JP3829474B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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    • B60R21/16Inflatable occupant restraints or confinements designed to inflate upon impact or impending impact, e.g. air bags
    • B60R21/20Arrangements for storing inflatable members in their non-use or deflated condition; Arrangement or mounting of air bag modules or components
    • B60R21/207Arrangements for storing inflatable members in their non-use or deflated condition; Arrangement or mounting of air bag modules or components in vehicle seats

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  • Air Bags (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、後突(追突)を予測または検出するセンサと、このセンサの予測または検出時に乗員の頸部付近にエアバッグを展開させるCPUなどの制御手段とを備えて、乗員を保護するような車両用乗員保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両用乗員保護装置としては、例えば、特開平7−137592号公報および特開平10−6907号公報に記載の装置がある。
【0003】
すなわち上記何れの装置も車両のシートのシートバックに備えられるヘッドレストの内部に、エアバッグ装置を内蔵し、衝撃時または後突予測時にエアバッグ装置のエアバッグ(袋体)を前方へ膨張展開させて、乗員の頭部および頸部を保護すべく構成した車両用乗員保護装置である。
【0004】
これらの各従来装置あっては、後突予測時または後突時にヘッドレストからエアバッグが略真っ直ぐ前方に展開されるものであるから、乗員の頸椎に生ずる負担を良好に解消することができない問題点があった。
【0005】
つまり後突時におけるの頸椎への負担は、次の如きメカニズムで発生する。すなわち、後突時において乗員の頭部は慣性で止まろうとする一方、乗員の胸椎はシートバック上部で押されて前進しながら直線化し、また乗員の体幹はシートバックに沿ってずり上がるので、乗員の頸椎に負担が発生するものと推考される。したがって、エアバッグを単に前方に向けて展開する程度では、乗員の頸椎に発生する負担を解消することができない問題点があった。
【0006】
加えて、上述の各従来装置においてはエアバッグ装置がヘッドレストに内蔵されているので、インフレータに電気信号を供給するための通電ラインを、シートクッションからヘッドレストに導入させる必要があり、配線が複雑化するばかりでなく、その組付け工数、組付けコスト共に大となる問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、センサの後突予測または検出時に乗員の頸部付近に展開するエアバッグをシートバックの上部に内蔵することで、エアバッグをシートバック上部から上方に向けて展開し、エアバッグの展開方向を最適に設定でき、かつ速やかに頸部に向けて展開することができ、乗員の頸椎に生ずる負担を良好かつ未然に防止することができ、しかも、乗員状態検出センサにより乗員の頸部位置を検出し、乗員の身長が低すぎる場合にはエアバッグの展開を禁止することで、乗員の頚椎に生ずる負担を良好かつ未然に防止することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0008】
この発明の一実施態様は、ヘッドレストをシートバックに対して上下移動可能に構成することで、ヘッドレストが上下動してもシートバックに設けられたエアバッグは定位置に存在し、この展開時に乗員を良好に保護することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0009】
