JPH10251963A - ポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸及びその製造方法並びにスエード調織物 - Google Patents

ポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸及びその製造方法並びにスエード調織物

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JPH10251963A
JPH10251963A JP9074653A JP7465397A JPH10251963A JP H10251963 A JPH10251963 A JP H10251963A JP 9074653 A JP9074653 A JP 9074653A JP 7465397 A JP7465397 A JP 7465397A JP H10251963 A JPH10251963 A JP H10251963A
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JP
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polyester
composite yarn
yarn
woven fabric
multifilament
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JP9074653A
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Inventor
Naomi Ito
尚美 伊藤
Yoshihiko Sano
芳彦 佐野
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に微細な毛羽を有し、ソフトでウォーム
感があり、均質で地締まり感、ハリ・コシ、反発性、ド
レープ性に優れ、かつ伸縮性の良好なスエード調織物を
得ることの可能なポリエステル潜在羽毛二層構造複合
糸、及びその複合糸からのスエード調織物を提供する。 【解決手段】 沸騰水で捲縮発現可能なコンジュゲート
フィラメントが芯部に配置され、有機スルホン酸金属塩
含有のフィラメントが鞘部に配置され、沸水収縮率5〜
20%、捲縮回復率80%以上で、かつアルカリ減量に
より、糸表面に単繊維直径3μm以下、長さ1mm以下
の毛羽を発現し得るポリエステル潜在羽毛二層構造複合
糸、及び、捲縮発現可能なコンジュゲートフィラメント
と有機スルホン酸金属塩含有の高伸度高配向未延伸フィ
ラメントを引き揃え、流体交絡処理し、仮撚加工して得
る。またこの糸で織物を構成し捲縮発現とアルカリ減量
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に微細な毛羽
を有し、ソフトでウォーム感があり、均質で地締まり感
に優れ、かつ伸縮性の良好なスエード調織物の製造に用
いるポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸及びその製造
方法並びにその潜在羽毛二層構造複合糸から得られるス
エード調織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、スエード調織物を得る方法と
しては、極細繊維からなる織物にウレタン樹脂を付与し
た後、起毛やバッフィング等の機械的な起毛加工により
極細繊維を表面に現出させる方法が一般に用いられてい
る。しかしながら、通常、起毛加工は、染色加工工程の
中で3〜5回起毛して極細繊維からなる毛羽を均一にし
ているが、起毛回数が増加すればコストが高くなり、ま
た織物の引き裂き強度が低下する等物性面が低下すると
いう問題がある。また、ウレタン樹脂の付与により、染
色した際の耐候堅牢度が悪く、アイロン掛け等で染料が
移行するという問題がある。
【0003】このようなウレタン樹脂を用いることによ
る問題を解決するため、特開平5−44137号公報に
は、極細繊維化可能な複合繊維のマルチフィラメントと
沸水収縮率が25%以上のポリエステルマルチフィラメ
ントとの複合糸からなる織物を30%以上収縮させた
後、複合繊維の一部を溶解分割してスエード調織物を得
る方法が提案されている。
【0004】さらに、前記方法においては、芯部に位置
するポリエステルマルチフィラメントが熱収縮により相
互に密着して複合繊維を溶解分割する処理液の浸透、循
環が不十分になり、織物の一部に分割されない繊維が残
存して、表面タッチが硬化したり染色斑が発生するとい
う問題を有するが、この問題点を改善するものとして、
特開平7−216687号公報には、加熱により捲縮発
現可能なコンジュゲートフィラメントを芯部に配置さ
せ、極細繊維化可能な分割型或いは海島型複合繊維を鞘
