JPH10217401A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JPH10217401A
JPH10217401A JP2277397A JP2277397A JPH10217401A JP H10217401 A JPH10217401 A JP H10217401A JP 2277397 A JP2277397 A JP 2277397A JP 2277397 A JP2277397 A JP 2277397A JP H10217401 A JPH10217401 A JP H10217401A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィン系樹脂を用いて、塩化ビニル系樹
脂シートを主材といる化粧シートと同様な熱成形性を持
ち、かつ、層間の接着性を向上させた、化粧シートを得
る。 【解決手段】 アイソタクチィクポリプロピレンとアタ
クチックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造
を有する無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂
層である表面シート2と、その裏面に積層した、アイソ
タクチィクポリプロピレンとアタクチックポリプロピレ
ンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロ
ピレン系樹脂とエチレン系不飽和単量体の1種又は2種
以上との共重合体からなる易接着性ポリプロピレン系樹
脂層2aと、主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エ
ラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなる基材シー
ト1、とを少なくとも有し、必要に応じて基材シート又
は表面シートのいずれか又は両方に模様を施してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化粧シートに関し、
特に、建築物の内装、建具の表面化粧、車輛内装等に用
いるのに適した化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような用途に用いる化粧シ
ートとしては、ポリ塩化ビニルフィルムを使用し、これ
に印刷、エンボス加工等で装飾した化粧シート(特公昭
28−5036号公報、特公昭58−14312号公報
等)が用いられてきたが、近年、これに代わるものとし
て、(I)ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系フィルムを使用した化粧シートが提案され(特
開昭54−62255号公報参照)、(II)更に、
(I)の改良仕様として、極性官能基をグラフト重合さ
せたポリオレフィン系樹脂に、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマーを混合させたもの(特開平6−21080号
公報、特表平4−504384号公報等)、あるいは、
ポリオレフィン系樹脂に相溶化剤を用いてポリウレタン
樹脂を混合させたもの(特開平7−26038号公報
等)、等も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、提案されてい
る上記のようなポリオレフィン系樹脂シートを用いた化
粧シートは必ずしも満足できるものではない。なすわ
ち、建築物の内外装用、建具・家具等の表面化粧用、車
輛内装用等に用いる表面化粧シートには、通常、下記
(1) 〜(10)のような機能が要求される。
【0004】(1) ポリ塩化ビニル並みの熱成形性。特
に、温度変化にともなう一定荷重時伸度の変化がポリ塩
化ビニルとほぼ同等の緩やかで連続的に変化すること。
また、加熱→冷却にともなって、強度低下等の材料力学
的特性の劣化か生じないこと。
【0005】(2) 耐クリープ変形性。外装材や内装材に
は建具や家具による定荷重が長時間かけられる場合が多
く、クリープ変形が生じると、荷重部分がめくれたり剥
がれたりする。従って、極力クリープ変形が生じない材
料であることが求められる。
【0006】(3) 耐寒折り曲げ強度。寒冷時にVカット
加工等の折り曲げ加工を行うと応力緩和が不十分な場合
は、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等が生じ易くなる。 (4) 耐有機溶剤性。化粧シートと被着体を接着する接着
剤中の溶剤により化粧シートが膨潤・変形するのを防止
する。多層構造の化粧シートを得る場合も同様である。
【0007】(5) 破断時伸度、耐衝撃強度。Vカット加
工時の折り曲げ部の亀裂を防止するために、この特性を
求められる。 (6) 適度な曲げ弾性率を持つ。曲げ加工部での化粧シー
トの追従性が十分であるためには必要とされる。
【0008】(7) 透明性が良好。 (8) エンボス加工等にともなう加熱と冷却が加わって
も、再結晶による白化、濁りを生じない。 (9) 易接着性。 (10)耐候性に優れる。
【0009】前記した前記(I)の仕様の化粧シート
は、工業的に量産が難しく、かつ、ポリオレフィン系樹
脂は結晶化度が高いため等の理由から、図1の曲線bに
示すように、ポリ塩化ビニル樹脂に比べて融点前後の物
性の変化が急峻であり、従来汎用のポリ塩化ビニルシー
トに比べ加工可能な条件範囲が狭い欠点を有しており、
上記の条件の内、特に、(1) 、(5) 〜(10)の条件を十分
には満足できないものであった。(II)の仕様のもの
は、オレフィン系熱可塑性エラストマーを混合させたこ
とにより、(1) 、(5) 、(6) の条件は改善され、熱成形
性、エンボス加工性等は向上したが、透明性、耐候性、
及び耐熱性では不十分なものであった。
【0010】本発明は、オレフィン系樹脂を用いた従来
の化粧シートの持つ上記のような不都合を解消すること
を目的としており、具体的には、オレフィン系樹脂を用
いながらポリ塩化ビニル系樹脂を用いた化粧シートと同
等の熱成形性及び耐候性、透明性を持つ化粧シートを提
供することにある。
【0011】なお、図1は、定荷重下における温度の伸
びの関係を示すグラフであり、曲線aは半硬質塩化ビニ
ルシートを、曲線bは結晶性の高密度ポリエチレンをベ
ースとするシートを、曲線cは後述する本発明による積
層シートの場合を示している。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく多くの実験と研究を行うことにより、化
粧シートを単層シートではなく、少なくとも、基材シー
トとそこに積層する表面シートの2層構造とし、それぞ
れのシートに前記した化粧シートに求められる諸条件を
分担して持たせることにより、実用性の高いオレフィン
系樹脂化粧シートが得られることを知見し、該知見に基
づき新規な化粧シートを案出し先に出願している(特願
平8−336960号)。
【0013】そこにおいて、基材シートには前記条件に
おける(1) 〜(6) 及び(9) を担わせることとし、基材シ
