JPH10238619A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JPH10238619A
JPH10238619A JP9042261A JP4226197A JPH10238619A JP H10238619 A JPH10238619 A JP H10238619A JP 9042261 A JP9042261 A JP 9042261A JP 4226197 A JP4226197 A JP 4226197A JP H10238619 A JPH10238619 A JP H10238619A
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pressure
gear ratio
actuator
fluid pressure
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Motoharu Nishio
元治 西尾
Taku Murasugi
卓 村杉
Hiromasa Sakai
弘正 酒井
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 動作特性の変化時も、指令圧が摩擦要素の締
結必要圧に一致するように行う特性マップの修正を、踏
み込みダウンシフト時のトルクフェーズーズ中に可能に
する。 【解決手段】 パワーオン走行中の4→3ダウンシフト
変速時におけるトルクフェーズ中に、ギヤ比gr が同
期回転ギヤ比gr4より若干高めの参照ギヤ比gr5を越え
た分のギヤ比偏差を積分する。この積分値が設定値より
大きいとき、トルクフェーズ中に締結側摩擦要素に与え
る第1棚圧P4 を高くするような指令が発せられるよう
締結側特性マップを修正し、上記の積分値が設定値より
小さいとき、第1棚圧P4 を低くするような指令が発せ
られるよう締結側特性マップを修正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動変速機の変速制
御装置、特に、パワーオン走行中における摩擦要素の掛
け換えによるダウンシフト変速に当たって摩擦要素の作
動液圧を制御するためのアクチュエータが、指令値に対
して作動液圧特性のバラツキを持っていたり、当該特性
が変化しても、これを補正して所定の変速性能を維持で
きるようにした変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は、複数のクラッチや、ブレ
ーキ等の変速用摩擦要素を選択的に、作動液圧の上昇に
より締結させたり、作動液圧の低下により解放させるこ
とにより歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定
し、作動する摩擦要素を切り換えることにより他の変速
段への変速を行うよう構成する。従って自動変速機に
は、締結状態の摩擦要素を作動液圧の低下で解放させる
と同時に、解放状態の摩擦要素を作動液圧の上昇で締結
させる、所謂摩擦要素の掛け換えにより行うダウンシフ
ト変速が存在する。
【0003】なお以下では、当該変速に際し締結状態か
ら解放状態に切り換えるべき摩擦要素を解放側摩擦要
素、その作動液圧を解放側作動液圧と称し、また、解放
状態から締結状態に切り換えるべき摩擦要素を締結側摩
擦要素、その作動液圧を締結側作動液圧と称する。
【0004】かかるダウンシフト変速が、アクセルペダ
ルの踏み込み状態において、つまりパワーオン走行中に
行われるものである場合は特に、変速ショックが大きく
なり易く、従って上記摩擦要素の掛け換えをきめ細かな
制御下で行う必要がある。
【0005】そこで従来、例えば特開平5−33244
0号公報に記載されているように。パワーオン走行中に
おけるダウンシフト変速に当たって、解放側摩擦要素の
作動液圧を入力軸回転変化率が目標値になるようフィー
ドバック制御したり、フィードバック制御開始時の初期
圧を入力軸回転速度がハンチングしないよう学習制御す
ることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで何れの対策を
するにしても、締結側摩擦要素に係わる作動液圧の上昇
制御や、解放側摩擦要素に係わる作動液圧の低下制御に
際しては、コントローラからの指令値に応動するアクチ
ュエータでこれらを行うのが常識的であり、この場合、
図24に実線で例示する固有の動作特性を基にして以下
の如くに作動液圧の上昇制御や、低下制御を行うのが一
般的である。
【0007】つまり、摩擦要素の伝達トルクが同図にT
01で示すようなものであるとすると、摩擦要素の動作特
性からこれに必要な締結容量を発生させるための指令作
動液圧Pを求め、これに対応するデューティDを、図2
4に実線で示すアクチュエータ動作特性から検索および
線形補間により求めてアクチュエータに出力する。
【0008】ところで、摩擦要素の動作特性は左程大き
なバラツキを持たないし、温度変化による影響もあまり
受けないが、アクチュエータの指令値であるデューティ
Dと作動液圧との関係を示す動作特性は、例えば図24
に1点鎖線で示すように、製品間で大きなバラツキがあ
るし、温度変化によって変わるし、経時劣化によっても
変化する。
【0009】そして、アクチュエータ動作特性が図24
に1点鎖線で示すように異なることになった場合につき
説明すると、同じ指令デューティDに対しても、摩擦要
素の伝達可能なトルクがT02のように大きなものとな
り、摩擦要素の締結容量が過大になる。勿論、アクチュ
エータ動作特性が図21の1点鎖線とは逆の方向に異な
る場合は、摩擦要素の締結容量が過小となる。
【0010】この場合、前記文献に例示されるような対
策をしようとも、肝心の作動液圧が目標通りの値になら
ないことから、狙い通りの変速制御を達成し得ない。
【0011】上記のようにアクチュエータ動作特性がバ
ラツキを生じたり変化すると、締結側の締結力が過大の
時、変速終了後変速比と同期する前に変速終了後の締結
容量を持ち、出力軸トルクが大きく引き込み、変速終了
後変速比と同期した後、締結側の締結力が過小のとき空
吹けを生じ、摩擦締結要素の耐久性に不利になるばかり
でなく、完全締結時にトルクの揺り返しを生じ、運転者
に違和感を与えるのを禁じ得ない。
【0012】請求項1に記載の第1発明は、パワーオン
走行中のダウンシフト変速に際して締結すべき締結側摩
擦要素に係わるアクチュエータの動作特性がバラツキを
生じたり変化しても、該摩擦要素の作動液圧が過大にな
ることのないような補償を実現可能にした自動変速機の
変速制御装置を提案することを目的とする。
【0013】請求項2に記載の第2発明は、パワーオン
走行中のダウンシフト変速に際して締結すべき締結側摩
擦要素に係わるアクチュエータの動作特性がバラツキを
生じたり変化しても、該摩擦要素の作動液圧が過小にな
ることのないような補償を実現可能にした自動変速機の
変速制御装置を提案することを目的とする。
【0014】請求項3に記載の第3発明は、締結側摩擦
要素に係わるアクチュエータの動作特性がバラツキを生
じたり変化しても、該摩擦要素の作動液圧が過大になる
ことのないような補償を実現可能にすると共に、過小に
なることのないような補償をも実現可能にした自動変速
機の変速制御装置を提案することを目的とする。
【0015】請求項4に記載の第4発明は、トルクフェ
ーズ中締結側摩擦要素の作動液圧を一定の棚圧に制御す
る場合において、第1発明乃至第3発明を具体化するこ
とを目的とする。
【0016】請求項5に記載の第5発明は、第4発明に
おけるアクチュエータ動作特性の修正が一層適切に行わ
れるようにすることを目的とする。
【0017】請求項6に記載の第6発明は、アクチュエ
ータに係わる予定の指令値・作動液圧特性が指令値およ
び作動液圧をそれぞれ量子化して相互に対応付けたマッ
プである場合において、上記第4発明または第5発明を
具体化することを目的とする。
【0018】請求項7に記載の第7発明は、第6発明に
おける指令値・作動液圧特性の修正を数式により簡略に
行うことができるようにすることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的のため第1発
明による自動変速機の変速制御装置は、締結状態の摩擦
要素を、コントローラからの指令値に応動するアクチュ
エータによる作動液圧の低下で解放させると同時に、解
放状態の摩擦要素を、該コントローラからの指令値に応
動するアクチュエータによる作動液圧の上昇で締結させ
ることによりダウンシフト変速を行い、前記コントロー
ラが前記各アクチュエータへの指令値を、アクチュエー
タ固有の予定の指令値・作動液圧特性に基づき、摩擦要
素の要求締結容量に対応する要求作動液圧に対応付けて
決定するようにした自動変速機において、パワーオン走
行のもとでの前記ダウンシフト変速中、変速機入出力回
転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最初に一致した
トルクフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギヤ比を越えて
いる時間が予定時間よりも長い場合、前記締結すべき締
結側摩擦要素の作動液圧が、前記コントローラからアク
チュエータへの同じ指令値に対して高くなるよう、前記
予定の指令値・作動液圧特性を修正するよう構成したも
のである。
【0020】第2発明による自動変速機の変速制御装置
は、締結状態の摩擦要素を、コントローラからの指令値
に応動するアクチュエータによる作動液圧の低下で解放
させると同時に、解放状態の摩擦要素を、該コントロー
ラからの指令値に応動するアクチュエータによる作動液
圧の上昇で締結させることによりダウンシフト変速を行
い、前記コントローラが前記各アクチュエータへの指令
値を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動液圧特
性に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する要求作
動液圧に対応付けて決定するようにした自動変速機にお
いて、パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速
中、変速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ
比に最初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が
設定ギヤ比を越えている時間が予定時間よりも短い場
合、前記締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記
コントローラからアクチュエータへの同じ指令値に対し
て低くなるよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修
正するよう構成したものである。
【0021】第3発明による自動変速機の変速制御装置
は、締結状態の摩擦要素を、コントローラからの指令値
に応動するアクチュエータによる作動液圧の低下で解放
させると同時に、解放状態の摩擦要素を、該コントロー
ラからの指令値に応動するアクチュエータによる作動液
圧の上昇で締結させることによりダウンシフト変速を行
い、前記コントローラが前記各アクチュエータへの指令
値を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動液圧特
性に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する要求作
動液圧に対応付けて決定するようにした自動変速機にお
いて、パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速
中、変速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ
比に最初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が
設定ギヤ比を越えている時間が予定時間よりも長い場
合、前記締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記
コントローラからアクチュエータへの同じ指令値に対し
て高くなるよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修
正し、パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速
中、変速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ
比に最初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が
設定ギヤ比を越えている時間が予定時間よりも短い場
合、前記締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記
コントローラからアクチュエータへの同じ指令値に対し
て低くなるよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修
正する構成にしたことを特徴とするものである。
【0022】第4発明による自動変速機の変速制御装置
は、第1発明乃至第3発明のいずれかにおいて、トルク
フェーズ中前記締結側摩擦要素の作動液圧を一定の棚圧
に制御する場合、該棚圧を、アクチュエータへの同じ指
令値に対して所定量だけ加減算した補正棚圧となるよう
前記予定の指令値・作動液圧特性の修正を行う構成にし
たことを特徴とするものである。
【0023】第5発明による自動変速機の変速制御装置
は、第4発明において、前記棚圧に加算する所定量を、
前記ギヤ比が設定ギヤ比を越えている時間が予定時間よ
りも長いほど大きくしたものである。
【0024】第6発明による自動変速機の変速制御装置
は、上記第4発明または第5発明において、前記予定の
指令値・作動液圧特性が指令値および作動液圧をそれぞ
れ量子化して相互に対応付けたマップである場合、前記
補正前の棚圧Pを挟んでその前後におけるマップ上の作
動液圧値P1 ,P 2 間における補正前棚圧Pの内分比a
と、前記補正後の棚圧PA を挟んでその前後におけるマ
ップ上の作動液圧値P3 ,P4 間における補正後棚圧P
A の内分比bと、前記補正前棚圧Pのためのトルクフェ
ーズ中におけるアクチュエータへの指令値Dを挟んでそ
の前後におけるマップ上の指令値D1 ,D2 と、前記マ
ップ上で補正後棚圧PA に対応するアクチュエータへの
指令値DA を挟んでその前後におけるマップ上の指令値
3 ,D4 とを用いて、前記予定の指令値・作動液圧特
性を修正するよう構成したものである。
【0025】第7発明による自動変速機の変速制御装置
は、上記第6発明において、前記指令値D3 ,D4 をそ
れぞれ、 D3 =〔1/(1−b)〕〔(1−a)・D1 +a・D
2 −b・D4 〕 D4 =(1/b)〔(1−a)・D1 +a・D2 −(1
−b)・D3 〕 により修正して更新することにより、前記予定の指令値
・作動液圧特性を修正するよう構成したものである。
【0026】
【発明の効果】第1発明において自動変速機は、締結状
態の摩擦要素を、コントローラからの指令値に応動する
アクチュエータによる作動液圧の低下で解放させると同
時に、解放状態の摩擦要素を、該コントローラからの指
令値に応動するアクチュエータによる作動液圧の上昇で
締結させることによりダウンシフト変速を行う。
【0027】ここでコントローラは各アクチュエータへ
の指令値を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動
液圧特性に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する
要求作動液圧に対応付けて決定する。
【0028】そして、パワーオン走行のもとでの上記の
ダウンシフト変速中、変速機入出力回転比で表されるギ
ヤ比が変速後ギヤ比に最初に一致したトルクフェーズ開
始後、該ギヤ比が設定ギヤ比を越えている時間が予定時
間よりも長い場合、上記締結すべき締結側摩擦要素の作
動液圧が要求に対し低すぎて、変速機入力回転が同期回
転を大きく越えた状態が比較的長時間継続していること
から、締結側摩擦要素の作動液圧が、コントローラから
アクチュエータへの同じ指令値に対して高くなるよう、
つまり、同じ条件のもとで次回は締結側摩擦要素の作動
液圧を高くするようなアクチュエータ指令値が発せられ
るよう前記予定の指令値・作動液圧特性を修正する。
【0029】よって、締結側摩擦要素に係わるアクチュ
エータの指令値・作動液圧特性を、締結側摩擦要素の作
動液圧が過小になることのないよう修正し得ることとな
り、当該特性の変化時も、締結側摩擦要素の作動液圧が
過小になって、所定の変速制御ができなくなるといった
弊害を回避することができる。
【0030】第2発明においては、パワーオン走行のも
とでの上記のダウンシフト変速中、変速機入出力回転比
で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最初に一致したトル
クフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギヤ比を越えている
時間が予定時間よりも短い場合、上記締結側摩擦要素の
作動液圧が変速ショック上要求される値に対し高すぎる
ことから、締結側摩擦要素の作動液圧が、コントローラ
からアクチュエータへの同じ指令値に対して低くなるよ
う、つまり、同じ条件のもとで次回は締結側摩擦要素の
作動液圧を低くするようなアクチュエータ指令値が発せ
られるよう前記予定の指令値・作動液圧特性を修正す
る。
【0031】よって、締結側摩擦要素に係わるアクチュ
エータの指令値・作動液圧特性を、締結側摩擦要素の作
動液圧が過大になることのないよう修正し得ることとな
り、当該特性の変化時も、締結側摩擦要素の作動液圧が
