JP2007305598A - 電極シート及び電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性が高い電極シートを提供することを課題とする。
【解決手段】 電極の巻回群を有する電池用の電極シートは、集電体の両面に電極合剤が塗布されてなる電極シートであって、該電極シートが、集電体の長手方向の両端部において上下面ともに電極合剤が塗布されていない未塗布部を有し、かつ該未塗布部の内少なくとも一端の表裏面の電極合剤塗布端が電極シートの長手方向に0.3mm以上、30mm以下のズレを有し、プレス加工して作成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、生産性が向上し、かつ高放電電位で寿命安定性に優れ、安全性も高い非水2次電池に使用可能な電極シートの塗布技術に関するものである。
近年、二次電池を搭載する機器の開発が進む中で、高容量の二次電池の必要性が急速に高まっている。その必要性のため、従来のニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池に代わり、リチウムイオン二次電池の開発が進んでいる。リチウムイオン二次電池は、従来の二次電池に比べると高容量であるが、近年の電子機器の発達はめざましく、更に高容量化が望まれている。電池の高容量化のためには、電極材料の開発は当然として、電池容器内に充填する電極材料の量を増やすことが検討されている。電極材料の量を増やすためには、塗布する電極材料を増やすこと、及び塗布後の電極シートを加圧プレスして電極材料の空隙率を減らすことなどが試みられている。
図3は、従来技術による電極シートの長手方向に沿った電極シートの断面図である。通常、電極シートは集電体51の両面に電極材料を含む塗布液(以下合剤塗布液という)が塗布され、集電体51の両面に合剤層52a、52bが形成される。両面の合剤層52a、52bの膜厚の合計は集電体51の厚みより大きく、合剤層52a、52bの空隙率は加圧プレス後10%〜30%に制御されている。
しかしながら、上記の電極シートを用いると加圧プレス工程で電極シートが切断されるなどの故障が発生しやすく、製造適性上の問題があった。すなわち、プレスローラにより、矢印53の方向に電極シートを搬送すると、まず合剤層が塗布されていない集電体51の部分がプレスされ、その後合剤層52a、52bが塗布されている集電体51の部分がプレスされる。プレスされる厚さは、集電体51のみの厚さから、集電体51と合剤層52a、52bを合わせた厚さに変化する。この厚さの変化は、急峻であるので、厚さの変化部54で集電体51が切断されやすい。
また、上記の厚さの変化があるため、電池組み立ての際、電極シートとセパレーターとを重ねて巻回するときに巻はじめ部分(合剤層が塗布されていない集電体51の部分)が均一な円弧を形成しにくく、均一な巻回群が得にくいという欠点があった。
本発明の第一の目的は、電極の製造工程で切断等の故障の少ない工程適性のある電極シートを提供することである。
本発明の第二の目的は、電極の巻回群の真円度を高めることのできる電極シートを提供することである。
本発明の第三の目的は、上記の電極シートを用い、高容量の二次電池を提供することである。
本発明の一観点によれば、電極の巻回群を有する電池用の電極シートは、集電体の両面に電極合剤が塗布されてなる電極シートであって、該電極シートが、集電体の長手方向の両端部において上下面ともに電極合剤が塗布されていない未塗布部を有し、かつ該未塗布部の内少なくとも一端の表裏面の電極合剤塗布端が電極シートの長手方向に0.3mm以上、30mm以下のズレを有し、プレス加工して作成される。
本発明のように、両面の電極合剤塗布端を0.3mm以上、30mm以下ずらすことにより、高い生産性を有する電極シートを得ることができる。
本発明の好ましい態様は以下の通りであるが、これらは1例であって、これらに限定する必要はない。
電極シートは、種々の電池に適用することができるが、以下、一例として、リチウムを活物質とする非水二次電池について詳述する。
図1(A)〜(D)は、本発明の一実施形態による電極シートの製造方法を示す。電極シートは、正極シートと負極シートの総称である。以下の製造方法は、正極シートと負極シートのいずれにも適用することができる。
図1(A)において、電極集電体21は、図の水平方向が長手方向であり、図の奥行方向が幅であり、図の垂直方向が厚さである。電極集電体21は、電荷を集める働きを有すると共に、電極の支持体でもある。電極集電体21の形状は、例えば矩形の薄いシートである。その厚さは、約5μm以上、30μm以下が好ましい。
