JP4304383B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非水電解液二次電池に関するものであり、高容量でサイクル安定性、安全性に優れた非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウムを利用する非水電解液二次電池(リチウム二次電池)はリチウムを可逆的に吸蔵放出可能な材料を含む正極および負極、リチウム塩を含む非水電解液、およびこれらを適切に保持、隔離する部材から構成される。リチウム二次電池は電荷の担い手であるリチウムが軽量かつ極めて卑な電位を有するため、高電圧、高容量という優れた特徴を有する。しかし、大量のエネルギーが貯蔵されているということは、電池反応が暴走した場合の破壊力が大きい事を意味する。このため、電池の安全性の確保は当該分野において最も重要な課題の一つとなっており、例えば正負電極間を隔離する多孔性のセパレーターに一定温度以上では電流遮断機構を持たせること、異常反応等により電池内圧が上昇したときに圧力を開放するための開放弁の機能を付与すること、この開放弁の作動に連動させて電流遮断スイッチを働かせること(米国特許4943497号明細書等に記載)等が実用化され、電池の実使用条件での安全性の確保がなされている。
しかしながら、電池の高容量化の要望は限りなく、そのためさらなる安全機構の開発が望まれている。このための試みの一つとして、特開平9−106835号には、過充電が起きた時の異常に高い電圧で電気化学的に重合し電解液の抵抗を高くすることにより電池を保護することが記載され、それらの化合物としてビフェニル、チオフェン、フラン等の芳香族化合物が開示されている。しかしこれらの化合物には添加量の増大に伴って容量が低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、リチウム二次電池の容量を低下させずに、サイクル安定性および安全性を改良することにある。特に、リチウム二次電池の容量を低下させずに、サイクル安定性および安全性を改良する材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、正極、負極、リチウム塩を含む非水電解液からなる非水電解液二次電池において、該電池の正極、負極および非水電解液の何れかに下記一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とする非水電解液二次電池により達成された。
一般式(11112N−OR13
一般式(1)においてR11、R12およびR13は、総炭素数1ないし12の無置換のアルキル基、総炭素数6ないし20の無置換のアリール基、総炭素数1ないし12の無置換のヘテロ環基、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基を表す(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)。
【0005】
【発明の実施の形態】
発明の好ましい形態を以下に掲げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)正極、負極、リチウム塩を含む非水電解液からなる非水電解液二次電池において、該電池の正極、負極および非水電解液の何れかに下記一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とする非水電解液二次電池。
一般式(11112N−OR13
一般式(1)においてR11、R12およびR13は、総炭素数1ないし12の無置換のアルキル基、総炭素数6ないし20の無置換のアリール基、総炭素数1ないし12の無置換のヘテロ環基、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基を表す(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)。
(2)一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも方が、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基であることを特徴とする項1に記載の非水電解液二次電池。
(3)一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも方とR13が、ともに総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基であることを特徴とする項2に記載の非水電解液二次電池。
(4)該化合物を非水電解液に含有させることを特徴とする項1から3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
(5)該化合物の非水電解液中に含まれる量が、電解液1kgあたり1g以上、50g以下である事を特徴とする項4に記載の非水電解液二次電池。
(6)下記一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
一般式(11112N−OR13
一般式(1)においてR11、R12およびR13は、総炭素数1ないし12の無置換のアルキル基、総炭素数6ないし20の無置換のアリール基、総炭素数1ないし12の無置換のヘテロ環基、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基を表す(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)。
【0006】
本発明において好ましい化合物は、正常な充放電の際の電圧環境下では不活性であって、異常操作等により高電圧環境が発生した時にのみ効果が発現する化合物であることが望ましい。望ましい効果とは、これらの化合物が高電圧環境下で分解反応等を引き起こし、電池の内圧上昇を引き起こし電流遮断スイッチの作動を確実にすることや、電極表面に付着したり、非水電解液の高粘度化をもたらす等により電池内部抵抗を上昇させることである。以下本発明の一般式(1)の化合物について詳しく説明する。
【0007】
一般式(1)においてR11、R12、およびR13は総炭素数1ないし12の置換もしくは無置換のアルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ビニル、アリル、シクロヘキシル、ベンジル等)、総炭素数6ないし20の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチルなど)、総炭素数1乃至12の置換もしくは無置換のヘテロ環基(例えばピリジル、ピラジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル等)、総炭素数1ないし12の置換もしくは無置換のアシル基(例えばホルミル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル等)、総炭素数1ないし12の置換もしくは無置換のオキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニルt−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル等)、またはスルホニル基(例えばメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)を表す。
【0008】
一般式(1)においてR11、R12、およびR13は互いに結合して3乃至9員環を形成してもよい。
【0009】
11〜R13を置換する置換基は特に限定されないが、電池内で副反応を起こさないものが好ましい。好ましい例としてはアルキル基、アリール基、アシル基、オキシカルボニル基、スルホニル基、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシなど)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、N−メチルアニリノなど)、フッ素、メルカプト基(例えばメチルチオ、フェニルチオなど)、アミド基(例えばN−メチルアセトアミド等)、カルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル等)、アシルオキシ基(たとえばアセトキシ、ベンジルオキシ等)、スルホンアミド基(N−メチルスルホンアミド等)、スルファモイル基(N,N−ジメチルスルファモイル等)、ウレタン基(N−メチルメトキシカルボニルアミノ等)、ウレイド基(例えばN,N,N’−トリメチルウレイド等)などが挙げられる。
