JP5171505B2 - 非水系二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系二次電池に関する。更に詳しくは、本発明は、優れた安全性を有する非水系二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化、軽量化はめざましく進展し、この進展に伴い、これら電子機器に使用される二次電池には、よりエネルギー密度を高めることが求められている。その要求に答えうる二次電池の一つとして、リチウムイオン二次電池のような非水電解液を使用した二次電池(以下、非水系二次電池)がある。
リチウムイオン二次電池には、非水電解液が使用され、非水電解液は、リチウム塩のような電解質塩と、非水系溶媒とから構成されている。非水系溶媒には、動作環境によらず、高い誘電率を有すること、酸化電位が高いこと、電池中で安定であること等が要求されている。
そのような非水系溶媒として、非プロトン性溶媒が使用され、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状炭酸エステル類、γ−ブチルラクトンのような環状カルボン酸エステル類等の高誘電率溶媒、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステル類、ジメトキシエタンのようなエーテル類等の低粘度溶媒が知られている。また、通常、高誘電率溶媒と低粘度溶媒とは組み合わせて使用されている。
しかし、非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、電池の破損や他の何らかの原因により、内部の圧力が上昇するような異常により非水電解液が漏洩することがある。漏洩した非水電解液は、リチウムイオン二次電池を構成する正極と負極との短絡によって、引火や燃焼することがある。また、リチウムイオン二次電池の発熱により、有機溶媒をベースとする非水系溶媒が気化及び/又は分解してガスを発生させることがある。発生したガスは、発火したり、リチウムイオン二次電池を破裂させたりするという問題があった。これらの問題を解決するために、非水電解液に難燃剤を添加し、難燃性を付与する研究が進められている。
非水電解液に難燃剤を添加する技術は、例えば、特開平6−13108号公報(特許文献1)、特開2002−25615号公報(特許文献2)、特表2001−525597号公報(特許文献3)、特開平11−329495号公報(特許文献4)に提案されている。
具体的には、難燃剤として、特開平6−13108号公報及び特開2002−25615号公報ではホスファゼン誘導体が提案され、特表2001−525597号公報ではアゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)が提案され、特開平11−329495号公報ではイミダゾール系化合物が提案されている。
特開平6−13108号公報 特開2002−25615号公報 特表2001−525597号公報 特開平11−329495号公報
ホスファゼン誘導体は、優れた難燃性を発現するものの、併用する非水系溶媒の種類や、非水系溶媒との配合比により、高温時におけるリチウムイオン二次電池の動作が不安定になると予想される。一般的に、リチウムイオン二次電池が何らかの原因により発熱した場合、負極又は正極と電解液との界面において、熱分解反応が生じ、この反応が熱暴走することで、リチウムイオン二次電池が破裂したり、発火したりすることがある。この現象は、ホスファゼン誘導体を配合した場合でも起こり得る。また、ホスファゼン誘導体は、負極表面で皮膜となるため、サイクル特性、動作環境安定性等の特性を低下させることがある。
また、特開2002−25615号公報の実施例では、非水系溶媒に対して、ホスファゼン誘導体を40体積%の高含有量で使用している。ホスファゼン誘導体は、比較的粘度が高く、誘電率が小さいため、高い含有量の場合、非水電解液の電導度が低下し、低下に伴う電池性能の悪化が懸念される。
更に、AIBNは、非プロトン性溶媒を主とする非水系溶媒に対して溶解度が低く、含有量を増やすことができないため、難燃性を十分向上できないことがある。更に、AIBNは、リチウムイオン二次電池の充放電により電気分解することがあり、電池性能の悪化が懸念される。
また、イミダゾール系化合物においても、添加量を多くしないと十分な難燃性が得られず、添加量を多くすると、サイクル特性、動作環境安定性の悪化が懸念される。
従って、電池性能を悪化させることなく、更なる難燃性の向上が望まれている。
本発明の発明者は、非水系二次電池用難燃剤について、鋭意検討した結果、アジド系化合物からなるガス発生剤を難燃剤として非水電解液に含有させれば、電池に充分な難燃性を与えることができ、その結果、充分な難燃性が得られる結果、異常加熱時における安全性・信頼性を確保し、加えてサイクル特性の向上した非水系二次電池を提供できることを意外にも見出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、正極と、負極と、非水電解液とを備え、前記非水電解液が、有機アジ化物から選択されるアジド系化合物からなるガス発生剤を難燃剤として含有し、
前記アジド系化合物が、トリメチルシリルアジド、ベンゼンスルホアジド及びその誘導体、ベンゼンスルホニルアジド及びその誘導体、ジフェニルリン酸アジド及びその誘導体、ベンジルアジド及びその誘導体、安息香酸アジドから選択されることを特徴とする非水系二次電池が提供される。
