JP2582768B2 - 水分散型感圧性接着剤組成物の製造法 - Google Patents

水分散型感圧性接着剤組成物の製造法

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JP2582768B2 JP62067009A JP6700987A JP2582768B2 JP 2582768 B2 JP2582768 B2 JP 2582768B2 JP 62067009 A JP62067009 A JP 62067009A JP 6700987 A JP6700987 A JP 6700987A JP 2582768 B2 JP2582768 B2 JP 2582768B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明のアクリル系の水分散型感圧性接着剤組成物
に関する。
〔従来の技術〕
近年、アクリル系感圧性接着剤は、そのすぐれた接着
特性ないし耐久性から、従来の天然ゴム系,合成ゴム系
の感圧性接着剤に代わつて広く普及してきた。また、こ
の種の接着剤の中でも、最近では有機溶剤を使用しない
水分散型のものが省資源,環境衛生などの観点から研究
開発されている。
このような水分散型の接着剤は一般に乳化重合法によ
り調製されている。すなわち、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを必要に応じてアクリル酸、スチレン、酢
酸ビニルなどの改質用単量体とともに水媒体中で乳化重
合させることにより調製されており、この方法で得られ
る室温で粘着性を有するアクリル系ポリマーは、溶液重
合で得られるポリマーに較べて比較的大きな分子量を有
するものとなるため、感圧性接着剤として比較的高い凝
集力が得られることが知られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかるに、上記従来のアクリル系の水分散接着剤は、
これを高度の凝集力が望まれる用途に適用する場合には
なお満足できるものとはいえず、また接着箇所が比較的
高温度下におかれるときには、凝集力が著しく低下し、
ほとんど使用に供しえなかつた。そこで、この種の接着
剤の凝集力をさらに向上させるために、乳化重合後の重
合体エマルジヨンに有機溶剤タイプにおけるのと同様の
外部架橋剤、たとえばメラミン化合物、エポキシ化合
物、金属塩などを配合する試みがなされてきた。
ところが、このような改良手段では、架橋剤の種類な
いし使用量の選択に煩わしさがあり、また架橋のための
熱エネルギーも無視できないなど生産性の面での問題が
あるうえに、一般に架橋が不均一となつて架橋の程度に
較べて凝集力がそれほど大きくならず、また仮に凝集力
を大きくできたとしてもこれに伴つて接着力の低下がみ
られ、結局高接着力でかつ高凝集力を有するような感圧
性接着剤組成物を得ることは難しかつた。
さらに、上記の如き手段にて凝集力を大きくした場
合、接着力の低下とは別に接着剤としての耐反発性に劣
つたものとなるという問題もあつた。すなわち、たとえ
ば曲面に持つた被着体に金属板やプラスチツク板などを
屈曲状態に接着させる用途などにあつては、屈曲された
金属板やプラスチツク板に復元力が働くため、この復元
力に抗しうるような耐反発性にすぐれたものであること
が要求され、この耐反発性は接着力と凝集力とのバラン
ス特性にて表されるものであるが、このような耐反発性
を高度に満足させることはできなかつたのである。
このように、前記従来のアクリル系の水分散型接着剤
では、接着力とともに凝集力を高度に満足し、しかも耐
反発性にすぐれたものを得にくいという問題があつた。
その上、この種の接着剤は、これを支持体上に塗布乾燥
して接着テープなどを作製した場合、上述の接着特性、
特に接着力や耐反発性が経日的に変化することがあり、
安定した接着特性を発揮させにくいという問題もあつ
た。
上記の接着特性の変化は、支持体上に塗布乾燥して製
膜する際の造膜製不良に起因するものと考えられてお
り、このため乾燥温度を上げたり造膜助剤を添加するな
どして造膜性の改善を図る試みがなされている。しか
し、この場合熱エネルギーの問題や造膜助剤が残存する
ことによる接着特性への悪影響という問題をさけられな
かつた。
また、造膜性の改善のために、水分散型接着剤中のポ
リマー粒子の粒子径を小さくするという試みもなされて
いるが、この場合接着剤の粘度が非常に高くなり、着色
