JP7133747B1 - 吸着剤および吸着剤の製造方法 - Google Patents

吸着剤および吸着剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを有する吸着剤、および、かかる吸着剤を製造することができる吸着剤の製造方法を提供すること【解決手段】本発明の吸着剤は、カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成されるものであり、前記粉体は、細孔を備える多孔質体で構成され、前記粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、前記粉体の平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であり、前記粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足する。

Description

本発明は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを有する吸着剤、および、かかる吸着剤を製造する吸着剤の製造方法に関する。
近年、ハイドロキシアパタイトは、例えば、生体適合性が高く安全性に優れる等の理由から、抗体、ワクチンのようなバイオ系医薬品等を精製・単離する際に用いられる、クロマトグラフィーの固定層用材料すなわち吸着剤として、広く使用されている。
このようにクロマトグラフィーの固定層用材料として使用されるハイドロキシアパタイト(HAP)は、例えば、次のようにして製造される。
すなわち、水酸化カルシウムを含有する第1の液とリン酸を含有する第2の液とを、攪拌しつつ反応させることによりハイドロキシアパタイトの一次粒子を得、この一次粒子およびその凝集体を含有するスラリーを乾燥して、これらを造粒することにより、ハイドロキシアパタイトを、その二次粒子(粉体)として得る。
そして、この粉体(乾燥粉体)を焼成することにより、焼結された焼結粉体が得られ、未焼成の粉体または焼結粉体を、カラム(吸着装置)等に充填して、固定層用材料(吸着剤)として使用される(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、以上のような吸着装置において、吸着剤として焼結粉体を用いる場合、吸着剤すなわち焼結粉体の耐久性、および、精製・単離すべき前記バイオ医薬品すなわち吸着物質の吸着能に、バラツキを有しているのが実情であった。したがって、これらのバラツキに起因して、吸着物質を精製・単離する均一なカラム性能を、この吸着剤を備える吸着装置に付与することができなかったり、吸着剤の耐久性に不均一性を招くと言った問題が生じる。本発明者は、このような問題があることを発見した。
特開2011-68539号公報
本発明の目的は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを有する吸着剤、および、かかる吸着剤を製造することができる吸着剤の製造方法を提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(19)に記載の本発明により達成される。
(1) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成される吸着剤であって、
前記粉体は、細孔を備える多孔質体で構成され、
前記粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
前記粉体の平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であり、
前記粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
これにより、焼結粉体は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮する。
(2) 前記粉体の比表面積が41m/g以上51m/g以下である上記(1)に記載の吸着剤。
これにより、単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させるのに必要な表面積を、焼結粉体が有していると言うことができる。したがって、焼結粉体を、吸着物質のより向上した吸着能を備えるものとすることができる。
(3) 前記カラム1mL当たりの前記粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下である上記(1)に記載の吸着剤。
これにより、単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させるのに必要な表面積を、焼結粉体が有していると言うことができる。したがって、焼結粉体を、吸着物質のより向上した吸着能を備えるものとすることができる。
(4) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された焼結粉体で構成された吸着剤であって、
前記焼結粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
前記焼結粉体の比表面積が41m/g以上51m/g以下であり、
前記焼結粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
これにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体に確実に吸着させ得ることができる。また、単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させるのに必要な表面積を、焼結粉体が有していると言うことができる。したがって、焼結粉体を、吸着物質のより向上した吸着能を備えるものとすることができる。
(5) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成された吸着剤であって、
前記粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
前記カラム1mL当たりの前記粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下であり、
前記粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
これにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体に確実に吸着させ得ることができる。また、単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させるのに必要な表面積を、焼結粉体が有していると言うことができる。したがって、焼結粉体を、吸着物質のより向上した吸着能を備えるものとすることができる。
(6) 前記最頻細孔径の頻度が21.0%以上60.0%以下である上記(1)、(3)又は(5)のいずれかに記載の吸着剤。
これにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体により確実に吸着させ得ることができる。
(7) 前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径付近の山型波形の半値幅が1.0nm以上10.0nm以下である上記(1)、(3)又は(5)に記載の吸着剤。
これにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体により確実に吸着させ得ることができる。
(8) 前記細孔の平均細孔径が、37.0nm以上75.0nm以下である上記(1)、(3)又は(5)に記載の吸着剤。
これにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体により確実に吸着させ得ることができる。
(9) 前記粉体は、480℃以上645℃以下で焼成された焼結粉体である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の吸着剤。
これにより、生成された焼結粉体を、比較的容易に、平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であることを満足し、かつ、焼結粉体が備える細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足するものとし得ことから、この焼結粉体は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮する。
(10) 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
前記第1工程により調製された前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成することで前記粒子の焼結粉体を得る第2工程とを有し、
前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
これにより、得られた焼結粉体は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮する。
