JP2007200605A - 非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い難燃性を有する非水電解液と、該非水電解液を備え、優れた電池性能と高い安全性を有する非水電解液電池を提供する。
【解決手段】下記式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記式(II):
[式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と下記式(III):
[式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるスクシンイミド化合物と支持塩とからなる非水電解液、並びに該非水電解液と正極と負極とを備えた非水電解液電池である。
【選択図】なし
【解決手段】下記式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記式(II):
[式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と下記式(III):
[式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるスクシンイミド化合物と支持塩とからなる非水電解液、並びに該非水電解液と正極と負極とを備えた非水電解液電池である。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池に関し、特に高い難燃性を有する非水電解液、及び優れた電池特性と高い安全性を有する非水電解液電池に関するものである。
非水電解液は、リチウム電池やリチウムイオン2次電池、電気二重層キャパシタ等の電解質として使用されており、これらデバイスは、高電圧、高エネルギー密度を有することから、パソコン及び携帯電話等の駆動電源として広く用いられている。そして、これら非水電解液としては、一般にエステル化合物及びエーテル化合物等の非プロトン性有機溶媒に、LiPF6等の支持塩を溶解させたものが用いられている。しかしながら、非プロトン性有機溶媒は、可燃性であるため、上記デバイスから漏液した際に引火・燃焼する可能性があり、安全面での問題を有している。
この問題に対して、非水電解液を難燃化する方法が検討されており、例えば、非水電解液にリン酸トリメチル等のリン酸エステル類を用いたり、非プロトン性有機溶媒にリン酸エステル類を添加したりする方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。しかしながら、これらリン酸エステル類は、充放電を繰り返すことで、徐々に負極で還元分解され、充放電効率及びサイクル特性等の電池特性が大きく劣化するという問題がある。また、充放電しなくても、リン酸エステルを用いた電池を充電状態で保存した場合、高い電池電圧によってもリン酸エステルの分解反応が進行してしまうため、保存後の電池特性が大きく低下してしまう。特に、この分解反応は温度が高くなると共に促進されるため、高温保存後の性能低下が著しい。
この問題に対して、非水電解液にリン酸エステルの分解を抑制する化合物を更に添加したり、リン酸エステルそのものの分子構造を工夫する等の方法も試みられている(特許文献4〜6参照)。しかしながら、この場合も、添加量に制限があり、また、リン酸エステル自体の難燃性の低下等の理由から、電解液が自己消火性になる程度で、電解液の安全性を十分に確保することができない。
また、特開平6−13108号公報(特許文献7)には、非水電解液に難燃性を付与するために、非水電解液にホスファゼン化合物を添加する方法が開示されている。該ホスファゼン化合物は、その種類によっては高い不燃性を示し、非水電解液への添加量を増量するに従い、非水電解液の難燃性が向上する傾向がある。しかしながら、高い不燃性を示すホスファゼン化合物は、概して支持塩の溶解性や誘電率が低いため、添加量を多くすると、支持塩の析出や導電性の低下を招き、電池の放電容量が低下したり、充放電特性に支障をきたすことがある。そのため、高い不燃性を示すホスファゼン化合物を添加する場合、添加量が制限されるという問題がある。
このように、従来の技術では、電解液の安全性と電池性能の確保という点で必ずしも十分とはいえず、化合物の構造を含め根本から検討しなおす必要がある。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高い難燃性を有する非水電解液と、該非水電解液を備え、優れた電池性能と高い安全性を有する非水電解液電池を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定構造のホスファゼン化合物及び特定構造のジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒に特定構造のスクシンイミド化合物を添加して得た非水電解液が高い難燃性を有し、また、上記スクシンイミド化合物が高温でも非水溶媒の還元分解を効果的に抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の非水電解液は、下記一般式(I):
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
[式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、下記一般式(III):
[式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるスクシンイミド化合物と、支持塩とからなることを特徴とする。
(NPR1 2)n ・・・ (I)
[式中、R1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し;nは3〜4を表す]で表される環状ホスファゼン化合物及び下記一般式(II):
[式中、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基である]で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、下記一般式(III):
[式中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である]で表されるスクシンイミド化合物と、支持塩とからなることを特徴とする。
本発明の非水電解液において、前記環状ホスファゼン化合物としては、前記一般式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素である化合物が好ましい。
本発明の非水電解液の好適例においては、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比(環状ホスファゼン化合物/ジフルオロリン酸エステル化合物)が10/90〜80/20の範囲である。