部に配置させた二層構造糸を用い、コンジュゲートフィ
ラメントの捲縮発現により、複合繊維の溶解分割処理に
際しての処理液の浸透、循環をスムーズに行わせると共
に、地締まり感のあるスエード調織物を得る方法が提案
されている。
【0005】しかしながら、この方法においては、複合
繊維の溶解分割処理による生ずる極細繊維ではソフトで
ウォーム感を得るには不十分であり、織物にソフトでウ
ォーム感を十分に得るには起毛加工の追加が必須であ
り、起毛加工に基づく、コスト高、織物の物性面での低
下は免れ得ないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
に微細な毛羽を有し、ソフトでウォーム感があり、均質
で地締まり感、ハリ・コシ、反発性、ドレープ性に優
れ、かつ伸縮性の良好なスエード調織物を得ることの可
能なポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸を提供するこ
とにあり、また、その潜在羽毛二層構造複合糸から得ら
れるスエード調織物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、沸騰水中にて
捲縮が発現可能なポリエステルコンジュゲートマルチフ
ィラメントが芯部に配置され、式R−SO3M(Rは炭
素数3〜30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリー
ル基、Mはアルカリ金属)で表される有機スルホン酸金
属塩を含有するポリエステルマルチフィラメントが鞘部
に配置された二層構造複合糸であって、該二層構造複合
糸が沸水収縮率5〜20%、捲縮回復率80%以上で、
かつアルカリ減量により、糸表面に見掛け単繊維直径3
μm以下、長さ1mm以下の毛羽を発現し得ることを特
徴とするポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸、
【0008】及び、沸騰水中にて捲縮率20〜40%の
捲縮が発現可能なポリエステルコンジュゲートマルチフ
ィラメントと、式R−SO3M(但し、Rは炭素数3〜
30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基、M
はアルカリ金属)で表される有機スルホン酸金属塩を
0.1〜10重量%含有し、かつポリエステルコンジュ
ゲートマルチフィラメントより60%以上伸度の高いポ
リエステル高配向未延伸マルチフィラメントとを引き揃
え、流体交絡処理して30〜80個/mの交絡を付与し
た後、仮撚加工することを特徴とするポリエステル潜在
羽毛二層構造複合糸の製造方法、
【0009】並びに、前記のポリエステル潜在羽毛二層
構造複合糸を、α=T√D(但し、Tは撚数(回/
M)、Dはトータル繊度(デニール))で定義される撚
係数αが7000〜22000の撚糸を施して、経糸及
び緯糸の少なくとも一方に用いて製織された織物であっ
て、沸騰水中にてポリエステルコンジュゲートマルチフ
ィラメントの捲縮を発現させるとともに、アルカリ減量
によって織物表面に見掛け単繊維直径3μm以下、長さ
1mm以下の毛羽を1×104本/cm2以上発現させた
ことを特徴とするスエード調織物、にある。
【0010】
【発明の実施の形態】まず、本発明のポリエステル潜在
羽毛二層構造複合糸について説明する。本発明のポリエ
ステル潜在羽毛二層構造複合糸において、芯部に配置さ
れるポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント
は、仮撚加工等の機械的捲縮加工を施さなくとも、沸騰
水中にてコイル状捲縮等の三次元的捲縮を発現すること
が可能なポリエステルコンジュゲートマルチフィラメン
トである。
【0011】かかるポリエステルコンジュゲートマルチ
フィラメントとしては、例えばポリエチレンテレフタレ
ート及びポリブチレンテレフタレートをそれぞれ主たる
構成成分とする2種の成分がサイドバイサイド型又は偏
芯シースコア型に複合紡糸されたコンジュゲートマルチ
フィラメント、固有粘度が異なるポリエチレンテレフタ
レートをそれぞれ主たる構成成分とする2種の成分がサ
イドバイサイド型又は偏芯シースコア型に複合紡糸され
たコンジュゲートマルチフィラメント等が挙げられる。
【0012】ポリエステルコンジュゲートマルチフィラ
メントの単繊維繊度は、特に制限させるものではなく、
一般的には単繊維繊度が2デニール以上であれば伸縮性
が得られるが、目的とする風合い、伸縮性能に応じ適宜
選択される。
【0013】また、本発明のポリエステル潜在羽毛二層
構造複合糸において、鞘部に配置されるポリエステルマ
ルチフィラメントは、式R−SO3M(Rは炭素数3〜
30のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基、M