電極集電体21は、材質として、正極にはアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用い、負極には銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金を用い、形態としては、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金網である。電極集電体21は、特に、正極にはアルミニウム箔、負極には銅箔が好ましい。
電極集電体21の上面(表面)にテープ22aを貼り付け、下面(裏面)にテープ22bを貼り付ける。テープ22aと22bの厚さは、共に10〜100μmであり、好ましくは20〜80μm、特に好ましくは30〜50μmである。上面のテープ22aの一端と下面のテープ22bの一端とは、長手方向に長さL1だけずれている。テープ22aと22bは、どちらが長く(突出し)てもよい。長さL1は、0.3mm以上、30mm以下が好ましい。
図1(B)に示すように、電極集電体21及びテープ22aの上面を覆うように電極合剤23aを塗布し、電極集電体21及びテープ22bの下面を覆うように電極合剤23bを塗布する。電極合剤23a、23bは、後の乾燥工程及びプレス工程を終えた後に、所定の厚さになるように調整して塗布する。電極合剤23a、23bの成分は、後に説明する。当該塗布後、電極シートを乾燥、脱水する。乾燥すると、電極合剤23a、23bはその中に空隙を生じ、体積膨張する。図1(B)は、乾燥後の状態を示す。
乾燥後、上面テープ22aと下面テープ22bを電極集電体21から剥離する。上面テープ22aは、その上面の電極合剤層と共に剥離され、下面テープ22bはその下面の電極合剤層と共に剥離される。図1(C)に示すように、電極集電体21の上面には電極合剤層24aが残され、電極集電体21の下面には電極合剤層24bが残される。上面の電極合剤層24aの一端と下面の電極合剤層24bの一端とは、長手方向に長さL1だけずれる。
テープを剥離した後、電極シートを矢印26の方向に搬送し、プレスローラにより電極シートを厚さ方向にプレスする。まず、電極合剤層24aと24bのいずれも塗布されていない部分31がプレスされ、次に電極合剤層24bのみが塗布されている部分32がプレスされ、次に電極合剤層24aと24bの両方が塗布されている部分33がプレスされる。電極シートの厚さは、上記の3段階に分けて、徐々に厚くなるので、厚さ変化による衝撃力をやわらげることができる。衝撃力をやわらげることにより、プレスの際に電極シートが切れる事故を減少させることができる。
図1(D)に示すように、上記のプレスにより後の電極合剤層25aと25bの厚さは薄くなる。その後、電極集電体21を所定箇所28で裁断する。最終的な電極シートの寸法は、以下のようになる。電極集電体21の厚さは5μm以上、30μm以下が好ましい。電極合剤層25aと25bは、それぞれ電極集電体21の厚さ以上であることが好ましい。より好ましくは、電極合剤層25aと25bの厚さはそれぞれ30μm以上、400μm以下である。電極合剤層25aと25bとの長手方向のずれL1は、0.3mm以上、30mm以下が好ましい。特にずれL1は0.5mm以上、10mm以下が好ましい。
上記の0.3mm以上、30mm以下のズレL1を有することにより、プレスによる電極の切断や、巻回の不均一性の問題が改良される。これら2つの問題を改良するための最適値はそれぞれ異なっている。プレスによる電極の切断を避けるためのズレ量L1の最適値は、0.3mm以上、2mm以下であり、巻回の不均一性を改善するためのズレ量L1のより好ましい値は2mm以上、10mm以下であり、最適値は3mm以上、7mm以下である。
上記のように、電極集電体21上にテープ22a、22bを貼る位置を調整することにより、ずれ量L1を高精度で制御することができる。なお、図1(A)〜(D)は、電極シートの一端のみを示しているが、次に電極シートの全体を示す。電極シートの左端だけでなく、右端も上記の方法で形成することができる。電極シートの製造方法は、例えば特願平9−42655号の図5に示す方法を適用することができる。
図4(A)〜(C)は、電極シートの全体を示す図であり、電極集電体とその両面に塗布される電極合剤層の関係を示す。
図4(A)に示すように、電極集電体41の上面に電極合剤層42aを塗布し、下面に電極合剤層42bを塗布する。上面の電極合剤層42aは、下面の電極合剤層42bに比べ、左端LTが右側(電極シートの中央部の方向)にずれ、右端RTが右側(電極シートの右端の方向)にずれている。電極シートの長手方向の両端は断面形状が並進対称である。電極合剤層42aと42bは、長さがほぼ同じである。
また、図4(B)に示すように、電極集電体41の上面に電極合剤層43aを塗布し、下面に電極合剤層43bを塗布する。上面の電極合剤層43aは、下面の電極合剤層43bに比べ、左端LTが右側(電極シートの中央部の方向)にずれ、右端RTが左側(電極シートの中央部の方向)にずれている。電極シートの長手方向の両端は、断面形状が鏡面対称である。