本発明の非水電解液の他の好適例においては、前記一般式(III)で表されるスクシンイミド化合物の含有量が前記非水電解液全体の0.1〜10質量%である。
本発明の非水電解液の他の好適例においては、前記非水溶媒が、更に非プロトン性有機溶媒を含む。
本発明の非水電解液は、前記非水溶媒における前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が20体積%以上であることが好ましい。
また、本発明の非水電解液電池は、上記非水電解液と、正極と、負極とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、特定構造のホスファゼン化合物及び特定構造のジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と特定構造のスクシンイミド化合物とを組み合わせて用いることにより、高い難燃性を有し、かつ非水電解液電池に使用した際にも、電池特性を十分に維持することが可能な非水電解液を提供することができる。また、該非水電解液を備えた、高い安全性と優れた電池特性を有する非水電解液電池を提供することができる。
理由は必ずしも明らかではないが、上記ホスファゼン化合物と上記ジフルオロリン酸エステル化合物の反応・熱分解によって生成する高不燃性ガス成分が、高い難燃性を発現するものと考えられる。また、上記ホスファゼン化合物と上記ジフルオロリン酸エステル化合物と上記スクシンイミド化合物との相乗効果によって、電極表面に安定な皮膜が形成され、該被膜が非水電解液の分解を効果的に抑制するため、電池の充放電特性が安定化し、また、この皮膜は高温においても分解することなく機能するため、高温保存後でも充放電容量が殆ど低下することなく、電池性能が維持されるものと考えられる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の非水電解液は、上記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物及び上記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物を含む非水溶媒と、上記一般式(III)で表されるスクシンイミド化合物と、支持塩とからなることを特徴とし、更に、非水溶媒として、非プロトン性有機溶媒を含有してもよい。
本発明の非水電解液に含まれる環状ホスファゼン化合物は、上記一般式(I)で表される。式(I)中のR1は、それぞれ独立してハロゲン元素、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、nは3〜4を表す。
式(I)のR1におけるハロゲン元素としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。また、R1におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等、またはメトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられる。更に、R1におけるアリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。上記アルコキシ基及びアリールオキシ基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。また、式(I)中のR1は他のR1と連結していてもよく、この場合、2つのR1は、互いに結合して、アルキレンジオキシ基、アリーレンジオキシ基又はオキシアルキレンアリーレンオキシ基を形成し、かかる二価の基としては、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、フェニレンジオキシ基等が挙げられる。
上記一般式(I)中のR1は、同一でも異なってもよい。また、式(I)のR1は、安全性が向上する点で、ハロゲン元素であることが好ましく、更に、低粘度である点で、フッ素であることがより好ましい。また、安全性及び低粘性の両立の点で、R1のうち3つ以上がフッ素であることが好ましい。
また、式(I)のnは、3〜4であるが、コスト及び調製が容易な点で、nとしては3が好ましい。なお、上記環状ホスファゼン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の非水電解液に含まれるジフルオロリン酸エステル化合物は、上記一般式(II)で表される。式(II)において、R2は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルコキシ置換アルキル基又はアリール基であり、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基であることが好ましい。式(II)のR2におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、アリル基、メタリル基等が挙げられ、アルコキシ置換アルキル基としては、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基等が挙げられる。上記置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。これらの中でも、難燃性に優れ且つ低粘度である点で、メチル基、エチル基、プロピル基、トルフルオロエチル基、フェニル基、3-フルオロフェニル基が好ましい。
式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物の具体例としては、ジフルオロリン酸メチル、ジフルオロリン酸エチル、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル、ジフルオロリン酸プロピル、ジフルオロリン酸アリル、ジフルオロリン酸ブチル、ジフルオロリン酸ペンチル、ジフルオロリン酸ヘキシル、ジフルオロリン酸シクロヘキシル、ジフルオロリン酸メトキシエチル、ジフルオロリン酸メトキシエトキシエチル、ジフルオロリン酸フェニル、ジフルオロリン酸フルオロフェニル等が挙げられる。これらジフルオロリン酸エステル化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の非水電解液において、上記環状ホスファゼン化合物とジフルオロリン酸エステル化合物との体積比は、5/95〜95/5の範囲が好ましく、電池性能のバランスの観点から、10/90〜80/20の範囲が更に好ましい。
