JPH10265753A - (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品 - Google Patents

(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用いた粘着製品

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JPH10265753A
JPH10265753A JP7513697A JP7513697A JPH10265753A JP H10265753 A JPH10265753 A JP H10265753A JP 7513697 A JP7513697 A JP 7513697A JP 7513697 A JP7513697 A JP 7513697A JP H10265753 A JPH10265753 A JP H10265753A
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JP
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emulsion
meth
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acrylic emulsion
type pressure
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JP7513697A
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Yasuhiro Doi
康広 土井
Yoshinobu Ishikawa
善信 石川
Toshitaka Sakuta
利隆 作田
Kenichi Shiba
健一 芝
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐水性、機械安定性に優れた粘着性能のバラ
ンスの良いエマルジョン型粘着剤組成物を提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル系エマルジョンと、こ
のエマルジョン中のポリマー成分に対して特定割合の炭
素数10〜22のカルボン酸のアンモニウム塩及び/又は低
級アミン塩とを含有してなる(メタ)アクリル系エマル
ジョン型粘着剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械安定性、耐水
性に優れたエマルジョン型粘着剤組成物及びこれを用い
て製造された粘着製品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境、労働環境の改善、資源
の有効利用の観点から、溶剤型粘着剤の代替として、水
系のエマルジョン型粘着剤への転換が検討されている。
しかしながら、エマルジョン型粘着剤の欠点として、耐
水性が溶剤系に比べ劣ることが指摘されている。これは
主に、エマルジョンの製造時に乳化剤として使用されて
いる界面活性剤の影響である。すなわち、エマルジョン
製造時に添加した界面活性剤は、粘着剤を塗工して形成
された被膜中にも存在するため、水分を被膜に引き寄せ
る作用をし、被膜の耐水性を低下させる。
【0003】そこでエマルジョン型粘着剤の耐水性を改
善する方法の一つとして、できるだけ乳化剤量を低減す
ることが好ましいが、乳化剤量を低減するとエマルジョ
ン製造時の搬送の際や、粘着剤の塗工の際などのエマル
ジョンに大きなシェアがかかる際に、凝集が起こるなど
機械安定性が悪化し、操作性が劣る問題が生じてくる。
これに粘着付与剤や増粘剤などを併用すると、更にエマ
ルジョンの機械安定性は悪化し、粘着剤の塗工すら困難
となる。
【0004】また、ポリマーエマルジョンから形成され
る被膜の耐水性を改善する方法として、乳化重合におい
てラジカル重合性の乳化分散剤を用いる方法は公知であ
る。例えば、特開平5−255411号、または特開平6−25
630 号では、ラジカル重合性の乳化剤を用いてアクリル
酸エステルの乳化重合を行い、粘着剤に応用することが
提案されている。しかしながら、これらの方法では、耐
水性の改善効果は認められるが、必ずしも満足できるも
のではなく、また機械安定性も不十分である。更にま
た、本発明者らは、先に炭素数が9〜14のアルキル基を
有する長鎖(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合
性の乳化剤を用いて重合しエマルジョン化することによ
り、耐水性を大きく改善できることを示した。このエマ
ルジョン型粘着剤は、ラジカル重合性の乳化剤を用いて
界面活性剤をポリマーに固定化させることにより、耐水
性を向上させたものである。しかし、このエマルジョン
型粘着剤は、耐水性は非常に良好となったが、高速でエ
マルジョン型粘着剤を塗工する様なエマルジョンの安定
性が更に必要な場合においては、機械安定性が十分では
なく、改良すべき点を残している。このように、耐水性
と機械安定性などを十分に両立する粘着性能のバランス
の良いエマルジョン型粘着剤の実現は困難であるのが現
状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のエマ
ルジョン型粘着剤の前記問題点を解決し、耐水性、機械
安定性に優れた粘着性能のバランスの良いエマルジョン
型粘着剤組成物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究を行った結果、(メタ)アク
リル酸系エマルジョンに対して、粘着製品を製造する際
の乾燥時に界面活性剤としての性質が失活する特定の界
面活性剤を、最適な範囲の量で使用することにより、エ
