JPH10245437A - 含水ポリオレフィン系樹脂粒子、それから製造された予備発泡粒子および該予備発泡粒子の製法 - Google Patents

含水ポリオレフィン系樹脂粒子、それから製造された予備発泡粒子および該予備発泡粒子の製法

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JPH10245437A
JPH10245437A JP5196397A JP5196397A JPH10245437A JP H10245437 A JPH10245437 A JP H10245437A JP 5196397 A JP5196397 A JP 5196397A JP 5196397 A JP5196397 A JP 5196397A JP H10245437 A JPH10245437 A JP H10245437A
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JP
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water
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polyolefin resin
polyolefin
particles
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JP5196397A
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English (en)
Inventor
Takeshi Obayashi
毅 御林
Kenji Mogami
健二 最上
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 揮発性発泡剤や炭酸ガスを発泡剤として使用
しなくても所望の物性を有するポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子を製造する。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポ
リオレフィン系樹脂組成物からの含水ポリオレフィン系
樹脂粒子であって、ポリオレフィン系樹脂粒子の融点x
[℃]と発泡温度における含水量y[PHR]とが式: 0.02x−1.9≦y≦0.18x−17.1 を満たす含水ポリオレフィン系樹脂粒子を、密閉容器内
で水系分散媒に分散させ、前記含水ポリオレフィン系樹
脂粒子の軟化温度以上に加熱したのち、前記密閉容器の
一端を解放し、前記含水ポリオレフィン系樹脂粒子およ
び水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気
中に放出させ、前記含水ポリオレフィン系樹脂粒子を発
泡させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含水ポリオレフィ
ン系樹脂粒子、それから製造された予備発泡粒子および
該予備発泡粒子の製法に関する。さらに詳しくは、たと
えば型内発泡成形品の原料として好適に使用しうるポリ
オレフィン系樹脂予備発泡粒子およびその製法、ならび
にそれに用いられる含水ポリオレフィン系樹脂粒子に関
する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】一般
に、型内発泡成形に使用されるポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子の気泡径は、あまりにも小さいばあい、該予
備発泡粒子を用いて型内発泡成形させてえられた成形品
の収縮率が大きくなりやすく、また成形品の形状が歪む
(当業界においては通常ヒケやソリなどといわれる)な
どの欠点があり、成形体の商品価値の低下や成形体の生
産性の悪化をもたらしている。
【0003】そこで、型内発泡成形後の成形品の収縮率
が小さく、成形品の形状を歪めない予備発泡粒子とし
て、ポリオレフィン系樹脂100部(重量部、以下同
様)に対し、カルボキシル基を含有するポリマー0.1
〜10部を含有せしめたものを基材樹脂とし、気泡径が
200〜500μmのポリオレフィン系樹脂予備発泡粒
子が提案されている(特開昭62−115042号公
報)。
【0004】前記ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
は、確かに、型内発泡成形後の成形品の収縮率が小さ
く、成形品の形状を歪めないという、すぐれた効果を奏
する。
【0005】しかしながら、前記ポリオレフィン系樹脂
予備発泡粒子の製造の際には、揮発性発泡剤や炭酸ガス
などの発泡剤を必要とするため、コスト高となるという
欠点がある。また、前記発泡剤として、ブタン、フロン
などの揮発性発泡剤を使用すると、地球環境の悪化の原
因となり、また、炭酸ガスを使用すると、地球温暖化の
原因となるとともに、予備発泡粒子の製造時に密閉容器
中の水系分散媒に容易に溶解して酸性となるため、容器
の腐食に対する対策を講じる必要があり、結果として設
備費が高価となるという問題がある。
【0006】したがって、近年、従来必要とされていた
発泡剤を使用しなくても所望の物性を有するポリオレフ
ィン系樹脂予備発泡粒子を製造しうる方法の開発が待ち
望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来技術
に鑑み、揮発性発泡剤や炭酸ガスを発泡剤として使用し
なくても所望の物性を有するポリオレフィン系樹脂予備
発泡粒子を製造することができる方法および該方法に用
いられる含水ポリオレフィン系樹脂粒子を提供するため
になされたものであり、ポリオレフィン系樹脂を主成分
とするポリオレフィン系樹脂組成物からのポリオレフィ
ン系樹脂粒子の含水物であって、ポリオレフィン系樹脂
粒子の融点x[℃]と発泡温度における含水量y[PH
R]とが式: 0.02x−1.9≦y≦0.18x−17.1 を満たすことを特徴とする含水ポリオレフィン系樹脂粒
子(請求項1)、発泡温度における含水量yが1[PH
R]以上である請求項1記載の含水ポリオレフィン系樹
脂粒子(請求項2)、ポリオレフィン系樹脂を主成分と
するポリオレフィン系樹脂組成物が親水性ポリマーを含
有する請求項1または2記載の含水ポリオレフィン系樹
脂粒子(請求項3)、親水性ポリマーがエチレン系アイ
オノマーである請求項3記載の含水ポリオレフィン系樹
脂粒子(請求項4)、ポリオレフィン系樹脂がポリプロ
ピレン系樹脂である請求項1、2、3または4記載の含
水ポリオレフィン系樹脂粒子(請求項5)、請求項1、
2、3、4または5記載の含水ポリオレフィン系樹脂粒
子を発泡させてなるポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子
(請求項6)、請求項1、2、3、4または5記載の含
水ポリオレフィン系樹脂粒子を、密閉容器内で水系分散
媒に分散させ、ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度以
上に加熱したのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記