剤や粘着付与剤などの各種添加剤を配合する際の混合作
業性や塗布時の作業性を損なつたり、またそのためのポ
リマー粒子の水中濃度、つまり固型分濃度を低くしなけ
ればならないため塗布後の乾燥に長時間を要してやはり
作業性を損なう結果となつていた。
以上のことから、この発明は、乾燥時間の短縮に寄与
する高固型分濃度としても実用上問題のない低粘度に維
持でき、かつこれをテープ化などする際に乾燥温度を上
げたり造膜助剤を添加しなくても良好な造膜性を得るこ
とができ、そのために前記した如き経日的な変化がみら
れない安定した接着特性を発揮でき、そのうえこの接着
特性として接着力、凝集力および耐反発性がいずれも格
段にすぐれたものとなるようなアクリル系の水分散型感
圧性接着剤組成物を提供することを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検
討した結果、水溶性の重合開始剤が溶解された水媒体中
に特定の架橋性単量体を少量含むアクリル系単量体混合
物と乳化剤とを同時に少量づつ連続添加して乳化重合さ
せることにより、比較的大きな粒子径を有するポリマー
粒子とこれより小さな粒子径を有するポリマー粒子とを
特定比率で生成させるようにしたときには、ポリマー粒
子の水中濃度、つまり固型分濃度を高くしても低粘度の
水分散型感圧性接着剤組成物が得られ、かつこれをテー
プ化などする際に乾燥温度を特別に高くしたり造膜助剤
を添加するなどの補助的手段を加えなくても良好な造膜
性が得られ、そのために接着特性の経日的変化がみられ
ない安定した接着特性を発揮させることができ、そのう
えこの接着特性として接着力、凝集力および耐反発性が
いずれも格段にすぐれたものとなることを知り、この発
明を完成するに至つた。
すなわち、この発明は、水溶性の重合開始剤が溶解さ
れた水中に、アルキル基の炭素数が1〜14個の(メタ)
アクリル酸アルキルエステル単独またはこのエステルと
これと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とから
なるそのホモポリマーまたはコポリマーが感圧接着性を
示すガラス転移点が250゜K以下となりうる主単量体90〜9
9.9重量%と、多価アルコールと(メタ)アクリル酸と
の多価エステルおよびジビニルベンゼンの中から選ばれ
た少なくとも1種の架橋性単量体10〜0.1重量%とから
なる単量体混合物を、乳化剤と一緒に添加し重合させる
ことにより、平均粒子径が0.05〜0.3μmの粒子5〜40
重量%と平均粒子径が0.3μmを超え1.0μm以下の粒子
95〜60重量%とからなるポリマー粒子を生成することを
特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の製造法に係る
ものである。
なお、この明細書において、(メタ)アクリル酸とあ
るはアクリル酸および/またはメタクリル酸を、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルとあるはアクリル酸ア
ルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエ
ステルを、(メタ)アクリレートとあるはアクリレート
および/またはメタクリレートを、それぞれ意味する。
なおまた、この明細書におけるポリマー粒子のゲル分
率とは、ポリマー粒子を構成するポリマーがどの程度架
橋結合に関与しているかどうかを示す指標となるもので
あり、これは上記ポリマーの溶剤不溶分(重量%)を測
定することにより表される。具体的には、ポリマー粒子
を含むエマルジヨンからポリマー被膜を形成し、これを
溶剤中に浸漬して架橋結合に関与しないポリマーを溶出
させ、残存する溶剤不溶分を測定することにより、実測
される。この測定は後記の実施例にて示されるとおりで
ある。
〔発明の構成・作用〕
この発明において用いられる単量体混合物は、アクリ
ル系の主単量体と、多価アルコールと(メタ)アクリル
酸との多価エステルおよびジビニルベンゼンの中から選
ばれた少なくとも一種の架橋性単量体とからなるもので
ある。
上記のアクリル系の主単量体は、アルキル基の炭素数
が1〜14個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独
またはこのエステルとこれと共重合可能なモノエチレン
性不飽和単量体とからなるものである。(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルとしては、接着特性の観点から、
