JPH10259012A - ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10259012A
JPH10259012A JP9082193A JP8219397A JPH10259012A JP H10259012 A JPH10259012 A JP H10259012A JP 9082193 A JP9082193 A JP 9082193A JP 8219397 A JP8219397 A JP 8219397A JP H10259012 A JPH10259012 A JP H10259012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calcium
hap
hydroxyapatite
porous body
aggregate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9082193A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Suzuki
傑 鈴木
Osamu Takagi
修 高木
Noriyuki Yamamoto
則幸 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP9082193A priority Critical patent/JPH10259012A/ja
Publication of JPH10259012A publication Critical patent/JPH10259012A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】吸着能に優れ、機械的強度が高く、且つ空隙率
が大きく、多量の流体を短時間で通液することができる
HAp多孔体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】針状乃至六角柱状のヒドロキシアパタイト
からなる体積平均粒径が10〜500μmである凝集体
を焼結してなり、燐に対するカルシウムの原子比が1.
6以上であるヒドロキシアパタイト多孔体、並びに粒状
であり、嵩密度が0.2〜0.4g/cm3 であり、且
つ耐水圧強度が50〜500kg/cm2である前記ヒ
ドロキシアパタイト多孔体。燐に対するカルシウムの原
子比が1.6より小さい針状乃至六角柱状のヒドロキシ
アパタイトからなる体積平均粒径が10〜500μmで
ある凝集体を、前記原子比が1.6以上となる量のカル
シウム含有化合物と混合して、焼結するヒドロキシアパ
タイト多孔体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸着特性及び機械
的強度に優れた、空隙率の大きいヒドロキシアパタイト
多孔体及びその製造方法に関するものである。本発明の
ヒドロキシアパタイト多孔体は、タンパク質や核酸等の
生体高分子を分離する液体クロマトグラフィー用吸着剤
として特に有用である。
【0002】
【従来の技術】燐酸カルシウムの一種であるヒドロキシ
アパタイト(以下HApと略す)は、一般的に化学式
〔Ca10(PO4)6(OH)2 〕で表され、歯牙成分と同じ化学成
分であり、生体親和性に富んでおり、タンパク質や核酸
を吸着する性質を有している。このため、HApは生体
高分子分離用カラムクロマトグラフィー用吸着剤として
盛んに研究されている。
【0003】例えば、特開平3−65504号公報にお
いて、生体高分子分離用カラムクロマトグラフィー用吸
着剤として有用な六角柱状HAp結晶凝集体を湿式法で
得るための製造方法が開示されている。この方法で得ら
れる凝集体は、球状の粒子であり、吸着特性に優れ、カ
ラムに充填した時のカラム通液速度が大きい等の特長を
有するが、粒子の機械的強度が低いため、垂直方向に長
いカラムに充填した場合、カラム下部の粒子が自重によ
り圧迫されて破壊されてしまうという問題がある。
【0004】一方、機械的強度が大きい粒状物を得る方
法として焼結が知られているので、上記の凝集体を焼結
して高強度の粒状物を得ることが考えられるが、湿式法
で製造されたHApは、焼結が進行する程の高温度で加
熱されると、一部或いは全部が燐酸三カルシウム〔Ca
3(PO4)2、以下TCPと略す〕に変化してしまい、得ら
れたTCPは、HApに比較して生体高分子に対する吸
着力が格段に弱く、生体高分子用分離剤として利用でき
ないという問題がある。これは湿式法で得られたHAp
は、その原子比(Ca/P)が前記化学式における1.
