JP3752043B2 - オクタジエンの製造方法 - Google Patents

オクタジエンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3752043B2
JP3752043B2 JP03631997A JP3631997A JP3752043B2 JP 3752043 B2 JP3752043 B2 JP 3752043B2 JP 03631997 A JP03631997 A JP 03631997A JP 3631997 A JP3631997 A JP 3631997A JP 3752043 B2 JP3752043 B2 JP 3752043B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
octadiene
reaction
group
palladium
tertiary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03631997A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10231257A (ja
Inventor
智康 津田
啓志 堀
繁昭 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP03631997A priority Critical patent/JP3752043B2/ja
Publication of JPH10231257A publication Critical patent/JPH10231257A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3752043B2 publication Critical patent/JP3752043B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C1/00Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon
    • C07C1/20Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms
    • C07C1/22Preparation of hydrocarbons from one or more compounds, none of them being a hydrocarbon starting from organic compounds containing only oxygen atoms as heteroatoms by reduction
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C2531/00Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds
    • C07C2531/16Catalysts comprising hydrides, coordination complexes or organic compounds containing coordination complexes
    • C07C2531/24Phosphines
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2,7−オクタジエン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガスと反応させてオクタジエンを製造する方法に関する。
本発明で得られるオクタジエンのうち、1,7−オクタジエンはポリオレフィンの製造に際しての架橋剤として、またセバシン酸、C10ジオール、C10ジアミンの合成中間体として重要である。セバシン酸、C10ジオール、C10ジアミンはポリエステル、ポリアミド、アルキド樹脂および可塑剤原料として有用である。一方、1,6−オクタジエンはポリオレフィン改質剤として有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
従来、2,7−オクタジエン−1−オールよりオクタジエンを直接製造する方法としては、特開昭54−151902号公報に、パラジウム又はパラジウム化合物および二酸化炭素の存在下、β,γ−不飽和アルコール又はその異性体混合物を水素原子放出性の還元剤と反応させることを特徴とする不飽和炭化水素またはその異性体混合物の製造方法が開示されている。
このほか、誘導体を経由する合成方法がいくつか知られている。例えば、シンセシス(Synthesis )、623頁(1986)に2,7−オクタジエン−1−オールの酢酸エステルおよび炭酸エステルをパラジウム錯体触媒存在下にギ酸のトリエチルアミン塩で加水素分解することによるオクタジエンの合成法が記載されている。また、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters )、613頁(1979)およびケミストリー・レターズ(Chemistry Letters )、1017頁(1984)には、2,7−オクタジエン−1−オールの酢酸エステル、ギ酸エステル、炭酸エステル、フェニルエーテルおよび相当するハロゲン化合物をパラジウム錯体触媒存在下ギ酸アンモニウムで加水素分解することによるオクタジエンの合成法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭54−151902号公報にはパラジウム触媒の循環再使用の方法についてはなんら記載されていない。パラジウム触媒は周知のごとく極めて高価な貴金属触媒であり、パラジウム触媒を使用して工業的規模でオクタジエンを生産するためには、パラジウム触媒の触媒活性が長期にわたって保持されることが重要となる。一方、2,7−オクタジエン−1−オールの誘導体を経由する合成方法には、上記直接法と同様のパラジウム触媒使用時のコスト問題に加え、誘導体を製造しなければならず工程が煩雑になるという問題点、さらに高価な還元剤を大量に用いなければならないという問題点があり、工業的製造法として適当とはいえない。