(11) 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
前記第1工程により得られた前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成して前記粒子が焼成された焼結粉体を得る第2工程とを有し、
前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、比表面積が41m/g以上51m/g以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
これにより、得られた焼結粉体は、吸着物質の向上した吸着能を発揮する。
(12) 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
前記第1工程により得られた前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成して前記粒子が焼成された焼結粉体を得る第2工程とを有し、
前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、カラムに充填した際の前記カラム1mL当たりの前記焼結粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
これにより、得られた焼結粉体は、吸着物質の向上した吸着能を発揮する。
(13) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成された吸着剤であって、
前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速150cm/hおよび流速300cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、A(mg/mL)およびD(mg/mL)としたとき、A≧31mg/mL以上かつ0.60≦D/A≦1.00であること、および、0.60≦D/A≦0.92であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
これにより、焼結粉体は、このものに対する抗体の吸着量が、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速非依存性を示すと言うことができる。よって、焼結粉体を吸着剤として備える吸着装置を用いた抗体の単離・精製時において、吸着装置に対して抗体を含む試料液を供給する際に、一定の速度で試料液を供給することができず、その初期段階や、最終段階においてバラツキが生じたとしても、一定領域の吸着量で焼結粉体に対して抗体を確実に吸着させることができる。
(14) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された粉体で構成された吸着剤であって、
前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速200cm/hおよび流速300cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、B(mg/mL)およびD(mg/mL)としたとき、B≧30mg/mL以上かつ0.75≦D/B≦1.00であること、および、0.75≦D/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
これにより、焼結粉体は、このものに対する抗体の吸着量が、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速非依存性を示すと言うことができる。よって、焼結粉体を吸着剤として備える吸着装置を用いた抗体の単離・精製時において、吸着装置に対して抗体を含む試料液を供給する際に、一定の速度で試料液を供給することができず、その初期段階や、最終段階においてバラツキが生じたとしても、一定領域の吸着量で焼結粉体に対して抗体を確実に吸着させることができる。
(15) カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された粉体で構成された吸着剤であって、
前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速200cm/hおよび流速250cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、B(mg/mL)およびC(mg/mL)としたとき、B≧30mg/mL以上かつ0.89≦C/B≦1.00であること、および、0.89≦C/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
これにより、焼結粉体は、このものに対する抗体の吸着量が、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速非依存性を示すと言うことができる。よって、焼結粉体を吸着剤として備える吸着装置を用いた抗体の単離・精製時において、吸着装置に対して抗体を含む試料液を供給する際に、一定の速度で試料液を供給することができず、その初期段階や、最終段階においてバラツキが生じたとしても、一定領域の吸着量で焼結粉体に対して抗体を確実に吸着させることができる。
(16) 前記粉体が吸着剤として乾式充填された前記カラム(φ4.0×100mm)に対して、下記表1に示すステップNo.順に、各バッファーを送液し、そして、下記表1におけるステップNo.1~5までを1サイクルとして、前記カラム内の圧力が200psiを超えるまで、前記サイクルを繰り返して実施する前記粉体の耐久性試験を行ったとき、繰り返された前記サイクル数は、60サイクル以上である上記(13)ないし(15)のいずれかに記載の吸着剤。
Figure 0007133747000001
このように、焼結粉体は、この耐久性試験におけるサイクル数を、60サイクル以上実施することができるため、向上した耐久性を発揮すると言うことができる。
(17) 前記吸着物質は、抗体である上記(13)ないし(15)のいずれかに記載の吸着剤。
本発明の吸着剤では、抗体が吸着物質として好適に選択される。
本発明の吸着剤は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを有する。また、本発明の吸着剤の製造方法は、そのような吸着剤を製造することができる。
本発明の吸着剤を備える吸着装置の一例を示す縦断面図である。 本発明の吸着剤の製造方法を示すフローチャートである。 各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体に対するbIgGの吸着量A~Dと、試料液の流速との関係を示すグラフである。
以下、本発明の吸着剤および吸着剤の製造方法を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の吸着剤および吸着剤の製造方法を説明するのに先立って、本発明の吸着剤を備える吸着装置(分離装置)の一例について説明する。
<吸着装置>
図1は、本発明の吸着剤を備える吸着装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「流入側」、下側を「流出側」と言う。
ここで、流入側とは、分離すべきバイオ医薬品等すなわちタンパク質等の単離物としての吸着物質を分離(精製)する際に、例えば、試料液(吸着物質を含む液体)、溶出液であるリン酸系緩衝液や水等の液体を、吸着装置内に供給する側のことを言い、一方、流出側とは、前記流入側と反対側、すなわち、前記液体が吸着装置内から流出する側のことを言う。
タンパク質等の単離物(吸着物質)を試料液から分離(精製)する、図1に示す吸着装置1は、カラム2と、粒状の吸着剤3(充填剤)と、2枚のフィルタ部材4、5とを有している。
カラム2は、カラム本体21と、このカラム本体21の流入側端部および流出側端部に、それぞれ装着される蓋部22(第1ポート)および蓋部23(第2ポート)とを有している。
カラム本体21は、例えば円筒状の部材で構成されている。カラム本体21を含めカラム2を構成する各部(各部材)の構成材料としては、例えば、各種ガラス材料、各種樹脂材料、各種金属材料、各種セラミックス材料等が挙げられる。
カラム本体21には、その流入側開口および流出側開口を、それぞれ塞ぐようにフィルタ部材4、5を配置した状態で、その流入側端部および流出側端部に、それぞれ蓋部22、23が装着されている。
このような構成のカラム2では、カラム本体21と、各フィルタ部材4、5とにより、吸着剤充填空間20が画成されている。また、カラム本体21と、蓋部22、23とにより、吸着剤充填空間20における液密性が確保されている。そして、この吸着剤充填空間20の少なくとも一部に(本実施形態では、ほぼ満量で)、吸着剤3が充填されている。