アルキル基の炭素数1〜14個のものが用いられ、特に好
適な例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノ
ニル、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリルなどが挙げら
れる。
また、共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体とし
ては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビ
ニル、スチレンまたはその誘導体、(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、N・N−ジメチルアミノエチルメタ
クリレートなどが挙げられ、これら単量体はポリマー粒
子を構成するポリマーの改質成分として寄与するもので
ある。
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステル単独
またはこれと上記共重合可能なモノエチレン性不飽和単
量体とからなる主単量体は、そのホモポリマーまたコポ
リマーが感圧接着性を示すようなガラス転移点が250゜K
以下となるような組成とされていることが必要である。
このような組成とされていることにより、高凝集力であ
るとともに高接着力であり、また耐反発性にすぐれた接
着剤組成物の調製が可能となる。このためにも、上記共
重合可能なモノエチレン性不飽和単量体は(メタ)アク
リル酸アルキルエステルに対して少量に抑えられている
のがよく、一般には主単量体中上記共重合可能な不飽和
単量体が通常10重量%以下であるのがよい。
なお、コポリマー(共重合体)のガラス転移点は、周
知のように、たとえば、各単量体のホモポリマー(単独
重合体)のガラス転移点を用いて、下記の式により算出
することができる。
Tg :コポリマーのガラス転移点 Tga:aモノマーのホモポリマーのガラス転移点 Tgb:bモノマーのホモポリマーのガラス転移点 Wa :aモノマーの重量分率 Wb :bモノマーの重量分率 このような主単量体と併用される前記の架橋性単量体
は、ポリマー粒子を適当な架橋構造を有するものとする
ために必要不可欠な成分であり、この単量体のうち前記
多価エステルの具体例としては、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレ
ートなどのジエステル以上通常テトラエステルまでの多
価エステル(その分子量は通常1,000以下)が挙げられ
る。架橋性単量体としては、これらの多価エステルおよ
びジビニルベンゼンの中からその一種または二種以上が
用いられる。
主単量体と架橋性単量体との使用割合としては、主単
量体が90〜99.9重量%、架橋性単量体が10〜0.1重量%
の範囲で、その種類および所望する凝集力に応じて適宜
決められる。架橋性単量体の使用量が少なすぎると凝集
力を所望範囲に設定できず、また逆に多くなりすぎると
凝集力が高すぎて接着力や耐反発性の面で難点が生じた
り、重合安定性が損なわれるおそれがある。
この発明では、上記架橋性単量体の使用によつてポリ
マー粒子を架橋構造化することにより、凝集力の向上に
寄与させるものであるが、上記架橋構造化の目安として
は、ポリマー粒子のゲル分率が10〜70重量%、好適には
15〜60重量%程度となるようにするのが望ましい。この
ようなゲル分率の設定は、主として上記架橋性単量体の
使用量を調節することによつて容易に行えるものであ
る。
この発明においては、このような主単量体と架橋性単
量体とからなる単量体混合物を、水溶性の重合開始剤が
溶解された水中に、乳化剤と一緒に添加し重合させるこ
とにより、平均粒子径が0.05〜0.3μmの範囲にある相
対的に小粒径の粒子5〜40重量%と平均粒子径が0.3μ
mを超え1.0μm以下の範囲にある相対的に大粒径の粒
子95〜60重量%とからなるポリマー粒子を生成する。
このようなポリマー粒子を生成させるようにすると、
相対的に大粒径の粒子が小粒径の粒子よりもより多く存
在するため、水分散液の粘度が増大する心配がなく、ポ
リマー粒子全体の水中濃度を50〜70重量%という高濃度
にしても実用上問題のない低粘度にすることができ、ま
た低チクソトロピー性を有するものとすることができ
る。しかも、これをテープ化などする際に、大粒径の粒