本発明の非水電解液に含まれるスクシンイミド化合物は、上記一般式(III)で表される。式(III)において、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基である。なお、R3の炭素数は、1〜8の範囲が好ましい。式(III)のR3におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ベンジルオキシ基等や、二重結合を含むアリルオキシ基等や、メトキシエトキシ基等のアルコキシ置換アルコキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等が挙げられる。上記置換基中の水素元素は、ハロゲン元素で置換されていてもよく、フッ素で置換されていることが好ましい。
式(III)のスクシンイミド化合物の具体例としては、N-アセトキシスクシンイミド、N-エチルカルボニルオキシスクシンイミド、N-アクリロキシスクシンイミド、N-プロピルカルボニルオキシスクシンイミド、N-アリルカルボニルオキシスクシンイミド、N-シクロペンチルカルボニルオキシスクシンイミド、N-シクロへキシルカルボニルオキシスクシンイミド、N-ベンジルカルボニルオキシスクシンイミド、N-マレイミドブチリルスクシンイミド、N-ベンゾイルオキシスクシンイミド、N-フルオロベンゾイルオキシスクシンイミド、N-ビフェニルカルボニルオキシスクシンイミド、N-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-エトキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-プロポキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-アリルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-シクロペンチルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-シクロヘキシルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-ベンジルオキシカルボニルオキンスクシンイミド、N-フルオレニルメトキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-メトキシエトキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-フェニルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-フルオロフェニルカルボニルオキシスクシンイミド、N-メトキシフェニルオキシカルボニルオキシスクシンイミド等が挙げられる。これらの中でも、N-アセトキシスクシンイミド、N-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-ベンゾイルオキシスクシンイミド、N-フルオロベンゾイルオキシスクシンイミド、N-べンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド、N-フルオレニルメトキシカルボニルオキシスクシンイミドが好ましい。これらスクシンイミド化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
上記スクシンイミド化合物の含有量は、非水電解液全体の0.1〜10質量%の範囲が好ましく、電池性能のバランスの観点から、0.5〜5質量%の範囲が更に好ましい。
また、上記非水電解液には、本発明の目的を損なわない範囲で従来より電池用非水電解液に使用されている種々の非プロトン性有機溶媒を添加することができる。該非プロトン性有機溶媒の添加量としては、本発明の非水電解液を不燃性にする観点から、非水電解液中80体積%以下とすることが好ましい。該非プロトン性有機溶媒として、具体的には、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジフェニルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)等の炭酸エステル類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(DEE)等のエーテル類、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン、メチルフォルメート(MF)等のカルボン酸エステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホン類、エチレンスルフィド等のスルフィド類等が挙げられる。これら非プロトン性有機溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、リチウム二次電池の形成に際して、本発明の非水電解液は、そのまま用いることも可能であるが、例えば、適当なポリマーや多孔性支持体、或いはゲル状物質に含浸させる等して保持させる方法等で用いることもできる。
本発明の非水電解液に用いる支持塩としては、リチウムイオンのイオン源となる支持塩が好ましい。該支持塩としては、特に制限はないが、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiAsF6、LiC4F9SO3、Li(CF3SO2)2N及びLi(C2F5SO2)2N等のリチウム塩が好適に挙げられる。これらの中でも、不燃性に優れる点で、LiPF6が更に好ましい。これら支持塩は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の非水電解液中の支持塩の濃度としては、0.2〜1.5mol/L(M)が好ましく、0.5〜1mol/L(M)が更に好ましい。支持塩の濃度が0.2mol/L未満では、電解液の導電性を充分に確保することができず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがあり、1.5mol/Lを超えると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオンの移動度を充分に確保できないため、前述と同様に電解液の導電性を充分に確保できず、電池の放電特性及び充電特性に支障をきたすことがある。
<非水電解液電池>
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。この場合、本発明の非水電解液電池は、1次電池としても、2次電池としても構成することができる。
次に、本発明の非水電解液電池を詳細に説明する。本発明の非水電解液電池は、上述の非水電解液と、正極と、負極とを備え、必要に応じて、セパレーター等の非水電解液電池の技術分野で通常使用されている他の部材を備える。この場合、本発明の非水電解液電池は、1次電池としても、2次電池としても構成することができる。
