JPH10231257A - オクタジエンの製造方法 - Google Patents

オクタジエンの製造方法

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JPH10231257A
JPH10231257A JP9036319A JP3631997A JPH10231257A JP H10231257 A JPH10231257 A JP H10231257A JP 9036319 A JP9036319 A JP 9036319A JP 3631997 A JP3631997 A JP 3631997A JP H10231257 A JPH10231257 A JP H10231257A
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智康 津田
Keiji Hori
啓志 堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2,7−オクタジエン−1−オールからオク
タジエンを製造するに際に、パラジウム触媒の寿命を長
期にわたって維持し、その結果としてパラジウム触媒の
循環再使用を可能にし、製造原価を低減する方法を提供
すること。 【解決手段】 パラジウム化合物および第三級有機リン
配位子から構成される触媒の存在下に、2,7−オクタ
ジエン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガスと反
応させ、反応終了後の反応混合液に蒸留操作を施し、該
反応混合液からオクタジエンを留去し、残留した未反応
原料および触媒成分を含む混合物の少なくとも一部を反
応器に戻し、再び反応に使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2,7−オクタジ
エン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガスと反応
させてオクタジエンを製造する方法に関する。本発明で
得られるオクタジエンのうち、1,7−オクタジエンは
ポリオレフィンの製造に際しての架橋剤として、またセ
バシン酸、C10ジオール、C10ジアミンの合成中間
体として重要である。セバシン酸、C10ジオール、C
10ジアミンはポリエステル、ポリアミド、アルキド樹
脂および可塑剤原料として有用である。一方、1,6−
オクタジエンはポリオレフィン改質剤として有用な化合
物である。
【0002】
【従来の技術】従来、2,7−オクタジエン−1−オー
ルよりオクタジエンを直接製造する方法としては、特開
昭54−151902号公報に、パラジウム又はパラジ
ウム化合物および二酸化炭素の存在下、β,γ−不飽和
アルコール又はその異性体混合物を水素原子放出性の還
元剤と反応させることを特徴とする不飽和炭化水素また
はその異性体混合物の製造方法が開示されている。この
ほか、誘導体を経由する合成方法がいくつか知られてい
る。例えば、シンセシス(Synthesis )、623頁(1
986)に2,7−オクタジエン−1−オールの酢酸エ
ステルおよび炭酸エステルをパラジウム錯体触媒存在下
にギ酸のトリエチルアミン塩で加水素分解することによ
るオクタジエンの合成法が記載されている。また、テト
ラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters )、61
3頁(1979)およびケミストリー・レターズ(Chem
istry Letters )、1017頁(1984)には、2,
7−オクタジエン−1−オールの酢酸エステル、ギ酸エ
ステル、炭酸エステル、フェニルエーテルおよび相当す
るハロゲン化合物をパラジウム錯体触媒存在下ギ酸アン
モニウムで加水素分解することによるオクタジエンの合
成法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開昭54−1519
02号公報にはパラジウム触媒の循環再使用の方法につ
いてはなんら記載されていない。パラジウム触媒は周知
のごとく極めて高価な貴金属触媒であり、パラジウム触
媒を使用して工業的規模でオクタジエンを生産するため
には、パラジウム触媒の触媒活性が長期にわたって保持
されることが重要となる。一方、2,7−オクタジエン
−1−オールの誘導体を経由する合成方法には、上記直
接法と同様のパラジウム触媒使用時のコスト問題に加
え、誘導体を製造しなければならず工程が煩雑になると
いう問題点、さらに高価な還元剤を大量に用いなければ
ならないという問題点があり、工業的製造法として適当
とはいえない。したがって、本発明の目的は、2,7−
オクタジエン−1−オールからオクタジエンを直接製造
するに際し、パラジウム触媒の寿命を長期にわたって維
持し、その結果としてパラジウム触媒の循環再使用を可
能にし製造原価の低減につながるオクタジエンの製造方
法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは2,7−オ
クタジエン−1−オールからのオクタジエンの工業的な
製造方法について鋭意検討した結果、1)パラジウム化
合物および第三級有機リン配位子から構成される触媒の
存在下に、2,7−オクタジエン−1−オールを水素と
二酸化炭素の混合ガスと反応させ、2)反応終了後の反
応混合液に蒸留操作を施すことにより該反応混合液から
1,7−オクタジエンおよび1,6−オクタジエンを含
む反応生成物を留去し、3)残留した未反応2,7−オ
クタジエン−1−オール、および触媒成分を含む混合物
の少なくとも一部を反応器に戻し、再び反応に使用する
