JPH10236197A - 着座センサ付きシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 センサの押圧力等から着座者の個人認識をし
て、その推定結果に基づいてエアバッグ装置等の各種装
置の作動を制御することができる着座センサ付きシート
を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の着座センサ付きシートは、シー
ト部に設けられ、着座者からシート部に受ける押圧力を
検知するセンサと、前記センサによって検知された着座
者の押圧力のデータを記憶するメモリと、前記メモリに
記憶されたデータと前記センサで新たに検知された押圧
力のデータとを比較して最も近いデータを算出する手段
と、を備える点に特徴がある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に
用いられ、シートに設けられたセンサにより検知された
データを予め記憶して、記憶したデータと新たに前記セ
ンサで検知されるデータとを比較して最も近いデータを
算出することができる着座センサ付きシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、自動車等では衝突事故から乗員を
保護するためにエアバッグ装置が装備されるようになっ
た。エアバッグ装置は、通常、インストルメントパネル
内に格納されており、衝突時の衝撃を感知することによ
り、起爆装置の爆発でエアバッグをバルーン状に膨張さ
せ、乗員が前に倒れ込むのを防止するものである。

【０００３】エアバッグ装置は、運転席とともに助手席
にも配備されており、衝撃を感知した時点で運転席と同
様に起爆するようになっている。しかし、助手席には常
に乗員が着座するとは限らず、助手席に乗員が着座して
いなくてもエアバッグ装置が作動してしまい、インスト
ルメントパネルの修繕費が高くなる。

【０００４】そこで、例えば実登第２５１９５４６号公
報には、インストルメントパネルに設けられた超音波距
離測定機を用いて着座者の有無を検知する技術が提案さ
れている。また、特開平１−１６０７４７号公報には、
着座者の有無を検出する検知スイッチをシートの内部に
設ける技術が提案されている。これらの技術を用いれ
ば、助手席に乗員が着座していない場合には、助手席用
のエアバッグを膨張させないように制御することが可能
である。

【０００５】また、高級自動車の中には複数の着座者の
好みに応じてシート位置や背もたれの傾斜角度等をそれ
ぞれ予めメモリに記憶させ、所望のシート位置や背もた
れの傾斜角度にスイッチ操作でメモリの読み出しを指示
することで自動的に調節できる装置が装備されている

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】最近になって、助手席
に着座していた幼児や体格の小さな女性がエアバッグに
圧迫される事故が発生し、大きな問題となっている。こ
れは、助手席にいる乗員の体格とは無関係にエアバッグ
装置が作動してしまうためである。従来の技術では助手
席に着座者がいるか否かを検知することはできる。しか
し、助手席にいるのが人あるいは動物、物（例えば乗車
する子供を衝突事故から保護するためにチャイルドシー
トをシート上に設置する場合がある）なのか、また人で
あれば誰なのかというように、個別認識することができ
ないので上記問題を解決することができなかった。

【０００７】また、所望のシート位置や背もたれの傾斜
角度、ステアリングホイールの位置を自動的に調節する
ことができる装置が装備されている自動車が知られてい
る。しかしながら、この自動車を利用する者が複数いる
場合には、各人ごとに所望のシート位置や背もたれの傾
斜角度データ、ステアリングホイールの位置データ等を
メモリに記憶させ、利用するときは、各人が登録されて
いるスイッチや番号等を入力する手数がかかり、操作が
面倒であった。

【０００８】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、センサに加わる押圧力等から着座者の個別認
識をして、その認識結果に基づいてエアバッグ装置等の
各種装置の作動を制御することができる着座センサ付き
シートを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の課題を達成するた
め、本発明の着座センサ付きシートは、シート部に設け
られ、着座者からシート部に受ける押圧力を検知するセ
ンサと、前記センサによって検知された着座者の押圧力
のデータを記憶するメモリと、前記メモリに記憶された
データと前記センサで新たに検知された押圧力のデータ
とを比較して最も近いデータを算出する手段と、を備え
ていることを特徴とするものである。

