JP3285678B2 - 有毛ポリエステル2層構造仮撚加工糸 - Google Patents

有毛ポリエステル2層構造仮撚加工糸

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JP3285678B2
JP3285678B2 JP25210093A JP25210093A JP3285678B2 JP 3285678 B2 JP3285678 B2 JP 3285678B2 JP 25210093 A JP25210093 A JP 25210093A JP 25210093 A JP25210093 A JP 25210093A JP 3285678 B2 JP3285678 B2 JP 3285678B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数の微細な毛羽を有
するポリエステル2層構造仮撚加工糸、該2層構造仮撚
加工糸よりなる布帛およびそれらの製造方法、並びに該
2層構造仮撚加工糸用の原料糸であるループ状、カール
状または山形の屈曲部を多数有するポリエステル2層構
造仮撚加工糸に関する。詳細には、本発明は多数の微細
な切端毛羽を有していて、ソフトなタッチとふくらみを
有し、しかも織編物の基本特性であるハリ腰、反発性、
ドレープ性に優れた布帛、そのような布帛を構成するポ
リエステル2層構造仮撚加工糸、そのための原料糸並び
にそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維などの合成繊維は均一
性の高いことを特徴とするが、裏を返すとそのままでは
変化に乏しく人工の冷たさを有しており、織編物にした
場合に天然繊維からなる織編物に比べて風合、外観、触
感などが劣ったものになりがちである。そのため、合成
繊維に天然繊維様の風合、外観、触感などを付与するた
めの工夫と改良が色々試みられており、例えばポリエス
テル仮撚加工糸では、ポリエステルマルチフィラメント
糸を単にそのまま仮撚加工して捲縮糸を製造する代わり
に、ポリエステルマルチフィラメントを芯糸と鞘糸にわ
け、糸長差を設けながら両方の糸を供給して仮撚・交絡
を行って2層構造を有する仮撚加工糸とすることが既に
知られている。この方法で得られた2層構造仮撚加工糸
は、従来の単層構造の仮撚加工糸に比べてその風合や外
観などが優れているものの、天然繊維に比べるとその風
合、外観、触感などが未だ充分満足のゆくものではな
く、その一層の改良が求められてきた。
【0003】
【発明の内容】上記の点から、本発明者らは、延伸斑
(太細斑)を有するポリエステルマルチフィラメント糸
を鞘糸として用い、これをポリエステルマルチフィラメ
ントからなる芯糸に対してオーバーフィードしながら仮
撚加工または同時延伸仮撚加工してポリエステル2層構
造仮撚加工糸を製造し、次いでその2層構造仮撚加工糸
をそのままアルカリ処理するか或いは布帛にした後にア
ルカリ処理して、鞘糸を構成するポリエステルフィラメ
ントの太部(未延伸部または低延伸部)を溶解してその
部分に切れ毛羽を生じさせて、毛羽を有する糸または布
帛を製造する方法を先に開発した(特開平2−9963
6号公報)。
【0004】本発明者らの開発した毛羽を有する上記の
2層仮撚加工糸よりなる布帛は、多数の毛羽が存在する
ことによって多様な毛羽空間が形成されて、上記した従
来の毛羽のない2層構造仮撚加工糸からなる布帛に比べ
て、風合、外観、ふくらみ、触感などの点で優れてお
り、天然繊維に一層近い良好な特性を有している。そし
て本発明者らは、この毛羽を有する2層構造仮撚加工糸
の実用化と一層の高品質化を目指してその性能に関する
研究や改良技術などについて研究を重ねてきた。その結
果、該毛羽を有する2層構造仮撚加工糸では、アルカリ
処理によって生成した毛羽がその先端から少しずつ脱落
してゆくいわゆる「粉落ち」現象が見られ、実用化のた
めにはその粉落ち現象をなくすのが望ましいことが判明
した。
【0005】そこで本発明者らは、上記した粉落ちを防
止するための方策について色々検討を行ったところ、鞘
部用の太細斑を有するポリエステルフィラメントとし
て、微粒子を特定量以上で含有するポリエステルから得
られる極めて微細な太部を有するシックアンドシンポリ
エステルフィラメントを用いると、アルカリ処理後も粉
落ちが発生しないことを見出した。その上、微粒子を含
有する微細な太細斑を有するシックアンドシンポリエス
テルフィラメントを鞘部用に用いた場合には、アルカリ