67より小さく、約1.5であるためと考えられてい
る。
【0005】ヒドロキシアパタイトの焼結体に関する公
知文献として特開平1−230413号公報「球形ヒド
ロキシアパタイト焼結体の製造方法、並びに該球形ヒド
ロキシアパタイト焼結体からなるクロマトグラフィ用充
填剤」がある。この公知文献に記載された焼結体は、H
Ap微粒子を水又は有機溶媒中に分散せしめた懸濁液を
500℃以上の加熱帯域中に噴霧することにより得られ
たものであり、このとき加熱帯域中に噴霧されるHAp
微粒子の好ましい粒径は、良好な分散状態を得るために
1μm以下であり、得られる焼結体粒子は0.5〜数1
0μmの粒径を有する粒状物である。しかし、この方法
は噴霧乾燥法に基づくものであるので、カラム充填剤と
して使用可能な大きな粒径を有する粒状物の収率が低い
という問題や、得られる粒状物は貫通孔が少ないため
に、これをカラムに充填したときのカラム通液速度が小
さいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、吸着
能に優れ、機械的強度が高く、且つ空隙率が大きく、多
量の流体を短時間で通液することができるHAp多孔体
及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、針状乃至六角柱状のHAp凝集体を焼結すること
により、優れたHAp多孔体を得ることを見出し、本発
明を完成するに至った。即ち、本発明は、針状乃至六角
柱状のヒドロキシアパタイトからなる体積平均粒径が1
0〜500μmである凝集体を焼結してなり、燐に対す
るカルシウムの原子比が1.6以上であることを特徴と
するヒドロキシアパタイト多孔体(1);粒状であり、
嵩密度が0.2〜0.4g/cm3 であり、且つ耐水圧
強度が50〜500kg/cm2 であることを特徴とす
る前記ヒドロキシアパタイトの多孔体(2);及び燐に
対するカルシウムの原子比が1.6より小さい針状乃至
六角柱状のヒドロキシアパタイトからなる体積平均粒径
が10〜500μmである凝集体を、前記原子比が1.
6以上となるようにカルシウム含有化合物を混合して、
焼結することを特徴とする前記ヒドロキシアパタイト多
孔体(1)及び(2)の製造方法である。
【0008】○ヒドロキシアパタイト 本発明におけるヒドロキシアパタイトは針状乃至六角柱
状であり、この凝集体を焼結の原料として用いる。好ま
しいヒドロキシアパタイトは、後述するカルシウム含有
化合物を混合して焼結することにより、優れた焼結体が
得られることから、燐に対するカルシウムの原子比が
1.6より小さいものである。本発明におけるヒドロキ
シアパタイト凝集体を得る方法は公知であり、好ましい
製法として、特開平3−65504号公報に開示された
製法がある。即ち、針状乃至六角柱状のモネタイトと水
酸化カリウム及び/又は水酸化リチウムを加熱下に反応
させるヒドロキシアパタイトの製造方法である。この時
の好ましい反応温度は75℃以上且つ100℃以下であ
り、より好ましくは90℃以上且つ100℃以下であ
る。この方法により得られるHAp凝集体は、焼結後
に、その内部においてはHAp結晶間の強固な結合を形
成するが、凝集体間においてはHAp結晶の結合が形成
されず、凝集体の熔着が起こらず、凝集体と殆ど同じ平
均粒径の粒状焼結体を得ることができるという特徴があ
る。これは、上記の方法により得られる凝集体における
HAp結晶は、単に寄せ集められた状態ではなく、多数
のHAp結晶が互いに交差しながら結晶成長することに
起因して、HAp結晶の一部が交差点で共有され、HA
p結晶間に既に結合力が作用しているためと考えられ
る。
【0009】本発明における凝集体の体積平均粒径(以
下、単に平均粒径と略す)は10〜500μmであり、
好ましくは30〜100μmである。もし、この平均粒
径が10μm未満であると、焼結後の多孔体は空隙率が
小さく、カラム充填剤として使用したときに高流速が得
られないという問題があり、この平均粒径が500μm
より大きいと、焼結後の多孔体は空隙率が大き過ぎるた
め、本発明の多孔体の機械的強度が小さくなるという問
題がある。
【0010】○カルシウム含有化合物 本発明におけるカルシウム含有化合物は、本発明におけ