【００１０】本発明の着座センサ付きシートによれば、
例えば、個人Ｘ氏が自動車のシートに着座したときに、
シート部に取り付けられた着座センサによって、シート
部を押圧する個人Ｘ氏の尻部および背部から受ける押圧
力が検知され、そのデータをメモリに記憶することがで
きる。この検知から記憶までの一連の動作は、自動的に
全て行うこともできるが、メモリにデータを記憶する直
前に、着座者にその記憶の可否確認を表示装置で知らせ
て選択できるようにしておくとよい。その際に、個人Ｘ
氏に関連するデータ（個人名や他の装置への作動命令、
座高等）を入力装置でメモリに入力することもできる。
このように予め、自動車の搭乗頻度の多い乗員（自動車
所有の家族等）や搭載物をシート部に載せてメモリにデ
ータを記憶しておく必要がある。上記のように予めメモ
リにデータを記憶したあとは、シートに乗員が着座する
度に前記センサで押圧力を計測し、制御装置で前記メモ
リによって記憶された押圧力のデータと新たに検知され
た押圧力のデータとを近似するデータを算出する。例え
ば、前記差が所定の値以下の場合にはメモリ内のデータ
に「該当データあり、それは個人Ｘ氏のデータである」
と認識し、前記差が所定の値以下のデータがない場合に
は、メモリ内のデータに「該当データなし」と認識し
て、その後の処理を選択できるようにすることもでき
る。このように個別認識を行うことができ、認識結果に
基いてエアバッグ装置等各種装置の作動を制御すること
ができる。

【００１１】本発明はまた、着座者からシート部に受け
る押圧位置を検知するセンサと、前記センサによって検
知された着座者の押圧位置のデータを記憶するメモリ
と、前記メモリに記憶されたデータと前記センサで新た
に検知された押圧位置のデータとを比較して最も近いデ
ータを算出する手段と、をさらに備えてもよい。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図１は、本発明の着座セン
サ付きシートを示す一部破断斜視図である。

【００１３】図１に示すように、本発明の着座センサ付
きシートＡは、例えば自動車等の座席に用いられるもの
である。シート部は、フロアに取り付けられたシートク
ッション部１と、そのシートクッション部１に傾動可能
に支持されているシートバック部２とで形成される。な
お、シートバック部２の上部にはヘッドレスト部３が固
定されている。

【００１４】シートクッション部１およびシートバック
部２の表面は布で作られ、その内部にある薄いスポンジ
の下にそれぞれ着座センサ４、５が取り付けられてい
る。シートクッション部１に取り付けられた着座センサ
４は、着座者の尻部から受ける押圧力および押圧位置を
検知するものであり、シートバック部２に取り付けられ
た着座センサ５は、シートバック部２に寄り掛かった着
座者の背部から受ける押圧力および押圧位置を検知する
ものである。着座センサ４、５は、後述するように押圧
力の大きさに応じて抵抗データが変化する材料を用い
て、その抵抗データの変化に基づいて押圧力および押圧
位置を検知するものである。

【００１５】各着座センサ４、５にはエアバッグの起爆
装置等の各種装置を制御する制御装置６が電気的に接続
されている。制御装置６は、演算制御可能なマイクロコ
ンピュータにより構成されており、着座センサ４、５に
よって検知された押圧力および押圧位置のデータを所定
時間計測しデジタル処理してそのデータを予めメモリ８
に記憶してあったデータに最も近いデータを算出し、そ
の算出結果に基づいてエアバッグの起爆装置等の各種装
置の作動を制御するものである。上記所定時間は、例え
ばシートＡに座りシートベルトを締めた時点から数秒間
である。この場合、シートベルトを締めたことを検知す
るスイッチを設け、そのスイッチの検知によって計測を
開始する。また前記計測後に着座者が長時間の間に位置
を変えてもその都度計測することはない。つまり、着座
センサ４、５による計測は一旦計測されると、シートベ
ルトを外して次にシートベルトを締めるまで作動しない
ようになっている。