吸着剤充填空間20の内径(カラム内径)は、試料液の容量に応じて適宜設定され、特に限定されないが、例えば、3.0mm以上70.0mm以下程度が好ましく、5.0mm以上50.0mm以下程度がより好ましい。すなわち、吸着剤充填空間20の内径は、その下限値が、3.0mm以上が好ましく、5.0mm以上がより好ましく、また、その上限値が、70.0mm以下が好ましく、50.0mm以下がより好ましい。また、吸着剤充填空間20の長さ(カラム長)は、例えば、10.0mm以上300.0mm以下程度が好ましく、20.0mm以上200.0mm以下程度がより好ましい。すなわち、吸着剤充填空間20の長さ(カラム長)は、その下限値が、10.0mm以上が好ましく、20.0mm以上がより好ましく、また、その上限値が、300.0mm以下が好ましく、200.0mm以下がより好ましい。このような吸着剤充填空間20の寸法(内径および長さ)を有するカラム2を、試料液中に含まれる単離物の単離に用いることにより、単離物を優れた精度で精製することができる。
吸着剤充填空間20の寸法を上記のように設定し、かつ後述する吸着剤3の寸法を後述のように設定することにより、試料液中から目的とする単離物を選択的に単離(精製)すること、すなわち、タンパク質のような単離物(吸着物質)と、試料液中に含まれる単離物以外の夾雑物とを確実に分離することができる。
なお、吸着剤3を用いて単離(精製)される単離物としては、アルブミン、抗体(抗体分子)等の酸性タンパク質、塩基性タンパク質のようなタンパク質に限定されず、例えば、酸性アミノ酸、DNA、RNA、および負電荷リポソーム等の負帯電物質、ならびに、塩基性アミノ酸、正電荷コレステロールおよび正電荷リポソーム等の正帯電物質が挙げられ、好ましくはタンパク質が選択される。すなわち、抗体、ワクチンのようなバイオ系医薬品等の各種物質を吸着物質として、吸着剤3を用いて精製・単離することができる。
また、カラム本体21に各蓋部22、23を装着した状態とすることで、これらの間の液密性が確保されるように構成されている。
蓋部22(第1ポート)および蓋部23(第2ポート)は、それぞれ、キャップ28およびキャップ29と、流入管24(第1流路)および流出管25(第2流路)と、リッド26およびリッド27とを有している。
キャップ28、29は、カラム本体21の流入側端部を鉛直上方、流出側端部を鉛直下方として、カラム本体21の流入側端部(一端部)および流出側端部(他端部)に、それぞれ、螺合によりが装着され、キャップ28、29とカラム本体21とにより、これら同士間の液密性を確保している。
流入管24および流出管25は、前記液体が流通する管体で構成され、それぞれ、各キャップ28、29のほぼ中央に、液密に固着(固定)されている。また、リッド26、27は、フィルタ部材4、5と、キャップ28、29との間に配置され、流入管24および流出管25に連通する流路41、51を有している。流入管24、リッド26およびフィルタ部材4を介して吸着剤3に、前記液体が供給される。また、吸着剤3に供給された試料液は、吸着剤3同士の間(間隙)を通過して、フィルタ部材5、リッド27および流出管25を介して、カラム2外へ流出する。このとき、試料液(試料)中に含まれる単離物(吸着物質)と単離物以外の夾雑物とは、吸着剤3に対する吸着性の差異および溶出液に対する親和性の差異に基づいて分離される。
すなわち、吸着装置1は、蓋部22が蓋部23よりも鉛直上方に位置するような姿勢とした状態で、前記液体を、流入管24を経由して吸着剤充填空間20へ供給し、吸着剤充填空間20に充填された吸着剤3により単離物の吸着を行い、この単離物の吸着を利用して、単離物の分離を行うものである。
各フィルタ部材4、5は、それぞれ、吸着剤充填空間20から吸着剤3が流出するのを防止する機能、すなわち、吸着剤充填空間20に吸着剤3を保持する機能を有するものである。これらのフィルタ部材4、5は、それぞれ、例えば、ポリプロピレンメッシュ、ポリエチレン粒子の焼結フィルタ、ステンレスメッシュフィルタ、ステンレス粒子の焼結フィルタで構成されている。
吸着装置1において、吸着剤3は、一定でない粒径を有する微粒子の集合体からなる粉体として、ハイドロキシアパタイトの一次粒子および二次粒子を含む未焼成の粉体(未焼結粉体)を焼成した焼結粉体で構成され、これにより、試料液(試料)中に含まれる単離物(吸着物質)に対する吸着能を発揮するものである。
なお、本願明細書中においては、ハイドロキシアパタイトの一次粒子および二次粒子を含む未焼成の粉体(未焼結粉体)を「ハイドロキシアパタイト粉体(または、単に「粉体(未焼結粉体)」)と言い、焼成されたハイドロキシアパタイト粉体を「ハイドロキシアパタイト焼結粉体」(または、単に「焼結粉体」)と言うこととする。
吸着剤3として、ハイドロキシアパタイト焼結粉体が、カラム本体21の吸着剤充填空間20に充填されるが、本発明では、このハイドロキシアパタイト焼結粉体として、ハイドロキシアパタイト粉体を480℃以上645℃以下の焼結温度(焼成温度)で焼成されたものが用いられる。これにより、ハイドロキシアパタイト焼結粉体すなわち吸着剤3は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮する。
以下、この吸着剤3としてのハイドロキシアパタイト焼結粉体(焼結粉体)について詳述する。
ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、上記の通り、ハイドロキシアパタイト粉体を、480℃以上645℃以下の焼結温度で焼成したものであり、また、このハイドロキシアパタイト粉体(粉体)は、その二次粒子、さらには一次粒子および多次粒子を含み、主として、その二次粒子で構成された、細孔を備える多孔質体である。
ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))の二次粒子、すなわち、ハイドロキシアパタイト粉体は、その一次粒子およびその凝集体を含有するスラリーを乾燥して、これらを造粒することにより得られた、主としてハイドロキシアパタイトで構成される多孔質体である。ハイドロキシアパタイトは、化学的に安定なアパタイト構造からなる。なお、ハイドロキシアパタイトは、Ca/P比が1.64以上1.70以下程度のものを意図する。
なお、このハイドロキシアパタイトの二次粒子は、その表面において有する、水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトの二次粒子(Ca10(PO(OH)2-2x2X(ただし、式中、xは0<x≦1である。))で構成されていてもよい。なお、本明細書においては、上記のように、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))が有する、水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイト(Ca10(PO(OH)2-2x2X(ただし、式中、xは0<x≦1である。))を含めて、「ハイドロキシアパタイト」と言うこととする。
このハイドロキシアパタイトの二次粒子、すなわち、ハイドロキシアパタイト粉体が、本発明では、480℃以上645℃以下の焼結温度で焼成され、この焼成により得られる、細孔を備える多孔質体で構成されるハイドロキシアパタイト焼結粉体すなわち吸着剤3は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮するが、具体的には、以下に示す通りの構成をなすものとなっている。
すなわち、焼結粉体(吸着剤3)は、その平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であることを満足し、かつ、焼結粉体が備える細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足する。
なお、焼結粉体における、平均圧縮粒子強度および最頻細孔径が前記範囲内である場合、焼結粉体の平均粒径は、10μm以上90μm以下、好ましくは20μm以上80μm以下、より好ましくは40μm以上70μm以下の範囲内に設定される。焼結粉体の平均粒径が前記範囲内である際に、平均圧縮粒子強度および最頻細孔径を前記範囲内に設定することで、平均圧縮粒子強度および最頻細孔径を前記範囲内に設定することにより得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。
ここで、焼結粉体の平均圧縮粒子強度は、7.4MPa以上8.9MPa以下であればよいが、8.0MPa以上8.9MPa以下であるのが好ましく、8.2MPa以上8.7MPa以下であるのがより好ましい。すなわち、焼結粉体の平均圧縮粒子強度は、その下限値が7.4MPa以上であればよいが、8.0MPa以上であるのが好ましく、8.2MPa以上であるのがより好ましく、その上限値が8.9MPa以下であればよいが、8.9MPa以下であるのが好ましく、8.7MPa以下であるのがより好ましい。これにより、焼結粉体すなわち吸着剤3を、より向上した耐久性を備えるものであると言うことができる。
また、焼結粉体(多孔質体)の細孔の細孔径分布における最頻細孔径は、32.0nm以上60.0nm以下であればよいが、35.0nm以上60.0nm以下であるのが好ましく、42.0nm以上58.0nm以下であるのがより好ましい。すなわち、最頻細孔径は、その下限値が32.0nm以上であればよいが、35.0nm以上であるのが好ましく、42.0nm以上であるのがより好ましく、その上限値が60.0nm以下であればよいが、60.0nm以下であるのが好ましく、58.0nm以下であるのがより好ましい。最頻細孔径の大きさを前記範囲内に設定することにより、抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、単離物として、焼結粉体が備える細孔内に捕捉することで、焼結粉体に確実に吸着させ得ることから、焼結粉体すなわち吸着剤3を、単離物(吸着物質)のより向上した吸着能を備えるものであると言うことができる。
