシリンダ、角のいずれにも適用できる。巻芯をシリンダ形にすれば、シリンダ型電池を製造することができ、巻芯を角形にすれば、角型電池を製造することができる。電池は、セパレーター4と共に巻回した正極シート3と負極シート2を電池缶1に挿入し、電池缶1と負極シート2を電気的に接続し、電解液を注入し封口して形成する。端子キャップ13は正極端子を兼ね、ガスケット7を介して電池缶1の上部口に嵌合される。正極シート3は、正極リード8、溶接プレート15、防爆弁体9、電流遮断スイッチ10、正温度係数抵抗(以下、PTCという)リング11を介して端子キャップ13に電気的に接続される。
【0042】
封口体は、上から順に端子キャップ13、PTCリング11、電流遮断スイッチ10、防爆弁体9が重ねられ、ガスケット7に嵌入支持される。端子キャップ13は、電池の表面露出部分であり、防爆弁体9は電池内側である。絶縁カバー16は、防爆弁体9の上側の表面を覆う。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと第二導通体10bと絶縁リング10cを有する。
【0043】
電極群は、正極シート3と負極シート2を、間にセパレータ4を挟んで巻回したものである。その電極群と防爆弁体9の間に、上部絶縁板6が配置される。上部絶縁板6は、電極群と封口体を絶縁すると共に、電極群と電池缶1を絶縁する。電極群と電池缶1の間に下部絶縁板5を配置し、電極群と電池缶1を絶縁する。
【0044】
PTCリング11は電池内温度が上昇すると抵抗が増大して電流を遮断する機能をもつ。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと絶縁リング10cと第二導通体10bの積層構造体であり、第一導通体10aは防爆弁体9側に配置され貫通孔を有し、第二導通体10bはPTCリング11側すなわち端子キャップ13側に配置され貫通孔を有する構造である。第一導通体10aと第二導通体10bとは中央部で電気的に接続され、該第一導通体10aの該接続部の周囲に肉薄部を有している。防爆弁体9は、内圧上昇時に電極群側とは反対側へ変形できるもので、上記した第一導通体10aの中央接続部を押し上げることができるものであれば良い。電池内の異常反応により、内圧が上昇すると防爆弁体9が変形して電流遮断スイッチ10の第一導通体10aと第二導通体10bの接続部分を破断して電流を遮断し、さらに圧力が増加すると防爆弁体9の肉薄部が破壊して圧力を放出する。この時電流遮断スイッチ10を防爆弁体9の電極群側とは反対側に配置しているので、遮断部においてスパークが生じても、電解液蒸気への引火を原因とする電池の破裂が防止される。
【0045】
正極(あるいは負極)シートは、正極合剤(あるいは負極合剤)を集電体上に塗設、成形して作ることができる。正極合剤(あるいは負極合剤)には、正極活物質(あるいは負極材料)の他、導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。これらの電極は、円盤状、板状であってもよいが、柔軟性のあるシート状で巻回できるものが好ましい。
【0046】
以下に電極合剤に使用される材料について説明する。
正極活物質は、リチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。リチウム含有遷移金属酸化物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。
【0047】
より好ましくは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。なお主として存在する遷移金属に対し30モルパーセント未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。
【0048】
さらに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物は、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob 1-b z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn24 、Lix Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni2-c 4 、Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe2-c 4 (ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3)である。
【0049】
最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)があげられる。なおxの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0050】
正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応により合成することができるが、特に焼成法が好ましい。
【0051】
焼成の為の詳細は、特開平6ー60、867号の段落35、特開平7ー14、579号等に記載されており、これらの方法を用いることができる。焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
【0052】
更に、遷移金属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷移金属酸化物と反応させることにより合成する方法であっても良い。
【0053】
正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01〜50m2 /gが好ましく、特に0.2m2 /g〜1m2 /gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0054】
正極活物質を焼成によって得る場合、焼成温度としては500〜1500℃であることが好ましく、さらに好ましくは700〜1200℃であり、特に好ましくは750〜1000℃である。焼成時間としては4〜30時間が好ましく、さらに好ましくは6〜20時間であり、特に好ましくは6〜15時間である。
【0055】