ートの表面に積層する表面シートには条件(1) 〜(8) 及
び(10)を担わせることとし、その前提として次のように
試験を行った。先ず、基材シートの配合ベースとなるポ
リオレフィンとしては、基本的性能が優れるものとして
高密度ポリエチレン(HDPE)を選択した。表1は高
密度ポリエチレンの前記化粧シートに求められる(1) 〜
(10)の条件の充足程度を示している。
【0014】
【表1】
【0015】※1:融点前後の変化急峻。エンボス加工
時、冷却による結晶化向上により、伸度低下。 ※2:降伏点応力高い。 ※3:曲弾性率高すぎる。 ※4:微結晶粒による白濁の傾向。
【0016】そこで、熱可塑性エラストマーを添加し、
結晶化を阻害すると共に、応力の吸収・緩和を行った。
その結果、表2に示すように各条件は変化した。
【0017】
【表2】
【0018】それにより、条件(1) 、(5) 、(6) は満足
するものとなったが、(2) の耐クリープ性が幾分低下し
た。それで、さらに無機質微粒子体質顔料を加えた。そ
の結果、表3に示すように各条件は変化した。
【0019】
【表3】
【0020】これにより、耐クリープ変形も良好とな
り、基材シートとしての性能(1) 〜(6) 、(9) を満足す
るものが得られることを確認した。次に、基材シート表
面に重ねる表面シートとしては、透明度が高くかつ耐候
性に優れたアイソタクチックポリプロピレンシートを選
択した。このシートについて前記(1) 〜(10)の条件の充
足程度を調べた。表4にその程度を示す。
【0021】
【表4】
【0022】※5:アイソタクチックポリプロピレンの
結晶性が高いことによる。 ※6:再結晶化による白濁が生じた。
【0023】そこで、アイソタクチックポリプロピレン
と結晶化率の低いアタクチックポリプロピレンとの混合
系樹脂を用い、結晶化度を低下させて前記(1) 〜(10)の
条件の充足程度を調べた。表5にその程度を示す。
【0024】
【表5】
【0025】表5に示すように、アイソタクチックポリ
プロピレン+アタクチックポリプロピレンの混合系の樹
脂を用いることにより、(1) 及び(3) の充足度が幾分低
下したが、基材シートと積層することによってその分の
補強は受けており、また、折り曲げ時の応力も基材シー
ト層に一部分散されるため、積層シートの状態では白
化、亀裂は目立たないものとなった。また、易接着性が
完全には満たされないが、表面シートの場合には基材シ
ートとの接着が良好であれば十分であり、化粧シートと
して支承ないことを確認した。
【0026】先の出願は、上記の実験結果に基づくもの
であり、基本的に、主原料が高密度ポリエチレン、熱可
塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなる基
材シートとしての着色フィルムに、その上に、アイソタ
クチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレン
の混合系からなる複合立体構造を有する表面シートとし
ての無色又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂フィ
ルムを積層し、そして、必要に応じて基材シート又は表
面シートのいずれか又は両方に模様を施してなることを
特徴とする。
【0027】本発明は、上記した表面シートを構成する
アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプ
ロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポ
リプロピレン系樹脂組成物が易接着性において不十分で
あることに鑑みてなされたものであり、本発明による化
粧シートは、基本的に、表面シートである、アイソタク
チィクポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの
混合系からなる複合立体構造を有する無色又は着色透明
な軟質ポリプロピレン系樹脂層と、アイソタクチィクポ
リプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合系か
らなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン系樹脂
とエチレン系不飽和単量体の1種又は2種以上との共重
合体からなる易接着性ポリプロピレン系樹脂層と、主原
料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色
剤、及び無機充填剤からなる基材シートである着色フィ
ルム、とを少なくとも有し、必要に応じて基材シート又
は表面シートのいずれか又は両方に模様を施してなるこ
とを特徴とする。
【0028】基材シートを構成する高密度ポリエチレン
としては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポ
リエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く
分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエ
チレンが用いられる。
【0029】熱可塑性エラストマーとしては、ジエン系
ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー
等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴ
ム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加
させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明にお
いては、高密度ポリエチレン)の結晶化を抑え、柔軟性
をアップさせる。ジエン系ゴムとしは、イソプレンゴ
ム、ブダジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブダジ
エンゴム、アクリロニトリル・ブダジエンゴム、アクリ
ロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム
等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又
は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少
なくとも1種加えた弾性共重合体であり、オレフィンは
エチレン、プロピレン、α−オレフィン等が使用され、
ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、
ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィン系共
重合体ゴムとしては、例えばエチレン−プロピレン共重
合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、
エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主