処理によって小さな切端毛羽が極めて多数生成されて、
それによって布帛に一層ソフトなタッチとふくらみ、織
編物の基本特性であるハリ腰、反発性、ドレープ性など
の極めて優れた性能が同時に付与されることを見出して
本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、2種以上のポリエス
テルフィラメントが芯部と鞘部を形成しているポリエス
テル2層構造仮撚加工糸であって、鞘部が平均粒径1μ
m以下の微粒子を2重量%以上含有する長さ方向に微細
な太細斑を有するポリエステルフィラメントから形成さ
れており、且つ長さ5mm以下の切端毛羽を糸長1m当
たり500個以上有することを特徴とするポリエステル
2層構造仮撚加工糸、および該ポリエステル2層構造仮
撚加工糸よりなる布帛である。
【0007】そして、本発明は、平均粒径1μm以下の
微粒子を2重量%以上含有し且つ微細な太細斑を有する
鞘部用のポリエステルフィラメントを、芯部用のポリエ
ステルフィラメントに対してオーバーフィードさせなが
ら両者を互いに絡合させた後、仮撚加工して得られるポ
リエステル2層構造仮撚加工糸を用いて布帛となし、ア
ルカリ処理を施すことにより、構成糸の糸長1m当たり
長さ5mm以下の切端毛羽を500個/m以上発現させ
ることを特徴とする布帛の製造方法である。
【0008】更に、本発明は、多数の切端毛羽を有する
上記したポリエステル2層構造仮撚加工糸の製造に用い
るアルカリ処理前の原料糸を包含し、該原料糸は、平均
粒径1μm以下の微粒子を2重量%以上含有する長さ方
向に微細な太細斑を有するポリエステルフィラメントよ
りなる鞘部と、ポリエステルフィラメントよりなる芯部
とからなるポリエステル2層構造仮撚加工糸であって、
糸の表面および/または内部に鞘部用のポリエステルフ
ィラメントから主としてなるループ状、カール状または
山形の屈曲部が多数存在し、且つフィラメント間に絡合
部が形成されていることを特徴とするポリエステル2層
構造仮撚加工糸である。また、本発明は、かかるポリエ
ステル2層構造仮撚加工糸からなるアルカリ処理前の布
帛をも包含する。
【0009】アルカリ処理前の本発明のポリエステル2
層構造仮撚加工糸では、例えば図1に示すように、芯部
を構成するポリエステルフィラメント(以下「芯部フィ
ラメント」という)群の外側を平均粒径1μm以下の微
粒子を2重量%以上含有する長さ方向に微細な太細斑を
有する鞘部を構成するポリエステルフィラメント(以下
「鞘部フィラメント」という)群が包囲していて、糸の
表面および/または内部、特に糸の表面に鞘部フィラメ
ントより主としてなるループ状、カール状または山形の
屈曲部が多数存在し、且つフィラメント間に絡合が生じ
ている。糸の表面および内部に存在する屈曲部は鞘部フ
ィラメントより主としてなっているが、場合によっては
屈曲部の一部が芯部フィラメントよりなっていてもよ
い。
【0010】屈曲部は、図1に見るように、先端がシャ
ープなループまたはカール状、先端に丸みのあるループ
またはカール状、全体がなだらかな山型の形状、やや急
な山型の形状など種々の多様化した形状であってよく、
突出部の形状および寸法が一様でなく、種々の形状およ
び寸法の突出部がポリエステル2層構造仮撚加工糸の表
面や内部にランダムに混在していると、アルカリ処理後
の糸および布帛に微細で多様な切端毛羽を生じさせるこ
とができ、その結果自然で良好なふくらみ感、ソフト感
などを付与することができる。
【0011】その際に、ポリエステル2層構造仮撚加工
糸の表面に形成された屈曲部(以下「突出部」という)
では、(突出部高さ)/(突出部幅)の値(以下これを
「突出部係数」という)が1.5以上、好ましくは2〜
3であるのが好ましく、糸長1m当たりそのような突出
部が1500個以上存在するのが好ましい。なお、本発
明でいう突出部高さおよび突出部幅は、測定部分の糸条
が物に触れないようにして糸条を0.05g/デニール
の張力で引っ張った状態のものを拡大投影機に投影し、
糸条を糸軸に沿って回転させたときに観察される個々の
突出部の最大高さおよび最大幅をいい、図1で示すとH
が最大高さおよびDが最大幅に相当する。
【0012】また、鞘部フィラメントと芯部フィラメン
ト、鞘部フィラメント同士、および芯部フィラメント同
士の間には、フィラメント相互のずれの防止、屈曲部の
安定維持などのために止め点や止め部分となる絡合を生
じさせておくことが必要である。そのような絡合部は3
