JP2610616B2 - 水分散型感圧性接着剤組成物 - Google Patents

水分散型感圧性接着剤組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はアクリル系の水分散型感圧性接着剤組成物
に関する。
〔従来の技術〕
近年、アクリル系感圧性接着剤は、そのすぐれた接着
特性ないし耐久性から、従来の天然ゴム系,合成ゴム系
の感圧性接着剤に代わつて広く普及してきた。また、こ
の種の接着剤の中でも、最近では有機溶剤を使用しない
水分散型のものが省資源,環境衛生などの観点から研究
開発されている。
このような水分散型の接着剤は一般に乳化重合法によ
り調製されている。そなわち、(メタ)アクリル酸アル
キルエステルを必要に応じてアクリル酸、スチレン、酢
酸ビニルなどの改質用単量体とともに水媒体中で乳化重
合させることにより調製されており、この方法で得られ
る室温で粘着性を有するアクリル系ポリマーは、溶液重
合で得られるポリマーに較べて比較的大きな分子量を有
するものとなるため、感圧性接着剤として比較的高い凝
集力が得られることが知られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかるに、上記従来のアクリル系の水分散型接着剤
は、これを高度の凝集力が望まれる用途に適用する場合
にはなお満足できるものとはいえず、また接着箇所が比
較的高温度下におかれるときには、凝集力が著しく低下
し、ほとんど使用に供しえなかつた。そこで、この種の
接着剤の凝集力をさらに向上させるために、乳化重合後
の重合体エマルジョンに有機溶剤タイプにおけるのと同
様の外部架橋剤、たとえばメラミン化合物、エポキシ化
合物、金属塩などを配合する試みがなされてきた。
ところが、このような改良手段では、架橋剤の種類な
いし使用量の選択に煩わしさがあり、また架橋のための
熱エネルギーも無視できないなど生産性の面での問題が
あるうえに、一般に架橋が不均一となつて架橋の程度に
較べて凝集力がそれほど大きくならず、また仮に凝集力
を大きくできたとしてもこれに伴つて接着力の低下がみ
られ、結局接着力でかつ高凝集力を有するような感圧性
接着剤組成物を得ることは難しかつた。
その上、この種の水分散型接着剤は、これを支持体上
に塗布乾燥して接着テープなどを作製する場合、造膜性
が悪くて均一な接着塗膜を形成しにくいという難点があ
り、これが接着特性、特に凝集力の低下を引きおこす一
因となつていた。このため乾燥温度を上げたり造膜助剤
を添加するなどして造膜性の改善を図る試みがなされて
いるが、この場合熱エネルギーの問題や造膜助剤が残存
することによる接着特性への悪影響という問題をさけら
れなかつた。
また、造膜性の改善のために、水分散型接着剤中のポ
リマー粒子の粒子径を小さくするという試みもなされて
いるが、この場合接着剤の粘度が非常に高くなり、着色
剤や粘着付与剤などの各種添加剤を配合する際の混合作
業性や塗布時の作業性を損なつたり、またそのためにポ
リマー粒子の水中濃度、つまり固型分濃度を低くしなけ
ればならないため塗布後の乾燥に長時間を要してやはり
作業性を損なう結果となつていた。
したがつて、この発明は、乾燥時間の短縮に寄与する
高固型分濃度としても実用上問題のない低粘度に維持で
きるとともに、これをテープ化などする際に乾燥温度を
上げたり造膜助剤を添加しなくても良好な造膜性を得る
ことができ、かつ接着力とともに凝集力を高度に満足す
るアクリル系の水分散型感圧性接着剤組成物を提供する
ことを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕 この発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検
討した結果、エチレン性不飽和カルボン酸を一部成分と
して含むアクリル系単量体混合物の共重合体からなる相
対的に大きな粒子径を有するポリマー粒子を含む水分散
液に、上記粒子よりも小さな粒子径とされた特定のガラ
ス転移点のポリマー粒子を含む水分散液を特定量混合さ
せるようにしたときには、全ポリマー粒子の水中濃度、
つまり固型分濃度を高くしても低粘度の水分散型感圧性
接着剤組成物が得られ、かつこれをテープ化などする際
に乾燥温度を特別に高くしたり造膜助剤を添加するなど
の補助的手段を加えなくても良好な造膜性が得られて、
接着力とともに凝集力を高度に満足するすぐれた接着特
性が発現されるものであることを知り、この発明を完成
するに至つた。すなわち、この発明は、 a)アルキル基の炭素数が1〜14個の(メタ)アクリル