本発明の非水電解液電池の正極活物質としては、V2O5、V6O13、MnO2、MnO3等の金属酸化物、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物、ポリアニリン等の導電性ポリマー等が好適に挙げられる。上記リチウム含有複合酸化物は、Fe、Mn、Co及びNiからなる群から選択される2種又は3種の遷移金属を含む複合酸化物であってもよく、この場合、該複合酸化物は、LiFexCoyNi(1-x-y)O2[式中、0≦x<1、0≦y<1、0<x+y≦1]、或いはLiMnxFeyO2-x-y等で表される。これらの中でも、高容量で安全性が高く、更には電解液の濡れ性に優れる点で、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4が特に好適である。これら正極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の非水電解液電池の負極活物質としては、リチウム金属自体、リチウムとAl、In、Sn、Si、Pb又はZn等との合金、リチウムイオンをドープした黒鉛等の炭素材料等が好適に挙げられ、これらの中でも、炭素材料が好ましい。本発明の非水電解液は、特に炭素材料を用いた電池において、本発明の目的の一つである高温保存特性の改良効果が顕著に現れる。これら負極活物質は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記正極及び負極には、必要に応じて導電剤、結着剤を混合することができ、導電剤としてはアセチレンブラック等が挙げられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。これらの添加剤は、従来と同様の配合割合で用いることができる。
本発明の非水電解液電池に使用できる他の部材としては、非水電解液電池において、正負極間に、両極の接触による電流の短絡を防止する役割で介在させるセパレーターが挙げられる。セパレーターの材質としては、両極の接触を確実に防止し得、且つ電解液を通したり含んだりできる材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等が好適に挙げられる。これらは、単体でも、混合物でも、共重合体でもよい。これらの中でも、厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレン製の微孔性フィルム、セルロース系、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムが特に好適である。本発明では、上述のセパレーターの他にも、通常電池に使用されている公知の各部材が好適に使用できる。
以上に説明した本発明の非水電解液電池の形態としては、特に制限はなく、コインタイブ、ボタンタイプ、ペーパータイプ、角型又はスパイラル構造の円筒型電池等、種々の公知の形態が好適に挙げられる。ボタンタイプの場合は、シート状の正極及び負極を作製し、該正極及び負極でセパレーターを挟む等して、非水電解液電池を作製することができる。また、スパイラル構造の場合は、例えば、シート状の正極を作製して集電体を挟み、これにシート状の負極を重ね合わせて巻き上げる等して、非水電解液電池を作製することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
上記一般式(I)においてnが4であって、全R1のうち1つがエトキシ基で、7つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%と、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-ベンゾイルオキシスクシンイミド 5質量%を添加して非水電解液を調製した。次に、得られた非水電解液の難燃性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
上記一般式(I)においてnが4であって、全R1のうち1つがエトキシ基で、7つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%と、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-ベンゾイルオキシスクシンイミド 5質量%を添加して非水電解液を調製した。次に、得られた非水電解液の難燃性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
(1)難燃性の評価
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼長及び燃焼時間を測定・評価した。具体的には、UL試験基準に基づき、127mm×12.7mmのSiO2シートに上記電解液1.0mLを染み込ませて試験片を作製して評価を行った。以下に不燃性・難燃性・自己消火性・燃焼性の評価基準を示す。
<不燃性の評価>試験炎を点火しても全く着火しなかった場合(燃焼長:0mm)を不燃性ありと評価した。
<難燃性の評価>着火した炎が、装置の25mmラインまで到達せず且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性ありと評価した。
<自己消火性の評価>着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消火性ありと評価した。
<燃焼性の評価>着火した炎が、100mmラインを超えた場合を燃焼性と評価した。
UL(アンダーライティングラボラトリー)規格のUL94HB法をアレンジした方法で、大気環境下において着火した炎の燃焼長及び燃焼時間を測定・評価した。具体的には、UL試験基準に基づき、127mm×12.7mmのSiO2シートに上記電解液1.0mLを染み込ませて試験片を作製して評価を行った。以下に不燃性・難燃性・自己消火性・燃焼性の評価基準を示す。
<不燃性の評価>試験炎を点火しても全く着火しなかった場合(燃焼長:0mm)を不燃性ありと評価した。
<難燃性の評価>着火した炎が、装置の25mmラインまで到達せず且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を難燃性ありと評価した。
<自己消火性の評価>着火した炎が25〜100mmラインで消火し且つ網からの落下物にも着火が認められなかった場合を自己消火性ありと評価した。
<燃焼性の評価>着火した炎が、100mmラインを超えた場合を燃焼性と評価した。