マルジョンの機械安定性が優れ、かつ耐水性に優れたエ
マルジョン型粘着剤を発明するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(メタ)アクリル系
エマルジョンと、当該エマルジョン中のポリマー成分 1
00重量部に対して 0.1〜5.0 重量部の炭素数10〜22のカ
ルボン酸のアンモニウム塩及び/又は低級アミン塩とを
含有してなることを特徴とする、エマルジョンの機械安
定性に優れ、かつ耐水性に優れた粘着性能のバランスの
良いエマルジョン型粘着剤組成物を提供するものであ
る。
【0008】エマルジョン型粘着剤は、一般的に乳化重
合等の方法によりポリマーエマルジョンを調製し、場合
によって粘着付与剤や増粘剤等を配合して製造される。
このエマルジョン型粘着剤を用いた粘着シートやテープ
等の粘着製品の製造は、エマルジョン型粘着剤をプラス
チック基材や紙基材等へコンマコーターやグラビアコー
ター等で直接塗工し乾燥するか、あるいは離型基材へ塗
工、乾燥した後、プラスチック基材や紙基材等とラミネ
ートすることにより転写する方法により行われる。エマ
ルジョン型粘着剤は、エマルジョン調製時の搬送や粘着
製品製造時の塗工などの操作性の点から機械安定性は非
常に重要で、機械安定性が悪い場合には粘着剤に大きな
シェアがかかる際に凝集物が発生するなどの問題を生じ
る。また粘着剤の耐水性も重要であり、粘着剤製品を水
まわりで使用する際などに、粘着シートやテープが剥離
しないことが必要となる。
【0009】本発明は、アクリル系エマルジョンに、ア
ンモニウムイオン及び/又は低級アミンを有する界面活
性剤を含有させることにより、エマルジョンを安定化し
機械安定性を向上させ、更に粘着製品調製時の塗工後の
乾燥の際に界面活性剤中のアンモニアもしくは低級アミ
ンを気化させることにより、界面活性能を失活させるこ
とで、塗工被膜の耐水性を保持させることを可能とし、
機械安定性と耐水性の両立の性質を兼ね備えたエマルジ
ョン型粘着剤を達成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係わるアクリル系エマル
ジョンは、一般的な乳化重合、懸濁重合等の方法で調製
することができ、限定されるものではない。従来より使
用されている2−エチルヘキシルアクリレートやブチル
アクリレートのような比較的短鎖のアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸エステルを重合して調製されたエマ
ルジョンにおいても、本発明の十分に効果を有するが、
より好ましくは、耐水性に有利なアルキル基の炭素数が
9〜14の長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルを用
いたエマルジョンを使用することが望ましい。アルキル
基の炭素数が9〜14の長鎖アルキル(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ノニ
ル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル
酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)ア
クリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、
(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸イ
ソトリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メ
タ)アクリル酸イソテトラデシル等があり、これらを単
独、併用、あるいは他の重合性単量体と併用してもかま
わない。これら長鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステ
ルと共重合できる単量体としては、例えば、アクリル酸
ブチル等の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル
類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン等の芳
香族ビニル類、アクリロニトリル等のニトリル類等が挙
げられるが、耐水性を保持させるためには長鎖アルキル
(メタ)アクリル酸エステルを全単量体のうち50重量%
以上用いることが望ましい。また、炭素数15以上のアル
キル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を共重合
することも可能であるが、これらを導入しすぎると粘着
力が低下するため、やはり炭素数が9〜14の長鎖アルキ
ル(メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含有する
ことが望ましい。
【0011】また、本発明の炭素数10〜22のカルボン酸
のアンモニウム塩もしくは低級アミン塩としては、例え
ば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチ
ン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸などの脂肪酸や、ロジン酸、アビエチン酸等の樹脂
酸、更にはナフテン酸等のアンモニウム塩、モノメチル
アミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、モ
ノエチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミ
ン塩などがあり、これらを単独で用いても、併用しても
構わない。低級アミンとは、炭素数1又は2のアルキル