酸アルキルエステルを主成分とする主単量体90〜99.5重
量%とエチレン性不飽和カルボン酸10〜0.5重量%との
ガラス転移点が250゜K以下の共重合体からなり、かつそ
の平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にあるポリマー粒子
を含む水分散液と、 b)ガラス転移点が310゜K以下のポリマーからなり、か
つその平均粒子径が0.01μm以上で0.3μm未満の範囲
にあるポリマー粒子を含む水分散液 とを、上記a成分ポリマー粒子と上記b成分のポリマー
粒子との合計量中、上記a成分のポリマー粒子が60〜95
重量%、上記b成分のポリマー粒子が40〜5重量%とな
る割合で混合してなり、かつa成分のポリマー粒子とb
成分のポリマー粒子との合計の水中濃度が50〜70重量%
であることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物に
係るものである。
このようにして、この発明においては、感圧接着性を
示すガラス転移点が250゜K以下の特定のアクリル系共重
合体にて構成されたその平均粒子径が0.3〜1.0μmの範
囲にある相対的に大粒径のポリマー粒子を含む水分散液
に対して、ガラス転移点が310゜K以下のポリマーからな
るその平均粒子径が0.01μm以上で0.3μm未満の範囲
にある相対的に小粒径のポリマー粒子を含む水分散液
を、両分散液のポリマー粒子の合計量中、アクリル系共
重合体からなる大粒径のポリマー粒子が60〜95重量%、
小粒径のポリマー粒子が40〜5重量%となるように、つ
まり前者の大粒径のポリマー粒子が多めとなるように混
合したことを特徴とするものである。
かかる混合径においては、上記相対的に大粒径のアク
リル系ポリマー粒子が小粒径のポリマー粒子よりも多く
存在するため、水分散液全体の粘度が増大する心配がな
く、ポリマー粒子全体の水中濃度を50〜70重量%という
高濃度にしても実用上問題のない低粘度にすることがで
き、また低チクソトロピー性を有するものとすることが
できる。しかも、これをテープ化などする際に、大粒径
のアクリル系ポリマー粒子の間隙に小粒径のポリマー粒
子が入り込んだような構造を取り、その上小粒径のポリ
マー粒子はそのガラス転移点が310゜K以下に抑えられて
いるため、造膜性が非常に良くなり、前記従来のように
乾燥温度を上げたり造膜助剤を添加しなくても、均一な
接着塗膜を形成することができ、造膜性不良に起因した
接着特性への悪影響が回避されることになる。
しかも、この造膜性の改善効果とともに、大粒径のポ
リマー粒子を構成するアクリル系共重合体がエチレン性
不飽和カルボン酸の使用によつて適度に架橋された構造
を有していることから、またこれに混合される小粒径の
ポリマー粒子がガラス転移点310゜K以下のポリマーで構
成されてかつその使用量が少なめに設定されていること
により、接着力の低下をきたすことなく凝集力が大幅に
改善されたものとなり、高接着力で高凝集力というすぐ
れた接着特性が発現されるものである。
なお、この明細書において、(メタ)アクリル酸とあ
るはアクリル酸および/またはメタクリル酸を、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルとあるはアクリル酸ア
ルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエ
ステルを、(メタ)アクリレートとあるはアクリレート
および/またはメタクリレートを、それぞれ意味する。
〔発明の構成・作用〕
この発明におけるa成分の水分散液を得るために用い
られる単量体混合物は、アルキル基の炭素数が1〜14個
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル主成分とする主
単量体と、エチレン性不飽和カルボン酸とからなるもの
である。
主単量体としての(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルとしては、接着特性の観点から、アルキル基の炭素数
が1〜14個のものが用いられ、特に好適な例としては、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−
エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸イ
ンデシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸ラウリルなどが挙げられる。また、主単量