含水ポリオレフィン系樹脂粒子および水系分散媒を前記
密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、前記
含水ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることを特徴
とするポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製法(請求
項7)、および密閉容器の内圧と、低圧雰囲気における
圧力の差が発泡適温における水の蒸気圧以上、80kg
/cm2G以下である請求項7記載のポリオレフィン系
樹脂予備発泡粒子の製法(請求項8)に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の含水ポリオレフィン系樹
脂粒子は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポリオ
レフィン系樹脂組成物からの粒子が含水したものであ
る。
【0009】ポリオレフィン系樹脂(A)とは、オレフ
ィン単量体単位を50〜100%(重量%、以下同
様)、さらには70〜100%含有し、オレフィン単量
体と共重合可能な単量体単位を0〜50%、さらには0
〜30%含有する樹脂である。オレフィン単量体単位を
50%以上含有するため、軽量で機械的強度、加工性、
電気絶縁性、耐水性、耐薬品性にすぐれる。オレフィン
単量体と共重合可能な単量体単位は、接着性、透明性、
耐衝撃性、ガスバリヤー性などの改質のために使用され
る成分であり、使用することによる効果をうるためには
2%以上、さらには5%以上使用するのが好ましい。
【0010】前記オレフィン単量体の具体例としては、
エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、
ヘプテン、オクテンなどの炭素数2〜8のα−オレフィ
ン単量体やノルボルネン系モノマーなどの環状オレフィ
ンなどがあげられる。これらのうちではエチレン、プロ
ピレンが安価であり、えられる重合体の物性が良好にな
る点から好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】前記オレフィン単量体と共重合可能な単量
体の具体例としては、酢酸ビニルなどのビニルアルコー
ルエステル、メチルメタクリレート、エチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が
1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ビニル
アルコール、メタクリル酸、塩化ビニルなどがあげられ
る。これらのうちでは酢酸ビニルが接着性、柔軟性、低
温特性の点から好ましく、メチルメタクリレートが接着
性、柔軟性、低温特性、熱安定性の点から好ましい。こ
れらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0012】ポリオレフィン系樹脂(A)のMIとして
は、たとえばポリプロピレン系樹脂では0.5〜30g
/10分、さらには1〜20g/10分のものが好まし
く、また、曲げ弾性率(ASTM D 747)として
は1000〜20000kgf/cm2、さらには30
00〜16000kgf/cm2、融点としては95〜
165℃、さらには110〜150℃のものが好まし
い。前記MIが0.5g/10分未満のばあい、溶融粘
度が高すぎて高発泡倍率の予備発泡粒子がえられにく
く、30g/10分をこえるばあい、発泡時の樹脂の伸
びに対する溶融粘度が低く破泡しやすくなり、高発泡倍
率の予備発泡粒子がえられにくくなる傾向にある。
【0013】前記のごときポリオレフィン系樹脂の具体
例としては、たとえばエチレン−プロピレンランダム共
重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム三元共
重合体、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合
体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、
低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重
合体などのポリエチレン系樹脂、ポリブテン、ポリペン
テンなどがあげられる。これらのポリオレフィン系樹脂
は無架橋の状態で用いてもよいが、パーオキサイドや放
射線などにより架橋させて用いてもよい。これらの樹脂
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオレフィン系樹脂のなかでは、ポリプロピ
レン系樹脂(融点135〜165℃、MI(230℃、
2.16kg/cm2)1.0〜20g/10分)は、
他のポリオレフィン系樹脂と比べて、高発泡倍率の予備
発泡粒子がえられやすく、また、えられた予備発泡粒子
からなる成形体の機械的強度や耐熱性が良好であること
から、本発明において好適に使用しうる。
【0014】本発明においては、前記ポリオレフィン系
樹脂に対して、含水性調整剤として親水性ポリマーまた
は水溶性無機物を、ポリオレフィン系樹脂が主成分とな
る範囲、すなわち、ポリオレフィン系樹脂100部に対
して100部未満、好ましくは25部未満、さらに好ま
しくは15部以下の範囲で添加することにより、含水量
をコントロールしたポリオレフィン系樹脂組成物が使用
される。なお、ポリオレフィン系樹脂組成物にさらに他
の成分を加えるばあいも、ポリオレフィン系樹脂100
部に対し、添加された各成分の和が100部未満、好ま
しくは25部未満、さらに好ましくは15部以下となる
ようにして使用する。
【0015】前記親水性ポリマーとは、分子内にカルボ
キシル基、水酸基、アミノ基、アミド基、エステル基な
どの親水性基を有するポリマーであり、親水性のちがい
により吸湿性ポリマー、吸水性ポリマーおよび水溶性ポ
リマーに分類される。
【0016】前記吸湿性ポリマーとは、ASTM D5
70に準拠して測定された吸水率が0.5%以上で上限
が100%のポリマーをいう。
【0017】前記吸湿性ポリマーの代表例としては、た
とえばカルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、熱可
塑性ポリエステル系エラストマー、セルロース誘導体な
どがあげられる。
【0018】前記カルボキシル基含有ポリマーの具体例
としては、たとえばエチレン−アクリル酸−無水マレイ
ン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体の分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなど
のアルカリ金属イオンをはじめ、亜鉛イオンなどの遷移
金属イオンで架橋させたエチレン系アイオノマー、エチ
レン−(メタ)アクリル酸共重合体などがあげられる。
これらのポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を
併用してもよい。これらのカルボキシル基含有ポリマー
のなかでは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の
