JPH10265754A - (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品 - Google Patents

(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品

Info

Publication number
JPH10265754A
JPH10265754A JP7513897A JP7513897A JPH10265754A JP H10265754 A JPH10265754 A JP H10265754A JP 7513897 A JP7513897 A JP 7513897A JP 7513897 A JP7513897 A JP 7513897A JP H10265754 A JPH10265754 A JP H10265754A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkyl
meth
polyvinyl alcohol
modified polyvinyl
emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7513897A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiro Doi
康広 土井
Yoshinobu Ishikawa
善信 石川
Toshitaka Sakuta
利隆 作田
Kenichi Shiba
健一 芝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP7513897A priority Critical patent/JPH10265754A/ja
Publication of JPH10265754A publication Critical patent/JPH10265754A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レベリング性などの塗工安定性に優れ、かつ
保存安定性に優れた粘着性能のバランスの良い(メタ)
アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物を提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル系エマルジョンと、粘
度 1000mPa・s 以下のアルキル変性ポリビニルアルコー
ル(A1)と、粘度 7000mPa・s 以上のアルキル変性ポリビ
ニルアルコール(A2)とを、(A1)/(A2)=50/50〜95/5
の重量比で含有する(メタ)アクリル系エマルジョン型
粘着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レベリング性など
の塗工安定性に優れ、かつ保存安定性に優れたエマルジ
ョン型粘着剤及びこの粘着剤を用いて製造される粘着製
品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境、労働環境の改善、資源
の有効利用の観点から、溶剤型粘着剤の代替として、水
系のエマルジョン型粘着剤への転換が検討されている。
水系のエマルジョン型粘着剤は、一般的には(メタ)ア
クリル酸エステルを乳化重合して調製された(メタ)ア
クリル系エマルジョンに、粘着付与剤や増粘剤などを配
合して製造される。このエマルジョン型粘着剤を用いた
粘着シートやテープ等の粘着製品の製造では、離型基材
へコンマコーターやブレードコーター等で粘着剤を塗工
し、乾燥した後、プラスチック基材や紙基材等とラミネ
ートすることにより転写する方法が行われている。この
際、離型基材へ塗工するためには、粘着剤のハジキ等の
問題で、エマルジョンの増粘が必要不可欠である。増粘
剤としては、一般的に水溶性ポリマーが使用されている
が、未変性のポリビニルアルコールやカルボキシメチル
セルロース等を用いると、粘着力や耐水性が劣ること
や、保存時に粘度が低下する傾向があり、使用には適し
ていない。これに対して、アルキル基にて変性されたポ
リビニルアルコールを増粘剤として用いることにより、
粘着力や耐水性を改善する試みがなされている。しかし
ながら、一般的に用いられているアルキル変性ポリビニ
ルアルコールを使用した場合には、少量の添加でエマル
ジョンの増粘性は良好となり、かつ粘着力、耐水性も良
好となるが、エマルジョンのチキソトロピー性が大きく
なるために塗工の際のレベレング性に劣ることや、保存
時にエマルジョンの凝集を引き起こすなどして保存安定
性が悪化するなどの問題を抱えている。
【0003】従って、レベリング性などの塗工安定性や
保存安定性などを満足する粘着性能のバランスの良いエ
マルジョン型粘着剤を製造することは、現状では困難で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のエマ
ルジョン型粘着剤の前記問題点を解決し、レベリング性
などの塗工安定性に優れ、かつ保存安定性に優れた粘着
性能のバランスの良いエマルジョン型粘着剤及びこれを
用いて製造される粘着製品を提供することを目的として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目標
