JP5636338B2 - 非水系二次電池及びその難燃剤 - Google Patents
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Description
非水電解液は、リチウム塩のような電解質塩と、非水系溶媒とから構成されている。非水系溶媒には、動作環境によらず、高い誘電率を有すること、酸化電位が高いこと、電池中で安定であること等が要求されている。
で表される環状窒素含有化合物と、下記一般式(2)
で表されるアミン誘導体とを含有することを特徴とする非水系二次電池が提供される。
で表される環状窒素含有化合物と、下記一般式(2)
で表されるアミン誘導体とからなることを特徴とする非水系二次電池用難燃剤が提供される。
で表される化合物である場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
で表される化合物である場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
で表される化合物である場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
更に、環状窒素含有化合物が、非水電解液中に、1〜70体積%で含まれる場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
また、環状窒素含有化合物が、分解温度以上の加熱で、窒素ガスを生じる化合物である場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
また、環状窒素含有化合物が、120〜250℃の分解温度を有する化合物である場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
更に、アミン誘導体が、置換基を有してもよい、低級アルキル基、低級シクロアルキル基及びアリール基から選択されるR5〜R7を有する場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
また、アミン誘導体が、前記非水電解液中に、0.09〜80体積%で含まれる場合、電池性能が低下することなく、更に難燃性が向上した非水系二次電池を提供できる。
(a)非水電解液
(アミン誘導体)
一般式(2)の構造のアミン誘導体は、主として電池性能を向上させる役割を有していると発明者は考えている。このアミン誘導体を含む非水系二次電池は、温度変化に強い(例えば、広い温度域で容量維持率が高い)という知見を発明者は得ている。この理由は、アミン誘導体が、正極活物質や負極活物質の表面に皮膜を形成するためであると、発明者は考えている。特に、45〜60℃の高温度領域での容量維持率を向上できる。例えば、アミン誘導体非含有の非水系二次電池に対して、アミン誘導体含有の非水系二次電池は、高温度領域での容量維持率を90%以上維持できる。
本発明で使用されるアミン誘導体は、一般式(2)
式(2)において、R5、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、又は置換基を有してもよい、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキルカルボニル基、低級シクロアルキル基又はアリール基である。
ここで「低級」とは、例えば、炭素数1〜6を意味する。但し、シクロアルキル基の場合には、例えば、炭素数3〜6を意味する。
低級アルケニル基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルケニル基が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖状のアルケニル基が好ましい。具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基(2−プロペニル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基が特に望ましい。
低級アルコキシカルボニル基は、低級脂肪酸から誘導され、低級脂肪酸からヒドロキシル基を除いた基が挙げられる。具体的には、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレイルオキシ基、イソバレイルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基が好ましく、アセトキシ基が特に好ましい。
低級シクロアルキル基としては、炭素数3〜6のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、炭素数3又は4のシクロアルキル基が好ましく、シクロプロピル基、シクロブチル基が特に好ましい。
R5〜R7への置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基のようなアリール基等が挙げられる。
アミン誘導体は、公知の誘導体をいずれも使用できる。
一般式(1)の構造の環状窒素含有化合物が難燃性を示す機構は、非水系二次電池の熱暴走(火元が発生する)時に熱により分解し、窒素(N2)ガスを発生し、その結果、周囲の酸素濃度を低下させることにより火元を消す(窒息消火)機構であると発明者は考えている。そのような機構を実現するために、環状窒素含有化合物は、窒素原子同士の二重結合(アゾ結合)を有することが必須である。
本発明で使用される環状窒素含有化合物は、一般式(1)
式中、Xは、炭素数1〜5の分岐していてもよい鎖状の飽和炭化水素由来の二価の基、=C=CH2、=C=O、=C=S=O、=O又は=Sである。これら置換基からXを選択することで、難燃性と電池性能をより高度に両立できる。
メチレン基の置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、エステル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基が挙げられる。A2がメチレン基の場合、環状窒素含有化合物は、具体的には、一般式(1a)
