JPH10216522A - メタノール合成用の触媒 - Google Patents

メタノール合成用の触媒

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JPH10216522A
JPH10216522A JP9017051A JP1705197A JPH10216522A JP H10216522 A JPH10216522 A JP H10216522A JP 9017051 A JP9017051 A JP 9017051A JP 1705197 A JP1705197 A JP 1705197A JP H10216522 A JPH10216522 A JP H10216522A
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aluminum
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Toru Akano
徹 赤野
Masaki Hirano
正樹 平野
Takashi Saito
孝史 斎藤
Masahiro Wada
正大 和田
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタノール収量を向上して、メタノール合成
のコストを低減する。 【解決手段】 触媒原料としての銅、亜鉛、さらにアル
ミニウムおよび/またはジルコニウムを単独または二種
以上含む溶液を、上記各触媒原料の少なくとも一つを分
割してそれぞれ調製する。その後、上記各溶液と沈澱剤
とを順次混合することにより、上記各溶液に対し沈澱物
をそれぞれ生成させる。その後、上記各沈澱物からメタ
ノール合成用の触媒を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素および二酸化
炭素を主成分とするガスからメタノールを合成する際に
用いるメタノール合成用の触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、二酸化炭素と水素とからメタノー
ルを合成することは地球環境問題および炭素資源の再利
用の観点から注目を集めている。このようなメタノール
合成用の触媒は、従来から開発、研究がなされており、
酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウムを含む触媒系が主
流である(特開平7-39755号公報、特開平7-8799号公報
参照)。
【0003】このようなメタノール合成の反応では、熱
力学的および運転コストの観点からできるだけ低温度で
メタノール合成できることが好ましく、かつ、分離コス
トの観点からできるだけメタノール収量が大きいことが
望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
各公報の触媒系では、メタノール収量が小さく、特に低
温におけるメタノール収量が小さいことから、運転コス
トや分離コストが高くなるので、メタノールの製造にお
いてコストアップを招来するという問題を生じている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、気相に
おいて水素および二酸化炭素(一酸化炭素を含んでいて
もよい)からメタノールを合成する触媒において、比較
的低い反応温度(250℃以下)でも高い活性を示し、
かつ、高速度でメタノールを生成せしめてメタノール収
量が高い触媒について種々検討したところ、触媒原料と
しての銅、亜鉛、アルミニウムおよび/またはジルコニ
ウムの各化合物を沈澱剤にて沈澱を生成せしめる場合に
沈澱物粒子の成長具合や粒子の数、また活性成分の分散
性が触媒の活性にとって重要な因子となることが判り、
この因子を制御した触媒を見出すことにより、本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明のメタノール合成用の触
媒は、触媒原料としての銅、亜鉛、さらにアルミニウム
および/またはジルコニウムを触媒成分としてそれぞれ
含むメタノール合成用の触媒において、上記各触媒成分
の少なくとも一つを2以上の溶液に分割してそれぞれ溶
解した分割溶液と、上記分割した触媒成分と異なる触媒
成分を溶解した原料溶液とをそれぞれ調製し、上記各分
割溶液および原料溶液中の触媒成分を沈澱させるための
沈澱剤と、上記分割溶液および原料溶液とを混合して沈
澱物を生成させる際に、上記各分割溶液を分割してそれ
ぞれ混合することにより生成された各沈澱物からなるこ
とを特徴としている。
【0007】上記構成によれば、各触媒原料を単独また
は二種以上含む各溶液を分割して、順次沈澱剤と混合す
ることにより得られた触媒は、メタノールの選択率の向
上が見られ、メタノールの収量の改善、特に低温時のメ
タノール収量の改善が観察された。
【0008】このような触媒の製造方法の一例に基づい
て本発明の触媒をさらに詳細に説明すると、触媒原料と
しての必要量の銅の化合物である、例えば硝酸銅を2等
分し、第1の溶液として、一方の銅、亜鉛、アルミニウ
ムを含む溶液を調製する(A液)。第2の溶液として、
他方の銅を含む溶液を調製する(B液)。別に沈澱剤で
ある、例えば炭酸ナトリウム溶液を調製する(C液)。
【0009】ビーカー内に少量のイオン交換水を入れて
おき、まずA液とC液とを同時に一定速度でビーカー内
に供給して、上記ビーカー内にて、銅、亜鉛、アルミニ
ウムの沈澱物を含むスラリーを調製する。このとき、沈
澱生成反応中、スラリー温度70℃前後、pH7.0前
後に保つ。
【0010】このスラリー中の沈澱物をろ過、洗浄後、
さらにイオン交換水に分散後、そこに残りの硝酸銅溶液
であるB液と、分散剤であるC液とを同時に一定速度で
供給して、さらに銅の沈澱物を生成せしめる。
【0011】次に、沈澱物をろ過、イオン交換水で洗浄
後、100℃で10時間乾燥後(この乾燥物を、以下、
触媒前駆体と称する)、空気気流下350℃で3時間焼
成し粉砕、圧縮成型、粉砕後粒径を整えて触媒とする。
【0012】本発明の触媒において重要な点は、必須成
分として触媒原料である銅、亜鉛、アルミニウムおよび
/またはジルコニウムを単独元素あるいは2元素以上で
二以上に分割した分割溶液から調製されることである。