を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の粘度以
上のアルキル変性ポリビニルアルコールと特定の粘度以
下のアルキル変性ポリビニルアルコールを最適な重量比
の範囲で(メタ)アクリル系エマルジョンに含有させる
ことにより、良好な粘度とチキソトロピー性を示し、レ
ベリング性などの塗工安定性に優れ、かつ保存安定性、
耐水性に優れたエマルジョン型粘着剤を発明するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、(メタ)アクリル系
エマルジョンと、濃度5重量%水溶液の粘度が 1000mPa
・s 以下を示すアルキル変性ポリビニルアルコール(A1)
と、濃度5重量%水溶液の粘度が 7000mPa・s 以上を示
すアルキル変性ポリビニルアルコール(A2)とを、(A1)/
(A2)=50/50〜95/5の重量比で含有することを特徴と
する(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物を
提供するものである。
【0007】本発明において、アルキル変性ポリビニル
アルコール(A1)、(A2)の粘度の測定値は、23℃にて、B
型粘度計(東京計器製)、12rpm 、1分間回転の条件で
行った値である。一般的にエマルジョンの増粘剤として
用いられているアルキル変性ポリビニルアルコールは、
濃度5重量%水溶液での粘度が、約 3000mPa・s 以上の
ものであり、増粘性は非常に良好で、エマルジョンのポ
リマー成分に対して約2%以下の濃度で、離型基材への
塗工が可能となる粘度(約 3000mPa・s 以上)を得るこ
とが可能である。しかし、この一般的に用いられている
アルキル変性ポリビニルアルコールを増粘剤として使用
した場合、粘着力、耐水性は良好であるが、エマルジョ
ンとアルキル基の相互作用が強いために、構造粘性的な
挙動を示しチキソトロピー性が大きくなるために塗工時
のレベリング性が劣り、塗りスジや凹凸などが入ると回
復できず、平滑な塗工面を得ることができないことが問
題である。また、粘着剤の保存時には更にエマルジョン
とアルキル変性ポリビニルアルコールとの相互作用が強
まり、エマルジョンの凝集を引き起こし、保存安定性が
悪化するなどの欠点を有している。
【0008】本発明で用いられるアルキル変性ポリビニ
ルアルコールは、濃度5重量%水溶液の粘度が 1000mPa
・s 以下を示すもの(A1)と、濃度5重量%水溶液の粘度
が 7000mPa・s 以上を示すもの(A2)であり、両者を(A1)
/(A2)=50/50〜95/5の重量比で組み合わせた増粘剤
である。濃度5重量%水溶液の粘度が 1000mPa・s 以下
を示すアルキル変性ポリビニルアルコール(A1)は、増粘
性が非常に弱いために、増粘剤として使用されるために
は多量に必要なため、これまでに使用されることは稀で
あった。また、濃度5重量%水溶液の粘度が 7000mPa・
s 以上を示すアルキル変性ポリビニルアルコール(A2)
は、増粘性は良いが、塗工安定性、保存安定性が非常に
悪いことが問題であった。これらの単独では利用が困難
であった両者を本発明で規定する重量比で組み合わせる
ことにより、増粘性も良好でかつ、塗工安定性、保存安
定性が優れたアクリル系エマルジョン型粘着剤を得るこ
とが可能となった。これは、大過剰の低粘性のアルキル
変性ポリビニルアルコールがポリマーエマルジョンの保
護コロイド的な構造を作り、高粘性のアルキル変性ポリ
ビニルアルコールが、この保護コロイドをつなぐことに
より増粘性を示していると考えられ、このため高粘性の
アルキル変性ポリビニルアルコールは、低粘性のアルキ
ル変性ポリビニルアルコールとのみ相互作用し、エマル
ジョンとの構造粘性体を作ることなく、良好な増粘性を
示している。従って、チキソトロピー性も低く、塗工の
際のレベリング性が高く、また保存時に凝集等の経時変
化がないため保存安定性も良好である。低粘性のアルキ
ル変性ポリビニルアルコール(A1)の粘度は 1000mPa・s
以下であり、好ましくは300 〜1000mPa ・s である。一
方、高粘性のアルキル変性ポリビニルアルコール(A2)の
粘度は 7000mPa・s 以上であり、好ましくは10000 〜50
000mPa・s である。また両者の重量比は、(A1)/(A2)=
50/50〜95/5であるが、好ましくは(A1)/(A2)=70/
30〜95/5である。更に、アルキル変性ポリビニルアル
コール(A1)及び(A2)の合計含有量は、(メタ)アクリル
系エマルジョンに対して、 0.1〜 1.5重量%、特に0.1
〜1.0 重量%の範囲が本発明の効果を得る上で好まし
い。アルキル変性ポリビニルアルコールの合計含有量
が、エマルジョンを構成しているポリマーに対して、
1.5重量%を超えるとアルキル変性していても耐水性が
劣ってくるために好ましくない。従って、アルキル変性
ポリビニルアルコールの合計含有量は、離型基材への塗
工が可能な粘度を得ることができ、かつエマルジョンの
凝集等が起こらない 0.1〜 1.5重量%の範囲が好まし
い。
【0009】本発明で用いるアルキル変性ポリビニルア