ことを特徴とするオクタジエンの製造方法を見出だし、
上記の目的を達成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において原料として使用さ
れる2,7−オクタジエン−1−オールは、例えばブタ
ジエンの水和二量化反応で製造可能である。
【0006】本発明で用いる水素および二酸化炭素は、
いずれも工業的規模で広く入手が可能なグレードのもの
を使用可能であり、少量の不純物の存在は許容すること
ができる。二酸化炭素は直接反応剤としては関与しない
が触媒的機能を有し、反応の進行に必須である。二酸化
炭素の分圧は臨界的なものではないが、好ましくは二酸
化炭素の分圧を60kg/cm2G以下、より好ましくは40k
g/cm2G以下で行う。水素分圧の二酸化炭素分圧に対する
比率は広範囲に設定可能であり、特に制限はないが、水
素分圧が大きい方が反応速度の点から好ましい。反応の
全圧力には特に制限はないが、反応性、選択性および操
作性を考慮して2〜360kg/cm2Gの範囲で実施するの
が好ましく、10〜250kg/cm2Gの範囲がより好まし
い。二酸化炭素は、反応の開始に先立って反応系に所定
圧力となるように供給するのみで十分であり、反応中に
追加する必要はない。一方水素は反応剤として関与する
ので、反応を行う間、間欠的又は連続的に反応系内に供
給し、反応系の全圧を一定に保つのが好ましい。また、
反応系は水素と二酸化炭素の他に反応に対して不活性な
ガス、例えば窒素、アルゴンなどのガスでさらに加圧さ
れていても良い。
【0007】本発明においては溶媒の使用は必須条件で
はないが、適当な有機溶媒を使用しても良い。本発明に
おいて使用できる有機溶媒の例としては、ペンタン、ヘ
キサン、シクロヘキサン、ドデカンのような脂肪族炭化
水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、p−
シメン、メシチレンのような芳香族炭化水素類;クロロ
ホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素のようなハロゲン
化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオ
キソラン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエー
テルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸メチル、
酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチルのよう
な低級脂肪族エステル類;アジピン酸ジメチル、フタル
酸ジメチル、フタル酸ジオクチルのような脂肪族及び芳
香族多価エステル類;炭酸エチレンなどの環式ジエステ
ル類;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンな
どの脂肪族及び芳香族ニトロ化合物類;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル
類;トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの低級脂
肪族第三級アミン類;ピリジンなどの芳香族第三アミン
類;アセトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−
メチルピロリドンなどのアミド類;ジメチルスルホキシ
ドなどのスルホキシド類;スルホラン、メチルスルホラ
ンなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドなど
のリン酸アミド類などを挙げることができる。これらの
有機溶媒は通常単独で使用するが、二種類以上を混合し
て使用しても何らさしつかえない。
【0008】本発明では溶媒を使用せず、2,7−オク
タジエン−1−オールにパラジウム触媒と第三級有機リ
ン配位子を溶解して反応させる方法が生産性が高く、ま
た溶媒の回収に関わる設備を省略できるので好ましい。
【0009】また本発明では、反応混合液中に三級アミ
ンを少量共存させて反応を行ってもよい。本発明におい
て使用できる三級アミンの具体例としては、トリメチル
アミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルア
ミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロ
ピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、
N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジブチルア
ミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ
ペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、ト
リヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、
N−メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ト
リイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、N,N
−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N,