るヒドロキシアパタイト凝集体の焼結に際して結合剤と
して用いる成分である。好ましいカルシウム含有化合物
は、本発明における凝集体の焼結温度で焼成した時に、
酸化カルシウム含有率が95重量%以上となる化合物で
ある。好ましいカルシウム含有化合物として、例えば塩
化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硝
酸カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、アク
リル酸カルシウム塩等の有機酸カルシウム塩、カルシウ
ムを含有する有機包接化合物、カルシウムを有する有機
錯体等がある。特に好ましいカルシウム化合物は、硝酸
カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム等の化
合物であり、これらの化合物を用いる際は、水溶液又は
水分散液としてHApと混合するのが良い。水溶液又は
水分散液の好ましいpHは2以上である。pHが2未満
の場合、HApが溶解してしまう恐れがある。
【0011】○混合 カルシウム含有化合物の添加量は、HAp中のカルシウ
ムと合算して燐に対するカルシウムの原子比が1.6以
上となる量である。又、好ましいカルシウム含有化合物
の添加量は、HApとの混合物において燐に対するカル
シウムの原子比が1.8以下となる量である。カルシウ
ム含有化合物の添加量が不足すると、三燐酸カルシウム
(TCP)が生成してしまい、本発明の多孔体は吸着剤
としての性能が著しく劣化する。一方、カルシウム含有
化合物の添加量が多すぎると、TCPの生成は抑制され
るが、微粒子状の酸化カルシウムが生成するため、本発
明の多孔体を液体クロマトグラフィー用吸着剤として利
用する場合、カラムに充填して水溶液と接触させる分離
操作を行うと、カラム内から水酸化カルシウムが白濁物
として流出し、この白濁物が分離液の分光分析において
大きな測定誤差を生み出す原因となり、分離性能を著し
く阻害する。本発明におけるHApとカルシウム含有化
合物を混合する際、湿式法で混合すると組成が均一な混
合物を容易に得ることができ、HApと分散剤からなる
スラリーをボールミル等で1時間〜4時間程度混合する
ことが望ましい。その際の好ましい分散剤は、酢酸アン
モニウム等のカルボン酸アンモニウム塩である。
【0012】○焼結 本発明におけるHApとカルシウム含有化合物からなる
混合物を、そのまま或いは所望の形状に成形した後、焼
結することにより本発明の多孔体を得ることができる。
成形体の形状に特に制限はなく、球状、楕円体状、円盤
状、板状、棒状、角柱状、円柱状、角柱状、円筒状、サ
イコロ状等の任意の形状に成形できる。又、カラムの内
径に合わせて成形した多孔体は、そのままカラムに装填
できるため、カラム充填の手間が省け、非常に扱いが容
易となる。更に又、上記各種の成形体を他の耐熱性セラ
ミックスと複合化して焼結することにより、上記の種々
の形状を有する多孔体の複合体を得ることもできる。成
形方法に特に制限はないが、スラリーを用いる成形法、
例えば鋳込み成型法(スリップキャスティング法)が望
ましく、その他プレス成形法、ロール成形法等の方法が
ある。
【0013】好ましい焼結温度は1000〜1300℃
である。1000℃未満だと、得られる焼結体の強度が
低いか、高強度の焼結体を得るのに時間がかかる。又、
焼結温度が1300℃より高いと、融着が進みすぎて、
空隙率が大きい多孔体を得ることが困難となる恐れがあ
る。
【0014】○粒状化 本発明の多孔体は、特に液体クロマトグラフィー用吸着
剤として有用であり、通常この用途には粒状化した多孔
体を用いるのが良い。粒状物の好ましい平均粒径は、1
0〜500μmであり、より好ましくは10〜300μ
mである。本発明の多孔体を粒状化する方法に特に制限
はなく、例えば予め粒状に成形したものを焼結したり、
適当な形に成形したものを焼結した後に粉砕等の方法に
より粒状化することができる。尚、上述したように、特
開平3−65504号公報に記載された湿式法によりH
Ap凝集体を調製した場合には、凝集体内部においては
焼結が起こるが、凝集体間には焼結が起きないので、湿
