JP3959801B2 - 非水二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充放電サイクル特性を改良した非水二次電池に関し、特に充放電サイクル特性を改良した正極を有する非水二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やノート型パソコン等の電子機器の電源として、LiCoO2 を正極に用いたリチウムイオン二次電池が用いられている。リチウムイオン二次電池は他の二次電池に比べて高容量であるため、他の電池をしのいでその需要を増しつつあるが、その一方でさらなるサイクル寿命の改良が望まれている。
【0003】
LiCoO2 を用いた正極のサイクル寿命を改良するために、Niやその他の遷移金属をCoに固溶させ結晶構造を安定化させることが特開昭62−256371号、同62−90863号、同62−264560号等に提案されている。しかしながら、異種元素を固溶させると容量の低下を招いたり、期待するほどのサイクル寿命の向上が得られなかった。
【0004】
一方、LiCoO2 や少量のNiを固溶させた複合酸化物は、焼成原料として炭酸コバルトやCo3 O4 、炭酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化ニッケル等を用いるため、これらの原料が不純物として含有する多数の元素をそのまま内蔵することになる。通常の焼成して得たリチウムコバルト酸化物が含む異種金属元素とその最大値は、例えばNaが350ppm、Kが100ppm、Mgが35ppm、Caが80ppm、Alが80ppm、Cuが30ppm、Feが100ppm、Siが100ppmである。これらの不純物は、放電容量低下やサイクル寿命劣化の原因となると考えられる。このためこれらの不純物を低減させるために原料の生成を繰り返すことや、焼成後のリチウムコバルト酸化物を洗浄処理することなども提案されている。また、特開平5−343066号では、NaとKの総含量を1000ppm以下に制御したLiCoO2 が記載されている。しかしながら、これらの方法によっても満足のできるサイクル寿命は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、充放電サイクル特性を改良した非水二次電池を提供することにあり、特に充放電サイクル特性を改良した正極を有する非水二次電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、リチウムとコバルトの複合酸化物である正極活物質を含有するシート状正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を含有するシート状負極と、リチウム塩を含む非水電解質とを含む非水二次電池に於いて、該正極活物質が、コバルトを主体とするリチウム複合酸化物であり、かつマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)から選ばれる少なくとも一種の含有総量が該正極活物質全体に対して120ppm以上、5000ppm以下であることを特徴とする非水二次電池により解決された。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい形態を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0008】
(1)リチウムとコバルトを主体とする複合酸化物である正極活物質を含有するシート状正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を含有するシート状負極と、リチウム塩を含む非水電解質とを含む非水二次電池に於いて、該正極活物質が、下記一般式(1)で表され、かつ該正極活物質中に含まれるマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)から選ばれる少なくとも一種であるアルカリ土類金属の総量が該正極活物質全体に対して120ppm以上、5000ppm以下であることを特徴とする非水二次電池。
【0009】
一般式(1)
LixNiyCo1−yO2(0.1≦x≦1.05、0<y≦0.2)
【0010】
(2)該アルカリ土類金属が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1の非水二次電池。
【0014】
(3)前記アルカリ土類金属のマグネシウムの量が40ppm以上、250ppm以下であることを特徴とする項1又は2記載の非水二次電池。
【0015】
(4)前記アルカリ土類金属のカルシウムの量が90ppm以上、750ppm以下であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
【0016】
(5)リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料が、炭素質材料であることを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
【0017】
(6)リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料が、周期律表13,14,15族原子を含む主として非晶質カルコゲン化合物または非晶質酸化物であることを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池。
【0018】
(7)項6の負極材料が下記一般式(2)で表されることを特徴とする非水二次電池。
【0019】
一般式(2) SnM3c M4d Ot
式中、M3はSi、Al、B、P、Si、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
【0020】
以下、本発明について詳述する。
正極活物質は、リチウムとコバルトの複合酸化物であり、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0021】
一般式(1)
LixNiyCo1−yO2(0.1≦x≦1.05、0<y≦0.2)
式(1)を満たす正極活物質の具体例を以下に示す。
【0022】
LiCoO2 (参考例)、LiNi0.02Co0.98O2、LiNi0.05Co0.95O2、LiNi0.1Co0.9O2、LiNi0.15Co0.85O2、LiNi0.2Co0.8O2上記の正極活物質を高純度で生成することは困難であり、〔従来の技術〕の項で記載したように、Na、K、Mg、Ca、Al、Cu、Fe、Si等の異種元素が不純物として正極活物質に混入してしまう。これらの不純物は、電池の放電容量の低下やサイクル寿命の劣化を引き起こすため、原則として不純物を低減させることが好ましい。
【0023】
しかし、本発明者らは、上記の不純物のうち、アルカリ土類金属に限っては、所定量を正極活物質に混入することにより、電池特性を向上させることができることを発見した。すなわち、アルカリ土類金属が正極活物質中に不純物として含まれる総量を正極活物質全体に対して120ppm以上にすることにより電池の充放電サイクル特性を向上させることができ、5000ppm以下にすることにより電池の放電容量を大きくすることができる。
【0024】
アルカリ土類金属の総量は130〜5000ppmが好ましく、より好ましくは150〜1000ppm、さらにより好ましくは200〜500ppmであ。この場合、電池の充放電サイクル特性に優れ、かつ放電容量の高い非水二次電池が得られる。
【0025】