【0010】
上記一般式(1)で表される化合物の中で、一般式(1)で表される化合物のR11およびR12の少なくとも方が総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基であるとより好ましく(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)、さらに一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも方とR13がともに総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基である化合物が特に好ましい。これらは実施例にて明らかにされる。次に一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0011】
【化1】
Figure 0004304383
【0012】
【化2】
Figure 0004304383
【0013】
【化3】
Figure 0004304383
【0014】
次に一般式(1)で表される化合物の合成法を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されない。
合成例 例示化合物(1)の合成
三口フラスコ中で、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩4.18gをアセトニトリル50mlに分散し、氷冷化でトリエチルアミン23mlを添加し、続いて二炭酸ジ−t−ブチル24gを15分間かけて滴下した。室温下、6時間攪拌した後、析出している塩を濾別し、濾液を濃縮後、残留物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾過して除き、溶媒を留去した。得られた油状物をヘキサンと酢酸エチルの10対1混合液を流出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする例示化合物(1)7.5g を得た。
【0015】
次に一般式(1)で表される化合物の添加方法、添加量について説明する。一般式(1)で表される化合物は正極、負極、電解のいずれに添加しても良いが、電解液に添加する事が好ましい。添加量は任意に選択する事ができるが、典型的な値としては電解液1kg中1g乃至100gである。好ましくは電解液1kg中5gないし50gである。
【0016】
以下、本発明の非水電解液二次電池の製造方法について説明する。
本発明の非水電解液二次電池は、正負の電極シートをセパレーターと共に巻回したもの(巻回群)を電池缶に挿入し、缶と電極を電気的に接続し、電解液を注入した後封口して作成する。また、必要に応じて各種の部材(封口板、リード板、ガスケット、外装材等)が用いられる。
【0017】
正(負)の電極シートは正(負)極の合剤を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する事ができる。
合剤の調製は正極(あるいは負極)材料および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行うことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶媒が用いられるが、水が好ましい。このほか、適宜分散剤、充填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても良い。
塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることが出来る。ブレード法、ナイフ法及びエクストルージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。
塗布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。乾燥後の含水量は2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0018】
本発明で用いられる正極材料はリチウム含有遷移金属酸化物である。好ましくはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。より好ましくは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至2.2の化合物である。なお主として存在する遷移金属に対し30モルパーセント未満の範囲でAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどを含有していても良い。さらに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物は、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Cob 1-b z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn24 、Lix Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni2-c 4 、Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe2-c 4 (ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3)である。
最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、Lix NiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a 2 、Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)があげられる。なおxの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
【0019】
本発明で用いられる負極材料の一つは、リチウムの吸蔵放出が可能な炭素質材料である。炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及びPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種の炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−122066号公報、特開平2−66856号公報、同3−245473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。
炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−290844号公報記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−84516号公報記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
【0020】
本発明で用いられるもう一つの負極材料は、金属もしくは半金族元素の酸化物、カルコゲンである。具体的には、周期表1、2、13、14、15族原子から選ばれる1種以上の原子を含むカルコゲン化合物または酸化物である。
より好ましいのは非晶質カルコゲン化合物または非晶質酸化物である。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは結晶性の回折線を有さないことである。
【0021】
上記のカルコゲン化合物、酸化物は、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Biの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物、複合酸化物がより好ましい。更に好ましいのは、B、Al、Si、Ge、Sn、Pの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物もしくは酸化物である。これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から2族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