したがって、本発明の目的は、2,7−オクタジエン−1−オールからオクタジエンを直接製造するに際し、パラジウム触媒の寿命を長期にわたって維持し、その結果としてパラジウム触媒の循環再使用を可能にし製造原価の低減につながるオクタジエンの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは2,7−オクタジエン−1−オールからのオクタジエンの工業的な製造方法について鋭意検討した結果、1)パラジウム化合物および第三級有機リン配位子から構成される触媒の存在下、該第三級有機リン配位子の使用量が該第三級有機リン配位子に含有されるリン原子としてパラジウム1グラム原子当り少なくとも20モルであり1000モル以下である条件下に、2,7−オクタジエン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガスと反応させ、2)反応終了後の反応混合液に蒸留操作を施すことにより該反応混合液から1,7−オクタジエンおよび1,6−オクタジエンを含む反応生成物を留去し、3)残留した未反応2,7−オクタジエン−1−オールおよび触媒成分を含む混合物の少なくとも一部を反応器に戻し、再び反応に使用することを特徴とするオクタジエンの製造方法を見出だし、上記の目的を達成した。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として使用される2,7−オクタジエン−1−オールは、例えばブタジエンの水和二量化反応で製造可能である。
【0006】
本発明で用いる水素および二酸化炭素は、いずれも工業的規模で広く入手が可能なグレードのものを使用可能であり、少量の不純物の存在は許容することができる。二酸化炭素は直接反応剤としては関与しないが触媒的機能を有し、反応の進行に必須である。二酸化炭素の分圧は臨界的なものではないが、好ましくは二酸化炭素の分圧を60kg/cm2G以下、より好ましくは40kg/cm2G以下で行う。水素分圧の二酸化炭素分圧に対する比率は広範囲に設定可能であり、特に制限はないが、水素分圧が大きい方が反応速度の点から好ましい。反応の全圧力には特に制限はないが、反応性、選択性および操作性を考慮して2〜360kg/cm2Gの範囲で実施するのが好ましく、10〜250kg/cm2Gの範囲がより好ましい。
二酸化炭素は、反応の開始に先立って反応系に所定圧力となるように供給するのみで十分であり、反応中に追加する必要はない。一方水素は反応剤として関与するので、反応を行う間、間欠的又は連続的に反応系内に供給し、反応系の全圧を一定に保つのが好ましい。また、反応系は水素と二酸化炭素の他に反応に対して不活性なガス、例えば窒素、アルゴンなどのガスでさらに加圧されていても良い。
【0007】
本発明においては溶媒の使用は必須条件ではないが、適当な有機溶媒を使用しても良い。本発明において使用できる有機溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、p−シメン、メシチレンのような芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチルのような低級脂肪族エステル類;アジピン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジオクチルのような脂肪族及び芳香族多価エステル類;炭酸エチレンなどの環式ジエステル類;ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどの脂肪族及び芳香族ニトロ化合物類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの低級脂肪族第三級アミン類;ピリジンなどの芳香族第三級アミン類;アセトアミド、プロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホラン、メチルスルホランなどのスルホン類;ヘキサメチルホスホルアミドなどのリン酸アミド類などを挙げることができる。これらの有機溶媒は通常単独で使用するが、二種類以上を混合して使用しても何らさしつかえない。
【0008】
本発明では溶媒を使用せず、2,7−オクタジエン−1−オールにパラジウム触媒と第三級有機リン配位子を溶解して反応させる方法が生産性が高く、また溶媒の回収に関わる設備を省略できるので好ましい。
【0009】
また本発明では、反応混合液中に三級アミンを少量共存させて反応を行ってもよい。本発明において使用できる三級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N−メチルジブチルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルヘキシルアミン、トリヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−メチルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソオクチルアミン、トリイソデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルミリスチルアミン、N,N−ジメチルパルチミルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N,N−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。三級アミンの使用量は全反応混合液容量に対して10%以下であることが好ましい。常圧における沸点が2,7−オクタジエン−1−オールの常圧における沸点よりも高い三級アミンを用いた場合、反応混合物から生成物を蒸留分離する操作の際に、三級アミンは未反応の2,7−オクタジエン−1−オール、および触媒成分と共にボトム部に残留させることができる。このためオクタジエンと三級アミンとの分離に必要な蒸留関連設備を省略することができ、プロセス的に有利である。