負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物であればよい。このような負極材料の例としては金属リチウム、リチウム合金、炭素質化合物、無機酸化物、無機カルコゲン化合物、金属錯体、有機高分子化合物が挙げられる。これらは単独でも、組み合わせて用いてもよい。これらの負極材料の中で好ましいのは、炭素質材料、金属もしくは半金属元素の酸化物、カルコゲンである。
【0056】
負極材料の一つは、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素質材料である。炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種の炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
【0057】
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−122066号公報、特開平2−66856号公報、同3−245473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。
【0058】
炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−290844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−84516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
【0059】
もう一つの負極材料である、金属もしくは半金族元素の酸化物、カルコゲン化合物は、周期表13,14,15族原子と酸素若しくはカルコゲン族原子からなる化合物である。
【0060】
負極材料として周期表1,2,13,14,15族原子から選ばれる三種以上の原子を含む主として非晶質カルコゲン化合物または非晶質酸化物が特に好ましく用いられる。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。 好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは 結晶性の回折線を有さないことである。
【0061】
上記のカルコゲン化合物、酸化物は、B,Al,Ga,In,Tl,Si,Ge,Sn,Pb,P,As,Sb,Biの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物、複合酸化物がより好ましい。特に好ましいのは、B,Al,Si,Ge,Sn,Pの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物もしくは酸化物である。これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から2族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
【0062】
上記の負極材料の中で、Snを主体とする非晶質の複合酸化物が好ましく、次の一般式(1)で表される。
【0063】
一般式(1) SnM3 c 4 d t
式中、M3 はAl,B,P、Si、Geの少なくとも1種を、M4 は周期律表第1族元素、第2族元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
【0064】
非晶質複合酸化物は、焼成法、溶液法のいずれの方法も採用することができるが、焼成法がより好ましい。焼成法では、一般式(1)に記載された元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0065】
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度としては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
【0066】
本明細書における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
【0067】
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
【0068】
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0069】
上記の化合物の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。寄り詳しくは、平均粒径が0.7〜25μmであり、かつ全体積の60%以上が0.5〜30μmであることが好ましい。また、本発明の負極活物質の粒径1μm以下の粒子群の占める体積は全体積の30%以下であり、かつ粒径20μm以上の粒子群の占める体積が全体積の25%以下であることが好ましい。使用する材料の粒径は、負極の片面の合剤厚みを越えないものであることはいうまでもない。
【0070】
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
【0071】
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
【0072】
また、負極材料の比表面積は、BET比表面積測定法での測定値が0.1〜5m2 /gであることが好ましい。
【0073】
負極材料の例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Na0.2 3.7 、SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2 3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、 SnAl0.4 0.4 0.4 3.2 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.4 0.5 0.5 3.6 、SnAl0.4 0.5 0.5 Mg0.1 3.7
【0074】
SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.050.13.03、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.2 3.03、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPBa0.083.58、SnPK0.1 3.55、SnPK0.05Mg0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa0.080.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1 3.53