焼結粉体(多孔質体)の細孔の細孔径分布において、最頻細孔径の頻度は、21.0%以上60.0%以下であることが好ましく、25.0%以上55.0%以下であることがより好ましい。すなわち、最頻細孔径の頻度は、その下限値が、21.0%以上であることが好ましく、25.0%以上であることがより好ましく、その上限値が、60.0%以下であることが好ましく、55.0%以下であることがより好ましい。
また、最頻細孔径付近の山型波形の半値幅(最頻細孔径の半値幅)が1.0nm以上10.0nm以下であることが好ましく、2.0nm以上10.0nm以下であることがより好ましく、3.0nm以上10.0nm以下であることがさらに好ましく、5.0nm以上10.0nm以下であることが特に好ましい。すなわち、前記半値幅は、その下限値が、1.0nm以上であることが好ましく、2.0nm以上であることがより好ましく、3.0nm以上であることがさらに好ましく、5.0nm以上以下であることが特に好ましく、その上限値が、10.0nm以下であることが好ましい。
焼結粉体(多孔質体)の細孔の細孔径分布において、各種数値が前記範囲内に設定されることで、最頻細孔径の大きさを前記範囲内に設定することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
また、焼結粉体の細孔における平均細孔径は、37.0nm以上75.0nm以下であることが好ましく、41.0nm以上58.0nm以下であることがより好ましい。すなわち、前記平均細孔径は、その下限値が、37.0nm以上であることが好ましく、41.0nm以上であることがより好ましく、その上限値が、75.0nm以下であることが好ましく、58.0nm以下であることがより好ましい。これにより、最頻細孔径の大きさを前記範囲内に設定することにより得られる効果をより顕著に発揮させることができる。
また、焼結粉体は、その比表面積が41m/g以上51m/g以下であればよいが、41m/g以上49m/g以下であることが好ましく、41m/g以上47m/g以下であることがより好ましい。すなわち、前記比表面積は、その下限値が41m/g以上、上限値が51m/g以下であればよいが、その上限値が、49m/g以下であることが好ましく、47m/g以下であることがより好ましい。さらに、焼結粉体は、カラム1mL当たりの焼結粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下であればよいが、25.3m/mL以上34.0m/mL以下であるのが好ましく、25.3m/mL以上33.0m/mL以下であるのがより好ましい。すなわち、前記表面積は、その下限値が25.3m/mL以上、上限値が36.0m/mL以下であればよいが、その上限値が、34.0m/mL以下であるのが好ましく、33.0m/mL以下であるのがより好ましい。焼結粉体の比表面積、および、カラム1mL当たりの焼結粉体の表面積が、それぞれ、前記範囲内に設定されていれば、単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させるのに必要な表面積を、焼結粉体が有していると言うことができる。したがって、焼結粉体すなわち吸着剤3を、単離物(吸着物質)のより向上した吸着能を備えるものとすることができる。
また、ハイドロキシアパタイト焼結粉体とするために、焼成に用いられるハイドロキシアパタイト粉体、すなわち、ハイドロキシアパタイトの二次粒子は、特に限定されないが、その嵩密度が、好ましくは0.65g/mL以上、0.70g/mL以上0.95g/mL以下程度に設定されているのがより好ましい。すなわち、前記嵩密度は、その下限値が、好ましくは0.65g/mL以上、より好ましくは0.70g/mL以上に設定され、その上限値が、より好ましくは0.95g/mL以下に設定される。かかる範囲内の嵩密度を有する二次粒子は、その重量が重く、粒子内における空隙が少なくなっていると考えられ、充填密度が高い粒子と言うことができるため、高い強度を発揮するものとなる。そのため、この二次粒子を含むハイドロキシアパタイト粉体を焼成することで得られるハイドロキシアパタイト粉体をも、高い強度を発揮するものとし得るため、焼結粉体の平均圧縮粒子強度を、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
また、ハイドロキシアパタイト粉体(ハイドロキシアパタイトの二次粒子)の比表面積は、70m/g以上に設定されているのが好ましいが、75m/g以上100m/g以下程度であるのがより好ましい。すなわち、前記比表面積は、その下限値が、70m/g以上に設定されているのが好ましいが、75m/g以上であるのがより好ましく、その上限値が、100m/g以下程度であるのがより好ましい。かかる範囲の高い比表面積を有するハイドロキシアパタイト粉体を焼成してハイドロキシアパタイト焼結粉体を得ることで、ハイドロキシアパタイト焼結粉体の比表面積を、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
また、ハイドロキシアパタイト粉体の形態(形状)は、粒状(顆粒状)のものであるのが好ましいが、その真球度が0.95以上1.00以下程度であるのがより好ましく、0.97以上1.00以下であるのがさらに好ましい。すなわち、前記真球度は、その下限値が、0.95以上であるのがより好ましく、0.97以上であるのがさらに好ましく、その上限値が、1.00以下であるのがより好ましい。このように、真球度が高いハイドロキシアパタイト粉体に由来する焼結粉体を、吸着剤3として適用すると、吸着剤充填空間20への吸着剤3の充填率を向上させることができる。
上記の通り、焼結粉体(吸着剤3)は、本発明では、その平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であることを満足し、かつ、焼結粉体が備える細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足しており、これにより、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮するが、その耐久性および吸着能として、具体的には、以下に示す通りの特性を示すものとなっている。
すなわち、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、以下に示す耐久性試験を実施したとき、かかる耐久性試験において実施されるサイクルを、60サイクル以上で実施することができることから、向上した耐久性を発揮すると言うことができる。
この耐久性試験は、具体的には、ハイドロキシアパタイト焼結粉体が吸着剤として乾式充填されたカラム(φ4.0×100mm)を用意し、このカラムに対して、下記表2に示すステップNo.順に、各バッファーを送液する。そして、下記表2におけるステップNo.1~5までを1サイクルとして、カラム内の圧力が200psiを超えるまで、前記サイクルを繰り返して実施する試験方法である。この耐久性試験を、ハイドロキシアパタイト焼結粉体(本発明の吸着剤)に対して実施したとき、繰り返されたるサイクル数を、60サイクル以上とすることができる。
Figure 0007133747000002
このように、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、この耐久性試験におけるサイクル数を、60サイクル以上実施することができるため、向上した耐久性を発揮する。なお、このサイクル数は、60サイクル以上であればよいが、80サイクル以上であるのが好ましく、100サイクル以上であるのがより好ましい。これにより、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、より向上した耐久性を発揮すると言うことができる。
また、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、以下に示す抗体吸着量測定試験を実施したとき、以下に示す関係を満足し、ハイドロキシアパタイト焼結粉体に対する吸着物質としての抗体の吸着量が、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速(流量)非依存性を示すことから、吸着物質の向上した吸着能を発揮すると言うことができる。