基を1〜3基有するモノアルキルアミン、ジアルキルア
ミン、トリアルキルアミンである。特にこれらの中で
も、界面活性能が高く機械安定性を効率よく良好にする
ものとしては、炭素数12〜18の脂肪酸のアンモニウム塩
もしくは低級アミン塩が好ましく、更にはその中でもオ
レイン酸アンモニウム塩が最も好ましい。これらのカル
ボン酸のアンモニウム塩もしくは低級アミン塩を用いる
ことにより、上記エマルジョンの乳化安定性が増し、高
速塗工等に耐えうる良好な機械安定性を粘着剤に与え
る。これと同時に塗工した後の乾燥工程にて、アンモニ
アもしくは低級アミンが気化することにより、カルボン
酸に変化し、カルボン酸のアンモニウム塩もしくはカル
ボン酸の低級アミン塩の界面活性剤としての性質が失活
するため耐水性を保持できると考えられる。従って、乾
燥工程では、アンモニアもしくは低級アミンが気化する
温度(あるいは気圧、風量)が必要であり、用いるカル
ボン酸のアンモニウム塩もしくはカルボン酸の低級アミ
ンの種類によって異なるが、50℃以上、特に50〜120 ℃
の乾燥温度が好ましい。また、スルホン酸アンモニウム
塩のような、乾燥温度を上げてもアンモニアが脱離しに
くいものは、使用することができない。
【0012】また、炭素数が9以下のカルボン酸のアン
モニウム塩又は低級アミン塩は、界面活性能が低く、エ
マルジョンの安定性を得ることができない。更に炭素数
が23以上のカルボン酸のアンモニウム塩又は低級アミン
塩においては、界面活性能が不十分であることや、クラ
フト点が低いために操作性が劣ることなどから、使用は
困難である。更に乾燥後にできた炭素数23以上のカルボ
ン酸が相分離し結晶化するために、粘着層が白化し透明
性も失われ、また粘着剤が弾性的となるために粘着力の
低下、タック性の低下等の欠点を有する。
【0013】本発明のように、炭素数が10〜22のカルボ
ン酸のアンモニウム塩及び/又は低級アミン塩を、アル
キル基の炭素数が9〜14の長鎖(メタ)アクリル型エマ
ルジョンに用いた場合は、機械安定性が良好で、かつ塗
工した後の乾燥工程で生じるカルボン酸が、長鎖アルキ
ル(メタ)アクリル酸エステルポリマーと非常に良好な
相溶性を示すため、相分離、ブリード等も起きず粘着層
は透明で、かつ耐水性の良好な粘着剤を実現できる。ま
た、このカルボン酸はポリマーに対して可塑的な効果を
示していることが考えられ、乾燥時に粘着層の造膜性を
向上させ、かつタック性も向上させるなど、粘着性能の
バランスの良いエマルジョン型粘着剤を調製可能であ
る。なお、かかるカルボン酸のアンモニウム塩もしくは
アミン塩は、一般的なアクリル系エマルジョンとして使
用されているブチルアクリレートや2−エチルヘキシル
アクリレートなどの短鎖アルキル基を有するモノマーで
構成されたポリマーエマルジョンにおいても、機械安定
性、耐水性を良好にする効果はあるが、乾燥した後に生
じる長鎖脂肪酸と該ポリマーとの相溶性が悪い場合に
は、相分離を引き起こし、粘着力の低下など粘着性能に
悪影響を及ぼす場合がある。また、これらのアルキル基
が短いアクリル酸エステルは、長鎖のアクリル酸エステ
ルに比べ、耐水性が良好とは言えないため、好ましくは
アルキル基の炭素数が9〜14の長鎖(メタ)アクリル系
エマルジョンを用いることが望ましい。
【0014】本発明において、炭素数が10〜22のカルボ
ン酸のアンモニウム塩もしくは低級アミン塩は、エマル
ジョン中のポリマー成分 100重量部に対して、 0.1〜
5.0重量部、好ましくは0.3 〜2.5 重量部配合される。
かかる範囲において、エマルジョンの機械安定性の向上
効果が良好であり、操作性も良好となる。5.0 重量部よ
り多い場合には塗膜乾燥後にカルボン酸のアンモニウム
塩や低級アミン塩が残存することが懸念され、このため
耐水性が悪化するなどの問題が生じる。
【0015】エマルジョン型粘着剤組成物に、本発明の
カルボン酸のアンモニウム塩及び/又は低級アミン塩を
含有させる方法は、アクリル酸エステルのラジカル重合
性の単量体混合物を重合する際に乳化剤として使用する
方法や、ラジカル重合性の乳化剤などの他の乳化剤と併
用する方法、又はエマルジョンを他の乳化剤で重合した
後に後添加する方法など、どの方法を用いても良く、限
定されることはないが、pHは7〜9程度で用いるのが
好ましい。また、アルキル基の炭素数が9〜14である
長鎖(メタ)アクリル酸エステルを50重量部以上含む
ラジカル重合性単量体混合物を重合し、ポリマーエマル
ジョンを得る方法としては、一般の乳化重合法を用いる
ことができ、限定されるものではないが、耐水性のため
にはできるだけ乳化剤量を低減して重合することが望ま
しい。特にこのような長鎖のアルキル基を有する難水溶
性のアクリル酸エステルを用いて高い耐水性を有するエ
マルジョンを調製する方法として、ラジカル重合性の乳
化剤水溶液中で、当該エステルを平均粒径 2.0〜 0.1μ
mの微粒子に乳化分散した後、重合開始剤の存在下で重
合して得る方法を用いることが好ましい。この際にも、
使用するラジカル重合性の乳化剤使用量は、重合安定性
を損なわない範囲で、できるだけ少量で行うことが望ま
しく、該単量体混合物100 重量部に対して、 0.1〜 2.0
重量部の範囲が好ましい。また、本発明のカルボン酸の
アンモニウム塩及び/又は低級アミン塩と、ラジカル重
合性の乳化剤を併用して重合させることにより、重合安
定性を改善することも可能である。
【0016】本発明に使用できるラジカル重合性の乳化
分散剤は、分子中にラジカル重合性の二重結合基を有す
る乳化分散剤であり、ノニオン性、カチオン性、アニオ
ン性等、親水基の構造に関係なく使用することができ
る。従って、重合性の乳化分散剤は、モノマーとの共重
合性、モノマー乳化性、ポリマー粒子の分散安定性の見
地から選定することができる。重合性の乳化分散剤とし