過大になって、変速ショックが大きくなるといった弊害
を回避することができる。
【0032】第3発明においては、パワーオン走行のも
とでの上記のダウンシフト変速中、ギヤ比が変速後ギヤ
比に最初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が
設定ギヤ比を越えている時間が予定時間よりも長い場
合、締結側摩擦要素の作動液圧が、コントローラからア
クチュエータへの同じ指令値に対して高くなるよう、前
記予定の指令値・作動液圧特性を修正し、逆に、パワー
オン走行のもとでの上記のダウンシフト変速中、ギヤ比
が変速後ギヤ比に最初に一致したトルクフェーズ開始
後、該ギヤ比が設定ギヤ比を越えている時間が予定時間
よりも短い場合、締結側摩擦要素の作動液圧が、コント
ローラからアクチュエータへの同じ指令値に対して低く
なるよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正す
る。
【0033】よって第3発明は、締結側摩擦要素に係わ
るアクチュエータの指令値・作動液圧特性が変化して
も、締結側摩擦要素の作動液圧が過小になることのない
よう修正し得るという第1発明の作用効果と、締結側摩
擦要素の作動液圧が過大になることのないよう修正し得
るという第2発明による作用効果の双方を実現すること
ができる。
【0034】第4発明は、パワーオン走行のもとでの前
記ダウンシフト変速時のトルクフェーズ中締結側摩擦要
素の作動液圧を一定の棚圧に制御する場合において、該
棚圧を、アクチュエータへの同じ指令値に対して所定量
だけ加減算した補正棚圧となるよう前記予定の指令値・
作動液圧特性の修正を行う。よって第4発明は、棚圧制
御により前記ダウンシフト変速のトルクフェーズを進行
させる自動変速機において、第1発明乃至第3発明を具
体化することができる。
【0035】第5発明は、第4発明において棚圧に加算
する所定量を、ギヤ比が設定ギヤ比を越えている時間が
予定時間よりも長いほど大きくすることから、当該時間
が長いほど棚圧が不足している事実に符合して、アクチ
ュエータ動作特性の修正を一層確実に行うことができ
る。
【0036】第6発明は、前記予定の指令値・作動液圧
特性が指令値および作動液圧をそれぞれ量子化して相互
に対応付けたマップである場合において、前記補正前の
棚圧Pを挟んでその前後におけるマップ上の作動液圧値
1 ,P 2 間における補正前棚圧Pの内分比aと、前記
補正後の棚圧PA を挟んでその前後におけるマップ上の
作動液圧値P3 ,P4 間における補正後棚圧PA の内分
比bと、前記補正前棚圧Pのためのトルクフェーズ中に
おけるアクチュエータへの指令値Dを挟んでその前後に
おけるマップ上の指令値D1 ,D2 と、前記マップ上で
補正後棚圧PA に対応するアクチュエータへの指令値D
A を挟んでその前後におけるマップ上の指令値D3 ,D
4 とを用いて、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正
することから、指令値・作動液圧特性が上記のマップで
ある場合においても第4発明および第5発明を具体化し
て対応する作用効果を達成することができる。
【0037】第7発明は、上記第6発明における上記指
令値D3 ,D4 をそれぞれ、 D3 =〔1/(1−b)〕〔(1−a)・D1 +a・D
2 −b・D4 〕 D4 =(1/b)〔(1−a)・D1 +a・D2 −(1
−b)・D3 〕 により修正して更新することにより、前記予定の指令値
・作動液圧特性を修正することから、アクチュエータの
指令値・作動液圧特性の修正を数式により簡略に行うこ
とができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。図1は、本発明一実施の形態
になる変速制御装置を具えた自動変速機の制御システム
を示し、1はエンジン、2はトルクコンバータ、3は自
動変速機であり、エンジン回転はトルクコンバータ2を
経て自動変速機の入力軸4に伝達するものとする。
【0039】自動変速機3は、基本的には日産自動車
(株)発行「RE4R01A型オートマチックトランス
ミッション整備要領書」(A261C07)に記載され
たと同様なものとし、同軸突き合わせ関係に配置した入
出力軸4,5上にフロントプラネタリギヤ組6およびリ
ヤプラネタリギヤ組7を載置して具える。そして、摩擦
要素としてフォワードクラッチF/C、ハイクラッチH
/C、バンドブレーキB/B、ローリバースブレーキL
R/B、ローワンウエイクラッチL/OWC、およびリ
バースクラッチR/Cを具え、これらを選択的に図2に
○で示すように締結させることにより前進第1速〜第4
速と、後退の変速段を選択し得るものとする。なお、ロ
ークリバースブレーキLR/Bに関する(○)は、第1
速でエンジンブレーキが必要な時に締結させることを示
す。
【0040】また上記摩擦要素の選択的作動(締結)を
実行するために、自動変速機3のコントロールバルブ8
には、フォワードクラッチF/C用のデューティソレノ
イド9、ハイクラッチH/C用のデューティソレノイド
10、バンドブレーキB/B用のデューティソレノイド
11、ローリバースブレーキLR/B用のデューティソ
レノイド12、およびリバースクラッチR/C用のデュ
ーティソレノイド13を設け、これらにより対応する摩
擦要素の作動油圧を個々にデューティ制御することで図
2の締結論理を実現すると共に、摩擦要素の作動油圧を
変速制御中において個々に過渡制御する。
【0041】ソレノイド9〜13のデューティ制御はコ
ントローラ14によりこれを行い、該コントローラに
は、エンジン1のスロットル開度TVOを検出するスロ
ットル開度センサ16からの信号と、エンジン回転数N
e を検出するエンジン回転センサ17からの信号と、ト
ルクコンバータ2から自動変速機3への入力回転数Ni
を検出する入力回転センサ18からの信号と、変速機出
力回転数No を検出する出力回転センサ19からの信号
と、変速機作動油温TOIL を検出する油温センサ20か
らの信号とを入力する。
【0042】ここで本実施の形態においては、締結状態
のバンドブレーキB/Bを作動液圧の低下で解放させる
と同時に、解放状態のフォワードクラッチF/Cを作動
液圧の上昇により締結させて行う第4速から第3速への
ダウンシフト変速に本発明の着想を適用することとし、
これがため特に、図1から抽出して図3および図4にそ
れぞれ示すフォワードクラッチF/Cおよびバンドブレ
ーキB/Bの作動液圧制御部分を以下に詳述する。
【0043】図3は、上記第4速から第3速へのダウン
シフト変速に際して解放状態から締結状態にされるべき
締結側摩擦要素であるフォワードクラッチF/Cの作動
液圧制御回路部を示し、フォワードクラッチF/Cの作
動圧回路21に調圧弁22を具え、この調圧弁22は、
ライン圧PL を元圧とし、室22a内における制御圧の
上昇に応じてフォワードクラッチF/Cの作動油圧Pc
を0から上昇させるものとする。
【0044】調圧弁22の室22a内における制御圧
は、対応する前記ソレノイド9により決定するもので、
該ソレノイド9は、ライン圧PL を減圧して作りだした
一定のパイロット圧Pp を元圧とし、ソレノイド9の駆
動デューティに応じた制御圧を室22aに供給するもの
とする。
【0045】図4は、同じ第4速から第3速へのダウン
シフト変速に際して締結状態から解放状態にされるべき
解放側摩擦要素であるバンドブレーキB/Bの作動液圧
制御回路部を示し、バンドブレーキB/Bの作動圧回路
23に調圧弁24を具え、この調圧弁24は、ライン圧
L を元圧とし、室24a内における制御圧の上昇に応
じてバンドブレーキB/Bの作動液圧Po を0から上昇
させるものとする。
【0046】調圧弁24の室24a内における制御圧
は、対応する前記ソレノイド11により決定するもの
で、該ソレノイド11は、ライン圧PL を減圧して作り
だした一定のパイロット圧Pp を元圧とし、ソレノイド
11の駆動デューティに応じた制御圧を室24aに供給
するものとする。
【0047】図1におけるコントローラ14は、上記の
入力情報をもとに図5に示す制御プログラムを実行し、
特に第4速から第3速へのダウンシフト変速については
これを図23のタイムチャートに沿って遂行する。図5
のステップ31においては、センサ16で検出したエン
ジンスロットル開度TVOと、センサ19で検出した変
速機出力回転数No (車速)とから、予定の変速マップ
をもとに、当該走行条件のもとで望ましい好適変速段を
検索し、現在の選択変速段がこの好適変速段と同じなら
変速不要であることから、そのまま制御を終了し、現在
の選択変速段がこの好適変速段と違う場合、ステップ3
2において当該好適変速段への変速を遂行する。
【0048】ステップ32での変速は、アクセルペダル
の踏み込みでエンジンから車輪側に動力伝達がなされて
いるパワーオン走行中の第4速から第3速へのダウンシ
フト変速の場合、図6乃至図21に示すごときものであ
る。先ず、図6は図23における第1ステージでの処
理を示し、同図のステップ41において、当該4→3ダ