このような触媒は、触媒成分を溶解した分割溶液を少量
ずつ混合し、上記触媒成分と異なる他の触媒成分の表面
に、上記分割溶液の触媒成分を高分散させることがで
き、この高分散化によって触媒の活性を向上させること
ができるものである。
【0013】本発明において、必須成分である銅、亜
鉛、アルミニウムおよび/またはジルコニウムの化合物
を分割して調製する場合の、元素としては、銅のみ、亜
鉛のみ、アルミニウムおよび/またはジルコニウムの
み、銅と亜鉛、銅とアルミニウムおよび/またはジルコ
ニウム、亜鉛とアルミニウムおよび/またはジルコニウ
ムの組み合わせ等がある。
【0014】ここで、分割の回数は多ければ多い程効果
が上がるというわけではなく、また多いほど調製が煩雑
になる。この分割回数は最低2回で、最高でも高々10
回程度が好ましい。分割の規模は等分でもよいが、分割
された成分の最小値は最終的に触媒に必要な規定量の5
%以上含むこと、さらに好ましくは10%以上90%以
下が必要である。
【0015】この量が少なすぎても、多過ぎても特に銅
等の活性成分の分散が不十分となり期待される性能が得
られない。アルミニウム元素に相当する、つまり等価な
ものとして用いられるジルコニウム元素の量はアルミニ
ウム全てに置き換えてもよいが、好ましくは80%相当
量までの置き換えがよい。
【0016】一方、触媒原料の各元素の分割に当たっ
て、触媒の活性の向上には銅の分割が最も寄与する。触
媒の活性およびメタノールへの選択率の向上には、亜鉛
が分割された触媒が、また、触媒寿命の改善にはアルミ
ニウムおよび/またはジルコニウムが分割されて調製さ
れた触媒が好ましい。
【0017】本発明の触媒は、アルカリ性の沈澱剤を用
いて、いわゆる共沈法にて沈澱生成反応によって得られ
るものである。この沈澱生成反応に当たって、分割され
た各反応溶液の沈澱反応は連続して交互に行ってもよい
が、各沈澱反応毎に沈澱物のろ過、洗浄を行う方がより
好ましい。それは、特に沈澱剤として、アルカリ塩、ア
ンモニウム塩を用いた場合に、残存するそれちのアルカ
リイオン成分やアンモニウムイオン成分を極力少なくし
た方が、得られた触媒活性の再現性が高いためである。
【0018】本発明の触媒では、銅、亜鉛、アルミニウ
ムおよび/またはジルコニウムの化合物の溶液を沈澱剤
で沈澱物を生成せしめる場合に、スラリー溶液のpHを
一定値に固定する場合も勿論含まれるが、生成反応中に
酸性側とアルカリ性側との間にて上記スラリー溶液のp
Hを変動させる方が触媒活性の向上した触媒が得られ
る。
【0019】この効果は、例えば銅、亜鉛、アルミニウ
ムの各イオンのヒドロキシ炭酸塩が沈澱するpHが互い
に異なるためである。したがって、各イオンの沈澱に有
利なpHを、pHの変動によって沈澱反応中にとるよう
になるからである。
【0020】通常、共沈法で、各元素の沈澱物を調製す
る場合pHは一定になるように制御される。しかし、活
性成分の分散性を高めたり、各成分間の相互作用を強め
たり弱めたりする目的には沈澱反応中のpHを一定とな
るように制御するよりも、酸性側、アルカリ性側の間を
複数回変化させることが好ましい。この場合pHの限界
値は、3.0は11.0であり、この間における一回の
pH変化の操作におけるpHの差は少なくとも0.5以
上、好ましくは1.0以上で8.0以下が好ましい。
【0021】ここで、pHが3.0未満であれば、亜鉛
成分の沈澱が十分に起こり難い。逆にpHが11.0を
越えると銅、アルミニウムおよび/またはジルコニウム
成分の沈澱が急速に生じ、活性成分の分散性が低下す
る。
【0022】またpHの変化の差は大きい方が好まし
く、小さいと沈澱核の生成速度、沈澱核の数に変化が起
こり難く、やはり活性成分の分散性が悪くなる。ここ
で、pHを変化させる方法としては触媒構成成分溶液あ
るいは沈澱剤の供給速度を変えたり、硝酸、塩酸等の鉱
酸を加えて酸性側にしたり、アンモニア水などを加えて
アルカリ性側にしたりして変化させられる。なお、本発
明によるすべての沈澱反応終了時のpHは6.0以上、
10.0以下が好ましい。
【0023】本発明の製造方法によれば、一見すると、
触媒活性成分の分散性が均一でなく触媒調製に再現性が
小さい恐れがあるが、驚くことに極めて再現性の点でも
優れていることが分かった。
【0024】本願発明においては沈澱生成物を水溶性有
機化合物で処理することが好ましい。水溶性有機化合物
にはアルコール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル
類、カルボン酸類が好ましいが、特に銅、亜鉛と錯体を
形成し易いカルボン酸類が好ましい。
【0025】例えば、シュウ酸溶液を用いる場合には沈
澱物のろ過前にシュウ酸溶液を添加し、ろ過、洗浄を行
う。この場合、ろ液は銅の2価イオンの色になる。この
ことから、沈澱物表面の銅成分の溶出が生じ、銅の分布
が変化して活性のより強い表面銅が形成されたものと思
われる。ここで、水溶性有機酸の添加量は用いた全成分
モル数に対して0.05〜2倍量、好ましくは0.2〜
1.0倍量がより好ましい。
【0026】触媒前駆体を調製するに当り沈澱剤として
は炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、尿素、アンモニ
ア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナト
リウム等の塩基性溶液を用いることができる。その内で
も特に炭酸ナトリウムが好ましい。
【0027】触媒原料や沈澱剤を溶解する溶液として
は、それらを溶解するものであれば特に限定されない
が、溶解性の大きさから、水やメタノールやエタノール
等の極性溶媒を用いることが好適である。
【0028】触媒前駆体は200〜600℃で熱処理さ
れるが空気雰囲気に限定されることなく不活性ガス雰囲
気下でもよい。触媒調製法や組成によっては不活性ガス
雰囲気下での熱処理の方が好ましい場合がある。例え
ば、触媒前駆体を窒素ガス雰囲気下で350℃で熱処理
した後の触媒は酸化物状態を保ち、結晶水や硝酸根、炭
酸根、アンモニウム根が水、硝酸、炭酸ガス、アンモニ
アなどガス状態で除去されて反応に有利な細孔を形成し
ており、その細孔により次工程の還元処理を円滑化でき
るためと思われる。
【0029】ここで、触媒を構成する構成元素比率は、