【0075】
Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.54、Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Li0.1 0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.083.34、Sn1.1 Al0.4 PCs0.054.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1.2 Al0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3 0.5 Ba0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4 Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.2 0.4 0.4 Ca0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2 3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK0.2 Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3 4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5 Al0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.054.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2 4.63
【0076】
SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0.4 2.7 、SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 2.8 、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3 .2、SnSi0.6 Al0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0.6 0.2 0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8 Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 2.8 、SnSi0.8 Mg0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi0.8 0.2 3.1
【0077】
Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0. サ4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.93.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 0.9 3.35
【0078】
SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.7 0.3 2.85、SnSi0.7 0.3 Al0.1 3.0 、SnSi0.5 0.3 Al0.1 Mg0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.6 0.2 Al0.1 Li0.1 2.5 、Sn0.8 Si0.6 0.2 Al0.1 Cs0.1 2.65、Sn0.8 Si0.7 0.1 0.1 Al0.1 2.75、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 2.9 、Sn0.8 Si0.7 0.1 0.1 Al0.1 Li0.052.78、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.1 Al0.1 Li0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 Cs0.1 2.95、Sn0.8 Si0.7 0.3 2.95、Sn0.8 Si0.7 0.3 Al0.1 3.1 、SnSi0.5 0.3 Zr0.1 2.65、Sn0.8 Si0.6 0.2 Zr0.1 2.7 、Sn0.8 Si0.6 0.2 0.1 Zr0.1 2.75
【0079】
上記焼成されて得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から算出できる。
【0080】
有孔集電体を有する電極は、有孔集電体の両面に形成される合剤層の少なくとも片側にリチウム金属箔が圧着されていることが好ましい。合剤層上のリチウム金属箔の被覆量は、圧着したリチウム金属が存在する側の合剤層の表面の80%以上であることが好ましい。被覆しているリチウム金属箔の厚みは60μm以下、かつ厚み変動率が平均厚みに対して10%以下である場合が好ましい。特に好ましいのは、厚みが10〜40μmで厚み変動率が5%以下のリチウム金属箔である。
【0081】
リチウム金属箔が圧着されている電極は、負極である場合が好ましい。電極群が巻回電極群である場合には、リチウム金属箔を圧着する面は、負極の外側面であることが好ましい。積層電極群もしくは巻回電極群の最外層電極が負極である場合には、この負極の外周側合剤層は対向する正極を有さないため、外周層に圧着するリチウム金属箔の量を調節することが好ましい。対向する正極を片面にしか有さない負極の合剤塗布量が、対向する正極を両面に有する負極の合剤塗布量のa倍であるとき、該リチウムの圧着量も約a倍であり、ここで、aは、0.3<a<0.7の関係を満足する。より好ましいaは0.4<a<0.6である。
【0082】
巻回電極群の最内周及び最外周の電極が正極である場合には、最内周及び最外周部分の正極は合剤層を片面にしか有さない形態であることが好ましい。
【0083】