さらに、上記のアルカリ土類金属のうち、マグネシウム(Mg)の量は40〜250ppmが好ましく、50〜200ppmがより好ましく、60〜150ppmが特に好ましい。また、上記のアルカリ土類金属のうち、カルシウム(Ca)の量は90〜750ppmが好ましく。100〜600ppmがより好ましく、120〜500ppmが特に好ましい。
【0026】
本明細書で、アルカリ土類金属とは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)を指す。好ましいアルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)であり、特に好ましいのはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)である。
【0027】
以上は、電池の正極に用いる正極活物質について説明した。次に、電池の負極に用いる負極材料について説明する。
【0028】
負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる化合物であればよい。このような負極材料の例としては金属リチウム、リチウム合金、炭素質化合物、無機酸化物、無機カルコゲン化合物、金属錯体、有機高分子化合物が挙げられる。これらは単独でも、組み合わせて用いてもよい。
【0029】
上記の負極材料の中で好ましいのは、炭素質材料、金属もしくは半金族元素の酸化物、カルコゲンである。炭素質材料は、実質的に炭素からなる材料であり例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、人造黒鉛、難黒鉛性炭素、メソカーボンマイクロビーズ、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等を挙げることができる。
【0030】
また、負極材料として周期律表1,2,13,14,15族原子から選ばれる三種以上の原子を含む主として非晶質カルコゲン化合物または非晶質酸化物が特に好ましく用いられる。ここで言う主として非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは結晶性の回折線を有さないことである。
【0031】
上記のカルコゲン化合物、酸化物は、B,Al,Ga,In,Tl,Si,Ge,Sn,Pb,P,As,Sb,Biの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物、複合酸化物がより好ましい。特に好ましいのは、B,Al,Si,Ge,Sn,Pの中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物もしくは酸化物である。これらの複合カルコゲン化合物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するために周期律表の1族から2族の元素から選ばれた少なくとも1種の元素を含む。
【0032】
上記の負極材料の中で、Snを主体とする非晶質の複合酸化物が好ましく、次の一般式(2)で表される。
【0033】
一般式(2) SnM3c M4d Ot
式中、M3はAl、B、P、Si、Geの少なくとも1種を、M4は周期律表第1族元素、第2族元素の少なくとも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、tは1以上6以下の数を表す。
【0034】
図1は、シリンダ型電池の断面図である。電池の形状はシリンダ、角のいずれにも適用できる。巻芯をシリンダ形にすれば、シリンダ型電池を製造することができ、巻芯を角形にすれば、角型電池を製造することができる。電池は、セパレーター4と共に巻回した正極シート3と負極シート2を電池缶1に挿入し、電池缶1と負極シート2を電気的に接続し、電解液を注入し封口して形成する。端子キャップ13は正極端子を兼ね、ガスケット7を介して電池缶1の上部口に嵌合される。正極シート3は、正極リード8、溶接プレート15、防爆弁体9、電流遮断スイッチ10、正温度係数抵抗(以下、PTCという)リング11を介して端子キャップ13に電気的に接続される。
【0035】
封口体は、上から順に端子キャップ13、PTCリング11、電流遮断スイッチ10、防爆弁体9が重ねられ、ガスケット7に嵌入支持される。端子キャップ13は、電池の表面露出部分であり、防爆弁体9は電池内側である。絶縁カバー16は、防爆弁体9の上側の表面を覆う。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと第二導通体10bと絶縁リング10cを有する。
【0036】
電極群は、正極シート3と負極シート2を、間にセパレータ4を挟んで巻回したものである。その電極群と防爆弁体9の間に、上部絶縁板6が配置される。上部絶縁板6は、電極群と封口体を絶縁すると共に、電極群と電池缶1を絶縁する。電極群と電池缶1の間に下部絶縁板5を配置し、電極群と電池缶1を絶縁する。
【0037】
PTCリング11は電池内温度が上昇すると抵抗が増大して電流を遮断する機能をもつ。電流遮断スイッチ10は、第一導通体10aと絶縁リング10cと第二導通体10bの積層構造体であり、第一導通体10aは防爆弁体9側に配置され貫通孔を有し、第二導通体10bはPTCリング11側すなわち端子キャップ13側に配置され貫通孔を有する構造である。第一導通体10aと第二導通体10bとは中央部で電気的に接続され、該第一導通体10aの該接続部の周囲に肉薄部を有している。防爆弁体9は、内圧上昇時に電極群側とは反対側へ変形できるもので、上記した第一導通体10aの中央接続部を押し上げることができるものであれば良い。電池内の異常反応により、内圧が上昇すると防爆弁体9が変形して電流遮断スイッチ10の第一導通体10aと第二導通体10bの接続部分を破断して電流を遮断し、さらに圧力が増加すると防爆弁体9の肉薄部が破壊して圧力を放出する。この時電流遮断スイッチ10を防爆弁体9の電極群側とは反対側に配置しているので、遮断部においてスパークが生じても、電解液蒸気への引火を原因とする電池の破裂が防止される。
【0038】
電池に用いられる正極(あるいは負極)は、正極合剤(あるいは負極合剤)を集電体上に塗設、成形して作ることができる。正極合剤(あるいは負極合剤)には、正極活物質(あるいは負極材料)の他、導電剤、結着剤、分散剤、フィラー、イオン導電剤、圧力増強剤や各種添加剤を含ませることができる。これらの電極は、円盤状、板状であってもよいが、柔軟性のあるシート状であることが好ましい。
【0039】
以下に電極合剤に使用される材料について説明する。
上記の正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応により合成することができるが、特に焼成法が好ましい。
【0040】
焼成の為の詳細は、特開平6−60、867号の段落35、特開平7−14、579号等に記載されており、これらの方法を用いることができる。焼成によって得られた正極活物質は水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶剤にて洗浄した後使用してもよい。
【0041】
更に、遷移金属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷移金属酸化物とを反応させることにより合成する方法であっても良い。
【0042】
正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。0.5〜30μmの粒子の体積が95%以上であることが好ましい。粒径3μm以下の粒子群の占める体積が全体積の18%以下であり、かつ15μm以上25μm以下の粒子群の占める体積が、全体積の18%以下であることが更に好ましい。比表面積としては特に限定されないが、BET法で0.01〜50m2 /gが好ましく、特に0.2m2 /g〜1m2 /gが好ましい。また正極活物質5gを蒸留水100mlに溶かした時の上澄み液のpHとしては7以上12以下が好ましい。
