JPH10259395A - 切断用加工液および切断用組成物、ならびにそれを用いた固体材料の切断方法 - Google Patents

切断用加工液および切断用組成物、ならびにそれを用いた固体材料の切断方法

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JPH10259395A
JPH10259395A JP6479697A JP6479697A JPH10259395A JP H10259395 A JPH10259395 A JP H10259395A JP 6479697 A JP6479697 A JP 6479697A JP 6479697 A JP6479697 A JP 6479697A JP H10259395 A JPH10259395 A JP H10259395A
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cutting
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working fluid
weight
viscosity
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JP6479697A
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Kazuyuki Mori
和 幸 森
Shigehiro Hayashi
重 宏 林
Hideki Yokoyama
山 英 樹 横
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Fujimi Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リサイクル使用した場合においても粘度変
化、切断用組成物のまわり、加工精度、取り扱い性、切
断後の洗浄性、組成物中の砥粒の拡散性、ならびに環境
または人体に対する安全性に優れた切断用水溶性加工液
および切断用組成物、ならびに加工精度が高く、生産性
の高い固体材料の切断方法の提供。 【解決手段】(1)ポリアルキレングリコールおよびそ
の誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類のグ
リコール化合物、(2)粘性改良剤、および(3)水を
含んでなる切断用加工液であって、グリコール化合物の
含有量が加工液の全重量を基準にして90重量%を超
え、99.998重量%以下であることを特徴とする切
断用加工液、およびその切断用加工液と砥粒を含んでな
る切断用組成物、およびその切断用組成物を用いた固体
材料の切断方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体材料を切断す
るのに好適な切断用水性加工液および切断用組成物、な
らびにその切断用組成物を用いた固体材料の切断方法に
関するものである。さらに詳しくは、本発明は半導体結
晶材料のウェーハの製造において、シリコンインゴット
からマルチワイヤーソーにより切断加工する際に用いる
のに好ましい、切断用加工液、切断用組成物、および固
体材料の切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューターをはじめとするハ
イテク製品に使用される高性能半導体デバイスチップ
は、ますます高集積度化が進みつつあり、これによりチ
ップサイズの大型化が進行している。そして、このチッ
プサイズの大型化に伴い、生産性低下、コストアップ、
およびその他の問題が生じている。
【0003】この生産性低下やコストアップの理由は次
のようなものによる。通常、チップはそれより面積の大
きいウェーハから複数個切り出されることにより製造さ
れる。チップを大型化するとき、もとになるウェーハの
大きさが変わらなければ、1枚のウェーハから切り出す
ことのできるチップの数が少なくなり、チップを切りだ
した後の残りの部分、特にウェーハの外周付近の残りの
部分、の面積が大きくなる。このために、もとのウェー
ハから切り出せる単位面積当たりのチップ数が少なくな
り、歩留まりが低下してしまい、生産性低下やコストア
ップにつながってしまう。
【0004】このため、もとになるウェーハの面積を大
きくして、単位面積当たりのチップ数を多くすること
で、これらの問題解決が図られてきた。
【0005】これまで、比較的面積の小さい、例えば直
径6インチ程度までの、シリコンインゴットの切断に
は、内周刃タイプの切断装置が使用されてきた。これ
