JPH10218952A - 硬化性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物およびその製造方法

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JPH10218952A
JPH10218952A JP2292997A JP2292997A JPH10218952A JP H10218952 A JPH10218952 A JP H10218952A JP 2292997 A JP2292997 A JP 2292997A JP 2292997 A JP2292997 A JP 2292997A JP H10218952 A JPH10218952 A JP H10218952A
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JP
Japan
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acid
meth
resin composition
compound
curable resin
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JP2292997A
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English (en)
Inventor
Toshio Hayashidani
俊男 林谷
Kenji Matsukawa
賢治 松川
Takemoto Yoshimune
壮基 吉宗
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エステル(メタ)アクリレートの特徴である
優れた硬化性と低粘度性を有し、水洗浄工程を省略した
簡便な製造方法で製造することができ、かつ硬化剤を配
合した時の可使時間が長いエステル(メタ)アクリレー
トを含有した熱硬化性樹脂組成物およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸を必須とする塩基酸
(a)と多価アルコール(b)をエステル化酸触媒の存
在下でエステル化反応させ、続いて、この反応混合物に
エポキシ化合物(c)を添加して反応混合物中の酸成分
と反応させるとともに、アリル化合物(d)を添加する
硬化性樹脂組成物の製造方法等。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ック、塗料、注型、ライニング等の各種用途に利用可能
な硬化性樹脂組成物に関する。さらには、硬化剤を配合
した状態で、長い可使時間を有する硬化性樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メ
タ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エ
ステル(メタ)アクリレートに代表されるラジカル硬化
型樹脂は、従来より、繊維強化プラスチック材料、塗
料、注型、ライニング等で広く用いられている。これら
の用途では、成形作業の容易性から液状で用いられるこ
とが多く、そのため、溶剤あるいはスチレン等のモノマ
ーを混合することにより低粘度化して用いられる。
【0003】しかしながら、混合した溶剤あるいはモノ
マーが成形作業中に揮散して、近年、環境上好ましくな
い状態であることが問題となってきており、低揮散性の
ラジカル硬化型樹脂が望まれている。ラジカル硬化型樹
脂の中で、エステル(メタ)アクリレートは硬化が速
く、比較的低粘度であり、溶剤等を混合せずに用いるこ
とができるので、低揮散性樹脂として使用することが可
能である。一般に、エステル(メタ)アクリレートは、
(メタ)アクリル酸、多価アルコール及び必要に応じて
多価塩基酸をエステル化した後、エステル化触媒と未反
応の(メタ)アクリル酸をアルカリ性水溶液での洗浄に
より除去し、その後、水と分離することにより製造され
る。
【0004】しかしながら、洗浄後の水分離作業は容易
ではない。すなわち、水分離を速やかに行うために有機
層を形成するための多量の有機溶剤を必要とし、その
後、この多量の有機溶剤の除去に要する時間が長くな
る。また、分離した水層は中和作業により中性化して廃
液とする必要がある。このような煩雑な製造工程を必要
とするため、エステル(メタ)アクリレートは、未だ汎
用樹脂としては扱われていない。
【0005】これまでに、この洗浄工程を省略する簡便
容易な製造方法がいくつか提案されている。特開平6−
41283号公報では、エステル化触媒として硫酸を使
用し、エステル化終了後にアルカリ土類金属の酸化物を
加え、これにより硫酸を中和して不飽和ポリエステルオ
リゴマーを製造する方法を開示している。また、ヨーロ
ッパ特許公開0054105号公報、特開昭63−19
6613号公報では、エステル化終了後にエポキシ化合
物を加え、残存する未反応のアクリル酸と反応させるこ
とにより、放射線あるいは光照射で硬化する樹脂の製造
方法を開示している。しかしながら、この方法で得られ
た樹脂を熱硬化に適用した場合、硬化剤として作用する
過酸化物あるいはアゾ化合物等を樹脂に混合した状態か
ら硬化開始までの時間、すなわち可使時間が短く、成形
作業性の悪いものであった。
【0006】熱硬化性樹脂を用いた成形では、一般に、
硬化剤を混合した後で、所望する成形品の形に合わせる
ように成形作業を行い、その作業が終了してから硬化が
開始しなければならない。よって、ある程度の可使時間
が必要となる。特に、予め硬化剤を混合した樹脂をガラ
ス繊維等に含浸させたプリプレグと呼ばれるものでは、
成形前の保存時間が長く、数日間の可使時間が必要とさ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、エステル(メタ)アクリレートの特徴である優れた
硬化性と低粘度性を有し、水洗浄工程を省略した簡便な