【0043】
正極活物質を焼成によって得る場合、焼成温度としては500〜1500℃であることが好ましく、さらに好ましくは700〜1200℃であり、特に好ましくは750〜1000℃である。焼成時間としては4〜30時間が好ましく、さらに好ましくは6〜20時間であり、特に好ましくは6〜15時間である。
【0044】
上述のように、負極材料として非晶質複合酸化物を用いることができる。非晶質複合酸化物は、焼成法、溶液法のいずれの方法も採用することができるが、焼成法がより好ましい。焼成法では、一般式(2)に記載された元素の酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0045】
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、かつ焼成温度としては500℃以上1500℃以下であることが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上100時間以下であることが好ましい。且つ、降温速度としては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好ましい。
【0046】
昇温速度とは「焼成温度(℃表示)の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達するまでの温度上昇の平均速度であり、降温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平均速度である。
【0047】
降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1987)217頁記載のgun法・Hammer−Anvil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマスプレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には融液を攪拌することが好ましい。
【0048】
焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられる。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0049】
上記の化合物の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。寄り詳しくは、平均粒径が0.7〜25μmであり、かつ全体積の60%以上が0.5〜30μmであることが好ましい。また、負極材料の粒径1μm以下の粒子群の占める体積は全体積の30%以下であり、かつ粒径20μm以上の粒子群の占める体積が全体積の25%以下であることが好ましい。使用する材料の粒径は、負極の片面の合剤厚みを越えないものであることはいうまでもない。
【0050】
所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
【0051】
平均粒径とは一次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒度分布測定装置により測定される。
【0052】
また、負極材料の比表面積は、BET比表面積測定法での測定値が0.1〜5m2 /gであることが好ましい。
【0053】
負極材料の例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
SnAl0.4 B0.5 P0.5 K0.1 O3.65、SnAl0.4 B0.5 P0.5 Na0.2 O3.7 、SnAl0.4 B0.3 P0.5 Rb0.2 O3.4 、SnAl0.4 B0.5 P0.5 Cs0.1 O3.65、SnAl0.4 B0.5 P0.5 K0.1 Ge0.05O3.85、SnAl0.4 B0.5 P0.5 K0.1 Mg0.1 Ge0.02O3.83、 SnAl0.4 B0.4 P0.4 O3.2 、SnAl0.3 B0.5 P0.2 O2.7 、SnAl0.3 B0.5 P0.2 O2.7 、SnAl0.4 B0.5 P0.3 Ba0.08Mg0.08O3.26、SnAl0.4 B0.4 P0.4 Ba0.08O3.28、SnAl0.4 B0.5 P0.5 O3.6 、SnAl0.4 B0.5 P0.5 Mg0.1 O3.7
【0054】
SnAl0.5 B0.4 P0.5 Mg0.1 F0.2 O3.65、SnB0.5 P0.5 Li0.1 Mg0.1 F0.2 O3.05、SnB0.5 P0.5 K0.1 Mg0.1 F0.2 O3.05、SnB0.5 P0.5 K0.05Mg0.05F0.1 O3.03、SnB0.5 P0.5 K0.05Mg0.1 F0.2 O3.03、SnAl0.4 B0.5 P0.5 Cs0.1 Mg0.1 F0.2 O3.65、SnB0.5 P0.5 Cs0.05Mg0.05F0.1 O3.03、SnB0.5 P0.5 Mg0.1 F0.1 O3.05、SnB0.5 P0.5 Mg0.1 F0.2 O3 、SnB0.5 P0.5 Mg0.1 F0.06O3.07、SnB0.5 P0.5 Mg0.1 F0.14O3.03、SnPBa0.08O3.58、SnPK0.1 O3.55、SnPK0.05Mg0.05O3.58、SnPCs0.1 O3.55、SnPBa0.08F0.08O3.54、SnPK0.1 Mg0.1 F0.2 O3.55、SnPK0.05Mg0.05F0.1 O3.53、SnPCs0.1 Mg0.1 F0.2 O3.55、SnPCs0.05Mg0.05F0.1 O3.53、Sn1.1 Al0.4 B0.2 P0.6 Ba0.08F0.08O3.54、Sn1.1 Al0.4 B0.2 P0.6 Li0.1 K0.1 Ba0.1 F0.1 O3.65、Sn1.1 Al0.4 B0.4 P0.4 Ba0.08O3.34、
【0055】
Sn1.1 Al0.4 PCs0.05O4.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.05O4.23、Sn1.2 Al0.5 B0.3 P0.4 Cs0.2 O3.5 、Sn1.2 Al0.4 B0.2 P0.6 Ba0.08O3.68、Sn1.2 Al0.4 B0.2 P0.6 Ba0.08F0.08O3.64、Sn1.2 Al0.4 B0.2 P0.6 Mg0.04Ba0.04O3.68、Sn1.2 Al0.4 B0.3 P0.5 Ba0.08O3.58、Sn1.3 Al0.3 B0.3 P0.4 Na0.2 O3.3 、Sn1.3 Al0.2 B0.4 P0.4 Ca0.2 O3.4 、Sn1.3 Al0.4 B0.4 P0.4 Ba0.2 O3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 O4.6 、Sn1.4 Al0.2 Ba0.1 PK0.2 O4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba0.2 PK0.2 O4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK0.2 Ba0.1 F0.2 O4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3 O4.65、Sn1.5 Al0.2 PK0.2 O4.4 、Sn1.5 Al0.4 PK0.1 O4.65、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05O4.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 F0.2 O4.63