本発明によれば、アルカリ金属のアジ化物及び有機アジ化物から選択されるアジド系化合物からなるガス発生剤を難燃剤として非水電解液に含有させることで、非水系二次電池に充分な難燃性を与えることができる。その結果、短絡、過充電、他の何らかの原因により非水系二次電池の内部温度が上昇するような異常加熱時にも、熱暴走する危険性を低減できる。
また、このアジド系化合物からなるガス発生剤は、幅広い温度範囲においても非水系二次電池の電気特性に影響を与えることが少ないため、安定したサイクル特性を示す非水系二次電池を提供できる。
そのため、安全性、信頼性が向上した非水系二次電池を提供できる。
本発明の非水系二次電池は、正極と、負極と、非水電解液とを備え、非水電解液が、アルカリ金属のアジ化物及び有機アジ化物から選択されるアジド系化合物からなるガス発生剤(以下、アジド系ガス発生剤とも称する)を難燃剤として含有している。
本発明で難燃剤として使用されるアジド系ガス発生剤が難燃性を示す機構は、非水系二次電池の熱暴走(火元が発生する)時に熱により分解し、窒素(N2)ガスを発生し、その結果、周囲の酸素濃度を低下させることにより火元を消す(窒息消火)機構であると発明者は考えている。
アジド系ガス発生剤は、分解温度以上の加熱で、窒素ガスを生じる。分解温度は、通常の非水系二次電池を使用する環境温度よりも100℃以上高い温度であることが好ましく、具体的には、100〜300℃が好ましく、140〜250℃がより好ましい。分解温度と通常の環境温度との差が100℃未満の場合、通常の使用時にアジド系ガス発生剤が分解することがあり、その場合には非水系二次電池の電気特性が低下することになる。
上記アジド系ガス発生剤は、サイクル特性も向上させうる。
サイクル特性を向上できるのは、以下の理由によると発明者は考えている。即ち、電池の充放電サイクルが進むにつれて、正極の構成材料である正極活物質が劣化し、金属が放出される。この金属がサイクル寿命を低下させる要因の一つになる。アジド系化合物は、金属と反応し、金属錯体を形成する性質を有していることが知られている。そのため、非水電解液中のアジド系化合物は、放出された金属を捕捉することで、サイクル寿命を向上させると推測される。
アジド系ガス発生剤として、アジ化リチウム、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム等の金属化合物、トリメチルシリルアジド、ベンゼンスルホアジド及びその誘導体、ベンゼンスルホニルアジド及びその誘導体、ジフェニルリン酸アジド及びその誘導体、ベンジルアジド及びその誘導体、安息香酸アジド等のアジ基を含有する有機化合物が挙げられる。
サイクル特性の向上の観点から、上記アジド系ガス発生剤としては、トリメチルシリルアジド、ベンゼンスルホアジド及びその誘導体が好ましい。
非水電解液は、電解質塩と、非水系溶媒と、任意に他の添加剤とを含んでいる。
電解質塩としては、通常リチウム塩が使用される。リチウム塩としては、非水系溶媒に溶解するものであれば特に限定されない。例えば、LiClO4、LiCl、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF32、低級脂肪族カルボン酸、クロロボランリチウム、4−フェニルホウ酸リチウム等が挙げられる。これらのリチウム塩は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。電解質塩の好ましい添加量は、非水系溶媒1Kgに対して、0.1〜3モルが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。
非水系溶媒としては、通常、非プロトン性有機溶媒が使用できる。非プロトン性溶媒としては、特に制限されないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジオキサン、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。これら有機溶媒は1種類又は2種類以上組み合わせて使用できる。
アジド系ガス発生剤の配合割合は、非水系電解液中、重量%にして、通常1〜30重量%の範囲であり、好ましくは10〜20重量%の範囲である。1重量%未満では、非水系二次電池の破裂や発火が十分に抑制できないことがある。一方、30重量%を超えると、低温環境において、非水系二次電池の性能が低下することがある。
非水系二次電池の充放電特性、耐低温性等を向上させる観点から、非水電解液は、更に、他の添加剤が含まれていることが好ましい。他の添加剤としては、例えば、従来公知の脱水剤、脱酸剤等が挙げられる。具体的には、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ジブチルスルフィド、ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等が挙げられる。これら他の添加剤を非水系溶媒中に通常0.1重量%以上、5重量%以下の濃度で含有させると、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上できる。
正極は、例えば、正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを正極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。正極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、正極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜20重量部、結着剤を1〜15重量部、有機溶剤を30〜60重量部とすることができる。
正極活物質としては、例えば、LiNiO2、LiCoO2、LiMn24のリチウム複合酸化物、及びこれら酸化物中の一部の元素を他元素(例えば、Fe、Si、Mo、Cu及びZn等)で置換した化合物を用いることができる。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素質材料が挙げられる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリビニルピリジンや、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
正極集電体としては、例えば、SUS、アルミニウム等の導電性金属の箔や薄板が挙げられる。
また、負極は、例えば、負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤を含有するペーストを負極集電体上に塗布、乾燥、加圧することにより作製できる。負極活物質、導電材、結着剤及び有機溶剤の配合量は、負極活物質を100重量部とすると、導電材を1〜15重量部、結着剤を1〜10重量部、有機溶剤を40〜70重量部とすることができる。
負極活物質としては、例えば、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼結体、炭素繊維、気相成長黒鉛繊維、活性炭等が挙げられる。
導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等の炭素質材料が挙げられる。
結着剤としては、例えば、PVdF、ポリビニルピリジンやポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、NMP、DMF等が挙げられる。
負極集電体としては、例えば、銅のような金属の箔が挙げられる。
負極と正極との間には、通常セパレータが介在している。
セパレータは、通常多孔質フィルムよりなり、耐溶剤性や耐還元性を考慮して材質が選定される。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質フィルムあるいは不織布が好適である。このような材質からなるものを単層又は複数層にして用いることができる。複数層の場合は、サイクル特性、低温性能、負荷特性等の観点から少なくとも1枚は不織布を用いることが好ましい。
負極と正極間に、任意にセパレータを挟み、非水電解液を注入することで非水系二次電池が得られる。また、この非水系二次電池を一単位として、一単位を複数積層してもよい。
非水系二次電池のその他の構成部材としては、通常使用されている公知の部材を使用できる。
また、非水系二次電池の形態としては、特に制限されず、ボタン型、コイン型、角型、スパイラル構造の円筒型、ラミネート型電池等の種々の形態が挙げられ、これらは、その用途に応じて、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例と比較例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
エチレンカーボネート(EC)とジエチレンカーボネート(DEC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート=1/2)(非プロトン性有機溶媒)75重量部に、ガス発生剤であるアジド系化合物として、トリメチルシリルアジド(東京化成工業社製)10重量部を添加した。得られた混合溶媒に、リチウム塩として、LiPF6を15重量部溶解することで、非水電解液を調製した。
正極活物質としてLiMn24を100重量部、導電材としてアセチレンブラックを5重量部、結着剤としてPVdFを5重量部、溶剤としてNMP40重量部を、プラネタリーミキサーにより混練することで、分散させて正極形成用ペーストを作製した。作製したペーストを塗工装置にて正極集電体である厚み20μmの帯状アルミニウム箔の両面に均一に塗工した。なお、アルミニウム箔の端部に、端子接続用の未塗工部を設定した。塗膜を130℃で8時間減圧乾燥して溶媒を除いた後、油圧プレス機を用いてプレスすることで正極を形成した。得られた正極は、所定のサイズに裁断して使用した。
負極活物質として、中国産の天然粉末黒鉛(平均粒径15μm)を100重量部、導電材として気相成長黒鉛繊維(VGCF)粉末(昭和電工社製VGCF高嵩品)を2重量部、結着剤としてPVdFを2重量部、溶剤としてNMP50重量部を、プラネタリーミキサーにより混練することで、分散させて負極形成用のペーストを作製した。作製したペーストを塗工装置にて負極集電体である厚み10μmの銅箔の両面に均一に塗工した。なお、銅箔の端部に、端子接続用の未塗工部を設定した。更に、塗膜を100℃で8時間減圧乾燥して溶媒を除いた後、油圧プレス機を用いてプレスすることで負極を形成した。得られた負極は、所定のサイズに裁断して使用した。
得られた正極と負極とを、セパレータとしてのポリプロピレンの多孔質フィルム(旭化成ケミカルズ社製)を介して積層し、次いで、積層体に前記非水電解液を注液することで、非水系二次電池を作製した。
(実施例2)
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を84重量部とし、トリメチルシリルアジドの使用量を1重量部としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例3)
エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を55重量部とし、トリメチルシリルアジドの使用量を30重量部としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例4)
トリメチルシリルアジドを、3−アジドフェニルスルホン(和光純薬工業社製)に代えたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(実施例5)
トリメシチルアジド10重量部を、アジ化ナトリウム(和光純薬工業社製)3重量部とし、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒の使用量を82重量部としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(比較例1)
エチレンカーボネート(EC)とジエチレンカーボネート(DEC)との混合溶媒(混合比(体積比):エチレンカーボネート/ジエチレンカーボネート=1/2)(非プロトン性有機溶媒)85重量部に、リチウム塩として、LiPF6を15重量部としたほかは、実施例1と同様に非水系二次電池を作製した。
(電池の性能の試験方法)
実施例1〜5及び比較例1で得られた非水系二次電池について、20℃及び60℃における初回放電容量の測定、放電容量維持率の測定、安全性試験として釘刺し試験を以下の手順で行った。
(1)20℃における初回放電容量の測定
0.1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、0.1CmAレートにて放電し、電圧が3.0Vになるまで放電したときの容量を初回放電容量(mAh/g)とする。なお、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
(2)20℃における放電容量維持率の測定
1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が3.0Vになるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを99回行い、100回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目測定終了後、1CmAレートにて4.2Vになるまで非水系二次電池を充電した後、1CmAレートにて電圧が3.0Vになるまで放電することを1サイクルとし、このサイクルを399回行い、トータル充放電サイクル500回目として、初回放電容量と同一の充放電条件で充放電を1サイクル行ったときの容量を求める。
100回目、および500回目の放電容量維持率(%)は、それぞれ、初回放電容量に対する100回目、および、初回放電容量に対する500回目の放電容量の割合とする。なお、測定は、20℃一定の恒温器の中で実施する。
(3)60℃における初回放電容量及び放電容量維持率
60℃における初回放電容量(mAh/g)及び放電容量維持率(%)は、恒温器の温度を60℃一定にすること以外は、20℃における初回放電容量及び放電容量維持率と同様にして測定した値とする。
(4)釘刺し試験
釘刺し試験は、0.1CmAレートにて4.2Vになるまで充電した非水系二次電池に、室温20℃において、直径3mmの釘を速度1mm/sで貫通させた時の状態を確認する試験である。
試験結果を表1に示す。
Figure 0005171505
表1から、非水系溶媒として一般的な有機溶媒を用い、難燃剤を含まない非水系二次電池(比較例1)は、釘刺し試験において、発煙及び発火が生じている。これに対し、非水系溶媒にガス発生剤であるアジド系化合物を添加した非水系二次電池(実施例1〜5)は、釘刺し試験でも発煙や発火のような異常が生じていない。更に、電池性能についても、実施例1〜5の非水系二次電池は、比較例1の非水系二次電池と比較して、遜色がない。
以上のように、表1から、ガス発生剤であるアジド系化合物を非水電解液に含有させることで、難燃性が向上するだけなく、サイクル特性が向上した非水系二次電池が得られることが分かる。

Claims (4)

  1. 正極と、負極と、非水電解液とを備え、前記非水電解液が、有機アジ化物から選択されるアジド系化合物からなるガス発生剤を難燃剤として含有し、
    前記アジド系化合物が、トリメチルシリルアジド、ベンゼンスルホアジド及びその誘導体、ベンゼンスルホニルアジド及びその誘導体、ジフェニルリン酸アジド及びその誘導体、ベンジルアジド及びその誘導体、安息香酸アジドから選択されることを特徴とする非水系二次電池。
  2. 前記アジド系化合物が、前記非水電解液中に、1〜30重量%含まれる請求項1に記載の非水系二次電池。
  3. 前記アジド系化合物が、その分解温度以上の加熱で、窒素ガスを生じる化合物である請求項1又は2に記載の非水系二次電池。
  4. 前記アジド系化合物が、120〜250℃の分解温度を有する化合物である請求項1〜3のいずれか1つに記載の非水系二次電池。
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