分子間をナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアル
カリ金属イオンで架橋させたエチレン系アイオノマー
は、ポリオレフィン系樹脂中での分散性にすぐれ、比較
的少量で高含水率(1〜50%程度の含水率)の含水ポ
リオレフィン系樹脂粒子がえられるので、本発明におい
てとくに好適に使用しうるものである。
【0019】前記ポリアミドの具体例としては、たとえ
ばナイロン−6、ナイロン−6,6、共重合ナイロン
(イーエムエス ヘミー社(EMS−CHEMIE A
G)製、商品名グリルテックスなど)などがあげられ
る。これらのポリアミドは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0020】前記熱可塑性ポリエステル系エラストマー
の具体例としては、たとえばポリブチレンテレフタレー
トとポリテトラメチレングリコールのブロック共重合体
などがあげられる。これらの熱可塑性ポリエステル系エ
ラストマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。
【0021】前記セルロース誘導体の具体例としては、
たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースなど
があげられる。これらのセルロース誘導体は、単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】前記吸水性ポリマーとは、水に溶けること
なく、自重の数倍から数百倍の水を吸収し、圧力がかか
っても脱水されがたいポリマーをいう。
【0023】前記吸水性ポリマーの具体例としては、た
とえば架橋ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉−アクリル
酸グラフト共重合体、架橋ポリビニルアルコール系重合
体、架橋ポリエチレンオキサイド系重合体、イソブチレ
ン−マレイン酸系共重合体などがあげられる。これらの
ポリマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0024】前記架橋ポリアクリル酸塩系重合体の具体
例としては、たとえば(株)日本触媒製、商品名アクア
リック、三菱化学(株)製、商品名ダイヤウェットなど
で代表される架橋ポリアクリル酸ナトリウム系重合体な
どがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0025】前記架橋ポリビニルアルコール系重合体の
具体例としては、たとえば日本合成化学工業(株)製、
商品名アクアリザーブGPなどで代表される種々の架橋
ポリビニルアルコール系重合体があげられる。かかる重
合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0026】前記架橋ポリエチレンオキサイド系重合体
の具体例としては、たとえば住友精化(株)製、商品名
アクアコークなどで代表される種々の架橋ポリエチレン
オキサイド系重合体があげられる。かかる重合体は、単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】前記イソブチレン−マレイン酸系共重合体
の具体例としては、たとえば(株)クラレ製、商品名K
Iゲルなどで代表される種々のイソブチレン−マレイン
酸系共重合体があげられる。かかる共重合体は、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】前記水溶性ポリマーとは、常温ないし高温
状態で水に溶解するポリマーをいう。
【0029】前記水溶性ポリマーの具体例としては、た
とえばポリ(メタ)アクリル酸系重合体、ポリ(メタ)
アクリル酸塩系重合体、ポリビニルアルコール系重合
体、ポリエチレンオキサイド系重合体、水溶性セルロー
ス誘導体などがあげられる。これらのポリマーは、単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】前記ポリ(メタ)アクリル酸系重合体とし
ては、たとえばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリル
酸エチル共重合体、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエ
チルなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】前記ポリ(メタ)アクリル酸塩系重合体と
しては、たとえばポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタ
クリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリメ
タクリル酸カリウムなどがあげられる。これらの重合体
は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】前記ポリビニルアルコール系重合体として
は、たとえばポリビニルアルコール、ビニルアルコール
−酢酸ビニル共重合体などがあげられる。これらの重合
体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。
【0033】前記ポリエチレンオキサイド系重合体とし
ては、たとえば分子量数万〜数百万のポリエチレンオキ
サイドなどがあげられる。これらの重合体は、単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】前記水溶性セルロース誘導体としては、た
とえばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロースなどがあげられる。これらの重合体は、単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】前記親水性ポリマーの使用量はその種類に
よって異なる。本発明で所望する含水率を有するポリオ
レフィン系樹脂粒子をうるためには、ポリオレフィン系
樹脂100部に対し、0.01部以上、なかんづく0.
1部以上用いるのが好ましく、また、予備発泡粒子の製
造時の生産安定性や発泡特性を良好にし、予備発泡粒子
からえられる成形体にすぐれた機械的強度や耐熱性を付
与するとともに、吸水時の寸法変化を抑制するために
は、ポリオレフィン系樹脂100部に対し、25部未
満、なかんづく15部以下用いるのが好ましい。
【0036】前記水溶性無機物としては、たとえば硼
砂、硫酸ニッケル、硫酸マンガン、塩化ナトリウム、塩
化マグネシウム、塩化カルシウムなどがあげられる。こ
れらは1種で用いてもよく2種以上を組み合わせて用い
てもよい。これらのうちでは硼砂がポリオレフィン系樹
脂に対する分散性が比較的良好であり、安価である上に
取扱いが容易である点から好ましい。
【0037】前記水溶性無機物は、通常、ポリオレフィ
ン系樹脂粒子を製造する際に、通常、粉粒体として添加
される。前記粉粒体の粒径にはとくに限定はないが、一
般的に、粒径0.1〜150μm、さらには1〜100
μmのものが好ましい。
【0038】前記水溶性無機物の使用量は、ポリオレフ
ィン系樹脂100部に対し0.01〜2部、とくに0.