この発明の一実施態様は、上述のエアバッグを乗員の身長の最高点から所定距離下方(つまり頸部)に展開させることで、エアバッグを適切な位置に展開して、乗員を保護することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0010】
この発明の一実施態様は、上述の乗員状態検出センサで乗員の身長を検出し、検出された身長を均等割りして頸部位置を設定し、設定された頸部に向けてエアバッグを展開することで、頸部の位置検出を容易に行なうことができると共に、エアバッグを適切な位置に展開して、乗員を保護することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0011】
この発明の一実施態様は、上述のエアバッグを乗員の頸部および後頭部に当接すべく構成することで、エアバッグの展開時にはヘッドレストの位置に関係なく乗員の頸部と後頭部とを該エアバッグにて同時に保護することができる車両用乗員保護装置の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両用乗員保護装置は、後突を予測または検出するセンサと、上記センサの予測または検出時に乗員の頸部付近にエアバッグを展開させる制御手段とを備えた車両用乗員保護装置であって、上記エアバッグはヘッドレストが取付けられるシートバックの上部に内蔵されて、シートバック上部から上方に向けて展開されるように形成する一方、乗員状態を検出する乗員状態検出センサを設け、該乗員状態検出センサにより乗員の頸部位置を検出し、上記制御手段は、乗員状態検出センサの検出結果に基づき、乗員の頸部に向けエアバッグの展開方向を変位制御すると共に、乗員の身長が低すぎる場合にはエアバッグの展開を禁止するよう制御するものである。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記ヘッドレストはシートバックに対して上下移動可能に構成されたものである。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記エアバッグを乗員の身長の最高点から所定距離下方に展開させるものである。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記乗員状態検出センサで乗員の身長を検出し、検出された身長を均等割りして頸部位置を設定し、設定された頸部に向けて上記エアバッグを展開させるものである。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記エアバッグは乗員の頸部および後頭部に当接するものである。
【0017】
【発明の作用及び効果】
この発明の請求項1記載の発明によれば、上述のセンサは後突を予測または検出し、上述の制御手段はセンサの後突予測または検出時に乗員の頸部付近にエアバッグを展開させるが、このエアバッグをシートバック上部に設け、そこから上方に展開させるように設けているので、エアバッグの展開方向を最適に設定し速やかに頸部に向けて展開することができると共に、乗員の身長が低すぎる場合には、エアバッグの展開を禁止するので、乗員の頸椎に生ずる負担を良好かつ未然に防止することができる効果がある。
【0018】
加えて、エアバッグをシートバックに設けているので、このエアバッグをヘッドレストに内蔵する従来構造と比較して、インフレータ等に対する配線を容易に行なうことができる効果がある。
【0019】
しかも、上述の乗員状態検出センサは乗員状態を検出し、このセンサにて乗員の頸部位置が検出され、上述のエアバッグは検出された頸部に向けて展開される。このため、乗員の頸部をより一層適確に保護することができる効果がある。
【0020】
この発明の一実施態様によれば、ヘッドレストがシートバックに対して上下動しても、シートバックに設けられたエアバッグは定位置に存在し、このエアバッグは最適方向に展開するので、エアバッグの展開時に乗員を良好に保護することができる効果がある。
【0021】
この発明の一実施態様によれば、上述のエアバッグを乗員の身長の最高点から所定距離下方に展開させるので、エアバッグを適切な位置に展開して、乗員を保護することができる効果がある。
【0022】
この発明の一実施態様によれば、上述の乗員状態検出センサで検出された身長を均等割りして頸部位置を設定するので、頸部の位置検出を容易に行なうことができる効果があり、また設定された頸部に向けてエアバッグを展開させるので、このエアバッグは適切な位置に展開され、乗員を良好に保護することができる効果がある。