ルコールの構造に制限はないが、分子量としては10,000
〜50,000程度、鹸化度としては部分鹸化でも完全鹸化で
もまたブロック鹸化でも良く、アルキル基も炭素数4〜
20、変性率 0.3〜2%程度のものを用いることができ
る。この中で特に、粘着性や耐水性をも考慮すると、濃
度5重量%水溶液の粘度が 1000mPa・s 以下を示す低粘
度のアルキル変性ポリビニルアルコール(A1)としては、
アルキル基の炭素数が12以下であるアルキル変性ポリビ
ニルアルコールを用い、濃度5重量%水溶液の粘度が 7
000mPa・s 以上を示す高粘度のアルキル変性ポリビニル
アルコール(A2)としては、アルキル基の炭素数が14以上
であるアルキル変性ポリビニルアルコールを用いる組み
合わせが効果的である。更に、低粘度のアルキル変性ポ
リビニルアルコール(A1)としてラウリル変性ポリビニル
アルコールを用い、高粘度のアルキル変性ポリビニルア
ルコール(A2)としては、ステアリル変性ポリビニルアル
コールを用いた組み合わせが好ましい。また、X-150F
(ユニチカ株式会社製)、Z-150M(ユニチカ株式会社
製)、Z-150P(ユニチカ株式会社製)、V2250(株式
会社クラレ製)等の商品名で市販されているアルキル変
性ポリビニルアルコールを本発明の増粘剤(A1)、(A2)と
して用いることもできる。
【0010】また、本発明に係わる(メタ)アクリル系
エマルジョンは、一般的な乳化重合、懸濁重合等の方法
で調製することができ、限定されるものではない。一般
的なブチルアクリレートや2−エチルヘキシルアクリレ
ートのような短鎖のアクリル基を有するアルキル(メ
タ)アクリル酸エステルを用いて乳化重合したエマルジ
ョンに対しても、本発明は十分に有効であるが、更に耐
水性や粘着力のバランスが良好な、アルキル基の炭素数
が9〜14の長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルを
用いることが望ましい。アルキル基の炭素数が9〜14の
長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、例
えば(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イ
ソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリ
ル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メ
タ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸トリ
デシル、(メタ)アクリル酸イソトリデシル、(メタ)
アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテト
ラデシル等があり、これらを単独、併用、あるいは他の
重合性単量体と併用しても構わない。また、アルキル
(メタ)アクリル酸エステルを乳化重合する際において
も、ラジカル重合性の乳化分散剤を用いると、更に耐水
性の面で有効であり、本発明のアルキル変性ポリビニル
アルコールの効果が高められる。
【0011】本発明に係わる(メタ)アクリル系エマル
ジョンの重合時に使用できるラジカル重合性の乳化分散
剤は、分子中にラジカル重合性の二重結合基を有する乳
化分散剤であり、ノニオン性、カチオン性、アニオン性
等、親水基の構造に関係なく使用することができる。ま
た、本発明においては、従来の乳化重合に用いられる場
合とは異なって、ミセル形成性は必ずしも必要ではな
い。従って、重合性の乳化分散剤は、モノマーとの共重
合性、モノマー乳化性、ポリマー粒子の分散安定性の見
地から選定することができる。重合性の乳化分散剤とし
ては、重合性基にアリル基、(メタ)アクリル酸基、ス
チレン基、イソプロペニル基を分子中に有する界面活性
剤は公知であり、これらを本発明の重合性の乳化分散剤
に使用することができる。尚、通常、界面活性剤の疎水
性基の炭素数は8〜20であるが、重合性乳化分散剤も界
面活性剤の一種であり、界面活性の点から疎水性基の炭
素数が8〜20の範囲であることが好ましい。本発明にお
いて使用できるラジカル重合性の乳化分散剤としては、
特開昭53−126093号公報、特開昭56−28208 号公報、特
開平4−50204 号公報、特開昭62−104802号公報、特開
昭50−98484 号公報、特開昭54−144317号公報、特開昭
55−115419号公報、特開昭62−34947 号公報、特公昭49
−46291 号公報、特開昭58−203960号公報、特開平4−
53802 号公報、特開昭62−104802号公報、特開昭49−40
388 号公報、特開昭52−134658号公報を参照することが
できる。これらのラジカル重合性乳化分散剤の使用量は
本発明の効果が損なわれない範囲であれば限定されない
が、通常モノマー成分の総量100重量部に対して 0.1〜
2.0 重量部の範囲で使用される。
【0012】また、本発明の(メタ)アクリル系エマル
ジョンの重合工程では、例えばt−ブチルハイドロパー
オキサイド、過酸化ベンゾイル、ペルオキソ二硫酸カリ
ウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾ系重合開始
剤などや、これらと還元剤、例えばアスコルビン酸、重
亜硫酸ソーダ、鉄イオンなどを組み合わせたレドックス
重合開始剤等が適宜使用される。
【0013】本発明のエマルジョン型粘着剤組成物は、
離型基材へ塗工する際、レベリング性などの塗工安定性
が良好であり、また粘着剤の保存安定性も良好であるこ
とから、効率よく粘着シート、テープ、ラベル等の粘着
製品を製造することが可能である。これら粘着製品は、
粘着性能のバランスが良く、様々な用途へ効果的に使用
することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施例により説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例
中の「%」は、特記しない限り「重量%」である。尚、
以下の実施例及び比較例において平均粒径は株式会社堀
場製作所製粒径分布測定機(LA-910型)を用いて測定し
た。また、エマルジョン型粘着剤のチキソトロピー定
数、レベリング性、粘着力、保存安定性の評価は以下の
方法により行った。各実施例及び比較例の結果は表1に
示した。
【0015】1) チキソトロピー定数 エマルジョン型粘着剤の粘度を、23℃下でB型粘度計
(株式会社東京計器製)を用いて、6rpm 及び60rpm 、
各1分間回転の条件で測定し、その粘度の比(η6rpm
/η60rpm )をチキソトロピー定数とした。
【0016】2) レベリング性 エマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社ヒ
ラノテクシード社製マルチコーター)を用いて、ポリエ
チレンテレフタレート離型フィルム上に塗工速度10m/
min にて厚さ20μmとなるよう塗工した際の粘着剤塗工
表面を目視にて観察し、塗工面の平滑性(塗工スジやム
ラの有無)を3段階に分けて以下のように評価した。 ○ 非常に平滑 △ 塗工スジ、ムラ等少量有り × 塗工スジ、ムラ等多量に有り 3) 粘着力 上記レベリング性評価にて塗工した離型フィルムを熱風
乾燥機にて 105℃、3分間の乾燥を行い、ポリエチレン
テレフタレートフィルムをラミネートし、粘着剤を転写
することにより粘着テープを得た。この粘着テープ(25
mm幅)を、被着体である高密度ポリエチレン(HDP
E、表面張力;32dyne/cm )、ステンレス304 板(#32
0 仕上げステンレス、以下、SUS304 と表記する場合
もある)に貼り付けて1日養生した後、23℃、65%RH
の条件下で 180度剥離強度(剥離速度:300mm/min )を
測定することにより、通常剥離強度を求めた。
【0017】4) 保存安定性 エマルジョン型粘着剤800 mlを容量1000mlのポリプロピ
レン製瓶に入れ、40℃、1週間放置した後、エマルジョ
ン粒子の粒径を測定し、粘着剤調製直後の粒径と比較す
ることにより行った。
【0018】実施例1 2リットルの容器に有効分濃度 2.0%のラテムルS-180
(花王株式会社製)水溶液 400gを仕込み、重合開始剤
である過酸化ベンゾイル 2.4gを溶解したラウリルメタ
クリレート 600gを加え、超音波ホモジナイザー(株式
会社日本精機製作所製)で15分間処理して乳化物を得
た。この乳化物の平均粒径は0.58μmであった。この乳
化物を、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リット
ルのガラス製反応器に移し、窒素ガスパージした後、攪
拌しながら加熱して85℃で5時間熟成し重合を完了させ
た。その後、冷却し中和することにより、ポリマーエマ
ルジョン(エマルジョン1)を得た。このポリマーエマ
ルジョンには凝集物がほとんど含まれず、固形分は60.1
%、平均粒径0.55μmであった。
【0019】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
増粘剤として濃度5重量%水溶液の粘度が200mPa・s を
示すラウリル変性ポリビニルアルコールと濃度5重量%
水溶液の粘度が25000mPa・s を示すミリスチル変性ポリ
ビニルアルコールを85/15の重量比で混合した5重量%
水溶液を、エマルジョンを構成しているポリマー成分に
対して、アルキル変性ポリビニルアルコールの総量が
0.5%となるように添加して、エマルジョン粘度が約 40
00mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。このエ
マルジョン型粘着剤のチキソトロピー定数、レベリング
製、粘着力、保存安定性を表1に示す。
【0020】実施例2 2リットルの容器に有効分濃度 1.5%のアクアロンHS
−20(第一工業製薬株式会社製:重合性界面活性剤)水
溶液 480gを仕込み、ラウリルメタクリレート400g、
ブチルアクリレート 100gを加え、マイルダー(株式会
社荏原製作所製)で20分間処理して乳化物を得た。この
乳化物の平均粒径は0.53μmであった。この乳化物を、
攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リットルのガラ