02〜1部となるように添加するのが、本発明で所望す
る含水率を有するポリオレフィン系樹脂粒子をえやすい
点から好ましい。水溶性無機物を大過剰に含有せしめる
と、えられる予備発泡粒子が収縮し易くなり、発泡成形
性の上で好ましくない。一方、水溶性無機物の添加量が
少なすぎると、本発明の効果が充分えられにくくなる。
【0039】前記ポリオレフィン系樹脂および含水性調
整剤を含有するポリオレフィン系樹脂組成物には、これ
ら以外に充填剤を含有せしめるのが、気泡が均一で、高
発泡倍率の予備発泡粒子をうることができる点から好ま
しい。
【0040】前記充填剤は、無機充填剤と有機充填剤と
に大別される。
【0041】前記無機充填剤の具体例としては、たとえ
ばタルク、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどがあ
げられる。これらの無機充填剤は、単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、気
泡が均一で高発泡倍率を有する予備発泡粒子がえられる
点からタルクが好ましい。
【0042】前記有機充填剤は、前記ポリオレフィン系
樹脂粒子の軟化温度以上の温度で固体状のものであれば
とくに限定なく使用しうる。前記有機充填剤の具体例と
しては、たとえばフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉
末、熱可塑性ポリエステル樹脂粉末などがあげられる。
これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよ
い。
【0043】前記充填剤の平均粒子径は、気泡が均一で
高発泡倍率を有する予備発泡粒子をうることができ、ま
た該予備発泡粒子から機械的強度や柔軟性などにすぐれ
た成形体をうることができる点から、50μm以下、な
かんづく10μm以下であるのが好ましい。下限は2次
凝集による分散不良の防止、取扱作業性の点から0.1
μmである。
【0044】前記充填剤の使用量は、高発泡倍率の予備
発泡粒子をうるためには、ポリオレフィン系樹脂100
部に対して0.001部以上、なかんづく0.005部
以上とすることが好ましく、また予備発泡粒子を成形す
る際に、すぐれた融着性を発現させ、該予備発泡粒子か
ら機械的強度や柔軟性などにすぐれた成形体をうるため
には、ポリオレフィン系樹脂100部に対して10部以
下、なかんづく5部以下とすることが好ましい。
【0045】前記ポリオレフィン系樹脂および含水性調
整剤、必要により充填剤を含有したポリオレフィン系樹
脂組成物は、通常、押出機、ニーダー、バンバリーミキ
サー、ロールなどを用いて溶融混練し、ついで円柱状、
楕円柱状、球状、立方体状、直方体状など予備発泡に利
用しやすい所望の粒子形状に成形するのが好ましい。粒
径としては、一般に0.3〜5mm、さらには0.5〜
3mmのものが使用される。
【0046】本発明の含水ポリオレフィン系樹脂粒子
は、前記ポリオレフィン系樹脂粒子に含水させることに
よりえられ、その含水量は、ポリオレフィン系樹脂粒子
の融点x[℃]と発泡温度における含水量y[PHR]
とが式: 0.02x−1.9≦y≦0.18x−17.1 を満たす量である。
【0047】ポリオレフィン系樹脂粒子の融点x[℃]
とは、ポリオレフィン系樹脂粒子(ポリオレフィン系樹
脂組成物)の融点をDSCにより、昇降温速度10℃/
minで測定したばあいのセカンド−ラン(2nd−r
un)における融解ピーク温度である。
【0048】発泡温度における含水量y[PHR]と
は、あらかじめ60℃で24時間以上乾燥させた樹脂粒
子約30gの重量(A)を精秤したのち、重量を測定し
たSUS200メッシュ中に入れ、さらに300mL耐
圧アンプル中に封入、水を加えてサンプル全てが液相中
に浸るようにしたのち、所定温度(発泡温度)に設定さ
れたオイルバス中に該耐圧アンプルを浸し、3時間放置
し、ついで水冷、除圧後、耐圧アンプルから取り出した
のち再度測定した重量(B)から、
【0049】
【数1】
【0050】にしたがって求められた値のことである。
【0051】本発明者らは、ジクロロジフルオロメタン
などのハロゲン化炭化水素類や、プロパン、n−ブタ
ン、i−ブタンなどの炭化水素類、二酸化炭素などの発
泡剤を用いずに、水系分散媒、通常は水を発泡剤として
用いるばあいについて熟考し、つぎのごとき考え方に到
達した。
【0052】すなわち本発明においては、水系分散媒、
通常は水を発泡剤として用いるため、ハロゲン化炭化水
素類や炭化水素類、二酸化炭素などの発泡剤を用いるば
あいと異なり、沸点が100℃と非常に高く、発泡途中
の、ポリオレフィン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂
組成物の軟化温度(通常、ポリオレフィン系樹脂または
ポリオレフィン系樹脂組成物の融点−60℃から融点−
10℃の範囲の温度)以上で凝縮が発生し、100℃以
下室温までの温度範囲では実質的に発泡が進行しない。
【0053】また、発泡現象は、高温・高圧条件下で樹
脂粒子に収着した発泡剤が、急激な圧力低下に伴って過
飽和となり、樹脂粒子中の微細な特異点に析出、気化す
ることによって始まるが、この発泡剤の気化に伴い、蒸
発潜熱を周辺樹脂から奪い、樹脂粒子が冷却される。前
記ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、二酸化炭素など
の発泡剤を用いたばあいには、この潜熱冷却はさほど大
きくなく、潜熱冷却による樹脂粒子の温度低下が生じて
もなお、樹脂粒子の温度は軟化温度以上であり、かつ発