0個/m以上存在するようにするのが好ましく、50個
/m以上であるのがより好ましい。そして、本発明のポ
リエステル2層構造仮撚加工糸においては、芯部フィラ
メント群と鞘部フィラメント群との境界が必ずしも明確
になっている必要はなく、芯部分に鞘部フィラメントの
一部が混入していても、また鞘部分に芯部フィラメント
の一部が混入していてもよく、マルチフィラメント糸全
体としてみた場合にほぼ内側に芯部フィラメントが位置
し、ほぼ外側に鞘部フィラメントが位置していればよ
い。
【0013】本発明のポリエステル2層構造仮撚加工糸
の製法は特に制限されず任意の方法により製造すること
ができるが、例えば平均粒径1μm以下の微粒子を2重
量%以上含有し且つ微細な太細斑を有する鞘部フィラメ
ントを芯部フィラメント」に対してオーバーフィードさ
せながら(糸長差を持たせて供給しながら)両者を流体
などを使用して、例えばタスラン加工などによって互い
に絡み合わせた後、仮撚加工することによって製造する
ことができる。その際に鞘部フィラメントのオーバーフ
ィード量、流体圧などを変えることによって屈曲部の
数、寸法、フィラメント間の絡合の数および絡み強度な
どを変化・調節することができるが、一般に鞘部フィラ
メントのオーバーフィード率が10%以上、より好まし
くは20〜30%になるようにして鞘部フィラメントと
芯部フィラメントを流体加工ノズルに供給するのが好ま
しく、またその際に流体加工ノズルに供給する流体の流
体圧を2kg/cm2以上にしておくのが望ましい。
【0014】なお、本発明でいうオーバーフィード率と
は、鞘部フィラメントまたは芯部フィラメントの供給速
度(鞘部フィラメントまたは芯部フィラメントの供給ロ
ーラの表面速度)をV1とし、得られたポリエステル2
層構造仮撚加工糸の引き取り速度(引き取りローラの表
面速度)をV2とした場合に、下記の式により表され
る。
【0015】
【数1】オーバーフィード率(%)={(V1−V2)/V2}
×100 ・・・
【0016】また、流体加工にあたっては空気流が好ま
しく使用できるが、それに限定されるものではなく、窒
素ガス、炭酸ガスなどの他の気体、場合によっては液体
を使用してもよい。更に、流体加工装置としては、従来
既知の流体加工ノズルが使用でき、その形状や構造は特
に限定されない。そして、上記のようにして製造した本
発明のポリエステル2層構造仮撚加工糸に対しては、必
要に応じて更に実撚加工などが施してもよい。
【0017】上記したポリエステル2層構造仮撚加工糸
において、鞘部フィラメントとして用いる微細な太細斑
を有するポリエステルフィラメントとしては、主として
長さ1mm以下の太部がランダムに且つ多様化した状態
でフィラメントの長さ方向に多数存在するシックアンド
シンポリエステルフィラメントを用いるのが望ましく、
そのようなシックアンドシンポリエステルフィラメント
は、平均粒径1μm以下の微粒子を2重量%以上含有す
るポリエステルを用いて紡糸を行って中間配向ポリエス
テルフィラメントを製造し、それを低温で低倍率で延伸
することによって製造することができる。そのような微
細な太細斑が発生する理由は明確ではないが、ポリエス
テルフィラメント中に含まれる微粒子のコロ効果でその
延伸点が1mm以下の極めて短い間隔でフィラメントの
長さに沿ってランダムに分散し、そのような状態で延伸
が行われることによるものと考えられる。
【0018】鞘部フィラメント中に含有させる微粒子の
平均粒径が1μmを超えると紡糸性が極めて悪くなり、
一方微粒子の平均粒径が極端に小さくなると紡糸および
延伸時に鞘部フィラメント中に延伸点のランダムな変動
が起こりにくくなって多様な周期の太細斑が発生しにく
くなる。紡糸性および微細でランダムな太細斑を発生さ
せ得る点から、平均粒径0.02〜0.8μmの微粒子
を用いるのが好ましい。また、鞘部フィラメント中にお
ける微粒子の含有量が2重量%未満であると太細斑が短
周期でランダムに出現しなくなる。一方、微粒子の含有
量の上限は紡糸時の工程性などの点から15重量%以下
とするのが望ましく、4〜10重量%がより好ましい。
【0019】鞘部フィラメント中に含有させる微粒子の
好ましい例としては、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カル
シウム、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタンなど
を挙げることができ、それらのうちでも特に硫酸バリウ