【0023】
この発明の一実施態様によれば、上述のエアバッグはその展開時に乗員の頸部および後頭部に当接するので、ヘッドレストの位置に関係なくエアバッグ展開時において乗員の頸部と後頭部とを同時かつ一体的に保護することができる効果がある。
【0024】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用乗員保護装置を示し、図1、図2においてシートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを備えたシート4を設け、このシート4に着座した乗員Aを、タング5をバックル6に係入させた時、ショルダベルト7およびラップベルト8から成る3点式シートベルト装置にて拘束すべく構成している。
【0025】
上述のショルダベルト7、ラップベルト8の一方または双方は、車体に内設されたプリテンショナに連結され、必要時にシートベルト7,8に張力を付与すべく構成している。
【0026】
また、上述のシートバック2はシートバック角度駆動モータ(図示せず)によりシートクッション1に対して傾動可能(起伏可能)に構成されており、リクライニング支点9を中心として起伏する。
【0027】
さらに、上述のシートバック2内の上方前部には中実構造のシートバックフレーム10に支持されて成るエアバッグ装置11を内蔵し、インフレータ12の作動時には、シートバック2の表皮縫目部を介して袋体としてのエアバッグ13を図1に仮想線で示すように乗員Aの頸部から後頭部にかけて展開して、乗員Aの頸部および頭部を保護すべく構成している。
【0028】
すなわち、上述のエアバック装置11は図1、図2に示す如く、シートバック2内における上側前部中央に設けられ、袋体としてのエアバック13は下方から上方に向けて乗員Aの頸部付近に展開されるようになっている。しかも、図1に仮想線で示すように展開時のエアバック13は乗員Aの頸部に当接する第1の当接部13aと、乗員Aの後頭部に当接する第2の当接部13bとを有し、乗員と各要素2,3との間の隙間形状に対応した形状をもって、乗員の頸部および後頭部を同時かつ一体的に保護すべく構成している。
【0029】
一方、上述のシートバック2に対してヘッドレストポール14を介して上下移動可能に構成されたヘッドレスト3内には、乗員Aの頭部とヘッドレスト3との間の距離を検出する水平方向センサ15を取付けている。この水平方向センサ15は超音波センサにより構成することができる。
【0030】
また、車両におけるルーフの車室側の面16(以下単にルーフ面と略記する)には乗員状態検出センサの一例として超音波センサ17を取付け、この超音波センサ17でルーフ面16とシート4に着座した乗員Aの身長の最高点との間(検出距離)を検出し、ルーフ面16とシートクッション1の着座面1a(図2参照)との間の距離(既知数)から上述の検出距離を減算して、乗員Aの身長、なかんずく、座高を求めるように構成している。
【0031】
ここで、上述の超音波センサ17は、乗員の座高から頸部の位置を検出するために用いるセンサであるが、この超音波センサ17に代えて、乗員の前方から乗員の体格、身長を検出する既設のセンサまたはCCDカメラおよび画像処理装置を乗員状態検出手段として用いてもよい。
【0032】
図3は車両用乗員保護装置の制御回路を示し、CPU20は予測センサ18、超音波センサ17、水平方向センサ15およびその他の必要なセンサからの入力に基づいて、ROM19に格納されたプログラムに従って、インフレータドライバ21を介してインフレータ12、エアバッグ13を駆動制御し、またRAM22は乗員の身長が低くすぎる場合にF=1となるフラグ(図4参照)、前述の既知数に相当するデータやその他の必要なデータおよびマップを記憶する。
【0033】
ここで、上述の予測センサ18は、超音波を用いて自車両と後突の可能性がある他車両との間の相対距離や相対速度を計測して、後突を予測するが、この予測センサ18で後突を予測する手段に代えて、加速度センサ(いわゆるGセンサ)で後突を検出すべく構成してもよい。
また、上述のCPU20は予測センサ18の予測時に乗員Aの頸部付近にエアバッグ13を展開させる制御手段である。
【0034】
しかも、上述のCPU20は、超音波センサ17からの出力に基づいて乗員Aの身長(座高)を検出する身長検出手段(図5に示すサブルーチンの第1ステップQ1参照)と、