製造方法で製造することができ、かつ硬化剤を配合した
時の可使時間が長いエステル(メタ)アクリレートを含
有した硬化性樹脂組成物およびその製造方法を提供する
ことを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(メタ)
アクリル酸を必須とする塩基酸と多価アルコールをエス
テル化酸触媒の存在下でエステル化反応をさせた後、こ
のエステル化反応混合物に、エポキシ化合物とともにア
リル化合物を添加することにより得られる硬化性樹脂組
成物は、低粘度であり、硬化性に優れ、硬化剤を配合し
た時の可使時間が長く作業性に優れることを見出した。
【0009】すなわち、エステル化反応後、従来は単に
エポキシ化合物を加えて残存する酸成分と反応させるだ
けであったのに対し、本発明ではさらにアリル化合物
(d)を添加するものである。アリル化合物(d)が反
応混合物中に添加されることにより、硬化性樹脂組成物
に硬化剤を配合したときの可使時間が長くなるものと考
えられる。
【0010】したがって、本発明は、(メタ)アクリル
酸を必須とする塩基酸(a)と多価アルコール(b)と
のエステル化反応物を主成分とする硬化性樹脂組成物に
おいて、エポキシ化合物(c)と酸成分の反応物を含む
とともに、アリル化合物(d)を単独でおよび/または
反応物の形で含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を
提供する。
【0011】また、本発明は、(メタ)アクリル酸を必
須とする塩基酸(a)と多価アルコール(b)をエステ
ル化酸触媒の存在下でエステル化反応させ、続いて、こ
の反応混合物にエポキシ化合物(c)を添加して反応混
合物中に含まれる酸成分と反応させるとともに、アリル
化合物(d)を添加する硬化性樹脂組成物の製造方法を
提供する。
【0012】前記本発明の硬化性樹脂組成物において、
硬化剤を配合してなる熱硬化性樹脂組成物である場合に
本発明の効果は大きい。また、前記本発明の硬化性樹脂
組成物の製造方法において、塩基酸(a)と多価アルコ
ール(b)の総重量100重量部に対して、アリル化合
物(d)が0.2〜5重量部の範囲であることが好まし
い。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸を必須とする塩
基酸(a)は、(メタ)アクリル酸を必須とし、その他
の塩基酸を含んでいてもよい。本発明において、「(メ
タ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタ
クリル酸を表す。その他の塩基酸としては、飽和、不飽
和の2価以上の多塩基酸等が使用できる。不飽和多塩基
酸としては、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イ
タコン酸、ジヒドロムコン酸;これらの酸の無水物、こ
れらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。飽和多塩
基酸としては、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、
2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルコハク
酸、ヘキシルコハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタ
ル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタ
ル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチル
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、クロレ
ンデック酸、1,2−ヘキサヒドロフタル酸、1,1−
シクロブタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒド
ロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸等;これらの酸の無水
物、これらの酸のアルキルエステル等が挙げられる。こ
れらの塩基酸は、単独での使用または2種以上の併用が
可能である。
【0014】本発明で用いられる多価アルコール(b)
としては、2価アルコールとして、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブ
タンジオール、ジプロピレングリコール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジ
メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル
−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,4−ブ
タンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オ
クタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−
デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、
1,4−ジメチロールシクロヘキサン、4,5−ノナン
ジオール、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのア
ルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのアルキ
レンオキサイド付加物等;2価アルコール誘導体とし
て、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のモ
ノエポキシ化合物;3価以上のアルコールとしてグリセ