子の間隙に小粒径の粒子が入り込んだような構造をとる
ことから、均一な塗膜を形成することができ、その結果
従来のような感想温度を上げたり造膜助剤を添加しなく
ても、経日的な接着特性の変化のない安定した接着特性
を発揮させることができる。
また、上記均一な塗膜性によつて、接着力や耐反発性
とともに凝集力の面でも良好な結果が得られ、そのうえ
ポリマー粒子が前記架橋性単量体の使用によつて適度な
ゲル分率を有する架橋構造化されたものであることによ
り、外部架橋剤をあえて加えなくても充分に満足できる
凝集力が得られるのであり、その際に接着力や耐反発性
の低下がみられないという格段にすぐれた作用効果が奏
し得られるものである。
これに対し、ポリマー粒子の粒径分布が前記範囲外と
なると、架橋性単量体の使用の有無にかかわらず、上述
の如き作用効果を得にくくなる。すなわち、相対的に小
粒径の粒子が0.05μm未満の平均粒子径となつたり、そ
の量が40重量%を超えてしまうと、また相対的に大粒径
の粒子が0.3μm以下の平均粒子径となると、水分散液
の粘度が増大し、高ポリマー濃度とすることが難しくな
る。また、相対的に小粒径の粒子が0.3μmを超える平
均粒子径となつたり、その量が5重量%未満となつてし
まうと、また相対的に大粒径の粒子が1.0μmを超える
平均粒子径となつてしまうと、テープ化などしたときの
造膜性が悪くなり、接着特性の経日変化が大きくなり、
凝集力などの改善の面でも好結果を得にくくなる。
この発明において、生成ポリマー粒子の粒径分布を前
記の如くするには、水溶性の重合開始剤が溶解された水
中に、上記開始剤に基づくラジカルが充分に発生された
状態下で、単量体混合物と乳化剤とを少量づつ連続的に
添加してしき、初期の重合で水相中に分散生成したポリ
マー粒子が成長して大きくなる段階と、重合の途中から
新たなポリマー粒子が生成しこれがやはり成長して大き
くなる段階とが生じるように重合進行させて、上記前段
で相対的に大粒径の粒子が、上記後段で相対的に小粒径
の粒子が、生成するように制御して行えばよい。
このような重合制御を行うには、水溶性の重合開始剤
の量と重合温度(水の温度)とをうまく設定して上記開
始剤からのラジカルの発生量を充分なものとするととも
に、単量体混合物の添加速度を調整することにより、添
加される単量体混合物の重合が速やかにおこり、これが
水中に未反応状態で残留することのないように調節する
ことが必要である。また、単量体混合物と一緒に添加さ
れる乳化剤の量も重要であり、重合の途中、つまり単量
体混合物の少なくとも60重量%が添加されたのちに水相
にミセルが生じるように、乳化剤の添加量を決めるべき
である。
上記乳化剤の作用につき付言すれば、単量体混合物を
添加し始める重合の初期においては、生成ポリマーが粒
子として水相に現われ、その後添加される単量体混合物
は上記ポリマー粒子の成長に費やされ、この間に添加さ
れる乳化剤は成長していくポリマー粒子の表面に吸着さ
れ、この粒子を安定化するとともに新たなポリマー粒子
の発生を阻止するべく作用する。
かくして単量体混合物の少なくとも60重量%が添加さ
れた段階となると、ポリマー粒子の粒径が大きくなる結
果、粒子表面積の増加がゆるやかとなり、このため一定
量添加されている乳化剤はその一部が上記粒子の表面に
吸着されずに水相に残存し、ミセルが形成される。この
ミセルの形成により、その後添加される単量体混合物は
可溶化され、ミセルが重合の場となつて新たなポリマー
粒子が生成してくる。したがつて、引き続き添加される
単量体混合物は初期のポリマー粒子と上記新たなポリマ
ー粒子の成長に費やされ、同時に添加される乳化剤はこ
れら粒子の表面に吸着されて粒子の安定化に寄与するの
である。
このような重合反応を行わせるための水溶性の重合開
始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、
過酸化水素などの一般の乳化重合に使用されているもの
がいずれも用いられるが、このうち特に好適なものは過
硫酸塩である。この過硫酸塩はそのイオン性末端基がポ
リマー粒子の安定化に寄与するため、より安定な乳化重
合を可能とする。このような重合開始剤の使用量として
は、重合温度とも関連するが、一般には単量体混合物10
0重量部に対して0.1〜1重量部、好適には0.2〜0.6重量
部となるような割合とすればよい。重合温度は、上記開
始剤からのラジカルの発生が速やかに起こるような条件
であればよく、通常は60〜90℃、好適には65〜80℃であ