負極に圧着するリチウム箔の厚みは、負極へのリチウムの挿入量により決めることができる。リチウムの挿入は、リチウムを対極としたときに0.01Vまで挿入することができるが、本実施の形態においては、負極材料の有する不可逆容量を補償するためにリチウムを部分的に挿入する方法であり、リチウムを対極としたときに0.3Vまで挿入する方法を採用する。
【0084】
リチウム金属箔としては、純度90重量%以上のものが好ましく、98重量%以上のものが特に好ましい。負極シート上のリチウムの重ね合せパターンとしてはシート全面に重ね合わせることが好ましいが、負極材料に予備挿入されたリチウムはエージングによって徐々に負極材料中に拡散するため、シート全面ではなくストライプ、枠状、円板状のいずれかの部分的重ね合わせであってもよい。ここで言う重ね合せとは、負極合剤層上に直接、または以下で説明する補助層を有するシート上にリチウム金属箔を圧着することを意味する。
【0085】
リチウムを主体とした金属箔の切断、貼り付け等のハンドリング雰囲気は露点−30℃以下−80℃以上のドライエアー又はアルゴンガス雰囲気下が好ましい。ドライエアーの場合は−40℃以下−80℃以上がさらに好ましい。また、ハンドリング時には炭酸ガスを併用してもよい。特にアルゴンガス雰囲気の場合は炭酸ガスを併用することが好ましい。
【0086】
合剤に使用される導電剤は、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。黒鉛では、アスペクト比が5以上の平板状のものを用いると好ましい。これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好ましく、粒子の大きさは、0.01μm以上、20μm以下が好ましく、0.02μm以上、10μm以下の粒子がより好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、アセチレンブラック等のカーボンブラック類と、1〜15μmの黒鉛粒子を併用すると好ましい。
【0087】
導電剤の合剤層への添加量は、負極材料または正極材料に対し1〜50重量%であることが好ましく、特に2〜30重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグラファイトでは、3〜20重量%であることが特に好ましい。
【0088】
電極合剤を保持するために結着剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレンーマレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2ーエチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来る。
【0089】
特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの結着剤は、微小粉末を水に分散したものを用いるのが好ましく、分散液中の粒子の平均サイズが0.01〜5μmのものを用いるのがより好ましく、0.05〜1μmのものを用いるのが特に好ましい。
【0090】
これらの結着剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好ましい。
【0091】
充填剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
【0092】
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。
【0093】
圧力増強剤は、電池の内圧を上げる化合物であり、炭酸リチウム等の炭酸塩が代表例である。
【0094】
次に、正負電極の構成について説明する。正負電極は集電体の両面に電極合剤を塗布した形態であることが好ましい。この場合、片面あたりの層数は1層であっても2層以上から構成されていても良い。片面あたりの層の数が2以上である場合、正極活物質(もしくは負極材料)含有層が2層以上であっても良い。より好ましい構成は、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層と正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層から構成される場合である。
【0095】
正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層には、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層を保護するための保護層、分割された正極活物質(もしくは負極材料)含有層の間にある中間層、正極活物質(もしくは負極材料)含有層と集電体との間にある下塗り層等があり、本明細書においてはこれらを総称して補助層と言う。
【0096】
保護層は正負電極の両方または正負電極のいずれかにあることが好ましい。負極において、リチウムを電池内で負極材料に挿入する場合は負極は保護層を有する形態であることが望ましい。保護層は、少なくとも1層からなり、同種又は異種の複数層により構成されていても良い。また、集電体の両面の合剤層の内の片面にのみ保護層を有する形態であっても良い。これらの保護層は、水不溶性の粒子と結着剤等から構成される。結着剤は、前述の電極合剤を形成する際に用いられる結着剤を用いることが出来る。水不溶性の粒子としては、種種の導電性粒子、実質的に導電性を有さない有機及び無機の粒子を用いることができる。水不溶性粒子の水への溶解度は、100ppm以下、好ましくは不溶性のものが好ましい。
【0097】
保護層に含まれる粒子の割合は2.5重量%以上、96重量%以下が好ましく、5重量%以上、95重量%以下がより好ましく、10重量%以上、93重量%以下が特に好ましい。
【0098】
水不溶性の導電性粒子としては、金属、金属酸化物、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粒子を挙げることが出来る。これらの水不溶導電性粒子の中で、アルカリ金属特にリチウムとの反応性が低いものが好ましく、金属粉末、炭素粒子がより好ましい。粒子を構成する元素の20℃における電気抵抗率としては、5×109 Ω・m以下が好ましい。
【0099】
金属粉末としては、リチウムとの反応性が低い金属、即ちリチウム合金を作りにくい金属が好ましく、具体的には、銅、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、チタン、タングステン、タンタルが好ましい。これらの金属粉末の形は、針状、柱状、板状、塊状のいずれでもよく、最大径が0.02μm以上、20μm以下が好ましく、0.1μm以上、10μm以下がより好ましい。これらの金属粉末は、表面が過度に酸化されていないものが好ましく、酸化されているときには還元雰囲気で熱処理することが好ましい。