はアルカリ金属)で表される有機スルホン酸金属塩を含
有するポリエステルマルチフィラメントである。前記式
で表される有機スルホン酸金属塩は、アルカリ減量にお
ける活性点となり繊維表面に微細な毛羽を発生させるた
めに必須な成分である。
【0014】前記式で表される有機スルホン酸金属塩と
しては、好ましくは炭素数3〜30のアルキルスルホン
酸のナトリウム塩、リチウム塩、テトラブチルホスホニ
ウム塩、テトラフェニルホスホニウム塩、トルエンスル
ホン酸又はドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム
塩、リチウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、テトラ
フェニルホスホニウム塩、或いはこれらの混合物等が挙
げられる。
【0015】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造複
合糸にあっては、沸水収縮率が5〜20%、捲縮回復率
が80%以上であることが必要であり、沸水収縮率が5
%未満では、織物としたときに織物の地締まり感に欠
け、20%を超えると、織物としたときに織物の風合い
が粗硬なものとなる。また、二層構造複合糸の捲縮回復
率が80%未満では、織物としたときに伸縮性に欠け、
織物を伸ばした際織物が復元せずに毛羽面の地割れを生
じ織物品位に問題を引き起こす。
【0016】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造複
合糸においては、アルカリ減量により、鞘部の有機スル
ホン酸金属塩含有のポリエステルマルチフィラメントの
繊維表面がアルカリ減量されて糸表面に見掛け単繊維直
径3μm以下、長さ1mm以下の毛羽を発現し得ること
が必要であり、糸表面に発現した毛羽は、織物において
ソフトでウォーム感に富む風合いを与え、またアルカリ
減量されたときでも、鞘部のフィラメントは、その繊維
表面以外の部分でポリエステル繊維としての性状を保持
している。毛羽が単繊維直径3μmを超えると、ソフト
感が得られず、また長さが1mmを超えると、毛羽の単
繊維直径が3μm以下であってもふかつき感を呈し好ま
しくない。
【0017】次に、本発明のポリエステル潜在羽毛二層
構造複合糸の製造方法について説明する。芯部とするポ
リエステルコンジュゲートマルチフィラメントとして
は、沸騰水中にて捲縮率20〜40%、好ましくは25
〜35%の捲縮が発現可能なポリエステルコンジュゲー
トマルチフィラメントを用いる。ポリエステルコンジュ
ゲートマルチフィラメントの捲縮率が20%未満では、
織物としたときに織物の伸縮性が不足し、40%を超え
ると、織物としたときに織物の収縮が大きく粗硬な風合
いとなる。
【0018】また、鞘部とするポリエステルマルチフィ
ラメントとしては、前記式R−SO3Mで表される有機
スルホン酸金属塩を0.1〜10重量%、好ましくは
0.5〜5重量%含有し、かつ芯部とするポリエステル
コンジュゲートマルチフィラメントより60%以上、好
ましくは80%以上伸度の高いポリエステル高配向未延
伸マルチフィラメントを用いる。有機スルホン酸金属塩
の含有量が0.1重量%未満では、アルカリ減量処理し
たときに織物にソフトでウォーム感を得るに十分な量の
微細な毛羽が発現できず、10重量%を超えると、紡糸
工程において糸切れ等のトラブルを引き起こし製糸が困
難となる。
【0019】また、ポリエステルコンジュゲートマルチ
フィラメントとの伸度差が60%未満であると、糸にお
ける芯鞘構造の形成が不十分となり、また有機スルホン
酸金属塩含有ポリエステル高配向未延伸マルチフィラメ
ントの伸度が低い、即ち配向が大きいことによりアルカ
リ減量処理による微細な毛羽の発現が困難となる。
【0020】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造複
合糸は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメン
トと有機スルホン酸金属塩含有ポリエステル高配向未延
伸マルチフィラメントとを引き揃え、エア等の流体によ
り交絡処理して30〜80個/mの交絡を付与した後、
仮撚加工することにより得ることができる。
【0021】流体交絡処理による交絡数が30個/m未
満では、フィラメント間のばらけ等を生じ後工程でトラ
ブルを引き起こし、80個/mを超えると、フィラメン
ト間の拘束が強くなりすぎ鞘部のマルチフィラメントが
ネット状に柔らかく芯部のコンジュゲートマルチフィラ
メントに巻き付いた形態とならず、ふくらみ感のある糸
を得ることが困難となる。
【0022】仮撚加工は、その加工条件に特に制限はな
いが、均一な二層構造複合糸を生産性よく安定に得るた
めには、三軸外接ディスクタイプ又はベルトニップタイ