次に、LiCoO2(正極活物質)94質量部に対して、アセチレンブラック(導電剤)3質量部と、ポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部とを添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmのアルミニウム箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの正極シートを作製した。また、人造グラファイト(負極活物質)90質量部に対してポリフッ化ビニリデン(結着剤)10質量部を添加し、有機溶媒(酢酸エチルとエタノールとの50/50質量%混合溶媒)で混練した後、該混練物を厚さ25μmの銅箔(集電体)にドクターブレードで塗工し、更に熱風乾燥(100〜120℃)して、厚さ80μmの負極シートを作製した。
得られた正極シートに、厚さ25μmのセパレーター(微孔性フィルム:ポリプロピレン製)を介して負極シートを重ね合わせて巻き上げ、円筒型電極を作製した。該円筒型電極の正極長さは約260mmであった。該円筒型電極に、上記電解液を注入して封口し、単三型リチウム電池(非水電解液2次電池)を作製した。得られた電池のサイクル特性及び高温保存特性を下記の方法で評価し、表1に示す結果を得た。
(2)サイクル特性評価
20℃の環境下で、上限電圧4.2V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で充放電を50サイクルまで繰り返して、1サイクル後の放電容量と、50サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量残存率=50サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量残存率を算出し、電池のサイクル特性の指標とした。
20℃の環境下で、上限電圧4.2V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で充放電を50サイクルまで繰り返して、1サイクル後の放電容量と、50サイクル後の放電容量とから、下記の式:
容量残存率=50サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量残存率を算出し、電池のサイクル特性の指標とした。
(3)高温保存特性評価
20℃の環境下で、上限電圧4.2V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で5サイクル充放電を行い、6サイクル目の充電を行った後、電池を55℃の環境下で、14日間保存した。その後20℃の環境下で、放電電流50mAで下限電圧3.0Vまで放電したときの6サイクル目の放電容量を求め、下記の式:
容量残存率=高温保存後(6サイクル目)の放電容量/5サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量残存率を算出し、高温保存特性の指標とした。次に、さらに同条件で充放電を行い、7サイクル目の放電容量から、下記の式:
容量回復率=7サイクル目の放電容量/5サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量回復率を算出し、高温保存特性の指標とした。
20℃の環境下で、上限電圧4.2V、下限電圧3.0V、放電電流50mA、充電電流50mAの条件で5サイクル充放電を行い、6サイクル目の充電を行った後、電池を55℃の環境下で、14日間保存した。その後20℃の環境下で、放電電流50mAで下限電圧3.0Vまで放電したときの6サイクル目の放電容量を求め、下記の式:
容量残存率=高温保存後(6サイクル目)の放電容量/5サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量残存率を算出し、高温保存特性の指標とした。次に、さらに同条件で充放電を行い、7サイクル目の放電容量から、下記の式:
容量回復率=7サイクル目の放電容量/5サイクル後の放電容量×100(%)
に従って容量回復率を算出し、高温保存特性の指標とした。
(実施例2)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがトリフルオロエチル基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、ジフルオロリン酸プロピル 40体積%と、エチレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがトリフルオロエチル基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、ジフルオロリン酸プロピル 40体積%と、エチレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 2体積%と、ジフルオロリン酸フェニル 18体積%、エチレンカーボネート 27体積%と、ジエチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-アセトキシスクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 2体積%と、ジフルオロリン酸フェニル 18体積%、エチレンカーボネート 27体積%と、ジエチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-アセトキシスクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがプロピレンジオキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 16体積%と、ジフルオロリン酸(3,5-ジメチルシクロヘキシル) 4体積%、エチレンカーボネート 27体積%と、ジメチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがプロピレンジオキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 16体積%と、ジフルオロリン酸(3,5-ジメチルシクロヘキシル) 4体積%、エチレンカーボネート 27体積%と、ジメチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、ジフルオロリン酸エチル 90体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。次に、得られた非水電解液を用い、実施例1で用いた人造グラファイト製負極に代えて、厚さ1.0mmのリチウム金属シートを負極として用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち2つがメトキシ基で、4つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、ジフルオロリン酸エチル 90体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-ベンジルオキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。次に、得られた非水電解液を用い、実施例1で用いた人造グラファイト製負極に代えて、厚さ1.0mmのリチウム金属シートを負極として用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