さらに、図4(C)に示すように、電極集電体41の上面に電極合剤層44aを塗布し、下面に電極合剤層44bを塗布する。上面の電極合剤層44aは、下面の電極合剤層44bに比べ、左端LTが右側(電極シートの中央部の方向)にずれ、右端RTが電極シートの長手方向にそろっている。電極合剤層44aと44bは電極シートの長手方向において、左端LTのみがずれ、右端RTはずれていない又は0.3mm未満のズレである。
図4(A)〜(C)に示すように、種々のずれを形成することができる。特に、電極合剤層42aと42bの長さがほぼ同じになり、製造工程が簡単になるので、図4(A)に示した電極合剤層42aと42bの関係が好ましい。
電極シートにおける電極合剤層のずれL1は、上記の説明のように、テープを貼り付けることにより調整することができるが、これに限定されない。電極集電体にテープを貼らずに電極集電体の上面及び下面に電極合剤層を塗布する開始位置を制御することにより、ずれL1を調整してもよい。また、一方の面は、テープを貼って塗布端の位置を決め、他方の面は塗布する開始位置を制御してもよい。さらに、均一に塗布した電極合剤層を機械的に削り取ることにより、塗布端の位置を制御し、ずれL1を調整してもよい。
図1(D)に示す電極シートの未塗布部29には、リード板(図示せず)が取り付けられる。上記の方法により、正極シートと負極シートを作成する。正極シートと負極シートを、間にセパレータを挟んで、巻回機で巻回する。電極シートは、上記のように3段階に分けて徐々に厚くなるので、巻回しやすく、真円度の高い電極の巻回群を作成することができる。巻回群の作成方法は、例えば特願平9−42655号の図1に示す方法を適用することができる。
図2は、シリンダー型電池の断面図である。電池の形状はシリンダー、角のいずれにも適用できる。電池は、セパレーター10と共に巻回した電極シート8、9を電池缶11に挿入し、電池缶11と負極シート9を電気的に接続し、電解液15を注入し封口して形成する。電池蓋12は正極端子を有し、ガスケット13を介して電池缶11の上部口に嵌合される。正極シート8は、電池蓋12に電気的に接続される。この時、安全弁14を封口板として用いることができる。更に電池の安全性を保証するために正温度係数(PTC)素子16を用いるのが好ましい。
図1(B)に示す電極合剤23aと23bは、正極シートでは正極合剤であり、負極シートでは負極合剤である。正極あるいは負極合剤には、それぞれ正極活物質あるいは負極材料の他、それぞれに導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含むことができる。
正極活物質は、軽金属を挿入放出できるものであれば良いが、好ましくはリチウム含有遷移金属酸化物であり、更に好ましくはLix CoO2 、Lix NiO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob 1-b z 、Lix Cob Fe1-b z 、Lix Mn24 、Lix MnO2 、Lix Mn23 、Lix MnbCo2-b z 、Lix Mnb Ni2-b z 、Lix Mnb 2-b z 、Lix Mnb Fe1-b z (ここでx=0.05〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、z=1.5〜5)である。
以下、本明細書で言う軽金属とは、周期律表第1A族(水素を除く)及び第2A族に属する元素であり、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムであり、特にリチウムであることが好ましい。
負極材料は、軽金属を挿入放出できるものであれば良いが、好ましくは黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、気相成長黒鉛)、コークス(石炭または石油系)、有機ポリマー焼成物(ポリアクリロニトリルの樹脂または繊維、フラン樹脂、クレゾール樹脂、フェノール樹脂)、メゾフェースピッチ焼成物、金属酸化物、金属カルコゲナイド、リチウム含有遷移金属酸化物及びカルコゲナイドである。
特に、Ge,Sn,Pb,Bi,Al,Ga,Si、Sbの単独あるいはこれらの組み合わせからなる酸化物、カルコゲナイドが好ましい。更に、これらに網目形成剤として知られているSiO2 ,B23 ,P25 ,Al23 ,V25 などを加えて非晶質化させたものが特に好ましい。これらは化学量論組成のものであっても、不定比化合物であっても良い。
これらの化合物の好ましい例として以下のものを上げることができるがこれらに限定されるものではない。