成分とする弾性共重合体が挙げられる。
【0030】添加量としては、10〜60重量%、好ま
しくは30重量%程度である。10重量%より低いと一
定荷重時伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸
度、耐衝撃性の低下が生じ、60重量%より高いと透明
性、耐候性及び耐クリープ性の低下が生じる。
【0031】無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、クレー、タルク等の粉末が用いられる。添
加量としては、5〜60重量%程度、好ましくは30重
量%程度である。5重量%より低いと耐クリープ変形性
及び易接着性の低下が生じ、60量%より高いと破断時
伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
【0032】着色剤は基材シートに化粧シートとして必
要な色彩を持たせるためのものであり、チタン白、亜鉛
華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カー
ボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハンザ
イエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、
フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アル
ミニウム、真鍮等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、
塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用い
られる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれで
も可であるが、一般的には、被着体を隠蔽するために不
透明着色が好ましい。
【0033】さらに、必要に応じて、熱安定剤、難燃
剤、ラジカル捕捉剤等を添加する。熱安定剤は、フェノ
ール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォス
ファイト系、アミン系等公知のものであり、熱加工時の
熱変色等の劣化の防止性をより向上させる場合に用いら
れる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム等の粉末が用いられ、これらは、難燃性を付
与する必要がある場合に添加する。
【0034】これらの材料をブレンドしたものをカレン
ダー製法等の常用の方法により製膜して不透明着色基材
シートを得る。前記のように、得られる基材シートは化
粧シートの基材シートに求められる前記(1) 〜(6) 、
(9) 、(10)の条件を満足する。基材シートの厚みは50
〜200μm程度、好ましくは100μm程度である。
【0035】基材シートの表面には、好ましくは、易接
着層の塗布、コロナ放電処理、プラズマ処理等の易接着
処理が施される。易接着層(プライマー層、或いはアン
カー層とも云う)としては、アクリル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素
化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンが使用される
が、特に、ポリウレタンが望ましい。
【0036】アクリルとしては、ポリ(メタ)アクリル
酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メ
タ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチ
ル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブ
チル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)ア
クリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル
酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチ
ル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独
又は共重合体からなるアクリル樹脂(ただし、ここで
(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味
する)等が用いられる。
【0037】ポリウレタンとはポリオール(多価アルコ
ール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)
とするポリウレタンである。ポリオールとしては、分子
中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリル
ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール等が用いられる。
【0038】また、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネー
トが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメ
タンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或い
はヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソ
シアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素
添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(な
いしは脂環族)イソシアネートが用いられる。
【0039】本発明による化粧シートにおいて、基材シ
ートの表面に、表面シートである、アイソタクチィクポ
リプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合系か
らなる複合立体構造を有する無色又は着色透明な軟質ポ
リプロピレン系樹脂層と、その裏面に配置した、アイソ
タクチィクポリプロピレンとアタクチックポリプロピレ
ンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロ
ピレン系樹脂とエチレン系不飽和単量体の1種又は2種
以上との共重合体からなる易接着性ポリプロピレン系樹
脂層とを積層する。
【0040】アイソタクチックポリプロピレンとアタク
チックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を
有するポリプロピレンは、好ましくは、(A)(イ)マ
グネシウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供与体を必
須成分として含有する固体触媒成分、(ロ)有機アルミ