泡剤は大気圧以上の膨張力を有する。
【0054】ところが、本発明においては、前記のごと
き通常の発泡剤を用いずに、水系分散媒、通常は水を発
泡剤として用いるため、この潜熱冷却がことのほか大き
く、樹脂粒子中に収着した水の量がある特定の値以上に
達すると、潜熱冷却のみによって樹脂粒子の温度が10
0℃以下となってしまい、結果的に樹脂粒子の含水量を
増やしても、発泡倍率が向上しなくなってしまう。
【0055】したがって、含水ポリオレフィン系樹脂粒
子を密閉容器内で水系分散媒に分散させ、ポリオレフィ
ン系樹脂粒子の軟化温度以上に加熱したのち、前記密閉
容器の一端を解放し、含水ポリオレフィン系樹脂粒子お
よび水系分散媒を前記密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲
気中、通常は大気圧下に放出させ、含水ポリオレフィン
系樹脂粒子を発泡させる方法に適した樹脂粒子の含水量
の範囲が決定されると考えられる。
【0056】本発明者らは、前記のごとき考え方に基づ
いて、前記発泡方法に適した樹脂粒子の含水量について
検討した結果、樹脂粒子を構成するポリオレフィン系樹
脂組成物の融点が高いばあいには、100℃までの冷却
温度幅が広いために含水量の上限が高くなり、同融点が
低いばあいには、含水量の上限が低くなり、この両者の
間に密接な関係が存在することを初めて発見し、樹脂粒
子の含水量として前記製法に適した範囲があることを見
出した。また、前記検討の途中で、含水量が同一の樹脂
粒子を用いて発泡圧力を変えて発泡体を製造した結果、
圧力80kg/cm2G以下の範囲で圧力をあげると、
発泡倍率が向上することが認められ、前記含水量と発泡
圧力とを適切に設定することにより、好適に予備発泡粒
子の発泡倍率をコントロールすることができることを見
出した(図2)。また、前記発泡圧力を80kg/cm
2Gをこえてあげたばあいには、圧力アップによる発泡
倍率改善効果が全くなくなるだけでなく、逆に発泡倍率
が低下するため、好ましくないことを見出した。
【0057】前記発泡温度は、ポリオレフィン系樹脂粒
子の融点、形状および所望とする発泡倍率および予備発
泡粒子を成形する発泡成形体の物性(機械的強度、緩衝
特性、断熱性)など様々な因子により決定されるが、な
かでもポリオレフィン系樹脂粒子の融点が最も強く寄与
し、通常、融点以上、(融点+50℃)以下、好ましく
は融点以上、(融点+20℃)以下の範囲からえらばれ
る。
【0058】本発明においては、以上の各因子について
検討、実験、評価を行ない好ましい発泡温度を求めた結
果、後述する(以下の実施例に一部示す)ように、[1]
融点145℃のポリオレフィン系樹脂粒子(エチレン−
プロピレンランダムコポリマー/エチレン系アイオノ
マー/タルク=95/5/1の組成物)については発
泡温度155℃、[2]融点137℃のポリオレフィン系
樹脂粒子(エチレン−プロピレンランダムコポリマー
/エチレン系アイオノマー/タルク=95/5/1の
組成物)については発泡温度145℃、[3]融点122
℃のポリオレフィン系樹脂粒子(直鎖状低密度ポリエチ
レン/エチレン系アイオノマー/タルク=95/5
/0.1の組成物)については発泡温度125℃、[4]
融点120℃のポリオレフィン系樹脂粒子(直鎖状低密
度ポリエチレン/エチレン系アイオノマー/タルク
=95/5/0.1の組成物)については発泡温度12
4℃がそれぞれ適正であることが判明した。
【0059】以上の4水準について、ポリオレフィン系
樹脂組成物の比熱および発泡温度における水の蒸発潜熱
から、ポリオレフィン系樹脂組成物中の水が全量蒸発
し、蒸発潜熱により冷却が生じたばあい、それぞれのポ
リオレフィン系樹脂組成物(予備発泡粒子)の温度が1
00℃となる臨界含水量Ww/Wp×100[PHR]
(ただし、WwおよびWpはそれぞれポリオレフィン系
樹脂粒子中の水の重量およびポリオレフィン系樹脂組成
物の重量)を求めるとつぎのようなった。ただし、計算
に必要な発泡温度における水の蒸発潜熱は「改訂4版
化学工学便覧」(丸善)(1978)35頁の表から1
00〜190℃の各温度における値の回帰線を作製して
算出し、樹脂の比熱は、JIS K 7123により測
定した。
【0060】[1](155℃における水の蒸発潜熱)=
502.66[kcal/kg]、 (ポリオレフィン系樹脂組成物の比熱)=0.46[k
cal/kgK]より、 502.66×Ww=0.46×Wp×ΔT (ここで、WwおよびWpは前記と同様、ΔTは温度変
化量[K])、したがってWw/Wp=9.15×10
-4ΔT、ΔT=155−100=55[K]より、Ww
/Wp=0.0503、したがって臨界含水量は5.0
3[PHR] [2](145℃における水の蒸発潜熱)=508.94
[kcal/kg]、 (ポリオレフィン系樹脂組成物の比熱)=0.46[k
cal/kgK]、 ΔT=45[K]より、臨界含水量は4.07[PH
R] [3](125℃における水の蒸発潜熱)=521.50
[kcal/kg]、 (ポリオレフィン系樹脂組成物の比熱)=0.55[k
cal/kgK]、 ΔT=25[K]より、臨界含水量は2.64[PH
R] [4](124℃における水の蒸発潜熱)=522.13
[kcal/kg]、 (ポリオレフィン系樹脂組成物の比熱)=0.55[k
cal/kgK]、 ΔT=24[K]より、臨界含水量は2.53[PH
R] つぎに、以上の計算に用いた各ポリオレフィン系樹脂組
成物の発泡倍率の含水量依存性について調べた結果の一
例(水準[1]のばあい)を図2に示す。
【0061】水準[1]のばあい、求められた臨界含水
量はポリオレフィン系樹脂組成物100部に対して5.