式中、X及びA1は、一般式(1)と同じである。
R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、エステル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。
一般式(1a)中のA2もメチレン基の場合、環状窒素含有化合物は、一般式(1b)
式中、X、R1及びR2は、一般式(1a)と同じである。
R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、エステル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基である。
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が含まれる。この内、塩素原子又はフッ素原子が好ましく、特に好ましくは、塩素原子である。
低級アルコキシ基には、単一の末端エーテル結合を介して結合された炭素数1〜4のアルキル基が含まれ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
エステル基には、単一の末端エステル結合を介して結合された炭素数1〜4のアルキル基が含まれる。
また、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。アリール基の置換基としては、塩素原子、フッ素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜4の低級アルキル基等が挙げられる。
また、R1〜R4が異なる種類の置換基である場合、その置換基の位置は特に限定されない。例えば、2種の置換基を2つずつ備えている場合において、R1とR2が同じ置換基、R3とR4が同じ置換基であってもよく、R1とR2が異なる置換基、R3とR4が異なる置換基であってもよい。更に、構造異性体の混合物を使用してもよい。
尚、Xが鎖状の飽和炭化水素由来の二価の基である場合、環状窒素含有化合物は、一般式(1c)
更に、環状窒素含有化合物は、例えば、R1〜R4の種類、環の大きさを制御することで、非プロトン性溶媒と溶解性を制御できる。そのため、環状窒素含有化合物は、通常時に非水系二次電池の電気特性に影響を及ぼさず、かつ、異常時に分解して窒素ガスを発生することで熱暴走を制御することが可能になる。尚、溶解性は、例えば、R1〜R4の炭素数を多くしたり、芳香族系の基を使用したり、環を大きくしたりすることで、より高めることができる。更に、Xとして、=C=CH2、=C=O、=C=S=O、=O又は=Sを選択することで、非水系溶媒への溶解性を高めることもできる。
環状窒素含有化合物は、分解温度以上の加熱で、窒素ガスを生じる化合物である。分解温度は、通常の非水系二次電池を使用する環境温度よりも100℃以上高い温度であることが好ましく、具体的には、100〜300℃が好ましく、140〜250℃がより好ましい。分解温度と通常の環境温度との差が100℃未満の場合、通常の使用時に環状窒素含有化合物が分解することがあり、その場合には非水系二次電池の電気特性が低下することになる。ここで、分解温度の制御は、環の大きさ、置換基効果の制御により、制御可能となる。
また、一般式(1c)の化合物は、例えば、下記式のように、脱水素触媒(例えば、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、ニッケル酸塩等)の存在下で、ジアミン誘導体を環化することで得ることができる。
窒素含有環状化合物の配合割合は、非水電解液中、体積分率にして、好ましくは1〜70%(v/v)の範囲である。1%未満では、非水系二次電池の破裂や発火が十分に抑制できないことがある。一方、70%を超えると、低温環境において、非水系二次電池の性能が低下することがある。より好ましい配合割合は5〜40%の範囲であり、更に好ましい配合割合は10〜30%の範囲である。
電解質塩としては、通常リチウム塩が使用される。リチウム塩としては、非水電解質液に含まれる非水系溶媒に溶解するものであれば特に限定されない。例えば、LiClO4、LiCl、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)2、低級脂肪族カルボン酸、クロロボランリチウム、4−フェニルホウ酸リチウム等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。電解質塩の好ましい添加量は、非水系溶媒1Kgに対して、0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
非水電解液は、非水系溶媒、脱水剤、脱酸剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
(i)非水系溶媒
上記環状窒素含有化合物及び/又はアミン誘導体が非水系二次電池の動作温度で液状であり、十分な電池特性の非水系二次電池を得ることが可能であれば、これら化合物及び/又は誘導体を非水系溶媒として使用できるため、非水系溶媒を加えても加えなくてもよい。しかしながら、非水系二次電池の充放電特性、耐低温性等をより向上させる観点から、環状窒素含有化合物及び/又はアミン誘導体は、非水系溶媒との混合溶媒とすることが好ましい。
脱水剤及び脱酸剤としては、例えば、従来公知の剤を使用できる。具体的には、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ジブチルスルフィド、ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等が挙げられる。これらを非水系溶媒中に通常0.1重量%以上、5重量%以下の濃度で含有させると、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上できる。