ニウム化合物、及び、(ハ)一般式
【0041】
【化2】
【0042】(式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水産基又はニ
トロ基、mは1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)
の整数てある)で表されるアルコキシ基含有芳香族化合
物の組み合わせからなる触媒の存在下、プロピレンを重
合させることにより得られる、数平均分子量(Mn)が
25000以上、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量Mnとの比Mw/Mnが7以下の沸騰ヘプタン
可溶性ポリプロピレン(アタクチックポリプロピレン)
10〜90重量%と(B)メルトインデックスが0.1
〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン
(アイソタクチックポリプロピレン)90〜10重量%
とからなる軟質ポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0043】表面シートである前記軟質ポリプロピレン
系樹脂組成物は、破断伸び(TB )が400%以上、好
ましくは500〜700%、100%伸長後の残留伸び
(PS100 )が80%以下、好ましくは50〜75%、
及び破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )との比M
B /MY が1.0以上、好ましくは1.5〜3.5の範
囲である。これらの力学的特性が前記範囲を逸脱すると
本発明の目的が十分達せられない。
【0044】前記前記軟質ポリプロピレン系樹脂組成物
において、(A)成分のアタクチックポリプロピレンと
して、沸騰ヘプタンに可溶性であって、数平均分子量
(Mn)が25000以上、好ましくは30000〜6
0000の範囲にあり、かつ、重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが7以下、好
ましくは2〜6の範囲にあるものが用いられる。このM
nが25000未満のものやMw/Mnが7を超えるも
のでは得られる樹脂における該アタクチックポリプロピ
レンの力学的特性への寄与効果が十分に発揮されず、得
られる樹脂の破断時応力(MB )と降伏時応力(MY
との比MB /MY が1.0未満になったり、100伸長
後の残留伸び(PS100 )が80%を超えたりして、本
発明の目的が達せられない。
【0045】上記(A)成分のアタクチックポリプロピ
レンはプロピレンの単独重合体であってもよく、プロピ
レン単体と40重量%以下、好ましくは30重量%以下
の他の炭素数2〜30のα−オレフィン単位とを含有す
るプロピレン共重合体であってもよい。また、このアタ
クチックポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】このような(A)成分のアタクチックポリ
プロピレンは公知の方法(特公平6−23278号公
報)によって製造することができる。具体的には、
(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子及び電子供
与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(ロ)有
機アルミニウム化合物、及び、(ハ)一般式
【0047】
【化3】
【0048】(式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル
基、R2 は炭素数1〜10の炭化水素基、水産基又はニ
トロ基、mは1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)
の整数てある)で表されるアルコキシ基含有芳香族化合
物の組み合わせからなる触媒の存在下、プロピレンを重
合させることにより、所望のアタクチックポリプロピレ
ンを得ることができる。
【0049】前記前記軟質ポリプロピレン系樹脂組成物
において、(B)成分として、好ましくは、メルトイン
デックス(MI)が0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタ
ン不溶性の結晶性アイソタクチックポリプロピレンが用
いられる。このメルトインデックスが0.1g/10分
未満では溶融特性が低く、シート成形が困難になる。4
g/10分越えると機械的強度が不十分となってVカッ
ト加工が良好に行えなくなる。
【0050】この(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンは、アイソタクチックの立体規則性を有するポ
リプロピレン単独重合体であってもよいし、該立体規則
性を有するプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合
体であってもよい。この共重合体に用いられる他のα−
オレフィンとしては、炭素数2〜8のもの、例えば、エ
チレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘ
プテン−1、オクテン−1等が好ましく、中でも、エチ
レン及びブテン−1が好適である。また、共重合体とし
ては、前記の他のα−オレフィン単位を通常40重量%
以下、好ましくは30重量%以下含有するブロック共重
合体やランダム共重合体が用いられる。
【0051】この(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンの好ましいものとしては、プロピレン単独重合
体、及びエチレン単位1〜30重量%、好ましくは3〜
25重量%を含有するプロピレンとエチレンとのランダ
ム共重合体又はブロック共重合体が挙げられる。このよ
うなアイソタクチックポリプロピレンの製造方法につい
ては特に制限はなく、従来結晶性ポリプロピレンの製造
に慣用されている方法の中から任意の方法を選択して用
いることができる。
【0052】本発明で使用する軟質ポリプロピレン系樹
脂組成物において、この(B)成分のアイソタクチック
ポリプロピレンは1種用いてもよいし、2種以上を組み
合わせてもよい。また、前記(A)成分のアタクチック
ポリプロピレンと(B)成分のアイソタクチックポリプ
ロピレンは、(A)成分の含有量が10〜90重量%、
好ましくは25〜80重量%で、(B)成分の含有量が
90〜10重量%、好ましくは75〜20重量%になる
ような割合で用いられる。該(A)成分の含有量が10
重量%未満では、樹脂の降伏時応力(MY )が大きくな
りすぎて、破断時応力(MB )と降伏時応力(MY )と
の比MB /MY が1.0未満となり、かつ100%伸長
後の残留伸び(PS100 )も80%より大きくなつて、
本発明の目的が達せられない。一方90重量%を越える
と破断時応力(MB )が小さくなりすぎて、該MB /M
Y が1.0未満となり、かつ機械的強度が低下し、本発
明の目的が達せられない。また、(B)成分の比率を高
くすることにより、得られる軟質ポリプロピレンのヤン