ては、重合性基にアリル基、(メタ)アクリル酸基、ス
チレン基、イソプロペニル基を分子中に有する界面活性
剤は公知であり、これらを本発明の重合性の乳化分散剤
に使用することができる。尚、通常、界面活性剤の疎水
性基の炭素数は8〜20であるが、重合性乳化分散剤も界
面活性剤の一種であり、界面活性の点から疎水性基の炭
素数が8〜20の範囲であることが好ましい。本発明にお
いて使用できるラジカル重合性の乳化分散剤としては、
特開昭53−126093号公報、特開昭56−28208 号公報、特
開平4−50204 号公報、特開昭62−104802号公報、特開
昭50−98484 号公報、特開昭54−144317号公報、特開昭
55−115419号公報、特開昭62−34947 号公報、特公昭49
−46291 号公報、特開昭58−203960号公報、特開平4−
53802 号公報、特開昭62−104802号公報、特開昭49−40
388 号公報、特開昭52−134658号公報を参照することが
できる。ただし、これらのラジカル重合性乳化分散剤
は、本発明の効果を損なわない範囲で配合する必要があ
ることはいうまでもない。
【0017】また、本発明に用いられる重合開始剤とし
ては、例えばt−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸
化ベンゾイル、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ
二硫酸アンモニウム、アゾ系重合開始剤などや、これら
と還元剤、例えばアスコルビン酸、重亜硫酸ソーダ、鉄
イオンなどを組み合わせたレドックス重合開始剤が挙げ
られる。かかる重合開始剤の使用量は限定されない。
【0018】本発明の粘着剤組成物には、エマルジョン
中のポリマー 100重量部に対して、非イオン性増粘剤を
0.1〜5.0 重量部添加することも可能である。非イオン
性増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロースやメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニ
ルアルコール、及びこれらのアルキル変性物などがあ
り、中でもアルキル基を有する増粘剤は耐水性が良好で
ある。特にアルキル変性ポリビニルアルコールは、アル
キル基の炭素数や、鹸化度などを自由に変化させること
が可能で、増粘性をコントロールしやすいため好まし
い。更に、本発明では、炭素数が10〜22のカルボン酸の
アンモニウム塩及び/又は低級アミン塩を用いるため、
特にアルキル基の炭素数が8〜20のアルキル変性ポリビ
ニルアルコールが、相溶性が良く、増粘性が良好で更に
好ましい。かかる非イオン性増粘剤の添加方法は、長鎖
アルキルアクリル酸エステルの単量体混合物を重合する
際に添加しても、重合後に添加してもかまわない。使用
量も、用途に適した粘度となるように調整すれば良い
が、エマルジョン中のポリマー 100重量部に対して 5.0
重量部を超えるような多量の使用は、耐水性を大きく損
ねるため、上記の範囲で用いることが望ましい。なお、
アルギン酸ソーダやカゼイン酸ソーダ、ポリアクリル酸
ソーダなどに代表されるようなイオン性の増粘剤を使用
すると、耐水性が大きく劣化したり、本発明に用いたカ
ルボン酸のアンモニウム塩や低級アミン塩とコンプレッ
クスをつくることがあり、この場合には凝集物を作るこ
とが問題となり好ましくない。
【0019】また、本発明の粘着剤組成物には、更に、
粘着付与剤を添加することも可能である。粘着付与剤と
しては、ロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペ
ン系樹脂など、いずれを用いても構わない。また添加方
法もアクリル酸エステル単量体の重合時に単量体中に分
散させても、粘着付与剤をエマルジョン化してアクリル
酸エステル単量体の重合後に後添加しても構わない。粘
着付与剤を添加すると、機械安定性が大きく劣化する問
題が生じるが、この場合においても、該カルボン酸のア
ンモニウム塩もしくは低級アミン塩を添加することによ
り、機械安定性を大きく改善可能であり、効果的であ
る。しかしながら、粘着付与剤の多量の添加は、耐水性
を損なう原因となるため、エマルジョンのポリマー成分
100重量部に対して30重量部以下、特に 0.1〜30重量部
が好ましい。
【0020】その他、本発明の粘着剤組成物には、エマ
ルジョン型粘着剤の耐水性、機械安定性を劣化させない
範囲で、pH調整剤や消泡剤、防腐剤、顔料等の添加剤
を配合することも可能である。
【0021】本発明のエマルジョン型粘着剤組成物を塗
工、乾燥することにより製造される粘着テープやシー
ト、ラベル等の粘着製品の製造においても、エマルジョ
ンの機械安定性が良好であるため、塗工等の操作が非常
に安定しており、能率良く製造可能であり、特に高速塗
工に最適なものである。また、本発明のエマルジョン型
粘着剤を使用した粘着製品は耐水性が良好であり、様々
な用途において粘着性能の優れた粘着製品を提供するこ
とが可能である。
【0022】
【実施例】以下、実施例により説明するが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の
「%」は、特記しない限り「重量%」である。また、以
下の実施例及び比較例において、各平均粒径は株式会社
堀場製作所製粒径分布測定機(LA-910型)を用いて測定
した。また、粘度の測定は、23℃中でB型粘度計(株式
会社東京計器製)にて、12rpm 、1分間回転の条件で測
定した。更に、エマルジョン型粘着剤の機械安定性、粘
着力は以下の方法により測定した。各実施例及び比較例
の結果は表1に示した。
【0023】1) 機械安定性 エマルジョン型粘着剤の機械安定性は、マロン式機械的