式法で得られた凝集体をそのまま焼結すれば、機械的強
度が格段に向上した粒状物を得ることができる。空隙率
の大きな粒状物を容易に得る方法として、パルプ、綿、
炭素繊維又はスポンジ等の可燃物の多孔体に本発明にお
けるHAp凝集体スラリーを含浸させたものを焼結する
方法もある。
【0015】○多孔体の特性及び用途 本発明の多孔体は、生体高分子に対する吸着特性に優れ
ている他、粒状体とした時の嵩密度が小さいこと、耐水
圧強度が大きいこと及びカラム通液速度が大きいこと、
更に耐薬品性が高いことが特長である。 ・嵩密度 (嵩密度の測定方法)本発明の多孔体を純水中に分散さ
せた10重量%のスラリーを調製し、このスラリーを直
径1cmの円筒状カラムに、静置後(通常、静置時間は
2時間で良い)における充填物の高さが5cmとなるよ
うに入れ、その後スラリーをカラムから抜き出し、11
0℃で24時間乾燥した後の重量w(g)を測定して、
嵩密度Xを下式により算出する。 X=w/3.9(g/cm3
【0016】・耐水圧強度 一般に粒状物を充填したカラムに液体を通し、徐々に流
速を上昇させていくと、液体の流速がある流速に達する
とカラム内液体の圧力は急激に上昇する。このようなカ
ラム内液体の急激な圧力上昇は、カラムに充填された粒
状物が潰れ、液体の通路を塞いでしまうためである。従
って、この現象を利用して粒状物の機械的強度を評価す
ることができる。本発明において、内径1cmの円筒状カ
ラムに0.5gの粒状HAp多孔体を充填し、流速を1
分当たり1(ml/min)増加させながら水圧の変化を測定
し、水圧が急激に上昇したときの水圧を耐水圧強度とす
る。本発明の多孔体は耐水圧強度が20〜500kg/
cm2であり、好ましくは80〜500kg/cm2であ
る。耐水圧強度が80kg/cm2以上の多孔体は、高
速液体クロマトグラフィー用充填剤として使用可能であ
る。
【0017】・カラム通液速度 本発明の多孔体を純水中に分散させた10重量%のスラ
リーを調製し、このスラリーを直径1cmの円筒状カラ
ムに、静置後(通常、静置時間は2時間で良い)におけ
る充填物の高さが5cmとなるように入れ、充填物の上
面と純水の液面との差を5cmに維持しながら純水を通液
したときに通液速度が略一定になってから1時間通液
し、その1時間の間通液した量(ml)を60で除して1
分当たりの通液量を算出する。
【0018】・耐薬品性 一般に、DNA溶液を分離対象として液体クロマトグラ
フィーを行う際、溶液中に不純物として混入している金
属を除去してDNAを安定化させるために、クエン酸や
EDTA等のキレート剤が添加される。しかし、通常の
HApはキレート剤との接触により本来の優れた吸着特
性が損なわれるので、キレート剤を含有するDNA溶液
を透析してキレート剤を除去している。又、通常のHA
pは酸性溶液との接触によっても化合物の変質が起こ
り、引いては吸着特性が劣化することがある。一方、本
発明の多孔体におけるHApは、化学的に安定な結晶で
あるので、耐薬品性に優れており、クエン酸水溶液や塩
酸等の液体と接触させても本発明の多孔体は殆ど分解や
変質が起こらず、機械的強度等の物理的特性は勿論のこ
と、吸着特性等の化学的特性も劣化することはない。
【0019】・用途 本発明の多孔体は液体クロマトグラフィー用吸着剤とし
特に有用であり、その他生体高分子のフィルターとして
も有用である。吸着の対象として好ましい生体高分子
は、塩基性蛋白質、チトクロームC、抗体及び塩化リゾ
チーム等である。
【0020】
【発明の実施の態様】次に本発明を実施例により具体的
に説明する。
【0021】
【実施例】
【0022】〔参考例〕HAp凝集体を以下のようにし
て合成した。即ち、攪拌機、冷却管を付帯した3l フラ
スコに純水1l を仕込み、95℃に加熱した後、0.5
モル/l の塩化カルシウム水溶液と0.5モル/l の燐
酸二ナトリウム水溶液各1l を5時間かけて滴下し、六
角柱状結晶のモネタイトからなる凝集体を得た。引き続
き、同温度で1モル/l の水酸化カリウム水溶液300
mlを1時間かけて滴下し、六角柱状結晶からなり、平均
粒径が80μmであるHAp凝集体を得た。尚、得られ
たHApにおける燐に対するカルシウムの原子比は1.
