JPH10212347A - ポリアルキルエーテル単位を含むスルホンおよびケトンの医療用材料への適用 - Google Patents

ポリアルキルエーテル単位を含むスルホンおよびケトンの医療用材料への適用

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JPH10212347A
JPH10212347A JP9075310A JP7531097A JPH10212347A JP H10212347 A JPH10212347 A JP H10212347A JP 9075310 A JP9075310 A JP 9075310A JP 7531097 A JP7531097 A JP 7531097A JP H10212347 A JPH10212347 A JP H10212347A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 抗血栓性に優れた医療用材料。 【解決手段】式(1)―[―O―Ar1―Z―Ar2―O
―Ar3―]― [ここで、Ar1〜Ar3は、2価の芳香族炭化水素基、
Zは>C=0または>SO2]で表わされる繰返し単位
および式(2)―[―(―OR―)n―O―Ar3―]― [ここでRはアルキレン基であるか、アルキレン基とア
ルキレン基との組み合わせであり、Ar3の定義は上記
に同じであり、そしてnは―(―OR―)n―で示され
る単位の分子量が400〜20,000の範囲にある
数]で表わされる繰返し単位から実質的になり、上記式
(2)中の―(―OR―)n―で示される単位が10〜
90重量%を占めるポリアルキルエーテル/ポリアリー
ルエーテルスルホンもしくはケトン共重合体、およびそ
れらとセルローストリアセテート等の他のポリマーとか
らなる医療用材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアルキルエーテ
ル単位を含むスルホンおよびケトンを医療用材料へ適用
することに関する。さらに詳しくは、これらの化合物の
優れた血液適合性に基づいてこれらの化合物を医療用材
料へ適用することに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成高分子材料は、人工臓器、カ
テーテルをはじめとする医療用材料に広く用いられてい
る。その代表的なものは、医療用高分子材料としてはポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコー
ン樹脂、ポリメタクリル酸エステル及び含フッ素樹脂な
どの疎水性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリエー
テルウレタン(セグメント化ポリウレタン、SPU)、
ポリ(メタクリル酸2―ヒドロキシエチル)及びポリア
クリルアミドなどの親水性高分子である。これら従来の
材料の大部分が、主に物理的、機械的特性に着目して使
用されてきた中において、SPUに関しては、比較的抗
血栓性に優れることが知られている。中でもBiomerR、C
ardiothaneR などは人工心臓への応用が試みられている
が、なお十分な効果を得るには至らなかった(B.Nylas,
R.C.Reinbach,J.B.Caulfield,N.H.Buckley,W.G.Austen;
J.Biomed,Mater.Res.Symp.,3,129(1972) 、L.P.Joyce,
M.C.Devries,W.S.Hastings,D.B.Olsen,R.K.Jarvik,W.J.
Kolff; Trans.ASAIO, 29,81(1983) )。
【0003】オキシエチレン単位が鎖状に共有結合した
ポリエーテルであるポリエチレングリコールは、高い親
水性と低い抗原性を有し、従来より非イオン性界面活性
剤、可塑剤、医薬品基材などとして用いられてきた。ま
た、ポリマー鎖の両末端に水酸基を有するため、ポリメ
タクリル酸へグラフト重合することで、表面が親水化し
たヒドロゲルを調製することができる(Y.Mori et.al.,
Trans.Am.Soc.Artif.Intern.Organs,28,459(1982) )。
更に二官能性コポリマーとしてポリエーテルウレタンの
親水性相へ適用したセグメント化ポリウレタンも調製さ
れた。これらのポリマーでは、表面への血小板粘着が抑
制されることも報告されている(E.W.Merril,V.Sa Da C
osta,E.W.Salzman,D.Brier-Russell,L.Kirchner,D.F.Wa
ngh,G.Trudel,S.Stopper,V.Vitale; Adv.Chem.Ser.,19
9,95(1982) )。
【0004】一方、医療技術の進歩に伴って、生体組織
や血液と材料が接触する機会はますます増加しており、
材料の生体親和性が大きな問題となってきている。中で
も蛋白質や血球などの生体成分が材料表面に吸着し、変
性することは、血栓形成、炎症反応などの、通常では認
められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、
材料の劣化にもつながり、医療用材料の根本的かつ緊急
に解決せねばならない重要な課題である。材料表面での