安定度試験機(株式会社理研精機製作所)を用いて、エ
マルジョン型粘着剤50gに対し、10kg、5分間の条件に
て測定し、エマルジョン固形分に対する凝集物の重量%
で提示した。この重量%の数値が低いほど機械安定性が
良好であることを意味する。
【0024】2) 粘着力 まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに、バーコ
ート式塗工機(速度:3m/min)にて厚さ20μmとなる
ように粘着剤を塗工し、熱風乾燥機にて 105℃、3分間
の乾燥を行うことより粘着テープを得た。次いで該粘着
テープ(25mm幅)を、被着体であるコロナ処理された高
密度ポリエチレン(コロナ処理HDPE、表面張力;54
dyne/cm 以上)、ステンレス304 板(#320 仕上げ)に
それぞれ貼り付けて1日養生した後、23℃、65%RHの
条件下で 180度剥離強度(剥離速度:300mm/min)を測定
することにより、剥離強度(通常剥離強度)を求めた。
また同様に該粘着テープをコロナ処理HDPE、ステン
レス304 板(以下、SUSと表記する場合もある)にそ
れぞれ貼り付け1日養生した後、40℃のイオン交換水中
に2日間浸漬し、水から引き上げた直後に 180度剥離強
度(剥離速度:300mm/min)を測定することより、耐水性
の指標となる剥離強度(耐水剥離強度)を求めた。
【0025】実施例1 2リットルの容器に有効分濃度 1.0%のラテムルS-180
〔花王(株)製:重合性界面活性剤〕水溶液 430gを仕
込み、ラウリルメタクリレート 550gを加え、超音波ホ
モジナイザー(株式会社日本精機製作所製)で15分間処
理して平均粒径が0.81μmの乳化物を得た。この乳化物
を、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リットルの
ガラス製反応器に移し、窒素ガスパージした後、攪拌し
ながら加熱して70℃にした。これに、重合開始剤とし
て、t−ブチルハイドロパーオキサイド1.65gを水10g
に溶解したもの及びL−アスコルビン酸1.65gを水10g
に溶解したものを添加して重合を開始し、重合を完結さ
せるために85℃で4時間熟成した。その後、冷却し中和
することにより、ポリマーエマルジョン(エマルジョン
1)を得た。このポリマーエマルジョンには凝集物がほ
とんど含まれず、固形分は54.6%、平均粒径0.74μmで
あった。
【0026】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
濃度10%のオレイン酸アンモニウム塩水溶液をエマルジ
ョンの固形分に対するオレイン酸アンモニウム塩量が
1.0%となるように添加した。更に増粘剤として濃度5
%のミリスチル変性ポリビニルアルコール水溶液を、エ
マルジョン固形分に対する固形分量が 0.2%となるよう
に添加し、粘度が約 6000mPa・s のエマルジョン型粘着
剤を調製した。
【0027】このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定したところ、0.02%と非常に良好であった。このエ
マルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。また、こ
のエマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社
ヒラノテクシード製マルチコーター)にて、10m/minの
速度で、ポリエステル離型フィルムに塗工したところ、
塗工面は平滑であり、安定した塗工が可能であった。こ
のエマルジョン型粘着剤を塗工し乾燥した粘着テープ
は、透明性に優れており、コロナ処理したHDPEやS
USに貼り付けた後に、40℃のイオン交換水に2日間浸
漬しても、透明性を維持しており、高い耐水性を示し
た。
【0028】実施例2 実施例1にて調製したエマルジョン1に対して、粘着付
与剤としてスーパーエステルE-625(荒川化学工業株式
会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固形分に
対して10%添加した。次に、濃度10%のオレイン酸アン
モニウム塩水溶液をエマルジョン固形分に対するオレイ
ン酸アンモニウム塩量が 1.0%となるように添加した。
更に増粘剤として濃度5%のミリスチル変性ポリビニル
アルコール水溶液を、エマルジョン固形分に対する固形
分量が 0.3%となるように添加し、粘度約 6000mPa・s
のエマルジョン型粘着剤を調製した。
【0029】実施例1と同様に機械安定性を測定したと
ころ、0.20%と良好であった。このエマルジョン型粘着
剤の粘着性能を表1に示す。また、このエマルジョン型
粘着剤を、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシード
製マルチコーター)にて、10m/minの速度で、ポリエス
テル離型フィルムに塗工したところ、塗工面は平滑であ
り、安定した塗工が可能であった。このエマルジョン型
粘着剤を塗工し乾燥した粘着テープは、透明性に優れて
おり、コロナ処理したHDPEやSUSに貼り付けた後
に、40℃のイオン交換水に2日間浸漬しても、透明性を
維持していた。
【0030】実施例3 実施例2において、オレイン酸アンモニウム塩の代わり
にラウリン酸アンモニウム塩を用い、エマルジョン固形
分に対するラウリン酸アンモニウム塩の添加量を2.0 %
に変更し、更にミリスチル変性ポリビニルアルコール水
溶液のエマルジョン固形分に対する固形分量を0.5 %に
変更し、その他は実施例2と同様の条件で反応を行い、
粘度約6000mPa ・s のエマルジョン型粘着剤を調製し
た。実施例1と同様に機械安定性を測定したところ、0.