【0022】
上記の負極材料の中で、Snを主体とする非晶質の複合酸化物が特に好ましく、次の一般式(3)で表される。
一般式(3) Sn 3 c 4 d t
式中、M3 はAl、B、P、Ge、Siの少なくとも1種を、M4 は周期律表第1族元素、第2族元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
【0023】
本発明の非晶質複合酸化物は、焼成法、ゾル−ゲル方や共沈法等の溶液法のいずれの方法も採用することができる。
以下では焼成法による合成について説明する。焼成法では、一般式(1)に記載された元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0024】
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度としては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
本発明における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、本発明における降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
【0025】
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0026】
本発明の負極材料の例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 Na0.2 3.7 、SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2 3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl0.4 0.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、SnAl0.4 0.4 0.4 3.2 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl0.4 0.4 0.4 Ba0.083.28、SnAl0.4 0.5 0.5 3.6 、SnAl0.4 0.50.5 Mg0.1 3.7
【0027】
SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.2 3.03、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB0.5 0.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPBa0.083.58、SnPK0.1 3.55、SnPK0.05Mg0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa0.080.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1 3.53
【0028】
Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.54、Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Li0.1 0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.083.34、Sn1.1 Al0.4 PCs0.054.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1.2 Al0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al0.4 0.2 0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3 0.5 Ba0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4 Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.2 0.4 0.4 Ca0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2 3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK0.2 Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3 4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5 Al0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.054.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2 4.63
【0029】
SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0.4 2.7 、SnSi0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 2.8 、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnSi0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、SnSi0.6 Al0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0.6 0.2 0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8 Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 2.8 、SnSi0.8 Mg0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi0.8 0.2 3.1
【0030】
Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0.4 0.4 Ca0.1 Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.9 3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 0.9 3.35
【0031】
上記焼成されて得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から算出できる。
【0032】
本発明に用いられる正極活物質および負極材料の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。より詳しくは、平均粒径が0.7〜25μmであり、かつ全体積の60%以上が0.5〜30μmであることが好ましい。また、本発明の負極活物質の粒径1μm以下の粒子群の占める体積は全体積の30%以下であり、かつ粒径20μm以上の粒子群の占める体積が全体積の25%以下であることが好ましい。使用する材料の粒径は、電極の片面の合剤厚みを越えないものであることはいうまでもない。
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
また、本発明の負極材料の比表面積は、BET比表面積測定法での測定値が0.1〜20m2 /gであることが好ましい。
【0033】
本発明で使用される導電剤は、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好ましい。これらは単独で用いても良いし、混合物として用いても良い。