グ率は高くなる。(A)成分と(B)成分の特に好まし
い比率は1:1である。
【0053】表面シートの素材である軟質ポリプロピレ
ン系樹脂組成物には、化粧シートの表面層として求めら
れる機能を補強するために、所望により、各種添加剤、
補強材、充填剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐
熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤等が添加さ
れる。
【0054】紫外線吸収剤、光安定剤は、樹脂により良
好な耐候性(耐光性)を付与するためのものであり、そ
の添加量は紫外線吸収剤、光安定剤とも通常0.5〜1
0重量%程度である。一般的には、紫外線吸収剤と光安
定剤とを併用するのが好ましい。紫外線吸収剤として
は、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチル酸
エステル等の有機物、又は、0.2μm径以下の微粒子
状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を
用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケ
ート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジ
ン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることが
できる。
【0055】難燃剤は、基材シートの場合と同様であっ
てよい。これらの材料をブレンドした軟質ポリプロピレ
ン系樹脂組成物の裏面に、アイソタクチィクポリプロピ
レンとアタクチックポリプロピレンの混合系からなる複
合立体構造を有する軟質ポリプロピレン系樹脂(A)と
エチレン系不飽和単量体(B)の1種又は2種以上との
共重合体からなる易接着性ポリプロピレン系樹脂層が形
成される。ここでの軟質ポリプロピレン系樹脂(A)は
前記した表面シートの素材樹脂である軟質ポリプロピレ
ン系樹脂と同じである。
【0056】エチレン系不飽和単量体(B)は、例えば
カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボ
ン酸エステル、カルボン酸アミドないしイミド、アルデ
ヒド、ケトン等に基づくカルボニル基を単独で、あるい
はシアン基;ヒドロキシ基;エーテル基;オキシラン環
等との組み合わせで有するエチレン系不飽和単量体であ
り、具体的には、 A.エチレン系不飽和カルボン酸:アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン
酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカル
ボン酸等、 B.エチレン系不飽和無水カルボン酸:無水マレイン
酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジ
カルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等、 C.エチレン系不飽和エステル:アクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マ
レイン酸モノ又はジエチル、酢酸ビニル、プロビオン酸
ビニル、γ−ヒドロキシメタクリル酸プロビル、β−ヒ
ドロキシアクリル酸エチル、グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレート、β−N−エチルアミノエチ
ルアクリレート等、 D.エチレン系不飽和アミドないしイミド アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイミド等、 E.エチレン系不飽和アルデヒドないしケトン アクロレイン、メタクロレイン、ビニルメタケトン、ビ
ニルブチルケトン等、である。
【0057】このエチレン系不飽和単量体の1種又は2
種と前記アイソタクチィクポリプロピレンとアタクチッ
クポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有す
る軟質ポリプロピレン系樹脂との共重合体からなる易接
着性ポリプロピレン系樹脂層が、前記表面層である無色
又は着色透明な軟質ポリプロピレン系樹脂層の裏面に形
成される。その際に、カレンダー製法等の常用の方法に
より製膜してそれぞれのシートあるいはフィルムを得、
熱融着により積層化してもよく、2層を共押出しにより
一体化してもよい。共押出しによる場合には、Tダイで
押し出しの手法をとることができ、マルチマニホールド
方法、フィードバック方法等で押し出し積層する。
【0058】軟質ポリプロピレン系樹脂層と易接着性ポ
リプロピレン系樹脂層の厚みの割合は10:1〜5:1
程度であってよく、総厚みは50〜200μm程度、好
ましくは80〜100μm程度である。このようにして
得られた積層フィルムあるいはシートは化粧シートの表
面シートに求められる前記(1) 〜(8) 、特に、(7) 、
(8) の条件を満足すると共に、基材シートに対しての接
着力が向上し、軟質ポリプロピレン系樹脂層の持つ易接
着性不良を解消する。
【0059】前記着色フィルムである基材シートと表面
シートである前記無色又は着色透明な軟質ポリプロピレ
ン系樹脂層と易接着性ポリプロピレン系樹脂層との積層
体は、通常の手段により積層される。積層方法として
は、熔融押し出し塗工(エクストルージョンコート)、
熱プレスによる融着、或いは、2液硬化型ポリウレタン
樹脂、ポリエステル樹脂等の接着剤を用いたドライラミ
ネート等であってよい。それにより、本発明による化粧
シートは作られる。
【0060】なお、必要に応じて基材シートの表面ある
いは裏面又は表面シート表面のいずれか又は両方には好
ましくは定法により易接着処理が施され模様が形成され
る。図2(A)で、1は基材シート、2は表面シート、
2aは易接着性ポリプロピレン系樹脂層であり、この例
では、易接着層4を表面シート2の表面に設け、そこに
模様層3を設けている。模様処理としては、図2(A)
に示すような模様4の印刷、図2(B)に示すようなエ
ンボス加工(加熱プレス)、ヘアライン加工等による凹
凸模様賦形5等であってよく、さらに、凹凸模様5の凹
部に公知のワイピング法によって、着色インキ6を充填
することもできる。図2(C)に示すように、基材シー
ト1が被着体31に面する側に易接着層4を設ける場合
もある。
【0061】模様印刷としては、グラビア印刷、オフセ
ット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転
写印刷等公知の印刷法を用いインキ(或いは塗料)にて
模様を形成する。模様としては、木目模様、石目模様、
布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、或いは
全面ベタ等がある。
【0062】インキ(或いは)塗料としては、バインダ
ーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン
等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタ
ン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体、セルロース系樹脂、等を用い、一種又は二種以
上混合して用いる。これに前記に列挙した様な公知の顔
料を添加した物を用いる。
【0063】基材シート1に直接印刷する場合は、バイ
ンダーとして塩素化ポリオレフィン、ポリウレタン等が
接着性の点で好ましいが、易接着プライマーを適当に選
択して層形成すれば、其の他のバインダーを用いても十
分な接着性を与える。
【0064】エンボス加工としては、基材シートを加熱
軟化させ、エンボス版で加圧、賦形し、冷却固定して形
成するもので、公知の枚葉、或いは輪転式のエンボス機
が用いられる。凹凸形状としては、木目板導管溝、石板
表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨
地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。着色インキ
は前記と同様の物が可能である。但し、耐磨耗性の点
で、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとする物が好
ましい。
【0065】金属薄膜は、アルミニウム、クロム、金、
銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の
方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。
該金属薄膜は、全面に設けても、或いは、部分的にパタ
ーン状に設けても良い。
【0066】好ましくは、模様3を施した表面シート2
の上に、艶調整保護コート層を形成する。バインダーと
して塩素化ポリオレフィン、2液硬化ポリウレタン等が
好ましく、また、電離放射線硬化樹脂も用い得る。電離
放射線硬化型樹脂は、具体的には、分子中に重合不飽和
結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー、
ポリマー及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線
により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。な
お、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のう
ち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有す
るものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(E
B)が用いられる。
【0067】硬質塗膜を形成する電離放射線硬化性樹脂
は、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、
(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽
和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオー
ルを2個以上有する単量体、プレポリマー又はポリマー
からなる。これら単量体、プレポリマー又はポリマーは
単体で用いるか、あるいは複数種混合して用いる。な
お、ここで、例えば、(メタ)アクリロイル基とは、ア
クリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いてい
る。
【0068】ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリ
マーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリア
ジン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量とし
ては、通常250〜10000程度のものが用いられ
る。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマーとして
は、上記ポリマーの重合度を10000程度以上とした
ものが用いられる。
【0069】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビ
ニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂等のプレポリマーがある。
【0070】ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の
例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量
体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2
−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエ
チル(メタ)アクリレート等がある。
【0071】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等がある。
【0072】カチオン重合性官能基を有する単量体の例
としては、上記カチオン重合性官能基を有するプリポリ
マーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体
の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコ
レート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレー
ト等がある。
【0073】紫外線又は可視光線にて硬化させる場合に
は、電離放射線硬化樹脂中に光重合開始剤を添加する。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重
合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン
類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチル
エーテル等を単独又は混合して用いることができる。ま
た、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光
重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スル
ホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合
物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物
として用いるこができる。なお、これらの光重合開始剤
の添加量としては、該電離放射線硬化性樹脂100重量
%に対して、0.1〜10重量%程度である。