は、内周刃タイプの切断装置は、直径の比較的小さいイ
ンゴットの切断において、切断刃の「ぶれ」が比較的小
さいために加工精度が高く、生産性が優れていることに
よる。
【0006】しかし、内周刃タイプの切断装置を用い
て、直径の大きいインゴットを切断しようとすると、切
断時における切断刃のぶれがおおきくなり、ウェーハの
中央部が凸状になる「反り」が発生しやすくなる。この
ために加工精度が悪化してウェー刃の歩留まりが低下し
てしまうという問題が起こる。
【0007】この問題の解決のために、直径の大きい、
例えば直径8インチ以上の、インゴットの切断にはワイ
ヤーソーが使用されることが多い。このワイヤーソーに
よる切断加工は、他の方法に比べ、より均一な厚さでイ
ンゴットを切断することができ、カーフロスと呼ばれる
切断屑の発生が少なくなり、一度に多数枚のウェーハの
切断が可能であるという長所がある。
【0008】前記の各種のインゴットの切断には、加工
時の潤滑および冷却の目的で、あるいは切断されたウェ
ーハの形状や切断表面の平滑さを向上させる目的で、切
断用加工液に砥粒を分散させた切断用組成物が使用され
ている。従来、内周刃やワイヤーソーをはじめとする各
種の切断装置に使用されてきた切断用組成物は、その構
成によりオイルタイプ、水タイプ、およびグリコールタ
イプに大別することができる。
【0009】オイルタイプの切断用組成物とは、その主
成分が鉱物油、例えばパラフィン系オイル、であるもの
である。このタイプの切断用組成物を用いて切断を行っ
た場合、切断後のウェーハなどに付着した切断用組成物
や切断屑が水で洗い落とすことが困難なことが多い。こ
のために切断後のウェーハなどの洗浄には、有機溶剤、
例えば灯油、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、
塩化メチル、フロン、およびその他、の薬剤を使用しな
ければならないことが多かった。しかし、これらの有機
溶剤は、人体に対して有毒なものが多く、また大気汚染
や水質汚染などの環境破壊の原因となりうるため、取り
扱いには格別の注意が必要となる。また、これらの有機
溶剤を製造工程に適用することにより、有機溶剤のため
の工程設備が必要になるなどの制約も加わってしまう。
【0010】さらに、オイルタイプの切断用組成物は、
使用後に産業廃棄物として焼却処理されることが多い
が、その際に有害ガスを発生して大気汚染の原因になる
可能性もあり、環境保護の立場からオイルタイプの切断
用組成物の使用には注意が必要である。
【0011】また、水タイプの切断用組成物は、例えば
特開平4−216897号および特開平4−21859
4号各公報に開示されており、水にエチレングリコール
類、粘度調整剤、界面活性剤、およびその他を添加した
ものが代表的である。この水タイプのものは、環境に対
する影響や洗浄性はオイルタイプの切断用組成物に比べ
ると改善されているが、本発明者らの知る限り、十分に
満足できるものではなく、特に長時間のリサイクル使用
においては組成物中の水分が蒸発により減少して、粘度
が上昇したり、チキソトロピー性および砥粒の拡散性が
劣化したりしやすい。リサイクル使用において切断用組
成物の使用時間が増すに連れて切断用組成物の粘度が上
昇すると切断箇所における条件が変化してしまう。チキ
ソトロピー性が劣化すると、切断加工時のわずかな条件
の変動により粘度が大きく変動する。また、砥粒の拡散
性が劣化すると、砥粒の過大な凝集体ができてしまう。
これらは、すべて加工精度に大きく影響するため、水タ
イプの切断用組成物を使用した場合には、加工精度の維
持が困難であるという問題もあった。
【0012】一方、グリコールをベースとするグリコー
ルタイプの切断用組成物は、グリコール類に界面活性剤
およびその他を添加したものである。グリコールタイプ
の切断用組成物は、前記の水タイプの切断用組成物にお
ける水の蒸発の問題は起こりにくいが、従来のこのタイ
プの研磨用組成物は粘度が高くなりすぎることが多く、
取り扱いが困難になったり、また切断用組成物のまわり
が悪くなり、すなわちワイヤーソーと被切断物の間へ切
断用組成物が十分に行き届かなくなり、加工精度が悪く
なるという問題が起こりやすかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、固体材料の
ワイヤーソーによる切断加工において、上記の問題点を
すべて解決した切断用組成物およびそれを用いた固体材
料の切断方法を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要] <要旨>本発明の切断用加工液は、(1)ポリアルキレ