5であった。
【0023】〔実施例1〕硝酸カルシウム4水和物(分
子量236)0.25g(酸化カルシウムに換算して1ミ
リモル)を純水に溶解した100mlの水溶液を調製し、
この水溶液に参考例で調製した柱状HAp(分子量100
4)からなる凝集体10g(10ミリモル)を添加し、
スラリーを調製した。このスラリーをボールミルで1時
間混合後、110℃で乾燥したものを1200℃で4時
間焼成し、燐に対するカルシウムの原子比が1.6であ
るHAp多孔体(平均粒径80μm)を得た。上記のよ
うにして得た多孔体は、粉末X線回折においてHApの
みの回折が認められるものであり、凝集体間の溶着が全
く起こらず、焼成直後において焼成前の粒径を維持した
粒状物であった。
【0024】〔実施例2〕硝酸カルシウム4水和物を
0.50g(酸化カルシウムに換算して2ミリモル)用
いた以外は実施例1と同様にして、燐に対するカルシウ
ムの原子比が1.6である粒状HAp多孔体(平均粒径
80μm)を得た。上記のようにして得た多孔体は、粉
末X線回折においてHApのみの回折が認められるもの
であり、凝集体間の溶着が全く起こらず、焼成直後にお
いて焼成前の粒径を維持した粒状物であった。
【0025】〔比較例1〕硝酸カルシウム4水和物を用
いない点以外は実施例1と同様にして、粒状多孔体を得
た。但し、得られた粒状多孔体は、粉末X線回折図にお
いて、殆どTCPのみが認められるものであった。
【0026】〔比較例2〕柱状に代えて板状のHAp凝
集体を用いた以外は実施例1と同様にして、粒状HAp
多孔体を得た。但し、焼成直後において僅かにHAp凝
集体間が溶着していたので、軽く粉砕して、平均粒径1
00μmの粒状物とした。
【0027】〔比較例3〕所謂噴霧溶融法により、以下
のように粒状HAp多孔体を調製した。粒径が0.2μ
m以下のHApの非晶質微粒子をメタノールと水の1:
1の混合溶液に分散して、濃度1mol/l のHApスラリ
ーを調製した。次いで、このHApスラリーと圧縮空気
を二流体ノズルに供給してバーナーによる火炎中に噴霧
した。HApスラリー中のメタノールの燃焼熱と火炎の
熱とによって噴霧により生じたHApスラリーの微小球
は瞬間的に約600℃に加熱されてHAp微粒子が焼結
され、1〜16μmの粒径の粒状HAp多孔体を得た。
尚、得られた粒状HAp多孔体における燐に対するカル
シウムの原子比は1.6であった。
【0028】○評価試験 上記のようにして得た粒状物に対して、吸着試験、嵩密
度測定試験、通液試験、耐水圧試験及び耐薬品性試験を
行なった。以下に各試験方法とその結果を説明する。
【0029】(1)吸着試験 蛋白質の一種である塩化リゾチームを10mM燐酸ナトリ
ウム緩衝液(pH6.8)に溶かした後、更に10mM燐
酸ナトリウム溶液で透析してから、蛋白質濃度を5mg/m
l に調整した蛋白質溶液を調製した。粒状物1gに上記
の蛋白質溶液10mlを添加し、10℃2時間振盪した後
に、カラムに充填し、10mM燐酸ナトリウム緩衝液(p
H6.8)で洗浄する。カラム出口からの流出液をUV
モニターで観察して、蛋白質に固有な信号(OD280nm
)が認められなくなった時点で洗浄を終えた。次に、
300mM燐酸ナトリウム緩衝液をカラムに流し、粒状物
に吸着していた蛋白質を溶出させ、洗浄時と同様にUV
モニターで蛋白質に固有な信号を測定した。検量線に基
いて信号から求めた蛋白質濃度と溶出量から、粒状物に
吸着していた蛋白質の全量を算出し、その結果をHAp
1g当たりの吸着量として表1に示した。
【0030】
【表1】 ────────────────────────── HAp1g当たりの蛋白質吸着量(mg) ────────────────────────── 実施例1 21 実施例2 25 比較例1 1 比較例2 12 比較例3 21 ──────────────────────────
【0031】表1において、比較例1と比較例2の粒状
物に比較して、実施例1、2及び比較例3の粒状物は蛋
白質吸着量が多いことが明らかである。比較例1の粒状
物は、焼結の際にHApが熱分解してTCPに変化した
ため、吸着特性が著しく劣化してしまったものであり、
比較例2の粒状物は、焼結の際に板状HApが重なりあ
った空隙率の小さい焼結体になってしまい、通液性が著
しく低下した結果、吸着特性が劣化したものである。
【0032】(2)嵩密度測定試験 実施例2と比較例3で得た粒状物について、以下のよう
に嵩密度を測定した。粒状物を純水中に分散させた10
重量%のスラリーを調製し、このスラリーを直径1cm
