JPH11195430A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JPH11195430A
JPH11195430A JP10001153A JP115398A JPH11195430A JP H11195430 A JPH11195430 A JP H11195430A JP 10001153 A JP10001153 A JP 10001153A JP 115398 A JP115398 A JP 115398A JP H11195430 A JPH11195430 A JP H11195430A
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electrolyte secondary
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三千夫 小野
Jiro Tsukahara
次郎 塚原
Masayuki Negoro
雅之 根来
Koji Wariishi
幸司 割石
Hiroshi Ishizuka
弘 石塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高容量で、良好な充放電サイクル特性を有す
る非水電解液二次電池を提供する。 【解決手段】 正極、負極、リチウム塩を含む非水電解
液からなる非水電解質二次電池において、電池内に式
(1)で示される化合物を含有させることを特徴とする
非水電解液二次電池。 一般式(1) R1112N−OR13 一般式(1)においてR11、R12、およびR13はアルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、オキシカル
ボニル基、またはスルホニル基を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解液二次電池
に関するものであり、高容量でサイクル安定性、安全性
に優れた非水電解液二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウムを利用する非水電解液二次電池
(リチウム二次電池)はリチウムを可逆的に吸蔵放出可
能な材料を含む正極および負極、リチウム塩を含む非水
電解液、およびこれらを適切に保持、隔離する部材から
構成される。リチウム二次電池は電荷の担い手であるリ
チウムが軽量かつ極めて卑な電位を有するため、高電
圧、高容量という優れた特徴を有する。しかし、大量の
エネルギーが貯蔵されているということは、電池反応が
暴走した場合の破壊力が大きい事を意味する。このた
め、電池の安全性の確保は当該分野において最も重要な
課題の一つとなっており、例えば正負電極間を隔離する
多孔性のセパレーターに一定温度以上では電流遮断機構
を持たせること、異常反応等により電池内圧が上昇した
ときに圧力を開放するための開放弁の機能を付与するこ
と、この開放弁の作動に連動させて電流遮断スイッチを
働かせること(米国特許4943497号明細書等に記
載)等が実用化され、電池の実使用条件での安全性の確
保がなされている。しかしながら、電池の高容量化の要
望は限りなく、そのためさらなる安全機構の開発が望ま
れている。このための試みの一つとして、特開平9−1
06835号には、過充電が起きた時の異常に高い電圧
で電気化学的に重合し電解液の抵抗を高くすることによ
り電池を保護することが記載され、それらの化合物とし
てビフェニル、チオフェン、フラン等の芳香族化合物が
開示されている。しかしこれらの化合物には添加量の増
大に伴って容量が低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、リチ
ウム二次電池の容量を低下させずに、サイクル安定性お
よび安全性を改良することにある。特に、リチウム二次
電池の容量を低下させずに、サイクル安定性および安全
性を改良する材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、正極、
負極、リチウム塩を含む非水電解液からなる非水電解質
二次電池において、電池内に一般式(1)で示される化
合物を含有させることを特徴とする非水電解液二次電池
により達成された。 一般式(1) R1112N−OR13 一般式(1)においてR11、R12、およびR13はアルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、オキシカル
ボニル基、またはスルホニル基から成る群より選ばれた
基を表す。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい態様を以下に掲
げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (1)正極、負極、リチウム塩を含む非水電解液からな
る非水電解質二次電池において、電池内に下記一般式
(1)で表されるヒドラジン誘導体を含有させることを
特徴とする非水電解液二次電池。 一般式(1) R1112N−OR13 一般式(1)においてR11、R12、およびR13はアルキ
ル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、オキシカル
ボニル基、またはスルホニル基から成る群より選ばれた
基を表す。 (2)一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも1
方がアシル基、オキシカルボニル基、またはスルホニル
基から成る群より選ばれた基である事を特徴とする項1
に記載の非水電解液二次電池。 (3)一般式(1)におけるR11、R12の少なくとも一
方とR13がともにオキシカルボニル基である事を特徴と
する項2に記載の非水電解液二次電池。 (4)該化合物を非水電解液中に溶解することを特徴と
する項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。 (5)該化合物の非水電解液中に含まれる量が、電解液
1kgあたり1g以上、50g以下である事を特徴とす
る項4に記載の非水電解液二次電池。 (6)該非水電解液に含有される非水溶媒が、環状カー
ボネートまたは鎖状カーボネートの少なくとも1種を含
むことを特徴とする項1〜5のいずれかに記載の非水電
解液二次電池。 (7)該非水電解液に含有される非水溶媒が、少なくと
も1種の環状カーボネートと、少なくとも1種の鎖状カ
ーボネートを含むことを特徴とする項1〜6のいずれか
に記載の非水電解液二次電池。 (8)該非水電解液に含有されるリチウム塩が、LiP
6 またはLiBF4 の少なくとも1種、もしくは少な
くとも両者であることを特徴とする項1〜7のいずれか
に記載の非水電解液二次電池。 (9)該非水電解液二次電池が圧力感応弁体と該圧力感
応弁体と連動して作動する電流遮断スイッチを有するこ
とを特徴とする項1〜8のいずれかに記載の非水電解液
二次電池。
【0006】本発明において好ましい化合物は、正常な
充放電の際の電圧環境下では不活性であって、異常操作
等により高電圧環境が発生した時にのみ効果が発現する
化合物であることが望ましい。望ましい効果とは、これ
らの化合物が高電圧環境下で分解反応等を引き起こし、
電池の内圧上昇を引き起こし電流遮断スイッチの作動を
確実にすることや、電極表面に付着したり、非水電解液
の高粘度化をもたらす等により電池内部抵抗を上昇させ
ることである。以下本発明の一般式(1)の化合物につ
いて詳しく説明する。
【0007】一般式(1)においてR11、R12、および
13は総炭素数1ないし12の置換もしくは無置換のア