GeO、GeO2 、SnO、SnO2 、SnSiO3 、PbO、SiO、Sb25 、Bi23 、Li2 SiO3 、Li4 Si27 、Li2 GeO3 、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、SnAl0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.083.34、Sn1.2 Al0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.9 3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35
さらに負極材料は、軽金属、特にリチウムを挿入して用いることができる。リチウムの挿入方法は、電気化学的、化学的、熱的方法が好ましい。
負極材料へのリチウム挿入量は、リチウムの析出電位に近似するまででよいが、負極材料当たり50〜700モル%が好ましい。特に100〜600モル%が好ましい。
正極及び負極中の導電剤は、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維やポリフェニレン誘導体であり、特にグラファイト、アセチレンブラックが好ましい。
正極及び負極中の結着剤は、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、澱粉、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリプロピレン、SBR(styrene−butadiene−tubber)、EPDM(ethylene−propylene−dienemethylenelinkage)、スルホン化EPDM、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリエチレンオキシドであり、特にポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは、粒子サイズが1ミクロン以下の水分散ラテックスとして使用するとより好ましい。
電池に使用できるセパレータ10(図2)は、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ(Al2O3)繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。
電池に使用できる電解液15(図2)は、有機溶媒としてプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスフォキシド、ジオキソラン、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、アセトニトリル、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロ誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンの少なくとも1種以上を混合したもの、また電解質として、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムの1種以上の塩を溶解したものが好ましい。特にプロピレンカーボネートあるいはエチレンカーボネートと1、2−ジメトキシエタン及び/あるいはジエチルカーボネートとの混合溶媒にLiCF3SO3、LiClO4、LiBF4、及び/あるいはLiPF6を溶解したものが好ましく、特に、少なくともエチレンカーボネートとLiPF6を含むことが好ましい。
電池に使用できる有底電池外装缶11(図2R>2)は、材質として、ニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。
電池に使用できるガスケット13(図2)は、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであることが好ましい。
電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、使い捨てカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
以下に具体例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