の円筒状カラムに、静置後における充填物の高さが5c
mとなるように入れ、その後スラリーをカラムから抜き
出し、110℃で24時間乾燥した後の重量w(g)を
測定して、嵩密度Xを下式により算出した。 X=w/3.9(g/cm3 ) 試験結果を下記表2に示した。この表から、本発明の粒
状多孔体は、極めて嵩密度が小さいことがわかる。
【0033】
【表2】 ──────────────── 粒状物 嵩密度 (g/cm3) ──────────────── 実施例2 0.268 比較例3 0.515 ────────────────
【0034】HApの真密度は3.14〜3.17g/cm
3 であり、粒子の沈降による充填物の空隙率は通常50
〜80%(粒子が占める体積率は20〜50%)である
ことが知られていることから、上表2の結果から、粒状
物の見掛け密度と相対密度を推算すると、下記表3のよ
うになり、この結果は、本発明の粒状多孔体が極めて空
隙率が大きいものであることを示唆している。
【0035】
【表3】 ────────────────────────── 粒状物 見掛け密度 (g/cm3) 相対密度 (%) ────────────────────────── 実施例2 0.536 〜 1.340 17〜 43 比較例3 1.030 〜 2.575 32〜 82 ──────────────────────────
【0036】(3)通液試験 実施例2と比較例3で得た粒状物について、以下のよう
にして通液試験を行った。粒状物を純水中に分散させた
10重量%のスラリーを調製し、このスラリーを直径1
cmの円筒状カラムに、静置後における充填物の高さが
5cmとなるように入れ、充填物の上面と純水の液面と
の差を5cmに維持しながら純水を通液した。通液速度が
略一定になってから1時間通液し、その1時間の間通液
した量(ml)を60で除して1分当たりの通液量を算出
し、その結果を下記表4に示した。
【0037】
【表4】 ──────────────── 粒状物 通液速度 (ml/min) ──────────────── 実施例2 0.10 比較例3 0.06 ────────────────
【0038】(4)耐水圧試験 参考例で得た凝集体(未焼結体)と実施例2で得た粒状
物(焼結体)について、以下のようにして耐水圧試験を
行った。内径1cmの円筒状カラムに0.5gの凝集体又
は粒状物を充填し、流速を1分当たり1(ml/min)増加さ
せながら水圧の変化を測定し、水圧が急激に上昇したと
きの水圧を測定した。試験結果を下記表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】上記表5の結果から、粒状物は焼結により
機械的強度が格段に向上したことが明らかである。
【0041】(5)耐薬品性試験 下記の試験液2種を調製し、各試験液100mlに1gの
粒状多孔体を添加し、ポリエチレン製瓶中で40℃1時
間振盪する。 試験液A:NaOHでpH値を7 に調整した5mMクエン酸水
溶液 試験液B:pH値を3 に調整した塩酸水溶液 その後、フィルターで粒状多孔体を濾別し、濾液中のカ
ルシウム濃度をICP発光光度分析法にて測定した。濾
液中のカルシウム濃度及びこの濃度と試験液量から算出
されるカルシウムの溶出量を試験前の多孔体のCa含有
量で除した値で表される溶出度(重量百分率)を下記表
6に示した。
【0042】
【表6】
【0043】上記表6の結果から本発明の多孔体は、比
較例1と3と比較して溶出度が約10分の1に過ぎず、
耐薬品性に格段に優れていることが明らかである。
【0044】
【発明の効果】本発明のHAp多孔体は、特に生体高分
子に対する吸着特性に優れている他、空隙率が大きく、
その粒状体は嵩密度が小さく、カラム充填したときの通
液速度が大きいという特徴があり、更に耐水圧強度及び
耐薬品性に優れている。従って、本発明の粒状多孔体
は、特に液体クロマトグラフィー用充填剤として有用で
ある。これにより、従来困難とされていた、HApによ
る生体高分子の工業的な利用(スケールアップ)も飛躍
的に容易となる。更に分析レベルにおいても分取レベル
においても高流速(高性能)液体クロマト(HPLC)
が容易になる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】針状乃至六角柱状のヒドロキシアパタイト
    からなる体積平均粒径が10〜500μmである凝集体
    を焼結してなり、燐に対するカルシウムの原子比が1.