ングリコールおよびその誘導体からなる群から選ばれる
少なくとも1種類のグリコール化合物、(2)粘性改良
剤、および(3)水を含んでなる切断用加工液であっ
て、グリコール化合物の含有量が加工液の全重量を基準
にして90重量%を超え、99.998重量%以下であ
ること、を特徴とするものである。
【0015】また、本発明の切断用組成物は、(1)ポ
リアルキレングリコールおよびその誘導体からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種類のグリコール化合物、
(2)粘性改良剤、(3)水、および(4)砥粒を含ん
でなる切断用組成物であって、グリコール化合物の含有
量が、砥粒を除く組成物の重量を基準にして90重量%
を超え、99.998重量%以下であること、を特徴と
するものである。
【0016】また、本発明の固体材料の切断方法は、
(1)ポリアルキレングリコールおよびその誘導体から
なる群から選ばれる少なくとも1種類のグリコール化合
物、(2)粘性改良剤、(3)水、および(4)砥粒を
含んでなる切断用組成物であって、グリコール化合物の
含有量が、砥粒を除く組成物の重量を基準にして90重
量%を超え、99.998重量%以下である切断用組成
物を用いて、固体材料を切断装置により切断すること、
を特徴とするものである。
【0017】<効果>本発明の切断用加工液または切断
用組成物は、固体材料の切断に用いたとき、リサイクル
使用した場合においても粘度変化が小さく、切断用組成
物のまわりが良好であるために優れた加工精度が得られ
るとともに、取り扱い性が容易であり、かつ切断後の材
料に付着した切断用組成物や切断屑に対する洗浄性、組
成物中の砥粒の拡散性、ならびに環境または人体に対す
る安全性に優れている。さらに、本発明の固体材料の切
断方法は、良好な加工精度で固体材料を切断することが
できて、材料の生産性を向上させることができる。
【0018】[発明の具体的説明] <グリコール化合物>本発明の切断用加工液または切断
用組成物はポリアルキレングリコールおよびその誘導体
からなる群から選ばれる少なくとも1種類のグリコール
化合物を含んでなる。このような化合物は各種のものが
知られているが、下記一般式(I)で示される化合物で
あることが好ましい。 R1−O−(CH2CH2O)n−R2 (I) ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に水素、あるいは
炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜5のアシル
基であり、nは5〜22の整数である。
【0019】ここでR1およびR2がいずれも水素である
ものが特に好ましい。また、nが5〜10のものがより
好ましく、nが6〜8であるものが最も好ましい。な
お、ここでnは用いるグリコール化合物の平均重合度で
あり、分子レベルでnがこの範囲外であるものが含まれ
ていても、化合物全体でのnがこの範囲内であれば、そ
れは好ましいグリコール化合物である。
【0020】また、本発明に用いるグリコール化合物の
分子量は300〜1000であることが好ましく、30
0〜500であることが特に好ましい。グリコール化合
物の分子量が1000を超えるとグリコール化合物の粘
度の大きさのために切断用組成物の粘度も大きくなりす
ぎて、切断加工時に切断用組成物のまわりが悪くなり、
加工精度が悪化したり、切断用組成物の取り扱い性が悪
くなったりすることがある。また、分子量が300未満
であると、切断用組成物の粘度が低くなり、砥粒の拡散
性も劣化して砥粒が切断用組成物中の均一な分散が維持
しにくくなることがある。この結果、切断加工時に供給
される切断用組成物の物性が均一にならずに初期の加工
精度が維持できなくなったり、切断箇所に砥粒が十分に
回り込まなくなって、ワイヤーソーなどにおいてはワイ
ヤー断線が起きたりする。
【0021】本発明においては、前記のグリコール化合
物を少なくとも1種類含んでなる。前記のグリコール化
合物の2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発
明の切断用加工液において、グリコール化合物の含有量
は、切断用加工液全体の重量に対して、90重量%を超
え、99.998重量%以下、好ましくは95〜99.
99重量%、である。また、本発明の切断用組成物にお
いて、グリコール化合物の含有量は、切断用加工液全体
の重量に対して、好ましくは18重量%を超え、79.