ルキル基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−
ブチル、ビニル、アリル、シクロヘキシル、ベンジル
等)、総炭素数6ないし20の置換もしくは無置換のア
リール基(例えばフェニル、ナフチルなど)、総炭素数
1乃至12の置換もしくは無置換のヘテロ環基(例えば
ピリジル、ピラジル、キノリル、フリル、チエニル、ベ
ンズイミダゾリル、インダゾリル等)、総炭素数1ない
し12の置換もしくは無置換のアシル基(例えばホルミ
ル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル等)、総炭素数
1ないし12の置換もしくは無置換のオキシカルボニル
基(例えばメトキシカルボニルt−ブトキシカルボニ
ル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル
等)、またはスルホニル基(例えばメチルスルホニル、
フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル等)を表
す。
【0008】一般式(1)においてR11、R12、および
13は互いに結合して3乃至9員環を形成してもよい。
【0009】R11〜R13を置換する置換基は特に限定さ
れないが、電池内で副反応を起こさないものが好まし
い。好ましい例としてはアルキル基、アリール基、アシ
ル基、オキシカルボニル基、スルホニル基、アルコキシ
基(例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシな
ど)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ等)、アミ
ノ基(例えばジメチルアミノ、ジフェニルアミノ、N−
メチルアニリノなど)、フッ素、メルカプト基(例えば
メチルチオ、フェニルチオなど)、アミド基(例えばN
−メチルアセトアミド等)、カルバモイル基(例えば
N,N−ジメチルカルバモイル等)、アシルオキシ基
(たとえばアセトキシ、ベンジルオキシ等)、スルホン
アミド基(N−メチルスルホンアミド等)、スルファモ
イル基(N,N−ジメチルスルファモイル等)、ウレタ
ン基(N−メチルメトキシカルボニルアミノ等)、ウレ
イド基(例えばN,N,N’−トリメチルウレイド等)
などが挙げられる。
【0010】上記一般式(1)で表される化合物の中
で、一般式(1)で表される化合物のR11およびR12
少なくとも1方がアシル基、オキシカルボニル基、また
はスルホニル基から成る群より選ばれた基であるとより
好ましく、さらに、一般式(1)におけるR11、R12
少なくとも一方とR13がともにオキシカルボニル基であ
る化合物が特に好ましい。これらは実施例にて明らかに
される。次に一般式(1)で表される化合物の具体例を
示すが本発明はこれらに限定されない。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】次に一般式(1)で表される化合物の合成
法を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されない。 合成例 例示化合物(1)の合成 三口フラスコ中で、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸
塩4.18gをアセトニトリル50mlに分散し、氷冷化
でトリエチルアミン23mlを添加し、続いて二炭酸ジ−
t−ブチル24gを15分間かけて滴下した。室温下、
6時間攪拌した後、析出している塩を濾別し、濾液を濃
縮後、残留物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機
層を硫酸マグネシウムで乾燥後、乾燥剤を濾過して除
き、溶媒を留去した。得られた油状物をヘキサンと酢酸
エチルの10対1混合液を流出液とするシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにて精製し、目的とする例示化合
物(1)7.5g を得た。
【0015】次に一般式(1)で表される化合物の添加
方法、添加量について説明する。一般式(1)で表され
る化合物は正極、負極、電解質のいずれに添加しても良
いが、電解液に添加する事が好ましい。添加量は任意に
選択する事ができるが、典型的な値としては電解液1k
g中1g乃至100gである。好ましくは電解液1kg
中5gないし50gである。
【0016】以下、本発明の非水電解液二次電池の製造
方法について説明する。本発明の非水電解液二次電池
は、正負の電極シートをセパレーターと共に巻回したも
の(巻回群)を電池缶に挿入し、缶と電極を電気的に接
続し、電解液を注入した後封口して作成する。また、必
要に応じて各種の部材(封口板、リード板、ガスケッ
ト、外装材等)が用いられる。
【0017】正(負)の電極シートは正(負)極の合剤
を集電体の上に塗布、乾燥、圧縮する事により作成する
事ができる。合剤の調製は正極(あるいは負極)材料お
よび導電剤を混合し、結着剤(樹脂粉体のサスペンジョ
ンまたはエマルジョン状のもの)、および分散媒を加え
て混練混合し、引続いて、ミキサー、ホモジナイザー、
ディゾルバー、プラネタリミキサー、ペイントシェイカ
ー、サンドミル等の攪拌混合機、分散機で分散して行う
ことが出来る。分散媒としては水もしくは有機溶媒が用
いられるが、水が好ましい。このほか、適宜分散剤、充
填剤、イオン導電剤、圧力増強剤等の添加剤を添加して
も良い。塗布は種々の方法で行うことが出来るが、例え
ば、リバースロール法、ダイレクトロール法、ブレード
法、ナイフ法、エクストルージョン法、カーテン法、グ
ラビア法、バー法、ディップ法及びスクイーズ法を挙げ
ることが出来る。ブレード法、ナイフ法及びエクストル
ージョン法が好ましい。塗布は、0.1〜100m/分
の速度で実施されることが好ましい。この際、合剤ペー
ストの液物性、乾燥性に合わせて、上記塗布方法を選定
することにより、良好な塗布層の表面状態を得ることが
出来る。その塗布層の厚み、長さや巾は、電池の大きさ
により決められる。典型的な塗布層の厚みは乾燥後圧縮
された状態で10〜1000μmである。塗布後の電極
シートは、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び
低湿風の作用により乾燥、脱水される。これらの方法は
単独あるいは組み合わせて用いることが出来る。乾燥温
度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜2
50℃の範囲が好ましい。乾燥後の含水量は2000p
pm以下が好ましく、500ppm以下がより好まし
い。電極シートの圧縮は、一般に採用されているプレス
方法を用いることが出来るが、特に金型プレス法やカレ
ンダープレス法が好ましい。プレス圧は、特に限定され
ないが、10kg/cm2 〜3t/cm2 が好ましい。
カレンダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/
分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好まし
い。
【0018】本発明で用いられる正極材料はリチウム含
有遷移金属酸化物である。好ましくはTi、V、Cr、
Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なく
とも1種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有す
る酸化物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.