リン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジペンタエリスリトール等およびこれらのアルキレ
ンオキサイド付加物等を挙げることができる。これらの
多価アルコールは、単独での使用または2種以上の併用
が可能である。
【0015】また、多価アルコール(b)とともに1価
のアルコールを併用することができるが、1価のアルコ
ールは、全アルコール成分中40mol%以下の使用が
望ましい。40mol%を超えると、硬化物の強度が低
下する。1価アルコールとしては、ポリエチレングリコ
ールのモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール
のモノメチルエーテル等のポリアルキレングリコールモ
ノアルキルエーテル;2−エチルヘキシルアルコール、
ノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコ
ール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、
セチルアルコール等のアルキルアルコール等を挙げるこ
とができる。これらの1価アルコールは、単独での使用
または2種以上の併用が可能である。
【0016】本発明で用いられるエポキシ化合物(c)
としては、1分子内に2個以上のエポキシ環を有するエ
ポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフ
ェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂
等。多価アルコールのグリシジルエーテル:ネオペンチ
ルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコー
ルジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリ
グリシジルエーテル等。多価カルボン酸のグリシジルエ
ステル:フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジ
グリシジルエステル等。1分子内に1個のエポキシ環を
有する化合物:プロピレンオキサイド、エチレンオキサ
イド、グリシジルメタクリレート、脂肪酸モノグリシジ
ルエステル等が挙げられる。これらのエポキシ化合物
は、単独での使用または2種以上の併用が可能である。
【0017】本発明で用いられるエステル化酸触媒とし
ては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ス
ルホフタル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−
プロパンスルホン酸等の有機スルホン酸を挙げることが
できる。エステル化酸触媒の量としては、通常、塩基酸
(a)と多価アルコール(b)の総重量100部に対
し、0.1〜10部を用いればよい。
【0018】本発明で用いられるアリル化合物(d)
は、低粘度、速硬化性であり、硬化剤を配合した時の可
使時間が長く、作業性に優れる本発明の効果を発現する
ために必要な成分である。アリル化合物の中でもアリル
オキシ化合物が好ましい。アリルオキシ化合物として
は、アリルグリシジルエーテル、グリセリンモノアリル
エーテル、トリメチロールプロパンのモノ、ジあるいは
トリアリルエーテル、ペンタエリスリトールのジ、トリ
あるいはテトラアリルエーテル、アリルフェニルエーテ
ル、アリルプロピルエーテル、ジアリルエーテルなどの
アリルエーテル化合物が挙げられる。これらのアリルオ
キシ化合物の中でも特にアリルグリシジルエーテルを用
いることが好ましい。これらのアリル化合物は、単独で
の使用または2種以上の併用が可能である。なお、アリ
ルグリシジルエーテルはエポキシ化合物の一種である
が、前記エポキシ化合物(c)にはアリル化合物は含ま
ないものとする。
【0019】アリル化合物(d)の使用量が多くなる
と、反応中にゲル化物が生じる危険があるので、本発明
の効果を損なわない範囲で少量の使用にとどめることが
望ましい。具体的には、塩基酸(a)と多価アルコール
(b)の総重量を100重量部とすれば、アリル化合物
0.2〜5重量部の使用とすることが好ましい。より好
ましくは0.2〜2重量部である。
【0020】本発明の硬化性樹脂組成物の製造方法にお
ける、各成分の量比について説明する。(メタ)アクリ
ル酸の当量をA、他の塩基酸の当量をB、多価アルコー
ルの当量をC、エポキシ化合物(アリル化合物(d)が
エポキシ化合物の場合はこれも含む)の当量をDとす
る。ここで「当量」とは、各官能基のmol比を表す。
各官能基とは、塩基酸:カルボキシル基、多価アルコー
ル:水酸基、エポキシ化合物:エポキシ基である。
【0021】(メタ)アクリル酸以外の他の塩基酸を併
用しない場合、 3C≧A>C、(A−C)≦D<1.5(A−C) (メタ)アクリル酸以外の他の塩基酸を併用する場合、 C>B、3(C−B)≧A>(C−B)、(A−B−
C)≦D<1.5(A−B−C) で表す量比であることが好ましい。AがC以下である
か、あるいはAが(C−B)以下であると、耐水性が劣
る場合があり、また、Cあるいは(C−B)の3倍量よ
り多いと、樹脂の粘度が高くなる。さらに、Dが上記範
囲外になると、耐水性が劣る場合がある。従って、上記
の範囲で表される量比が好ましいが、本発明は、これに
限定されるものではない。
【0022】本発明の硬化性樹脂組成物の製造工程は、 (1):(メタ)アクリル酸を必須とする塩基酸(a)
と多価アルコール(b)をエステル化酸触媒の存在下で
エステル化反応させる工程 (2):(1)で得られた反応混合物にエポキシ化合物
(c)を添加して反応混合物中の酸成分と反応させると
ともに、アリル化合物(d)を添加する工程からなる。
【0023】(1)の工程では、(メタ)アクリル酸、
他の塩基酸、及び多価グリコールを同時に仕込んでエス
テル化を行ってもよいし、また、他の塩基酸と多価グリ