03%と非常に良好であった。このエマルジョン型粘着剤
の粘着性能を表1に示す。
【0031】実施例4 2リットルの容器に有効分濃度 1.5%のラテムルS-180
A(花王株式会社製:重合性界面活性剤)水溶液 400g
を仕込み、重合開始剤である過酸化ベンゾイル2.4gを
溶解したラウリルメタクリレート 600gを加え、マイル
ダー(株式会社荏原製作所)で20分間冷却しながら処理
し、平均粒径が0.64μmの乳化物を得た。この乳化物
を、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リットルの
ガラス製反応器に移し、窒素ガスパージした後、攪拌し
ながら加熱して85℃で5時間熟成した後、冷却し中和す
ることにより、ポリマーエマルジョン(エマルジョン
2)を得た。このポリマーエマルジョンには凝集物がほ
とんど含まれず、固形分は60.1%、平均粒径0.61μmで
あった。
【0032】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
実施例2と同様に粘着付与剤としてスーパーエステルE
-625(荒川化学工業株式会社製:ロジン樹脂エステル)
をエマルジョン固形分に対して10%、及び濃度10%のリ
ノール酸アンモニウム塩水溶液をエマルジョンの固形分
に対するリノール酸アンモニウム塩量で2.0 %となるよ
うに添加した。更に増粘剤として濃度10%のX-150F
(ユニチカ株式会社製)水溶液をエマルジョン固形分に
対するX-150F量で0.9 %となるように添加し、粘度を
約 6000mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。
【0033】このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定したところ、0.45%と非常に良好であった。このエ
マルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。また、こ
のエマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社
ヒラノテクシード製マルチコーター)にて、10m/minの
速度で、ポリエステル離型フィルムに塗工したところ、
塗工面は平滑で安定した塗工が可能であった。このエマ
ルジョン型粘着剤を塗工し乾燥した粘着テープは、透明
性に優れており、コロナ処理したHDPEやSUSに貼
り付けた後に、40℃のイオン交換水に2日管浸漬して
も、透明性を維持していた。
【0034】実施例5 攪拌機、冷却管、窒素導入管を備えた2リットルのガラ
ス製反応器に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム1.80gを
溶解させた有効分濃度 2.0%のアクアロンHS−20(第
一工業製薬株式会社製:重合性界面活性剤)水溶液 530
gを仕込み、85℃に昇温した。これに、2−エチルヘキ
シルアクリレート 225g、ブチルアクリレート 225gの
混合溶液を1時間かけて滴下し、重合を開始した後、4
時間の熟成を行い重合を完結させた。その後、冷却し中
和することによりポリマーエマルジョン(エマルジョン
3)を得た。このポリマーエマルジョンには凝集物がほ
とんど含まれず、固形分は44.7%、平均粒径0.12μmで
あった。
【0035】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
粘着付与剤としてスーパーエステルE-625(荒川化学工
業株式会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固
形分に対して10%添加した後、濃度10%のオレイン酸ト
リメチルアミン塩水溶液を、エマルジョン固形分に対し
てオレイン酸トリメチルアミン塩が 1.0%となるように
添加した。更に増粘剤として濃度5%のミリスチル変性
ポリビニルアルコール水溶液を、エマルジョン固形分に
対する固形分量が 0.5%となるように添加し、粘度約 6
000mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。
【0036】このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定したところ、0.09%と非常に良好であった。このエ
マルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。またこの
エマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社ヒ
ラノテクシード製マルチコーター)にて、10m/minの速
度で、ポリエステル離型フィルムに塗工したところ、安
定した塗工が可能であった。このエマルジョン型粘着剤
を塗工し乾燥した粘着テープは、透明性に優れており、
コロナ処理したHDPEやSUSに貼り付けた後に、40
℃のイオン交換水に2日間浸漬しても、透明性を維持し
ていた。
【0037】実施例6 2リットルの容器に有効分濃度 0.5%のレベノールWZ
(花王株式会社製:アニオン性界面活性剤)水溶液 440
gを仕込み、ラウリルメタクリレート 495g、ブチルア
クリレート55gを加え、超音波ホモジナイザー(株式会
社日本精機製作所製)で15分間処理して平均粒径が1.10
μmの乳化物を得た。この乳化物を、攪拌機、冷却器、
窒素導入管を備えた2リットルのガラス製反応器に移
し、窒素ガスパージした後、攪拌しながら加熱して70℃
にした。これに、重合開始剤として、過硫酸アンモニウ
ム2.20gを水10gに溶解したものを添加して重合を開始
し、重合を完結させるために85℃で4時間熟成した。そ
の後、冷却し中和することにより、ポリマーエマルジョ
ン(エマルジョン4)を得た。このポリマーエマルジョ
ンには凝集物がほとんど含まれず、固形分は53.9%、平
均粒径0.99μmであった。
【0038】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
粘着付与剤としてスーパーエステルE-650(荒川化学工
業株式会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固
形分に対して5%添加した後、濃度10%のパルミチン酸
アンモニウム塩水溶液を、エマルジョン固形分に対する