銅の場合、全重量に対し金属として計算した銅の量が1
5〜80重量%、好ましくは30〜75重量%、より好
ましくは40〜70重量%であり、亜鉛の場合、酸化物
として計算した亜鉛の量が15〜80重量%、好ましく
は20〜70重量%、より好ましくは25〜60重量%
であり、アルミニウムおよび/またはジルコニウムの場
合、酸化物として計算したアルミニウムおよび/または
ジルコニウムの量が5〜70重量%、好ましくは8〜6
0重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
【0030】ただし、触媒は、全量を100とし、銅、
酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコ
ニウムの合計が100となっている。また、触媒の構成
元素の原子比で示せば、銅原子100に対して、亜鉛原
子15〜416、アルミニウムおよび/またはジルコニ
ウム原子3〜582となる。
【0031】銅原子の範囲が15重量%未満では活性成
分が少なすぎて活性が低い。また80重量%を越えると
銅が多過ぎて金属銅の熱的凝集を起こし易くやはり活性
が低い。酸化亜鉛についても15重量%未満では銅との
相互作用が弱くなり活性および選択性が低くなる。80
重量%を越えると逆に銅を希釈することになり活性が低
くなる。酸化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニ
ウムの量が5重量%未満では活性成分の銅の分散が不十
分で活性が低くなり、70重量%を越えると逆に銅を希
釈することになって活性が低くなる。
【0032】本発明における他の特徴は第4成分として
の他の元素Xの添加効果である。添加する元素はリチウ
ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムより
なるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロ
ンチウム、バリウムよりなるアルカリ土類金属、銀、パ
ラジウム、セリウム、クロム、マンガン、モリブデン、
バナジウム、ランタン、ニオブ、およびガリウムからな
る群から選択された少なくとも一種である。
【0033】このような触媒において、それら構成元素
の組成比は、銅の場合、全重量に対し金属として計算し
た銅の量が15〜80重量%、好ましくは30〜75重
量%、より好ましくは40〜70重量%であり、亜鉛の
場合、酸化物として計算した亜鉛の量が15〜80重量
%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは25
〜60重量%であり、アルミニウムおよび/またはジル
コニウムの場合、酸化物として計算したアルミニウムお
よび/またはジルコニウムの量が5〜70重量%、好ま
しくは8〜60重量%、より好ましくは10〜50重量
%であり、触媒の全重量に対し、酸化物として計算した
Xの量が、0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜1
5重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0034】ただし、上記の触媒は、銅、酸化亜鉛、酸
化アルミニウムおよび/または酸化ジルコニウム、Xの
酸化物を含み、それらの合計が100となっている。ま
た、触媒の構成元素の原子比で示せば、銅原子100に
対して、亜鉛原子15〜416、アルミニウムおよび/
またはジルコニウム原子3〜582、X原子0.05〜
28となる。
【0035】X成分の添加量が少なすぎると活性向上の
効果が発現しない。逆に20重量%を越えると活性成分
が希釈されて活性が低下したり、添加物それ自体の性質
が現れ過ぎて過反応が起こり易くなるため、好ましくな
い。
【0036】また、触媒を調製するにあたり、生成した
沈澱物を直接乾燥および/または焼成して触媒を得るこ
ともできるが、好ましくは、上記沈澱物をろ過し、次い
で、沈澱剤を溶解した水等の溶液で洗浄し、乾燥および
/または焼成して得られたものである。
【0037】このX成分の添加にあたっては次の方法が
好ましい。例えば水溶性X成分化合物をイオン交換水や
酸性溶液に溶解して溶液を調製する(D液とする)。こ
のD液をA液とC液との沈澱反応生成物に添加し、ろ
過、沈澱物をイオン交換水に分散させ、そこにB液とC
液との沈澱反応を行わせた後、ろ過、沈澱物を回収し触
媒前駆体とする。
【0038】別には、A液とC液との沈澱反応を行い、
ろ過した沈澱物をイオン交換水に分散後、そこにB液と
C液との沈澱反応を行い、そのスラリーにD液を加え、
ろ過、沈澱物を回収し触媒前駆体を得る。
【0039】別には、A液とC液との沈澱反応を行い、
そこにD液を加え、そのままB液とC液との沈澱反応を
行い、ろ過、沈澱物を回収し触媒前駆体を得る。
【0040】また別には、A液とC液とから沈澱反応を
行い、ろ過、沈澱物をイオン交換水に分散させた後、そ
こでB液とC液との沈澱反応を行い、ろ過、沈澱物を回
収後、空気中100℃で10時間乾燥する。この乾燥粉
体をD液で含浸し、再度乾燥して触媒前駆体を得る。
【0041】別には、A液とC液とからの沈澱反応と、
B液とC液との沈澱反応とから回収した沈澱ろ過物を3
50℃で3時間空気気流下にて熱処理後、この熱処理物
をD液と練り、再度乾燥して触媒前駆体を得る方法等が
用いられる。
【0042】一度、必須成分(銅、亜鉛、アルミニウム
および/またはジルコニウム)を熱処理しておくと活性
成分が安定な化合物に変化し、そこに第4成分であるX
成分が均一に分散されるために添加効果が発現する。
【0043】本発明の触媒による主に二酸化炭素の水素
化反応によるメタノール合成反応を行うにあたっては、
触媒前駆体の熱処理後の触媒をそのまま反応に供しても
よいが、触媒を予め水素あるいは水素含有ガスにて還元
処理を行う方が、触媒は活性状態に速く変化する。
【0044】以下に本発明を各実施例によりさらに詳細
に説明するが、本願発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0045】
【実施例】本発明の各実施例について説明すれば、以下
の通りである。 〔実施例1〕硝酸銅三水和物24.0g、硝酸亜鉛六水
和物23.0gおよび硝酸アルミニウム九水和物15.