体としては、上記のエステルのほかこれと共重合可能な
不飽和単量体として、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、酢酸ビニル、スチレンまたはその誘導体など
を、主単量体中25重量%以下の割合で使用することがで
きる。
上記の主単量体と併用されるエチレン性不飽和カルボ
ン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、マレイン酸などが用いられる。このカルボン酸は接
着力の向上に寄与するだけでなく、ポリマー粒子中で架
橋結合の形成に関与して凝集力を高める役割を有してい
る。このようなカルボン酸として特に好適なものはアク
リル酸である。
主単量体とエチレン性不飽和カルボン酸との使用割合
としては、主単量体が90〜99.5重量%、エチレン性不飽
和カルボン酸が10〜0.5重量%となるような割合とすべ
きである。後者のカルボン酸が0.5重量%に満たないと
きは接着力や凝集力が低下し、また10重量%を超えてし
まうと重合安定性が損なわれて重合中に凝集物が多く生
成するため、不適当である。
このような主単量体とエチレン性不飽和カルボン酸と
からなる単量体混合物は、いうまでもなく、そのコポリ
マーが感圧接着性を示すようにガラス転移点が250゜K以
下となるような組成とされる。このような組成とされる
ことにより、高凝集力であるとともに高接着力である感
圧性接着剤組成物の調製が可能となる。
この発明においては、このような主単量体とエチレン
性不飽和カルボン酸とからなる単量体混合物を用いて、
ガラス転移点が250゜K以下の共重合体からなるその平均
粒子径が0.3〜1.0μm、好適には0.4〜0.8μmの範囲に
ある相対的に大粒径のポリマー粒子を含むa成分として
の水分散液を調製する。この水分散液のポリマー粒子の
水中濃度としては、一般に50〜70重量%程度である。
この水分散液の調製方法は特に限定されず、従来の公
知の乳化重合法を種々採用できるものであるが、生成ポ
リマー粒子の粒子径が上述の範囲内となるように、たと
えば用いる乳化剤の量を少なくするかあるいはシード重
合法などを適用することが望ましい。生成ポリマー粒子
の平均粒子径が0.3μm未満となると水分散液の粘度が
高くなり、また1.0μmを超えると造膜性が悪くなつて
均一な接着塗膜を形成しにくくなるため、いずれも不適
当である。
この発明において上記a成分の水分散液に混合するb
成分の水分散液は、ガラス転移点が310゜K以下、好適に
は273゜K以下のポリマーからなるその平均粒子径が0.01
μm以上で0.3μm未満、好適には0.02〜0.2μmの範囲
にある相対的に小粒径のポリマー粒子を含む水分散液で
あり、上記ポリマー粒子の水中濃度としては通常30〜55
重量%程度である。
このb成分のポリマー粒子を構成させるポリマーは、
そのガラス転移点が310゜K以下であれば特に限定され
ず、前記a成分に類似するアクリル系ポリマーであつて
も、またこれ以外のポリマーであつてもよい。具体的に
は、アクリル際メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸
n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
ラウリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル
や、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの単量体のホ
モポリマーまたはコポリマーなどが挙げられる。また、
アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸、メタクリル
酸メチルなどのそのホモポリマーの転移点が310゜Kを超
える単量体であつても、これと上述したような単量体と
の共重合体であつてもそのガラス転移点310゜K以下とな
るものであればよい。さらに、ポリウレタンやスチレン
−ブタジエン共重合体などのガラス転移点が310゜K以下
となる種々のポリマーを適用できる。
なお、上記ポリマーのガラス転移点310゜Kを超えてし
まうと、造膜性改善効果が低くなり、また感圧性接着剤
組成物としての接着特性、特に接着力の低下をきたすお
それがあるため、この発明には適用できない。
このようなb成分の水分散液の調製方法はa成分の場
合と同様に特に限定されず、従来公知の乳化重合法を種
々採用できるものであるが、生成ポリマー粒子の粒子径
が上述の範囲内となるように、たとえば用いる乳化剤の