この抗体吸着量測定試験は、具体的には、ハイドロキシアパタイト焼結粉体が吸着剤として乾式充填されたカラム(φ6.0×35mm)を用意するとともに、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を調製する。そして、このカラムに対して、調製した試料液を、流速150cm/h、流速200cm/h、流速250cm/hおよび流速300cm/hの各流速で供給したときに、流速毎に、カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいてハイドロキシアパタイト焼結粉体に対する吸着物質の吸着量A(mg/mL)、B(mg/mL)、C(mg/mL)およびD(mg/mL)をそれぞれ算出する試験方法である。かかる抗体吸着量測定試験を、ハイドロキシアパタイト焼結粉体(本発明の吸着剤)に対して実施したとき、抗体吸着量測定試験において算出される吸着物質の吸着量A~D(mg/mL)に基づいて、関係式D/A、D/BおよびC/Bを求めたとき、関係式D/Aは、A≧31mg/mL以上かつ0.60≦D/A≦1.00であること、および、0.60≦D/A≦0.92であることのうちの少なくとも一方を満足し、D/Bは、B≧30mg/mL以上かつ0.75≦D/B≦1.00であること、および、0.75≦D/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足し、さらに、C/Bは、B≧30mg/mL以上かつ0.89≦C/B≦1.00であること、および、0.89≦C/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足することができる。
このように、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、この抗体吸着量測定試験において算出される関係式D/A、D/BおよびC/Bを、それぞれ、前記関係を満足するものとし得る。したがって、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、このものに対する抗体(吸着物質)の吸着量が、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速(流量)非依存性を示すと言うことができる。よって、ハイドロキシアパタイト焼結粉体を吸着剤3として備える吸着装置1を用いた抗体の単離・精製時において、例えば、吸着装置1に対して抗体を含む試料液を供給する際に、一定の速度で試料液を供給することができず、その初期段階や、最終段階においてバラツキが生じたとしても、一定領域の吸着量でハイドロキシアパタイト焼結粉体に対して抗体を確実に吸着させることができる。
なお、関係式D/Aは、A≧31mg/mL以上かつ0.60≦D/A≦1.00であること、および、0.60≦D/A≦0.92であることのうちの少なくとも一方を満足すればよいが、0.61≦D/A≦0.88を満足することが好ましい。また、関係式D/Bは、B≧30mg/mL以上かつ0.75≦D/B≦1.00であること、および、0.75≦D/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足すればよいが、0.76≦D/B≦0.90を満足することが好ましい。さらに、関係式C/Bは、B≧30mg/mL以上かつ0.89≦C/B≦1.00であること、および、0.89≦C/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足すればよいが、0.89≦C/B≦0.95を満足することが好ましい。これにより、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、吸着物質のより向上した吸着能を発揮すると言うことができる。
また、この抗体吸着量測定試験では、吸着物質の吸着量A~Dは、それぞれ、30~31mg/mL以上程度であることが好ましく、34mg/mL以上程度であることがより好ましく、37mg/mL以上45mg/mL以下程度であることがさらに好ましい。すなわち、前記吸着量A~Dは、それぞれ、その下限値が、30~31mg/mL以上程度であることが好ましく、34mg/mL以上程度であることがより好ましく、37mg/mL以上程度であることがさらに好ましく、その上限値が、45mg/mL以下程度であることがさらに好ましい。これにより、吸着剤3により単離する単離物(吸着物質)が抗体(抗体分子)のような比較的大きいタンパク質であっても、十分量の単離物を吸着させることができていると言うことができる。
<ハイドロキシアパタイト焼結粉体の製造方法>
以上のような、ハイドロキシアパタイト焼結粉体すなわち吸着剤3は、例えば、次のような吸着剤の製造方法により製造される。
なお、以下では、ハイドロキシアパタイト焼結粉体を得るためのハイドロキシアパタイト粉体として、嵩密度が0.65g/mL以上であり、かつ、比表面積が70m/g以上となっているものを用意する場合を、一例として説明する。
本実施形態における、粉体の製造方法は、水酸化カルシウム等のカルシウム源を含有する第1の液と、リン酸等のリン源を含有する第2の液とを攪拌しつつ反応させて、ハイドロキシアパタイトの一次粒子およびその凝集体を含むスラリーを得る工程[S1A]と、スラリーに含まれる凝集体を物理的に粉砕し、粉砕された凝集体をスラリー中に分散させる工程[S2A]と、スラリーを乾燥して、粉砕された凝集体を造粒させることにより、主としてハイドロキシアパタイトの二次粒子を含む粒子で構成されるハイドロキシアパタイト粉体を得る工程[S3A]と、ハイドロキシアパタイト粉体を焼成することでハイドロキシアパタイト焼結粉体を得る工程[S4A]と、を有する。
以下、これらの工程について、順次説明する。
なお、以下では、カルシウム源として水酸化カルシウムを用い、リン酸源としてリン酸を用いる場合を一例に説明する。
[S1A:ハイドロキシアパタイトの凝集体を含むスラリーを得る工程]
この工程では、水酸化カルシウムを含有する水酸化カルシウム分散液(第1の液)と、リン酸を含有するリン酸溶液(第2の液)とを、攪拌しつつ、水酸化カルシウムとリン酸とを反応させ、ハイドロキシアパタイトの一次粒子と、その凝集体を含むスラリーを得る。すなわち、ハイドロキシアパタイトの一次粒子と、その凝集体を含むスラリーを調製する。
具体的には、例えば、容器(図示せず)内で、水酸化カルシウム分散液(第1の液)を攪拌しつつ、この分散液に、リン酸溶液(第2の液)を滴下し、水酸化カルシウム分散液とリン酸溶液との混合液を混合し、この混合液中で水酸化カルシウムとリン酸とを反応させて、ハイドロキシアパタイトの一次粒子と、その凝集体を含むスラリーを得る。
かかる方法では、リン酸を含むリン酸溶液を使用する湿式合成法が用いられる。これにより、高価な製造設備を必要とせず、より容易かつ効率よくハイドロキシアパタイト(合成物)を合成することができる。また、水酸化カルシウムとリン酸との反応では、ハイドロキシアパタイト以外の副生成物は、水のみであるため、形成される二次粒子や焼結粉体内に副生成物が残留することがなく、さらにこの反応が酸塩基反応であるため、水酸化カルシウム分散液およびリン酸溶液のpHを調整することにより、この反応を容易に制御できるという利点がある。
なお、リン酸を含むリン酸溶液としては、リン酸水溶液の他、リン酸水溶液に、アルコールのような他の液体が若干量添加されているものであってもよい。
また、この反応を攪拌しつつ行うことにより、水酸化カルシウムとリン酸との反応を効率よく進行させること、すなわち、それらの反応の効率を向上させることができる。
さらに、水酸化カルシウム分散液とリン酸溶液とを含有する混合液を攪拌する攪拌力は、特に限定されないが、混合液(スラリー)1Lに対して、0.75W以上2.0W以下程度の出力であるのが好ましく、0.925W以上1.85W以下程度の出力であるのがより好ましい。すなわち、前記攪拌力は、混合液(スラリー)1Lに対して、その下限値が、0.75W以上の出力であるのが好ましく、0.925W以上の出力であるのがより好ましく、その上限値が、2.0W以下の出力であるのが好ましく、1.85W以下の出力であるのがより好ましい。攪拌力をこのような範囲とすることにより、水酸化カルシウムとリン酸との反応の効率を、より向上させることができる。
水酸化カルシウム分散液中における水酸化カルシウムの含有量は、5wt%以上15wt%以下程度であるのが好ましく、10wt%以上12wt%以下程度であるのがより好ましい。すなわち、前記水酸化カルシウムの含有量は、その下限値が、5wt%以上であるのが好ましく、10wt%以上であるのがより好ましく、その上限値が、15wt%以下であるのが好ましく、12wt%以下であるのがより好ましい。また、リン酸溶液中におけるリン酸の含有量は、10wt%以上25wt%以下程度であるのが好ましく、15wt%以上20wt%以下程度であるのがより好ましい。すなわち、前記リン酸の含有量は、その下限値が、10wt%以上であるのが好ましく、15wt%以上であるのがより好ましく、その上限値が、25wt%以下であるのが好ましく、20wt%以下であるのがより好ましい。水酸化カルシウムおよびリン酸の含有量を、かかる範囲内に設定することにより、水酸化カルシウム分散液を攪拌しつつ、リン酸溶液を滴下する際の水酸化カルシウムとリン酸との接触機会が増大することから、水酸化カルシウムとリン酸とを効率よく反応させることができ、ハイドロキシアパタイトを確実に合成することができる。
リン酸溶液を滴下する速度は、1L/時間以上40L/時間以下程度であるのが好ましく、3L/時間以上30L/時間以下程度であるのがより好ましい。すなわち、リン酸溶液を滴下する速度は、その下限値が、1L/時間以上であるのが好ましく、3L/時間以上であるのがより好ましく、その上限値が、40L/時間以下であるのが好ましく、30L/時間以下であるのがより好ましい。このような滴下速度でリン酸溶液を水酸化カルシウム分散液中に混合(添加)することにより、水酸化カルシウムとリン酸とを、より穏やかな条件で反応させることができる。
この場合、リン酸溶液を滴下する時間(加える時間)は、5時間以上32時間以下程度かけて行うのが好ましく、6時間以上30時間以下程度かけて行うのがより好ましい。すなわち、リン酸溶液を滴下する時間は、その下限値として、5時間以上かけて行うのが好ましく、6時間以上かけて行うのがより好ましく、その上限値として、32時間以下かけて行うのが好ましく、30時間以下かけて行うのがより好ましい。このような滴下時間で、水酸化カルシウムとリン酸とを反応させることにより、ハイドロキシアパタイトを十分に合成することができる。なお、滴下時間を上記の上限値を越えて長くしても、水酸化カルシウムとリン酸との反応の進行は、それ以上期待できない。
ここで、水酸化カルシウムとリン酸との反応が徐々に進行すると、スラリー中には、ハイドロキシアパタイト(合成物)の微粒子(以下、単に「微粒子」と言う。)が生成する。そして、これらの微粒子同士は、一の微粒子(一次粒子)の正に帯電している部分と、他の微粒子の負に帯電している部分との間にファンデルワールス力(分子間力)が働き、それらが凝集することにより、ハイドロキシアパタイト(合成物)の凝集体(以下、単に「凝集体」と言う。)が生成する。この凝集体の生成に伴い、スラリーの粘度は、徐々に上昇する。
さらに、水酸化カルシウムとリン酸との反応が進行すると、スラリー中における正の電荷と負の電荷との割合が接近する。このとき、スラリー中では、微粒子に働く斥力が減少し、微粒子同士の凝集がさらに加速して、より粒径の大きな凝集体が形成される。
[S2A:凝集体を粉砕したのち分散させる工程]
この工程では、前記工程[S1A]で得られたスラリー中に含まれる、ハイドロキシアパタイトの一次粒子の凝集体を物理的に粉砕し、粉砕された凝集体をこのスラリー中に分散する。
このようにスラリー中に含まれる凝集体を破砕する構成とすると、スラリー中に含まれる凝集体の粒径が小さくなり、これに起因して、後工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイトの二次粒子を、その嵩密度が0.65g/mL以上であり、かつ、比表面積が70m/g以上のものに設定することができる。
ハイドロキシアパタイトの一次粒子の凝集体を物理的に粉砕する方法としては、特に限定されず、例えば、高圧力で噴霧したスラリーの液滴同士を衝突させる湿式ジェットミル法、ジルコニアのようなセラミックスで構成される球体との共存下でスラリーを密閉容器内に収納し、この密閉容器を回転させるボールミル法等が挙げられるが、これらの中でも、湿式ジェットミル法を用いるのが好ましい。
ここで、湿式ジェットミル法は、ハイドロキシアパタイトの一次粒子の凝集体が分散したスラリーに高圧力を加え、このスラリーを噴霧することにより液滴の状態で、対向衝突チャンバー、ボール衝突チャンバーまたはシングルノズルチャンバーに導入することで、これら同士が衝突して凝集体が粉砕する方法である。
かかる方法によれば、ハイドロキシアパタイトの一次粒子の凝集体を、確実に粉砕することができる。そのため、後工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイトの二次粒子を、その嵩密度が0.65g/mL以上であるものに設定することができる。
また、粉砕された凝集体の平均粒径は、1μm以下であるのが好ましく、0.1μm以上0.6μm以下程度であるのがより好ましい。粉砕された凝集体の平均粒径をかかる範囲内とすることにより、後工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイトの二次粒子の嵩密度および比表面積を前記範囲内のものに設定することができる。
なお、本実施形態のように、後工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイトの二次粒子を、その嵩密度が0.65g/mL以上であり、かつ、比表面積が70m/g以上であるものに設定しない場合には、本工程[S2A]における、前記凝集体の物理的な粉砕を、省略することができる。ただし、前記凝集体を物理的に粉砕して二次粒子の嵩密度を0.65g/mL以上かつ、比表面積を70m/g以上に設定することで、後工程[S4A]において、ハイドロキシアパタイト粉体を、480℃以上645℃以下程度の焼結温度で焼成することにより、得られるハイドロキシアパタイト焼結粉体を、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能との双方を確実に発揮するものとすることができる。すなわち、ハイドロキシアパタイト焼結粉体を、その平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であることを満足し、また、前記最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足するものとすることができる。
[S3A:スラリーを乾燥してハイドロキシアパタイト粉体を得る工程]
この工程では、前記工程[S2A]を経た、粉砕された凝集体を含有するスラリーを乾燥することにより、粉砕された凝集体を造粒させて、主としてハイドロキシアパタイトの二次粒子で構成される未焼結粉体(乾燥粉体)、すなわち、ハイドロキシアパタイト粉体を生成する。
前記工程[S2A]において、本実施形態では、ハイドロキシアパタイトの一次粒子が凝集した凝集体が粉砕されて、凝集体の大きさが小さいものとなっている。そのため、本工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイト粉体を、その嵩密度が0.65g/mL以上であり、かつ、比表面積が70m/g以上であることを満足するものとし得る。
スラリーを乾燥する方法としては、特に限定されないが、噴霧乾燥法が好適に使用される。かかる方法によれば、粉砕された凝集体を造粒させて、所望の粒径の粉体を、より確実かつ短時間で得ることができる。
また、スラリーを乾燥する際の乾燥温度は、75℃以上250℃以下程度であるのが好ましく、95℃以上220℃以下程度であるのがより好ましい。すなわち、前記乾燥温度は、その下限値が、75℃以上であるのが好ましく、95℃以上であるのがより好ましく、その上限値が、250℃以下であるのが好ましく、220℃以下であるのがより好ましい。かかる範囲内に設定することにより、嵩密度が高く、かつ比表面積が広い二次粒子を得ることができる。
以上のような工程[S1A]~[S3A]により、ハイドロキシアパタイト粉体を調製する第1工程が構成される。
なお、本実施形態のように、後工程[S3A]において得られるハイドロキシアパタイトの二次粒子を、その嵩密度が0.65g/mL以上であり、かつ、かつ、比表面積が70m/g以上であるものに設定しない場合には、ハイドロキシアパタイト粉体は、以上のような工程[S1A]~[S3A]により、調整する必要はなく、例えば、特公平7-88205の明細書等に記載の方法にしたがって調製されたものであってもよい。
[S4A:ハイドロキシアパタイト粉体を焼成してハイドロキシアパタイト焼結粉体を得る工程]
この工程では、前記工程[S3A]を経ることで生成された、ハイドロキシアパタイト粉体を焼成することにより焼結させて、ハイドロキシアパタイトの二次粒子で構成される焼結粉体、すなわち、ハイドロキシアパタイト焼結粉体を生成する(第2工程)。
この場合、粉体を焼成する焼結温度は、480℃以上645℃以下程度に設定されていれば良いが、500℃以上630℃以下程度であるのが好ましく、550℃以上610℃以下であるのがより好ましい。すなわち、前記焼結温度は、その下限値が、480℃以上に設定されていれば良いが、500℃以上であるのが好ましく、550℃以上であるのがより好ましく、その上限値が、645℃以下に設定されていれば良いが、630℃以下であるのが好ましく、610℃以下であるのがより好ましい。
また、粉体を焼成する焼結温度を保持する保持時間は、特に限定されないが、60分以上230分以下程度であることが好ましく、90分以上180分以下程度であることがより好ましい。すなわち、保持時間は、その下限値が、60分以上であることが好ましく、90分以上であることがより好ましく、その上限値が、230分以下であることが好ましく、180分以下であることがより好ましい。
粉体を焼成する際の条件を前記範囲内に設定することにより、生成されたハイドロキシアパタイト焼結粉体(吸着剤3)を、比較的容易に、平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であることを満足し、かつ、焼結粉体が備える細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足するものとし得る。
以上のような工程を経て、主としてハイドロキシアパタイトの二次粒子を含む粒子の焼結体で構成される焼結粉体、すなわち、ハイドロキシアパタイト焼結粉体が得られる。
このハイドロキシアパタイト焼結粉体を吸着剤3として、カラム2が備える吸着剤充填空間20に充填することにより、吸着装置1を得ることができるが、充填されるハイドロキシアパタイト焼結粉体を、分級されたものとする場合、ハイドロキシアパタイト焼結粉体は、例えば、粒径20±4μm、粒径40±4μm、粒径60±4μmおよび粒径80±4μm等の平均粒径ならびに粒度分布を有するものであってもよい。