4gをイオン交換水に溶解して300mlの水溶液を調
製しA液とした。別に、硝酸銅三水和物24.0gをイ
オン交換水に溶解して150mlの水溶液を調製しB液
とした。また別に無水炭酸ナトリウム44.7gをイオ
ン交換水に溶解して400mlの水溶液を調製しC液と
した。
【0046】次に、65〜70℃に保ち、攪拌した40
0mlのイオン交換水中に、A液とC液とを一定速度で
滴下した。その間、pHはできるだけ7.0に保った。
得られた沈澱物は、ろ過、イオン交換水で洗浄後100
0mlのイオン交換水にろ過物を分散して、65〜70
℃に保ち、かつpH7.0になるようにB液とC液と一
定速度で滴下した。
【0047】得られた沈澱物は、ろ過、イオン交換水で
洗浄後、空気雰囲気下100℃で10時間処理し触媒前
駆体を得た。この触媒前駆体を空気気流下350℃で3
時間熱処理を行った。この触媒の組成は水素還元後の組
成で示すと、銅(以下、Cuという)60重量%、酸化
亜鉛(以下、ZnOという)30重量%、酸化アルミニ
ウム(以下、Al2 3 という)10重量%であった。
【0048】この触媒2mlを反応管に層状となるよう
に充填し、その触媒に対し、250℃で1容量%水素ガ
ス含有窒素ガスにて1.5時間還元処理を行って触媒層
を形成した後、その触媒層に対し、反応圧力40Kg/
cm2 G、ガス空間速度6000hr-1、反応ガス組成
が二酸化炭素(CO2 )25容量%、水素75容量%で
ある混合ガスを供給し、反応温度210,250℃の条
件にて二酸化炭素の水素化反応をそれぞれ行った。それ
らの結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】〔比較例1〕硝酸銅三水和物48.0g、
硝酸亜鉛六水和物23.0gおよび硝酸アルミニウム九
水和物15.4gをイオン交換水に溶解して300ml
の水溶液を調製しA液とした。別に無水炭酸ナトリウム
44.7gをイオン交換水に溶解して400mlの水溶
液を調製しB液とした。
【0051】次に、65〜70℃に保ち、攪拌しなが
ら、400mlのイオン交換水中に、A液とB液とを、
pHはできるだけ7.0に保つように一定速度で滴下し
た。得られた沈澱物は、ろ過、イオン交換水で洗浄後、
空気雰囲気下100℃で10時間処理し触媒前駆体を得
た。この触媒前駆体を空気気流下350℃で3時間熱処
理を行い比較用触媒を得た。この比較用触媒の組成は水
素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO30
重量%、Al2 3 10重量%であった。
【0052】この比較用触媒を用い、実施例1の方法に
したがって上記比較用触媒の性能評価を行った。その結
果、反応温度210℃ではCO2 転化率7.3%、メタ
ノール選択率63.3%、メタノール空時収量99(g
/l・hr)であり、反応温度250℃ではCO2 転化
率18.3%、メタノール選択率41.3%、メタノー
ル空時収量162(g/l・hr)であった。
【0053】上記比較例1の触媒は、実施例1に記載の
触媒組成について共沈法により触媒を調製したものであ
る。この比較例1の触媒では、実施例1の触媒と比較し
て、表1から明らかなように、特に反応温度210℃に
おいて、CO2 転化率、メタノール選択率、メタノール
空時収量の低下が観察され、本願発明の触媒原料の溶液
を分割して順次、沈澱反応を生じせしめて調製した触媒
が、比較例1記載の触媒と比べ、メタノール合成におい
てメタノール収量が高いことが判った。
【0054】〔比較例2〕実施例1記載のA液と、実施
例1記載のC液とを、65〜70℃に保ち、攪拌した4
00mlのイオン交換水中に対し、pHはできるだけ
7.0に保ちながら一定速度で滴下し、第1沈澱スラリ
ーを得た。
【0055】別に、実施例1記載のB液と、実施例1記
載のC液とを、65〜70℃に保ち、攪拌した300m
lのイオン交換水中に対し、pHはできるだけ7.0近
辺に保ちながら一定速度で滴下して第2沈澱スラリーを
得た。
【0056】この第2沈澱スラリーを上記の第1沈澱ス
ラリーに加え、両者の沈澱物をろ過、イオン交換水で洗
浄後、空気雰囲気下100℃で10時間処理し触媒前駆
体を得た。この触媒前駆体を空気気流下350℃で3時
間熱処理を行った。この触媒の組成は、水素還元後の組
成で示すと、Cu60重量%、ZnO30重量%、Al
2 3 10重量%であった。
【0057】この比較用触媒を用い、実施例1の方法に
したがって上記比較用触媒の性能評価を行った。その結
果を表1に示した。この比較例2の触媒では、実施例1
の触媒と比較して、表1から明らかなように、特に反応
温度210℃において、CO2 転化率、メタノール選択
率、メタノール空時収量の低下が観察され、本願発明の
触媒原料の溶液を分割して順次、沈澱反応を生じせしめ
て調製した触媒が、比較例1記載の触媒と比べ、メタノ
ール合成においてメタノール収量が高いことが判った。
【0058】〔実施例2〕実施例1記載のA液と、実施
例1記載のC液とを、65〜70℃に保ち、攪拌した4
00mlのイオン交換水中に対し、pHを7.0前後に
保ちながら一定速度で滴下した。続いて、上記イオン交
換水中に対し、実施例1記載のB液と、実施例1記載の
C液とを、一定速度で滴下し、さらに銅化合物の沈澱物
を生成させた。これ以後の操作は実施例1にしたがって
触媒を得た。
【0059】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すと、Cu60重量%、ZnO30重量%、Al2 3
10重量%であった。この触媒を用い、実施例1の方法
にしたがって上記触媒の性能評価を行い、その結果を表
1に示した。
【0060】〔実施例3〕本実施例3では、実施例1記
載の触媒前駆体に対し、実施例1における空気気流下で
の熱処理に代えて、熱処理を窒素雰囲気下、350℃で
3時間熱処理を行い、以下、実施例1と同様にして触媒
を得た。この触媒を用い、実施例1の方法にしたがって
上記触媒の性能評価を行った。その結果を表1に示し
た。
【0061】〔実施例4〕実施例1記載の酸性を示すA
液と、実施例1記載のアルカリ性を示すC液とを、65
〜70℃に保ち攪拌した400mlのイオン交換水中に
対し、上記A液とC液とによるスラリーがpH4.5と
なるように、上記のA液とC液の各供給速度を調節した
一定速度で一定時間供給し、沈澱反応を開始した。
【0062】次に、A液の供給速度を下げる一方、C液
の供給速度を上げて上記スラリーのpHを8.0に調整
した。このようなpHの変動を含む操作を数回繰り返し
て、スラリーのpHを、まず酸性側からはじめてアルカ
リ性側に変え、続いて、酸性側に変え、さらにアルカリ
性側に変えるというpHの変動を繰り返して沈澱反応を
行った。ただし、沈澱反応反応の終了時は、pH6.5
以上、7.5以下に調整した。
【0063】こうして得られた沈澱物に対して、実施例
1記載の操作方法にしたがって触媒を得た。この触媒を
用い、実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価
を行った。その結果を表1に示した。
【0064】〔実施例5〕上記実施例4では、沈澱反応
を、まずスラリーのpHを酸性側(pH4.5)に調整
した後、上記スラリーのpHをアルカリ性側(pH8.