3乃至2.2の化合物である。より好ましくは、V、C
r、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1
種の遷移金属元素とリチウムとを主として含有する酸化
物であって、リチウムと遷移金属のモル比が0.3乃至
2.2の化合物である。なお主として存在する遷移金属
に対し30モルパーセント未満の範囲でAl、Ga、I
n、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど
を含有していても良い。さらに好ましいリチウム含有遷
移金属酸化物は、Lix CoO2 、Lix NiO2 、L
x MnO2 、Lix Coa Ni 1-a 2 、Lix Co
b 1-b z 、Lix Cob Fe1-b 2 、Lix Mn
24 、Lix Mnc Co2-c 4 、Lix Mnc Ni
2-c 4 、Lix Mnc 2-c 4 、Lix Mnc Fe
2-c 4 (ここでx=0.02〜1.2、a=0.1〜
0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.9
6、z=2.01〜2.3)である。最も好ましいリチ
ウム含有遷移金属酸化物としては、Lix CoO2 、L
xNiO2 、Lix MnO2 、Lix Coa Ni1-a
2 、Lix Mn24 、Lix Cob 1-b z (x
=0.02〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.9
〜0.98、z=2.01〜2.3)があげられる。な
おxの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減
する。
【0019】本発明で用いられる負極材料の一つは、リ
チウムの吸蔵放出が可能な炭素質材料である。炭素質材
料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石
油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、及び
PAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の
合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。
さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピ
ッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素
繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素
繊維等の各種の炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グ
ラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることも
できる。これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難
黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもでき
る。また炭素質材料は、特開昭62−122066号公
報、特開平2−66856号公報、同3−245473
号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有
することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である
必要はなく、特開平5−290844号公報記載の天然
黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−84516号公報
記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
【0020】本発明で用いられるもう一つの負極材料
は、金属もしくは半金族元素の酸化物、カルコゲンであ
る。具体的には、周期表1、2、13、14、15族原
子から選ばれる1種以上の原子を含むカルコゲン化合物
または酸化物である。より好ましいのは非晶質カルコゲ
ン化合物または非晶質酸化物である。ここで言う主とし
て非晶質とはCuKα線を用いたX線回折法で2θ値で
20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有
する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好まし
くは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の
回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°
以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の
500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは
100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、
最も好ましくは結晶性の回折線を有さないことである。
【0021】上記のカルコゲン化合物、酸化物は、B、
Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、
P、As、Sb、Biの中の2種以上の元素を主体とす
る複合カルコゲン化合物、複合酸化物がより好ましい。
更に好ましいのは、B、Al、Si、Ge、Sn、Pの
中の2種以上の元素を主体とする複合カルコゲン化合物
もしくは酸化物である。これらの複合カルコゲン化合
物、複合酸化物は、主として非晶質構造を修飾するため
に周期律表の1族から2族の元素から選ばれた少なくと
も1種の元素を含む。
【0022】上記の負極材料の中で、Snを主体とする
非晶質の複合酸化物が特に好ましく、次の一般式(3)
で表される。 一般式(3) Sn 3 c 4 d t 式中、M3 はAl、B、P、Ge、Siの少なくとも1
種を、M4 は周期律表第1族元素、第2族元素の少なく
とも1種を表し、cは0.2以上、2以下の数、dは
0.01以上、1以下の数で、0.2<c+d<2、t
は1以上6以下の数を表す。
【0023】本発明の非晶質複合酸化物は、焼成法、ゾ
ル−ゲル方や共沈法等の溶液法のいずれの方法も採用す
ることができる。以下では焼成法による合成について説
明する。焼成法では、一般式(1)に記載された元素の
酸化物あるいは化合物をよく混合した後、焼成して非晶
質複合酸化物を得るのが好ましい。
【0024】焼成条件としては、昇温速度として昇温速
度毎分5℃以上200℃以下であることが好ましく、か
つ焼成温度としては500℃以上1500℃以下である
ことが好ましく、かつ焼成時間としては1時間以上10
0時間以下であることが好ましい。且つ、下降温速度と
しては毎分2℃以上107 ℃以下であることが好まし
い。本発明における昇温速度とは「焼成温度(℃表示)
の50%」から「焼成温度(℃表示)の80%」に達す
るまでの温度上昇の平均速度であり、本発明における降
温速度とは「焼成温度(℃表示)の80%」から「焼成
温度(℃表示)の50%」に達するまでの温度降下の平
均速度である。降温は焼成炉中で冷却してもよくまた焼
成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却しても
よい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版1
987)217頁記載のgun法・Hammer−An
vil法・slap法・ガスアトマイズ法・プラズマス
プレー法・遠心急冷法・melt drag法などの超
急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンド
ブック(丸善1991)172頁記載の単ローラー法、
双ローラ法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する
材料の場合には、焼成中に原料を供給しつつ焼成物を連
続的に取り出してもよい。焼成中に溶融する材料の場合
には融液を攪拌することが好ましい。
【0025】焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が
5体積%以下の雰囲気であり、さらに好ましくは不活性
ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、ア
ルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が挙げられ
る。最も好ましい不活性ガスは純アルゴンである。
【0026】本発明の負極材料の例を以下に示すが、本
発明はこれらに限定されるものではない。SnAl0.4
0.5 0.5 0.1 3.65、SnAl0.4 0.5 0.5
Na0.2 3.7 、SnAl0.4 0.3 0.5 Rb0.2
3.4 、SnAl0.4 0.5 0.5 Cs0.1 3.65、Sn
Al0.4 0.5 0.5 0.1 Ge0.053.85、SnAl
0.40.5 0.5 0.1 Mg0.1 Ge0.023.83、Sn
Al0.4 0.4 0.4 3.2、SnAl0.3 0.5
0.2 2.7 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnA
0.4 0.5 0.3 Ba0.08Mg0.083.26、SnAl
0.4 0.4 0.4 Ba0. 083.28、SnAl0.4 0.5
0.5 3.6 、SnAl0.4 0.50.5 Mg0. 1
3.7
【0027】SnAl0.5 0.4 0.5 Mg0.1 0.2
3.65、SnB0.5 0.5 Li0.1 Mg0.1 0.2
3.05、SnB0.5 0.5 0.1 Mg0.1 0.2 3.05
SnB0. 5 0.5 0.05Mg0.050.1 3.03、SnB
0.5 0.5 0.05Mg0.1 0.23.03、SnAl0.4
0.5 0.5 Cs0.1 Mg0.1 0.2 3.65、SnB
0.50.5 Cs0.05Mg0.050.1 3.03、SnB0.5
0.5 Mg0.1 0.1 3.05、SnB0.5 0.5 Mg
0.1 0.2 3 、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.063.