ムは製造工程中に二次粒子(凝集塊)を形成するためか
または真比重が4.49と大きくポリエステル中での分
散状態が悪いためかその理由は明らかではないが、延伸
点のランダムな分散が得られて、多様化した太細斑周期
をフィラメントに現出できるので特に好ましい。
【0020】また、鞘部フィラメントを構成するポリエ
ステルとしては、繊維形成性のポリエステルであればい
ずれも使用することができ特に制限されないが、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
或いはエチレンテレフタレート単位および/またはブチ
レンテレフタレート単位を主たる構成単位としこれに少
量の他の共重合単位を含有させたコポリエステルが好ま
しい。そして鞘部フィラメントをエチレンテレフタレー
ト単位および/またはブチレンテレフタレート単位を主
とするコポリエステルから形成する場合には、他の共重
合単位としてイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタ
リンジカルボン酸、5−金属スルホイソフタル酸などの
芳香族カルボン酸成分、シュウ酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの脂肪族カルボン酸成分、トリ
メリット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸
成分、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、
ブタンジオールまたはエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなど
から誘導された単位を含有させることができる。
【0021】延伸処理を施す前の鞘部フィラメントの太
さや配向度、延伸時の温度や延伸倍率などは特に制限さ
れないが、一般に単繊維繊度が1.5デニール以下で且
つ太細斑における太部の複屈折率△nが約15×10-3
〜80×10-3である中間配向ポリエステルフィラメン
トを紡糸により製造し、これを約30〜60℃の温度で
約1.5〜2.5倍に延伸すると、上記した主として長
さ1mm以下の太部がランダムに且つ多様化した状態で
フィラメントの長さ方向に多数存在するシックアンドシ
ンポリエステルフィラメントを得ることができ、それに
より得られたシックアンドシンフィラメントを鞘部フィ
ラメントとして用いるのが望ましい。
【0022】一方、芯部フィラメントとしては、上記し
たような微粒子を含有する太細斑を有するポリエステル
フィラメントまたは太細斑のないポリエステルフィラメ
ントのいずれもが使用可能であり、ポリエステル2層構
造仮撚加工糸に強度を持たせる点から微粒子を含有せず
太細斑のないポリエステルフィラメントを用いるのが望
ましい。そして、芯部フィラメントも、鞘部フィラメン
トと同様の繊維形成性ポリエステルから形成することが
でき、その際に鞘部フィラメントと芯部フィラメントと
は、同じポリエステルから形成されていてもまたは異な
るポリエステルから形成されていてもよい。また、鞘部
フィラメントとしては、その複屈折率△nが約15×1
-3〜80×10-3の延伸フィラメントを用いるのがカ
バリング性の点から望ましい。
【0023】芯部フィラメントおよび鞘部フィラメント
はその単繊維繊度が同じであっても異なっていてもよい
が、鞘部フィラメントの単繊維繊度を芯部フィラメント
の単繊維繊度よりも小さくしておくと、微細なカール、
ループ、山形の屈曲部を糸の表面に多数形成させること
ができ、風合をソフトにすることができるので好まし
い。その際に、芯部フィラメントと鞘部フィラメントと
の単繊維繊度の差が2.5デニール以上であるのが布帛
に張り腰を持たせる点で好ましく、その差が2.5〜
3.5デニールあるのが一層好ましい。また、本発明に
おいては、鞘部フィラメントとして前述のような微細な
太細斑を有するデニールミックスフィラメント群を使用
したり、さらに該デニールミックスフィラメント群をカ
チオン染料可染性ポリエステルフィラメントとカチオン
染料に不染性の分散染料可染性ポリエステルフィラメン
トによって構成しておくことにより、染色後に極めて多
様で微妙で且つ自然な杢や色調を出現させることができ
る。
【0024】また、限定されるものではないが、ポリエ
ステル2層構造仮撚加工糸における鞘部フィラメント:
芯部フィラメントの割合を、重量で約1.2:1〜1.