【0010】
本発明において反応系に存在させる触媒は、パラジウム触媒を形成するために用いられるパラジウムまたはパラジウム化合物から誘導される活性種である。パラジウム化合物は特に限定されるものではなく、パラジウムとして可能な原子価のうちの任意の原子価、例えば0、+2等の原子価を有するパラジウムの化合物であり、その具体例としては、酢酸パラジウム、炭酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウム、リチウムパラジウムクロリド、ビスベンゾニトリルパラジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラジウムアセテート、π−アリルパラジウムクロリド、π−アリルパラジウムアセテート、ナトリウムクロロパラデート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどが挙げられる。
【0011】
反応における真のパラジウム触媒は低原子価パラジウム錯体であるので、二価のパラジウム化合物を用いる場合には、それを反応系中に存在する不飽和アルコールまたは第三級有機リン配位子で還元することによってパラジウム触媒を形成させることもできるが、同一反応系内または別の反応容器内で該二価のパラジウム化合物に還元剤を作用させることによってパラジウム触媒を形成させ、それを使用することもできる。このような目的に用いられる還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン、亜鉛末、マグネシウム、ギ酸などを挙げることができる。還元剤の使用量は通常還元に必要な化学量論量ないしはその10倍以内の量が好ましい。反応系中に存在させるパラジウム触媒の量について特別な制限はないが、工業的にはパラジウム触媒を反応混合液1lあたりパラジウム原子として0.01〜10ミリグラム原子、好ましくは0.01〜5ミリグラム原子の濃度となるような量で用いるのが好ましい。
【0012】
本発明で用いることのできる第三級有機リン配位子は下記一般式(I)
【0013】
【化3】
Figure 0003752043
【0014】
(式中、R1 、R2 およびR3 は官能基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)
または下記の一般式(II)
【0015】
【化4】
Figure 0003752043
【0016】
(式中、R4 、R5 、R6 およびR7 は官能基を有していてもよい炭化水素基を表わし、R8 はいずれの炭素原子が官能基を有していてもよい、1から6の炭素原子からなる二価の有機架橋基を表す。)
で表される第三級有機リン化合物である。
1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 で表される炭化水素基の適当な例はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−オクチル基などの脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基などの脂環式炭化水素基;並びにフェニル基、トリル基、アニソイル基などのアリール基およびベンジル基などのアラルキル基などの芳香族炭化水素基を挙げることができる。R8で表される1から6の炭素原子からなる二価の有機架橋基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 およびR7 の炭化水素基並びにR8 の二価の有機架橋基内の各炭素原子が含有していてもよい官能基としては、例えばジメチルアミノ基などのジ(低級アルキル)アミノ基;フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基;シアノ基;式−SO3 Mまたは−COOM(式中、Mは水素またはリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属原子を表す)で示される基などが挙げられる。
【0017】
一般式(I)で表される第三級有機リン化合物の具体例としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリn−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリ(4−カルボキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、リチウムジフェニルホスフィノベンゼン−m−スルホネート、トリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィンなどを挙げることができる。
【0018】
一般式(II)で表される第三級有機リン化合物の具体例としては1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジ(o−メトキシフェニル)ホスフィノ)プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどを挙げることができる。
【0019】