パルミチン酸アンモニウム塩量が 1.0%となるように添
加した。更に増粘剤として濃度5%のミリスチル変性ポ
リビニルアルコール水溶液を、エマルジョン固形分に対
する固形分量が 0.2%となるように添加し、粘度約 600
0mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。
【0039】このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定したところ、0.08%と非常に良好であった。このエ
マルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。また、こ
のエマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社
ヒラノテクシード製マルチコーター)にて、10m/minの
速度で、ポリエステル離型フィルムに塗工したところ、
塗工面は平滑で安定した塗工が可能であった。このエマ
ルジョン型粘着剤を塗工し乾燥した粘着テープは、透明
性に優れており、コロナ処理したHDPEやSUSに貼
り付けた後に、40℃のイオン交換水に2日間浸漬して
も、透明性を維持していた。
【0040】実施例7 2リットルの容器に有効分濃度 0.5%のラテムルS-180
(花王株式会社製:重合性界面活性剤)と有効分濃度
1.5%のオレイン酸アンモニウム塩水溶液 440gを仕込
み、アゾ系開始剤V−59(和光純薬工業株式会社製)
2.2gを溶解したラウリルアクリレート 550gを加え、
超音波ホモジナイザー(日本精機製作所製)で13分間処
理して平均粒径が0.35μmの乳化物を得た。この乳化物
を、攪拌機、冷却器、窒素導入管を備えた2リットルの
ガラス製反応器に移し、窒素ガスパージした後、攪拌し
ながら加熱して85℃で6時間重合した後、冷却し中和す
ることにより、ポリマーエマルジョン(エマルジョン
5)を得た。このポリマーエマルジョンには凝集物がほ
とんど含まれず、固形分は54.8%、平均粒径0.41μmで
あった。
【0041】次にこのポリマーエマルジョンに対して、
粘着付与剤としてスーパーエステルE-100(荒川化学工
業株式会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固
形分に対して20%添加した後、増粘剤として濃度5%の
ビスサーフH(花王株式会社製)水溶液を、エマルジョ
ン固形分に対するビスサーフH量で 0.4%添加し、粘度
約 6000mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。
【0042】このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定したところ、0.12%と非常に良好であった。このエ
マルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。また、こ
のエマルジョン型粘着剤を、コンマコーター(株式会社
ヒラノテクシード製マルチコーター)にて、10m/minの
速度で、ポリエステル離型フィルムに塗工したところ、
安定した塗工が可能であった。このエマルジョン型粘着
剤を塗工し乾燥した粘着テープは、透明性に優れてお
り、コロナ処理したHDPEやSUSに貼り付けた後
に、40℃のイオン交換水に2日間浸漬しても、透明性を
維持していた。
【0043】比較例1 実施例1で調製したエマルジョン1に対して、オレイン
酸アンモニウム塩を添加しないで、増粘剤として濃度5
%のミリスチル変性ポリビニルアルコール水溶液を、エ
マルジョン固形分に対する固形分量が 0.2%となるよう
に添加し、粘度約 6000mPa・s のエマルジョン型粘着剤
を調製した。このエマルジョン型粘着剤の機械安定性を
測定した。その結果を表1に示す。また、このエマルジ
ョン型粘着剤は、バーコート式塗工機では凝集物が発生
するため、塗工ができなかった。
【0044】比較例2 実施例2と同様に、エマルジョン1に対して、粘着付与
剤としてスーパーエステルE−625 (荒川化学工業株式
会社製:ロジン樹脂エステル)をエマルジョン固形分に
対して10%添加し、オレイン酸アンモニウム塩を添加し
ないで、増粘剤として濃度5%のミリスチル変性ポリビ
ニルアルコール水溶液を、エマルジョン固形分に対する
固形分量が 0.4%となるように添加して、粘度約 6000m
Pa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。このエマル
ジョン型粘着剤の機械安定性を測定した。その結果を表
1に示す。また、このエマルジョン型粘着剤はバーコー
ト式塗工機では凝集物が発生するため、塗工ができなか
った。
【0045】比較例3 実施例4と同様に、エマルジョン2に対してE−625 を
10%添加し、オレイン酸アンモニウム塩の代わりに、濃
度10%のオレイン酸ナトリウム塩水溶液を、エマルジョ
ン固形分に対するオレイン酸ナトリウム塩量で 0.5%添
加した。その後、同様に増粘剤として濃度10%のX−15
0 F水溶液を、エマルジョン固形分に対するX−150 F
量で 0.9%添加し、粘度を約 6000mPa・s のエマルジョ
ン型粘着剤を調製した。このエマルジョン型粘着剤の機
械安定性を実施例1と同様に測定した。その結果を表1
に示す。また、このエマルジョン型粘着剤の粘着性能を
表1に示す。このエマルジョン型粘着剤の機械安定性は
良好であるが、耐水性が悪く、この粘着テープをコロナ
処理HDPE、及びSUSに貼り付け、40℃のイオン交
換水中に2日間浸漬すると完全に白化し、粘着力も大き
く低下していた。
【0046】比較例4 実施例5にて調製したエマルジョン3に対して、実施例
5と同様にE−625 を10%添加した後、オレイン酸トリ
メチルアミン塩の代わりに、ポリオキシエチレンラウリ
ルエーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数20)を
エマルジョン固形分に対して 1.0%添加した。実施例5
と同様に増粘剤として増粘剤として濃度5%のミリスチ
ル変性ポリビニルアルコール水溶液を、エマルジョン固
形分に対する固形分量が 0.6%となるように添加し、粘
度約 6000mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。
このエマルジョン型粘着剤について、実施例1と同様に