コールとを予めエステル化した後、(メタ)アクリル酸
を投入して、さらにエステル化を行ってもよい。(メ
タ)アクリル酸の投入前でのエステル化温度は70〜2
20℃の範囲で行うことができるが、(メタ)アクリル
酸投入後は、エステル化途中のゲル化を防ぐため、70
〜130℃の範囲が望ましい。
【0024】エステル化反応を円滑に進めるため、縮合
水と共沸するキシレン、トルエン、シクロヘキサン等の
溶媒を用いてもよく、常圧あるいは減圧下で反応を行う
ことができる。エステル化反応は上記エステル化酸触媒
の存在下で行うが、この他、反応中のゲル化を防ぐた
め、重合禁止剤を投入することが好ましい。重合禁止剤
としては、メトキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン等
のフェノール類、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロ
キノン等のハイドロキノン類、ベンゾキノン等のキノン
類、フェノチアジン等の硫黄化合物を用いることができ
る。
【0025】(1)の工程の終了は、留出する縮合水の
量で判断することができ、理論縮合水量の80%以上の
縮合水が留出するまでエステル化を進めることが望まし
い。(2)の工程では、(1)の工程終了後に続いて、
エポキシ化合物(c)およびアリル化合物(d)を反応
混合物中に投入して、80〜130℃の反応温度で反応
させる。エポキシ化合物(c)とアリル化合物(d)は
同時に添加してもよいし、アリル化合物(d)を先に添
加するか、あるいは後に添加してもよい。この場合、
(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物を反応させる公知
の触媒が使用でき、たとえば、トリエチルアミン、N,
N−ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン;ベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリフ
ェニルホスホニウムクロライド等の有機オニウムのハロ
ゲン化物;トリフェニルホスフィン等の3価の有機リン
化合物等を用いることができる。反応の終了は、酸価に
より判断でき、得られる樹脂の耐水性の点から、酸価が
10mg.KOH/g以下になるまで反応を進めること
が望ましい。
【0026】(2)の工程では、エポキシ化合物(c)
が、反応混合物に含まれる酸成分と反応し、それに加え
てアリル化合物(d)が反応混合物中に添加され、必要
に応じて反応混合物中の成分と反応することにより、硬
化性樹脂組成物に硬化剤を配合したときの可使時間が長
くなるものと考えられる。ここで、エポキシ化合物
(c)と反応する酸成分には、未反応の塩基酸(a)お
よびエステル化酸触媒の他、塩基酸(a)として多塩基
酸を用いた場合には、多塩基酸のカルボキシル基の一部
と多価アルコール(b)とがエステル化反応し、カルボ
キシル基が残存したいわゆるハーフエステルも含まれ
る。
【0027】したがって、この反応終了後に得られる硬
化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸を必須とする塩
基酸(a)と多価アルコール(b)とのエステル化反応
物を主成分とし、エポキシ化合物(c)と酸成分の反応
物を含むとともに、アリル化合物(d)を単独でおよび
/または反応物の形で含むものである。アリル化合物
は、硬化性樹脂組成物中で単独で存在していてもよい
し、反応混合物中の成分と反応していてもよい。
【0028】本発明の硬化性樹脂組成物は、放射線また
は紫外線の照射により硬化させることもできるが、特
に、可使時間が長く作業性に優れるため、硬化剤を併用
する加熱硬化での使用に適している。さらに、硬化を促
進する促進剤を硬化剤と併用して用いることができる。
硬化剤としては、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはビ
ニルエステル樹脂用の公知の硬化剤が使用でき、たとえ
ば、過酸化物として、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオ
キサイド;クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロ
パーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド等のジアシ
ルパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、t−ブチ
ルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイ
ド;1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−
2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾ
エート等のアルキルパーエステル;ビス(4−t−ブチ
ルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパー
カーボネートを用いることができ、アゾ化合物として、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス−2−メチルブチロニトリル等が使用でき、これ
らの硬化剤は、単独での使用または2種以上の併用が可
能である。
【0029】硬化剤の使用量は、成形用途に適したゲル
化時間になるように、適宜決めることができるが、硬化
性樹脂組成物100重量部に対し、0.2〜10.0重
量部の範囲で用いることが望ましい。硬化促進剤として
は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂の硬
化促進剤として公知な促進剤を使用することができ、た