N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパル
チミルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、
N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン、N,
N,N,N−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−
ジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどを挙げる
ことができる。三級アミンの使用量は全反応混合液容量
に対して10%以下であることが好ましい。常圧におけ
る沸点が2,7−オクタジエン−1−オールの常圧にお
ける沸点よりも高い三級アミンを用いた場合、反応混合
物から生成物を蒸留分離する操作の際に、三級アミンは
未反応の2,7−オクタジエン−1−オール、および触
媒成分と共にボトム部に残留させることができる。この
ためオクタジエンと三級アミンとの分離に必要な蒸留関
連設備を省略することができ、プロセス的に有利であ
る。
【0010】本発明において反応系に存在させる触媒
は、パラジウム触媒を形成するために用いられるパラジ
ウムまたはパラジウム化合物から誘導される活性種であ
る。パラジウム化合物は特に限定されるものではなく、
パラジウムとして可能な原子価のうちの任意の原子価、
例えば0、+2等の原子価を有するパラジウムの化合物
であり、その具体例としては、酢酸パラジウム、炭酸パ
ラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラ
ジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、リチウムパ
ラジウムクロリド、ビスベンゾニトリルパラジウムクロ
リド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムクロリ
ド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムアセテー
ト、π−アリルパラジウムクロリド、π−アリルパラジ
ウムアセテート、ナトリウムクロロパラデート、ビス
(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、トリス
(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどが挙げら
れる。
【0011】反応における真のパラジウム触媒は低原子
価パラジウム錯体であるので、二価のパラジウム化合物
を用いる場合には、それを反応系中に存在する不飽和ア
ルコールまたは第三級有機リン配位子で還元することに
よってパラジウム触媒を形成させることもできるが、同
一反応系内または別の反応容器内で該二価のパラジウム
化合物に還元剤を作用させることによってパラジウム触
媒を形成させ、それを使用することもできる。このよう
な目的に用いられる還元剤としては水素化ホウ素ナトリ
ウム、ヒドラジン、亜鉛末、マグネシウム、ギ酸などを
挙げることができる。還元剤の使用量は通常還元に必要
な化学量論量ないしはその10倍以内の量が好ましい。
反応系中に存在させるパラジウム触媒の量について特別
な制限はないが、工業的にはパラジウム触媒を反応混合
液1lあたりパラジウム原子として0.01〜10ミリ
グラム原子、好ましくは0.01〜5ミリグラム原子の
濃度となるような量で用いるのが好ましい。
【0012】本発明で用いることのできる第三級有機リ
ン配位子は下記一般式(I)
【0013】
【化3】
【0014】(式中、R1 、R2 およびR3 は官能基を
有していてもよい炭化水素基を表わす。)または下記の
一般式(II)
【0015】
【化4】
【0016】(式中、R4 、R5 、R6 およびR7 は官
能基を有していてもよい炭化水素基を表わし、R8 はい
ずれの炭素原子が官能基を有していてもよい、1から6
の炭素原子からなる二価の有機架橋基を表す。)で表さ
れる第三級有機リン化合物である。R1 、R2 、R3
4 、R5 、R6 およびR7 で表される炭化水素基の適
当な例はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プ
ロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル
基、n−オクチル基などの脂肪族炭化水素基;シクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基
などの脂環式炭化水素基;並びにフェニル基、トリル
基、アニソイル基などのアリール基およびベンジル基な
どのアラルキル基などの芳香族炭化水素基を挙げること
ができる。R8で表される1から6の炭素原子からなる
二価の有機架橋基としては、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができ
る。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7
炭化水素基並びにR8 の二価の有機架橋基内の各炭素原
子が含有していてもよい官能基としては、例えばジメチ
ルアミノ基などのジ(低級アルキル)アミノ基;フルオ
ロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;シアノ
基;式−SO3 Mまたは−COOM(式中、Mは水素ま
たはリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金
属原子を表す)で示される基などが挙げられる。
【0017】一般式(I)で表される第三級有機リン化
合物の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエ
チルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn
−ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリ
n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフ
ィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニル
ホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、ト
リ(p−トリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホス
フィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリ
(1−ナフチル)ホスフィン、トリ(4−カルボキシフ
ェニル)ホスフィン、トリス(4−ジメチルアミノフェ
ニル)ホスフィン、リチウムジフェニルホスフィノベン
ゼン−m−スルホネート、トリス(o−メトキシフェニ
ル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホス
フィンなどを挙げることができる。
【0018】一般式(II)で表される第三級有機リン化
合物の具体例としては1,2−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エ
タン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパ
ン、1,3−ビス(ジ(o−メトキシフェニル)ホスフ
ィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)
ブタンなどを挙げることができる。
【0019】これらの第三級有機リン配位子は単独で使
用することもできるし、2つ以上の配位子を混合して使
用することもできる。反応性、選択性、および蒸留操作
時におけるパラジウム触媒の耐熱性の点から第三級有機
リン配位子としてトリシクロヘキシルホスフィンを用い
るのが特に好ましい。第三級有機リン配位子の使用量
は、該有機リン配位子に含有されるリン原子としてパラ
ジウム1グラム原子当り少なくとも20モルであり、こ
れよりも少ない使用量では触媒の耐熱性および反応の選
択性が低下してしまう。第三級有機リン配位子の使用量
については反応性の観点での上限はないが、一般的には
パラジウム1グラム原子当り1000モル以下となるよ
うな量で使用される。
【0020】本発明においては反応温度は50〜120
℃に保って行うのが好ましく、反応速度およびパラジウ
ム触媒の安定性の点から60〜90℃に保って行うのが
一層好ましい。
【0021】本発明において反応混合液からオクタジエ
ンを含む生成物を分離するには、減圧条件として80℃
以下の温度で蒸留操作を行う。蒸留操作には薄膜蒸発装
置等を好ましく使用できる。生成物を留去した後、触媒
成分および未反応の2,7−オクタジエン−1−オール
を含む残留物は反応工程に循環し再使用することが可能
である。残留物はその一部を取り出し、所望により触媒
賦活処理を施した後、反応工程に循環してもよい。蒸留
操作の際における触媒の熱安定性をより確保するため
に、蒸留操作に先立って、反応混合液に含まれる第三級
有機リン化合物と同一のリン化合物を初期の第三級有機
リン化合物の仕込量に対して20重量%以下の量で添加
することも好ましい。
【0022】本発明はバッチ式、セミ連続式、および連
続式のいずれでも実施することができる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定
されるものではない。
【0024】実施例1 攪拌機、温度計、加熱用ヒーター、および蓄圧器と定圧
供給弁等を備えた内容量100mlのオートクレーブに
2,7−オクタジエン−1−オール430ミリモル(5
4.2g)、酢酸パラジウム0.06ミリモル(13.
5mg)、トリシクロヘキシルホスフィン3.6ミリモ
ル(1010mg:トリシクロヘキシルホスフィンとパ
ラジウムのモル比=60:1)を仕込み、系内を二酸化
炭素で置換した。次に、この系内に二酸化炭素を20kg
/cm 2 G となるまで加圧し、次いでこの系に、ボンベか
らの高圧水素ガスを蓄圧器に分取し、反応系の内圧が常
に90kg/cm 2 G になるように設定された定圧供給弁を
経由させて蓄圧器内の水素ガスを供給した。この反応系
を攪拌しながら約15分かけて80℃に昇温して反応を
開始させ、この圧力、温度条件下で3時間反応を行っ
た。反応混合液をサンプリングしてガスクロマトグラフ
ィーで分析したところ、2,7−オクタジエン−1−オ
ールの転化率は65.5%、生成物中のオクタジエン選
択率は97.4%、また1,7−オクタジエンと1,6
−オクタジエンの生成比率は95.5/4.5であっ
た。他の生成物選択率は1−オクテン0.6%、2−オ
クテン−1−オール1.4%、ジ(オクタジエニル)エ
ーテル0.6%であった。放冷後、反応混合液をあらか
じめ窒素置換しておいた容量200mlの三口フラスコ
に全量抜き取り、トリシクロヘキシルホスフィンを0.