ウンシフト変速指令が発せられて1回目であるか否かを
判定する。1回目である場合ステップ42において、第
1ステージで用いる制御データをセットする。
【0049】ステップ42における制御データのセット
は、図7に示すごときもので、ステップ51において、
第1ステージで締結側摩擦要素(フォワードクラッチ
F/C)に与えるべきプリチャージ圧Pprと、第1ステ
ージ制御時間t1 (図23参照)と、第1ステージ後に
引き続いて低下させる解放側摩擦要素(バンドブレーキ
B/B)の作動油圧Po に関するランプ制御時間t
2 (図23参照)を読み込む。
【0050】ここで、第1ステージの制御時間t
1 は、プリチャージ指令圧Pprのもとで締結側摩擦要素
のロスストロークが完了するに要する時間とし、例えば
変速機作動油温TOIL ごとに予め定めておく。また、解
放側摩擦要素の作動油圧Po を第1ステージ以後も当
該第1ステージと同じ勾配で低下させるための時間t2
は、解放側摩擦要素の作動油圧Po を低下させるに当た
って、第1ステージ制御時間t1 のような短時間で当該
低下を完了させようとすると、解放側作動液圧Poの低
下が急速に過ぎ、制御の終了時にアンダーシュートを生
ずることから、第1ステージ制御時間t1 に付加するア
ンダーシュート防止用の時間として予め定めておく。
【0051】次いでステップ52において、変速機入力
トルクTi を算出する。この算出に際しては、図8に示
すように、先ずステップ61において、エンジン回転数
e(トルクコンバータ入力回転数)および変速機入力
軸回転数(トルクコンバータの出力回転数)Ni からト
ルクコンバータの速度比e(e=Ni /Ne )を求め、
次いでステップ62において、この速度比eからトルク
コンバータの性能線図を基に、トルクコンバータのトル
ク比tおよびトルク容量係数τを求め、ステップ63
で、これらを用いてタービントルク(変速機入力トル
ク)Ti をTi =τ・t・Ne 2 の演算により算出す
る。
【0052】図7のステップ53においては、上記入力
トルクTi のもとで解放側摩擦要素(バンドブレーキB
/B)をスリップしないぎりぎり状態にしておくための
解放側必要油圧Pomin(図23参照)を図9のように、
【数1】 但し、α:バンドブレーキB/Bのトルク分担率 A:解放側作動圧Po の受圧面積 R:ブレーキドラム半径 e:自然対数の底 μ:ブレーキバンドの摩擦係数 θ:ブレーキバンドの巻き付け角 により算出する。
【0053】図7のステップ54においては、解放側作
動圧Po をライン圧PL 相当値から、図23に示すごと
く解放側必要油圧Pominに前記アンダーシュート防止用
の液圧dを加えた圧力値(Pomin+d)まで低下させる
のに必要な、当該解放側作動圧Po の第1ランプ勾配Δ
o1を ΔPo1=〔PL −(Pomin+d)〕/(t1 +t2 )・・・(1) により算出する。
【0054】図6のステップ43においては、ステップ
42で上記のごとくにセットしたデータを基に、第1ス
テージでの締結側作動油圧Pc および解放側作動油圧
oの制御を以下の如くに行う。つまり、締結側作動油
圧Pc についてはこれを、図23にも示すがプリチャー
ジ圧Pprにするようソレノイド9に指令して、締結側摩
擦要素(フォワードクラッチF/C)のロスストローク
を速やかに完了させ、解放側作動油圧Po についてはこ
れを、図23に示すが第1ランプ勾配ΔPo1づつ低下さ
せるようソレノイド11に指令する。
【0055】なお、かようにプリチャージ指令圧Ppr
設定した締結側作動液圧指令値PC、およびΔPo1づつ
低下させた解放側作動液圧指令値Po を実現するに際し
ては、対応するソレノイドアクチュエータ9,11の予
定の指令値(デューティ)・作動液圧特性を、図24に
例示したように指令値(デューティ)がD1 ,D2 ,D
3 ・・・の如くに量子化され、作動液圧もP1 ,P2
3 ・・・の如くに量子化されて、D1 とP1 とが対応
付けられ、D2 とP2 とが対応付けられ、D3とP3
が対応付けられたマップとしてメモリしておき、当該マ
ップから、上記の如くに定めた解放側作動液圧指令値P
o および締結側作動液圧指令値PC にそれぞれ対応する
デューティを検索および周知の線形補間により求め、こ
れらをソレノイドアクチュエータ9,11に指令するこ
とで、上記の解放側作動液圧指令値Po および締結側作
動液圧指令値PC を達成するものとする。
【0056】ステップ43の処理は、ステップ44でΔ
tづつインクリメントされるタイマTMがステップ47
で第1ステージ制御時間t1 を示すようになったと判定
するまで継続し、よって図23に示すように、4→3ダ
ウンシフト変速指令から第1ステージ制御時間t1 中、
解放側作動液圧指令値Po はΔPo1のランプ勾配で低下
され、締結側作動液圧指令値PC はプリチャージ指令圧
prに保たれて、締結側摩擦要素のロスストロークを理
論上、第1ステージ制御時間t1 の終了瞬時に完遂させ
得る。
【0057】この間にステップ45で解放側作動油圧P
o が必要油圧Pominまで低下したと判定する時は、ステ
ップ46で解放側作動油圧Po を必要油圧Pominに保持
し、解放側作動油圧Po が必要油圧Pominよりも低下す
ることのないようにする。なお、ステップ47でタイマ
TMが第1ステージ制御時間t1 を示すようになったと
判定する時、ステップ48でタイマTMを0にリセット
して以後の使用に供し得るようにすると共に、ステップ
49で制御を図20の第2ステージに進める。
【0058】第2ステージの制御は図10に示すごと
きもので、第2ステージへの移行後にステップ71で
ΔtづつインクリメントされるタイマTMが、ステップ
86で第2ステージ制御時間t3 を示すようになったと
判定するまでの間、ステップ72〜85において、図2
3に示すごとき以下の変速制御を行うものである。
【0059】ステップ72において、第2ステージへ
の移行後1回目であると判定する時に限って選択される
ステップ73では、第2ステージでの制御に用いるデ
ータを図11のように設定する。先ずステップ91にお
いて、締結側摩擦要素(フォワードクラッチF/C)の
リターンスプリング相当圧Pcrtn、第2ステージ制御時
間t3 (図23参照)、締結側摩擦要素(フォワードク
ラッチF/C)の作動油圧Pc をリターンスプリング相
当圧Pcrtnにしておくためのリターンスプリング相当圧
制御時間t4 、既に前記したがプリチャージ以後におけ
る解放側摩擦要素作動油圧Po の第1ランプ制御時間t
2 、同じく前記した解放側摩擦要素作動油圧Po の第1
ランプ勾配ΔPo1、これよりゆるやかな勾配に設定した
解放側摩擦要素作動油圧Po の第2ランプ勾配ΔPo2
イナーシャフェーズ開始を判定するための第1参照ギヤ
比g r1、これより大きな第2参照ギヤ比gr2を読み込
む。
【0060】図11のステップ92では、当該第2ステ
ージに入った時の変速機入力トルクTi を図8につき
前述したと同じようにして算出し、次のステップ93で
は、図9につき前述したと同様にして当該変速機入力ト
ルクTi のもとで、解放側摩擦要素(バンドブレーキB
/B)をスリップしないぎりぎりの状態に維持しておく
ための解放側必要油圧Pominを算出する。
【0061】以上のようにして設定した制御データに基
づき、第2ステージ用の変速制御が図10のステップ
74以降において次のように実行される。ステップ74
〜76においては、ステップ74においてタイマTMが
第2ステージへの移行からリターンスプリング相当圧
制御時間t4 の経過を示すようになったと判定するまで
の間、ステップ75で締結側摩擦要素の作動油圧Pc
リターンスプリング相当圧Pcrtnにするようソレノイド
9に指令し、ステップ74でタイマTMが第2ステージ
への移行からリターンスプリング相当圧制御時間t4
の経過を示すようになったと判定した後は、ステップ7
6において締結側摩擦要素の作動油圧Pc を図23に示
すように第1のランプ勾配ΔPc1で上昇させるようソレ
ノイドソレノイド9に指令する。
【0062】ステップ77〜79においては、ステップ
77においてタイマTMが第2ステージへの移行から
解放側摩擦要素用第1ランプ制御時間t2 の経過を示す
ようになったと判定するまでの間、ステップ78で解放
側摩擦要素の作動油圧Po を第1ランプ勾配ΔPo1で低
下するようソレノイド11に指令し、ステップ77でタ
イマTMが第2ステージへの移行から解放側摩擦要素
用第1ランプ制御時間t2 の経過を示すようになったと
判定した後は、ステップ79において解放側摩擦要素の
作動油圧Po を図23に示すように第2のランプ勾配Δ
o2で低下させるようソレノイドソレノイド11に指令
する。
【0063】なお、かかる締結側摩擦要素の作動油圧指
令値Pc およびPo を実現する場合も、図6のステップ
43につき前述したと同じく、対応するソレノイドアク
チュエータ9,11の動作特性に係わるマップから検索
および線形補間によりこれら作動油圧指令値Pc および