998重量%、より好ましくは20〜76重量%、であ
る。グリコール化合物の含有量が切断用加工液全体の重
量に対して90重量%以下、切断用組成物全体の重量に
対して18重量%以下であると切断加工において切断用
組成物のまわりが悪くなり加工精度が悪化したり、切断
後の材料の表面粗さが大きくなることがある。逆にグリ
コール化合物の含有量が切断用加工液全体の重量に対し
て99.998重量%、切断用組成物全体の重量に対し
て79.998重量%を超えると切断用組成物のチキソ
トロピー性が不安定となり加工精度が悪化することがあ
る。
【0022】<粘性改良剤>本発明において粘性改良剤
は、本発明の切断用加工液または切断用組成物の粘度を
調整し、また本発明の切断用加工液または切断用組成物
に適切なチキソトロピー性を与えるものである。
【0023】本発明において使用する粘性改良剤は、上
記のような効果を持ち、本発明の効果を損なわないもの
であれば特に限定されない。このような粘性改良剤とし
ては、有機高分子化合物および無機高分子化合物が好ま
しい。
【0024】有機高分子化合物としては、合成有機高分
子化合物、天然有機高分子化合物、およびその他があ
る。合成有機高分子化合物としては、ポリアクリル酸、
ポリアクリルアミド、メチルセルロース、エチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチル
セルロース、およびヒドロキシプロピルセルロースが好
ましい。天然有機高分子化合物としては、高分子多糖類
または植物ゴム質が好ましく、具体的にはザンサンガ
ム、アラビアガム、トラガカントガム、デキストラン、
およびその他が挙げられる。これらの中で、ザンサンガ
ムが特に好ましい。
【0025】無機高分子化合物としては、モンモリロン
石群鉱物が好ましい。モンモリロン石群鉱物には、モン
モリロン石、マグネシウムモンモリロン石、バイデライ
ト、ヘクトライト、およびその他が挙げられるが、実際
に用いる場合には、モンモリロン石を主成分として含有
しており、入手が容易なベントナイトを用いるのが特に
好ましい。
【0026】本発明の切断用加工液において、粘性改良
剤の含有量は、切断用加工液全体の重量に対して、0.
001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%、
である。また、本発明の切断用組成物において、粘性改
良剤の含有量は、切断用加工液全体の重量に対して、好
ましくは0.0002〜4重量%、より好ましくは0.
0004〜2.4重量%、である。粘性改良剤の含有量
が切断用加工液全体の重量に対して0.001重量%以
下、切断用組成物全体の重量に対して0.0002重量
%以下であると切断用組成物のチキソトロピー性が不安
定となり加工精度が悪化する。逆に粘性改良剤の含有量
が切断用加工液全体の重量に対して5重量%、切断用組
成物全体の重量に対して4重量%を超えると切断用組成
物の粘度が大きくなり、切断加工において切断用組成物
のまわりが悪くなり加工精度が悪化したり、切断後の材
料の表面粗さが大きくなることがある。
【0027】<砥粒>本発明の切断用加工液には、砥粒
を混合し、分散させて切断組成物とする。また、本発明
の切断用組成物は、砥粒を含んでなる。ここで用いる砥
粒は、一般的に研磨材として用いられるものが利用でき
て、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定さ
れない。このような砥粒としては、例えば、ダイヤモン
ド、コランダム、エメリー、ガーネット、フリント、窒
化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホ
ウ素、酸化アルミニウム、、酸化ジルコニウム、酸化ク
ロム、酸化セリウム、酸化鉄、ケイ酸コロイド、および
その他が挙げられる。これらの中で、炭化ケイ素、酸化
アルミニウム、および酸化ジルコニウムが特に好まし
い。このような砥粒に用いることのできる化合物は市販
されており、具体的には炭化ケイ素としては商品名G
C、またはC((株)フジミインコーポレーテッド
製)、酸化アルミニウムとしては商品名PWA、WA、
AまたはFO((株)フジミインコーポレーテッド製)
がある。
【0028】これらの砥粒の粒径は、BET法で測定し
た粒子表面積をもとにして算出された平均粒子径で、一
般的には1〜60μm、好ましくは8〜25μm、であ
る。砥粒の平均粒子径が1μm未満であると、切断速度
が著しく遅くなってしまい実用的ではないばかりか、ワ
イヤーソーのワイヤーが断線したり、ウェーハに「や