【0074】艶消しにする場合には、艶消(光拡散)剤
を添加する。艶消剤としては、炭酸カルシウム、シリ
カ、アルミナ、硫酸バリウム、ウレタン樹脂ビーズ、ポ
リカーボネート樹脂ビーズ等の粒径1〜30μm程度の
微粒子が有効である。膜厚は1〜100μm程度が好ま
しい。
【0075】本発明において、得られる化粧シートは、
延伸・未延伸いづれのシートも使用可能であるが、エン
ボス加工適性、Vカット加工等の成形加工適性の点から
は未延伸シートの方が好ましい。
【0076】図2(C)に示すように、本発明の化粧シ
ートは、他の被着体(裏打材)31に積層することもで
きる。その場合に、化粧シート自体では被着体と接着し
ない場合は、適当な易接着層あるいは接着剤層4を介し
て積層する。被着体に化粧シート自体が(熱融点等で)
接着可能な場合は、接着剤層は省いてもよい。
【0077】被着体としては各種素材の平板、曲面板等
の板材、シート(或いはフィルム)等の各種形状の物品
が対象となる。板材或いはシート(フィルム)のいづれ
にも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パ
ーチックルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材
板、木質繊維板等の木質板、鉄、アルミニウム等の金
属、アクリル、ポリカーボネート、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステ
ル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノー
ル樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の
樹脂、専ら板材、或いは立体形状物品として用いられる
素材としては、硝子、陶磁器、等のセラミックス、AL
C(発泡軽量コンクリート)等のセメント、硅酸カルシ
ウム、石膏等の非セメント窯業系材料、専らシート(或
いはフィルム)として用いられる素材としては、上質
紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カリウム、硝
子、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等があ
る。
【0078】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラー
で加圧して積層する方法、特公昭50−19132号
公報、特公昭43−27488号公報等に記載される様
に、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入して、
両金型を閉じ、雄型のゲートから熔融樹脂を射出充填し
て後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表面に化
粧シートを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート
方法、特公昭56−45768号公報、特公昭60−
58014号公報等に記載される様に、成形品の表面に
化粧シートを間に接着剤層を介して対向ないしは載置
し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化粧シ
ートを成形品表面に積層する、所謂真空プレス積層方
法、特公昭61−5895号公報、特公平3−266
6号公報等に記載される様に、円柱、多角柱等の柱状基
材の長軸方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供
給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、柱状体
を構成する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して
積層してゆく、所謂ラッピング加工方法、実公大15
−31122号公報、特開昭48−47972号公報等
に記載される様に、先ず化粧シートを板状基材に接着剤
層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは反
対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達す
る、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝
内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ箱体又は柱
状体を成形する所謂、Vカット又はUカット加工方法、
等がある。
【0079】本発明の化粧シートは各種被着体に積層
し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いる。例
えば、壁、天井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等
の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネ
ットの表面化粧、自動車、電車等の車輛内装、航空機内
装、窓硝子の化粧等である。
【0080】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0081】実施例 (1)高密度ポリプロピレン60重量%をベースに熱可
塑性エラストマーとしてスチレン−ブタジエンゴムを3
0重量%、無機添加剤として炭酸カルシウム10重量
%、また、着色顔料として弁柄とカーボンブラックを5
重量%添加して、熱安定剤及びヒンダードアミン系ラジ
カル捕捉剤を5重量%ブレンドしたものをカレンダー製
法にて厚み100μmに成膜した不透明着色シートを成
製した。
【0082】(2)上記着色シートの表裏面にコロナ放
電処理を施したあと、裏面側にウレタン系プライマーコ
ート(ヘキサメチルイソシエネート+アクリルポリオー
ル)(昭和インク株式会社:AFX)、表面側にウレタ
ン系プライマーコート(同上)及び柾目柄印刷(昭和イ
ンク株式会社:化X)を施し、印刷シートを得た。
【0083】(3)上記印刷シートの上に、厚さ100
μmのアイソタクチックポリプロピレン(数平均分子量
Mn:37000、重量平均分子量Mw/数平均分子量
Mn:4.7)50重量%とアタクチックポリプロピレ
ン50重量%の混合系ポリプロピレンに紫外線吸収剤と
してベンゾトリアゾール系紫外線吸収材を3000pp
m、光安定剤としてヒンダーミント系ラジカル捕捉剤を
5000ppm添加したことからなる軟質透明ポリオレ
フィンフィルムと、該軟質ポリオレフィンに無水マレイ
ン酸1000ppmをグラフト重合したホモポリマーを
Tダイ押出し機により、2層共押出しし、(2)で得た
印刷シートのプライマーコート及び印刷面にラミネート
を行った。このときの厚みとして、表面樹脂層の厚みが
70μm、易接着樹脂層の厚みが10μmであった。な
お、前記軟質透明ポリオレフィンフィルムの物性値は、
破断伸び(TB ):650%、100%伸長後の残留伸
び(PS100 ):70%、及び、破断時応力(MB ):