量を多くするかるいは転相乳化法などを適用するのが望
ましい。生成ポリマー粒子の平均粒子径が0.01μm未満
となると水分散液の粘度が高くなり、また0.3μm以上
となると造膜性が悪くなつて均一な接着塗膜を形成しに
くくなるため、いずれも不適当である。
この発明においては、上記a成分の水分散液と上記b
成分の水分散液とを、上記a成分の相対的に大粒径のポ
リマー粒子と上記b成分の相対的に小粒径のポリマー粒
子との合計量中、上記大粒径のポリマー粒子が60〜95重
量%、好適には70〜90重量%、上記小粒径のポリマー粒
子が40〜5重量%、好適には30〜10重量%となるような
混合比率で混合する。上記小粒径のポリマー粒子が40重
量%を超えてしまうと水分散液の粘度が高くなるととも
に、このポリマー粒子のポリマーの種類によつてはアク
リル系接着剤としての特徴が損なわれてしまうおそれが
あり、また5重量%未満となると造膜性が悪くなつて均
一な接着塗膜を形成しにくくなるため、いずれも不適当
である。
このようにして得られる混合水分散液は、ポリマー粒
子全体の水中濃度、つまり固型分濃度を50〜70重量%の
範囲に設定でき、かかる高濃度であつてもその粘度が低
く、また低チクソトロピー性であり、しかもテープ化な
どする際の造膜性にすぐれて、高接着力で高凝集力とい
うすぐれた接着特性を発揮する。
したがつて、この発明においては、上記の方法にて得
られる水分散液をそのまま水分散型感圧性接着剤組成物
として使用に供することができるものであるが、この組
成物には必要に応じて着色剤、充てん剤、老化防止剤、
粘着付与剤などの従来公知の添加剤を適宜配合してもよ
く、その配合量は通常の量でよい。また、上記組成物は
これ単独で高接着力でかつ良好な凝集力を発揮するが、
この凝集力をさらに増大したいと望むなら従来公知の各
種外部架橋剤を配合することができる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明においては、エチレン性不飽
和カルボン酸を一部分として含むアクリル系単量体混合
物の共重合体にて構成された相対的に大きな粒子径を有
するポリマー粒子を含む水分散液に、上記粒子よりも小
さな粒子径とされた特定ガラス転移点のポリマー粒子を
含む水分散液を特定量混合させるようにしたことによ
り、ポリマー粒子全体の水中濃度を高くしても低粘度で
あり、かつテープ化などする際の造膜性にすぐれて、高
接着力で高凝集力というすぐれた接着特性を発揮させう
る水分散型感圧性接着剤組成物を提供することができ
る。したがつて、この発明の水分散型感圧性接着剤組成
物は、一般の感圧性接着テープ,シート,ラベル類など
の用途に非常に有用である。
〔実施例〕
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説
明する。なお、以下において部とあるは重量部を、%と
あるは重量%を、それぞれ意味する。また、接着力およ
び凝集力は、下記の方法にて測定したものであり、粘度
はB型回転粘度計(回転数20rpm)にて、またポリマー
粒子の平均粒子径はサブミクロン粒子やアナライザーN4
SD型(コールターエレクトロニツクInc.)にて、それぞ
れ測定した値である。
<接着力> 25μm厚のポリエステルフイルムの画面に感圧性接着
剤組成物を乾燥後の厚みが片面50μmとなるように塗布
し、100℃で3分間乾燥して両面接着テープをつくり、
このテープを試験片として、JIS Z−1528により180度引
き剥がし接着力(g/20mm幅)を測定した。
<凝集力> 接着力試験と同様の両面接着テープをつくり、これを
2枚のベークライト板に25mm×25mmの接着面積で貼り合
わせ、40℃よび80℃で1kgの荷重をかけてベークライト
板が落下するまでの時間(分)を測定した。
実施例1 温度計,撹拌器,窒素導入管および還流冷却管を備え
た反応器内に、水66部、過硫酸カリウム0.3部およびラ
ウリル硫酸ナトリウム0.2部からなる水溶液を投入した
のち、70℃に加温し、アクリル酸n−ブチル97%とアク
リル酸3%とからなる単量体混合物100部を4時間かけ
て均一に滴下し、滴下終了後80℃で2時間保持すること
により、ガラス転移点が222゜Kで平均粒子径が0.7μm
のポリマー粒子を60%含む水分散液A1を得た。
一方、上記同様の反応器内に、水100部、過硫酸カリ
ウム0.3部、メタクリル酸n−ヘキシル100部および乳化
剤としてのラウリル硫酸ナトリウム1部からなる重合原
料を投入し、重合温度75℃,重合時間8時間で反応させ
ることにより、ガラス転移点が268゜Kで平均粒子径が0.