正極は、例えば、正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを正極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、正極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜20重量部、結着剤を1〜15重量部、有機溶剤を30〜60重量部とすることができる。
正極活物質としては、例えば、LiNiO2、LiCoO2、LiMn2O4、LiFePO4のリチウム複合酸化物、及びこれら酸化物中の一部の元素を他元素(例えば、Fe、Si、Mo、Cu及びZn等)で置換した化合物を用いることができる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルピリジンや、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
正極集電体としては、例えば、SUS、アルミニウム等の導電性金属の箔や薄板が挙げられる。
また、負極は、例えば、負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを負極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、負極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜15重量部、結着剤を1〜10重量部、有機溶剤を40〜70重量部とすることができる。
負極活物質としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼結体、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピリジンやポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
負極集電体としては、例えば、銅のような金属の箔が挙げられる。
負極と正極との間には、セパレータを介在させてもよい。
セパレータは、通常多孔質フィルムよりなり、耐溶剤性や耐還元性を考慮して材質を選定できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムあるいは不織布が好適である。このような材質からなるものを単層又は複数層にして用いることができる。複数層の場合は、サイクル特性、低温性能、負荷特性等の観点から少なくとも1枚は不織布を用いることが好ましい。
非水系二次電池は、例えば、任意にセパレータを挟んだ負極と正極間に、非水電解液を注入することで得ることができる。また、一対の負極と正極の組を一単位(一セル)として、一単位を複数積層してもよい。
非水系二次電池のその他の構成部材としては、通常使用されている公知の部材を使用できる。
また、非水系二次電池の形態としては、特に制限されず、ボタン型、コイン型、角型、スパイラル構造の円筒型、ラミネート型電池等の種々の形態が挙げられる。これら形態は、その用途に応じて、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
(実施例1)
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート=1/2)(非プロトン性有機溶媒)79.5gに、下記式(1−1)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1b)において、R1〜R4がメチル基、Xが、炭素数2の炭化水素基(エチレン基)である6員環化合物(非水系二次電池用難燃剤、3,3,6,6−テトラメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリダジン:分解温度146℃)20.0gと、
正極活物質としてLiFePO4を100重量部、導電材としてアセチレンブラックを5重量部、結着剤としてPVdFを7重量部、溶剤としてNMP40重量部を、プラネタリーミキサーにより混練することで、分散させて正極形成用ペーストを作製した。作製したペーストを塗工装置にて正極集電体である厚み20μmの帯状アルミニウム箔の両面に均一に塗工した。尚、アルミニウム箔の端部に、端子接続用の未塗工部を設定した。塗膜を130℃で8時間減圧乾燥して溶媒を除いた後、油圧プレス機を用いてプレスすることで正極を形成した。得られた正極は、所定のサイズに裁断して使用した。
得られた正極と負極とを、セパレータとしてのポリプロピレンの多孔質フィルムを介して積層し、次いで、積層体に前記非水電解液を注液することで、非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を98.5gとし、環状窒素含有化合物の使用量を1g、アミン誘導体Aの使用量を0.5gとしたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例3)
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を39.5gとし、環状窒素含有化合物の使用量を60g、アミン誘導体Aの使用量を0.5gとしたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例4)