検出された身長(座高)を均等割りして、所定比率の高さを頸部位置に設定し、この位置をエアバッグ13の展開部位に設定する設定手段(図5に示すサブルーチンの第2ステップQ2参照)と、
を兼ねる。なお、図1における23はステアリングホイールである。
【0035】
このように構成した車両用乗員保護装置の作用を、図4に示すフローチャート(メインルーチン)と、図5に示すフローチャート(サブルーチン)とを参照して、以下に詳述する。
【0036】
まず、図4に示すフローチャートを参照して、エアバック13の展開制御処理について述べる。
第1ステップS1で、CPU20は予測センサ18による検出を実行し、次の第2ステップS2で、CPU20は予測センサ18の出力に基づいて衝突予測か否か、換言すれば、後突の可能性があるか否かを判定し、NO判定時には第3ステップS3に移行する一方、YES判定時には第4ステップS4に移行する。
【0037】
上述の第3ステップS3で、CPU20は各種機器(例えばシートバック2、シートベルト7,8等)が作動されていれば、これらを違和感のないようにゆっくりと元に戻す。
【0038】
一方、上述の第4ステップS4で、CPU20は超音波センサ17を駆動して、乗員状態を検出する。つまり、この場合はルーフ面16とシート4に着座した乗員Aの身長の最高点との間の距離を検出する。
【0039】
次に第5ステップS5で、CPU20はエアバック13の展開態様(展開方向、展開強度など)を算出するが、この第5ステップS5の具体的処理内容については図5に示すサブルーチンを参照して後述する。
【0040】
次に第6ステップS6で、CPU20はフラグがF=1か否かを判定する。このフラグFは図5に示すサブルーチンの第3ステップQ3において乗員の身長が低くすぎる時(乗員が着座していない場合を含む)にF=1となり、それ以外の時にF=0となる判定用フラグである。
【0041】
而して、上述の第6ステップS6でF=1に対応してYES判定されると、第8ステップS8に移行する一方、F=0に対応してNO判定されると、次の第7ステップS7に移行する。
【0042】
この第7ステップS7で、CPU20は第5ステップS5で算出された展開態様に応じてエアバッグ13を、シートバック2から上方に向けて展開する。一方、上述の第8ステップS8では、乗員の身長が低くすぎること、またはシート4上に乗員が存在しないことに対応して、CPU20はエアバック13の展開を禁止する。
【0043】
次に図5に示すフローチャート(サブルーチン)を参照して乗員の頸部位置設定処理について述べる。
第1ステップQ1で、CPU20はルーフ面16とシートクッション1の着座面1aとの間の距離(既知数)から超音波センサ17による検出距離を減算して、乗員Aの身長(座高)を検出(演算)する。
【0044】
次に第2ステップQ2で、CPU20は上述の座高を均等割りして、所定比率の高さを乗員Aの頸部位置に設定し、この設定された頸部位置をエアバッグ展開部位とする。
【0045】
次に第3ステップQ3で、CPU20は検出された乗員Aの身長(座高)と、予めRAM22に記憶させておいた判定値とを比較して、身長が低くすぎる時(乗員が着座していない場合を含む)にはフラグF=1とし、それ以外の時にはフラグをF=0とする。この図5に示すサブルーチンでの処理内容が図4に示すメインルーチンに反映される。
【0046】
このように、図1〜図5に示す実施例によれば、上述の予測センサ18は後突を予測し、上述の制御手段(CPU20参照)は予測センサ18の後突予測時に乗員Aの頸部付近にエアバッグ13を展開させるが、このエアバッグ13をシートバック2に設けているので、エアバッグ13の展開方向を最適に設定することができて、乗員Aの頸椎に生ずる負担を良好かつ未然に防止することができる効果がある。
【0047】
加えて、エアバッグ13をシートバック2に設けているので、このエアバッグをヘッドレストに内蔵する従来構造と比較して、インフレータ12等に対する配線を容易に行なうことができる効果がある。
【0048】
しかも、上述の乗員状態検出センサ(超音波センサ17参照)は乗員状態を検出し、このセンサ17出力に基づいて乗員Aの頸部位置が検出され、上述のエアバッグ13は検出された頸部に向けて展開される。このため、乗員Aの頸部をより一層適確に保護することができる効果がある。
【0049】