エチレンカーボネート 33体積%と、ジエチルカーボネート 67体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
エチレンカーボネート 33体積%と、ジエチルカーボネート 67体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 2体積%と、リン酸トリエチル 18体積%と、エチレンカーボネート 27体積%と、ジエチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-アセトキシスクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがフェノキシ基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 2体積%と、リン酸トリエチル 18体積%と、エチレンカーボネート 27体積%と、ジエチルカーボネート 53体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-アセトキシスクシンイミド 0.5質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがトリフルオロエチル基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、リン酸トリメチル 40体積%と、エチレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが3であって、全R1のうち1つがトリフルオロエチル基で、5つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 10体積%と、リン酸トリメチル 40体積%と、エチレンカーボネート 5体積%と、エチルメチルカーボネート 45体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて、これにN-メトキシカルボニルオキシスクシンイミド 2質量%を添加して非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
(比較例4)
上記一般式(I)においてnが4であって、全R1のうち1つがエトキシ基で、7つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%と、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
上記一般式(I)においてnが4であって、全R1のうち1つがエトキシ基で、7つがフッ素である環状ホスファゼン化合物 50体積%と、ジフルオロリン酸トリフルオロエチル 50体積%とからなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させて非水電解液を調製し、得られた非水電解液の難燃性を評価した。また、実施例1と同様にして非水電解液2次電池を作製し、サイクル特性並びに高温保存後の容量残存率及び容量回復率をそれぞれ測定・評価した。結果を表1に示す。
表1の実施例1〜5から、式(I)の環状ホスファゼン化合物、式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物及び式(III)のスクシンイミド化合物を含む非水電解液が高い難燃性を示すと共に、該非水電解液を用いた電池が優れた電池性能を示すことが分る。このように、本発明の非水電解液により、難燃、不燃性を発現しつつ、サイクル特性及び高温保存特性に優れた非水電解液電池が得られることが確認された。
一方、比較例2及び3に示すように、通常のリン酸トリエステルを含有する非水電解液は、式(I)の環状ホスファゼン化合物や式(III)のスクシンイミド化合物を添加しても、充放電サイクルを繰り返すことによる容量の低下を抑制することができず、また、高温保存特性も大幅に悪化してしまうことが分る。
また、比較例4に示すように、非水電解液に式(I)の環状ホスファゼン化合物と式(II)のジフルオロリン酸エステル化合物とを用いても、式(III)のスクシンイミド化合物を加えない場合には、実施例1と比較して高温保存特性が低下することが分る。
以上の結果から、式(I)で表されるホスファゼン化合物と式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物と式(III)で表されるスクシンイミド化合物とを含有する非水電解液を用いることにより、高い難燃性と優れた電池性能を両立させた非水電解液電池を提供できることが分る。
Claims (7)
- 前記一般式(I)において、R1のうち少なくとも3つがフッ素であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との体積比が10/90〜80/20の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 前記一般式(III)で表されるスクシンイミド化合物の含有量が前記非水電解液全体の0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 前記非水溶媒が、更に非プロトン性有機溶媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 前記非水溶媒における、前記一般式(I)で表される環状ホスファゼン化合物と前記一般式(II)で表されるジフルオロリン酸エステル化合物との総含有量が20体積%以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の非水電解液と、正極と、負極とを備えた非水電解液電池。
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JP2006015165A JP2007200605A (ja) | 2006-01-24 | 2006-01-24 | 非水電解液及びそれを備えた非水電解液電池 |
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