03[PHR]であったが、これと図2とを比較する
と、臨界含水量付近において、含水量による発泡倍率の
改善効果が急激に低下し、臨界含水量以上に含水量を増
やしても、ほとんど発泡倍率が増大しないことがわか
る。また、他の3水準についても同様の実験、評価を行
なった結果、水準[1]のばあいと同様の結果となっ
た。
【0062】臨界含水量は、前記の計算からも明らかな
通り、発泡温度が発泡剤の沸点(水のばあい100℃)
からどれだけ離れているかに依存する。また、この発泡
温度は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂組成物の融
点に大きく依存する。したがって、臨界含水量はポリオ
レフィン系樹脂組成物の融点と密接な関係があると考え
られる。そこで、ポリオレフィン系樹脂組成物の融点
と、臨界含水量との関係をグラフにプロットしたのが図
1の中央線である。驚くべきことに、両者には直線関係
が存在することがわかる。
【0063】ここで、予備発泡粒子の発泡倍率と臨界含
水量の関係について再考すると、図2の臨界含水量5.
03[PHR]以下の領域では、含水量の増大とともに
発泡倍率が急激に増大するが、臨界含水量以上の領域で
はこの増大比率が低下し、含水量9[PHR]以上の領
域、すなわち臨界含水量の1.8倍以上の領域では、含
水量が増大しても、発泡倍率は全く変化しないことがわ
かる。本発明において、ポリオレフィン系樹脂粒子の含
水量は、前述の通り、親水性ポリマーまたは水溶性無機
物を添加することにより調節しうる。したがって、含水
量をあげることは、親水性ポリマーまたは水溶性無機物
の添加量を増やすことであるが、前述の通り、これらを
大過剰に添加すると、製造時の生産安定性や発泡特性、
予備発泡粒子の寸法安定性が低下するため好ましくな
い。逆に、含水量が1[PHR]未満の領域、すなわち
臨界含水量の0.2倍未満の領域では、含有量が少なす
ぎるために樹脂組成物中の発泡剤量が不足するため、発
泡倍率を高めるためには、発泡圧力を高圧としなければ
ならず、危険である上に設備コストがかさむために好ま
しくない。
【0064】以上より、本発明における含水量の範囲は
臨界含水量の0.2倍以上、1.8倍以下、好ましくは
0.2倍以上、1.5倍以下とする。これをそれぞれ下
限線、上限線として図1に示す。
【0065】このようにしてえられた含水量y[PH
R]のポリオレフィン系樹脂粒子の融点x[℃]に対す
る上限線および下限線が、それぞれ 上限線:y=0.18x−17.1 下限線:y=0.02x−1.9 となる。したがって、本発明における含水ポリオレフィ
ン系樹脂粒子の含水量の範囲は、式: 0.02x−1.9≦y≦0.18x−17.1 となる。
【0066】前記式の具体的な範囲を以下に示す。
【0067】[1]融点x=145℃のばあい、含水量y
の下限 1.00[PHR]、上限9.00[PHR] [2]融点x=137℃のばあい、含水量yの下限 0.
84[PHR]、上限7.56[PHR] [3]融点x=122℃のばあい、含水量yの下限 0.
54[PHR]、上限4.86[PHR] [4]融点x=120℃のばあい、含水量yの下限 0.