以上、本発明の吸着剤および吸着剤の製造方法について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、本発明の吸着剤において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。また、本発明の吸着剤の製造方法では、任意の目的で、1以上の工程を追加することができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.ハイドロキシアパタイト焼結粉体の製造
(実施例1)
[1A] まず、水酸化カルシウム2400gを純水60Lに分散させ、この水酸化カルシウム分散液をタンクに入れて攪拌しつつ、このものにリン酸水溶液(リン酸濃度85wt%)4Lを1L/時間の速度で滴下した。これにより、10wt%のハイドロキシアパタイトの一次粒子が凝集した凝集体を含有するスラリーを得た。
なお、滴下中の雰囲気の温度は、常温(25℃)とした。
また、前記分散液にリン酸水溶液を滴下した混合液を攪拌する攪拌力は、混合液(スラリー)1Lに対して1.7Wの出力とした。
[2A] 次に、得られたスラリーに含まれる凝集体を、湿式ジェットミル装置(スギノマシン社製、「スターバースト」)を用いて、245MPaの高圧力をかけて粉砕することにより、粉砕された凝集体として平均粒子径が1.3μmであるものを含有するスラリーを得た。
なお、粉砕した後のスラリーに含まれる凝集体の平均粒子径は、粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、「MT3300」)を用いて測定した。
[3A] 次に、粉砕(分散)された凝集体を含有するスラリーを、噴霧乾燥機(マツボー社製、「MAD-6737R」)を用いて、210℃で噴霧乾燥することにより、スラリー中に含まれるハイドロキシアパタイトを造粒させて球状の二次粒子(乾燥粉体)を得た。得られた乾燥粉体すなわちハイドロキシアパタイト粉体を、超音波篩いで分級することで平均粒径約40μmのハイドロキシアパタイト粉体、より具体的には、40μm±4.0μmのハイドロキシアパタイト粉体を分取した。
なお、粉体(二次粒子)がハイドロキシアパタイトであることを粉末X線回折法により確認した。
[4A] 次に、分級されたハイドロキシアパタイト粉体を、500℃の焼結温度で焼成することで実施例1のハイドロキシアパタイト焼結粉体を得た。
(実施例2)
前記工程[4A]において、ハイドロキシアパタイト粉体を、焼成する際の焼結温度を600℃に変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2のハイドロキシアパタイト焼結粉体を得た。
(比較例1)
前記工程[4A]において、ハイドロキシアパタイト粉体を、焼成する際の焼結温度を400℃に変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例1のハイドロキシアパタイト焼結粉体を得た。
(比較例2)
前記工程[4A]において、ハイドロキシアパタイト粉体を、焼成する際の焼結温度を700℃に変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして、比較例2のハイドロキシアパタイト焼結粉体を得た。
2.ハイドロキシアパタイト焼結粉体の評価
2-1.平均圧縮粒子強度の評価
各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体について、それぞれ、微小圧縮試験機(島津製作所社製、「MCT-W200-J」)を用いて、その平均圧縮粒子強度を求めた。
なお、各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体の平均圧縮粒子強度は、各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体について、それぞれ、圧縮粒子強度を10回測定し、これらの平均値を算出することにより求めた。その算出結果を表3に示す。
Figure 0007133747000003
表3から明らかなように、各実施例および各比較例の焼結粉体について、ハイドロキシアパタイト粉体の焼結温度を高く設定することで、優れた圧縮粒子強度を示すハイドロキシアパタイト焼結粉体が得られる結果を示した。
2-2.細孔径の評価
各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体について、それぞれ、細孔分布測定装置(島津製作所社製、「マイクロメリティックス オートポア9200」)を用いて水銀圧入法により、これらの表面における細孔の細孔径分布を測定し、この細孔径分布より、最頻細孔径、最頻細孔径の頻度、および最頻細孔径付近の山型波形の半値幅(最頻細孔径の半値幅)、ならびに、細孔の平均細孔径を求めた。その算出結果を表4に示す。
Figure 0007133747000004
表4から明らかなように、各実施例および各比較例の焼結粉体について、ハイドロキシアパタイト粉体の焼結温度を高く設定することで、より大きい細孔径を有するハイドロキシアパタイト焼結粉体が得られる結果を示した。
2-3.比表面積の評価
各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体について、それぞれ、全自動BET比表面積測定装置(マウンテック社製、「Macsorb HM1201」)を用いて、これらの比表面積(平均比表面積)を求めた。その測定結果を表5に示す。
Figure 0007133747000005
表5から明らかなように、各実施例および各比較例の焼結粉体について、ハイドロキシアパタイト粉体の焼結温度を高く設定することで、比表面積が小さくなる傾向を示す結果が得られた。
2-4.カラム1mL当たりの焼結粉体の表面積の評価
前記比表面積の評価から得られたデータから、各実施例および各比較例の焼結粉体におけるカラム1mL当たりの表面積を求めた。
その測定結果を表6に示す。
Figure 0007133747000006
表6から明らかなように、各実施例および各比較例の焼結粉体について、ハイドロキシアパタイト粉体の焼結温度を高く設定することで、カラム1mL当たりの表面積についても、比表面積と同様に、その表面積が小さくなる傾向を示す結果が得られた。
2-5.抗体吸着量の評価
各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体を吸着剤として備えるカラムについて、それぞれ、抗体を含む試料液を、150、200、250、300cm/hrの流速でカラムに供給した際の吸着剤に対する抗体吸着量を、以下に示すような手法にて測定した。
すなわち、まず、ウシの血液に由来するγ-グロブリン(γ-Globulins from bovine blood:bIgG)を1.0mg/mLとなるように10mM NaP (リン酸ナトリウム緩衝液)pH6.5で溶解することで試料液(bIgG溶液)を調製した。
次いで、各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体が吸着剤として乾式充填されたカラム(φ6.0×35mm)を用意し、これらのカラムに対して、それぞれ、調製した試料液を、クロマト装置のポンプから送液し、150、200、250、300cm/hrの各流速でカラムに供給した。そして、カラムに供給する試料液における吸光度値X(波長280nm)と、カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した。
試料液量に基づいて、各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体に対するbIgGの吸着量A~D(mg/mL)を算出した。また、算出された吸着量A~D(mg/mL)に基づいて、吸着量の比D/A、D/BおよびC/Bを求めた。
その算出結果を表7および図3に示す。
Figure 0007133747000007
表7から明らかなように、各実施例の焼結粉体について、各比較例の焼結粉体と比較して、抗体を含む試験液のカラムに供給する流速に依存しない流速(流量)非依存性を示す結果が得られた。
2-6.耐久性の評価
各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体を吸着剤として備えるカラムについて、それぞれ、カラムにおける吸着剤の耐久性を、以下に示すような手法にて評価した。
すなわち、まず、各実施例および各比較例のハイドロキシアパタイト焼結粉体が吸着剤として乾式充填されたカラム(φ4.0×100mm)を用意した。ここで、乾式充填とは、乾燥したハイドロキシアパタイト焼結粉体をカラムに流し込み、人間の手によって120回タップすることにより、該焼結粉体を破壊しない程度に密に充填することを意味する。
次いで、これらのカラムに対して、それぞれ、表8に示すステップNo.順に、各バッファーを送液した。そして、ステップNo.1~5までを1サイクルとして、カラム内の圧力が200psiを超えるまで繰り返して実施した。
その繰り返し結果を表9に示す。
Figure 0007133747000008
Figure 0007133747000009
表9から明らかなように、各実施例の焼結粉体について、各比較例の焼結粉体と比較して、より向上した耐久性を示す結果が得られた。
2-7.まとめ