【0100】
炭素粒子としては、従来電極活物質が導電性でない場合に併用する導電材料として用いられる公知の炭素材料を用いることが出来る。具体的には電極合剤を作る際に用いられる導電剤が用いられる。
【0101】
実質的に導電性を持たない水不溶性粒子としては、テフロンの微粉末、SiC、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フォルステライト、ステアタイトを挙げることが出来る。これらの粒子は、導電性粒子と併用してもよく、導電性粒子の0.01倍以上、10倍以下で使うと好ましい。
【0102】
正(負)の電極シートは正(負)極の合剤を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する事ができる。
【0103】
合剤の調製は正極活物質(あるいは負極材料)および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行うことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶媒が用いられるが、水が好ましい。このほか、適宜充填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても良い。分散液のpHは負極では5〜10、正極では7〜12が好ましい。
【0104】
塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、スライド法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることが出来る。エクストルージョンダイを用いる方法、スライドコーターを用いる方法が特に好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。電極層が複数の層である場合にはそれらの複数層を同時に塗布することが、均一な電極の製造、製造コスト等の観点から好ましい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。
【0105】
塗布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜260℃の範囲が好ましい。乾燥後の含水量は2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
【0106】
電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0107】
セパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。これらの微孔性フィルムは単独の膜であっても、微孔の形状や密度等や材質等の性質の異なる2層以上からなる複合フィルムであっても良い。例えば、ポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムを張り合わせた複合フィルムを挙げることができる。
【0108】
電解液は一般に支持塩と溶媒から構成される。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主として用いられる。
【0109】
リチウム塩としては、例えば、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、LiOSO2n 2n+1で表されるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN(SO2n 2n+1)(SO2m 2m+1)で表されるイミド塩(m,nはそれぞれ6以下の正の整数)、LiC(SO2p 2p+1)(SO2q 2q+1)(SO2r 2r+1)で表されるメチド塩(p,q,rはそれぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好ましい。
【0110】
支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0111】
溶媒としては、プロピレンカ−ボネ−ト、エチレンカーボネ−ト、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用する。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。
【0112】
電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカ−ボネ−ト、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/またはLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレンカーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくとも一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれた少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ましい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定されず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて用いることができる。
【0113】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。
固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。中でも、Li3 N、LiI、Li5 NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、xLi3 PO4 −(1−x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化合物などが有効である。
【0114】