導電剤の合剤層への添加量は、負極材料または正極材料に対し6〜50重量%であることが好ましく、特に6〜30重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグラファイトでは、6〜20重量%であることが特に好ましい。
【0034】
本発明では電極合剤を保持するために結着剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレンーマレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来る。特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
これらの結着剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好ましい。
【0035】
充填剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。
圧力増強剤は、後述の内圧を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例である。
【0036】
本発明で使用できる集電体は正極はアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、負極は銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には銅箔が好ましい。
【0037】
本発明で使用できるセパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。
【0038】
電解液は一般に支持塩と溶媒から構成される。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主として用いられる。本発明で使用出来るリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiOSO2n+1で表されるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN(SO2n+1)(SO2m+1)で表されるイミド塩(m、nはそれぞれ6以下の正の整数)、Li(SO2p+1)(SO2q+1)(SO2r+1)で表されるメチド塩(p、q、rはそれぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF及び/あるいはLiPFを溶解したものが好ましい。支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0039】
本発明で使用できる溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用する。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートをが好ましい。
本発明で使用できる電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/またはLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレンカーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくとも一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれた少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ましい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定されず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて用いることができる。
【0040】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5 NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3 PO4 -(1-x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化合物などが有効である。
有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0041】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウン−4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができる。
【0042】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0043】
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることを行ってもよい。
【0044】
本発明で使用できる電池缶および電池蓋は材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シート、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0045】
電池内での異常反応による内圧上昇や暴走反応を防止するために、弁体と電流遮断素子を組み込むことが好ましい。特に、封口部に内圧上昇により弁が破壊されて内圧を開放する弁体と、弁体の変位に対応して作動する電流遮断スイッチを組み合わせて封口部に組み込むとより好ましい。これらの圧力感応弁体と電流遮断スイッチは、特開平2−112151号公開公報、同2−288063号公開公報、同6−215760号公開公報、同9−92334号公開公報等に記載されているものを用いることができる。
この他、従来から知られている種々の安全素子(例えば、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備えつけても良い。
【0046】
本発明で使用するリード板には、電気伝導性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0047】
本発明で使用できるガスケットは、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであることが好ましい。
【0048】
以上のようにして組み立てられた電池は、エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理には、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これにより高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造することができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウムを挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための充放電処理当があり、任意に組み合わせることができる。
【0049】
本発明の電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0050】
本発明の電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
【0051】
本発明の電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例−1
〔正極合剤ペーストの作成〕
正極材料;LiCoO2 (炭酸リチウムと四酸化三コバルトと3:2のモル比で混合したものをアルミナるつぼにいれ、空気中、毎分2℃で750℃に昇温し4時間仮焼した後、さらに毎分2℃の速度で900℃に昇温しその温度で8時間焼成し解砕したもの。中心粒子サイズ5μm、洗浄品50gを100mlの水に分散した時の分散液の電導度は0.6mS/m、pHは10.1、窒素吸着法による比表面積は0.42m2 /g)を200gとアセチレンブラック10gとを、ホモジナイザーで混合し、続いて結着剤として2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体の水分散物(固形分濃度50重量%)を8g、濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液を60gを加え混練混合し、さらに水を50gを加え、ホモジナイザーで攪拌混合し、正極合剤ペーストを作成した。