血液凝固の防止に関しては、従来ヘパリンに代表される
血液抗凝固剤の連続投与が行われてきたが、最近長期に
わたるヘパリン投与の影響(脂質代謝異常などの肝臓障
害、出血時間の延長あるいはアレルギー反応等の副作
用)が問題となってきており、特に血液透析、血液濾過
などの血液浄化をうける慢性腎不全患者の血液透析療法
に関して、抗凝固剤を必要としない血液接触材料の開発
が強く望まれるようになってきた。
【0005】現在、日本における血液浄化法適用患者は
10万人を超える。血液浄化の原理は、血液と透析液と
を膜を介して接触させ、血液中の老廃物や代謝産物を透
析液中に拡散除去し、更に余剰の水分を圧力差を利用し
て取り除くことによる。血液浄化を行う場合には血液浄
化器が用いられている。これは中空糸を束ねた血液回路
がハウジングに納められているもので、中空糸の内部を
血液が、外側を透析液が流れる構造となっている。血液
浄化器用の透析膜素材としては、従来より再生セルロー
ス膜、とりわけ銅アンモニウム法再生セルロース膜が広
く用いられており、透析装置や透析技術の進歩と共に腎
不全患者の延命、社会復帰に大きな役割を果たしてい
る。これは、再生セルロース膜が優れた透析性能や機械
的強度を有すると共に、長年の実績に裏付けられた高い
安全性を有しているからに他ならない。しかしその一方
で、血液透析療法の進展にも拘らず、透析に伴う種々の
問題が今なお未解決であるのも事実である。その主たる
ものは、一つにセルロースポリマーによる血液中の補体
活性化に伴なう一過性白血球減少があり、そして二つ目
に、抗凝固剤の長期大量投与のために生じると考えられ
る種々の副作用がある。先述のように、血液透析を行う
場合には、血液浄化器内での血液凝固反応を抑制するた
めにヘパリンに代表される血液抗凝固剤の連続投与が行
われてきた。しかしながら、血液浄化器の溶質除去性能
が改良され、20年に及ぼうとする長期延命が可能とな
ってきた現在、ヘパリンを使用することによる問題が次
々と指摘されてきている。特に長期にわたるヘパリン投
与により、脂質代謝異常などの肝臓障害、出血時間の延
長あるいはアレルギー反応等の副作用を併発することが
認められている。このような観点から、血液浄化療法の
際に抗凝固剤の使用量を低減させるか、あるいは全く使
用しなくても血液凝固を引き起こさない、すなわち、抗
血栓性を備えた血液浄化器の開発が強く望まれるように
なってきた。更に、抗血栓性の血液浄化器は、装置全体
のポータブル化も可能にし、一週間に2〜3日間、5時
間程度病院に拘束されている患者の社会復帰を促し、そ
のクオリティオブライフの向上にもつながることにな
る。
【0006】再生セルロース膜の他の優れた性能を損な
わず、補体活性化の抑制又は抗血栓性を改善する方法も
幾つか提案されている。例えば補体活性化抑制に関して
は、第三級アミノ基を有する高分子の表面固定、ポリエ
チレンオキシド鎖のような親水性高分子を表面に共有結
合によりグラフトする方法等も報告され、ある程度の補
体活性化抑制の効果は確認されているが、血液凝固の抑
制(抗血栓性)までは不十分であった。抗血栓性の改善
に関しては、膜表面のヘパリン化(特開昭51―194
号公報)、あるいはプロスタグランジンE1―セルロー
ス誘導体吸着層による表面修飾(特開昭54―7749
7号公報)による抗血栓性付与が、また抗血栓性に優れ
たポリマーである2―メタクリロイルオキシエチルホス
ホコリン(MPC)をセルロース表面にグラフト重合、
固定化する方法(BIO INDUSTRY,8(6),412420(1991))あ
るいは化学修飾したMPCグラフトセルロース誘導体の
中空糸への固定(特開平5―220218号公報及び5
―345802号公報)等が報告されているが、生理活
性物質の低安定性の問題等、効果が十分でなかったり、
又は固定化方法の煩雑さによる高コスト化、均質な固定
化表層の獲得の困難さといった面で問題も多く、実用化
されていない。
【0007】前記のポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸
エステルといった疎水性高分子材料や、ポリビニルアル
コール、ポリ(メタクリル酸2―ヒドロキシエチル)な
どの親水性高分子材料は、いずれも機械的強度、生体親
和性等において満足できるものではない。一方、ポリエ
チレングリコールは、それ自体では水溶性であり、医療
用材料として加工することはできない。また自由末端鎖
としてポリエチレングリコール鎖をグラフトしたメタク
リル酸コポリマーは、血小板粘着を比較的抑制するもの
の、ポリエチレングリコールの高い運動性や、生体内の
極性基と強く相互作用する遊離水酸基により、有意な細
胞膜損傷性と細胞機能低下を惹起することがin vitro試
験により示されており(宮本正樹、笹川滋、寺田良蔵、
長岡昭二、森有一、Polym.Prepr.,Jpn.,33,2143(1984)
)、安全性が重視される医療用材料への利用は適切で
はない。
【0008】更にBiomerR、Cardiothane Rなどセグメン
ト化ポリウレタンは、剛直な芳香族ウレタン結合部位と
柔軟なポリエーテル結合部位の間のミクロ相分離構造に
より血小板粘着が抑制されるが、その効果は必ずしも十
分ではない。特にウレタン結合やウレア結合のように水
素結合性の部分構造は、分子鎖の剛直性向上に寄与する