0)に調整し、再度、酸性側というように繰り返した例
を挙げた。
【0065】本実施例5では、まず、沈澱反応の開始
時、最初にC液を供給してスラリーのpHを8.0とな
るように、A液とC液との沈澱反応を行い。次に、スラ
リーのpHが4.5となるようにA液の供給速度を上げ
る一方、C液の供給速度を下げた。
【0066】このような操作を数回繰り返し、反応中の
スラリーのpHを、まず、アルカリ性側から酸性側へ、
続いて、酸性側からアルカリ性側へと,スラリーのpH
を変動させて、沈澱反応を行った。
【0067】以下、実施例4と同様にして触媒を得た。
この触媒を用い、実施例1の方法にしたがって上記触媒
の性能評価を行った。その結果を表1に示した。
【0068】〔実施例6〕硝酸銅三水和物32.0g、
硝酸亜鉛六水和物23.0gおよび硝酸アルミニウム九
水和物15.4gをイオン交換水に溶解して300ml
の水溶液を調製しA液とした。別に硝酸銅三水和物1
6.0gをイオン交換水に溶解して150mlの水溶液
を調製しB液とした。
【0069】その他は実施例1と同様の操作方法で触媒
を調製し、実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能
評価を行った。その結果を表1に示した。
【0070】〔実施例7〕硝酸銅三水和物6.0g、硝
酸亜鉛六水和物5.75gおよび硝酸アルミニウム九水
和物3.85gをイオン交換水に溶解して100mlの
水溶液を調製し、それをA1 液とした。それと同様の水
溶液をさらに3つ別々に調製し、それぞれをA2 液、A
3 液、A4 液とした。
【0071】別に硝酸銅三水和物16.0gをイオン交
換水に溶解して75mlの水溶液を調製しB1 液とし
た。それと同様の水溶液をさらに3つ別々に調製し、そ
れぞれをB2 液、B3 液、B4 液とした。
【0072】また別に無水炭酸ナトリウム44.7gを
イオン交換水に溶解して400mlの水溶液を調製しC
液とした。
【0073】前記A1 液と上記のC液とをそれぞれ別々
に、65〜70℃に保ち、攪拌した400mlのイオン
交換水中に対し供給し、沈澱物を生成させて沈澱物を含
むスラリーを得た。次に、そのスラリーに対し、B1
とC液とを供給して、銅化合物の沈澱物を生成させた。
このような操作をA2 液、A3 液、A4 液とC液、B2
液、B3 液、B4 液とC液にて行い、そのような操作を
4回繰り返して沈澱物を得た。沈澱反応中のpHを7.