【0053】
〔負極合剤ペーストの作成〕
負極材料としてSn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 3.70を200g、導電剤(人造黒鉛)30gとをホモジナイザーで混合し、さらに結着剤として濃度2重量%のカルボキシメチルセルロース水溶液50g、ポリフッ化ビニリデン10gとを加え混合したものと水を30g加えさらに混練混合し、負極合剤ペーストを作成した。
【0054】
〔正極および負極電極シートの作成〕
上記で作成した正極合剤ペーストをブレードコーターで厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の両面に、塗布量400g/m2 、乾燥後のシートの厚みが260μmになるように塗布し、乾燥した後、ローラープレス機で圧縮成型し、167μmの厚みの帯状の正極シートを作成した。さらにドライボックス(露点;−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて充分脱水乾燥し、正極シートを作成した。
同様に、負極合剤ペーストを20μmの銅箔集電体に塗布し、上記正極シート作成と同様の方法で、塗布量70g/m2 、圧縮後のシートの厚みが104μmである負極シートを作成した。
【0055】
〔電解液調製〕
アルゴン雰囲気で、200ccの細口のポリプロピレン容器に65.3gの炭酸ジエチルをいれ、これに液温が30℃を越えないように注意しながら、22.2gの炭酸エチレンを少量ずつ溶解した。次に、0.4gのLiBF4 、12.1gのLiPF6 を液温が30℃を越えないように注意しながら、それぞれ順番に、上記ポリプロピレン容器に少量ずつ溶解した。得られた電解液(E−1)は比重1.135で無色透明の液体であった。水分は18ppm(京都電子製 商品名MKC−210型カールフィシャー水分測定装置で測定)、遊離酸分は24ppm(ブロムチモールブルーを指示薬とし、0.1規定NaOH水溶液を用いて中和滴定して測定)であった。さらにこの電解液E−1に表1に記載の化合物を所定濃度になるようにそれぞれ溶解させ電解液E−2からE−16を調製した。尚、比較化合物Aは、特開平9−106835合に記載のビフェニルである。
【0056】
【表1】
Figure 0004304383
【0057】
【化4】
Figure 0004304383
【0058】
〔シリンダー電池の作成〕
図1に従い電池の作り方を説明する。上記で作成した正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレーター、負極シートさらにセパレーターを順に積層し、これを渦巻き状に巻回した。この巻回した電極群(2)を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(1)に収納し、上部絶縁板(3)を更に挿入した。この電池缶内に電解液E−1を注入した後、正極端子(6)、絶縁リング、PTC素子(63)、電流遮断体(62)、圧力感応弁体(61)を積層したものをガスケット(5)を介してかしめて円筒型電池D−1を作成した。同様にしてE−1の代わりに表1の電解液E−2からE−16を注入した電池D−2〜D−16を作成した。電池はそれぞれ10個ずつ作成した。
【0059】
〔電池特性の評価〕
上記の方法で作成した電池について、電流密度4.8mA/cm2 、充電終止電圧4.1V、放電終止電圧2.7Vの条件で充放電を10回繰り返し、10サイクル目における放電容量を求めた。これを同一処方の10個の電池について調べ、その平均をその電池の容量とした。このようにして各々の電池の容量を求め、この値を電池番号1の電池の容量で割って相対容量を求めた。また、それぞれの電池の300サイクル目の放電容量を求め、10サイクル目の放電容量に対する比を計算しサイクル容量として表した。それぞれの値を表2に示した。
【0060】
【表2】
Figure 0004304383
【0061】
実施例−2
負極材料として黒鉛粉末を用いる以外は実施例1と同様の方法で円筒型電池を作成した。電解液はE−1、3、6、8〜13、15を用い作成した電池をD−17〜D−26とした。
【0062】
〔電池特性の評価〕
上記の方法で作成した電池について、実施例1と同様の方法にて、相対容量とサイクル容量を求め、それぞれの値を表3に示した。
【0063】
【表3】
Figure 0004304383
【0064】
実施例1および2の結果(表2および表3)より、本発明の一般式(1)で表される化合物を添加した場合、容量の低下が見られずにサイクル性を向上させていることがわかる。また、サイクル安定化効果は、負極に炭素質材料を用いたときよりも、非晶質の複合酸化物を用いたときの方が大きいこともわかる。一方、特開平9−106835号に記載のビフェニルでは添加量に応じて容量低下するという欠点のあることもわかった。
【0065】
実施例−3
実施例1の電池を過充電状態にしたところ、本発明の電池は電流遮断が確実に行われることが確認された。
【0066】
【発明の効果】
本発明の化合物により、容量を損うことなく、サイクル安定性と安全性を向上させることのできる非水電解液二次電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用したシリンダー型電池の断面図を示す。
【符合の説明】
1 負極を兼ねる電池缶
2 巻回電極群
3 上部絶縁板
4 正極リード
5 ガスケット
6 正極端子を兼ねる電池蓋
61 圧力感応弁体
62 電流遮断素子(スイッチ)
63 PTC素子

Claims (6)

  1. 正極、負極、リチウム塩を含む非水電解液からなる非水電解液二次電池において、該電池の正極、負極および非水電解液の何れかに下記一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とする非水電解液二次電池。
    一般式(11112N−OR13
    一般式(1)においてR11、R12およびR13は、総炭素数1ないし12の無置換のアルキル基、総炭素数6ないし20の無置換のアリール基、総炭素数1ないし12の無置換のヘテロ環基、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基を表す(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)。
  2. 一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも方が、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも方とR13が、ともに総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基であることを特徴とする請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 該化合物を非水電解液に含有させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 該化合物の非水電解液中に含まれる量が、電解液1kgあたり1g以上、50g以下である事を特徴とする請求項4に記載の非水電解液二次電池。
  6. 下記一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴とするリチウム二次電池用非水電解液。
    一般式(11112N−OR13
    一般式(1)においてR11、R12およびR13は、総炭素数1ないし12の無置換のアルキル基、総炭素数6ないし20の無置換のアリール基、総炭素数1ないし12の無置換のヘテロ環基、総炭素数1ないし12の無置換のアシル基、総炭素数1ないし12の無置換のオキシカルボニル基、またはメチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニルから選ばれるスルホニル基から成る群より選ばれた基を表す(但し、R11およびR12がともに総炭素数1ないし12の無置換のアシル基である場合を除く)。
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