とえば、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガン等の
金属石鹸、コバルトアセチルアセトナート、バナジウム
アセチルアセトナート等の金属キレート化合物等を用い
ることができ、これらの硬化促進剤は単独での使用また
は2種以上の併用が可能である。
【0030】本発明の硬化性樹脂組成物は、繊維強化プ
ラスチック、塗料、注型、ライニング等の各種用途に利
用可能であり、必要に応じて、ラジカル重合性単量体、
揺変性付与剤、充填剤、乾燥性向上剤、増粘剤等を混合
することができる。また、他種の熱硬化性樹脂を混合し
てもよい。ラジカル重合性単量体としては、スチレン、
t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼ
ン等のアリール基で置換したビニル化合物、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリ
レート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物、ジシ
クロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ブ
トキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエ
チレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレ
ート等のモノ、あるいはポリアルキレングリコールモノ
アルキルエーテル(メタ)アクリレート化合物、フェノ
キシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチ
レングリコール(メタ)アクリレート等のモノ、あるい
はポリアルキレングリコールモノアリールエーテル(メ
タ)アクリレート化合物、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)
アクリレート化合物、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート
等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート化合物
が挙げられる。揺変性付与剤としては、無水微粉末シリ
カ、アスベスト、クレー等が挙げられる。充填剤として
は、水酸化アルミニウム、タルク、珪砂、炭酸カルシウ
ム、酸化アンチモン等が挙げられる。乾燥性向上剤とし
ては、パラフィン、乾性油等が挙げられる。増粘剤とし
ては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等
の金属酸化物が挙げられる。他種の熱硬化性樹脂として
は、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリ
レート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル
(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。
【0031】本発明の硬化性樹脂組成物を繊維強化プラ
スチック材料に用いる場合は、ガラス繊維、炭素繊維等
の無機繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロ
ン繊維等の有機繊維を用いることができる。
【0032】
【実施例】
実施例1 攪拌機、Dean−Stark型水分離器、ガス導入管
および温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物(水酸基当量163)155
8g、ジエチレングリコール66g、メタクリル酸11
15g、パラトルエンスルホン酸1水和物14g、トル
エン280g、フェノチアジン0.6gを仕込み、空気
を吹き込みながら120℃に加熱した。留出する縮合水
が175g(理論留出量の90%)となったところで、
Dean−Stark型水分離器を冷却管に取り替え
て、反応混合物の温度を100℃に下げ、アリルグリシ
ジルエーテル16g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エポキシ当量187)505g、トリエチルアミン8
gを投入し、100℃の温度で酸価が5mg.KOH/
gになるまで加熱した。その後、減圧下、90℃でトル
エンを除去し、粘度が18ストークスの樹脂組成物
(1)を得た。 実施例2 攪拌機、精留管、ガス導入管および温度計を備えたフラ
スコに、ジエチレングリコール562g、オルソフタル
酸392gを仕込み、窒素を吹き込みながら220℃に
加熱した。留出する縮合水が40g(理論留出量の84
%)となったところで反応混合物の温度を120℃に下
げ、精留管をDean−Stark型水分離器に替え
て、メタクリル酸516g、パラトルエンスルホン酸1
水和物7g、トルエン160g、フェノチアジン0.5
gを投入し、空気を吹き込みながら120℃で加熱し
た。先に留出した縮合水とは別に90g(理論留出量の
91%)の縮合水が留出したところで、Dean−St
ark型水分離器を冷却管に替えて、反応混合物の温度
を100℃に下げ、アリルグリシジルエーテル8g、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187)
234g、トリエチルアミン4gを投入して、100℃
の温度で酸価が5mg.KOH/gになるまで加熱し
た。その後、減圧下、90℃でトルエンを除去し、粘度
が6ストークスの樹脂組成物(2)を得た。 比較例1 攪拌機、Dean−Stark型水分離器、ガス導入管
および温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物(水酸基当量163)155
8g、ジエチレングリコール66g、メタクリル酸11
15g、パラトルエンスルホン酸1水和物14g、トル