け」が発生するなどの問題が生じることがある。逆に、
砥粒の平均粒子径が60μmを超えると、加工精度が劣
化し、切断後のウェーハ表面の表面粗さが著しく大きく
なり、生産性が低下してしまうことがある。
【0029】これらの砥粒の切断用組成物中の含有量
は、切断用組成物全体の重量を基準にして、20〜80
重量%、好ましくは30〜70重量%、である。砥粒の
含有量が20%未満であると、切断速度が小さくなり、
実用性が乏しくなることがある。逆に砥粒の含有量が8
0重量%を超えると切断用組成物の粘度が過大になっ
て、切断加工において切断箇所への切断用組成物のまわ
りが悪くなったり、取り扱い性が悪化したりする。
【0030】<切断用加工液および切断用組成物>本発
明の切断用加工液は、前記のグリコール化合物、粘性改
良剤、および水を含んでなるものである。また、本発明
の切断用組成物は、前記のグリコール化合物、粘性改良
剤、砥粒および水を含んでなるものである。
【0031】ここで用いる水は、不純物を含まないもの
が好ましいが、本発明の効果を損なわないものであれば
いかなるものであってもよい。具体的には、純水の他、
超純水、市水、工業用水、およびその他が挙げられる。
【0032】本発明の切断用加工液において、水の含有
量は、切断用加工液全体の重量に対して、0.001〜
5重量%、好ましくは0.005〜3重量%、である。
また、本発明の切断用組成物において、水の含有量は、
切断用加工液全体の重量に対して、好ましくは0.00
02〜4重量%、より好ましくは0.0004〜2.4
重量%、である。水の含有量が切断用加工液全体の重量
に対して0.001重量%以下、切断用組成物全体の重
量に対して0.0002重量%以下であると、粘性改良
剤が切断用加工液または切断用組成物中に均一に分散し
にくくなり、切断用組成物のチキソトロピー性が不安定
となり加工精度が悪化する。逆に水の含有量が切断用加
工液全体の重量に対して5重量%、切断用組成物全体の
重量に対して4重量%を超えると切断用組成物の粘度が
小さくなり、砥粒の拡散性および切断加工精度が悪化す
ることがある。
【0033】本発明の切断用加工液は前記の各成分、す
なわちグリコール化合物、粘性改良剤、および水を所望
の割合で混合し、分散させることにより調製する。ま
た、本発明の切断用組成物は、前記切断用加工液に砥粒
を所望の割合で混合し、分散させることにより調製す
る。これらの成分を混合あるいあるいは分散させる方法
は任意であり、例えば翼式撹拌機で撹拌することにより
行う。また、各成分の混合順序についても任意である。
さらに、精製などの目的で、調製された切断用加工液ま
たは切断用組成物にさらなる処理、例えば濾過、イオン
交換、およびその他、を加えてもよい。
【0034】また、本発明の切断用加工液または切断用
組成物の調製に際しては、製品の品質保持や性能安定化
を図る目的や、被加工物の種類、加工条件、およびその
他の必要に応じて、各種の公知の添加剤をさらに加える
こともできる。
【0035】<固体材料の切断方法>本発明の固体材料
の切断方法は、前記の切断用組成物を用いて固体材料を
切断する方法である。固体材料としては、砥粒、および
切断装置との組み合わせで任意のものを選択できるが、
例えば(イ)金属、例えばアルミニウム、銅、およびそ
の他、(ロ)セラミックス、例えばガラス、およびその
他、(ハ)半導体材料、例えばシリコン、カーボン、お
よびその他、が挙げられる。この中で、半導体材料、特
にシリコン、が好ましい。
【0036】切断装置としては、任意のものを用いるこ
とができるが、ワイヤーソー、内周刃切断装置、外周刃
切断装置、が好ましい。特にワイヤーソーを用いる切断
方法が好ましい。
【0037】
【発明の実施の形態】以下は、本発明の切断用加工液、
切断用組成物、および切断方法を具体的に説明するもの
である。なお、本発明は、その要旨を超えない限り、以
下に説明する諸例の構成に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】
<切断用加工液および切断用組成物の調製>平均分子量
300のポリエチレングリコール59.88kgに、ポ
リアクリル酸(商品名ジュンロン、日本純薬株式会社
製)60gと水60gを翼式撹拌機で撹拌しながら添加
し、混合して分散させて切断用加工液を調製した。この
切断用加工液に、平均粒径20μmの炭化ケイ素(商品
名GC#600、(株)フジミインコーポレーテッド
製)60kgを撹拌しながら添加し、混合して分散させ
ることにより切断用組成物1を調製した。次にオイルと