o に対応するデューティを求め、これらをソレノイド
アクチュエータ9,11に指令することで作動油圧指令
値Pc およびPo を実現するものとする。
【0064】この間にステップ80で解放側作動油圧P
o が、図11で求めた第2ステージへの移行瞬時にお
ける変速機入力トルクTi に対応する必要油圧Pomin
で低下したと判定する時は、ステップ81で解放側作動
油圧Po を当該必要油圧Pom inに保持し、解放側作動油
圧Po が必要油圧Pominよりも低下することのないよう
にする。
【0065】図10のステップ82においては、図12
のようにして変速機入出力回転数N i ,No から求めた
ギヤ比gr =Ni /No が、第1参照ギヤ比gr1より大
きくなったか否かにより、イナーシャフェーズが開始さ
れた直後か否かを判定する。イナーシャフェーズの開始
直後に1回だけ選択されるステップ83では、図6のス
テップ43および図10のステップ75,76、78,
79でソレノイド9,11への指令値(デューティ)を
決定するに際して用いる、ソレノイド9,11への指令
値と摩擦要素作動圧Pc ,Po との関係をそれぞれ示す
指令値・作動液圧特性マップ(アクチュエータ動作特
性)を以下により修正する。
【0066】当該修正は図13〜図15に示すごときも
ので、先ず図13のステップ101において当該イナー
シャフェーズ開始時における解放側摩擦要素(バンドブ
レーキB/B)の締結必要油圧Potを算出する。この処
理に当たっては、先ず図8におけると同様にして、イナ
ーシャフェーズ開始時の変速機入力トルクTi を求め、
次に図9におけると同様にして、かかる入力トルクTi
のもとで解放側摩擦要素(バンドブレーキB/B)をス
リップしない直前の状態に保つために必要な油圧として
該解放側摩擦要素(バンドブレーキB/B)の締結必要
油圧Potを算出する。
【0067】次のステップ102においては、当該イナ
ーシャフェーズ開始時における解放側摩擦要素(バンド
ブレーキB/B)の実指令圧Po と、上記の締結必要油
圧P otとを大小比較する。イナーシャフェーズの開始を
生起させた締結必要油圧Potよりも解放側実指令圧Po
が大きいと判断した時は、解放側摩擦要素(バンドブレ
ーキB/B)の実指令圧Po が、実際に発生している油
圧Potよりも高くなるようなマップのずれを生じている
ことから、ステップ103において、解放側摩擦要素
(バンドブレーキB/B)の指令圧Po がソレノイド1
1への同じ指令値に対して低くなるよう、解放側アクチ
ュエータの動作特性マップを修正する。
【0068】当該解放側特性マップの修正は、図14に
明示するようなものであるが、その説明に先立って、先
ず修正操作の原理を以下に説明する。図23のイナーシ
ャフェーズ開始瞬時における解放側作動液圧指令値Po
の瞬時値が、図24のアクチュエータ動作特性マップ上
にPで示すごときものであり、従ってアクチュエータ1
1への指令値(デューティ)が同じく図24にDに示す
ごときものであるにもかかわらず、実際に当該イナーシ
ャフェーズの開始を生起させた(ギヤ比gr をイナーシ
ャフェーズ開始判定ギヤ比gr1まで低下させた)解放側
作動液圧の実際値が図23および図24にPA (ここで
は解放側の上記締結必要油圧Pot)で示すごときもので
ある場合につき説明すると、図24のマップ上における
量子化されたP,Dの前後値はそれぞれ、P1 ,P 2
よびD1 ,D2 であり、またPA の前後値はP3 ,P4
であり、更にPA に対応したデューティDA の前後値は
3 ,D4 である。
【0069】ここで、P1 ,P2 間におけるPの内分比
(P−P1 )/(P2 −P1 )をaとし、P3 ,P4
におけるPA の内分比(PA −P3 )/(P4 −P3
をbとすると、P,D,PA ,DA はそれぞれ次式で表
される。 P=(1−a)P1 +a・P2 ・・・・(2) D=(1−a)D1 +a・D2 ・・・・(3) PA =(1−b)P3 +b・P4 ・・・(4) DA =(1−b)D3 +b・D4 ・・・(5)
【0070】上記の現象においては、イナーシャフェー
ズ開始時の指令値Dに対して実際は作動液圧がPA が出
力されていることから、この指令値Dと作動液圧PA
が対応付けられるようにアクチュエータ動作特性のマッ
プを修正すれば、次回の変速制御に当たってDとPA
関係を利用できるようになり、狙った通りの変速制御を
実現することができることが判る。
【0071】かようにDとPA の関係を利用できるよう
にするためには、PA を算出するときに用いるD3 ,D
4 を修正する必要がある。ところでDA の値がDになる
ためには、(1−a)D1 +a・D2 =(1−b)D3
+b・D4 の条件が満たされるべきであり、この式から
3 ,D4 の修正値はそれぞれ、 D3 =〔1/(1−b)〕〔(1−a)・D1 +a・D2 −b・D4 〕 ・・・(6) D4 =(1/b)〔(1−a)・D1 +a・D2 −(1−b)・D3 〕 ・・・(7) で表され、D3 ,D4 をこれらの演算により算出された
修正値に更新することとする。但し、上記2式の右辺に
おけるD4 ,D3 はそれぞれ、更新前のマップ値であ
る。
【0072】以上の原理を踏まえて図14による特性マ
ップの修正操作を説明するに、先ずステップ111にお
いて、図24のアクチュエータの動作特性マップから、
イナーシャフェーズ開始瞬時における解放側摩擦要素の
作動液圧指令値PおよびデューティDの前後値P1 ,P
2 およびD1 ,D2 を検索する。
【0073】次いでステップ112において、当該作動
液圧指令値Pに対応するデューティDをアクチュエータ
11に出力し、イナーシャフェーズ開始時における解放
側摩擦要素の指令圧Pc をPにする制御を行う。
【0074】次のステップ113においては、P1 ,P
2 間におけるPの内分比(P−P1)/(P2 −P1
=aを求め、更にステップ114では、図8におけると
同様にして求めたイナーシャフェーズ開始時の変速機入
力トルクTi と、解放側摩擦要素のトルク分担率を1と
を用い、解放側摩擦要素の伝達トルクを求めて該要素の
要求締結容量を推定し、この要求締結容量を発生させる
ための解放側摩擦要素の作動液圧PA (ここでは解放側
の上記締結必要油圧Pot)を求める。この要求作動液圧
A は、図23に示すようにギヤ比gr をイナーシャフ
ェーズ開始判定ギヤ比gr1まで低下させて実際にイナー
シャフェーズの開始を生起させるための圧力で、イナー
シャフェーズ開始時おける解放側摩擦要素の実際圧を表
すものである。
【0075】次のステップ115においては、図24の
アクチュエータの動作特性マップから、イナーシャフェ
ーズ開始瞬時における締結側摩擦要素の作動液圧実際値
Aおよびこれに対応したデューティDA の前後値
3 ,P4 およびD3 ,D4 を検索し、ステップ116
では、これらP3 ,P4 間における作動液圧実際値PA
の内分比(PA −P3 )/(P4 −P3 )=bを算出す
る。
【0076】更にステップ117において、前記(6)
式、(7)式の演算によりD3 ,D 4 の修正値を求め、
マップ内におけるD3 ,D4 をこれらの演算により算出
された修正値に更新する。よって、次回からの変速に際
しては当該修正されたD3 ,D4 を基に解放側摩擦要素
の作動液圧要求値に対するアクチュエータ11への指令
値(デューティ)が検索および線形補間により求められ
ることとなる。
【0077】しかして本実施の形態によれば、イナーシ
ャフェーズ開始時における解放側摩擦要素の伝達トルク
に対応した締結必要油圧PA (Pot)を求め、同じトル
ク条件のもとでは当該締結必要油圧PA が指令圧となる
よう、この指令圧と、アクチュエータ11への指令値
(デューティD)とが相互に対応付けられるべくアクチ
ュエータの動作特性を修正することから、アクチュエー
タの動作特性がバラツキを生じたり変化しても必ずや、
解放側摩擦要素の要求作動液圧と、アクチュエータへの
指令値とが相互に対応付けられることとなり、その結
果、指令圧Pと、実際に発生する必要油圧PA (Pot
とを常時一致させるような補償を実現することができ
る。これがため、アクチュエータ動作特性がバラツキを
生じたり変化しても、解放側摩擦要素の作動油圧Po
過小になったりすることがなく、狙い通りの変速品質を
常時確実に達成することができる。
【0078】図13のステップ102において、イナー
シャフェーズ開始時における解放側摩擦要素(バンドブ
レーキB/B)の実指令圧Po と、前記締結必要油圧P
otとの大小比較から、イナーシャフェーズの開始を生起
させた締結必要油圧Potよりも解放側実指令圧Po が小
さいと判断した時は、締結側摩擦要素(フォワードクラ
ッチF/C)の締結容量が大きすぎて解放側摩擦要素
(バンドブレーキB/B)の作動油圧P o が低いところ
でイナーシャフェーズが開始されたことから、つまり締
結側摩擦要素(フォワードクラッチF/C)の指令圧P
c が、実際に発生している油圧よりも低くなるようなマ
ップのずれが発生していることから、ステップ104に
おいて、締結側摩擦要素(フォワードクラッチF/C)
の指令圧Pc がソレノイド9への同じ指令値に対して高
くなるよう、締結側アクチュエータの動作特性マップを
修正する。
【0079】当該締結側アクチュエータ特性マップの修
正は図15に明示するようなもので、先ずステップ12
1において、締結側摩擦要素(フォワードクラッチF/
C)の作動油圧Pc がイナーシャフェーズ開始時に高く
なりすぎていることから、当該イナーシャフェーズ開始
時における締結側リターンスプリング相当圧Pcrtnを、
収束条件などに鑑み決定された所定量ΔPcrtnだけ低下
させる。次いでステップ122において、このイナーシ
ャフェーズ開始時の締結側リターンスプリング相当圧P
crtnに対し締結側アクチュエータの特性マップを修正操
作する。ここにおけるマップの修正も、Pが修正前の締
結側リターンスプリング相当圧であり、また、PA が修
正後の締結側リターンスプリング相当圧である以外、図
14につき上述したと同じもので、これにより締結側摩
擦要素(フォワードクラッチF/C)の作動油圧指令値
c がソレノイド9への同じ指令値に対して高くなるよ
う、締結側アクチュエータの動作特性マップが修正され
ることとなり、締結側アクチュエータの動作特性がバラ
ツキを生じたり変化しても、締結側摩擦要素の作動油圧
c が過大になったりすることがなく、狙い通りの変速
品質を常時確実に達成することができる。
【0080】図10のステップ84において、図12の
ようにして算出したギヤ比gr が第2参照ギヤ比gr2
上であると判定した後は、ステップ85において、イナ
ーシャフェーズ中において滑らかに変化するような時々
刻々の目標ギヤ比gr0を算出し、当該算出を行った後、
若しくは、ステップ86でタイマTMが第2ステージに
入ってから第2ステージ制御時間t3 の経過を示してい
ると判定した後は、ステップ87でこのタイマTMを0
にリセットし、ステップ88で制御を次の第3ステージ
に進める。
【0081】第3ステージは図16に示すごときもの
で、ステップ131においてタイマTMをインクリメン
トすることにより、第3ステージに入ってからの経過
時間を計測する。第3ステージに入ってから1回だけ
ステップ132によって選択されるステップ133にお
いては、図17に示すように当該ステージで用いる制御
データ、つまり、解放側摩擦要素(バンドブレーキB/
B)の作動油圧Po をフィードバック(PID)制御す
る時に用いる比例制御定数Kp 、積分制御定数Ki 、お
よび微分制御定数Kd と、締結側摩擦要素(フォワード
クラッチF/C)の作動油圧Pc を上昇制御する時に用
いる第1ランプ勾配ΔPc1および第2ランプ勾配ΔPc2
と、第3参照ギヤ比gr3および第4参照ギヤ比gr4とを
セットする。ここで第4参照ギヤ比gr4は特に、変速後
ギヤ比(第3速ギヤ比)と同じ値とし、ギヤ比gr が第
4参照ギヤ比gr4に到達した時をもって、変速機入力回
転数Ni が変速後に到達すべき回転数に一致した同期瞬
時、換言すればトルクフェーズ開始瞬時であると見なす
ことができる。
【0082】図16のステップ134,135において
は、図23に示すようにギヤ比grが第3参照ギヤ比g
r3に達するまでの間、締結側作動油圧Pc を第1ランプ
勾配ΔPc1で上昇させるようソレノイド9に指令し、ス
テップ136,137においては、同じく図23に示す
ようにギヤ比gr が第4参照ギヤ比gr4に達するまでの
間、締結側作動油圧Pc を第2ランプ勾配ΔPc2で上昇
させるようソレノイド9に指令する。
【0083】第3ステージにおいては、かかる締結側
作動油圧Pc の上昇制御中、解放側作動油圧Po を、ス
テップ138において、今回のギヤ比gr 、1回前のギ
ヤ比gr-1 、2回前のギヤ比gr-2 、および目標ギヤ比
r0を用い、更に制御定数K p ,Ki ,Kd を用いて Po =Po +Kp (gr −gr-1 )+Ki (gr0−gr ) +Kd (gr −2gr-1 +gr-2 )・・・(8) により演算し、これをソレノイド11に指令する。以上
のような解放側作動油圧Po のフィードバック制御によ
れば、締結側作動油圧Pc の上昇制御と相俟って、ギヤ
比gr を目標ギヤ比gr0にすることができ、ショックの
少ない狙い通りの変速制御を実行することができる。
【0084】そして、ステップ136でギヤ比gr が第
4参照ギヤ比gr4に達したと判定するトルクフェーズ開
始瞬時後は、つまり変速機入力回転数Ni が変速後に到
達すべき同期回転数に一致した同期瞬時以降は、ステッ
プ139において第4ステージへと制御を進める。
【0085】第4ステージは図18に示すごときもの
で、ステップ141においてタイマTMをインクリメン
トすることにより、第4ステージに入ってからの経過
時間を計測する。第4ステージに入ってから1回だけ
ステップ142によって選択されるステップ143にお
いては、図19に示すように当該ステージで用いる制御
データ、つまり、解放側摩擦要素(バンドブレーキB/
B)の作動油圧Po をフィードバック(PID)制御す
る時に用いる比例制御定数Kp 、積分制御定数Ki 、お
よび微分制御定数Kd と、締結側摩擦要素(フォワード
クラッチF/C)の作動油圧Pc を上昇制御する時に用
いる第3ランプ勾配ΔPc3および第1棚圧P4 と、前記
の同期判定用第4参照ギヤ比gr4よりも若干高めに定め
た第5参照ギヤ比g r5と、解放側作動油圧のリターンス
プリング相当圧である下限圧Portnとをセットする。
【0086】図18のステップ144〜146において
は、図23に示すように締結側作動油圧Pc を第3ラン
プ勾配ΔPc3で上昇させるが、締結側作動油圧Pc が第
1棚圧P4 に達したところで当該第1棚圧P4 に保持す
るようソレノイド9に指令する。そして、ステップ14
7においては図20に示す処理により、第4ステージ
(トルクフェーズ中)におけるギヤ比gr と第5参照ギ
ヤ比gr5との間のギヤ比偏差Δgr を時間積分する。
【0087】図20のステップ161においては、ギヤ
比gr と第5参照ギヤ比gr5との間におけるギヤ比偏差
Δgr を算出し、次いでステップ162において、当該
ギヤ比偏差Δgr を順次加算(Σgr )することによ
り、第4ステージ(トルクフェーズ中)におけるギヤ
比偏差Δgr の積分値∫(gr −gr5)dtを求める。
【0088】図18のステップ144〜146による締
結側作動油圧Pc の制御中、解放側作動油圧Po を、ス
テップ148において、今回のギヤ比gr 、1回前のギ
ヤ比gr-1 、2回前のギヤ比gr-2 、および目標ギヤ比
r0を用い、更に制御定数K p ,Ki ,Kd を用いて Po =Po +Kp (gr −gr-1 )+Ki (gr0−gr ) +Kd (gr −2gr-1 +gr-2 )・・・(9) により演算し、これをソレノイド11に指令する。かか
る解放側作動油圧Po のフィードバック制御によりギヤ
比gr を目標ギヤ比gr0に持ち来すことができる。
【0089】しかしステップ149において、かように
フィードバック制御される解放側作動油圧Po がリター
ンスプリング相当圧Portnまで低下したと判定した後
は、ステップ150において、解放側作動油圧Po をリ
ターンスプリング相当圧Portnに維持し、これより低下
することのないようにする。
【0090】以上の制御は、ステップ151でタイマT
Mが第4ステージ制御時間t5 の経過を示すようになっ
たと判定するまで継続し、当該判定瞬時直後にステップ
152で、締結側摩擦要素(フォワードクラッチF/
C)に係わるアクチュエータの動作特性マップを修正
し、その後ステップ153において、第5ステージを
開始させる。
【0091】上記締結側アクチュエータ特性マップの修
正は図21に明示するようなもので、先ずステップ17
1において、図22に対応するマップをもとに、前記ギ
ヤ比偏差Δgr の積分値∫(gr −gr5)dtから、第1
棚圧P4 の補正量ΔPを検索する。ここで、ギヤ比偏差
積分値∫(gr −gr5)dtは、ギヤ比gr が設定ギヤ比
r5を越えている時間の長さを表し、当該時間が図23
に2点鎖線で示すギヤ比変化のように長くなるというこ
とは、第1棚圧P4 が低すぎてエンジンの空吹けによる
変速機入力回転数Ni の上昇を生じていることを、つま
り、締結側アクチュエータ特性マップが締結側作動油圧
c を要求に対し低くしてしまうようなずれを生じてい
ることを意味し、逆に、ギヤ比偏差積分値∫(gr −g
r5)dtが小さいということは、第1棚圧P4 が高すぎて
図23に1点鎖線で示すような変速機出力軸トルクの急
変(変速ショック)を生じていることを、つまり、締結
側アクチュエータ特性マップが締結側作動油圧Pc を要
求に対し高くしてしまうようなずれを生じていることを
意味する。
【0092】これがため図22においては、ギヤ比偏差
積分値∫(gr −gr5)dtが第1設定値∫1 より小さい
場合、第1棚圧P4 の補正量ΔPを負の一定値とし、第
2設定値∫2 より大きい場合、第1棚圧P4 の補正量Δ