0前後に保った。
【0074】こうして得られた沈澱物を、ろ過、イオン
交換水で洗浄後、空気雰囲気下100℃で10時間乾燥
して触媒前駆体を得た。この触媒前駆体を空気気流下3
50℃で3時間熱処理を行い触媒を得た。この触媒の組
成は、水素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、Z
nO30重量%、Al2 3 10重量%であった。実施
例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。
その結果を表1に示した。
【0075】〔実施例8〕硝酸銅三水和物10.0g、
硝酸亜鉛六水和物62.5gおよび硝酸アルミニウム九
水和物29.1gをイオン交換水に溶解して400ml
の水溶液を調製しA液とした。別に硝酸銅三水和物1
0.0gをイオン交換水に溶解して100mlの水溶液
を調製しB液とした。また別に無水炭酸ナトリウム4
4.7gをイオン交換水に溶解して400mlの水溶液
を調製しC液とした。
【0076】その後の触媒前駆体の調製およびその熱処
理の方法は実施例1にしたがって触媒を得た。実施例1
の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その
結果を表1に示した。この触媒の組成は、水素還元後の
組成で示すと、Cu20重量%、ZnO65重量%、A
2 3 15重量%であった。
【0077】〔実施例9〕実施例8にしたがって触媒を
調製した。ただし、A液の調製時には硝酸銅三水和物1
4.1g、硝酸亜鉛六水和物9.1gおよび硝酸アルミ
ニウム九水和物7.2gを用いた。またB液の調製に当
たっては硝酸銅三水和物14.1gを用いた。
【0078】その結果得られた触媒の組成は、水素還元
後の組成で示すと、Cu68重量%、ZnO23重量
%、Al2 3 39重量%であった。実施例1の方法に
したがって上記触媒の性能評価を行った。その結果を表
1に示した。
【0079】〔実施例10〕実施例8にしたがって触媒
を調製した。ただし、A液の調製時には硝酸銅三水和物
15.0g、硝酸亜鉛六水和物7.7gおよび硝酸アル
ミニウム九水和物5.2gを用いた。またB液の調製に
当たっては硝酸銅三水和物15.0gを用いた。
【0080】その結果得られた触媒の組成は、水素還元
後の組成で示すと、Cu75重量%、ZnO20重量
%、Al2 3 35重量%であった。実施例1の方法に
したがって上記触媒の性能評価を行った。その結果を表
1に示した。
【0081】〔実施例11〕実施例8にしたがって触媒
を調製した。ただし、A液の調製時には硝酸銅三水和物
8.3g、硝酸亜鉛六水和物8.2gおよび硝酸アルミ
ニウム九水和物48.2gを用いた。また、B液の調製
に当たっては硝酸銅三水和物8.3gを用いた。
【0082】その結果得られた触媒の組成は、水素還元
後の組成で示すと、Cu33重量%、ZnO17重量
%、Al2 3 50重量%であった。実施例1の方法に
したがって上記触媒の性能評価を行った。その結果を表
1に示した。
【0083】〔実施例12〕A液の調製法において硝酸
アルミニウム九水和物15.4gに代えて、硝酸アルミ
ニウム九水和物7.7g、オキシ硝酸ジルコニウム二水
和物2.3gとした以外は実施例1の調製法にしたがっ
て触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、水
素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO30
重量%、Al2 3 5重量%、ZrO5重量%であっ
た。実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を
行った。その結果を表1に示した。
【0084】〔実施例13〕実施例1におけるA液の調
製用の硝酸アルミニウム九水和物15.4gに代えて、
オキシ硝酸ジルコニウム二水和物4.5gとした以外は
実施例1の触媒調製法にしたがって触媒を得た。この触
媒の組成は、水素還元後の組成で示すと、Cu60重量
%、ZnO30重量%、ZrO10重量%であった。実
施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行っ
た。その結果を表2に示した。
【0085】
【表2】
【0086】〔実施例14〕実施例1において、B液と
C液との反応終了後にろ過、洗浄する前に、100%グ
リコール酸9.0gを添加して15分間攪拌の後、ろ
過、イオン交換水にて洗浄を行い、空気気流下100℃
で10時間乾燥して触媒前駆体を得た。それ以外は実施
例1の方法にしたがい触媒の調製を行った。得られた触
媒の評価は実施例1にしたがった。その結果を表2に示
した。
【0087】〔実施例15〕実施例14におけるグリコ
ール酸に代えて、イオン交換水100mlにシュウ酸
7.0gを溶解したシュウ酸水溶液を用いた以外は実施
例14の方法で触媒を調製した。得られた触媒の評価は
実施例1にしたがった。その結果を表2に示した。
【0088】〔実施例16〕硝酸銅三水和物48.0
g、硝酸亜鉛六水和物11.5gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物15.4gをイオン交換水に溶解し300m
lの水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸亜鉛六水
和物11.5gをイオン交換水に溶解し150mlの水
溶液を調製し、B液とした。
【0089】その他の調製法は実施例1の方法にしたが
って触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、
水素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO3
0重量%、Al2 3 10重量%であった。実施例1の
方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0090】〔実施例17〕硝酸銅三水和物48.0
g、硝酸亜鉛六水和物23.0gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物7.7gをイオン交換水に溶解し300ml
の水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸アルミニウ
ム九水和物7.7gをイオン交換水に溶解し150ml
の水溶液を調製し、B液とした。
【0091】その他の調製法は実施例1の方法にしたが
って触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、
水素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO3
0重量%、Al2 3 10重量%であった。実施例1の
方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0092】〔実施例18〕硝酸銅三水和物24.0
g、硝酸亜鉛六水和物11.5gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物15.4gをイオン交換水に溶解し300m
lの水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸銅三水和
物24.0g、硝酸亜鉛六水和物11.5gをイオン交
換水に溶解し150mlの水溶液を調製し、B液とし
た。
【0093】その他の調製法は実施例1の方法にしたが
って触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、
水素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO3
0重量%、Al2 3 10重量%であった。実施例1の
方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0094】〔実施例19〕硝酸銅三水和物48.0
g、硝酸亜鉛六水和物11.5gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物7.7gをイオン交換水に溶解し300ml
の水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸亜鉛六水和
物11.5g、硝酸アルミニウム九水和物7.7gをイ
オン交換水に溶解し150mlの水溶液を調製し、B液
とした。
【0095】その他の調製法は実施例1の方法にしたが
って触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、
水素還元後の組成で示すと、Cu60重量%、ZnO3
0重量%、Al2 3 10重量%であった。実施例1の
方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0096】〔実施例20〕硝酸銅三水和物20.0