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を77gとし、環状窒素含有化合物の使用量を20g、アミン誘導体Aの使用量を3gとしたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を79.5gとし、環状窒素含有化合物の使用量を20gとし、アミン誘導体として、一般式(2)において、R5及びR6がメチル基、R7がフェニル基である下記式(2−2)のN,N−ジアセチル−O−ベンゾイルヒドロキシルアミン(アミン誘導体B)0.5gに代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を79.5gとし、環状窒素含有化合物の使用量を20gとし、アミン誘導体として、一般式(2)において、R5及びR6がメチル基、R7がシクロヘキシル基である下記式(2−3)のN,N−ジアセチル−O−シクロヘキシルカルボニルヒドロキシルアミン(アミン誘導体C)0.5gに代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
エチレンカーボネートとアミン誘導体Aとを混合し、混合溶媒(体積比;エチレンカーボネート/アミン誘導体A=1/2)を調整し、その混合溶媒の使用量を80gとして、環状窒素含有化合物の使用量を20gとしたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例8)
環状窒素含有化合物として、6員環化合物を、一般式(1b)においてXが炭素数1の炭化水素基(メチレン基)でありかつR1〜R4の内、2つが水素原子であって、2つが塩素原子である下記式(1−2)で表される5員環化合物(ジクロロ−4,5−ジヒドロ−3H−ピラゾール:分解温度179℃)に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。尚、5員環化合物は、R1とR3が水素原子かつR2とR4が塩素原子である化合物と、R1とR4が水素原子かつR2とR3が塩素原子である化合物の混合物を使用した。
環状窒素含有化合物として、6員環化合物を、一般式(1b)においてXが炭素数5の炭化水素基(ペンタメチレン基)でありかつR1〜R4が水素原子である下記式(1−3)で表される9員環化合物(4,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−3H−[1,2]ジアゾニン:分解温度192℃)に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物として、下記式(1−4)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、Xが酸素原子、A1、A2が炭素原子、R1〜R4がメチル基である5員環化合物(2,2,5,5−テトラメチル−1,3,4−オキサジアゾリン:分解温度127℃))に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物として、下記式(1−5)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1b)において、Xが=C=O、R1〜R4がメチル基である5員環化合物(3,3,5,5−テトラメチル−1−ピラゾール−4−オン:分解温度141℃))に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物として、下記式(1−6)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1)において、Xがメチレン基、A1及びA2が=SO2である5員環環状化合物([1,4,2,3]ジチアジアゾール−1,1,4,4−テトラオキサイド:分解温度187℃))に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物として、下記式(1−7)で表される環状窒素含有化合物(一般式(1a)において、Xがメチレン基、A1が=SO2、R1及びR2がメチル基である5員環環状化合物(4,4−ジメチル−4,5−ジヒドロ−[1,2,3]チアジアゾール−1,1−ジオキサイド:分解温度162℃))に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物として、6員環化合物を、一般式(1b)においてXが炭素数6の炭化水素基でありかつR1〜R4が水素原子である10員環化合物(3,4,5,6,7,8,9,10−オクタヒドロ−[1,2]ジアゼシン:分解温度206℃:式(1−8))に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(比較例2)
アミン誘導体を使用しないことのほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(比較例3)
環状窒素含有化合物を使用しないことのほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
環状窒素含有化合物及びアミン誘導体を使用しないことのほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(比較例5)
環状窒素含有化合物の代わりとして、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)2gを使用し、アミン誘導体を使用しないことのほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
実施例1〜13及び比較例1〜5で得られた非水系二次電池について、電池性能試験として、20℃及び60℃における初回放電容量の測定、放電容量維持率の測定、高温保存特性として60℃保存後における放電容量維持率及び回復率の測定を、安全性試験として釘刺し試験を以下の手順で行った。
0.1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が3.0Vになるまで放電したときの容量を初回放電容量(mAh/g)とする。尚、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
(2)20℃における放電容量維持率の測定