ス製反応器に移し、窒素ガスパージした後、攪拌しなが
ら70℃に加熱した。これに、重合開始剤として、t−ブ
チルハイドロパーオキサイド1.50gを水10gに溶解した
もの、及びL−アスコルビン酸1.50gを水10gに溶解し
たものを添加して重合を開始し、重合を完結させるため
に85℃で4時間の熟成を行った。その後、冷却し中和す
ることにより、ポリマーエマルジョン(エマルジョン
2)を得た。このポリマーエマルジョンには凝集物がほ
とんど含まれず、固形分は50.3%、平均粒径0.49μmで
あった。
【0021】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
増粘剤としてラウリル変性ポリビニルアルコールと濃度
5重量%水溶液の粘度が 8800mPa・s を示すミリスチル
変性ポリビニルアルコールを90/10で混合した5重量%
水溶液を、エマルジョンを構成しているポリマー成分に
対して、アルキル変性ポリビニルアルコールの総量が0.
7%となるように添加して、エマルジョン粘度が約 4000
mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。このエマ
ルジョン型粘着剤のチキソトロピー定数、レベリング
性、粘着力、保存安定性を表1に示す。また、HDPE
に貼り付けた粘着テープを10時間水中に浸漬しても、白
化は起こらず、指でこする程度では剥離しなかった。
【0022】実施例3 攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた2リットルのガラ
ス製反応器に、ペルオキソ二硫酸カリウム1.80gを溶解
させた有効分濃度 2.5%のレベノールWZ(花王株式会
社製)水溶液 530gを仕込み、85℃に昇温した。これ
に、2−エチルヘキシルアクリレート 225g、ブチルア
クリレート 225gの混合溶液を1時間かけて滴下し、重
合を開始した後、4時間の熟成を行い重合を完結させ
た。その後、冷却し中和することにより、ポリマーエマ
ルジョン(エマルジョン3)を得た。このポリマーエマ
ルジョンには凝集物がほとんど含まれず、固形分は44.8
%、平均粒径0.43μmであった。
【0023】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
粘着付与剤としてスーパーエステルE-625(荒川化学工
業株式会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固
形分に対して10%添加した。更に増粘剤として濃度5重
量%水溶液の粘度が200mPa・s を示すラウリル変性ポリ
ビニルアルコールと濃度5重量%水溶液の粘度が47000m
Pa・s を示すステアリル変性ポリビニルアルコールを90
/10で混合した濃度5%水溶液を、エマルジョンを構成
しているポリマー成分に対して、アルキル変性ポリビニ
ルアルコールの総量が 0.8%となるように添加して、エ
マルジョン粘度が約4000mN・s のエマルジョン型粘着剤
を調製した。このエマルジョン型粘着剤のチキソトロピ
ー定数、レベリング性、粘着力、保存安定性を表1に示
す。
【0024】比較例1 実施例1のエマルジョン1に対して、増粘剤として濃度
5重量%水溶液の粘度が200mPa・s を示すラウリル変性
ポリビニルアルコールのみの10%水溶液を用いて、約 4
000mPa・s の粘度のエマルジョン型粘着剤を調製したと
ころ、この粘度を達成するためには、当該増粘剤をエマ
ルジョンを構成するポリマー成分に対して 2.5%必要で
あった。このエマルジョン型粘着剤のチキソトロピー定
数、レベリング性、粘着力、保存安定性を表1に示す。
このように、アルキル変性ポリビニルアルコールが、エ
マルジョン中に多量に添加されたことにより、実施例1
と比べ粘着力の大幅な低下が見られた。
【0025】比較例2 実施例2のエマルジョン2に対して、増粘剤として濃度
5重量%水溶液の粘度が500mPa・s の未変性ポリビニル
アルコールと濃度5重量%水溶液の粘度が8800mPa・s
を示すミリスチル変性ポリビニルアルコールの重量比が
90/10の5%水溶液を用いて、エマルジョンを構成して
いるポリマー成分に対して、アルキル変性ポリビニルア
ルコールの総量が 0.6%となるように添加して、約 400
0mPa・sの粘度のエマルジョン型粘着剤を調製した。こ
のエマルジョン型粘着剤のチキソトロピー定数、レベリ
ング性、粘着力、保存安定性を表1に示す。このよう
に、未変性ポリビニルアルコールが入ると、粘着力の大
幅な低下が見られた。また、HDPEに貼り付けた粘着
テープを水中に浸漬すると、白化が起こり、指でこする
と簡単に剥離した。
【0026】比較例3 実施例3のエマルジョン3に対して、増粘剤として濃度
5重量%水溶液の粘度が200mPa・s を示すラウリル変性
ポリビニルアルコールと濃度5重量%水溶液の粘度が 8
800mPa・s を示すミリスチル変性ポリビニルアルコール
の重量比が30/70の5%水溶液を用いて、エマルジョン
を構成しているポリマー成分に対して、アルキル変性ポ
リビニルアルコールの総量が 0.2%となるように添加し
て、約4000mPa ・s の粘度のエマルジョン型粘着剤を調