また、上述の予測センサ18は後突を予測し、上述の制御手段(CPU20参照)は予測センサ18の後突予測時に乗員Aの頸部付近にエアバッグ13を展開させるが、このエアバッグ13は下方から上方に向けて乗員Aの頸部付近に展開されるので、エアバッグ13の展開方向を最適に設定することができ、乗員Aの頸椎に生ずる負担を良好に、しかも未然に防止することができる効果がある。
【0050】
なお、上述の乗員状態検出センサ(超音波センサ17参照)は乗員状態を検出し、このセンサ17出力に基づいて乗員Aの頸部位置が検出され、上述のエアバッグ13は検出された頸部に向けて展開され、これにより、乗員Aの頸部をより一層適確に保護することができる点については上述同様である。
【0051】
さらに、ヘッドレスト3がシートバック2に対して上下動しても、シートバック2に設けられたエアバッグ装置11は定位置に存在し、このエアバッグ13は最適方向に展開するので、エアバッグ13の展開時に乗員Aを良好に保護することができる効果がある。
【0052】
また、上述のエアバッグ13を乗員Aの身長の最高点から所定距離下方に展開すべく構成すると、このエアバッグ13を適切な位置に展開して、乗員Aを保護することができる効果がある。
【0053】
さらに、上述の乗員状態検出センサ(超音波センサ17参照)で検出された身長(座高)を均等割りして図5に示す第2ステップQ2にて頸部位置を設定するので、頸部の位置検出を容易に行なうことができる効果があり、また設定された頸部に向けてエアバッグ13を展開させるので、このエアバッグ13は適切な位置に展開され、乗員を良好に保護することができる効果がある。
【0054】
さらにまた、上述のエアバッグ13は図1に仮想線で示すようにその展開時に乗員Aの頸部および後頭部にともに当接するので、ヘッドレスト3の位置(特に上下位置)に関係なくエアバッグ展開時において乗員Aの頸部と後頭部とを同時かつ一体的に保護することができる効果がある。
【0055】
加えて、上述のエアバッグ13はシートバック2から上方に向けて乗員Aの頸部付近に展開するので、このエアバッグ13の展開方向をより一層的確に設定することができて、乗員Aの頸椎に生ずる負担をさらに良好に未然防止することができる効果がある。
【0056】
図6は車両用乗員保護装置の他の実施例を示し、この実施例においても図1〜図3で示した回路装置を用いるが、この図6に示すこの実施例の場合には、上述のCPU20は、予測センサ18の予測時に乗員Aの頸部付近にエアバッグ13を展開させる制御手段(CPU20それ自体参照)と、
超音波センサ17からの出力に基づいて乗員Aの身長(座高)を検出する身長(座高)検出手段(図6に示すフローチャートの第2ステップC2参照)と、
検出された身長(座高)を均等割りして、所定比率の高さを頸部位置に設定し、この位置をエアバッグ13の展開部位に設定する設定手段(図6に示すフローチャートの第3ステップC3参照)と、
エアバッグ13の展開方向を変位させる方向変位手段(図6に示すフローチャートの第4ステップC4参照)と、
水平方向センサ15からの出力に基づいて乗員Aの頭部とヘッドレスト3との間の距離を算出する距離演算手段(図6に示すフローチャートの第8ステップC8参照)と、
この距離演算手段で求められた距離に対応してエアバック13の展開強度を算出する展開強度算出手段(図6に示すフローチャートの第9ステップC9参照)と、
を兼ねる。
【0057】
なお、上述のエアバッグ13の展開強度を可変するには、インフレータ12を仕切部を介して複数に分割すると共に、インフレータドライバ21を、例えば、低圧用と高圧用とに分割すればよい。
【0058】
このように構成した車両用乗員保護装置の作用を、図6に示すフローチャートを参照して以下に詳述する。第1ステップC1で、CPU20は超音波センサ17を駆動して、乗員状態を検出する。つまり、この場合はルーフ面16とシート4に着座した乗員Aの身長の最高点との間の距離(検出距離)を検出する。
【0059】
次に第2ステップC2で、CPU20はルーフ面16とシートクッション1の着座面1aとの間の距離(既知数)から超音波センサ17による検出距離を減算して、乗員Aの身長(座高)を検出(演算)する。
【0060】
次に第3ステップC3で、CPU20は上述の座高を均等割りして、所定比率の高さを乗員Aの頸部位置に設定し、この設定された頸部位置をエアバッグ展開部位とする。
次に第4ステップC4で、CPU20はエアバッグ13の展開方向が、設定した頸部位置方向に向くように変位制御する。
【0061】