機械安定性を測定した。その結果を表1に示す。また、
このエマルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。こ
のエマルジョン型粘着剤は、バーターターでは塗工可能
であったが、コンマコーター(株式会社ヒラノテクシー
ド製マルチコーター)にて、10m/minの速度で、ポリエ
ステル離型フィルムに塗工したところ、凝集物の発生に
より塗工面が荒れるため、安定した塗工が困難であっ
た。
【0047】比較例5 実施例6と全く同様にして、エマルジョン4に対して、
E−650 を5%、オレイン酸アンモニウム塩を7.0 %添
加した。その後、増粘剤として濃度5%のミリスチル変
性ポリビニルアルコール水溶液を、エマルジョン固形分
に対する固形分量が2.2 %となるように添加し、粘度約
6000mPa・s のエマルジョン型粘着剤を調製した。この
エマルジョン型粘着剤について、実施例1と同様に機械
安定性を測定した。その結果を表1に示す。また、この
エマルジョン型粘着剤の粘着性能を表1に示す。この粘
着テープをコロナ処理HDPE、及びSUSに貼り付
け、40℃のイオン交換水中に2日間浸漬すると、完全に
白化しており、粘着力も大きく低下していた。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】上述のとおり、この発明は(メタ)アク
リル系エマルジョン中に、特定のカルボン酸のアンモニ
ウム塩及び/又は低級アミン塩を含有させることによ
り、機械安定性が良好で、かつ耐水性が優れた、従来の
エマルジョン系粘着剤に比べ粘着性能のバランスが非常
に良いエマルジョン型粘着剤組成物を提供するものであ
る。
【0050】本発明のエマルジョン型粘着剤組成物は、
更に増粘剤や粘着付与剤等を含有させた場合にも機械安
定性は良好であり、このエマルジョン型粘着剤組成物を
用いた粘着製品を製造する際の塗工等の操作性も非常に
安定しており、能率良く粘着製品を製造できる。また、
得られた粘着製品の耐水性は良好であり、様々な用途へ
粘着性能の優れた粘着製品を提供可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09J 201:00) (72)発明者 芝 健一 和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研 究所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル系エマルジョンと、当
    該エマルジョン中のポリマー成分 100重量部に対して
    0.1〜5.0 重量部の炭素数10〜22のカルボン酸のアンモ
    ニウム塩及び/又は低級アミン塩とを含有してなること
    を特徴とする(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤
    組成物。
  2. 【請求項2】 カルボン酸がオレイン酸又はラウリン酸
    である請求項1記載の(メタ)アクリル系エマルジョン
    型粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 (メタ)アクリル系エマルジョン中のポ
    リマー成分 100重量部に対して、非イオン性増粘剤を
    0.1〜5重量部含有する請求項1又は2記載の(メタ)
    アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】 非イオン性増粘剤が、アルキル変性ポリ
    ビニルアルコールである請求項3記載の(メタ)アクリ
    ル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  5. 【請求項5】 アルキル変性ポリビニルアルコールのア
    ルキル基の炭素数が8〜20である請求項4記載の(メ
    タ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 (メタ)アクリル系エマルジョン中のポ
    リマー成分 100重量部に対して、粘着付与剤を 0.1〜30
    重量部含有する請求項1〜5の何れか1項記載の(メ
    タ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  7. 【請求項7】 (メタ)アクリル系エマルジョンが、ア
    ルキル基の炭素数が9〜14である長鎖アルキル(メタ)
    アクリル酸エステルを50重量%以上含有するラジカル重
    合性の単量体混合物を重合して得られる長鎖(メタ)ア
    クリル系エマルジョンである請求項1〜6の何れか1項
    記載の(メタ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成
    物。
  8. 【請求項8】 長鎖(メタ)アクリル系エマルジョン
    が、アルキル基の炭素数が9〜14である長鎖アルキル
    (メタ)アクリル酸エステルを50重量%以上含有する単
    量体混合物をラジカル重合性の乳化剤水溶液中で、平均
    粒径 2.0〜0.1 μmの微粒子に乳化分散した後、重合開
    始剤の存在下で重合して得られる長鎖(メタ)アクリル
    系エマルジョンである請求項7記載の(メタ)アクリル
    系エマルジョン型粘着剤組成物。
  9. 【請求項9】 (メタ)アクリル系エマルジョン型粘着
    剤組成物が、炭素数10〜22のカルボン酸のアンモニウム
    塩及び/又はアミン塩をラジカル重合性の乳化剤と併用
    して調製されたものである請求項8記載の(メタ)アク
    リル系エマルジョン型粘着剤組成物。
  10. 【請求項10】 ラジカル重合性の乳化剤量が、前記単
    量体混合物 100重量部に対して、 0.1〜2.0 重量部であ
    る請求項7〜9の何れか1項記載の(メタ)アクリル系
    エマルジョン型粘着剤組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10の何れか1項記載の(メ
    タ)アクリル系エマルジョン型粘着剤組成物を基材上に
    塗工後、乾燥してなる粘着製品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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