50[PHR]、上限4.50[PHR] また、融点145℃以下のポリオレフィン系樹脂粒子を
用いた発泡実験の結果、含水量1[PHR]未満の組成
物については、予備発泡粒子の倍率バラツキがやや大き
くなる傾向が見られた。これは親水性ポリマーまたは水
溶性無機物の添加量が少なく、粒子間の添加量にバラツ
キが発生したためか、あるいは樹脂粒子中に収着した水
の量が少ないためと考えられ、倍率バラツキのシャープ
化という観点からは好ましくない。
【0068】本発明の含水ポリオレフィン系樹脂粒子
は、予備発泡させる工程である密閉容器内でポリオレフ
ィン系樹脂粒子を水系分散媒に分散させた段階で含水さ
せるのが、効率的に水を樹脂粒子中に収着させることが
可能な上、工程が簡略化される点から好ましいが、前記
工程で含水させるための時間を省略するために、予め別
工程で含水させておいてもよい。
【0069】本発明においては、密閉容器内で水系分散
媒に分散せしめられた状態の含水ポリオレフィン系樹脂
粒子を、ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度(通常、
融点−60℃〜融点−10℃の温度)以上に加熱したの
ち、前記密閉容器の一端を解放し、前記含水ポリオレフ
ィン系樹脂粒子および水系分散媒を前記密閉容器の内圧
よりも低圧の雰囲気中、通常、大気圧化に放出させ、前
記含水ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることによ
りポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子が製造される。
【0070】密閉容器内で含水ポリオレフィン系樹脂粒
子(密閉容器内でポリオレフィン系樹脂粒子から含水ポ
リオレフィン系樹脂粒子にするばあいはポリオレフィン
系樹脂粒子)を水系分散媒に分散させるとき、分散剤と
して、第三リン酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウムなどや、少量の界
面活性剤、たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ソー
ダ、n−パラフィンスルホン酸ソーダ、α−オレフィン
スルホン酸ソーダなどが使用されうる。分散剤および界
面活性剤の使用量は通常使用される量でよい。
【0071】なお、前記水系分散媒の代表的なものとし
て水があげられるが、必要により、エチレングリコー
ル、t−ブチルアルコール、エチルアルコール、グリセ
リンなどを含有させたものであってもよい。
【0072】前記密閉容器の内圧と低圧雰囲気における
圧力との差は、発泡適温における水の蒸気圧以上、80
kg/cm2G以下であるのが発泡倍率バラツキが小さ
く、独立気泡構造を有し、発泡倍率の高い予備発泡粒子
がえられる点から好ましい。
【0073】さらに前記発泡適温の決定においては、ポ
リオレフィン樹脂組成物の融点などを考慮し、えられた
予備発泡粒子が、示差走査熱量計法(昇温速度10℃/
min)による測定において、2つの融点を示すよう
な、特殊な結晶構造を有するようにすることが好まし
い。このような方法については既によく知られており
(たとえば特開昭59−176336号公報、特開昭6
3−183832号公報など)、かかる特殊な結晶構造
を持たせることにより、成形融着性が良好となり、しか
もえられる成形体は、機械的強度、緩衝性、断熱性など
に優れたものとなる。
【0074】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例の
みに限定されるものではない。
【0075】実施例1〜4 ポリオレフィン系樹脂であるエチレン−プロピレンラン
ダム共重合体(住友化学工業(株)製のノーブレンFM
321B、MI 5.5g/10分(230℃、2.1
6kg)、融点 145℃、以下、PPという)10
0部に対し、含水性調整剤であるエチレン系アイオノマ
ー(三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1
707、以下、アイオノマーという)5.3部、無機
充填剤としてタルク(林化成(株)製のTALCAN
POWDER PK−S、平均粒径7μm)1部を添加
し、50φ単軸押出機に供給し、溶融混練したのち、直
径1φの円筒ダイより押し出し、水冷後カッターで切断
し、円柱状のポリオレフィン系樹脂粒子をえた。えられ
たポリオレフィン系樹脂粒子の融点は145℃、発泡温
度である155℃における含水量は4.7[PHR]で
あった。
【0076】つぎに、えられたポリオレフィン系樹脂粒
子100部を、水300部、第3リン酸カルシウム0.
5部およびn−パラフィンスルホン酸ソーダ0.006
部とともに耐圧密閉容器(内容積10L)に投入したの
ち、撹拌しながら155℃に加熱し、含水させた。この
ときの圧力は約5kg/cm2Gであった。そののち、
チッ素ガスを用いて表1に示す各発泡圧力に加圧し、す
ぐに密閉容器下部のバルブを開いて水分散物(含水樹脂
粒子および水系分散媒)を4φ×5Lの円形オリフィス
を通じて大気圧下に放出して予備発泡させた。この際、
放出中は容器内の圧力が発泡圧力以下に低下しないよう
に、チッ素ガスにて圧力を保持した。
【0077】えられた予備発泡粒子の発泡倍率および連
泡率を以下の方法にしたがって測定した。結果を表1に
示す。
【0078】(1)発泡倍率 予備発泡粒子3〜10g程度をとり、60℃で24時間
以上乾燥したのち重量wを精秤後、水浸法にて体積vを
測定し、予備発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、原
料組成物の密度ρrとの比より、発泡倍率K=ρr/ρb
を求めた。
【0079】(2)連泡率 空気比較式比重計(東京サイエンス(株)製、1000
型)を用いて、えられた予備発泡粒子の独立気泡体積V
1を求め、前記方法と同様の方法により求めた予備発泡
粒子の体積Vから、連泡率K=(V−V1)/Vにより
算出した。
【0080】実施例5〜7 アイオノマーの添加量をPP 100部に対して
2.0部とした以外はそれぞれ実施例1〜3と同様にし
て含水ポリオレフィン系樹脂粒子および予備発泡粒子を
製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0081】実施例8〜10 アイオノマーの添加量をPP 100部に対して1
1.1部とした以外はそれぞれ実施例1〜3と同様にし
て含水ポリオレフィン系樹脂粒子および予備発泡粒子を
製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0082】実施例11 含水性調整剤を共重合ポリアミド(イーエムエス ヘミ
ー社製のグリルテックス1G、以下、共重合PAとい
う)とし、タルクの量をPP 100部に対して0.