してイソパラフィン系の精製鉱物油48kgを翼式撹拌
機で撹拌しながら、無機系増粘剤2kg、非イオン系界
面活性剤5kg、防錆剤2kgおよび分散剤3kgを添
加し、混合分散させて切断用加工液を調製した。この切
断用加工液に、平均粒径20μmの炭化ケイ素(商品名
GC#600)60kgを撹拌しながら添加し、混合し
て分散させることにより切断用組成物2を調製した。さ
らに、平均分子量300のポリエチレングリコール60
kgを翼式撹拌機で撹拌しながら、平均粒径20μmの
炭化ケイ素(商品名GC#600)60kgを添加し、
混合して分散させることにより切断用組成物3を調製し
た。
【0039】<粘度変化率の測定>調製した切断用組成
物の粘度変化(チキソトロピー性)を下記のように測定
した。各組成物を25℃および30℃に保温した状態
で、回転粘度計のローター回転数が2rpmおよび20
rpmの際の粘度を測定し、20rpmの時の粘度を2
rpmのそれで除することにより、各切断用組成物の粘
度変化を求めた。
【0040】<切断試験>上記の切断用組成物を用いて
切断試験を行った。試験の条件は下記に示すとおりであ
った。切断条件 被加工物 シリコンインゴット(直径8インチ、長
さ150mm) 切断装置 ワイヤーソー ワイヤー径 180μm ワイヤー速度 6.5m/秒 切断速度 平均380μm/分 切断後、切り出されたウェーハを水にて洗浄および乾燥
した後、ウェーハ表面に残留した切断用組成物および切
削屑の有無を目視にて評価した。評価基準は下記に示す
とおりである。 ◎:切断用組成物および切削屑は残留していない。 ○:切断用組成物および切削屑はほとんど残留していな
い。 △:切断用組成物および切削屑は残留しているが、問題
とならないレベルである。 ×:切断用組成物および切削屑はかなり残留しており、
問題となるレベルである。
【0041】また、切断後のウェーハを薬剤および水で
十分に洗浄、乾燥した後、ウェーハ形状のパラメーター
であるTTVおよびWarpを測定した。TTV(Total
Thickness Variation)とは、電子デバイス用ウェーハ
の表面の平坦度を示すパラメーターであり、ウェーハを
チャッキングなどにより片面を完全な平坦にして基準面
とし、ウェーハ全面について基準面からの高さを測定
し、その最高高さから最低高さまでの距離のことであ
る。また、Warpとはウェーハのうねりを表すパラメ
ーターであり、ウェーハの裏面における3点基準面また
はベストフィット基準面を基準面とし、その基準面から
ウェーハ中心面の最大変位と最小変位の差のことであ
る。得られた結果は表1に示すとおりである。
【0042】表1 粘度変化率 加工精度(μm) 切断用組成物 洗浄性 25℃ 30℃ TTV Warp 1(本発明) ◎ 1.24 1.15 18.3 13.6 2(比較例) × 2.27 2.65 20.8 28.43(比較例) ◎ 1.92 2.13 19.9 24.0
【0043】得られた結果より、本発明の切断用組成物
は、オイルタイプの切断用組成物2に比べて洗浄性が著
しく改良されていることがわかる。また、本発明の切断
用組成物は、オイルタイプの切断用組成物2、および水
または粘性改良剤を添加していないグリコールタイプの
切断用組成物3に比べて、各温度における撹拌回転数変
化による粘度変化が小さく、温度変化による粘度変化率
の変動も小さくなっており、優れたチキソトロピーを示
すことがわかる。さらには、本発明の切断用組成物1
は、他の切断用組成物に比べて加工精度が改良されてい
ることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の切断用加工液または切断用組成
物は、固体材料の切断に用いたとき、リサイクル使用し
た場合においても粘度変化が小さく、チキソトロピー性
にも優れ、切断用組成物のまわりが良好であるために優
れた加工精度が得られるとともに、取り扱い性が容易で
あり、かつ切断後の材料に付着した切断用組成物や切断
屑に対する洗浄性、組成物中の砥粒の拡散性、ならびに
環境または人体に対する安全性に優れていること、さら
に、本発明の固体材料の切断方法は、良好な加工精度で
固体材料を切断することができて、材料の生産性を向上
させることができること、は[発明の概要]の項に前記
したとおりである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C10M 169/04 105:18 145:22 145:40) C10N 20:02 20:04 40:20 40:22 (72)発明者 横 山 英 樹 愛知県西春日井郡西枇杷島町地領二丁目1 番地の1 株式会社フジミインコーポレー テッド内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)ポリアルキレングリコールおよびそ