プの仮撚ツイスターを用いることが好ましい。
【0023】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造複
合糸を用いることにより良好なスエード調織物を得るこ
とができ、かかるスエード調織物は、前記のポリエステ
ル二層構造複合糸を、α=T√D(但し、Tは撚数(回
/M)、Dはトータル繊度(デニール))で定義される
撚係数αが7000〜22000の撚糸を施して、経糸
及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織した織物に、沸
騰水中にて二層構造複合糸中の芯部のポリエステルコン
ジュゲートマルチフィラメントの捲縮を発現させるとと
もに、アルカリ減量によって織物表面に二層構造複合糸
の鞘部の有機スルホン酸金属塩含有ポリエステルマルチ
フィラメントのアルカリ減量に基づく見掛け単繊維直径
3μm以下、長さ1mm以下の毛羽を1×104本/c
2以上発現させてなるものである。
【0024】織物の製織に際しては、本発明の目的を損
なわない範囲で天然繊維、再生繊維或いは他の合成繊維
と交織してもよく、また、織物組織にも特に制限はなく
平織、綾織、朱子織等任意の組織であってもよい。
【0025】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造複
合糸に撚係数αが7000〜22000の撚糸を施すこ
とにより、織物に製織されたときに、織物にふくらみ感
やハリ・コシを与えるとともに、鞘部及び芯部のポリエ
ステルフィラメント糸によりポリエステルフィラメント
糸特有の反発性、ドレープ性を織物に与える。織物表面
に発現させる毛羽は、よりソフトでウォーム感に富む風
合いを織物に与えるには、5×104本/cm2以上であ
ることが好ましい。
【0026】ポリエステルコンジュゲートマルチフィラ
メントに捲縮を発現させる沸騰水での処理と有機スルホ
ン酸金属塩含有ポリエステルマルチフィラメントに微細
な毛羽を発現させるアルカリ減量処理とは、同時に行っ
てもよいし、別々の工程で行ってもよく、また、ポリエ
ステルコンジュゲートマルチフィラメントに捲縮を発現
させる沸騰水での処理は、染色と同時に行ってもよい。
【0027】アルカリ減量処理は、アルカリ化合物の水
溶液に浸漬処理することにより行われる。アルカリ減量
処理におけるアルカリ化合物としては、特に限定はない
が、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが用
いられる。また、アルカリ化合物の水溶液濃度、処理温
度、処理時間は、前記毛羽が発現し得る範囲で適宜選択
され、これら条件は特に限定はないが、アルカリ減量処
理は、ポリエステルコンジュゲートマルチフィラメント
に同時に捲縮を発現させる場合を含め沸騰状態下で行う
ことが好ましい。
【0028】本発明によるスエード調織物は、その構成
の二層構造複合糸中のポリエステルコンジュゲートマル
チフィラメントの捲縮を発現させたことにより、二層構
造複合糸を用いた糸方向の織物の伸長率が3〜25%と
なり、織物が3〜25%の伸長率を有することにより、
縫製時の縫糸張力が吸収され、パッカリングを生ずるこ
とがなく、縫製の仕立て映えを良好にする。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中、部、%とあるのは重量部、重量%
を意味する。また、各物性の測定は下記の方法に拠っ
た。 〈伸度、沸水収縮率(BWS)、捲縮回復率、捲縮率〉
JIS−L1090に準拠した。 〈固有粘度〉オルソクロロフェノール25ミリリットル
にサンプルポリマー2gを溶解し、オストワルド粘度計
にて25℃で測定した。
【0030】〈交絡数〉任意に長さ1mのサンプル糸を
とり、0.02g/dの張力下で非交絡部分にピンを刺
し、0.1g/dの張力でピンを糸の長手方向の前後に
移動させることにより交絡数を測定した。この操作を1
0回行い、その平均値で求めた。 〈発生毛羽数〉織物の任意の3ヶ所を走査型電子顕微鏡
(日本電子(株)製JSM−T100)によって200
0倍拡大SEMを撮影し、見掛け単繊維直径が3μm以
下、長さ1mm以下の毛羽の本数を測定し、視野面積で
の毛羽数より織物1cm2当たりの表面に存在する毛羽
数に換算した。
【0031】(実施例1)テレフタル酸100重量部と
エチレングリコール52重量部をエステル化槽に仕込
み、4kg/cm2の加圧下で260℃でエステル化を
行い、得られた反応生成物にトリメチルホスフェイト、
三酸化アンチモン、二酸化チタンをそれぞれ生成ポリマ
ーに対し0.01%、0.04%、0.5%となるよう
にエチレングリコール分散液として加え、さらに平均の
炭素数が15のアルキルスルホン酸ナトリウム(不純物
として塩化ナトリウム0.02%、硫酸ナトリウム0.