1部とした以外は実施例2と同様にして含水ポリオレフ
ィン系樹脂粒子および予備発泡粒子を製造し、評価し
た。結果を表1に示す。
【0083】実施例12〜13 含水性調整剤を架橋ポリエチレンオキサイド系重合体
(住友精化(株)製「アクアコークT、以下、PEOと
いう)とし、タルクの量をPP 100部に対して
0.1部とした以外はそれぞれ実施例1、2と同様にし
て含水ポリオレフィン系樹脂粒子および予備発泡粒子を
製造し、評価した。結果を表1に示す。
【0084】実施例14 ポリオレフィン系樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン
(三井石油化学工業(株)製のウルトゼックス2022
L、MI 2.3(190℃、2.16kg)、融点1
22℃、以下、LLDPEという)100部に対し、
含水性調整剤としてエチレン系アイオノマー(三井デュ
ポンポリケミカル(株)製のハイミラン1856、以
下、アイオノマーという)5.3部およびタルク0.
1部を添加し、50φ単軸押出機に供給し、溶融混練し
たのち直径2φの円筒ダイより押し出し、水冷後カッタ
ーで切断し、円柱状のポリオレフィン系樹脂粒子をえ
た。えられたポリオレフィン系樹脂粒子の融点は122
℃、発泡温度である125℃における含水量は2.5
[PHR]であった。
【0085】以下、発泡温度を125℃とした以外は実
施例3と同様にして予備発泡粒子を製造し、評価した。
結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】比較例1〜2 含水性調整剤を添加しなかった以外は実施例1、2と同
様にしてそれぞれ予備発泡粒子を製造し、評価した。結
果を表2に示す。
【0088】比較例3 PP 100部に対してアイオノマーの添加量を2
5部とした以外は、実施例8と同様にして含水ポリオレ
フィン系樹脂粒子および予備発泡粒子を製造し、評価し
た。結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】表2から、比較例1、2のばあい、含水ポ
リオレフィン系樹脂粒子の含水量が少ないために実施例
1、2と比較して発泡倍率があがらず、発泡性が低いこ
とがわかる。また、比較例3のばあい、アイオノマー
の添加量を増加させたため、含水量は増加するが、えら
れる予備発泡粒子の物性を実施例9と比較すると、発泡
倍率が同等またはやや低下し、連泡率が増大しているこ
とがわかる。
【0091】
【発明の効果】本発明の含水ポリオレフィン系樹脂粒子
を使用すると、揮発性発泡剤や炭酸ガスを発泡剤として
使用しなくても所望の物性を有するポリオレフィン系樹
脂予備発泡粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の予備発泡粒子を製造する際のポリオレ
フィン系樹脂粒子の融点と臨界含水量との関係を示すグ
ラフである。
【図2】含水ポリオレフィン系樹脂粒子を予備発泡させ
たとき、発泡時の圧力および含水ポリオレフィン系樹脂
粒子の含水量と予備発泡粒子の発泡倍率との関係を示す
グラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポ
    リオレフィン系樹脂組成物からのポリオレフィン系樹脂
    粒子の含水物であって、ポリオレフィン系樹脂粒子の融
    点x[℃]と発泡温度における含水量y[PHR]とが
    式: 0.02x−1.9≦y≦0.18x−17.1 を満たすことを特徴とする含水ポリオレフィン系樹脂粒
    子。
  2. 【請求項2】 発泡温度における含水量yが1[PH
    R]以上である請求項1記載の含水ポリオレフィン系樹
    脂粒子。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系樹脂を主成分とするポ
    リオレフィン系樹脂組成物が親水性ポリマーを含有する
    請求項1または2記載の含水ポリオレフィン系樹脂粒
    子。
  4. 【請求項4】 親水性ポリマーがエチレン系アイオノマ
    ーである請求項3記載の含水ポリオレフィン系樹脂粒
    子。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン
    系樹脂である請求項1、2、3または4記載の含水ポリ
    オレフィン系樹脂粒子。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5記載の含
    水ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させてなるポリオレ
    フィン系樹脂予備発泡粒子。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4または5記載の含
    水ポリオレフィン系樹脂粒子を、密閉容器内で水系分散
    媒に分散させ、ポリオレフィン系樹脂粒子の軟化温度以
    上に加熱したのち、前記密閉容器の一端を解放し、前記
    含水ポリオレフィン系樹脂粒子および水系分散媒を前記
    密閉容器の内圧よりも低圧の雰囲気中に放出させ、前記
    含水ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させることを特徴
    とするポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の製法。
  8. 【請求項8】 密閉容器の内圧と、低圧雰囲気における
    圧力の差が発泡適温における水の蒸気圧以上、80kg
    /cm2G以下である請求項7記載のポリオレフィン系
    樹脂予備発泡粒子の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006111671A (ja) * 2004-10-13 2006-04-27 Inoac Corp ポリウレタン発泡体及びその製造方法
WO2013031745A1 (ja) * 2011-08-29 2013-03-07 株式会社カネカ ポリエチレン系樹脂発泡粒子及びその成形体

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