07、SnB0.5 0.5 Mg0.1 0.143.03、SnPB
0.083.58、SnPK 0.1 3.55、SnPK0.05Mg
0.053.58、SnPCs0.1 3.55、SnPBa 0.08
0.083.54、SnPK0.1 Mg0.1 0.2 3.55、Sn
PK0.05Mg0.050.1 3.53、SnPCs0.1 Mg
0.1 0.2 3.55、SnPCs0.05Mg0.050.1
3.53
【0028】Sn1.1 Al0.4 0.2 0.6 Ba0.08
0.083.54、Sn1.1 Al0.4 0.20.6 Li0.1
0.1 Ba0.1 0.1 3.65、Sn1.1 Al0.4 0.4
0.4 Ba0.083.34、Sn1.1 Al0.4 PCs0.05
4.23、Sn1.1 Al0.4 PK0.054.23、Sn1.2 Al
0.5 0.3 0.4 Cs0.2 3.5 、Sn1.2 Al0.4
0. 2 0.6 Ba0.083.68、Sn1.2 Al0.4 0.2
0.6 Ba0.080.083.64、Sn1.2 Al0.4 0.2
0.6 Mg0.04Ba0.043.68、Sn1.2 Al0.4 0.3
0.5 Ba0.083.58、Sn1.3 Al0.3 0.3 0.4
Na0.2 3.3 、Sn1.3 Al0.2 0.4 0.4 Ca
0.2 3.4 、Sn1.3 Al0.4 0.4 0.4 Ba0.2
3.6 、Sn1.4 Al0.4 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al
0.2 Ba0.1 PK0.2 4.45、Sn1.4 Al0.2 Ba
0.2 PK0.2 4.6 、Sn1.4 Al0.4 Ba0.2 PK
0.2 Ba0.1 0.2 4.9 、Sn1.4 Al0.4 PK0.3
4.65、Sn 1.5 Al0.2 PK0.2 4.4 、Sn1.5
0.4 PK0.1 4.65、Sn1.5 Al 0.4 PCs0.05
4.63、Sn1.5 Al0.4 PCs0.05Mg0.1 0.2
4.63
【0029】SnSi0.5 Al0.1 0.2 0.1 Ca
0.4 3.1 、SnSi0.4 Al0.2 0. 4 2.7 、Sn
Si0.5 Al0.2 0.1 0.1 Mg0.1 2.8 、SnS
0.6 Al0.2 0.2 2.8 、SnSi0.5 Al0.3
0.4 0.2 3.55、SnSi0.5Al0.3 0.4 0.5
4.30、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、S
nSi0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ba0.2 2.95、Sn
Si0.6 Al0.1 0.1 0.1 Ca0.2 2.95、SnS
0.6 Al0.4 0.2 Mg0.1 3.2 、SnSi0. 6
0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.6 Al0.2 Mg
0.2 2.7 、SnSi0.6 Al0.2 Ca0.2 2.7 、S
nSi0.6 Al0.2 0.2 3 、SnSi0. 6 0.2
0.2 3 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.8
Al0.3 0. 2 0.2 3.85、SnSi0.8 0.2
2.9 、SnSi0.8 Ba0.2 2.8 、SnSi0.8 Mg
0.2 2.8 、SnSi0.8 Ca0.2 2.8 、SnSi
0.8 0.23.1
【0030】Sn0.9 Mn0.3 0.4 0.4 Ca0.1
0.1 2.95、Sn0.9 Fe0.3 0. 4 0.4 Ca0.1
Rb0.1 2.95、Sn0.8 Pb0.2 Ca0.1 0.9
3.35、Sn0.3 Ge0.7 Ba0.1 0.9 3.35、Sn
0.9 Mn0.1 Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.2 Mn0.8
Mg0.1 0.9 3.35、Sn0.7 Pb0.3 Ca0.1
0.9 3.35、Sn0.2 Ge0.8 Ba0.1 0.9 3.35
【0031】上記焼成されて得られた化合物の化学式
は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分
光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の重量差から
算出できる。
【0032】本発明に用いられる正極活物質および負極
材料の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましい。
より詳しくは、平均粒径が0.7〜25μmであり、か
つ全体積の60%以上が0.5〜30μmであることが
好ましい。また、本発明の負極活物質の粒径1μm以下
の粒子群の占める体積は全体積の30%以下であり、か
つ粒径20μm以上の粒子群の占める体積が全体積の2
5%以下であることが好ましい。使用する材料の粒径
は、電極の片面の合剤厚みを越えないものであることは
いうまでもない。所定の粒子サイズにするには、良く知
られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボ
ールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミ
ル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩など
が用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の
有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うこと
が出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが
好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力
分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は
乾式、湿式ともに用いることができる。平均粒径とは一
次粒子のメジアン径のことであり、レーザー回折式の粒
度分布測定装置により測定される。また、本発明の負極
材料の比表面積は、BET比表面積測定法での測定値が
0.1〜20m2 /gであることが好ましい。
【0033】本発明で使用される導電剤は、構成された
電池において化学変化を起こさない電子伝導性材料であ
れば何でもよい。具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒
鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、石油コークス、石炭コーク
ス、セルロース類、糖類、メソフェーズピッチ等の高温
焼成体、気相成長黒鉛等の人工黒鉛等のグラファイト
類、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチ
ェンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、
サーマルブラック等のカーボンブラック類、アスファル
トピッチ、コールタール、活性炭、メソフューズピッ
チ、ポリアセン等の炭素材料、金属繊維等の導電性繊維
類、銅、ニッケル、アルミニウム、銀等の金属粉類、酸
化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸
化チタン等の導電性金属酸化物等を挙げる事ができる。
これらの中では、グラファイトやカーボンブラックが好
ましい。これらは単独で用いても良いし、混合物として
用いても良い。導電剤の合剤層への添加量は、負極材料
または正極材料に対し6〜50重量%であることが好ま
しく、特に6〜30重量%であることが好ましい。カー
ボンブラックやグラファイトでは、6〜20重量%であ
ることが特に好ましい。
【0034】本発明では電極合剤を保持するために結着
剤を用いる。結着剤の例としては、多糖類、熱可塑性樹
脂及びゴム弾性を有するポリマー等が挙げられる。好ま
しい結着剤としては、でんぷん、カルボキシメチルセル
ロース、セルロース、ジアセチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、アルギン酸Na、ポリアクリル酸、
ポリアクリル酸Na、ポリビニルフェノール、ポリビニ
ルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシ(メ
タ)アクリレート、スチレンーマレイン酸共重合体等の
水溶性ポリマー、ポリビニルクロリド、ポリテトラフル
ロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフロロエ
チレン−ヘキサフロロプロピレン共重合体、ビニリデン
フロライド−テトラフロロエチレン−ヘキサフロロプロ
ピレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、
スルホン化EPDM、ポリビニルアセタール樹脂、メチ
ルメタアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート
等の(メタ)アクリル酸エステルを含有する(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、ビニルアセテート等の
ビニルエステルを含有するポリビニルエステル共重合
体、スチレンーブタジエン共重合体、アクリロニトリル
ーブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ネオプレンゴ
ム、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシド、ポリエステル
ポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポ
リカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂等のエマルジョン(ラテ
ックス)あるいはサスペンジョンを挙げることが出来
る。特にポリアクリル酸エステル系のラテックス、カル
ボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの結着
剤は単独または混合して用いることが出来る。結着剤の
添加量が少ないと電極合剤の保持力・凝集力が弱い。多
すぎると電極体積が増加し電極単位体積あるいは単位重
量あたりの容量が減少する。このような理由で結着剤の
添加量は1〜30重量%が好ましく、特に2〜10重量
%が好ましい。
【0035】充填剤は、構成された電池において、化学
変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いること
ができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの
オレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用い
られる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜
30重量%が好ましい。イオン導電剤は、無機及び有機
の固体電解質として知られている物を用いることがで
き、詳細は電解液の項に記載されている。圧力増強剤
は、後述の内圧を上げる化合物であり、炭酸塩が代表例
である。
【0036】本発明で使用できる集電体は正極はアルミ
ニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれ
らの合金であり、負極は銅、ステンレス鋼、ニッケル、
チタン、またはこれらの合金である。集電体の形態は
箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、もしくは
金網である。特に、正極にはアルミニウム箔、負極には
銅箔が好ましい。
【0037】本発明で使用できるセパレータは、イオン
透過度が大きく、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄
膜であれば良く、材質として、オレフィン系ポリマー、
フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミ
ド、ナイロン、ガラス繊維、アルミナ繊維が用いられ、
形態として、不織布、織布、微孔性フィルムが用いられ
る。特に、材質として、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンとポリエチレンの混合体、ポリプロ
ピレンとテフロンの混合体、ポリエチレンとテフロンの
混合体が好ましく、形態として微孔性フィルムであるも
のが好ましい。特に、孔径が0.01〜1μm、厚みが
5〜50μmの微孔性フィルムが好ましい。
【0038】電解液は一般に支持塩と溶媒から構成され
る。リチウム二次電池における支持塩はリチウム塩が主
として用いられる。本発明で使用出来るリチウム塩とし
ては、例えば、LiClO4 、LiBF4、LiPF
6 、LiCF3 CO2 、LiAsF6 、LiSbF6
LiB10Cl 10、LiOSO2n 2n+1で表されるフ
ルオロスルホン酸(nは6以下の正の整数)、LiN
(SO2n 2n+1)(SO2m 2m+1)で表される
イミド塩(m、nはそれぞれ6以下の正の整数)、Li
N(SO2p 2p+1)(SO2q 2q+1)(SO2
r 2r+1)で表されるメチド塩(p、q、rはそれぞ
れ6以下の正の整数)、低級脂肪族カルボン酸リチウ
ム、LiAlCl4 、LiCl、LiBr、LiI、ク
ロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどの
Li塩を上げることが出来、これらの一種または二種以
上を混合して使用することができる。なかでもLiBF
4 及び/あるいはLiPF6 を溶解したものが好まし
い。支持塩の濃度は、特に限定されないが、電解液1リ
ットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0039】本発明で使用できる溶媒としては、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクト
ン、ギ酸メチル、酢酸メチル、1,2−ジメトキシエタ
ン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホ
ルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、ジ
オキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノ
グライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、
ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オ
キサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テト
ラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロ
パンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を挙げること
ができ、これらの一種または二種以上を混合して使用す
る。これらのなかでは、カーボネート系の溶媒が好まし
く、環状カーボネートと非環状カーボネートを混合して
用いるのが特に好ましい。環状カーボネートとしてはエ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好まし
い。また、非環状カーボネートとしては、ジエチルカー
ボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボ
ネートをが好ましい。本発明で使用できる電解液として
は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、
1,2−ジメトキシエタン、ジメチルカーボネートある
いはジエチルカーボネートを適宜混合した電解液にLi
CF3 SO3 、LiClO4 、LiBF4 および/また
はLiPF6 を含む電解液が好ましい。特にプロピレン
カーボネートもしくはエチレンカーボネートの少なくと
も一方とジメチルカーボネートもしくはジエチルカーボ
ネートの少なくとも一方の混合溶媒に、LiCF3 SO
3 、LiClO4 、もしくはLiBF4 の中から選ばれ
た少なくとも一種の塩とLiPF6 を含む電解液が好ま
しい。これら電解液を電池内に添加する量は特に限定さ
れず、正極材料や負極材料の量や電池のサイズに応じて
用いることができる。
【0040】また、電解液の他に次の様な固体電解質も
併用することができる。固体電解質としては、無機固体
電解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質
には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよ
く知られている。なかでも、Li3 N、LiI、Li5
NI2 、Li3 N−LiI−LiOH、Li4 SiO
4 、Li4 SiO4 −LiI−LiOH、x Li3 PO
4 -(1-x)Li4 SiO4 、Li2 SiS3 、硫化リン化
合物などが有効である。有機固体電解質では、ポリエチ
レンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリ
プロピレンオキサイド誘導体あるいは該誘導体を含むポ
リマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を
含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン
酸エステルポリマー、非プロトン性極性溶媒を含有させ
た高分子マトリックス材料が有効である。さらに、ポリ
アクリロニトリルを電解液に添加する方法もある。ま
た、無機と有機固体電解質を併用する方法も知られてい
る。
【0041】また、放電や充放電特性を改良する目的
で、他の化合物を電解質に添加しても良い。例えば、ピ
リジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールア
ミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライ
ム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、
硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンと
N, N’−置換イミダリジノン、エチレングリコールジ
アルキルエーテル、第四級アンモニウム塩、ポリエチレ
ングリコール、ピロール、2−メトキシエタノール、A
lCl3 、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリ
エチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モ
ルホリン、カルボニル基を持つアリール化合物、12−
クラウン−4のようなクラウンエーテル類、ヘキサメチ
ルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルホリン、
二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三
級スルホニウム塩などを挙げることができる。
【0042】また、電解液を不燃性にするために含ハロ
ゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを
電解液に含ませることができる。また、高温保存に適性
をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることがで
きる。
【0043】電解液は、全量を1回で注入してもよい
が、2回以上に分けて注入することが好ましい。2回以
上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成で
も、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリ
チウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘
度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解
した溶液を注入)でも良い。また、電解液の注入時間の
短縮等のために、電池缶を減圧したり、電池缶に遠心力
や超音波をかけることを行ってもよい。
【0044】本発明で使用できる電池缶および電池蓋は
材質としてニッケルメッキを施した鉄鋼板、ステンレス
鋼板(SUS304、SUS304L,SUS304
N、SUS316、SUS316L、SUS430、S
US444等)、ニッケルメッキを施したステンレス鋼
板(同上)、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、
チタン、銅であり、形状として、真円形筒状、楕円形筒
状、正方形筒状、長方形筒状である。特に、外装缶が負