260kg/cm2 、降伏時応力(MY ):100kg
/cm2 であり、その比MB /MY :2.6であった。
その後、軟質透明ポリオレフィンフィルム側の表面に木
目導管模様をエンボス加工した。
【0084】該エンボス加工面にコロナ処理を施した
後、エンボス面に着色インキ(昭和シンク株式会社:P
E−12)を充填し、艶調整コート(昭和シンク株式会
社:OP−A4)を施して化粧シートを得た。
【0085】(4)得られた化粧シートから、幅5mm
×長さ10mmのサンプルを得、荷重5g、上昇温度毎
分20℃で170℃まで上昇させつつ延びを測定したと
ころ(TMA測定)、図1(c)に示すように、半硬質
塩化ビニルシートより約15℃温度域の高いところで、
同様の挙動を示すことがわかった。
【0086】比較例1 (1)実施例の表面シート及び基材シートとして、延伸
倍率3倍の2軸延伸アイソタクチックポリプロピレンの
厚さ100μmのシートを用いた。その他は実施例と同
様にした。
【0087】(2)得られた化粧シートのTMA測定を
行ったところ、図1(b)に示すように、温度変化に対
する物性値の変化が急峻であり、熱成形条件がきわめて
限られることがわかった。
【0088】〔性能評価試験〕実施例の化粧シートと比
較例1の化粧シートとを諸物性において比較した結果を
表6に示す。
【0089】〔試験法〕 1.透明性 ヘイズ値を東洋精機株式会社製の直読式ヘイズメーター
にて測定する。装飾処理無しのポリオレフィン樹脂シー
ト層単層で測定する。
【0090】2.耐候性 アイスーパーUVテスターにて、100時間の暴露試験
を行った後、カッターで化粧シートの表面をこすり、表
面シートの剥離を目視にて評価する。プラックパネル温
度63℃。
【0091】3.耐熱性 80°C雰囲気中で3分間加熱し、その前後での変色状
態を目視で確認する。 4.Vカット時のシート破断・亀裂 化粧シートの基材シート側を、エチレン・酢酸ビニル共
重合体エマルジョンの接着剤を用い、厚さ10mmのラ
ワン合板に接着、積層し、該合板の化粧シート側と反対
側に、合板と接着剤層との界面に迄達する断面V字型の
条溝を切削し、該条溝内にエチレン・酢酸ビニル共重合
体エマルジョンの接着剤を塗布し、該条溝を閉じる様に
して合板を折り曲げて合板をL字型(断面)に折り曲げ
た。加工時の雰囲気温度は10°Cであった。
【0092】5.凹凸模様の再現 目視で評価した。 6.接着力 基材シート/表面シートの積層体を幅1cmに切り抜い
たサンプルを幅方向と直交する方向に引張速度50mm
/min、雰囲気温度20°Cで、両サンプルの引張方
向が互いに180°になる様に引張試験を行い、層間界
面の剥離時の張力を測定した。
【0093】7.加熱寸法収縮率 化粧シートを100°C雰囲気中で30分間加熱して、
〔(加熱後の寸法)−(加熱前の寸法)〕×100/
(加熱前の寸法)=加熱寸法収縮率(%) を長手方向
(MD)、及び幅方向(TD)各々について求めた。
【0094】
【表6】
【0095】
【発明の効果】本発明の化粧シートの温度−伸び依存性
は、約15℃程度温度領域が高いものの、現在用いられ
ている塩化ビニルシートを主材とする化粧シートと同様
な温度−伸び依存性を有する。それにより、 Vカット加工可能な伸び率、耐引き裂き抵抗、柔軟性
を有しており、耐熱性も良好で、印刷を施すことによ
り、意匠性もアップするという効果を奏する。 一般のオレフィン系フィルムに比べて、エンボス加工
適性に優れている。さらに、表面シートの裏面に易接着
性ポリプロピレン系樹脂層を配置したことにより、基材
シートとの接着性は大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】素材の違う各種化粧シートの温度−伸びの関係
を示すグラフ。
【図2】本発明による化粧シートを説明する断面図であ
る。
【符号の説明】
1…基材シート 2…表面シート 2a…易接着性ポリプロピレン系樹脂層 3…模様 4…易接着層(プライマー層) 5、7…エンボス等の凹凸模様 6…着色インキ 31…被着体(平板)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面シートである、アイソタクチィクポ
    リプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合系か
    らなる複合立体構造を有する無色又は着色透明な軟質ポ
    リプロピレン系樹脂層と、 アイソタクチィクポリプロピレンとアタクチックポリプ
    ロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポ
    リプロピレン系樹脂とエチレン系不飽和単量体の1種又
    は2種以上との共重合体からなる易接着性ポリプロピレ
    ン系樹脂層と、 主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、
    着色剤、及び無機充填剤からなる基材シートである着色
    フィルム、 とを少なくとも有し、必要に応じて基材シート又は表面
    シートのいずれか又は両方に模様を施してなる化粧シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記軟質ポリプロピレン系樹脂が、
    (A)(イ)マグネシウム、チタン、ハロゲン原子及び
    電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、
    (ロ)有機アルミニウム化合物、及び、(ハ)一般式 【化1】 (式中のR1 は炭素数1〜20のアルキル基、R2 は炭
    素数1〜10の炭化水素基、水産基又はニトロ基、mは
    1〜6の整数、nは0又は1〜(6−m)の整数てあ
    る)で表されるアルコキシ基含有芳香族化合物の組み合
    わせからなる触媒の存在下、プロピレン重合させること
    により得られる、数平均分子量(Mn)が25000以
    上、かつ、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量Mn
    との比Mw/Mnが7以下の沸騰ヘプタン可溶性ポリプ
    ロピレン10〜90重量%と、(B)メルトインデック
    スが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性ポリプ
    ロピレン90〜10重量%とからなる軟質ポリプロピレ
    ン系樹脂組成物である請求項1記載の化粧シート。
  3. 【請求項3】 前記軟質ポリプロピレン系樹脂層とし
    て、破断伸び(TB )が400%以上、100%伸長後
    の残留伸び(PS100 )が80%以下、及び破断時応力
    (MB )と降伏時応力(MY )との比MB /MY が1.
    0以上である軟質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の化粧シート。
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