有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0115】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、ピロリン、ピロール、トリフェニルアミン、フェニルカルバゾール、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコ−ル、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウンー4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができる。特に好ましいのはトリフェニルアミン、フェニルカルバゾールを単独もしくは組み合わせて用いた場合である。
【0116】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0117】
電解液は、水分及び遊離酸分をできるだけ含有しないことが望ましい。このため、電解液の原料は充分な脱水と精製をしたものが好ましい。また、電解液の調整は、露点がマイナス30℃以下の乾燥空気中もしくは不活性ガス中が好ましい。電解液中の水分及び遊離酸分の量は、0.1〜500ppm、より好ましくは0.2〜100ppmである。
【0118】
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることを行ってもよい。
【0119】
電池缶および電池蓋は材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シート、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0120】
電池缶の内圧上昇の対策として封口板に安全弁を用いることができる。この他、電池缶やガスケット等の部材に切り込みをいれる方法も利用することが出来る。この他、従来から知られている種々の安全素子(例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備えつけても良い。
【0121】
リード板(リード電極)には、電気伝導性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0122】
ガスケットは、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであることが好ましい。
【0123】
電池は、前述の電極群を電池缶に挿入、電解質を注入、電池缶をかしめて封口した後、活性化前にエージングする。電解質の注入から、電池缶をかしめて封口するまでの工程を20℃以下で行うことが好ましい。
【0124】
以上のようにして組み立てられた電池は、エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理には、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これにより高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造することができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行われる。活性化前のエージングが25℃以上、50℃以下の温度で、1日以上10日以下行うのが好ましい。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウムを挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための充放電処理当があり、任意に組み合わせることができる。
【0125】
電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0126】
電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
【0127】
電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、デジタルカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0128】
【実施例】
以下に具体例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0129】
(実施例1)
[正極合剤ペーストの作成]
正極活物質としてLiCoO2 を調整する。炭酸リチウムと四酸化三コバルトを3:2のモル比で混合したものをアルミナるつぼにいれ、空気中、毎分2℃で750℃に昇温し4時間仮焼した後、さらに毎分2℃の速度で900℃に昇温し、その温度で8時間焼成し解砕してLiCoO2 を得る。このLiCoO2 は、中心粒子サイズ5μmの粉末50gを100mlの水に分散した時の分散液の電導度が0.6mS/m、pHが10.1、窒素吸着法による比表面積が0.42m2 /gであった。LiCoO2 を200gと平均粒径0.1μmのアセチレンブラック(ABと表記)10gとを混合し、続いて、それに濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液90gと水70gとを加えて混練混合し、さらに2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体(LAと表記)の水分散物(固形分濃度50重量%)を6g加えた後ホモジナイザーで攪拌混合し、正極合剤ペーストを作成した。
【0130】
[負極合剤ペーストの作成]
負極材料としてSnSi0.5 0.3 0.2 Cs0.05Al0.2 3.28(ジェットミルで粉砕したもので平均粒径4.5μmの非晶質酸化物)を200gと、平均粒径3.8μm(堀場製作所製の粒度分布計LA−500のメジアン径)の人造黒鉛を30gとをホモジナイザーで混合し、さらに結着剤として濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液50g、平均粒径が0.35μmのポリフッ化ビニリデン粉末10gとを加え混合したものに水を30g加えさらに混練混合し、負極合剤ペーストを作成した。
【0131】
[負極保護層ペーストの作成]
アルミナ85g、平均粒径3.8μmの人造黒鉛9gを濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液300gに加え、混練し、負極保護層ペーストを作成した。
【0132】
[正極および負極電極シートの作成]