4:1とするのが張り腰、ふくらみ、タッチなどの点か
ら好ましく、より好ましくは1.3:1〜1.4:1で
ある。更に、ポリエステル2層構造仮撚加工糸1本当た
りの総フィラメント数を約60〜120fとしておくの
が、紡糸時などの繊維化工程性、その後の加工性、織編
物などを製造する際の取り扱い性などの点から好まし
い。
【0025】更に、本発明のポリエステル2層構造仮撚
加工糸に用いる芯部フィラメントおよび鞘部フィラメン
トは、その横断面が円形;三葉形〜八葉形などの多葉
形、T字形、V字形、偏平形、方形などの異形の任意の
断面形状であることができ、また必要に応じて酸化防止
剤、耐熱性改善剤、蛍光漂白剤、難燃剤、艶消剤、着色
剤、無機微粒子などを含有していてもよい。
【0026】限定されるものではないが、上記したポリ
エステル2層構造仮撚加工糸の製法について、タスラン
加工した後仮撚加工する場合を例に挙げて図2により概
略的に説明すると以下のとおりである。すなわち、芯部
フィラメント群1をパッケージ3より解舒し、これを芯
部フィラメント供給ローラ5を介して圧空乱流域を形成
するタスラン加工ノズル7に供給する。一方、微粒子を
含有する鞘部フィラメント群2をパッケージ4より解舒
して鞘部フィラメント供給ローラ6および8を介して芯
部フィラメントよりもオーバーフィード量でタスラン加
工ノズル7に供給する。その際に、鞘部フィラメント用
の供給ローラ8の表面速度が供給ローラ6の表面速度よ
りも大きく設定してあり、ローラ6およびローラ8の間
で鞘部フィラメントが低延伸倍率で延伸されて鞘部フィ
ラメントに微細でランダムな太細斑が形成され、その太
細斑がホットピン9で熱固定される。
【0027】タスラン加工ノズル7で芯部フィラメント
群1の周囲に鞘部フィラメント群2が多数の屈曲部を形
成しながら混繊・交絡して芯部フィラメント群1がほぼ
内側に位置し鞘部フィラメント群2がほぼ外側に位置す
る芯鞘型ポリエステルマルチフィラメント糸10が形成
される。その芯鞘型ポリエステルマルチフィラメント糸
10をガイド11、中間ローラ12を経て、仮撚ヒータ
ー13および仮撚ユニット14により仮撚加工した後、
引き取りローラ15などを介してローラ16に巻取っ
て、糸の表面または内部に鞘部フィラメントから主とし
てなるループ状、カール状または山形の屈曲部が多数存
在し且つフィラメント間に絡合部が形成されているポリ
エステル2層構造仮撚加工糸17を製造する。
【0028】流体撹乱時の条件などによって、得られる
ポリエステル2層構造仮撚加工糸には連続的な混繊絡み
または間欠的な混繊絡みが形成されるが、そのいずれで
あってもよい。また、仮撚方法としてはディスク仮撚、
スピンドル仮撚などの公知の仮撚方法のいずれもが採用
でき、例えばディスク仮撚を行う場合はディスクの回転
速度Dと糸速度Yの比率(D/Y)が約1.7〜1.8
程度になるようにして行うのが好ましい。また仮撚ヒー
ターの温度は約150〜180℃程度とするのが好まし
い。
【0029】そして、上記により製造されたポリエステ
ル2層構造仮撚加工糸は直接そのまま、または布帛にし
て流通・販売することができ、或いはアルカリ処理を施
してから流通・販売してもよい。アルカリ処理を施して
多数の微細な切端毛羽を有する糸または布帛にするとそ
の商品価値を一層高めることができ望ましい。
【0030】アルカリ処理は、上記により得られた2層
構造仮撚加工糸またはこれに実撚を施した糸に対して直
接行っても、またはそれらの糸から編織布、不織布など
の布帛を形成してから施してもよい。特に、上記により
得られたポリエステル2層構造仮撚加工糸に実撚を施す
と、糸の表面に形成されているループ状、カール状、山
形などの屈曲部が明確な突起部として糸の表面に一層立
ち上がるので、アルカリによる侵食を受け易くなって微
細な切端毛羽の発生が一層容易に円滑に行われるように
なる。しかも実撚によって各フィラメントが糸に強固に
固定させることにより、アルカリ処理によって生じた切
端毛羽の素抜けを防止することができる。また、糸に直
接アルカリ処理を施す代わりに、布帛にしてからアルカ
リ処理を施す方がアルカリ処理が容易になり、且つ物性
や風合などに優れた製品が得られるので好ましい。そし
て、布帛にしてからアルカリ処理を施す場合は、布帛を
上記のポリエステル2層構造仮撚加工糸単独で形成して
も、または該2層構造仮撚加工糸と他の天然繊維、合成
繊維または糸などを組み合わせて形成してもよく、例え
ば織物の場合はタテ糸およびヨコ糸の両方、或いはタテ
糸およびヨコ糸のいずれか一方のみが上記した2層構造
仮撚加工糸からなっていてもよい。
【0031】アルカリ処理は水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、リン酸三ナトリウムなどの強アルカリ性物
質、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリ
ウム、リン酸二水素ナトリウムなどの弱アルカリ性物質
を含有する処理液を使用して行われる。強アルカリ性物
質、弱アルカリ性物質はそれぞれ単独、または混合した
状態で使用することができる。処理液中のアルカリ性物
質の濃度は、約10〜50g/リットルが好ましく、1
0〜20g/リットルがより好ましい。
【0032】また、アルカリ処理は80〜120℃の温
度で行うのが好ましく、温度が80℃よりも低いとアル
カリ減量処理に時間がかかるようになり、一方120℃
を超えると芯部フィラメントおよび鞘部フィラメントの
侵食や劣化が著しくなって糸の強度や風合の低下、切端