1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が3.0Vになるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを99回行い、100回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目測定終了後、1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が3.0Vになるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを399回行い、トータル充放電サイクル500回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目、及び500回目の放電容量維持率(%)は、それぞれ、初回放電容量に対する100回目、及び、初回放電容量に対する500回目の放電容量の割合とする。尚、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
60℃における初回放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、恒温器の温度を60℃一定にすること以外は、20℃における初回放電容量及び放電容量維持率と同様にして測定した値とする。
(4)60℃保存後における放電容量維持率、回復率の測定
20℃一定の恒温器中において、0.1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が3.0Vになるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを2回行い、3サイクル目の充電を行った後、非水系二次電池を60℃の環境下で10日間保存した。その後、20℃の環境下で0.1CmAレートにて放電し、電圧が3.0Vになるまで放電したときの3サイクル目の放電容量を求める。更に、4サイクル目として、0.1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が3.0Vになるまで放電する。
60℃保存後における放電容量回復率(%)は、2サイクル目の放電容量に対する4サイクル目の放電容量の割合とする。
釘刺し試験は、0.1CmAレートにて4.2Vになるまで充電した非水系二次電池に、室温20℃において、直径3mmの釘を速度1mm/sで貫通させた時の状態を確認する試験である。
試験結果を表1〜3に示す。
以上のように、表1〜3から、特定の構造の環状窒素含有化合物とアミン誘導体を含有する非水電解液して使用することで、難燃性を向上できるだけなく、従来以上の電気特性を備えた非水系二次電池が得られることが分かる。
実施例1〜9及び比較例1の環状窒素含有化合物を以下の合成スキームで以下のようにして得た。
1H-NMR(ppm,CDCl3) δ;1.56(s,4H)、1.29(s,12H)
IR;ν(KBr)cm-1;2966,2893,1576,1303,1242,1131,1004,962
上記値から、得られた環状窒素含有化合物が、3,3,6,6−テトラメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリダジンであることが確認できた。
実施例10の環状窒素含有化合物を以下の合成スキームで以下のようにして得た。
撹拌機、滴下漏斗、冷却管を備えた3口フラスコ中を窒素雰囲気下にした後、無水ヒドラジン14.4g(0.45mol)及び無水エタノールを加え、撹拌する。次に、ジブロモ誘導体129g(0.5mol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、約1時間還流した後、蒸留にてジアジリジン誘導体48.4g(収率82.7%)を得た。
1H-NMR(ppm,CDCl3) δ;1.37(s,12H)
IR;ν(KBr)cm-1;3081,1952,1390,1242,943,522
上記値から、得られた環状窒素含有化合物が、2,2,5,5−テトラメチル−1,3,4−オキサジアゾリンであることが確認できた。
実施例11については、出発原料を2,4−ジメチル−3−ペンタノンに、実施例12については、メタンジスルホニルジクロリドに、実施例13については、2−クロロ−2−メチルプロパンスルホニルクロリドに、それぞれ変更すること以外は、実施例6と同様にして、環状窒素含有化合物が得られる。
Claims (10)
- 正極と、負極と、非水電解液とを備え、前記非水電解液が、下記一般式(1)
で表される環状窒素含有化合物と、下記一般式(2)
で表されるアミン誘導体とを含有することを特徴とする非水系二次電池。 - 前記環状窒素含有化合物が、前記非水電解液中に、1〜70体積%で含まれる請求項1〜4のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 前記環状窒素含有化合物が、分解温度以上の加熱で、窒素ガスを生じる化合物である請求項1〜5のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 前記環状窒素含有化合物が、120〜250℃の分解温度を有する化合物である請求項6に記載の非水系二次電池。
- 前記アミン誘導体が、置換基を有してもよい、低級アルキル基、低級シクロアルキル基及びアリール基から選択されるR5〜R7を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 前記アミン誘導体が、前記非水電解液中に、0.09〜80体積%で含まれる請求項1〜8のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
- 下記一般式(1)
で表される環状窒素含有化合物と、下記一般式(2)
で表されるアミン誘導体とからなることを特徴とする非水系二次電池用難燃剤。
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