これらの第三級有機リン配位子は単独で使用することもできるし、2つ以上の配位子を混合して使用することもできる。反応性、選択性、および蒸留操作時におけるパラジウム触媒の耐熱性の点から第三級有機リン配位子としてトリシクロヘキシルホスフィンを用いるのが特に好ましい。第三級有機リン配位子の使用量は、該第三級有機リン配位子に含有されるリン原子としてパラジウム1グラム原子当り少なくとも20モルであり、これよりも少ない使用量では触媒の耐熱性および反応の選択性が低下してしまう。第三級有機リン配位子の使用量については反応性の観点での上限はないが、一般的にはパラジウム1グラム原子当たり1000モル以下となるような量で使用される。
【0020】
本発明においては反応温度は50〜120℃に保って行うのが好ましく、反応速度およびパラジウム触媒の安定性の点から60〜90℃に保って行うのが一層好ましい。
【0021】
本発明において反応混合液からオクタジエンを含む生成物を分離するには、減圧条件として80℃以下の温度で蒸留操作を行う。蒸留操作には薄膜蒸発装置等を好ましく使用できる。生成物を留去した後、触媒成分および未反応の2,7−オクタジエン−1−オールを含む残留物は反応工程に循環し再使用することが可能である。残留物はその一部を取り出し、所望により触媒賦活処理を施した後、反応工程に循環してもよい。蒸留操作の際における触媒の熱安定性をより確保するために、蒸留操作に先立って、反応混合液に含まれる第三級有機リン化合物と同一のリン化合物を初期の第三級有機リン化合物の仕込量に対して20重量%以下の量で添加することも好ましい。
【0022】
本発明はバッチ式、セミ連続式、および連続式のいずれでも実施することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等限定されるものではない。
【0024】
実施例1
攪拌機、温度計、加熱用ヒーター、および蓄圧器と定圧供給弁等を備えた内容量100mlのオートクレーブに2,7−オクタジエン−1−オール430ミリモル(54.2g)、酢酸パラジウム0.06ミリモル(13.5mg)、トリシクロヘキシルホスフィン3.6ミリモル(1010mg:トリシクロヘキシルホスフィンとパラジウムのモル比=60:1)を仕込み、系内を二酸化炭素で置換した。次に、この系内に二酸化炭素を20kg/cm 2 G となるまで加圧し、次いでこの系に、ボンベからの高圧水素ガスを蓄圧器に分取し、反応系の内圧が常に90kg/cm 2 G になるように設定された定圧供給弁を経由させて蓄圧器内の水素ガスを供給した。この反応系を攪拌しながら約15分かけて80℃に昇温して反応を開始させ、この圧力、温度条件下で3時間反応を行った。反応混合液をサンプリングしてガスクロマトグラフィーで分析したところ、2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は65.5%、生成物中のオクタジエン選択率は97.4%、また1,7−オクタジエンと1,6−オクタジエンの生成比率は95.5/4.5であった。他の生成物選択率は1−オクテン0.6%、2−オクテン−1−オール1.4%、ジ(オクタジエニル)エーテル0.6%であった。放冷後、反応混合液をあらかじめ窒素置換しておいた容量200mlの三口フラスコに全量抜き取り、トリシクロヘキシルホスフィンを0.36ミリモル(101mg)添加した。さらに蒸留装置を取り付けてフラスコを60℃に加熱、減圧(10mmHg)とし、生成したオクタジエン類および水を留去した。冷却後、触媒成分および未反応の2,7−オクタジエン−1−オールを含む残留物に、反応で消費された量に相当する2,7−オクタジエン−1−オールを加えて反応仕込み液を調製し、全量を1回目の反応に使用したオートクレーブに仕込んだ。1回目と同様の条件および操作で反応を行い、反応混合液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、2,7−オクタジエン−1−オールの転化率は68.6%であり、生成物中のオクタジエン選択率は94.4%、また1,7−オクタジエンと1,6−オクタジエンの生成比率は94.9/5.1であった。他の生成物選択率は1−オクテン2.6%、2−オクテン−1−オール2.7%、ジ(オクタジエニル)エーテル0.3%であった。
【0025】
放冷後、反応混合液をあらかじめ窒素置換しておいた容量200mlの三口フラスコに全量抜き取り、トリシクロヘキシルホスフィンを0.36ミリモル(101mg)添加した。さらに蒸留装置を取り付けてフラスコを60℃に加熱、減圧(10mmHg)とし、生成したオクタジエン類および水を留去した。冷却後、触媒成分および未反応の2,7−オクタジエン−1−オールを含む残留物に、反応で消費された量に相当する2,7−オクタジエン−1−オールを加えて反応仕込み液を調製し、全量を再びオートクレーブに仕込んで1回目と同様の条件および操作で反応を行い、次いで同様の方法および条件により生成物の蒸留分離を行う一連の操作を計10回繰り返して行った。4回目、7回目、および10回目の反応により得られた反応混合液の分析結果を表1に示す。10回の繰り返し反応において触媒活性の低下は認められず、オクタジエン選択率および1,7−オクタジエンと1,6−オクタジエンの生成比はほぼ一定であった。
【0026】
【表1】
Figure 0003752043
【0027】
実施例2〜6、比較例1〜2
実施例1と同様の反応装置に1,7−オクタジエン−3−オール285ミリモル(35.9g)、および酢酸パラジウムとトリシクロヘキシルホスフィンを種々の量比で仕込み、水素と二酸化炭素の分圧を変化した他は実施例1と同様の手順で反応を行った。結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
Figure 0003752043
【0029】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高価なパラジウム触媒成分を循環再使用することが可能であり、かつ安価な水素を還元剤として用いる2,7−オクタジエン−1−オールからのオクタジエンの製造方法が提供される。