g、硝酸亜鉛六水和物15.3gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物23.1gをイオン交換水に溶解し300m
lの水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸銅三水和
物20.0g、硝酸アルミニウム九水和物23.1gを
イオン交換水に溶解し150mlの水溶液を調製し、B
液とした。
【0097】その他の調製法は実施例1の方法にしたが
って触媒を調製した。その結果得られた触媒の組成は、
水素還元後の組成で示すと、Cu50重量%、ZnO2
0重量%、Al2 3 30重量%であった。実施例1の
方法にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0098】〔実施例21〕硝酸銅三水和物24.0
g、硝酸亜鉛六水和物23.0gおよび硝酸アルミニウ
ム九水和物15.4gをイオン交換水に溶解し300m
lの水溶液を調製しA液とした。また別に硝酸銅三水和
物24.0gをイオン交換水に溶解し150mlの水溶
液を調製し、B液とした。
【0099】また別に無水炭酸ナトリウム44.7gを
イオン交換水に溶解して400mlの水溶液を調製しC
液とした。また別に水酸化リチウム0.37gをイオン
交換水に溶解して50mlの水溶液を調製しD液とし
た。
【0100】次に、65〜70℃に保ち、攪拌した40
0mlのイオン交換水中に、A液とC液とを、pHを
7.0に保ちながら、一定速度で滴下した。その後、D
液を滴下し、ろ過し、イオン交換水で洗浄後1000m
lのイオン交換水にろ過物を分散した。それに対し、6
5〜70℃に保ち、攪拌しながらB液とC液とを、pH
7.0を保ちながら一定速度で滴下した。
【0101】得られた沈澱物は、ろ過、イオン交換水で
洗浄後、空気雰囲気下100℃で10時間処理し触媒前
駆体を得た。この触媒前駆体を空気気流下350℃で3
時間熱処理を行い触媒を得た。
【0102】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すと、Cu59.4重量%、ZnO29.7重量%、A
2 3 9.9重量%、Li2 O1.0重量%であっ
た。実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を
行った。その結果を表2に示した。
【0103】〔実施例22〕実施例1においてB液とC
液とをpH7.0近辺に保ちながら、一定速度で滴下し
た後に、硝酸ナトリウム0.63gをイオン交換水に溶
解させた水溶液50mlを加え、得られた沈澱物をろ
過、イオン交換水で洗浄後、沈澱物を空気雰囲気下10
0℃で10時間処理し触媒前駆体を得た。この触媒前駆
体を空気気流下350℃で3時間熱処理を行い触媒を得
た。
【0104】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すと、Cu59.4重量%、ZnO29.7重量%、A
2 3 9.9重量%、Na2 O1.0重量%であっ
た。実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を
行った。その結果を表2に示した。
【0105】〔実施例23〕実施例1においてA液とC
液とを一定速度で滴下して、沈澱物を得た後に硝酸カリ
ウム0.49gをイオン交換水に溶解した38mlの水
溶液を添加し、続いてB液とC液とを一定速度で滴下し
た。それ以外の操作は実施例1と同様に行って触媒を得
た。
【0106】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すと、Cu59.4重量%、ZnO29.7重量%、A
2 3 9.9重量%、K2 O1.0重量%であった。
実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行
い、その結果を表2に示した。
【0107】〔実施例24〕実施例21においてD液の
調製に用いた水酸化リチウムに代えて、硝酸ルビジウム
0.18gを用いた以外は実施例21にしたがって触媒
を調製した。
【0108】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すとCu59.7重量%、ZnO29.9重量%、Al
2 3 10重量%、Rb2 O0.4重量%であった。実
施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行い、
その結果を表2に示した。
【0109】〔実施例25〕実施例21においてD液の
調製に用いた水酸化リチウムに代えて、硝酸セシウム
0.08gを用いた以外は実施例21にしたがって触媒
を調製した。
【0110】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すとCu59.9重量%、ZnO29.9重量%、Al
2 3 10重量%、Cs2 O0.2重量%であった。実
施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行い、
その結果を表2に示した。
【0111】〔実施例26〜29〕実施例21において
D液の調製に用いた水酸化リチウムに代えて、実施例2
6では硝酸マグネシウム六水和物4.1g、実施例27
では硝酸カルシウム四水和物2.7g、実施例28では
硝酸ストロンチウム1.3g、実施例29では硝酸バリ
ウム1.1gをそれぞれ用いた以外は実施例21にした
がって触媒をそれぞれ調製した。
【0112】上記各触媒の性能評価を実施例1の方法に
したがってそれぞれ行い、実施例26で得られた触媒の
性能評価の結果を表2に、実施例27ないし実施例29
にて得られた触媒の性能評価の結果を表3にそれぞれ示
した。
【0113】
【表3】
【0114】〔実施例30〜35〕実施例21において
D液の調製に用いた水酸化リチウムに代えて、実施例3
0では硝酸ランタン、実施例31では硝酸銀、実施例3
2では硝酸溶液に溶解させた硝酸パラジウム、実施例3
3では硝酸ガリウム、実施例34ではシュウ酸ニオブ、
実施例35ではメタバナジン酸アンモニウムをそれぞれ
用いた以外は実施例21にしたがって触媒をそれぞれ調
製した。
【0115】これらの触媒の組成は、水素還元後の組成
で示すと、Cu55.6重量%、ZnO27.8重量
%、Al2 3 9.3重量%に対して、La2 3 、A
2 OPbO、Ga2 3 、Nb2 5 、V2 5 とし
て7.3重量%であった。上記各触媒の性能評価を実施
例1の方法にしたがってそれぞれ行い、それらの結果を
表3にそれぞれ示した。
【0116】〔実施例36〕実施例21においてD液の
調製に用いた水酸化リチウム0.37gに代えて、硝酸
セリウム六水和物7.9gを用い、さらにD液を滴下し
た後、C液にてpHを9とした後、沈澱物のろ過、洗浄
を行った。その他の触媒調製は実施例21にしたがって
行った。
【0117】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すとCu52.2重量%、ZnO26.1重量%、Al
2 3 8.7重量%、CeO2 13.0重量%であっ
た。実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を
行った。その結果を表3に示した。
【0118】〔実施例37〕実施例1に記載の触媒前駆
体を粉砕して粉体となし、硝酸マンガン六水和物3.6
gをイオン交換水で溶解した水溶液38mlでこの粉体
を含浸させた後、空気気流下100℃で10時間乾燥し
た。この乾燥物を空気気流下350℃で3時間熱処理を
行って触媒を得た。
【0119】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すとCu57.1重量%、ZnO28.6重量%、Al
2 3 9.5重量%、MnO4.8重量%であった。実
施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を行い、
その結果を表3に示した。
【0120】〔実施例38〕実施例1に記載の触媒前駆
体を空気気流下350℃で3時間熱処理を行った後粉砕
して粉体とした。この粉体をクロム酸1.42gをイオ
ン交換水38mlで溶解した水溶液に含浸させた後、空
気気流下350℃で3時間熱処理を行って触媒を得た。
【0121】この触媒の組成は、水素還元後の組成で示
すとCu57.1重量%、ZnO28.6重量%、Al
2 3 9.5重量%、Cr2 3 4.8重量%であっ
た。実施例1の方法にしたがって上記触媒の性能評価を
行った。その結果を表3に示した。
【0122】〔実施例39〕実施例38におけるクロム
酸に代えて、パラモリブデン酸アンモン1.33gを用
いて、他は実施例38と同様に操作して触媒を得た。こ
の触媒の組成は、水素還元後の組成で示すとCu57.