製した。このエマルジョン型粘着剤のチキソトロピー定
数、レベリング性、粘着力、保存安定性を表1に示す。
このように、高粘性のアルキル変性ポリビニルアルコー
ル組成を高くすると、チキソトロピー性が上がり塗工面
のレベリング性が落ち、実施例3に比べ粘着力も低下し
た。また、保存安定性も悪化し、1週間後に同一条件で
塗工した粘着テープの粘着層表面は凹凸やスジが大幅に
増加した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】上述のとおり、この発明は、レベリング
性などの塗工安定性に優れ、かつ保存安定性に優れた粘
着性能のバランスの良い(メタ)アクリル系エマルジョ
ン型粘着剤組成物を提供する。このため、粘着製品を製
造する際の塗工操作も非常に安定しており、能率良く製
品を製造できる。また、得られた粘着製品の性能は良好
であり、様々な用途へ優れた粘着製品を提供可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 芝 健一 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル系エマルジョンと、濃
    度5重量%水溶液の粘度が 1000mPa・s 以下を示すアル
    キル変性ポリビニルアルコール(A1)と、濃度5重量%水
    溶液の粘度が 7000mPa・s 以上を示すアルキル変性ポリ
    ビニルアルコール(A2)とを、(A1)/(A2)=50/50〜95/
    5の重量比で含有することを特徴とする(メタ)アクリ
    ル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 アルキル変性ポリビニルアルコール(A1)
    及び(A2)の合計含有量が、(メタ)アクリル系エマルジ
    ョンに対して、 0.1〜 1.5重量%である請求項1記載の
    (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 アルキル変性ポリビニルアルコール(A1)
    が炭素数12以下のアルキル基で変性されたアルキル変性
    ポリビニルアルコールであり、アルキル変性ポリビニル
    アルコール(A2)が炭素数14以上のアルキル基で変性され
    たアルキル変性ポリビニルアルコールである請求項1又
    は2記載の(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組
    成物。
  4. 【請求項4】 アルキル変性ポリビニルアルコール(A1)
    がラウリル変性ポリビニルアルコールであり、アルキル
    変性ポリビニルアルコール(A2)がステアリル変性ポリビ
    ニルアルコールである請求項1〜3のいずれかに記載の
    アルキル(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 (メタ)アクリル系エマルジョンが、ア
    ルキル(メタ)アクリル酸エステルを重合して得られた
    ものである請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)ア
    クリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 アルキル(メタ)アクリル酸エステルが
    アルキル基の炭素数が9〜14である長鎖アルキル(メ
    タ)アクリル酸エステルである請求項5記載の(メタ)
    アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  7. 【請求項7】 (メタ)アクリル系エマルジョンが、ア
    ルキル(メタ)アクリル酸エステルを重合する工程にお
    いて、ラジカル重合性の乳化分散剤を使用することによ
    り得られたものである請求項5又は6記載の(メタ)ア
    クリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れか1項記載の(メ
    タ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物を用いて製
    造された粘着製品。
JP7513897A 1997-03-27 1997-03-27 (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品 Pending JPH10265754A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7513897A JPH10265754A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7513897A JPH10265754A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10265754A true JPH10265754A (ja) 1998-10-06

Family