以上のように、前記工程[4A]において、ハイドロキシアパタイト粉体を、焼結することで焼結粉体とする際の焼結温度を、480℃以上645℃以下の範囲内に設定することにより、得られる焼結粉体として、その平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上であり、かつ、焼結粉体の細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを満足するものが得られることが判った。
また、焼結粉体として、その平均圧縮粒子強度および前記最頻細孔径が、それぞれ、前記範囲内であることを満足するものを、吸着装置1が備える吸着剤3として用いることにより、吸着装置1において、吸着剤3は、向上した耐久性と、吸着物質の向上した吸着能とを発揮することが明らかとなった。
1 吸着装置
2 カラム
3 吸着剤
4 フィルタ部材
5 フィルタ部材
20 吸着剤充填空間
21 カラム本体
22 蓋部
23 蓋部
24 流入管
25 流出管
26 リッド
27 リッド
28 キャップ
29 キャップ
41 流路
51 流路

Claims (17)

  1. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成される吸着剤であって、
    前記粉体は、細孔を備える多孔質体で構成され、
    前記粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
    前記粉体の平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であり、
    前記粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
  2. 前記粉体の比表面積が41m/g以上51m/g以下である請求項1に記載の吸着剤。
  3. 前記カラム1mL当たりの前記粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下である請求項1に記載の吸着剤。
  4. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された焼結粉体で構成された吸着剤であって、
    前記焼結粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
    前記焼結粉体の比表面積が41m/g以上51m/g以下であり、
    前記焼結粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
  5. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成された吸着剤であって、
    前記粉体の平均粒径が10μm以上90μm以下であり、
    前記カラム1mL当たりの前記粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下であり、
    前記粉体の前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤。
  6. 前記最頻細孔径の頻度が21.0%以上60.0%以下である請求項1、3又は5のいずれか1項に記載の吸着剤。
  7. 前記細孔の細孔径分布における最頻細孔径付近の山型波形の半値幅が1.0nm以上10.0nm以下である請求項1、3又は5に記載の吸着剤。
  8. 前記細孔の平均細孔径が、37.0nm以上75.0nm以下である請求項1、3又は5に記載の吸着剤。
  9. 前記粉体は、480℃以上645℃以下で焼成された焼結粉体である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸着剤。
  10. 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
    前記第1工程により調製された前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成することで前記粒子の焼結粉体を得る第2工程とを有し、
    前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、平均圧縮粒子強度が7.4MPa以上8.9MPa以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  11. 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
    前記第1工程により得られた前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成して前記粒子が焼成された焼結粉体を得る第2工程とを有し、
    前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、比表面積が41m/g以上51m/g以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  12. 表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を調製する第1工程と、
    前記第1工程により得られた前記粒子を480℃以上645℃以下の範囲内の温度Tで焼成して前記粒子が焼成された焼結粉体を得る第2工程とを有し、
    前記第2工程で得られた前記焼結粉体は、平均粒径が10μm以上90μm以下であり、カラムに充填した際の前記カラム1mL当たりの前記焼結粉体の表面積が25.3m/mL以上36.0m/mL以下であり、かつ細孔径が32.0nm以上60.0nm以下であることを特徴とする吸着剤の製造方法。
  13. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子を含む粉体で構成された吸着剤であって、
    前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速150cm/hおよび流速300cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、A(mg/mL)およびD(mg/mL)としたとき、A≧31mg/mL以上かつ0.60≦D/A≦1.00であること、および、0.60≦D/A≦0.92であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
  14. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された粉体で構成された吸着剤であって、
    前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速200cm/hおよび流速300cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、B(mg/mL)およびD(mg/mL)としたとき、B≧30mg/mL以上かつ0.75≦D/B≦1.00であること、および、0.75≦D/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
  15. カラム内に充填して使用され、表面がハイドロキシアパタイト又はハイドロキシアパタイトが有する水酸基の少なくとも一部がフッ素原子で置換されたフッ素アパタイトで構成された粒子が焼成された粉体で構成された吸着剤であって、
    前記粉体は、吸着物質としてのウシの血液に由来するγ-グロブリンが1.0mg/mLとなるように10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で溶解することで調製された試料液を、前記カラム(φ6.0×35mm)へ、流速200cm/hおよび流速250cm/hで供給したときに、前記カラムに供給する試料液における吸光度値X(280nm)と、前記カラムから溶出される溶出液における吸光度値Y(波長280nm)とを測定し、吸光度値Y(波長280nm)が吸光度値X(波長280nm)の10%となる時点まで送液した試料液量に基づいて算出される前記粉体に対する前記吸着物質の吸着量を、それぞれ、B(mg/mL)およびC(mg/mL)としたとき、B≧30mg/mL以上かつ0.89≦C/B≦1.00であること、および、0.89≦C/B≦0.96であることのうちの少なくとも一方を満足することを特徴とする吸着剤。
  16. 前記粉体が吸着剤として乾式充填された前記カラム(φ4.0×100mm)に対して、下記表1に示すステップNo.順に、各バッファーを送液し、そして、下記表1におけるステップNo.1~5までを1サイクルとして、前記カラム内の圧力が200psiを超えるまで、前記サイクルを繰り返して実施する前記粉体の耐久性試験を行ったとき、繰り返された前記サイクル数は、60サイクル以上である請求項13ないし15のいずれか1項に記載の吸着剤。
    Figure 0007133747000010
  17. 前記吸着物質は、抗体である請求項13ないし15のいずれか1項に記載の吸着剤。
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