まず、正極シートを作成した。図1(A)に示すように、アルミニウム箔からなる厚さ20μmの正極集電体21の両面に長さL1=5mmだけずらして、テープ22aと22bを貼った。テープ22aと22bの厚さは、共に40μmであった。正極合剤を形成するため、活物質としてLiCoO2(87重量部)を用いた。導電剤として鱗片状黒鉛(6重量部)とアセチレンブラック(3重量部)を、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン水分散物(3重量部)とポリアクリル酸ナトリウム(1重量部)を上記の活物質に加え、水を媒体として混練してスラリーを得た。得られたスラリー(正極合剤23aと23b)を正極集電体21の両面にエクストルージョン法により塗布した。正極集電体21の両面には、各厚さが130μmの正極合剤層23aと23bが形成された。この塗布物を乾燥した後、テープ22aと22bをはぎ取った。その後、カレンダープレス機により圧縮成形、裁断して、幅56mm長さ400mmで厚さ250μmの帯状の正極を得た。上記のプレスにより正極が切断されるというトラブルは発生しなかった。
次に、負極シートを作成した。銅箔からなる厚さ18μmの負極集電体21の両面に長さL1=0.5mmだけずらしてテープ22aと22bを貼った。負極材料を形成するため、一酸化錫(73.3重量部)、二酸化珪素(19.5重量部)、酸化マグネシウム(3.5重量部)、酸化ほう素(3.7重量部)を乾式混合し、アルゴン雰囲気下で10時間(1200℃)焼成した後、冷却して粉砕し、平均粒径4.5μmのSnSi0.6Mg0.20.22.7を負極材料として得た。
負極合剤を形成するため、上記の負極材料(88重量部)に導電剤として燐片状黒鉛(6重量部)、結着剤としてポリフッ化ビリニデンの水分散物(4重量部)とカルボキシメチルセルロース(1重量部)及び酢酸リチウム(1重量部)を加え、水を媒体として混練してスラリーを得た。得られたスラリー(負極合剤23aと23b)を上記の負極集電体21の両面にエクストルージョン法により塗布し、正極と同様、乾燥、テープ剥離、圧縮成形、裁断して、幅58mm長さ440mmで厚さ78μmの帯状の負極を得た。正極と同様に、プレスにより負極が切断されるというトラブルは発生しなかった。
裁断の前に、低湿度雰囲気中(露点:−50℃)で、上記で得られた正極と負極を脱水乾燥した。脱水乾燥は、遠赤外線ヒーターを用いて、温度200〜250℃で2時間行った。その後、負極シート(銅集電体)の未塗布部にニッケル製のリード板を超音波溶接した。さらに、厚さ20μmの正極シート(アルミニウム集電体)の露出部にリード板を超音波溶接した。基材がポリイミドでシリコーン系粘着材を用いた粘着テープをリードの溶接部分に貼って保護した。図2に示すように、得られたリード付きの正極シート8、微多孔性ポリエチレンンフィルムセパレーター10、負極シート9を用い、巻回機で巻回した。この巻回は、スムーズかつ容易に行うことができ、真円度の高い電極の巻回群が得られた。
この巻回体を負極端子を兼ねる、ニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶11に収納した。電解質15は、LiPF6とLiBF4を1リットル当たり各々0.9,0.1mol含有し、溶媒がエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルプロピオネートの2:4:3:1の容量比の混合液からなる。この電解質15を電池缶11に注入した。正極端子を有する電池蓋12をガスケット13を介してかしめて円筒型電池を作製した。なお、正極端子12は正極シート8と、電池缶11は負極シート9とあらかじめリード端子により接続した。安全弁14をガスケット13を介して電池缶11に取り付けた。以上の方法により、電池を作製した。
この電極シートは、ローラープレスや巻回時の形状の異常等の製造トラブルを起こさなかった。集電体上の電極合剤のずれL1を変えて、複数の電池を作製した。正極のずれL1が0.1mmのものは、複数の正極のうちの一部がプレス時に切断を起こし、一部が巻回時に形状が均一でなく電池缶挿入ができないと云うトラブルが発生した。ずれL1を30mmを越えてずらしたものは、上記のようなトラブルは発生しなかったが、電池容量が大きく低下した。ずれL1は、0.3mm以上、30mm以下が好ましい。
以上のように、電極集電体の両面に相互に長さL1だけずらして電極合剤層を設けることにより、電極シート製造時(特にプレス加工時)に電極シートが切断する不都合を減らすことができる。また、電極シートを高真円度で巻回して、電池缶に収めることができるので、電池の製造及び性能効率を高くすることができる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
本発明の実施の一形態による電極シートの製造方法を示す図である。 実施例に使用した円筒型電池の断面図を示したものである。 従来技術による電極シートを示す断面図である。 電極シートの断面図である。
符号の説明
8 正極シート
9 負極シート
10 セパレーター
11 電池缶
12 電池蓋
13 ガスケット
14 安全弁
15 電解液
16 PTC素子
21、51 電極集電体