エン280g、フェノチアジン0.6gを仕込み、空気
を吹き込みながら120℃に加熱した。留出する縮合水
が175g(理論留出量の90%)となったところで、
Dean−Stark型水分離器を冷却管に取り替え
て、反応混合物の温度を100℃に下げ、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂(エポキシ当量187)531g、
トリエチルアミン8gを投入し、100℃の温度で酸価
が5mg.KOH/gになるまで加熱した。その後、減
圧下、90℃でトルエンを除去し、粘度が20ストーク
スの樹脂組成物(比較1)を得た。 比較例2 攪拌機、Dean−Stark型水分離器、ガス導入管
および温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールAの
エチレンオキサイド付加物(水酸基当量163)155
8g、ジエチレングリコール66g、メタクリル酸11
15g、パラトルエンスルホン酸1水和物14g、トル
エン280g、フェノチアジン0.6gを仕込み、空気
を吹き込みながら120℃に加熱した。留出する縮合水
が175g(理論留出量の90%)となったところで、
Dean−Stark型水分離器を冷却管に取り替え
て、反応混合物の温度を100℃に下げ、グリシジルメ
タクリレート20g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
(エポキシ当量187)505g、トリエチルアミン8
gを投入し、100℃の温度で酸価が5mg.KOH/
gになるまで加熱した。その後、減圧下、90℃でトル
エンを除去し、粘度が18ストークスの樹脂組成物(比
較2)を得た。 実施例3及び比較例3 実施例1、2及び比較例1、2で得られた樹脂組成物
に、表1で示す通りに硬化剤及び重合禁止剤であるベン
ゾキノンを混合して、60℃硬化特性及び40℃可使時
間を測定した。その結果を表1に示した。
【0033】なお、60℃硬化特性及び40℃可使時間
の測定方法は、以下の通りである。 <60℃硬化特性>JIS K6901 4.6に準じ
て測定した。ただし、硬化剤として1,1,3,3−テ
トラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
トの50%溶液(商品名パーキュアWO、日本油脂
(株)製)を樹脂組成物100gに対して2g添加し
た。また、恒温槽の温度は60℃に調節し、試料の温度
が45℃から65℃になるまでの時間をゲル化時間と
し、試料の温度が45℃から最高を示す温度になるまで
の時間を最小硬化時間とした。 <40℃可使時間>硬化剤として1,1,3,3−テト
ラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート
の50%溶液(商品名パーキュアWO、日本油脂(株)
製)を樹脂組成物100gに対して2g添加した後、内
径10mm、高さ120mmのガラス製試験管に、試験
管上部から約5mm下まで充填した。試験管開口部をア
ルミ箔でシールすることにより、試験管を転倒しても充
填した樹脂組成物がこぼれないようにした。この試験管
を40℃に調節した恒温乾燥機に入れ、時間の経過ごと
にゲル化物の有無を観察した。ゲル化物の生成は、試験
管を転倒することにより上昇する気泡の状態から判断し
た。すなわち、気泡が上昇しない、あるいは、上昇が途
中で止まる状態の場合、ゲル化物が生成していることに
なる。ゲル化物が生成するまでの時間を40℃可使時間
とした。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示す通り、アリル化合物を使用した
樹脂組成物(1、2)については、可使時間が長く、硬
化性に優れていることが明らかである。比較として示し
たアリル化合物を全く用いない樹脂組成物(比較1、
2)では、可使時間が短く、さらに重合禁止剤であるベ
ンゾキノンを添加して可使時間の延長を試みた場合、あ
る程度の延長効果はあるものの、硬化特性で示す最小硬
化時間が長く、さらに最高発熱温度が低くなるため、硬
化性が低く、実用し難いものとなる。
【0036】
【発明の効果】本発明によると、エステル(メタ)アク
リレートの特徴である優れた硬化性と低粘度性を有し、
水洗浄工程を省略した簡便な製造方法で製造することが
でき、かつ硬化剤を配合した時の可使時間が長いエステ
ル(メタ)アクリレートを含有した硬化性樹脂組成物を
得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸を必須とする塩基酸
    (a)と多価アルコール(b)とのエステル化反応物を
    主成分とする硬化性樹脂組成物において、エポキシ化合
    物(c)と酸成分の反応物を含むとともに、アリル化合
    物(d)を単独でおよび/または反応物の形で含むこと
    を特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 硬化剤を配合してなる熱硬化性樹脂組成
    物である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (メタ)アクリル酸を必須とする塩基酸
    (a)と多価アルコール(b)をエステル化酸触媒の存
    在下でエステル化反応させ、続いて、この反応混合物に
    エポキシ化合物(c)を添加して反応混合物中に含まれ
    る酸成分と反応させるとともに、アリル化合物(d)を
    添加する硬化性樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 塩基酸(a)と多価アルコール(b)の
    総重量100重量部に対して、アリル化合物(d)が
    0.2〜5重量部の範囲である請求項3記載の硬化性樹
    脂組成物の製造方法。
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