【0056】
SnSi0.5 Al0.1 B0.2 P0.1 Ca0.4 O3.1 、SnSi0.4 Al0.2 B0.4 O2.7 、SnSi0.5 Al0.2 B0.1 P0.1 Mg0.1 O2.8 、SnSi0.6 Al0.2 B0.2 O2.8 、SnSi0.5 Al0.3 B0.4 P0.2 O3.55、SnSi0.5 Al0.3 B0.4 P0.5 O4.30、SnSi0.6 Al0.1 B0.1 P0.3 O3.25、SnSi0.6 Al0.1 B0.1 P0.1 Ba0.2 O2.95。SnSi0.6 Al0.1 B0.1 P0.1 Ca0.2 O2.95、SnSi0.6 Al0.4 B0.2 Mg0.1 O3.2 、SnSi0.6 Al0.1 B0.3 P0.1 O3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg0.2 O2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 O2.7 、SnSi0.6 Al0.2 P0.2 O3 、SnSi0.6 B0.2 P0.2 O3 、SnSi0.8 Al0.2 O2.9 、SnSi0.8 Al0.3 B0.2 P0.2 O3.85、SnSi0.8 B0.2 O2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 O2.8 、SnSi0.8 Mg0.2 O2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 O2.8 、SnSi0.8 P0.2 O3.1
【0057】
Sn0.9 Mn0.3 B0.4 P0.4 Ca0.1 Rb0.1 O2.95、Sn0.9 Fe0.3 B0.4 P0.4 Ca0.1 Rb0.1 O2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 P0.9 O3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 P0.9 O3.35、Sn0.9 Mn0.1 Mg0.1 P0.9 O3.35、Sn0.2 Mn0.8 Mg0.1 P0.9 O3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1 P0.9 O3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 P0.9 O3.35
【0058】
SnSi0.8 B0.2 O2.9 、SnSi0.7 B0.3 O2.85、SnSi0.7 B0.3 Al0.1 O3.0 、SnSi0.5 B0.3 Al0.1 Mg0.1 O2.7 、Sn0.8 Si0.6 B0.2 Al0.1 Li0.1 O2.5 、Sn0.8 Si0.6 B0.2 Al0.1 Cs0.1 O2. 65、Sn0.8 Si0.7 B0.1 P0.1 Al0.1 O2.75、Sn0.8 Si0.5 B0.3 P0.2 Al0.1 O2.9 、Sn0.8 Si0.7 B0.1 P0.1 Al0.1 Li0.05O2.78、Sn0.8 Si0.5 B0.3 P0.1 Al0.1 Li0.1 O2.7 、Sn0.8 Si0.5 B0.3 P0.2 Al0.1 Cs0.1 O2.95、Sn0.8 Si0.7 P0.3 O2.95、Sn0.8 Si0.7 P0.3 Al0.1 O3.1 、SnSi0.5 B0.3 Zr0.1 O2.65、Sn0.8 Si0.6 P0.2 Zr0.1 O2.7 、Sn0.8 Si0.6 B0.2 P0.1 Zr0.1 O2.75
【0059】
上記焼成されて得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から算出できる。
【0060】
負極材料には軽金属、特にリチウムを挿入して用いることができる。リチウムの挿入方法には、電気化学的方法、化学的方法、熱的方法等がある。特に好ましいのは電気化学的方法であり、例えば集電体の負極合剤の未塗布部や負極合剤層上にリチウムを主体とした金属の小片を貼り付け、電解液と接触させることによって挿入できる。特に電池内で電気化学的にリチウムを挿入する方法が好ましい。リチウムを主体とした金属の小片は、厚みが5〜200μmの箔を短冊状等の小片にして貼り付けるのが好ましい。
【0061】
リチウムの挿入は、リチウムを対極としたときに0.01Vまで挿入することができ、より好ましくは0.05Vまで挿入できる。特に好ましい方法は、負極材料の有する不可逆容量を補償するためにリチウムを部分的に挿入する方法であり、リチウムを対極としたときに0.3Vまで挿入する方法である。
【0062】
より具体的なリチウムの挿入量としては、負極材料1g当たり0.005g〜0.5g、より好ましくは0.03g〜0.2g、特に好ましくは0.06g〜0.15gである。負極材料が金属酸化物の場合は、金属酸化物1モル当たりの当量で0.5〜4.0当量であり、さらに好ましくは1〜3.5当量であり、特に好ましくは1.2〜3.2当量である。1.2当量よりも少ないリチウムを負極材料に予備挿入した場合には電池容量が低く、また3.2当量より多くのリチウムを予備挿入した場合にはサイクル性劣化があり、それぞれ好ましくない。
【0063】
リチウム挿入量は、負極シート上に重ね合せるリチウムの量によって任意に制御することが可能である。リチウムを主体とした金属としてはリチウム金属を用いることが好ましいが、純度90重量%以上のものが好ましく、98重量%以上のものが特に好ましい。負極シート上のリチウムの重ね合せパターンとしてはシート全面に重ね合わせることが好ましいが、負極材料に予備挿入されたリチウムはエージングによって徐々に負極材料中に拡散するため、シート全面ではなくストライプ、枠状、円板状のいずれかの部分的重ね合わせも好ましい。ここで言う重ね合せとは負極合剤および補助層を有するシート上に直接リチウムを主体とした金属箔を圧着することを意味する。
【0064】
負極シートにおける金属箔重ね合せの被覆率は10〜100%が好ましいが、15〜100%がより好ましく、20〜100%が特に好ましい。20%以下の場合は、リチウムの予備挿入が不均一となる場合もあり好ましくない。さらに、均一性の観点からリチウムを主体とした金属箔の厚さは5〜150μmであることが好ましく、5〜100μmがさらに好ましく、10〜75μmが特に好ましい。
【0065】
リチウムを主体とした金属箔の切断、貼り付け等のハンドリング雰囲気は露点−30℃以下−80℃以上のドライエアー又はアルゴンガス雰囲気下が好ましい。ドライエアーの場合は−40℃以下−80℃以上がさらに好ましい。また、ハンドリング時には炭酸ガスを併用してもよい。特にアルゴンガス雰囲気の場合は炭酸ガスを併用することが好ましい。
【0066】
電極合剤に使用される導電剤は、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コークス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファルトピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッチ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。黒鉛では、アスペクト比が5以上の平板状のものを用いると好ましい。これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好ましく、粒子の大きさは、0.01μm以上、20μm以下が好ましく、0.02μm以上、10μm以下の粒子がより好ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、アセチレンブラック等のカーボンブラック類と、1〜15μmの黒鉛粒子を併用すると好ましい。
【0067】
導電剤の電極合剤層への添加量は、負極材料または正極活物質に対し1〜50重量%であることが好ましく、特に2〜30重量%であることが好ましい。カーボンブラックやグラファイトでは、3〜20重量%であることが特に好ましい。
【0068】
電極合剤を保持するために結着剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ましい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メタ)アクリレート、スチレンーマレイン酸共重合体等の水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフルロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチルメタアクリレート、2ーエチルヘキシルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等のビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来る。
【0069】
特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの結着剤は、微小粉末を水に分散したものを用いるのが好ましく、分散液中の粒子の平均サイズが0.01〜5μmのものを用いるのがより好ましく、0.05〜1μmのものを用いるのが特に好ましい。
【0070】
これらの結着剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量%が好ましい。
【0071】
充填剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
【0072】
イオン導電剤は、無機及び有機の固体電解質として知られている物を用いることができ、詳細は電解液の項に記載されている。
【0073】
圧力増強剤は、電池の内圧を上げる化合物であり、炭酸リチウム等の炭酸塩が代表例である。
【0074】
電池に使用できる集電体は正極はアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金であり、負極は銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には銅箔が好ましい。
【0075】
次に、正負電極の構成について説明する。正負電極は集電体の両面に電極合剤を塗布した形態であることが好ましい。この場合、片面あたりの層数は1層であっても2層以上から構成されていても良い。片面あたりの層の数が2以上である場合、正極活物質(もしくは負極材料)含有層が2層以上であっても良い。より好ましい構成は、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層と正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層から構成される場合である。
【0076】
正極活物質(もしくは負極材料)を含有しない層には、正極活物質(もしくは負極材料)を含有する層を保護するための保護層、分割された正極活物質(もしくは負極材料)含有層の間にある中間層、正極活物質(もしくは負極材料)含有層と集電体との間にある下塗り層等があり、本明細書においてはこれらを総称して補助層と言う。
【0077】
保護層は正負電極の両方または正負電極のいずれかにあることが好ましい。負極において、リチウムを電池内で負極材料に挿入する場合は負極は保護層を有する形態であることが望ましい。保護層は、少なくとも1層からなり、同種又は異種の複数層により構成されていても良い。また、集電体の両面の電極合剤層の内の片面にのみ保護層を有する形態であっても良い。これらの保護層は、水不溶性の粒子と結着剤等から構成される。結着剤は、前述の電極合剤を形成する際に用いられる結着剤を用いることが出来る。水不溶性の粒子としては、種種の導電性粒子、実質的に導電性を有さない有機及び無機の粒子を用いることができる。水不溶性粒子の水への溶解度は、100ppm以下、好ましくは不溶性のものが好ましい。
【0078】
保護層に含まれる粒子の割合は2.5重量%以上、96重量%以下が好ましく、5重量%以上、95重量%以下がより好ましく、10重量%以上、93重量%以下が特に好ましい。
【0079】
水不溶性の導電性粒子としては、金属、金属酸化物、金属繊維、炭素繊維、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粒子を挙げることが出来る。これらの水不溶導電性粒子の中で、アルカリ金属特にリチウムとの反応性が低いものが好ましく、金属粉末、炭素粒子がより好ましい。粒子を構成する元素の20℃における電気抵抗率としては、5×109 Ω・m以下が好ましい。
【0080】
金属粉末としては、リチウムとの反応性が低い金属、即ちリチウム合金を作りにくい金属が好ましく、具体的には、銅、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、チタン、タングステン、タンタルが好ましい。これらの金属粉末の形は、針状、柱状、板状、塊状のいずれでもよく、最大径が0.02μm以上、20μm以下が好ましく、0.1μm以上、10μm以下がより好ましい。これらの金属粉末は、表面が過度に酸化されていないものが好ましく、酸化されているときには還元雰囲気で熱処理することが好ましい。
【0081】
炭素粒子としては、従来電極活物質が導電性でない場合に併用する導電材料として用いられる公知の炭素材料を用いることが出来る。具体的には電極合剤を作る際に用いられる導電剤が用いられる。
【0082】
実質的に導電性を持たない水不溶性粒子としては、テフロンの微粉末、SiC、窒化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ムライト、フォルステライト、ステアタイトを挙げることが出来る。これらの粒子は、導電性粒子と併用してもよく、導電性粒子の0.01倍以上、10倍以下で使うと好ましい。
【0083】
正(負)の電極シートは正(負)極の合剤を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する事ができる。
【0084】
合剤の調製は正極活物質(あるいは負極材料)および導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加えて混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行うことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶媒が用いられるが、水が好ましい。このほか、適宜充填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加しても良い。分散液のpHは負極では5〜10、正極では7〜12が好ましい。
【0085】
塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例えば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード法、ナイフ法、エクストルージョン法、スライド法、カーテン法、グラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げることが出来る。エクストルージョンダイを用いる方法、スライドコーターを用いる方法が特に好ましい。塗布は、0.1〜100m/分の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペーストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが出来る。電極層が複数の層である場合にはそれらの複数層を同時に塗布することが、均一な電極の製造、製造コスト等の観点から好ましい。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮された状態で10〜1000μmである。
【0086】
塗布後の電極シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜260℃の範囲が好ましい。乾燥後の含水量は2000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。
【0087】
電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定されないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0088】
電池に使用できるセパレータは、イオン透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられる。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるものが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。これらの微孔性フィルムは単独の膜であっても、微孔の形状や密度等や材質等の性質の異なる2層以上からなる複合フィルムであっても良い。例えば、ポリエチレンフィルムとポリプロピレンフィルムを張り合わせた複合フィルムを挙げることができる。
【0089】
電解液は一般に支持塩と溶媒から構成される。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主として用いられる。
【0090】
リチウム塩としては、例えば、LiClO4 、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiB10Cl10、LiOSO2 Cn F2n+1で表されるフルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN(SO2 Cn F2n+1)(SO2 Cm F2m+1)で表されるイミド塩(m、nはそれぞれ6以下の正の整数)、LiN(SO2 Cp F2p+1)(SO2 Cq F2q+1)(SO2 Cr F2r+1)で表されるメチド塩(p,q,rはそれぞれ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどのLi塩を上げることが出来、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。なかでもLiBF4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好ましい。
【0091】
支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0092】
電池に使用できる溶媒としては、プロピレンカ−ボネ−ト、エチレンカーボネ−ト、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用する。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好ましく、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートが好ましい。
【0093】
電池に使用できる電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカ−ボネ−ト、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートあるいはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLiCF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/またはLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレンカーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくとも一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれた少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ましい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定されず、正極活物質や負極材料の量や電池のサイズに応じて用いることができる。
【0094】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も併用することができる。
【0095】
固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5 NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3 PO4 −(1−x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化合物などが有効である。
【0096】
有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させた高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。また、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られている。
【0097】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピリジン、ピロリン、ピロール、トリフェニルアミン、フェニルカルバゾール、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコ−ル、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−クラウンー4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などを挙げることができる。特に好ましいのはトリフェニルアミン、フェニルカルバゾールを単独もしくは組み合わせて用いた場合である。
【0098】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
【0099】
電解液は、水分及び遊離酸分をできるだけ含有しないことが望ましい。このため、電解液の原料は充分な脱水と精製をしたものが好ましい。また、電解液の調整は、露点がマイナス30℃以下の乾燥空気中もしくは不活性ガス中が好ましい。電解液中の水分及び遊離酸分の量は、0.1〜500ppm、より好ましくは0.2〜100ppmである。