る。還元剤を併用したレドツクス系にあつてはこれより
さらに低い温度としてもよい。
また、上記の重合開始剤が溶解された水中に単量体混
合物とともに少量づつ添加する乳化剤としては、アニオ
ン系,ノニオン系のいずれであつてもよく、これらは従
来公知のものが広く適用可能である。得られる水分散型
感圧性接着剤組成物の接着特性を阻害せず、かつポリマ
ー粒子の安定化やミセルの形成に特に有効なものとし
て、アニオン系乳化剤を用いるのが好適である。これら
乳化剤の使用量としては、単量体混合物100重量部に対
して通常0.05〜1重量部、好適には0.1〜0.5重量部であ
る。もちろん、乳化剤の乳化能力に応じて上記使用量を
決定する必要があり、過少でもまた過多となつても前記
粒径分布を有するポリマー粒子を生成しにくく、また過
多となると接着特性、特に耐水性に問題が生じるため、
好ましくない。
なお、この乳化剤は単量体混合物と一緒に添加される
が、その際単量体混合物に溶解させて添加してもよい
し、単独で添加してもよい。特に好適には少量の水を用
いてこれに単量体混合物と乳化剤とを均一に乳化させた
乳化物として添加するのがよく、これによれば重合系へ
の添加が均一となり、重合系の安定化に好結果が得られ
る。
このようにして得られる平均粒子径が0.05〜0.3μ
m、特に好適には0.1〜0.2μmの範囲にある相対的に小
粒径の粒子5〜40重量%、好適には10〜30重量%と、平
均粒子が0.3μmを超え1.0μm以下、特に好適には0.4
〜0.8μmの範囲にある相対的に大粒径の粒子95〜60重
量%、好適には90〜70重量%とからなるポリマー粒子を
含む水分散液は、上記ポリマー粒子のゲル分率が通常10
〜70重量%程度のものであつて、このポリマー粒子の濃
度、つまり固型分濃度を、既述のとおり、50〜70重量%
の範囲に設定できるものであり、かかる高濃度であつて
もその粘度が低く、また低チクソトロピー性であり、テ
ープ化などする際の造膜性にすぐれており、しかも接着
力、凝集力および耐反発性のいずれの特性をも高度に満
足し、さらにこれら接着特性の経日変化が少なく安定し
た接着特性を発現できるという特徴を有している。
したがつて、この発明においては、上記の方法にて得
られる水分散液をそのまま水分散型感圧性接着剤組成物
として使用に供することができるものであるが、この組
成物には必要に応じて着色剤、充てん剤、老化防止剤、
粘着付与剤などの従来公知の添加剤を適宜配合してもよ
く、その配合量は通常の量でよい。また、上記組成物は
これ単独で高接着力でかつ良好な凝集力を発揮するが、
この凝集力をさらに増大したいと望むらなこの発明の特
徴を損なわない範囲内で従来公知の各種外部架橋剤を配
合することができる。
これら添加剤や外部架橋剤を配合する際、前記水分散
液が低チクソトロピー性であることにより、均一混合が
容易であるという利点が得られ、また上記水分散液の良
好な造膜性によつて添加剤などの機能をさらにより良く
発現させうるという利点も得られる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明においては、特定の架橋性単
量体を少量含むアクリル系単量体混合物と乳化剤とを用
いて、相対的に小粒径の粒子とこれより大粒径の粒子と
が特定比率で混在するような適度に架橋構造化されたポ
リマー粒子を生成させるようにしたことにより、上記ポ
リマー粒子の濃度を高くしても低粘度であり、かつテー
プ化などする際の造膜性にすぐれ、接着力、凝集力およ
び耐反発性を高度に満足してかつこれら接着特性の経日
的変化のない安定した接着特性を発現させうるアクリル
系の水分散型感圧性接着剤組成物を提供することができ
る。またこの組成物においてはこれに各種添加剤や外部
架橋剤を容易に均一混合できることなどから、これら添
加剤などの機能をより良く発現させるうるという利点も
得られる。したがつて、この発明の水分散型感圧性接着
剤組成物は、一般の感圧性接着テープ,シート,ラベル
類などの用途や、その他耐反発性が特に要求される用途
などに対して非常に有利に応用することができる。
〔実施例〕
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説
明する。なお、以下において部とあるは重量部を、%と
あるは重量%を、それぞれ意味する。また、接着力、凝
集力、耐反発性およびゲル分率は、下記の方法にて測定
したものであり、粘度はB型回転粘度計(回転数20r.p.