    の誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類のグ
    リコール化合物、(2)粘性改良剤、および(3)水を
    含んでなる切断用加工液であって、グリコール化合物の
    含有量が加工液の全重量を基準にして90重量%を超
    え、99.998重量%以下であることを特徴とする切
    断用加工液。
  2. 【請求項2】グリコール化合物が下記式(I)により表
    されるものである、請求項1に記載の切断用加工液。 R1−O−(CH2CH2O)n−R2 (I) ここで、R1およびR2はそれぞれ独立に水素、あるいは
    炭素数1〜4のアルキル基または炭素数2〜5のアシル
    基であり、nは5〜22の整数である。
  3. 【請求項3】グリコール化合物の平均分子量が300〜
    1000である、請求項1または2に記載の切断用加工
    液。
  4. 【請求項4】粘性改良剤が、有機高分子化合物である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の切断用加工液。
  5. 【請求項5】粘性改良剤が、ポリアクリル酸、ポリアク
    リルアミド、メチルセルロース、エチルセルロース、カ
    ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
    ス、およびヒドロキシプロピルセルロースからなる群か
    ら選ばれるものである、請求項4に記載の切断用加工
    液。
  6. 【請求項6】粘性改良剤が、高分子多糖類である、請求
    項4に記載の切断用加工液。
  7. 【請求項7】粘性改良剤が、無機高分子化合物である、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の切断用加工液。
  8. 【請求項8】粘性改良剤が、モンモリロン石群化合物か
    ら選ばれるものである、請求項7に記載の切断用加工
    液。
  9. 【請求項9】粘性改良剤の含有量が、加工液の全重量を
    基準にして0.001〜5重量%である、請求項1〜8
    のいずれか1項に記載の切断用加工液。
  10. 【請求項10】水の含有量が、加工液の全重量を基準に
    して0.001〜5重量%である、請求項1〜9のいず
    れか1項に記載の切断用加工液。
  11. 【請求項11】(1)ポリアルキレングリコールおよび
    その誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の
    グリコール化合物、(2)粘性改良剤、(3)水、およ
    び(4)砥粒を含んでなる切断用組成物であって、グリ
    コール化合物の含有量が、砥粒を除く組成物の重量を基
    準にして90重量%を超え、99.998重量%以下で
    あることを特徴とする切断用組成物。
  12. 【請求項12】砥粒が、炭化ケイ素、酸化アルミニウ
    ム、および酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる、
    請求項11に記載の切断用組成物。
  13. 【請求項13】切断用組成物の全重量を基準にして、砥
    粒の含有量が20〜80重量%である、請求項11また
    は12に記載の切断用組成物。
  14. 【請求項14】(1)ポリアルキレングリコールおよび
    その誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種類の
    グリコール化合物、(2)粘性改良剤、(3)水、およ
    び(4)砥粒を含んでなる切断用組成物であって、グリ
    コール化合物の含有量が、砥粒を除く組成物の重量を基
    準にして90〜99.998重量%である切断用組成物
    を用いて、固体材料を切断装置により切断することを特
    徴とする、固体材料の切断方法。
  15. 【請求項15】切断装置が、ワイヤーソー、内周刃切断
    装置、外周刃切断装置からなる群から選ばれるものであ
    る、請求項14に記載の切断方法。
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