【0100】
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることを行ってもよい。
【0101】
電池に使用できる電池缶および電池蓋は材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304N、SUS316、SUS316L、SUS430、SUS444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッキを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シート、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0102】
電池缶の内圧上昇の対策として封口板に安全弁を用いることができる。この他、電池缶やガスケット等の部材に切り込みをいれる方法も利用することが出来る。この他、従来から知られている種々の安全素子(例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子等)を備えつけても良い。
【0103】
電池に使用するリード板には、電気伝導性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0104】
電池に使用できるガスケットは、材質として、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好ましい。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポリマーであることが好ましい。
【0105】
以上の素子を組み立てた電池は、エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理には、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これにより高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造することができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウムを挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための充放電処理等があり、任意に組み合わせることができる。
【0106】
電池は必要に応じて外装材で被覆される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テープ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良い。
【0107】
電池は必要に応じて複数本を直列及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体の電流検出端子等を外部端子として設けることもできる。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらには、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数等の表示機能を設けても良い。
【0108】
電池は様々な機器に使用される。特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッキ、モニター内蔵ムービーカメラ、デジタルカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等に使用されることが好ましい。
【0109】
【実施例】
以下に具体例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0110】
〔参考例1〕
(1).正極活物質の作成
(活物質a)原料として炭酸リチウムと四酸化三コバルトをそれぞれ3モルと2モル混合したものをアルミナ坩堝に入れ、空気中毎分2℃の昇温速度で750℃に昇温し4時間仮焼成した後、さらに毎分2℃の速度で900℃に昇温し、その温度で8時間焼成し、解砕した。平均粒子サイズは4.5μmであった。これを活物質aとした。
【0111】
(活物質b)上記原料にさらにCaCl2 を0.025g添加し混合して、活物質aと同様に焼成し、解砕した。これを活物質bとした。
【0112】
(活物質c〜e)活物質bに対してCaCl2 の添加量を0.05g、0.2g、0.9gと変更し、上記と同様に焼成、解砕したものをそれぞれ活物質c、d、eとした。
【0113】
(活物質f)活物質aの原料にCaCl2 を0.1gとMgCl2 ・6H2 Oを0.05g添加し混合して、活物質aと同様に焼成し、解砕した。これを活物質fとした。
【0114】
(活物質g、h、i、j)活物質fの原料に添加するCaCl2 及びMgCl2 ・6H2 Oの添加量を(CaCl2 量、MgCl2 ・6H2 O量)と表して、それぞれ(0.1g、0.12g)、(0.1g、0.80g)、(0.1g、1.3g)、(8.0g、2.8g)にし、活物質fと同様に焼成し、解砕した。これらの活物質をそれぞれg、h、i、jとした。
【0115】
(Ca、Mgの定量)上記活物質a〜jを一定量硝酸にて溶解し、原子吸光にてCa、Mgを検量線を用いて定量した。得られた結果を〔表1〕に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
(2).正極合剤塗布液(ペースト)Aの作成
正極活物質aを87重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部グラファイト6重量部の割合で混合し、さらに結着剤として2−エチルヘキシルアクリレートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体3重量部とカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練して正極合剤Aのスラリーを得た。
【0118】
(3).正極合剤塗布液(ペースト)B〜Jの作成
上記正極合剤Aに使用した正極活物質aの代わりに、正極活物質b、c、d、e、f、g、h,i、jを使用する以外は合剤Aと同様にして作成した合剤をそれぞれ合剤B、C、D、E、F、G、H、I、Jとした。
【0119】
(4).負極合剤塗布液(ペースト)の作成
負極活物質としてSn0.8 Si0.5 B0.3 P0.2 Al0.1 O2.8 を80重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部とグラファイト12重量部割合で混合し、さらに結着剤としてポリ弗化ビニリデンを4重量部及びカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練してペーストaを得た。
【0120】
上記の負極活物質は、原料を乾式混合し、アルミナ性坩堝中アルゴン雰囲気下で1100℃12時間焼成後ジェットミルで粉砕し、平均粒径9.2μmにしたものである。さらに、X線回折法において2θ値で28度付近に頂点を有するブロードなピークを有するものであり、結晶性の回折線は見られなかった。
【0121】
(5).正極シートの作成
上記で作成した正極合剤ペーストA〜Jを用いて厚さ20μmのアルミニウム箱集電体の両面に合計塗布量400g/m2 、圧縮後のシート厚みが280μmになるように塗布し、乾燥した後、ローラープレス機で圧縮成形して10種類の合剤ペーストA〜Jに対応する帯状の10種類の正極シートNo.1〜No.10を作成した。さらに、ドライボックス(露点−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて充分脱水乾燥した。