【００１６】また、制御装置６には着座センサによって
検知された押圧力および押圧位置のデータを画像処理し
て視覚的に表示するモニタ７、シート利用者（チャイル
ドシート、または、動物等を含む）のデータを記憶する
メモリ８、各種データを設定するための入力装置９が接
続されている。各種データの設定は、予めメモリ８に記
憶可能な設定モードにした状態でシートにシート利用者
を着座させて入力装置９により、着座者の名前、体重、
座高、または、各装置の作動指示等を関連付けてメモリ
８に入力および記憶することができる。

【００１７】図２は着座センサを示す平面図であり、図
３は、着座センサの感圧部の内部構造を示す断面図であ
る。

【００１８】図２および図３に示すように、着座センサ
４（５）は、全体が縦約３５ｃｍ×横約３０ｃｍの略台
形の形状をしており、上下平行に延びている透明状のＰ
ＥＴフィルム１０、１１と、上側のＰＥＴフィルム１０
に印刷されている７本の列電極１２と、下側のＰＥＴフ
ィルム１１に印刷されている５本の行電極１３と、列電
極１２と行電極１３の交差する部分に配置され、縦７個
×横５個の計３５個の感圧部１４を備えている。なお、
本実施の形態の場合、電極数の合計は１２本であるが、
接続コネクタの極数を考慮すると２０本程度までにする
のが好ましい。

【００１９】列電極１２および行電極１３は、銀粉末や
銅粉末等の金属粉末を主成分とする導電インクを公知の
印刷手段によってＰＥＴフィルム上に印刷することによ
り形成される。

【００２０】各感圧部１４は、図３に示すように、上側
のＰＥＴフィルム１０に印刷されている列電極１２に塗
布又は印刷された感圧インク１５と、下側のＰＥＴフィ
ルム１１に印刷されている行電極１３に塗布又は印刷さ
れた感圧インク１６を有する。感圧インク１５、１６
は、非加圧状態では高抵抗性（絶縁性）を示し、加圧す
るに従ってその圧力の大きさに応じて抵抗データが変化
し、導電粒子又は半導電粒子を含む物質が用いられる。
感圧インク１５、１６の表面には凹凸部があるので、互
いが接着するのを防止するために、各感圧インク１５、
１６間には一定距離の空隙部１７が形成されている。

【００２１】列電極１２および行電極１３の周囲には各
電極を絶縁するために絶縁層１８が被覆されており、絶
縁層１８間は粘着剤１９によって粘着されている。

【００２２】図４は、押圧力および押圧位置を画像処理
して視覚的に表示したモニタの画像図であり、図４
（Ａ）はシートクッション部１の着座センサ４によって
検知された押圧力および押圧位置を画像処理した場合の
一例であり、図４（Ｂ）はシートバック部２の着座セン
サ５によって検知された押圧力および押圧位置を画像処
理した場合の一例である。図４中、下部および右部に表
示された数字は各着座センサ４（５）の感圧部１４の位
置を示すための座標データであり、押圧を検知した着座
センサ４（５）に対応するます目の部分が六角形状に表
示されるようになっている。また、押圧力に応じて等高
線状に色別して表示されるようになっている。

【００２３】なお、図示はしないが算出による認識結果
（例えばメモリに記憶されたデータのうち最も近いデー
タのシート利用者名または体重、座高、各装置の状態）
をモニタ７に表示してもよい。

【００２４】本発明の着座センサ付きシートＡによれ
ば、シートクッション部１に取り付けられた着座センサ
４によって、着座者の尻部から受ける押圧力および押圧
位置が検知され、シートバック部２に取り付けられた着
座センサ５によって、シートバック部２に寄り掛かった
着座者の背部から受ける押圧力および押圧位置が検知さ
れる。

【００２５】次いで、制御装置６は、シートバック部２
に取り付けられた着座センサ５およびシートクッション
部１に取り付けられた着座センサ４によって検知された
押圧力および押圧位置に最も近いデータを算出してその
データに基づく作動指示を行う。

【００２６】なお、本発明の他の形態の着座センサ付き
シートとして、着座センサ４、５によって検知された押
圧力および押圧位置に基づいて着座者の体重を算出して
もよい。この場合には、シートバック部の角度、あるい
は、着座者の背のもたれ方により、シートクッション部
１の受ける押圧力が変化しても、シートバック部２の受
ける押圧力も合わせて演算することにより、着座者の体
重をより正確に算出することができる。