Claims (4)

  1. 1)パラジウム化合物および第三級有機リン配位子から構成される触媒の存在下、該第三級有機リン配位子の使用量が該第三級有機リン配位子に含有されるリン原子としてパラジウム1グラム原子当り少なくとも20モルであり1000モル以下である条件下に、2,7−オクタジエン−1−オールを水素と二酸化炭素の混合ガスと反応させ、2)反応終了後の反応混合液に蒸留操作を施すことにより該反応混合液から1,7−オクタジエンおよび1,6−オクタジエンを含む反応生成物を留去し、3)残留した未反応の2,7−オクタジエン−1−オールおよび触媒成分を含む混合物の少なくとも一部を反応器に戻し、再び反応に使用することを特徴とするオクタジエンの製造方法。
  2. 第三級有機リン配位子が下記の一般式(I)
    Figure 0003752043
    (式中、R 、R およびR は官能基を有していてもよい炭化水素基を表わす。)
    または下記の一般式(II)
    Figure 0003752043
    (式中、R 、R 、R およびR は官能基を有していてもよい炭化水素基を表わし、R はいずれの炭素原子が官能基を有していてもよい、1から6の炭素原子からなる二価の有機架橋基を表す。)
    で表される第三級有機リン化合物の中から選択されるいずれか1種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載のオクタジエンの製造方法。
  3. 第三級有機リン配位子としてトリシクロヘキシルホスフィンを用いることを特徴とする請求項1または2に記載のオクタジエンの製造方法。
  4. 無溶媒で反応を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のオクタジエンの製造方法。
JP03631997A 1997-02-20 1997-02-20 オクタジエンの製造方法 Expired - Fee Related JP3752043B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03631997A JP3752043B2 (ja) 1997-02-20 1997-02-20 オクタジエンの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP03631997A JP3752043B2 (ja) 1997-02-20 1997-02-20 オクタジエンの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10231257A JPH10231257A (ja) 1998-09-02
JP3752043B2 true JP3752043B2 (ja) 2006-03-08

Family

ID=12466528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03631997A Expired - Fee Related JP3752043B2 (ja) 1997-02-20 1997-02-20 オクタジエンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3752043B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2834279B1 (en) * 2012-04-02 2018-02-21 Borealis AG High-pressure radical ethylene polymerization process in which ethylene is polymerized with a specific polyunsaturated olefin grade

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10231257A (ja) 1998-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP3442939B1 (en) Process for preparing an unsaturated carboxylic acid salt
US4356333A (en) Process for preparing n-octadienol
JPH11513702A (ja) ヒドロホルミル化法
JPH0152372B2 (ja)
JP3656030B2 (ja) 第3級ブチルアルコールの製造方法
Schneider et al. A new triphasic solid-solid-liquid catalytic system for the inexpensive and selective oxidation of secondary alcohols by calcium hypochlorite
JP3752043B2 (ja) オクタジエンの製造方法
JP3882462B2 (ja) アリル化合物の製造方法
JPS5943937B2 (ja) 不飽和ジエステルの製造法
Lee et al. Pd-catalyzed substitution reactions with organoindium reagents in situ generated from indium and allyl or propargyl halides
JPS6230169B2 (ja)
JP2006327960A (ja) ポリエンの製造方法
JP3795995B2 (ja) 不飽和炭化水素の製造方法
Watanabe et al. The platinum catalyzed reduction of nitroarenes to aminoarenes with carbon monoxide and water
JP4047071B2 (ja) 不飽和炭化水素の製造方法
JPH0153850B2 (ja)
CA2159135C (en) Process for producing octadienes
JPH09255595A (ja) 2,7−ジメチル−1,7−オクタジエンの製造方法
JP4326921B2 (ja) 3−ブテン−1−オールの製造方法
JPH10212264A (ja) 3,4−ジアシロキシ−1−ブテンの製造方法
JP5374922B2 (ja) アリル化合物の異性化方法
JP2664046B2 (ja) 炭酸ガスからのアルコール類の製造方法
AU596148B2 (en) Preparation of mixtures of octadienyl esters of nonatrienoic acids
JPH0567129B2 (ja)
JP2008231006A (ja) アルデヒドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050825

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050830

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051209

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091216

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101216

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101216

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111216

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121216

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121216

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131216

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees