JPH10236542A - 電子レンジ調理食品包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 開封のための前処理することなく電子レンジ
で高周波加熱調理でき異音を発生することもなく、なお
かつ加熱終了まで一定で安定した蒸気圧を容器内部に確
保することにより加熱時間を短縮し、内容物の加熱温度
分布をより均一にできる電子レンジ調理用食品包装体を
提供すること。 【解決手段】 容器本体のフランジ部と蓋体とをヒート
シールしてなるプラスチック製の包装体であって、イー
ジーピール性であるヒートシール部の一部に、内シール
部と外シール部の２重シールとし、該内シール部と外シ
ール部の間に溝部又は非シール部を設けた部分が１カ所
以上あり、該２重シール部の内シール部は内側に突出し
た部分が１カ所以上有り、該外シールの一部に該溝部又
は非シール部が外気と連結された蒸気排出口を１カ所以
上設けた電子レンジ調理用食品包装体。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電子レンジ等によ
って加熱調理が容易な電子レンジ調理用食品包装体に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近では家庭で簡単に調理ができるよう
に調理済みの冷凍食品やレトルト食品が出回っており、
単に加熱処理するだけで食することができるようになっ
ている。これらの食品は加熱処理する際にはお湯につけ
るとか、蒸し器、電子レンジ等を使用するのが通常であ
るが、最も簡便なのが電子レンジによる高周波加熱調理
方法である。一般に電子レンジで食品を加熱する場合
は、食器に食品を入れたり、ラップフィルムで食品を包
んだりして行っている。また、従来からプラスチックフ
ィルムにより深絞り成形されたものにハンバーグ等の食
品をパックし密封した包装体やフランジ付のプラスチッ
ク容器に食品をパックし密封した包装体などが流通され
ている。これらの包装体は外気を完全に遮断するように
密封されているので、そのまま電子レンジに入れて加熱
すると食品から出る水蒸気の圧力により破裂してしま
う。そこでこの場合食品を包装体から取り出すか、予め
ナイフ等で包装体の一部を切り、蒸気の逃げ口を作って
から加熱処理を行わなければならなかった。最近ではイ
ージーピール性を付与することにより道具を使用せず手
で予め一部を開封し加熱処理ができるプラスチック容器
も多数見受けられるようになったが、加熱前にこれらの
開封処理を行うことは煩雑であり、消費者が開封処理を
加熱前にしておくことを忘れる危険性もあり、何も前処
理無しで電子レンジで加熱処理できることが望まれてい
る。

【０００３】一方、特に冷凍食品や要冷蔵の食品はその
品温が低いため電子レンジ加熱を行ってもかなりの時間
を要し、また内容物の加熱温度が不均一になり一部分が
加熱不足であるにも関わらず一部分は加熱しすぎて食品
が炭化するなどの変質を起こし味覚を損ねる場合も多
く、より簡便性を求めてこの加熱時間を短縮し、均一な
加熱ができることが望まれていた。これらの問題を解決
するため種々の検討がなされているが、容器の密封をヒ
ートシールで行い、かつヒートシール帯に容器の内側方
向に突出した特定の形態の突出部を設けて、この突出部
において上昇した容器の内圧を作用させて容器を開口さ
せることにより前記した欠点を回避させる密封容器（特
開昭６２−２３５０８０号公報、実開平１−６９７７３
号公報、実開平３−８７６８８号公報）等が考案されて
おり、またフランジのヒートシール部を二重シールとし
外シール部に蒸気排出口を１カ所以上設けて問題を回避
する密封容器（特願平６−０４９２０９号公報）等があ
る。

【０００４】前述の特開昭６２−２３５０８０号公報、
実開平１−６９７７３号公報、実開平３−８７６８８号
公報等に開示されている密封容器は、いずれも開封のた
めの前処理なく電子レンジによる高周波加熱は可能であ
るが、蒸気圧により突出部から開封された後連続したシ
ール帯のどの部分まで開封されるかは未定であり、蒸気
圧に負けて大きな開封口が開いてしまうため加熱終了ま
で充分な蒸気圧を確保することができず、加熱時間が長
くなってしまう。また特願平６−０４９２０９号公報に
開示されて密封容器は内シールが蒸気圧により開封する
場合広い幅にわたって同時に開くため電子レンジ内にお
いて大きな破裂音がし、加熱調理をしようとしている消
費者が驚いて加熱を中止してしまう場合があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、包装体を作
成する過程で蒸気の逃げ口が形成でき、開封のための前
処理することなく電子レンジで高周波加熱調理でき異音
を発生することもなく、なおかつ加熱終了まで一定で安
定した蒸気圧を容器内部に確保することにより加熱時間
を短縮し、内容物の加熱温度分布をより均一にできる電
子レンジ調理用食品包装体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、容器本体のフ
ランジ部と蓋体とをヒートシールしてなるプラスチック
製の包装体であって、イージーピール性であるヒートシ
ール部の一部に、内シール部と外シール部の２重シール
とし、該内シール部と外シール部の間に溝部又は非シー
ル部を設けた部分が１カ所以上あり、該２重シール部の
内シール部は内側に突出した部分が１カ所以上有り、該
外シールの一部に該溝部又は非シール部が外気と連結さ
れた蒸気排出口を１カ所以上設けたことを特徴とする電
子レンジ調理用食品包装体である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、１実施態様の図２、図３を
参照して、本発明の構成を説明する。容器本体１はフラ
ンジ２を有し、該フランジ部２は斜線のヒートシール部
３によって蓋体とヒートシールによりイージーピール溶
着される。該フランジ部２には溝部４を設けており、該
溝部４の内側には内シール部５、外シール部７を有する
形態となっている。ヒートシール部３はフランジ全巾で
ある必要はなく狭い幅のシール帯や狭い幅のシール帯と
ローレット状のヒートシールと組み合わせることも可能
である。また、必要に応じて加熱後の開封時に開封口部
に当たる部分に烏口形状のシール形状にしても良い。内
シール部５は内側に突出した突出部６が１カ所以上設け
られている。突出部６の形状は特に限定するものではな
い。また該外シール部７には溝部４より外側に向かって
外気と繋がるように蒸気排出口９が１カ所以上設けられ
ている。該蒸気排出口９は２重シール部の外シール部７
のどの位置に配置しても良い。蒸気排出口９の断面積は
適切な蒸気圧を得るために内容物や容器の容量により調
整する必要があるが一般に１〜１０mm² 程度が望まし
い。蒸気排出口の断面積が小さすぎると蒸気内圧が高く
なりすぎ該２重シール部以外のシール帯が破袋し内圧が
調整不能となり逆に大きすぎると内圧が低く加熱時間短
縮の効果が得られない。２重シール部の長さＣは蒸気排
出口９による蒸気圧調整の妨げにならない程度に広い方
がよく１０〜４０mm程度が好ましい。

【０００８】突出部６について拡大図の図７ａ、図７
ｂ、図７ｃを参照して説明を補足する。前述の従来技術
においては、電子レンジでの加熱中の内圧により開封す
る際、図７ａのヒートシール帯の内、斜線部が開封され
中央部に穴が開き蒸気を抜くことが前提となっておりヒ
ートシール帯が図７ｂの様な形状であれば斜線部が開封
されても穴が開かないため蒸気を逃がすことができな
い。従って従来技術においては突出部のシール帯の外縁
であって最も容器の内側方向に位置する部分の最内部８
がヒートシール部の内縁にある該突部形成開始点を結ん
だ線（破線イ）よりも容器の内側に形成されることが重
要な要素となる。さらに前述のように図７ａにおける斜
線部が開封した後そこから続くヒートシール帯が内圧に
負けて引き続き開封を続ける可能性が高くこの場合蒸気
抜きの穴の大きさが一定しない。しかし本発明において
は図７ｃに示す斜線部が開封されるため該最内部８の部
分が該破線イより内側に形成される必要はなく、外側に
形成されていても蒸気を抜くことが可能である。また、
図７ｃにおける斜線部の内中央から開封が始まり端部へ
広がる途中で十分な開口面積が確保されるため斜線部を
越えて開封することはなく、斜線部上のどの部分で開封
が停止しても容器の内圧は外シール部に設けた溝により
規制されているため変化することなく一定である。従っ
て本発明における突出部は従来技術における突出部とは
異質のものである。

【０００９】ここで容器本体１の平面図の形態は、三角
状、四角状、楕円状、円状いずれであっても構わないし
２分割、３分割など収納部が分割された容器においても
応用できる。フランジ部２は開封口付近にタブを設けた
り両サイドに把手を付加するなど各種の工夫が考えられ
る。また容器本体はプラスチックシートを真空成形や圧
空成形等によって得られたものでもよいし、射出成形で
得られたものでも構わない。容器本体に使用するプラス
チックシートはポリプロピレン（ＰＰ）等の単層でもよ
いし、バリア性の良いエチレン−酢酸ビニル共重合体け
ん化物（ＥＶＯＨ）等を使用した多層シートでも構わな
い。蓋体はＰＥＴ、ナイロンなどの引き裂き強度のある
基材層とシーラント層を有し、ＥＶＯＨなどのバリア層
を加えたものでも良い。また、容器のシール層もしくは
蓋体のシール層はヒートシールした際にイージーピール
されるものでなければならず、凝集剥離タイプでも層間
剥離タイプでも構わない。

【００１０】この容器本体１を使用して本発明の食品包
装体にするには、容器本体に食品を充填し、蓋体を容器
本体のフランジ部の２重シール部の内シール部と外シー
ル部及びそれ以外のフランジ部を同時にヒートシールす
ることによって得られる。本発明の包装体を使用する場
合は、前処理することなくそのまま電子レンジに入れて
加熱調理する。加熱すると共に温度が上がり食品から蒸
気が発生し、包装体の内圧が上がり特に蓋体が膨らんで
くる。内圧が一定以上になると内シール部の一部が突出
部より異音無く開裂し、蒸気が溝部を通り排出口より一
定に調整されて排出され、蓋体は破裂することなくまた
内圧が一定に確保されたまま食品が短時間に適温に加熱
され、シール部分はイージーピールなので加熱後は容易
に開封することができ、収納されている食品を容易に取
り出すこともでき、また包装体に入ったままの食品を食
するようになっている。

【００１１】図４及び図５に別な実施態様を示す。容器
本体１の平面図の形態が円形でフランジ部２の２重シー
ル部の内シール線５の突出部６を３カ所としたものであ
る。又、図６に２分割容器に応用した例を示す。各収納
部にそれぞれ１つずつ２重線シール部を設け、それぞれ
の外シール部に設けた蒸気排出口の断面積は各収納部の
容積と内容物によって最適な断面が設計され、容器の成
形時に確定しておくことができる。

【００１２】

【実施例】図２及び図３に示す形態の容器を厚み０．８
mmのポリプロピレン（ＰＰ）シートを真空成形によりに
成形し、カレー２００ｇを充填し、イージーピールタイ
プの蓋体を簡易シール機で１９０℃エア圧３Kg／cm² 、
１．５秒で２回シールした後、しばらく放置し、電子レ
ンジ（５００Ｗ）により５分間加熱した。約２分で２重
シール部の内シール部がほとんど無音でスムーズに開封
し、その後加熱終了まで外シール部に設けた蒸気排出口
９より蒸気が排出され、しかも排出量が適当に調整され
ているため容器及び蓋体がやや膨らんだ状態が一定に確
保され内圧がかかっていることを示した。加熱が終了す
ると容器及び蓋体の膨らみはなくなりもとの形状に戻っ
た。

【００１３】次に、 該容器にカレー２００ｇを充填し蓋体を使用せず解放
したままのもの。 該容器にカレー２００ｇを充填し蓋体をヒートシール
し事前の開封処理をしないもの。 該容器にカレー２００ｇを充填し蓋体をヒートシール
した後、事前にヒートシールの一部を開封したもの。 の３種を用意しそれぞれの容器の中央に置いたほぼ同じ
大きさの芋の中心に温度センサーを差し込み電子レンジ
（５００Ｗ）で５分間加熱した。温度センサーには光フ
ァイバー式の温度計を使用し高周波加熱中の温度変化を
測定可能である。上記〜のタイプのそれぞれの加熱
中の温度変化をグラフにしたものを図１に示す。グラフ
からわかるように該容器のフランジ部に設けた２重シー
ル部の外シール部にある蒸気排出口の働きによりタイ
プのみが温度上昇が速く９０℃に達するまでの時間を約
１分短縮できた。電子レンジ内の温度上昇を配慮し順番
を入れ替え繰り返したがほぼ同じ結果であった。

【００１４】

【発明の効果】本発明の容器を用いれば次の利点が得ら
れる。 (1) 食品を充填した包装体の流通、保管に際して密封性
が維持でき雑菌の混入のおそれ、内容物のこぼれを防止
できる。 (2) ２重シール部の外シールの蒸気排出口により加熱中
の蒸気排出量を調整し内圧を高く一定にできるので加熱
時間を短縮でき、内容物の加熱温度分布も均一にでき
る。 (3) 電子レンジ等で加熱する際、内圧の上昇によって２
重シール部の内シール部が開口するので容器の破裂や変
形あるいは容器の破裂による吹きこぼれが防止できる。
また、加熱前の開封処理が不要なので簡便に使用でき
る。 (4) ２重シール部の内シールの突出部から徐々に開口す
るため破裂音に驚くことがない。 (5) 一般の成形工程、一般のヒートシールで生産可能で
あるため製造コストが上昇することがない。

【図面の簡単な説明】

【図１】電子レンジで加熱中の温度変化をグラフにした
もの

【図２】本発明の包装体の平面図である。

【図３】図３ａは図２において断面Ａの側面図であり、
図３ｂは図２において断面Ｂの側面図である。

【図４】本発明の包装体の突出部を３カ所設けた平面図
である。

【図５】図５ａは図４において断面Ａの側面図であり、
図５ｂは図４において断面Ｂの側面図である。

【図６】本発明の包装体の２分割容器を示す平面図であ
る。

【図７】図７ａは従来技術の一例における突出部の拡大
図であり、図７ｂは図７ａの説明を補足するものであ
り、図７ｃは本発明における突出部の拡大図である。

【符号の説明】

１：容器本体 ２：フランジ部 ３：ヒートシール部（斜線部） ４：溝部 ５：内シール部 ６：突出部 ７：外シール部 ８：最内部 ９：蒸気排出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器本体のフランジ部と蓋体とをヒートシ
   ールしてなるプラスチック製の包装体であって、イージ
   ーピール性であるヒートシール部の一部に、内シール部
   と外シール部の２重シールとし、該内シール部と外シー
   ル部の間に溝部又は非シール部を設けた部分が１カ所以
   上あり、該２重シール部の内シール部は内側に突出した
   部分が１カ所以上有り、該外シールの一部に該溝部又は
   非シール部が外気と連結された蒸気排出口を１カ所以上
   設けたことを特徴とする電子レンジ調理用食品包装体。