次に第5ステップC5で、CPU20は予測センサ18による検出を実行し、次の第6ステップC6で、CPU20は予測センサ18の出力に基づいて衝突予測か否か、換言すれば後突の可能性があるか否かを判定し、NO判定時には第7ステップC7に移行する一方、YES判定時には第8ステップC8に移行する。
【0062】
上述の第7ステップC7で、CPU20は各種機器(例えばシートバック2、シートベルト7,8等)が作動されていれば、これらを違和感のないようにゆっくりと元に戻す。
【0063】
一方、上述の第8ステップC8では、後突予測に対応して、CPU20は水平方向センサ15を駆動して、乗員Aの頭部とヘッドレスト3との間の距離を算出する。
【0064】
次に第9ステップC9で、CPU20は上述の演算距離に基づいてエアバッグ13の展開強度を算出する。なお、この展開強度の算出は図示しないサブルーチンにより求められるが、展開強度を演算により求める構成に代えて、マップからの読込み処理を実行すべく構成してもよいことは勿論である。
【0065】
次に第10ステップC10で、CPU20はエアバッグ13を展開するが、この展開の態様は第4ステップC4で設定された展開方向と、第9ステップC9で求められた展開強度を反映しつつ、シートバック2から上方に向けて、乗員Aの頸部および後頭部に当接するように展開処理される。
【0066】
このように構成しても先の実施例とほぼ同様の作用、効果を奏する。また図6に示すフローチャートに先の実施例で示した如く乗員の身長が低すぎる場合、または、シート4に乗員が着座していない場合に、エアバック展開を禁止するステップ(処理)を組み入れてもよいことは勿論である。
【0067】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の制御手段は、実施例のCPU20に対応し、
以下同様に、
センサは、予測センサ18に対応し、
乗員状態検出センサは、ルーフ面16に取付けられた超音波センサ17に対応するも、
この発明は、上記実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0068】
例えば、予測センサ18を用いて後突を予測する構成に代えて、加速度センサ(いわゆるGセンサ)を用いて後突を検出すべく構成してもよい。また上記実施例においては本発明の乗員保護装置を運転席側に適用したものを例示したが、これは助手席側およびリヤ席側に適用してもよいことは云うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両用乗員保護装置を示す側面図。
【図2】 シートの正面図。
【図3】 制御回路ブロック図。
【図4】 エアバッグの展開制御処理を示すフローチャート。
【図5】 乗員頸部位置の割出し処理を示すフローチャート。
【図6】 本発明の車両用乗員保護装置の他の実施例を示すフローチャート。
【符号の説明】
2…シートバック
3…ヘッドレスト
13…エアバッグ
17…超音波センサ(乗員状態検出センサ)
18…予測センサ(センサ)
20…CPU(制御手段)

Claims (5)

  1. 後突を予測または検出するセンサと、
    上記センサの予測または検出時に乗員の頸部付近にエアバッグを展開させる制御手段とを備えた車両用乗員保護装置であって、
    上記エアバッグはヘッドレストが取付けられるシートバックの上部に内蔵されて、シートバック上部から上方に向けて展開されるように形成する一方、
    乗員状態を検出する乗員状態検出センサを設け、該乗員状態検出センサにより乗員の頸部位置を検出し、上記制御手段は、乗員状態検出センサの検出結果に基づき、乗員の頸部に向けエアバッグの展開方向を変位制御すると共に、乗員の身長が低すぎる場合にはエアバッグの展開を禁止するよう制御する
    車両用乗員保護装置。
  2. 上記ヘッドレストはシートバックに対して上下移動可能に構成された
    請求項1記載の車両用乗員保護装置。
  3. 上記エアバッグを乗員の身長の最高点から所定距離下方に展開させる
    請求項1または2記載の車両用乗員保護装置。
  4. 上記乗員状態検出センサで乗員の身長を検出し、検出された身長を均等割りして頸部位置を設定し、設定された頸部に向けて上記エアバッグを展開させる
    請求項記載の車両用乗員保護装置。
  5. 上記エアバッグは乗員の頸部および後頭部に当接する
    請求項記載の車両用乗員保護装置。
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