36ミリモル(101mg)添加した。さらに蒸留装置
を取り付けてフラスコを60℃に加熱、減圧(10mm
Hg)とし、生成したオクタジエン類および水を留去し
た。冷却後、触媒成分および未反応の2,7−オクタジ
エン−1−オールを含む残留物に、反応で消費された量
に相当する2,7−オクタジエン−1−オールを加えて
反応仕込み液を調製し、全量を1回目の反応に使用した
オートクレーブに仕込んだ。1回目と同様の条件および
操作で反応を行い、反応混合液をガスクロマトグラフィ
ーで分析したところ、2,7−オクタジエン−1−オー
ルの転化率は68.6%であり、生成物中のオクタジエ
ン選択率は94.4%、また1,7−オクタジエンと
1,6−オクタジエンの生成比率は94.9/5.1で
あった。他の生成物選択率は1−オクテン2.6%、2
−オクテン−1−オール2.7%、ジ(オクタジエニ
ル)エーテル0.3%であった。
【0025】放冷後、反応混合液をあらかじめ窒素置換
しておいた容量200mlの三口フラスコに全量抜き取
り、トリシクロヘキシルホスフィンを0.36ミリモル
(101mg)添加した。さらに蒸留装置を取り付けて
フラスコを60℃に加熱、減圧(10mmHg)とし、
生成したオクタジエン類および水を留去した。冷却後、
触媒成分および未反応の2,7−オクタジエン−1−オ
ールを含む残留物に、反応で消費された量に相当する
2,7−オクタジエン−1−オールを加えて反応仕込み
液を調製し、全量を再びオートクレーブに仕込んで1回
目と同様の条件および操作で反応を行い、次いで同様の
方法および条件により生成物の蒸留分離を行う一連の操
作を計10回繰り返して行った。4回目、7回目、およ
び10回目の反応により得られた反応混合液の分析結果
を表1に示す。10回の繰り返し反応において触媒活性
の低下は認められず、オクタジエン選択率および1,7
−オクタジエンと1,6−オクタジエンの生成比はほぼ
一定であった。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2〜6、比較例1〜2 実施例1と同様の反応装置に1,7−オクタジエン−3
−オール285ミリモル(35.9g)、および酢酸パ
ラジウムとトリシクロヘキシルホスフィンを種々の量比
で仕込み、水素と二酸化炭素の分圧を変化した他は実施
例1と同様の手順で反応を行った。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高価なパラジウ
ム触媒成分を循環再使用することが可能であり、かつ安
価な水素を還元剤として用いる2,7−オクタジエン−
1−オールからのオクタジエンの製造方法が提供され
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)パラジウム化合物および第三級有機
    リン配位子から構成される触媒の存在下に、2,7−オ
    クタジエン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガス
    と反応させ、2)反応終了後の反応混合液に蒸留操作を
    施すことにより該反応混合液から1,7−オクタジエン
    および1,6−オクタジエンを含む反応生成物を留去
    し、3)残留した未反応の2,7−オクタジエン−1−
    オールおよび触媒成分を含む混合物の少なくとも一部を
    反応器に戻し、再び反応に使用することを特徴とするオ
    クタジエンの製造方法。
  2. 【請求項2】 第三級有機リン配位子が下記の一般式
    (I) 【化1】 (式中、R1 、R2 およびR3 は官能基を有していても
    よい炭化水素基を表わす。)または下記の一般式(II) 【化2】 (式中、R4 、R5 、R6 およびR7 は官能基を有して
    いてもよい炭化水素基を表わし、R8 はいずれの炭素原
    子が官能基を有していてもよい、1から6の炭素原子か
    らなる二価の有機架橋基を表す。)で表される第三級有
    機リン化合物の中から選択されるいずれか1種または2
    種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載
    のオクタジエンの製造方法。
  3. 【請求項3】 第三級有機リン化合物の使用量が、該有
    機リン化合物に含有されるリン原子としてパラジウム1
    グラム原子当り少なくとも20モルであることを特徴と
    する請求項1または2に記載のオクタジエンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 第三級有機リン配位子としてトリシクロ
    ヘキシルホスフィンを用いることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項に記載のオクタジエンの製造方法。
  5. 【請求項5】 無溶媒で反応を行うことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか1項に記載のオクタジエンの製造
    方法。
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