    6以上であることを特徴とするヒドロキシアパタイト多
    孔体。
  2. 【請求項2】粒状であり、嵩密度が0.2〜0.4g/
    cm3 であり、且つ耐水圧強度が50〜500kg/c
    2 であることを特徴とする請求項1記載のヒドロキシ
    アパタイト多孔体。
  3. 【請求項3】燐に対するカルシウムの原子比が1.6よ
    り小さい針状乃至六角柱状のヒドロキシアパタイトから
    なる体積平均粒径が10〜500μmである凝集体を、
    前記原子比が1.6以上となる量のカルシウム含有化合
    物と混合して、焼結することを特徴とする請求項1又は
    請求項2記載のヒドロキシアパタイト多孔体の製造方
    法。
JP9082193A 1997-03-14 1997-03-14 ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法 Pending JPH10259012A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9082193A JPH10259012A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9082193A JPH10259012A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10259012A true JPH10259012A (ja) 1998-09-29

Family

ID=13767604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9082193A Pending JPH10259012A (ja) 1997-03-14 1997-03-14 ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10259012A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006242921A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Pentax Corp 金属イオンの除去方法、吸着剤の再生方法および吸着装置の再生方法
JP2007139651A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Pentax Corp カラム
WO2012063044A1 (en) * 2010-11-11 2012-05-18 Lucite International Uk Limited A process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006242921A (ja) * 2005-03-07 2006-09-14 Pentax Corp 金属イオンの除去方法、吸着剤の再生方法および吸着装置の再生方法
JP2007139651A (ja) * 2005-11-21 2007-06-07 Pentax Corp カラム
JP4732868B2 (ja) * 2005-11-21 2011-07-27 Hoya株式会社 カラム
WO2012063044A1 (en) * 2010-11-11 2012-05-18 Lucite International Uk Limited A process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor
CN103209764A (zh) * 2010-11-11 2013-07-17 璐彩特国际英国有限公司 用于生产烯键式不饱和羧酸或酯的方法及其催化剂
JP2014508101A (ja) * 2010-11-11 2014-04-03 ルーサイト インターナショナル ユーケー リミテッド エチレン性不飽和カルボン酸またはエステルを製造するためのプロセスおよびそのための触媒
AU2011327947B2 (en) * 2010-11-11 2016-05-05 Lucite International Uk Limited A process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor
US9346739B2 (en) 2010-11-11 2016-05-24 Lucite International Uk Limited Process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor
US20160228857A1 (en) * 2010-11-11 2016-08-11 Lucite International Uk Limited Process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor
TWI547312B (zh) * 2010-11-11 2016-09-01 盧希特國際公司 製造烯烴不飽和羧酸或酯之方法及用於該方法之觸媒
US9782756B2 (en) 2010-11-11 2017-10-10 Lucite International Uk Limited Process for the production of ethylenically unsaturated carboxylic acids or esters and a catalyst therefor

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5043436B2 (ja) セラミック粒子群およびその製造方法並びにその利用
JP4980918B2 (ja) 金属−有機骨格を含む成形体
JP6752724B2 (ja) 球状多孔質ヒドロキシアパタイト吸着剤及びその方法
JP5361006B2 (ja) ゼオライトをベースとする球状アグロメレート、これらのアグロメレートの製造方法および吸着プロセスならびに触媒におけるこれらのアグロメレートの使用
KR20110098949A (ko) 기하학적 촉매 성형체 k의 연속적 제조 방법
EP0511544B1 (en) Novel SOx/NOx sorbent
JP6153204B2 (ja) 造粒物及びその製造方法
JP3799678B2 (ja) 高強度低摩耗性ゼオライト粒状物、その製造方法及びそれを用いた吸着分離方法
JP2005512070A (ja) ヒドロキシアパタイトが充填された細孔を有する酸化鉱物ビーズからなる複合クロマトグラフィー吸着媒
JPH10259012A (ja) ヒドロキシアパタイト多孔体及びその製造方法
JP2005313150A (ja) リン酸カルシウム系吸着剤及びその製造方法
JP3092477B2 (ja) 粒状活性炭及びその製造方法
JP7313922B2 (ja) ヨウ化物イオン吸着剤及びその製造方法
JP3376826B2 (ja) 板状炭酸カルシウム系の球状複合体およびその製造方法
JPH04175213A (ja) 多孔質球状アパタイト粒子の製造方法
US3411888A (en) Agglomeration of naturally occurring zeolites
JP2018015743A (ja) 光触媒
JPH11246214A (ja) A型ゼオライトビーズ成形体及びその製造方法
JP2021070619A (ja) 生産方法およびハイドロキシアパタイトの粒子
WO2023170925A1 (ja) 吸着剤および吸着装置
JP7133747B1 (ja) 吸着剤および吸着剤の製造方法
JP5847584B2 (ja) 粉体、粉体の製造方法、吸着装置
JPH08198610A (ja) Oh基炭酸水酸アパタイトを用いたカラム剤
JP4517406B2 (ja) 低シリカx型ゼオライトビーズ成形体及びその製造方法
JP3352757B2 (ja) 液体クロマトグラフィー用充填剤