2μmのポリマー粒子を50%含む水分散液B1を得た。
上記の水分散液A1と水分散液B1とを、前者対後者のポ
リマー粒子の重合比が70/30となるように、均一に混合
して、ポリマー粒子全体の水中濃度が57%で、粘度(25
℃)が70センチポイズの水分散液を調製し、これをこの
発明の水分散型感圧性接着剤組成物とした。
比較例1 実施例1の水分散液A1を比較用の水分散型感圧性接着
剤組成物とした。なお、この組成物の粘度(25℃)は60
センチポイズであつた。
比較例2 実施例1の水分散液B1の調製に際して乳化剤の使用量
を0.5部とし、かつ重合温度を70℃とする変更を加え
て、ポリメタクリル酸n−ヘキシルからなりポリマー粒
子の平均粒子径が0.7μmとなるようにした以外は実施
例1と同様にして水分散液Cを調製した。この水分散液
Cを水分散液B1に代えて使用した以外は、実施例1同様
にして比較用の水分散型感圧性接着剤組成物を得た。こ
の組成物の粘度(25℃)は55センチポイズであつた。
比較例3 実施例1の水分散液B1の調製法に準じて、ガラス転移
点が360゜Kのポリスチレンからなり、その平均粒子径が
0.2μmであるポリマー粒子を40%含む水分散液Dを調
製した。この水分散液Dを水分散液B1に代えて使用した
以外は、実施例1と同様に比較用の水分散型感圧性接着
剤組成物を得た。この組成物のポリマー粒子全体の水中
濃度は52%で、粘度(25℃)は50センチポイズであつ
た。
実施例2 実施例1の水分散液A1の調製法に準じて、アクリル酸
2−エチルヘキシル80%とアクリル酸エチル19%とアク
リル酸1%とのガラス転移点が200゜Kの共重合体からな
り、その平均粒子径が0.4μmであるポリマー粒子を60
%含む水分散液A2を調製した。
また、実施例1の水分散液B1の調製法に準じて、アク
リル酸2−エチルヘキシル70%とメタクリル酸メチル30
%とのガラス転移点が222゜Kの共重合体からなり、その
平均粒子径が0.1μmであるポリマー粒子を35%含む水
分散液B2を調製した。
上記の水分散液A2と水分散液B2とを、前者対後者のポ
リマー粒子の重量比が90/10となるように、均一に混合
して、ポリマー粒子全体の水中濃度が56%で、粘度(25
℃)が90センチポイズの水分散液を調製し、これをこの
発明の水分散型感圧性接着剤組成物とした。
実施例3 実施例1の水分散液A1の調製法に準じて、アクリル酸
n−ブチル90%とアクリロニトリル3%とアクリル酸7
%とのガラス転移点が230゜Kの共重合体からなりその平
均粒子径が0.5μmであるポリマー粒子を55%含む水分
散液A3を調製した。
また、実施例1の水分散液B1の調製法に準じて、アク
リル酸n−ブチル60%とメタクリル酸n−ブチル40%と
のガラス転移点が245゜Kの共重合体からなり、その平均
粒子径が0.16μmであるポリマー粒子を40%含む水分散
液B3を調製した。
上記の水分散液A3と水分散液B3とを、前者対後者のポ
リマー粒子の重量比が80/20となるように、均一に混合
して、ポリマー粒子全体の水中濃度が51%で、粘度(25
℃)が50センチポイズの水分散液を調製し、これをこの
発明の水分散型感圧性接着剤組成物とした。
以上の実施例1〜3および比較例1〜3の各組組成に
つき、接着力および凝集力を調べた結果は、下記の表に
示されるとおりであつた。なお、同表に併記した吸水率
は、接着力試験と同様にして作製した画面接着テープを
100mm×100mmの大きさに切断し、これを室温で10日間水
中に浸漬したときの重量増加率を示したものである。こ
の吸水率は、各組成物の造膜性の良否に左右されこの吸
水率が小さいほど造膜性にすぐれて均一な接着塗膜を形
成できるものであることを意味している。
上記表の結果から明らかなように、この発明の水分散
液の構成とすることにより、造膜性にすぐれて高接着力
で高凝集力というすぐれた接着特性を発揮させうる水分
散型感圧性接着剤組成物が得られるものであることが判
る。また、この組成物が高固型分濃度でありながら低粘
度であるということについては、各実施例の記載から明
らかである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)アルキル基の炭素数が1〜14個の(メ
    タ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする主単量
    体90〜99.5重量%とエチレン性不飽和カルボン酸10〜0.
    5重量%とのガラス転移点が250゜K以下の共重合体から
    なり、かつその平均粒子径が0.3〜1.0μmの範囲にある
    ポリマー粒子を含む水分散液と、 b)ガラス転移点が310゜K以下のポリマーからなり、か
    つその平均粒子径が0.01μm以上で0.3μm未満の範囲
    にあるポリマー粒子を含む水分散液 とを、上記a成分のポリマー粒子と上記b成分のポリマ
    ー粒子との合計量中、上記a成分のポリマー粒子が60〜
    94重量%、上記b成分のポリマー粒子が40〜5重量%と
    なる割合で混合してなり、かつa成分のポリマー粒子と
    b成分のポリマー粒子との合計の水中濃度が50〜70重量
    %であることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成
    物。
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