Pをギヤ比偏差積分値∫(g r −gr5)dtの増大につれ
て大きくする。
【0093】図21のステップ172においては、第1
棚圧P4 を上記補正量ΔPの加算により当該補正量ΔP
だけ増減させ、ステップ173においては、この増減さ
せた修正後の第1棚圧と、修正前の第1棚圧とを用い
て、締結側アクチュエータ特性マップの上記ずれを補正
する。ここにおける締結側アクチュエータ特性マップの
修正も図14につき前述したと同じものであるが、但し
ここでは、図14におけるPが修正前の第1棚圧であ
り、また、PA が修正後の第1棚圧であること勿論であ
る。次回トルクフェーズ中において締結側摩擦要素(フ
ォワードクラッチF/C)に付与される第1棚圧P
4 が、同じトルク条件のもとでは修正後の第1棚圧にさ
れるよう、締結側アクチュエータの動作特性マップが修
正されることとなり、締結側アクチュエータの動作特性
がバラツキを生じたり変化しても、上記マップの修正が
繰り返されることにより、締結側摩擦要素の作動油圧P
c が過大になったり、過小になったりすることがなくな
り、狙い通りの変速品質を常時確実に達成することがで
きる。
【0094】前記した通り図18のステップ153で行
われる第5ステージは、制御プログラムを図示しなか
ったが、図23に示すように、当該ステージに入ったと
ころで解放側作動油圧Po を0にし、締結側作動油圧P
c は、第1棚圧P4 に安全率(1.2程度)を掛けて定
めた第2棚圧P5 にするが、第5ステージ制御時間t 6
が経過した時にライン圧PL と同じ最高値に上昇させて
変速を終了する。
【0095】以上の構成になる本実施の形態において
は、図23に示したパワーオン走行のもとでの4→3ダ
ウンシフト変速中、ギヤ比gr が変速後ギヤ比gr4に最
初に一致したトルクフェーズ開始後、ギヤ比偏差積分値
∫(gr −gr5)dtが第2設定値∫2 (図22参照)よ
り大きい場合、つまり、ギヤ比gr が設定ギヤ比gr5
越えている時間が予定時間よりも長い場合、トルクフェ
ーズ中に締結側摩擦要素(フォワードクラッチF/C)
に与える第1棚圧P4 が要求に対し低すぎて、変速機入
力回転が同期回転を大きく越えた状態が比較的長時間継
続していることから、締結側摩擦要素(フォワードクラ
ッチF/C)の第1棚圧P4 が、コントローラからアク
チュエータへの同じ指令値に対して高くなるよう、つま
り、同じ条件のもとで次回は第1棚圧P4 を高くするよ
うなアクチュエータ指令値が発せられるよう、締結側ア
クチュエータの指令値・作動液圧特性マップを図21の
処理により修正することとしたため、締結側アクチュエ
ータの指令値・作動液圧特性マップを、締結側摩擦要素
の作動液圧が過小になることのないよう修正し得ること
となり、当該特性の変化時も、締結側摩擦要素の作動液
圧が過小になって、所定の変速制御ができなくなるとい
った弊害を回避することができる。
【0096】なお、かように第1棚圧P4 を高くするよ
うな締結側アクチュエータの特性マップを修正するに際
して、その上昇量ΔPを図22に示すように、ギヤ比偏
差積分値∫(gr −gr5)dtが第2設定値∫2 より大き
くなるほど増大させることとしたから、ギヤ比偏差積分
値∫(gr −gr5)dtが第2設定値∫2 より大きくなる
ほど第1棚圧P4 が大きく不足しているという事実に符
合して、締結側アクチュエータ動作特性のマップを一層
確実に修正することができる。
【0097】逆に、図23に示したパワーオン走行のも
とでの4→3ダウンシフト変速中、ギヤ比gr が変速後
ギヤ比gr4に最初に一致したトルクフェーズ開始後、ギ
ヤ比偏差積分値∫(gr −gr5)dtが第2設定値∫
1 (図22参照)より小さい場合、つまり、ギヤ比gr
が設定ギヤ比gr5を越えている時間が予定時間よりも短
い場合、トルクフェーズ中に締結側摩擦要素(フォワー
ドクラッチF/C)に与える第1棚圧P4 が要求に対し
高すぎて、変速機出力軸トルクの急変(図23の1点鎖
線)を生ずることから、締結側摩擦要素(フォワードク
ラッチF/C)の第1棚圧P4 が、コントローラからア
クチュエータへの同じ指令値に対して低くなるよう、つ
まり、同じ条件のもとで次回は第1棚圧P4 を低くする
ようなアクチュエータ指令値が発せられるよう、締結側
アクチュエータの指令値・作動液圧特性マップを図21
の処理により修正することとしたため、締結側アクチュ
エータの指令値・作動液圧特性マップを、締結側摩擦要
素の作動液圧が過大になることのないよう修正し得るこ
ととなり、当該特性の変化時も、締結側摩擦要素の作動
液圧が過大になって、所定の変速制御ができなくなると
いった弊害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施の形態になる変速制御装置を具え
た自動変速機の制御システム図である。
【図2】同自動変速機における摩擦要素の締結論理と選
択変速段との関係を示す図面である。
【図3】同自動変速機の第4速から第3速へのダウンシ
フト変速に際して締結側摩擦要素となるフォワードクラ
ッチの作動圧制御回路を示す回路図である。
【図4】同自動変速機の第4速から第3速へのダウンシ
フト変速に際して解放側摩擦要素となるバンドブレーキ
の作動圧制御回路を示す回路図である。
【図5】同実施の形態においてコントローラが実行すべ
き変速判断プログラムのメインルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図6】同変速判断で4→3ダウンシフト変速指令が出
された場合に実行すべき変速制御の第1ステージに係わ
るサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】同第1ステージで用いる制御データの設定ルー
チンを示すフローチャートである。
【図8】同第1ステージで用いる制御データのうち、変
速機入力トルクを算出するためのサブルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図9】同第1ステージで用いる制御データのうち、解
放側締結必要油圧を算出するためのサブルーチンを示す
フローチャートである。
【図10】同4→3ダウンシフト変速指令が出された場
合に実行すべき変速制御の第2ステージに係わるサブル
ーチンを示すフローチャートである。
【図11】同第2ステージで用いる制御データの設定ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図12】第2ステージで用いる制御データのうち、ギ
ヤ比を算出するためのサブルーチンを示すフローチャー
トである。
【図13】第2ステージで実行すべきアクチュエータ動
作特性マップの修正プログラムを示すフローチャートで
ある。
【図14】解放側アクチュエータの動作特性マップに係
わる修正プログラムを示すフローチャーである。
【図15】締結側アクチュエータの動作特性マップに係
わる修正プログラムを示すフローチャーである。
【図16】同4→3ダウンシフト変速指令が出された場
合に実行すべき変速制御の第3ステージに係わるサブル
ーチンを示すフローチャートである。
【図17】同第3ステージで用いる制御データの設定ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図18】同4→3ダウンシフト変速指令が出された場
合に実行すべき変速制御の第4ステージに係わるサブル
ーチンを示すフローチャートである。
【図19】同第4ステージで用いる制御データの設定ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図20】同第4ステージで行うギヤ比偏差の積分演算
処理を示すフローチャートである。
【図21】第4ステージで実行すべき締結側アクチュエ
ータ動作特性マップの修正プログラムを示すフローチャ
ートである。
【図22】同修正プログラムによって修正する締結側摩
擦要素の第1棚圧修正量変化特性を示す特性図である。
【図23】図6〜図21による4→3ダウンシフト変速
制御の動作タイムチャートである。
【図24】摩擦要素の作動液圧指令値と、アクチュエー
タへのデューティ指令値および摩擦要素伝達トルクとの
関係を示す線図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トルクコンバータ 3 自動変速機 4 入力軸 5 出力軸 6 フロントプラネタリギヤ組 7 リヤプラネタリギヤ組 8 コントロールバルブ 9 デューティソレノイド 10 デューティソレノイド 11 デューティソレノイド 12 デューティソレノイド 13 デューティソレノイド 14 コントローラ 16 スロットル開度センサ 17 エンジン回転センサ 18 入力回転センサ 19 出力回転センサ 20 油温センサ 22 調圧弁 24 調圧弁 F/C フォワードクラッチ(締結側摩擦要素) B/B バンドブレーキ(解放側摩擦要素) H/C ハイクラッチ LR/B ローリバースブレーキ R/C リバースクラッチ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締結状態の摩擦要素を、コントローラか