m)にて測定した値である。
<接着力> 25μm厚のポリエステルフイルムの両面に感圧性接着
剤組成物を乾燥後の厚みが片面50μmとなるように塗布
し、100℃で3分間乾燥して両面接着テープをつくり、
このテープを試験片として、JIS−1528により180度引き
剥がし接着力(g/20mm幅)を測定した。
<凝集力> 接着力試験と同様の両面接着テープをつくり、これを
2枚のベークライト板に25mm×25mmの接着面積で貼り合
わせ、40℃および80℃で1kgの荷重をかけてベークライ
ト板が落下するまでの時間(分)を測定した。
<耐反発性> 0.3mm厚のアルミニウム板の片面に感圧性接着剤組成
物を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、100℃
で3分間乾燥したのち、10mm×80mmの大きさに切断して
試験片をつくり、この試験片を直径50mmのアルミニウム
製円柱に屈曲して貼りつけ、その後40℃で24時間放置し
たときに、試験片が円柱から浮き上がつた距離(mm)を
測定した。
<ゲル分率> 25μm厚のポリエステルフイルムの片面に感圧性接着
剤組成物を乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、
100℃で3分間乾燥したのち、50mm×50mmの大きさに切
断して試験片をつくり、この試験片を加熱アセトン中に
24時間浸漬して、下記の方法にてゲル分率を求めた。
At;試験片の浸漬後の乾燥重量 Ao;試験片の浸漬前の重量 P ;試験片を構成するポリエステルフイルムの重量 実施例1 温度計,攪拌器,窒素導入管および還流冷却管を備え
た500mlの反応器内に、過硫酸カリウム0.5部を溶解して
なる蒸留水70部を投入し、窒素気流下で80℃に加温した
のち、アクリル酸n−ブチル40部とアクリル酸2−エチ
ルヘキシル60部とからなる主単量体(コポリマーのガラ
ス転移点205゜K)に架橋性単量体としてトリエチレング
リコールジメタクリレート2部を加えてなる単量体混合
物、ラウリル硫酸ナトリウム0.36部および水20部を混合
し、超音波にて均一に乳化させてなる乳化物を、3時間
かけて連続的に添加して重合反応を行い、添加終了後80
℃で2時間保持することにより、ポリマー粒子の濃度が
53%の水分散液を得た。
この水分散液の凝集物は0.06%であり、これを取り除
いたのちの水分散液をこの発明の水分散型感圧性接着剤
組成物とした。なお、この組成物のポリマー粒子の粒径
分布をサブミクロン粒子アナライザーN4SD型(コールタ
ーエレクトロニツクInc.)にて測定したところ、平均粒
子径が0.58μmの大粒径の粒子と平均粒子径が0.21μm
の小粒径の粒子とが混在していることが認められた。ま
た遠心分離機で上記両粒子を分離してその重量比を測定
したところ、上記の大粒径の粒子が81%、上記の小粒径
の粒子が19%であつた。
比較例1 架橋性単量体としてのトリエチレングリコールジメタ
クリレート2部を用いなかつた以外は、実施例1と同様
にしてポリマー粒子の濃度が53%の水分散液を得た。こ
の水分散液の凝集物は0.07%であり、これを取り除いた
のちの水分散液を比較用の水分散型感圧性接着剤組成物
とした。なお、この組成物のポリマー粒子の粒径分布を
実施例1と同様にして測定したところ、平均粒子径が0.
60μmの粒子80%と平均粒子径が0.20μmの粒子20%と
からなるものであることが認められた。
比較例2 実施例1と同様の反応器内に、過硫酸カリウム0.5部
を溶解してなる蒸留水90部を投入し、窒素気流下で80℃
に加温したのち、実施例1と同様の単量体混合物102部
を、3時間かけて連続的に添加して重合反応を行い、添
加終了後80℃で2時間保持することにより、ポリマー粒
子の濃度が53%の水分散液を得た。
この水分散液の凝集物は3.5%であり、これを取り除
いたのちの水分散液を比較用の水分散型感圧性接着剤組
成物とした。なお、この組成物のポリマー粒子の粒径分
布を実施例1と同様にして測定したところ、平均粒子径
が0.36μmの単一の粒径を有するポリマー粒子からなる
ものであることが認められた。
実施例2 実施例1と同様の反応器内に、過硫酸カリウム0.5部
を溶解してなる蒸留水50部を投入し、窒素気流下で80℃
に加温したのち、実施例1と同様の単量体混合物102
部、ラリウル硫酸ナトリウム0.36部および水40部を混合
し、超音波にて均一に乳化させてなる乳化物を、3時間
かけて連続的に添加して重合反応を行い、添加終了後80
℃で2時間保持することにより、ポリマー粒子の濃度が
53%の水分散液を得た。
この水分散液の凝集物は0.06%であり、これを取り除
いたのちの水分散液をこの発明の水分散型感圧性接着剤
組成物とした。なお、この組成物のポリマー粒子の粒径
分布を実施例1と同様にして調べたところ、平均粒子径
が0.55μmの粒子74%と平均粒子径が0.23μmの粒子26
%とからなるものであることが認められた。
実施例3 実施例1と同様の反応器内に、過硫酸アンモニウム0.