05%含有)を生成ポリマーに対し1%となるようにエ
チレングリコール分散液として加え、高真空下で285
℃で重縮合を行い、固有粘度0.71のポリマーを得
た。得られたポリマーを常法によりチップ化、乾燥後、
溶融温度285℃、紡糸速度2900m/分で溶融紡糸
し、伸度153%、120デニール/36フィラメント
のアルキルスルホン酸ナトリウム含有ポリエチレンテレ
フタレートの高配向未延伸糸(POY)を得た。
【0032】また、固有粘度1.649のポリエチレン
テレフタレートと固有粘度1.520のポリエチレンテ
レフタレートを5:5の割合でサイドバイサイド型に複
合紡糸し、延伸工程を経て伸度24%、捲縮率28%の
96デニール/24フィラメントのポリエステルのコン
ジュゲート糸を得た。
【0033】得られたアルキルスルホン酸ナトリウム含
有の高配向未延伸糸とコンジュゲート糸とを引き揃え、
それぞれれ2%、5%のオーバーフィード率でヘバライ
ン社製タスランノズルT−311に供給して、4kg/
cm2でエア交絡処理して交絡数42個/mの交絡を付
与した後、ヒータ温度190℃、延伸倍率1.011、
三軸外接ディスクタイプ仮撚ツイスタにおけるディスク
表面速度403m/分、撚Z方向、加撚張力31g
(0.14g/d)、解撚張力15g、デリベリローラ
速度200m/分の条件で仮撚加工した。
【0034】得られた複合糸は、コンジュゲートフィラ
メントが芯部に、アルキルスルホン酸ナトリウム含有の
高配向未延伸糸に基づくフィラメントが鞘部に配置され
た二層構造を有しており、BWSが5.7%、捲縮回復
率が88%であった。この複合糸を撚数1000T/M
(S方向、撚係数α=14200)に撚糸し、経密度6
0羽/寸、緯密度45本/吋の平織物を製織し、この織
物を水酸化ナトリウム水溶液に沸騰下に浸漬して減量率
22重量%にアルカリ減量処理し、次いで130℃で染
色仕上げ加工した。得られた織物は、織物表面に見掛け
単繊維直径3μm以下、長さ1mm以下の毛羽を9.2
×104本/cm2を有していた。この織物は、ソフトで
ウォーム感があり、均質で地締まり感、ハリ・コシ、反
発性、ドレープ性に優れ、伸縮性の良好なスエード調織
物であった。
【0035】(比較例1)実施例1において、伸度15
3%、120デニール/36フィラメントのアルキルス
ルホン酸ナトリウム含有の高配向未延伸糸を伸度160
%、120デニール/72フィラメントのアルキルスル
ホン酸ナトリウム非含有のポリエチレンテレフタレート
高配向未延伸糸に代えた以外は、実施例1と同様にして
二層構造の複合糸とし、撚糸し製織してアルカリ減量処
理し、染色仕上げ加工した。得られた織物は、織物表面
に見掛け単繊維直径4.6μm以下、長さ2mm程度の
毛羽を多数有し、ソフト感はあるが、ふかつき感があり
風合い的に好ましいものではなかった。
【0036】(実施例2〜11、比較例2〜6)実施例
1と同様にして得た表1に示す原糸を用い、表1に示す
交絡数にエア交絡処理した後、実施例1と同様にして仮
撚加工した。仮撚加工の際は加撚張力を0.15g/d
とし加撚張力/解撚張力が2程度となるように調整し
た。得られた複合糸のBWS、捲縮回復率を表1に示し
た。得られた複合糸を用い、実施例1と同様にして表1
に示す撚係数αで撚糸し、製織して表1に示す減量率に
アルカリ減量処理し、染色仕上げ加工した。得られた織
物の織物表面の毛羽状態、風合いの評価結果を表1に示
した。
【0037】(比較例7)実施例1において、仮撚加工
の際のヒータ温度を220℃に変えて得たBWSを低下
させた複合糸を用いる以外は、実施例1と同様にして撚
糸し製織してアルカリ減量処理し、染色仕上げ加工し
た。得られた織物の織物表面の毛羽状態、風合いの評価
結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造