ID=13567546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7513897A Pending JPH10265754A (ja) 1997-03-27 1997-03-27 (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10265754A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013054834A1 (ja) * 2011-10-14 2013-04-18 株式会社クラレ アルキル変性ビニルアルコール系重合体溶液
CN103289640A (zh) * 2013-06-27 2013-09-11 苏州工业园区依利电子贸易有限公司 一种高效胶粘剂
WO2022230825A1 (ja) 2021-04-27 2022-11-03 株式会社クラレ ビニルアルコール系重合体、これを含む粉末、粉末の製造方法、コーティング剤、塗工物、塗工物の製造方法、乳化重合用安定剤、水性エマルジョン及び接着剤

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013054834A1 (ja) * 2011-10-14 2013-04-18 株式会社クラレ アルキル変性ビニルアルコール系重合体溶液
JP5525110B2 (ja) * 2011-10-14 2014-06-18 株式会社クラレ アルキル変性ビニルアルコール系重合体溶液
US9303146B2 (en) 2011-10-14 2016-04-05 Kuraray Co., Ltd. Alkyl-modified vinyl alcohol polymer solution
CN103289640A (zh) * 2013-06-27 2013-09-11 苏州工业园区依利电子贸易有限公司 一种高效胶粘剂
WO2022230825A1 (ja) 2021-04-27 2022-11-03 株式会社クラレ ビニルアルコール系重合体、これを含む粉末、粉末の製造方法、コーティング剤、塗工物、塗工物の製造方法、乳化重合用安定剤、水性エマルジョン及び接着剤

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3638957B2 (ja) 剥離のための水性(メタ)アクリルラテックスポリマー
US6190767B1 (en) Aqueous emulsion for pressure-sensitive adhesive and process for the preparation thereof
JP6478577B2 (ja) 水性エマルション、接着剤組成物、及び水性エマルションの製造方法
JP2003335805A (ja) 合成樹脂水性エマルジョン型感圧接着剤及びその製造方法
JP2000313865A (ja) エマルジョン型粘着剤
JPH07157741A (ja) 再剥離型水性感圧接着剤組成物
JP2001181590A (ja) 粘着製品の製造方法
JPH10265754A (ja) (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品
JP4332773B2 (ja) 水性感圧接着剤樹脂組成物、接着剤、接着剤の塗工方法、及びその粘着製品。
JP3343528B2 (ja) 水系感圧接着剤組成物
WO1998029518A1 (fr) Adhesif amovible, sensible a la pression de type a emulsion et pelicule de protection de surface fabriquee au moyen de cet adhesif
JP4449496B2 (ja) アクリル系共重合体エマルジョン及びエマルジョン型アクリル系粘着剤
JPS61152779A (ja) 再剥離型粘着剤組成物
JP2008081691A (ja) 粘着剤用複合樹脂組成物水性分散体及び粘着剤組成物
US6156378A (en) Process for producing pressure-sensitive adhesive sheet
JP2000313863A (ja) エマルジョン型粘着剤組成物
JP2007224184A (ja) アクリル系ポリマー含有組成物エマルジョン及びその製造方法
JP2006008831A (ja) 水性粘着剤組成物
JPH04320475A (ja) 水性分散型粘着剤組成物
JP2001254063A (ja) 感圧性接着剤組成物およびそれを用いた感圧性接着シート
JP2582768B2 (ja) 水分散型感圧性接着剤組成物の製造法
JPH06128543A (ja) 水分散型アクリル系粘着剤の製造方法及び水分散型アクリル系粘着剤並びに粘着テープもしくはシート
JPS61271367A (ja) 水分散型感圧性接着剤組成物の製造法
JP6345969B2 (ja) 粘着テープの製造方法
JP2006008834A (ja) 粘着剤用樹脂組成物水性分散体及び粘着剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060613

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070109