毛羽の消失などを生じやすくなる。そして、アルカリ処
理は、減量率が約7〜30%の範囲、好ましくは12〜
20%になるように行うのが望ましい。
【0033】さらにアルカリ処理は、布帛等の精練、糊
抜き時に同時に行っても、またはその前後に行ってもよ
いが、精練、糊抜きと同時に行うのが、処理工程数を少
なくすることができ好ましい。また、アルカリ処理を静
的状態で行ってもよいが、アルカリ処理液を糸、布帛等
に衝突させたり、アルカリ処理液や被処理混繊糸や布帛
などを撹拌しながら行うと、切端毛羽をより速やかに発
生させることができ、そのようなアルカリ処理は例えば
高圧液流式装置や高圧ワッシャー装置などを使用して実
施することができる。
【0034】また、アルカリ処理を非イオン系界面活性
剤、アニオン系界面活性剤などの存在下に行うのが好ま
しく、それにより複合繊維の膨潤、軟化、複合繊維への
アルカリの浸透等が促進されて、処理を速やかに行うこ
とができると共に糸や布帛全体に良好なふくらみ感が付
与され、しかも糸や布帛等から脱落した糊剤等が再付着
するのを防止することができる。その際の非イオン系界
面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン多価アル
コールアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエステル
類などを、またアニオン系界面活性剤としてはセッケ
ン、高級アルコール系界面活性剤などを挙げることがで
きる。
【0035】上記のアルカリ処理によって、長さが主と
して1mm以下の太部がランダムに且つ多様化した状態
でフィラメントの長さ方向に多数存在することにより、
鞘部フィラメントにおける太部(未延伸または低延伸
部)が優先的に溶解または侵食されて、長さ5mm以下
の切端毛羽が糸長1m当たり500個以上の極めて多数
の割合で存在する、図3に示すような本発明のポリエス
テル2層構造仮撚加工糸およびそれよりなる布帛が得ら
れる。その場合に、アルカリによる溶解または侵食は、
特に鞘部フィラメントのループ、カール、山形になった
屈曲部で生じ易い。
【0036】上記で得られた多数の切端毛羽を有する本
発明のポリエステル2層構造仮撚加工糸およびそれより
なる布帛は、切端毛羽の長さが5mm以下と短く、しか
も切端毛羽の先端部分などには強度の小さい未延伸部が
殆ど残留していないので、粉落ち現象がない。しかも、
長さが5mm以下の微細な切端毛羽が糸長1m当たり5
00個以上の極めて多数割合で発生していることによっ
て、ソフトなタッチとふくらみ、織編物の基本特性であ
るハリ腰、反発性、ドレープ性などの極めて優れた性能
を同時に兼ね備えている。
【0037】本発明により得られた糸または布帛は、ソ
フトなタッチやふくらみのある風合、ドレープ性などを
要求される婦人用のドレス、ブラウス、ジャケット、ス
ーツ、衣類の裏地などの種々の繊維製品に用いるのに極
めて適している。
【0038】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。下記の例
中におけるポリエステルの極限粘度[η]、アルカリ処
理前のポリエステル2層構造仮撚加工糸における突出部
係数、布帛のアルカリ減量率、長さ5mm以下の切端毛
羽の数、アルカリ処理後の織物の風合およびタッチ、粉
落ちは次のようにして測定または評価した。
【0039】ポリエステルの極限粘度[η]:フェノー
ルとテトラクロロエタンの等重量混合溶媒を用いて、対
象となるポリエステルの0.25g/dl、0.50g
/dlおよび1.0g/dlの3種の濃度の溶液につい
て30℃の温度において測定した3種の還元粘度から求
めた。
【0040】ポリエステル2層構造仮撚加工糸における
突出部係数:前述のように、糸条を0.05g/デニー
ルの張力で引っ張った状態のものを拡大投影機に投影
し、糸条を糸軸に沿って回転させたときに観察される個
々の突出部の最大高さHおよび最大幅Dを測定し、突出
部係数(H/D)を求め、その平均値を採った。
【0041】布帛のアルカリ減量率:所定のアルカリ処
理を行った後、酢酸または硫酸で中和、水洗し、アルカ
リ処理前の乾燥後の絶乾重量をA、アルカリ処理後の乾
燥後の絶乾重量をBとし、アルカリ減量率を下記の式
により求めた。
【0042】
【数2】アルカリ減量率(%)={(A−B)/A}×
100 ・・・
【0043】長さ5mm以下の切端毛羽の数:アルカリ
処理後の布帛を解舒して得た糸条を0.05g/デニー
ルの張力で引っ張った状態で拡大投影機に投影し、糸条
を糸軸に沿って回転させたときに所定の糸長当たりで観
察される長さ5mm以下の切端毛羽の数を数えて、糸長
1m当たりに切端毛羽数に換算した。
【0044】アルカリ処理後の織物の風合およびタッ
:下記の表1に示した評価基準にしたがって評価し
た。
【0045】
【表1】 アルカリ処理後の織物の風合およびタッチの評価基準 ○:非常にソフトで充分な張り腰がある。 △:張り腰があり、適度なソフトさがある。 ×:張り腰はあるが、ソフトさに乏しい。
【0046】アルカリ処理後の織物における粉落ち:布
帛にセロテープを貼り、そのセロテープを剥がしてテー
プに付着した粉の量を目視により観察して、テープに粉
がほとんどつかない場合を○、テープに粉が少しつく場
合を△、そしてテープ全面に多量の粉がつく場合を×と
して評価した。
【0047】《実施例 1〜4》 (1) ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]
=0.6)に4重量%の硫酸バリウム(平均粒径=0.