上記で作成した正極合剤ペーストをブレードコーターで厚さ15μmのアルミニウム箔集電体の両面に、片側当たりの正極活物質換算の塗布量240g/m2 で塗布し乾燥した。合剤の塗布長は495mmとし、33mmの未塗布部を設ける間欠塗布を繰り返した。表裏面の合剤塗布端は位置あわせによりそろえた。その後ローラープレス機で圧縮し、シートの厚みが170μmになるように圧縮成型した。約230℃で15分間熱処理した後、56mm幅に裁断し、帯状の長尺正極シートを作成した。さらにドライボックス(露点;−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて加熱し、電極温度約180℃で充分脱水乾燥し、長尺の帯状正極シートを作成した。
【0133】
同様に、13μmの銅箔集電体の両面に、負極合剤ペーストと負極保護層ペーストを塗布した。この時、負極合剤ペーストが集電体側に、負極保護層ペーストが最上層になるように塗布した。片側当たりの負極材料換算の塗布量は80g/m2 、保護層の固形分塗布量が15g/m2 で、ローラープレス機での圧縮後のシートの厚みが110μmである負極シートを作成した。この負極シートは、表裏面ともに合剤塗布部540mmと未塗布部18mmが繰り返しとなるように間欠塗布したものである。約240℃で15分間熱処理した後、この負極シートを幅57.5mmに裁断し、帯状の長尺負極シートを作成した。さらにドライボックス(露点;−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて加熱し、電極温度約210℃で充分脱水乾燥し、長尺の帯状負極シートを作成した。
【0134】
この負極シートの両面に6mm幅の短冊状のリチウム金属(純度99.8%)箔を10mmのピッチで貼り付けた。
【0135】
[電解液調製]
アルゴン雰囲気で、200ccの細口のポリプロピレン容器に65.3gの炭酸ジエチルをいれ、これに液温が30℃を越えないように注意しながら、22.2gの炭酸エチレンを少量ずつ溶解した。次に、0.4gのLiBF4 ,12.1gのLiPF6 を液温が30℃を越えないように注意しながら、それぞれ順番に、上記ポリプロピレン容器に少量ずつ溶解した。得られた電解液は比重1.135で無色透明の液体であった。水分は18ppm(京都電子製 商品名MKC−210型カールフィシャー水分測定装置で測定)、遊離酸分は24ppm(ブロムチモールブルーを指示薬とし、0.1規定NaOH水溶液を用いて中和滴定して測定)であった。
【0136】
[シリンダー電池の作成]
図2に示したようなシリンダー電池を作製した。巻回電極群は、前記の長尺帯状の正極シート3、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレーター(宇部興産製、EF4500)4、負極シート2およびセパレーター4の順に積層し、これを渦巻き状に巻回して作成した。電極リードの溶接と保護テープの貼りつけ、電極シートのカットは巻回中での一連の工程で行った。
【0137】
正極リードの溶接は、長尺正極シートの合剤未塗布部の端部から8mmの位置に幅4mm、厚み75μmのアルミニウム製リードを抵抗溶接した。溶接部分はポリエチレンを基材としアクリル系粘着剤を用いた絶縁テープで保護した。裁断は一方の合剤端部から3mmかつ他方の合剤端部から30mmの部分で行い、この正極シートを正極シートC−1とした。合剤塗布部の長さは495mmであり、未塗布部の長さは33mmである。巻回群中のC−1は、正極リードの溶接されている部分が巻回電極群の中心部にあり、リードが内周側に来るように巻回した。
【0138】
負極リードの溶接は、長尺負極シートの合剤未塗布部の端部から9mmの位置に幅4mm、厚み100μmのニッケル製リードを超音波溶接した。溶接部分はポリエチレンを基材としアクリル系粘着剤を用いた絶縁テープで保護した。裁断は一方の合剤端部から15mmかつ他方の合剤端部から3mmの部分で行い、この負極シートを負極シートA−1とした。合剤塗布部の長さは540mmであり、未塗布部の長さは18mmである。巻回群中のA−1は、負極リードの溶接されている部分が巻回電極群の最外周にあり、かつリードが内周側面となるようにして巻回した。正負極の合剤層の対向関係は、負極の合剤が約2mm正極合剤より先行させて巻回した。
【0139】
この巻回体を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶1に収納した後、電池缶内に上記電解液を注入し、正極端子を有する電池蓋13をガスケット7を介してかしめて円筒型電池D−1を作成した。D−1の集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合は、正極で33mm/495mm=6.7%、負極で18mm/540mm=3.3%である。
【0140】
正極シートC−1にかえて、合剤塗布長を473mmとし、未塗布部長を55mm、合剤塗布長を463mmとし、未塗布部長を65mm、合剤塗布長を453mmとし、未塗布部長を75mm設ける以外はC−1と全く同様の操作をして正極シートC−2〜C−4を作った。それぞれの集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合は、55mm/473mm=11.6%、65mm/463mm=14.0%、75mm/453mm=16.5%である。電極Cー4は電極の搬送中にシワが発生し、一部では切断故障を起こした。C−3はシワや切断故障の発生の確率が極めて低く、C−2は故障を発生しなかった。
【0141】
更に合剤塗布長を500mmとし、未塗布部長を28mm、合剤塗布長を508mmとし、未塗布部長を20mm設ける以外はC−1と全く同様の操作をして正極シートC−5、C−6を作った。それぞれの集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合は、28mm/500mm=5.6%、20mm/508mm=3.9%である。
正極リードは正極シートのそれぞれの先端から5mmの位置に溶接し、後端の未塗布部が3mmとなるように裁断した。負極シートA−1を用いた電池D−1と同様にして巻回した電池の内部短絡を調べたところ、正極シートC−6を用いた電池は短絡しているものが多数有り、C−5を用いた電池は大幅に短絡電池の数が減少しており、C−1を用いたものはほとんど故障がなかった。
【0142】
以上から、正極ではそれぞれの集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合が、5%以上15%以下であることが好ましく、6%以上12%以下である場合が特に好ましい。