22 テープ
23、52 電極合剤

Claims (15)

  1. 電極の巻回群を有する電池用の電極シートにおいて、集電体の両面に電極合剤が塗布されてなる電極シートであって、該電極シートが、集電体の長手方向の両端部において上下面ともに電極合剤が塗布されていない未塗布部を有し、かつ該未塗布部の内少なくとも一端の表裏面の電極合剤塗布端が電極シートの長手方向に0.3mm以上、30mm以下のズレを有し、プレス加工して作成される電極シート。
  2. 電極シートの長手方向における電極合剤の両塗布端が電極シートの長手方向に0.3mm以上、30mm以下のズレを有している請求項1記載の電極シート。
  3. 前記集電体の厚みが5μm以上、30μm以下である請求項1記載の電極シート。
  4. 前記電極シートの表裏面に塗布されている電極合剤の乾燥膜厚がそれぞれ前記集電体の厚みよりも厚い請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極シート。
  5. 前記表裏面の電極合剤塗布端が長手方向に0.5mm以上、10mm以下のズレを有している請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極シート。
  6. 前記長手方向における表裏面の電極合剤の各一端が互いに0.3mm以上、30mm以下のズレを有し、各他端も互いに0.3mm以上、30mm以下のズレを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極シート。
  7. 前記長手方向における表裏面の電極合剤の各一端が互いに0.3mm以上、30mm以下のズレを有し、各他端のズレは0mm以上、0.3mm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極シート。
  8. 前記集電体はアルミニウム又は銅からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極シート。
  9. 前記電極シートの表裏面に塗布されている電極合剤の乾燥膜厚がそれぞれ30μm以上、400μm以下である請求項3記載の電極シート。
  10. 前記表裏面の電極合剤塗布端が長手方向に0.3mm以上、2mm以下のズレを有している請求項5記載の電極シート。
  11. 前記表裏面の電極合剤塗布端が長手方向に2mm以上、10mm以下のズレを有している請求項5記載の電極シート。
  12. 電極の巻回群を有する電池において、各々が集電体の両面に電極合剤が塗布後、プレスされてなる正極シート及び負極シートを有する電池であって、該正極及び負極シートのうち少なくとも一方が、集電体の長手方向の両端部において上下面ともに電極合剤が塗布されていない未塗布部を有し、かつ該未塗布部の内少なくとも一端の表裏面の電極合剤塗布端が該シートの長手方向にそれぞれ0.3mm以上、30mm以下のズレを有している電池。
  13. (a)集電体の両面に電極合剤を塗布及び乾燥し、電極シートの長手方向の一端において、集電体の上下面ともに電極合剤が未塗工である部分を有し、かつ該一端において両面の電極合剤塗布端が互いに0.3mm以上、30mm以下ずれている電極合剤層を形成する工程と、
    (b)集電体上に形成された電極合剤層を加圧プレスする工程の初期において、集電体のみと、片面のみ合剤層が塗布されている部分と、両面とも合剤層が塗布されている部分との三段階で加圧プレスして電極シートを形成する工程と、
    (c)電極シートを巻回して電極群を形成する工程と
    を含む電極シートの製造方法。
  14. 前記工程(a)は、
    (a−1)集電体上にテープを形成する工程と、
    (a−2)前記テープを覆うように前記集電体上に電極合剤層を形成する工程とを含み、
    前記工程(b)は、(b−1)前記テープをその上の電極合剤層と共に集電体上から除去する工程を含む請求項13記載の電極シートの製造方法。
  15. (a)集電体の両面に電極合剤を塗布及び乾燥し、電極シートの長手方向の一端において、集電体の上下面ともに電極合剤が未塗工である部分を有し、かつ該一端において両面の電極合剤塗布端が互いに0.3mm以上、30mm以下ずれている電極合剤層を形成する工程と、
    (b)集電体上に形成された電極合剤層を加圧プレスする工程の初期において、集電体のみと、片面のみ合剤層が塗布されている部分と、両面とも合剤層が塗布されている部分との三段階で加圧プレスして電極シートを形成する工程と、
    (c)電極シートを巻回して電極群を形成する工程と、
    (d)電極群を電池缶に収納する工程と
    を含む電池の製造方法。
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