極端子を兼ねる場合は、ステンレス鋼板、ニッケルメッ
キを施した鉄鋼板が好ましく、外装缶が正極端子を兼ね
る場合は、ステンレス鋼板、アルミニウムまたはその合
金が好ましい。電池缶の形状はボタン、コイン、シー
ト、シリンダー、角などのいずれでも良い。
【0045】電池内での異常反応による内圧上昇や暴走
反応を防止するために、弁体と電流遮断素子を組み込む
ことが好ましい。特に、封口部に内圧上昇により弁が破
壊されて内圧を開放する弁体と、弁体の変位に対応して
作動する電流遮断スイッチを組み合わせて封口部に組み
込むとより好ましい。これらの圧力感応弁体と電流遮断
スイッチは、特開平2−112151号公開公報、同2
−288063号公開公報、同6−215760号公開
公報、同9−92334号公開公報等に記載されている
ものを用いることができる。この他、従来から知られて
いる種々の安全素子(例えば、ヒューズ、バイメタル、
PTC素子等)を備えつけても良い。
【0046】本発明で使用するリード板には、電気伝導
性をもつ金属(例えば、鉄、ニッケル、チタン、クロ
ム、モリブデン、銅、アルミニウム等)やそれらの合金
を用いることが出来る。電池蓋、電池缶、電極シート、
リード板の溶接法は、公知の方法(例、直流又は交流の
電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることが
出来る。封口用シール剤は、アスファルト等の従来から
知られている化合物や混合物を用いることが出来る。
【0047】本発明で使用できるガスケットは、材質と
して、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セル
ロース系ポリマー、ポリイミド、ポリアミドであり、耐
有機溶媒性及び低水分透過性から、オレフィン系ポリマ
ーが好ましく、特にプロピレン主体のポリマーが好まし
い。さらに、プロピレンとエチレンのブロック共重合ポ
リマーであることが好ましい。
【0048】以上のようにして組み立てられた電池は、
エージング処理を施すのが好ましい。エージング処理に
は、前処理、活性化処理及び後処理などがあり、これに
より高い充放電容量とサイクル性に優れた電池を製造す
ることができる。前処理は、電極内のリチウムの分布を
均一化するための処理で、例えば、リチウムの溶解制
御、リチウムの分布を均一にするための温度制御、揺動
及び/または回転処理、充放電の任意の組み合わせが行
われる。活性化処理は電池本体の負極に対してリチウム
を挿入させるための処理で、電池の実使用充電時のリチ
ウム挿入量の50〜120%を挿入するのが好ましい。
後処理は活性化処理を十分にさせるための処理であり、
電池反応を均一にするための保存処理と、判定のための
充放電処理当があり、任意に組み合わせることができ
る。
【0049】本発明の電池は必要に応じて外装材で被覆
される。外装材としては、熱収縮チューブ、粘着テー
プ、金属フィルム、紙、布、塗料、プラスチックケース
等がある。また、外装の少なくとも一部に熱で変色する
部分を設け、使用中の熱履歴がわかるようにしても良
い。
【0050】本発明の電池は必要に応じて複数本を直列
及び/または並列に組み電池パックに収納される。電池
パックには正温度係数抵抗体、温度ヒューズ、ヒューズ
及び/または電流遮断素子等の安全素子の他、安全回路
(各電池及び/または組電池全体の電圧、温度、電流等
をモニターし、必要なら電流を遮断する機能を有す回
路)を設けても良い。また電池パックには、組電池全体
の正極及び負極端子以外に、各電池の正極及び負極端
子、組電池全体及び各電池の温度検出端子、組電池全体
の電流検出端子等を外部端子として設けることもでき
る。また電池パックには、電圧変換回路(DC−DCコ
ンバータ等)を内蔵しても良い。また各電池の接続は、
リード板を溶接することで固定しても良いし、ソケット
等で容易に着脱できるように固定しても良い。さらに
は、電池パックに電池残存容量、充電の有無、使用回数
等の表示機能を設けても良い。
【0051】本発明の電池は様々な機器に使用される。
特に、ビデオムービー、モニター内蔵携帯型ビデオデッ
キ、モニター内蔵ムービーカメラ、コンパクトカメラ、
一眼レフカメラ、レンズ付きフィルム、ノート型パソコ
ン、ノート型ワープロ、電子手帳、携帯電話、コードレ
ス電話、ヒゲソリ、電動工具、電動ミキサー、自動車等
に使用されることが好ましい。
【0052】
〔正極合剤ペーストの作成〕
正極材料;LiCoO2 (炭酸リチウムと四酸化三コバ
ルトと3:2のモル比で混合したものをアルミナるつぼ
にいれ、空気中、毎分2℃で750℃に昇温し4時間仮
焼した後、さらに毎分2℃の速度で900℃に昇温しそ
の温度で8時間焼成し解砕したもの。中心粒子サイズ5
μm、洗浄品50gを100mlの水に分散した時の分
散液の電導度は0.6mS/m、pHは10.1、窒素
吸着法による比表面積は0.42m2 /g)を200g
とアセチレンブラック10gとを、ホモジナイザーで混
合し、続いて結着剤として2−エチルヘキシルアクリレ
ートとアクリル酸とアクリロニトリルの共重合体の水分
散物(固形分濃度50重量%)を8g、濃度2重量%の
カルボキシメチルセルロース水溶液を60gを加え混練
混合し、さらに水を50gを加え、ホモジナイザーで攪
拌混合し、正極合剤ペーストを作成した。
【0053】〔負極合剤ペーストの作成〕負極材料とし
てSn0.8 Si0.5 0.3 0.2 Al0.1 3.70を20
0g、導電剤(人造黒鉛)30gとをホモジナイザーで
混合し、さらに結着剤として濃度2重量%のカルボキシ
メチルセルロース水溶液50g、ポリフッ化ビニリデン
10gとを加え混合したものと水を30g加えさらに混
練混合し、負極合剤ペーストを作成した。
【0054】〔正極および負極電極シートの作成〕上記
で作成した正極合剤ペーストをブレードコーターで厚さ
20μmのアルミニウム箔集電体の両面に、塗布量40
0g/m2 、乾燥後のシートの厚みが260μmになる
ように塗布し、乾燥した後、ローラープレス機で圧縮成
型し、167μmの厚みの帯状の正極シートを作成し
た。さらにドライボックス(露点;−50℃以下の乾燥
空気)中で遠赤外線ヒーターにて充分脱水乾燥し、正極
シートを作成した。同様に、負極合剤ペーストを20μ
mの銅箔集電体に塗布し、上記正極シート作成と同様の
方法で、塗布量70g/m2 、圧縮後のシートの厚みが
104μmである負極シートを作成した。
【0055】〔電解液調製〕アルゴン雰囲気で、200
ccの細口のポリプロピレン容器に65.3gの炭酸ジ
エチルをいれ、これに液温が30℃を越えないように注
意しながら、22.2gの炭酸エチレンを少量ずつ溶解
した。次に、0.4gのLiBF4 、12.1gのLi
PF6 を液温が30℃を越えないように注意しながら、
それぞれ順番に、上記ポリプロピレン容器に少量ずつ溶
解した。得られた電解液(E−1)は比重1.135で
無色透明の液体であった。水分は18ppm(京都電子
製 商品名MKC−210型カールフィシャー水分測定
装置で測定)、遊離酸分は24ppm(ブロムチモール
ブルーを指示薬とし、0.1規定NaOH水溶液を用い
て中和滴定して測定)であった。さらにこの電解液E−
1に表1に記載の化合物を所定濃度になるようにそれぞ