6μm)を配合して口金温度295℃で下記の表2に示
す紡糸条件で溶融紡糸して、表2に示す総デニール数/
フィラメント数を有する鞘部用のポリエチレンテレフタ
レートマルチフィラメントをそれぞれ製造した後、引き
続いて表2に示す延伸条件下に延伸処理を行って表2に
示す総デニール数/フィラメント数を有する鞘部用の延
伸ポリエステルマルチフィラメントを製造した。 (2) ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]
=0.6)を口金温度295℃で下記の表2に示す紡糸
条件で溶融紡糸して、表2に示す総デニール数/フィラ
メント数を有する芯部用のポリエステルマルチフィラメ
ントをそれぞれ製造した。
【0048】(3) 上記(1)で製造した鞘部用の延
伸ポリエステルマルチフィラメントの延伸工程および
(2)で製造した芯部用ポリエステルマルチフィラメン
トの紡糸工程に引き続いて、両方のフィラメントを表2
に示した加工条件下にタスラン加工および仮撚加工し
て、本発明のポリエステル2層構造仮撚加工糸を製造し
た。得られたポリエステル2層構造仮撚加工糸の突出部
係数を測定したところ、表2に示すとおりであった。
【0049】(4) 上記(3)で得たポリエステル2
層構造仮撚加工糸に2000T/Mの撚をかけた後、タ
テ糸およびヨコ糸として用いて1/1の平織物を製織し
た。得られた平織物を通常の方法により糊抜、精練、リ
ラックス処理した後、温度100℃の水酸化ナトリウム
水溶液(40g NaOH/リットル)中にアルカリ減
量率が30%になるまで浸漬した後、酸性水、次いで中
性水で充分洗浄し、50℃で20分間乾燥した。得られ
たアルカリ処理後の平織物における長さが5mm以下の
切端毛羽の数、風合およびタッチおよび粉落ちを上記の
方法により測定または評価したところ、表2に示すとお
りの結果を得た。
【0050】《比較例 1》 (1) ポリエチレンテレフタレート(極限粘度[η]
=0.6)を口金温度295℃で下記の表2に示す紡糸
条件で溶融紡糸して、表2に示す総デニール数/フィラ
メント数を有する鞘部用のポリエチレンテレフタレート
マルチフィラメントを製造した後、引き続いて表2に示
す延伸条件下に延伸処理を行って表2に示す総デニール
数/フィラメント数を有する鞘部用の延伸ポリエステル
マルチフィラメントを製造した。 (2) 実施例1の(2)と同様にして芯部用のポリエ
ステルマルチフィラメントを製造した。
【0051】(3) 上記(1)で製造した鞘部用の延
伸ポリエステルマルチフィラメントの延伸工程および
(2)で製造した芯部用ポリエステルマルチフィラメン
トの紡糸工程に引き続いて、両方のフィラメントを表2
に示した加工条件下にタスラン加工および仮撚加工して
ポリエステル2層構造仮撚加工糸を製造した。得られた
ポリエステル2層構造仮撚加工糸の突出部係数を測定し
たところ、表2に示すとおりであった。
【0052】(4) 上記(3)で得たポリエステル2
層構造仮撚加工糸から実施例1と同様にして平織物を製
織した後、実施例1と同様にアルカリ減量を行った。得
られたアルカリ処理後の平織物における長さ5mm以下
の切端毛羽の数、風合およびタッチおよび粉落ちを上記
の方法により測定または評価したところ、表2に示すと
おりの結果を得た。
【0053】
【表2】
【0054】上記表2の結果から、平均粒径が0.6μ
mの硫酸バリウムを4重量%含有するポリエステルフィ
ラメントからなる鞘部を有するポリエステル2層構造仮
撚加工糸よりなる布帛をアルカリ処理して得られた実施
例1〜4の布帛は、糸長1m当たり長さ5mm以下の切
端毛羽を4900個以上有し、粉落ちがなく、風合およ
びタッチに優れていて、極めて良好な品質を有している
ことがわかる。それに対して、硫酸バリウムを含有しな
いポリエステルフィラメントからなる鞘部を有するポリ
エステル2層構造仮撚加工糸から得られた布帛をアルカ
リ処理した比較例1の場合には、糸長1m当たり長さ5
mm以下の切端毛羽が実施例1〜4の半分以下の240
0個であって実施例1〜4に比べて切端毛羽数が大幅に
少なくなっており、しかも粉落ちがあり、ソフトさに欠
けるものであることがわかる。
【0055】
【発明の効果】本発明のポリエステル2層構造仮撚加工
糸およびそれよりなる布帛は、長さ5mm以下の微細な
切端毛羽を糸長1m当たり500個以上も有していて、
ソフトなタッチとふくらみを有し、且つ織編物の基本特
性である張り腰、反発性、ドレープ性などに優れてお
り、しかも切端毛羽がその先端から順次切れて脱落する