【0143】
負極シートA−1にかえて、合剤塗布長を535mmとし、未塗布部長を23mm、合剤塗布長を528mmとし、未塗布部長を30mm設ける以外はA−1と全く同様の操作をして負極シートA−2とA−3を作った。それぞれの集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合は、23mm/535mm=4.3%と30mm/528mm=5.7%である。電極A−3は電極の搬送中にシワが発生したが、A−2はシワの発生の確率が極めて低く、A−1は故障を発生しなかった。
【0144】
更に負極シートA−1にかえて、合剤塗布長を549mmとし、未塗布部長を9mm、合剤塗布長を551mmとし、未塗布部長を7mm、合剤塗布長を553mmとし、未塗布部長を5mm設ける以外はA−1と全く同様の操作をして負極シートA−4〜A−6を作った。それぞれの集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合は、9mm/549mm=1.64%、7mm/551mm=1.27%、5mm/553mm=0.90%である。電極A−6は電極リード溶接した後検査したところ合剤端部とリードの端が重なっており、リードが浮き上がっているものが多数あった。A−5はリードの溶接故障はなかったが、溶接後の裁断時にリードに近い部分を切断することになったためリードを巻き込んだり、切断面が斜めとなる等の切断不良を発生するものがわずかに認められた。A−1、A−4はこれらの故障が発生しなかった。
【0145】
以上から、負極の集電体の両面に未塗布部のある部分の長さが、合剤層を有する部分の長さに対する割合が、1%以上5%以下である場合が好ましく、1.5%以上4%以下が特に好ましいことがわかる。
【0146】
(実施例2)
実施例1の電池D−1に用いた正極、負極合剤を用い、正負極とも合剤を連続塗布し、正極は幅56mm長さ528mm、負極は幅57.5mm長さ558mmの集電体の両面に合剤層のある電極シートを作製した。正極シートは一方の端部から3mm、他端部から30mmの部分の両面の合剤層をN−メチルピロリドンにより膨潤させた後に合剤層を剥ぎ取り、集電体の露出面を作成し電池D−1と同様な正極シートを作成した。負極シートは一方の端部から3mm、他端部から15mmの部分の両面の合剤層をN−メチルピロリドンにより膨潤させた後に合剤層を剥ぎ取り、集電体の露出面を作成し電池D−1と同様な負極シートを作成した。正極シートの30mmの集電体露出部の先端から5mmにアルミニウム製リードを抵抗溶接した。また、負極シートの15mmの集電体露出部の先端から6mmにニッケル製リードを超音波溶接した。この正負極シートを用い電池D−1と同様にして電池D21を作成した。
【0147】
合剤層の剥ぎ取りをグラインダーと粘着テープを併用する機械的方法による以外は電池D21と全く同様にして電池D22を作成した。電池Dー1と電池D21、D22とは電極シートの集電体露出部の作成方法が異なるのみで他は全く同一である。電池D21、D22の電極シートの集電体露出部は、正負極とも集電体当初のものとは色が変わっていた。また、これらの電池の内部抵抗は電池D−1よりも高く、サイクル経時での放電容量の低下が電池Dー1より大きかった。
【0148】
電池D21、D22では両面の合剤層を剥ぎ取ったが、リード溶接する片面のみ合剤層を剥ぎ取る以外はD21と同様にして電池D23を作成した。電池D23の電極はリード溶接後、リード裏面の合剤層の部分的な脱落が認められた。この電池D23はサイクルテスト中に内部短絡を起こし不良となるものが認められた。
【0149】
集電体露出部は、電極合剤を一度塗布した後に一部を除去することにより形成するよりも、未塗布により形成することが好ましい。
【0150】
【発明の効果】
本発明によれば、電極シートにおいて、合剤層の塗布部の長さに対して未塗布部の長さを所定長にすることにより、電池の故障を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電極シートの断面図である。
【図2】本実施例に使用したシリンダー型電池の断面図を示す。
【符号の説明】
1 電池缶(負極端子を兼ねる)
2 負極シート
3 正極シート
4 セパレーター
5 下部絶縁板
6 上部絶縁板
7 ガスケット
8 正極リード
9 防爆弁体
10 電流遮断スイッチ
11 PTCリング
13 電池蓋(正極端子を兼ねる)
15 溶接プレート
16 絶縁カバー
21 集電体
22 電極合剤層
23 電極リード

Claims (4)

  1. 集電体の両面に合剤層を有する帯状の電極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する部分の長さの長い方に対して、1%以上15%以下であり、且つ該未塗布部が前記電極シートの長手方向の両端の両面にあり、少なくとも一端の未塗布部の長さが表裏面で異なり、さらに電極リードの幅より少なくとも1mm長い一端の未塗布部において電極リードを溶接して構成されることを特徴とする非水二次電池用電極シート。
  2. 集電体の両面に合剤層を有する帯状の負極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する部分の長さの長い方に対して、1%以上5%以下であり、且つ該未塗布部が前記負極シートの長手方向の両端の両面にあり、少なくとも一端の未塗布部の長さが表裏面で異なり、さらに電極リードの幅より少なくとも1mm長い一端の未塗布部において電極リードを溶接して構成されることを特徴とする非水二次電池用負極シート。
  3. 集電体の両面に合剤層を有する帯状の正極シートにおいて、該集電体の両面のいずれの上にも合剤層がない未塗布部の長さが、一方の面に合剤層を有する部分の長さの長い方に対して、5%以上15%以下であり、且つ該未塗布部が前記正極シートの長手方向の両端の両面にあり、少なくとも一端の未塗布部の長さが表裏面で異なり、さらに電極リードの幅より少なくとも1mm長い一端の未塗布部において電極リードを溶接して構成されることを特徴とする非水二次電池用正極シート。
  4. 正極シート、セパレーター、負極シートを巻回してなる電極群と非水電解質を電池缶に組み込んでなる非水二次電池において、正負電極シートの少なくとも一方が請求項1に記載の電極シートであることを特徴とする非水二次電池。
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