【００２７】本発明の着座センサ付きシートＡは、予め
メモリに記憶された複数の着座者のデータと、センサで
新たに検知されたデータとを比較算出することにより個
別認識を行うことが可能となる。例えば、ある基準値を
越える体格の大きい者がシートＡに着座する場合に、通
常通りエアバッグ装置を作動させるように設定し、体格
の小さい者がシートＡに着座する場合に、エアバッグの
膨張速度を低速にするように調整するか、あるいはエア
バッグ装置を作動させないように個別情報をメモリに予
め設定しておく。これによって、助手席に着座していた
幼児や体格の小さな女性がエアバッグに圧迫されないよ
うにエアバッグを膨張させることができる。なお、チャ
イルドシートや動物がシートに載る場合または着座者が
いないと認識される場合には、同様に個別情報をメモリ
に予め設定しておけば、そのシートに対応するエアバッ
グ装置を作動させないこともできる。

【００２８】また、好みのシート位置や背もたれの傾斜
角度を予め設定しておけば、この個別認識によりシート
に着座するだけで自動的に好みのシート位置や背もたれ
の傾斜角度に調節できる。同様に、ステアリングホイー
ルの位置、ミラーの角度、オーディオ、エアコン等の各
着座者の好みの設定に、シートに着座するだけで自動調
節することができる。従って、同一の自動車を家族やグ
ループ等の複数の限られた者が利用する場合、従来のよ
うに、各人が登録されたスイッチや番号等を入力すると
いった面倒な操作が不要になり、大変便利である。ま
た、制御装置６を盗難警報装置に接続し、特定者以外の
者が運転席に着座してエンジン始動させようとすると警
報を発したり、エンジン始動しないようにすることがで
きる。

【００２９】本発明は、上記の実施の形態に限定される
ことはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の
範囲内において、種々の変更が可能である。

【００３０】例えば、着座センサ４、５の大きさや形
状、列電極１２、行電極１３および感圧部１４の数等は
図面に示されたものに限らず、適宜変更することができ
る。また、本発明の着座センサ付きシートＡは、助手席
だけでなく運転席や後部座席等にも適用することができ
る。

【００３１】着座センサ４、５は、シートクッション部
１あるいはシートバック部２のどちらか一方にだけ設け
られるようにしてもよい。

【００３２】

【発明の効果】本発明の着座センサ付きシートによれ
ば、シート部に設けられ、着座者からシート部に受ける
押圧力を検知するセンサと、前記センサによって検知さ
れた着座者の押圧力のデータを記憶するメモリと、前記
メモリに記憶されたデータと前記センサで新たに検知さ
れた押圧力のデータとを比較して最も近いデータを算出
する手段と、を備えるので、予めメモリに記憶された複
数の着座者のデータと、センサで新たに検知されたデー
タと、を比較算出することにより、個別認識を行うこと
が可能となる。この個別認識の算出結果に基づいてエア
バッグ装置等各種装置の作動を制御することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の着座センサ付きシートを示す一部破断
斜視図である。

【図２】着座センサを示す平面図である。

【図３】着座センサの感圧部の内部構造を示す断面図で
ある。

【図４】押圧力および押圧位置を画像処理して視覚的に
表示したモニタの画像図であり、（Ａ）はシートクッシ
ョン部の着座センサによって検知された押圧力および押
圧位置を画像処理した場合の一例であり、（Ｂ）はシー
トバック部の着座センサによって検知された押圧力およ
び押圧位置を画像処理した場合の一例である。

【符号の説明】

Ａ 着座センサ付きシート ４ センサ ８ メモリ

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【手続補正書】

【提出日】平成９年７月２５日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】

【図１】

【図２】

【図４】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート部に設けられ、着座者からシート
   部に受ける押圧力を検知するセンサと、前記センサによ
   って検知された着座者の押圧力のデータを記憶するメモ
   リと、前記メモリに記憶されたデータと前記センサで新
   たに検知された押圧力のデータとを比較して最も近いデ
   ータを算出する手段と、を備えていることを特徴とする
   着座センサ付きシート。