粉落ち現象がなく、極めて高い品質を有している。そし
て、上記した本発明の有毛ポリエステル2層構造仮撚加
工糸および布帛は、平均粒径1μm以下の微粒子を2重
量%以上含有する長さ方向に微細な太細斑を有するポリ
エステルフィラメントよりなる鞘部と、ポリエステルフ
ィラメントよりなる芯部とからなり、糸の表面または内
部に鞘部用のポリエステルフィラメントより主としてな
るループ状、カール状または山形の屈曲部が多数存在且
つフィラメント間に絡合部が形成されているポリエステ
ル2層構造仮撚加工糸またはそれよりなる布帛をアルカ
リ処理することにより極めて円滑に且つ容易に得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ処理を施す前の本発明のポリエステル
2層構造仮撚加工糸の構造の一例を示す図である。
【図2】図1のポリエステル2層構造仮撚加工糸の製造
工程の一例を示す図である。
【図3】アルカリ処理により得られる切端毛羽を有する
本発明のポリエステル2層構造仮撚加工糸の構造の一例
を示す図である。
【符号の説明】
1 芯部フィラメント群 2 鞘部フィラメント群 3 芯部フィラメントパッケージ 4 鞘部フィラメントパッケージ 5 芯部フィラメント供給ローラ 6 鞘部フィラメント供給ローラ 7 タスラン加工ノズル 8 鞘部フィラメント供給ローラ 9 ホットピン 10 芯鞘型ポリエステルマルチフィラメント糸 11 ガイド 12 中間ローラ 13 仮撚ヒーター 14 仮撚ユニット 15 引き取りローラ15 16 ローラ 17 ポリエステル2層構造仮撚加工糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D02G 3/34 D02G 3/34 D03D 15/00 D03D 15/00 J D06M 11/38 D06M 101:32 // D06M 101:32 5/02 D (56)参考文献 特開 平2−99636(JP,A) 特開 平4−333614(JP,A) 特開 昭55−1332(JP,A) 特開 平2−160940(JP,A) 特開 昭61−47843(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 1/00 - 3/48 D01D 5/34 D01F 6/62 D03D 15/00 D06M 11/38

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上のポリエステルフィラメントが
    芯部と鞘部を形成しているポリエステル2層構造仮撚加
    工糸であって、鞘部が平均粒径1μm以下の微粒子を2
    重量%以上含有する長さ方向に微細な太細斑を有するポ
    リエステルフィラメントから形成されており、且つ長さ
    5mm以下の切端毛羽を糸長1m当たり500個以上有
    することを特徴とするポリエステル2層構造仮撚加工
    糸。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリエステル2層構造仮撚加
    工糸からなる布帛。
  3. 【請求項3】 平均粒径1μm以下の微粒子を2重量%
    以上含有し且つ微細な太細斑を有する鞘部用のポリエス
    テルフィラメントを、芯部用のポリエステルフィラメン
    トに対してオーバーフィードさせながら両者を互いに絡
    合させた後、仮撚加工して得られるポリエステル2層構
    造仮撚加工糸を用いて布帛となし、アルカリ処理を施す
    ことにより、構成糸の糸長1m当たり長さ5mm以下の
    切端毛羽を500個/m以上発現させることを特徴とす
    る布帛の製造方法。
  4. 【請求項4】 平均粒径1μm以下の微粒子を2重量%
    以上含有する長さ方向に微細な太細斑を有するポリエス
    テルフィラメントよりなる鞘部と、ポリエステルフィラ
    メントよりなる芯部とからなるポリエステル2層構造仮
    撚加工糸であって、糸の表面および/または内部に鞘部
    用のポリエステルフィラメントから主としてなるループ
    状、カール状または山形の屈曲部が多数存在し、且つフ
    ィラメント間に絡合部が形成されていることを特徴とす
    るポリエステル2層構造仮撚加工糸。
  5. 【請求項5】 請求項のポリエステル2層構造仮撚加
    工糸からなる布帛。
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