れ溶解させ電解液E−2からE−16を調製した。尚、
比較化合物Aは、特開平9−106835合に記載のビ
フェニルである。
【0056】 表1 電解液の組成 電解液番号 添加剤 添加剤濃度(mol/リットル) E−1 なし 0 E−2 例示化合物(1) 0.01 E−3 同 0.05 E−4 同 0.1 E−5 例示化合物(2) 0.01 E−6 同 0.05 E−7 同 0.1 E−8 例示化合物(3) 0.05 E−9 例示化合物(4) 0.05 E−10 例示化合物(5) 0.05 E−11 例示化合物(13) 0.05 E−12 例示化合物(18) 0.05 E−13 例示化合物(20) 0.025 E−14 比較化合物(A) 0.01 E−15 同 0.05 E−16 同 0.1
【0057】
【化4】
【0058】〔シリンダー電池の作成〕図1に従い電池
の作り方を説明する。上記で作成した正極シート、微孔
性ポリエチレンフィルム製セパレーター、負極シートさ
らにセパレーターを順に積層し、これを渦巻き状に巻回
した。この巻回した電極群(2)を負極端子を兼ねるニ
ッケルメッキを施した鉄製の有底円筒型電池缶(1)に
収納し、上部絶縁板(3)を更に挿入した。この電池缶
内に電解液E−1を注入した後、正極端子(6)、絶縁
リング、PTC素子(63)、電流遮断体(62)、圧
力感応弁体(61)を積層したものをガスケット(5)
を介してかしめて円筒型電池D−1を作成した。同様に
してE−1の代わりに表1の電解液E−2からE−16
を注入した電池D−2〜D−16を作成した。電池はそ
れぞれ10個ずつ作成した。
【0059】〔電池特性の評価〕上記の方法で作成した
電池について、電流密度4.8mA/cm2 、充電終止
電圧4.1V、放電終止電圧2.7Vの条件で充放電を
10回繰り返し、10サイクル目における放電容量を求
めた。これを同一処方の10個の電池について調べ、そ
の平均をその電池の容量とした。このようにして各々の
電池の容量を求め、この値を電池番号1の電池の容量で
割って相対容量を求めた。また、それぞれの電池の30
0サイクル目の放電容量を求め、10サイクル目の放電
容量に対する比を計算しサイクル容量として表した。そ
れぞれの値を表2に示した。
【0060】 表2 電池性能 電池番号 電解液番号 相対容量 サイクル容量 備考 D−1 E−1 1 0.87 比較例 D−2 E−2 1.01 0.94 本発明 D−3 E−3 1.01 0.95 同 D−4 E−4 1.02 0.92 同 D−5 E−5 1 0.93 同 D−6 E−6 1 0.94 同 D−7 E−7 1.01 0.92 同 D−8 E−8 1 0.92 同 D−9 E−9 1.02 0.92 同 D−10 E−10 1.01 0.91 同 D−11 E−11 0.99 0.90 同 D−12 E−12 1.03 0.91 同 D−13 E−13 0.99 0.92 同 D−14 E−14 0.98 0.86 比較例 D−15 E−15 0.93 0.84 同 D−16 E−16 0.89 0.83 同
【0061】実施例−2 負極材料として黒鉛粉末を用いる以外は実施例1と同様
の方法で円筒型電池を作成した。電解液はE−1、3、
6、8〜13、15を用い作成した電池をD−17〜D
−26とした。
【0062】〔電池特性の評価〕上記の方法で作成した
電池について、実施例1と同様の方法にて、相対容量と
サイクル容量を求め、それぞれの値を表3に示した。
【0063】 表3 電池性能 電池番号 電解液番号 相対容量 サイクル容量 備考 D−17 E−1 0.82 0.90 比較例 D−18 E−3 0.82 0.95 本発明 D−19 E−6 0.83 0.94 同 D−20 E−8 0.82 0.93 同 D−21 E−9 0.83 0.92 同 D−22 E−10 0.82 0.91 同 D−23 E−11 0.83 0.92 同 D−24 E−12 0.81 0.90 同 D−25 E−13 0.82 0.92 同 D−26 E−15 0.79 0.88 比較例
【0064】実施例1および2の結果(表2および表
3)より、本発明の一般式(1)で表される化合物を添
加した場合、容量の低下が見られずにサイクル性を向上
させていることがわかる。また、サイクル安定化効果
は、負極に炭素質材料を用いたときよりも、非晶質の複
合酸化物を用いたときの方が大きいこともわかる。一
方、特開平9−106835号に記載のビフェニルでは
添加量に応じて容量低下するという欠点のあることもわ
かった。
【0065】実施例−3 実施例1の電池を過充電状態にしたところ、本発明の電
池は電流遮断が確実に行われることが確認された。
【0066】
【発明の効果】本発明の化合物により、容量を損うこと
なく、サイクル安定性と安全性を向上させることのでき
る非水電解液二次電池が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用したシリンダー型電池の断面図を
示す。
【符合の説明】
1 負極を兼ねる電池缶 2 巻回電極群 3 上部絶縁板 4 正極リード 5 ガスケット 6 正極端子を兼ねる電池蓋 61 圧力感応弁体 62 電流遮断素子(スイッチ) 63 PTC素子
フロントページの続き (72)発明者 割石 幸司 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 石塚 弘 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極、リチウム塩を含む非水電解
    液からなる非水電解液二次電池において、電池内に下記
    一般式(1)で表される化合物を含有させることを特徴
    とする非水電解液二次電池。 一般式(1) R1112N−OR13 一般式(1)においてR11、R12、およびR13はアルキ
    ル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、オキシカル
    ボニル基、またはスルホニル基から成る群より選ばれた
    基を表す。
  2. 【請求項2】 一般式(1)におけるR11、R12の少な
    くとも1方がアシル基、オキシカルボニル基、またはス
    ルホニル基から成る群より選ばれた基である事を特徴と
    する請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 一般式(1)におけるR11、R12の少な
    くとも一方とR13がともにオキシカルボニル基である事
    を特徴とする請求項2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 【請求項4】 該化合物を非水電解液中に溶解すること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解
    液二次電池。
  5. 【請求項5】 該化合物の非水電解液中に含まれる量
    が、電解液1kgあたり1g以上、50g以下である事
    を特徴とする請求項4に記載の非水電解液二次電池。
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