複合糸は、スエード調織物の素材として有用かつ好適な
るものであり、本発明のポリエステル潜在羽毛二層構造
複合糸からなり、糸の繊維構成にそれぞれ基づく捲縮及
び毛羽を発現させた織物は、従来の分割型複合繊維に由
来する極細繊維に比べより細く、より多数の微細な毛羽
を織物表面に有し、ソフトでウォーム感があり、均質で
地締まり感、ハリ・コシ、反発性、ドレープ性に優れ、
かつ伸縮性の良好なるスエード調織物であり、各種衣料
用途に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D06N 3/00 DAA D06N 3/00 DAA

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸騰水中にて捲縮が発現可能なポリエス
    テルコンジュゲートマルチフィラメントが芯部に配置さ
    れ、式R−SO3M(Rは炭素数3〜30のアルキル基
    又は炭素数7〜40のアリール基、Mはアルカリ金属)
    で表される有機スルホン酸金属塩を含有するポリエステ
    ルマルチフィラメントが鞘部に配置された二層構造複合
    糸であって、該二層構造複合糸が沸水収縮率5〜20
    %、捲縮回復率80%以上で、かつアルカリ減量によ
    り、糸表面に見掛け単繊維直径3μm以下、長さ1mm
    以下の毛羽を発現し得ることを特徴とするポリエステル
    潜在羽毛二層構造複合糸。
  2. 【請求項2】 沸騰水中にて捲縮率20〜40%の捲縮
    が発現可能なポリエステルコンジュゲートマルチフィラ
    メントと、式R−SO3M(但し、Rは炭素数3〜30
    のアルキル基又は炭素数7〜40のアリール基、Mはア
    ルカリ金属)で表される有機スルホン酸金属塩を0.1
    〜10重量%含有し、かつポリエステルコンジュゲート
    マルチフィラメントより60%以上伸度の高いポリエス
    テル高配向未延伸マルチフィラメントとを引き揃え、流
    体交絡処理して30〜80個/mの交絡を付与した後、
    仮撚加工することを特徴とするポリエステル潜在羽毛二
    層構造複合糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリエステル潜在羽毛二
    層構造複合糸を、α=T√D(但し、Tは撚数(回/
    M)、Dはトータル繊度(デニール))で定義される撚
    係数αが7000〜22000の撚糸を施して、経糸及
    び緯糸の少なくとも一方に用いて製織された織物であっ
    て、沸騰水中にてポリエステルコンジュゲートマルチフ
    ィラメントの捲縮を発現させるとともに、アルカリ減量
    によって織物表面に見掛け単繊維直径3μm以下、長さ
    1mm以下の毛羽を1×104本/cm2以上発現させた
    ことを特徴とするスエード調織物。
JP9074653A 1997-03-12 1997-03-12 ポリエステル潜在羽毛二層構造複合糸及びその製造方法並びにスエード調織物 Pending JPH10251963A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20050050602A (ko) * 2003-11-25 2005-05-31 가부시키가이샤 구라레 인조 피혁 시트 기재 및 그 제조 방법
JP2015193951A (ja) * 2014-03-31 2015-11-05 ユニチカトレーディング株式会社 複合仮撚糸の製造方法及び該製造方法により得られる複合仮撚糸を用いた織編物
WO2021244006A1 (zh) * 2020-05-30 2021-12-09 周观林 一种抗菌抗静电易去污防羽布及其制备方法

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