    らの指令値に応動するアクチュエータによる作動液圧の
    低下で解放させると同時に、解放状態の摩擦要素を、該
    コントローラからの指令値に応動するアクチュエータに
    よる作動液圧の上昇で締結させることによりダウンシフ
    ト変速を行い、 前記コントローラが前記各アクチュエータへの指令値
    を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動液圧特性
    に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する要求作動
    液圧に対応付けて決定するようにした自動変速機におい
    て、 パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速中、変
    速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最
    初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギ
    ヤ比を越えている時間が予定時間よりも長い場合、前記
    締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記コントロ
    ーラからアクチュエータへの同じ指令値に対して高くな
    るよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正するよ
    う構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装
    置。
  2. 【請求項2】 締結状態の摩擦要素を、コントローラか
    らの指令値に応動するアクチュエータによる作動液圧の
    低下で解放させると同時に、解放状態の摩擦要素を、該
    コントローラからの指令値に応動するアクチュエータに
    よる作動液圧の上昇で締結させることによりダウンシフ
    ト変速を行い、 前記コントローラが前記各アクチュエータへの指令値
    を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動液圧特性
    に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する要求作動
    液圧に対応付けて決定するようにした自動変速機におい
    て、 パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速中、変
    速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最
    初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギ
    ヤ比を越えている時間が予定時間よりも短い場合、前記
    締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記コントロ
    ーラからアクチュエータへの同じ指令値に対して低くな
    るよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正するよ
    う構成したことを特徴とする自動変速機の変速制御装
    置。
  3. 【請求項3】 締結状態の摩擦要素を、コントローラか
    らの指令値に応動するアクチュエータによる作動液圧の
    低下で解放させると同時に、解放状態の摩擦要素を、該
    コントローラからの指令値に応動するアクチュエータに
    よる作動液圧の上昇で締結させることによりダウンシフ
    ト変速を行い、 前記コントローラが前記各アクチュエータへの指令値
    を、アクチュエータ固有の予定の指令値・作動液圧特性
    に基づき、摩擦要素の要求締結容量に対応する要求作動
    液圧に対応付けて決定するようにした自動変速機におい
    て、 パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速中、変
    速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最
    初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギ
    ヤ比を越えている時間が予定時間よりも長い場合、前記
    締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記コントロ
    ーラからアクチュエータへの同じ指令値に対して高くな
    るよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正し、 パワーオン走行のもとでの前記ダウンシフト変速中、変
    速機入出力回転比で表されるギヤ比が変速後ギヤ比に最
    初に一致したトルクフェーズ開始後、該ギヤ比が設定ギ
    ヤ比を越えている時間が予定時間よりも短い場合、前記
    締結すべき締結側摩擦要素の作動液圧が、前記コントロ
    ーラからアクチュエータへの同じ指令値に対して低くな
    るよう、前記予定の指令値・作動液圧特性を修正する構
    成にしたことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項におい
    て、トルクフェーズ中前記締結側摩擦要素の作動液圧を
    一定の棚圧に制御する場合、該棚圧を、アクチュエータ
    への同じ指令値に対して所定量だけ加減算した補正棚圧
    となるよう前記予定の指令値・作動液圧特性の修正を行
    う構成にしたことを特徴とする自動変速機の変速制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記棚圧に加算する
    所定量を、前記ギヤ比が設定ギヤ比を越えている時間が
    予定時間よりも長いほど大きくしたことを特徴とする自
    動変速機の変速制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、前記予定の
    指令値・作動液圧特性が指令値および作動液圧をそれぞ
    れ量子化して相互に対応付けたマップである場合、 前記補正前の棚圧Pを挟んでその前後におけるマップ上
    の作動液圧値P1 ,P 2 間における補正前棚圧Pの内分
    比aと、 前記補正後の棚圧PA を挟んでその前後におけるマップ
    上の作動液圧値P3 ,P4 間における補正後棚圧PA
    内分比bと、 前記補正前棚圧Pのためのトルクフェーズ中におけるア
    クチュエータへの指令値Dを挟んでその前後におけるマ
    ップ上の指令値D1 ,D2 と、 前記マップ上で補正後棚圧PA に対応するアクチュエー
    タへの指令値DA を挟んでその前後におけるマップ上の
    指令値D3 ,D4 とを用いて、 前記予定の指令値・作動液圧特性を修正するよう構成し
    たことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記指令値D3 ,D
    4 をそれぞれ、 D3 =〔1/(1−b)〕〔(1−a)・D1 +a・D
    2 −b・D4 〕 D4 =(1/b)〔(1−a)・D1 +a・D2 −(1
    −b)・D3 〕 により修正して更新することにより、前記予定の指令値
    ・作動液圧特性を修正するよう構成したことを特徴とす
    る自動変速機の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100482588B1 (ko) * 2002-12-10 2005-04-14 현대자동차주식회사 차량용 자동 변속기의 킥 다운 4 → 3 변속시 변속 제어방법
JP2006037988A (ja) * 2004-07-22 2006-02-09 Hitachi Ltd 自動変速機の制御装置,自動変速機の作動装置,自動変速機システム及び自動変速機の制御方法
JP2010002294A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Honda Motor Co Ltd シャシーダイナモメータの制御装置

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JP2010002294A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Honda Motor Co Ltd シャシーダイナモメータの制御装置

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