3部を溶解してなる蒸留水50部を投入し、窒素気流下で8
0℃に加温したのち、アクリル酸n−ブチル90部とアク
リル酸エチル10部とアクリル酸1部とからなる主単量体
(コポリマーのガラス転移点222゜K)に架橋性単量体と
してジビニルベンゼン1.8部を加えてなる単量体混合
物、ラウリル硫酸ナトリウム0.36部および水50部を混合
し、超音波にて均一に乳化させてなる乳化物を、5時間
かけて連続的に添加して重合反応を行い、添加終了後80
℃で2時間保持することにより、ポリマー粒子の濃度が
51%の水分散液を得た。
この水分散液の凝集物は0.08%であり、これを取り除
いたのちの水分散液をこの発明の水分散型感圧性接着剤
組成物とした。なお、この組成物のポリマー粒子の粒径
分布を実施例1と同様にして調べたところ、平均粒子径
が0.75μmの粒子71%と平均粒子径が0.25μmの粒子29
%とからなるものであることが認められた。
以上の実施例1〜3および比較例1,2の各組成物につ
き、その粘度(25℃)、ゲル分率、接着力、凝集力およ
び耐反発性を調べた。また、接着特性の経日変化とし
て、接着力および耐反発性試験における試験片の作製後
(つまり接着剤層の形成後)、70℃に8日間保存し、こ
の保存後に接着力および耐反発性を調べた。これらの結
果は、下記の表に示されるとおりであつた。
上記表の結果から明らかなように、この発明の水分散
型感圧性接着剤組成物は、低粘度であつて、かつ接着
力、凝集力および耐反発性を充分満足し、またこれら接
着特性の経日変化がほとんどみられず安定した接着特性
を発揮するものであることが判る。これに対し、比較例
1の組成物では凝集力や耐反発性に劣り、また比較例2
の組成物では上記両特性が多少改良されているものの充
分とはいえず、しかも粘度が比較的高く、また経日的に
接着特性が変化してくることから、これを防ぐためには
テープ化などしたのち高温下でエージング処理するなど
の面倒な工程が必要となるものであることが推察され
る。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性の重合開始剤が溶解された水中に、
    アルキル基の炭素数が1〜14個の(メタ)アクリル酸ア
    ルキルエステル単独またはこのエステルとこれと共重合
    可能なモノエチレン性不飽和単量体とからなるそのホモ
    ポリマーまたはコポリマーが感圧接着性を示すガラス転
    移点が250゜K以下となりうる主単量体90〜99.9重量%
    と、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との多価エス
    テルおよびジビニルベンゼンの中から選択された少なく
    とも1種の架橋性単量体10〜0.1重量%とからなる単量
    体混合物を、乳化剤と一緒に添加し重合させることによ
    り、平均粒子径が0.05〜0.3μmの粒子5〜40重量%と
    平均粒子径が0.3μmを超え1.0μm以下の粒子95〜60重
    量%とからなるポリマー粒子を生成することを特徴とす
    る水分散型感圧性接着剤組成物の製造法。
  2. 【請求項2】水溶性の重合開始剤が過硫酸塩である特許
    請求の範囲第(1)項記載の水分散型感圧性接着剤組成
    物の製造法。
  3. 【請求項3】水溶性の重合開始剤が単量体混合物100重
    量部に対して0.1〜1重量部である特許請求の範囲第
    (1)項または第(2)項記載の水分散型感圧性接着剤
    組成物の製造法。
  4. 【請求項4】乳化剤がアニオン系乳化剤である特許請求
    の範囲第(1)〜(3)項のいずれかに記載の水分散型
    感圧性接着剤組成物の製造法。
  5. 【請求項5】乳化剤が単量体混合物100重量部に対して
    0.05〜1重量部である特許請求の範囲第(1)〜(4)
    項のいずれかに記載の水分散型感圧性接着剤組成物の製
    造法。
  6. 【請求項6】単量体混合物と乳化剤とを水に乳化させた
    乳化物として添加してなる特許請求の範囲第(1)〜
    (5)項のいずれかに記載の水分散型感圧性接着剤組成
    物の製造法。
  7. 【請求項7】重合温度が60〜90℃である特許請求の範囲
    第(1)〜(6)項のいずれかに記載の水分散型感圧性
    接着剤組成物の製造法。
  8. 【請求項8】ポリマー粒子の水中濃度が50〜70重量%で
    ある特許請求の範囲第(1)〜(7)項のいずれかに記
    載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造法。
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