【0122】
(6).負極シートの作成
同様に上記で作成した負極合剤ペーストaを厚さ10μmの銅箔集電体の両面に合計塗布量70g/m2 、圧縮機のシート厚みが90μmとなるように塗設し、乾燥後、圧縮成形して帯状の負極シートを作成した。さらに、ドライボックス(露点−50℃以下の乾燥空気)中で遠赤外線ヒーターにて充分脱水乾燥した。
【0123】
(7).電解液の調製
アルゴン雰囲気で200mlの細口のポリプロピレン容器に65.3gの炭酸ジエチルを入れ、これに液温が30℃を越えないように注意しながら、22.2gの炭酸エチレンを少量ずつ溶解した。次に、0.4gのLiBF4 、12.1gのLiPF6 を液温が30℃を越えないように注意しながら、それぞれ順に、上記ポリプロピレン容器に少量ずつ入れ、溶解した。
【0124】
(8).シリンダ電池の作成
図1に示すように、正極シート3、微多孔性ポリエチレン/ポリプロピレンフィルム製セパレータ、熱処理済みの負極シート2及びセパレータ4の順で積層し、これを渦巻状に巻回した。この巻回体を負極端子を兼ねる、ニッケルめっきを施した鉄製の有底円筒型電池缶1に収納し、ついで電池缶1内に電解液を注入し、正極端子を有する電池蓋13をガスケット7を介してかしめて円筒型電池(シリンダー電池)を作成した。
【0125】
(9).シリンダー電池の評価
上記の各正極シート試料、負極シート材料を用いて〔表2〕に示す組み合わせのシリンダー電池をそれぞれ10本ずつ作成し、それぞれの電池について室温にて1mA/cm2 で4.2Vまで充電し、その後2.6Vまで放電する操作を行い、放電容量を求めた。各10本の電池の放電容量を平均してそれぞれの電池の平均初期放電容量とした。これらの電池を前記充電、放電操作を300回繰り返し行った後、同様にして平均容量を求めた。この平均容量をサイクル後平均容量とし、サイクル後平均容量の平均初期容量に対する割合をサイクル維持率として、〔表2〕に示した。
【0126】
【表2】
【0127】
電池イは、正極活物質aを用いている。正極活物質aは、CaとMgの合計量が115ppmと少ないため、電池イはサイクル維持率が75%と低く、好ましくない。正極活物質b〜jは、CaとMgの合計量が120ppm以上であるため、電池ロ〜ヌはサイクル維持率が高く、サイクル特性に優れている。
【0128】
電池ヌは、正極活物質jを用いている。正極活物質jは、CaとMgの合計量が5500ppmと多すぎるため、電池ヌは平均初期放電容量が1660mAhと小さく、好ましくない。正極活物質a〜iは、CaとMgの合計量が5000ppm以下であるため、電池イ〜リは平均初期放電容量が大きく、好ましい。
【0129】
正極活物質中に不純物として含まれるCaとMgの合計値が120〜5000ppmであれば、電池のサイクル特性が優れ、かつ放電容量が大きくなり、好ましい。上記のCaとMgの合計値は、150〜1000ppmがより好ましく、200〜500ppmが特に好ましい。Mgの量は40〜250ppmが好ましく、Caの量は90〜750ppmが好ましい。
【0130】
〔実施例1〕
原料として炭酸リチウム、四酸化三コバルト、酸化ニッケルを用いる以外は実施例1と同様にしてLiCo0.9Ni0.1O2を合成し、参考例1と同様な電池を作成した。その結果、参考例1と同様な結果を得た。
【0131】
〔参考例2〕
負極活物質としてSn0.8Si0.8B0.3P0.1Al0.1Oxを86重量部、導電剤としてアセチレンブラック3重量部とグラファイト6重量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリ弗化ビニリデン4重量部及びカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練してスラリーを得た。該スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して帯状の負極シート(1−b)を作成し、参考例1の負極シートを(1−b)に変更した以外は参考例1で作成した電池と同様の電池を作成し、参考例1と同様の試験を行った。結果は参考例1と同様にCaとMgの合計値が120〜5000ppmの電池が高容量でかつ安全性が優れていた。
【0132】
〔参考例3〕
負極活物質として平均粒子サイズ約5μmのグラファイトを92重量部、導電剤としてアセチレンブラックを3重量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリ弗化ビニリデンを4重量部及びカルボキシメチルセルロースを1重量部加え、水を媒体として混練してスラリーを得た。該スラリーを厚さ10μmの銅箔集電体の両面にエクストルージョン式塗布機を使って塗設し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形して帯状の負極シート(1−c)を作成し、参考例1の負極シートを(1−c)に変更した以外は参考例1で作成した電池と同様の電池を作成し、参考例1と同様の試験を行った。結果は参考例1と同様にCaとMgの合計値が120〜5000ppmの電池が高容量でかつ安全性が優れていた。
【0133】
【発明の効果】
正極活物質中に不純物として含まれるマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)から選ばれる少なくとも一種であるアルカリ土類金属の総量を正極活物質に対して120ppm以上、5000ppm以下にすることにより、充放電サイクル特性に優れた高放電容量の非水二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒型電池の断面図である。
【符号の説明】
1 電池缶
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 下部絶縁板
6 上部絶縁板
7 ガスケット
8 正極リード
9 防爆弁体
10 電流遮断スイッチ
10a 第一導通体
10b 第二導通体
10c 絶縁リング
11 PTCリング
13 端子キャップ
15 溶接プレート
16 絶縁カバー
Claims (4)
- リチウムとコバルトを主体とする複合酸化物である正極活物質を含有するシート状正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極材料を含有するシート状負極と、リチウム塩を含む非水電解質とを含む非水二次電池に於いて、該正極活物質が、下記一般式(1)で表され、かつ該正極活物質中に含まれるマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)から選ばれる少なくとも一種であるアルカリ土類金属の総量が該正極活物質全体に対して120ppm以上、5000ppm以下であることを特徴とする非水二次電池。
一般式(1)LixNiyCo1−yO2(0.1≦x≦1.05、0<y≦0.2) - 該アルカリ土類金属が、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1の非水二次電池。
- 前記アルカリ土類金属のマグネシウムの量が40ppm以上、250ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水二次電池。
- 前記アルカリ土類金属のカルシウムの量が90ppm以上、750ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
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