1重量%、ZnO28.6重量%、Al2 3 9.5重
量%、MoO3 4.8重量%であった。実施例1の方法
にしたがって上記触媒の性能評価を行った。その結果を
表3に示した。
【0123】〔実施例40〕実施例1の触媒2mlを反
応管に充填し、250℃で1容量%H2 含有窒素ガスに
て1.5時間還元処理を行った。その後、反応圧力40
Kg/cm2 G、ガス空間速度12000hr-1、反応
ガス組成が二酸化炭素(CO2 )25容量%、水素75
容量%である混合ガスを供給し、反応温度210,25
0℃の条件にて二酸化炭素の水素化反応をそれぞれ行っ
た。それらの結果を表3に示した。
【0124】
【発明の効果】本発明のメタノール合成用の触媒は、以
上のように、銅、亜鉛、さらにアルミニウムおよび/ま
たはジルコニウムからなる各触媒成分の少なくとも一つ
を2以上の溶液に分割してそれぞれ溶解した分割溶液
と、上記分割した触媒成分と異なる触媒成分を溶解した
原料溶液とをそれぞれ調製し、上記各分割溶液および原
料溶液中の触媒成分を沈澱させるための沈澱剤と、上記
分割溶液および原料溶液とを混合して沈澱物を生成させ
る際に、上記各分割溶液を分割してそれぞれ混合するこ
とにより生成された各沈澱物からなる構成である。
【0125】それゆえ、上記構成では、メタノール合成
に用いると、メタノールの選択率の向上が見られ、メタ
ノールの収量の改善、特に低温時のメタノール収量が改
善されるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 29/154 C07C 31/04 31/04 B01J 23/82 Z (72)発明者 斎藤 孝史 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992−1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 和田 正大 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992−1 株式会社日本触媒内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】触媒原料としての銅、亜鉛、さらにアルミ
    ニウムおよび/またはジルコニウムを触媒成分としてそ
    れぞれ含むメタノール合成用の触媒において、 上記各触媒成分の少なくとも一つを2以上の溶液に分割
    してそれぞれ溶解した分割溶液と、上記分割した触媒成
    分と異なる触媒成分を溶解した原料溶液とをそれぞれ調
    製し、上記各分割溶液および原料溶液中の触媒成分を沈
    澱させるための沈澱剤と、上記分割溶液および原料溶液
    とを混合して沈澱物を生成させる際に、上記各分割溶液
    を分割してそれぞれ混合することにより生成された各沈
    澱物からなることを特徴とするメタノール合成用の触
    媒。
  2. 【請求項2】沈澱物が、ろ過され、洗浄されてなること
    を特徴とする請求項1記載のメタノール合成用の触媒。
  3. 【請求項3】各沈澱物の生成反応中に、pHを3.0〜
    11.0の範囲内で変化させてなることを特徴とする請
    求項1または2記載のメタノール合成用の触媒。
  4. 【請求項4】触媒の組成は、触媒の全重量に対し、金属
    として計算した銅の量が15〜80重量%、酸化物とし
    て計算した亜鉛の量が15〜80重量%、酸化物として
    計算したアルミニウムおよび/またはジルコニウムの量
    が5〜70重量%であること(ただし、触媒は、その全
    量を100とし、金属銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム
    および/または酸化ジルコニウムの合計が100となる
    ものとする)を特徴とする請求項1記載のメタノール合
    成用の触媒。
  5. 【請求項5】触媒は、さらにXを含み、上記触媒の組成
    が、 〔Cu〕a 〔Zn〕b 〔Al/Zr〕c 〔X〕d 〔O〕e …… (1) 〔ここで、Cu、Zn、Al、Zrは、それぞれ銅、亜
    鉛、アルミニウム、ジルコニウムを表し、Xはリチウ
    ム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムより
    なるアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロ
    ンチウム、バリウムよりなるアルカリ土類金属、銀、パ
    ラジウム、セリウム、クロム、マンガン、モリブデン、
    バナジウム、ランタン、ニオブ、およびガリウムよりな
    る群から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Oは酸
    素を表し、a,b,c,d,eは、それぞれ触媒の全量
    に対し、金属として計算した銅の量が15〜80重量
    %、酸化物として計算した亜鉛の量が15〜80重量
    %、酸化物として計算したアルミニウムおよび/または
    ジルコニウムの量が5〜70重量%、酸化物として計算
    したXの量が0.1〜20重量%となるように設定され
    たものであり、触媒は、その全量を100とし、金属
    銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび/または酸化ジ
    ルコニウム、X成分の酸化物の合計が100となるもの
    とする〕 一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載
    のメタノール合成用の触媒。
  6. 【請求項6】Xは、銅、亜鉛、さらにアルミニウムおよ
    び/またはジルコニウムを含有する沈澱物の生成工程中
    に添加されてなることを特徴とする請求項5記載のメタ
    ノール合成用の触媒。
  7. 【請求項7】Xは、銅、亜鉛、さらにアルミニウムおよ
    び/またはジルコニウムを含有する沈澱物を熱処理した
    後に添加されてなることを特徴とする請求項5記載のメ
    タノール合成用の触媒。
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