ものの、主鎖の極性基間の相互作用が強いため、疎水性
相互作用を軽減しうる水分子の水和が阻害される。従っ
て血中タンパクが吸着した際にタンパクの変性を誘起、
血小板粘着を促進することが報告されている。そもそも
一般には水酸基、アミノ基といった極性部位は、血液接
触時に補体活性化(第二経路)を誘発し、フィブリン形
成促進による血栓形成の要因ともなる。
【0009】更に、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン等の合成高分子からなる膜では、再生セルロース膜に
比べ補体活性化抑制等の血液適合性に優れるといった報
告が近年なされているが、抗血栓性は不十分であり、抗
凝固剤の使用を低減するには至っていない。
【0010】半合成高分子であるセルローストリアセテ
ート膜は、これらセルロースと合成高分子の長所を合せ
持ち、再生セルロースに比べ補体活性抑制能が高く、同
時に透水性と物質透過性のバランスに優れる。また十分
な機械的強度を有するため、ピンホールの発生も少な
く、現在再生セルロースに代わる透析膜素材として研究
開発が進められており、治験臨床でも十分な性能が確認
されている。ただしこのセルローストリアセテート膜に
関しても、抗血栓性に関しては不十分であり、抗凝固剤
の使用を低減しうる新規な抗血栓性膜の開発が望まれて
いる。
【0011】ところで、特定のポリエステル系ポリマー
が抗血栓性を有することが知られている。例えば特開平
5―36065号公報には、テレフタル酸80〜50モ
ル%とそれ以外の酸20〜50モル%並びに分子量25
0以下のグリコールと数平均分子量約3,000〜6
0,000のポリアルキレングリコールとからなり、該
ポリアルキレングリコールを5〜40重量%含有するポ
リエステル系共重合体からなる抗血栓性医療材料が開示
されている。
【0012】特公昭58―47182号公報には、数平
均分子量が800〜6,000であり、炭素原子対酸素
原子の比が2.5〜4.3であるポリ(アルキレンオキ
シド)グリコール単位を5〜85重量%で含有するポリ
エステル・ポリエーテルブロック共重合体からなる血液
輸送管または血液容器が開示されている。
【0013】特開昭58―183171号公報には、ポ
リエステル・ポリエーテルブロック共重合体とポリ塩化
ビニル樹脂とが相互にミクロ相分散状態で均一に分散し
て存在する血液輸送管または血液取扱い用具が開示され
ている。
【0014】しかしながら、このようなポリエステル系
ポリマーは抗血栓性等が十分とはいえず、また、ポリ塩
化ビニル樹脂を混合しても、かかる樹脂との相溶性が小
さすぎるため、ポリ塩化ビニル樹脂の抗血栓性は十分改
善されているとはいえず、またポリ塩化ビニル樹脂本来
の機械物性が損われるという問題がある。
【0015】特公平4―75052号公報には、吸水率
1.0%以下の縮合糸、疎水性ポリマー成分とポリオキ
シアルキレンとからなるブロック共重合体を溶融紡糸し
ドラフト又は延伸により糸の長さ方向に配向を与えてな
る血液透過用選択透過性の中空糸が開示されている。上
記縮合糸疎水性ポリマー成分の1つとしてポリスルホン
類が開示されているが、具体的には何も開示されていな
い。
【0016】特公平6―11789号公報には、分子末
端にパラ位に存するスルホニル基で活性化されて求核置
換反応により脱離するハロゲン基を持つベンゼン環を有
しそして下記式
【0017】
【化3】 ―(―M―Ra―Mb―O―)c―M―SO2―M―O― または
【0018】
【化4】―M―SO2―M―SO2―M―O― [ここでMは同一もしくは異なり芳香族基を示し、Rは
二価の有機基を示し、a、bおよびcはそれぞれ0また
は1である。]で表わされる繰返し単位からなる芳香族
ポリスルホンとポリオールとをアルカリ性条件下で反応
させ、それによって芳香族ポリスルホンの分子末端にポ
リオールをエーテル結合で結合せしめる芳香族ポリスル
ホンの親水化法が開示されている。
【0019】特開平8―302018号公報には、下記
式(I)
【0020】
【化5】 −(−O−E−O−Ar1−SO2−Ar2−)−W− ・・・・ (I) [ここで、Eは2価のジフェノレート基であり、Ar1
およびAr2は炭素数6〜50の、同一もしくは異なる
2価の芳香族基であり、そしてWは少なくとも2つのヒ
ドロキシル基を有しかつ平均分子量(Mn)400〜3
0,000を有するポリエーテル、ポリチオエーテルま
たはポリアセタールを表わす、但し全ブロック共重合体
中の基Wの割合が5〜99重量%に相当する,]の如き
反復構造単位を有するポリスルホン/ポリエーテルブロ
ック共重縮合物が開示されている。上記式(I)で表さ
れる反復構造単位は基Eと基Wの合計2モルに対し−A
1−SO2−Ar2−が1モルの割合でこれらの単位を
含有する点で、本願発明で対象とするポリアリールエー
テル/ポリアリールスルホン共重合体と相違する。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規
なポリアリールエーテル/ポリアリールスルホン共重合
体もしくはポリアリールエーテル/ポリアリールケトン
共重合体を提供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、本発明の上記新規な
共重合体の医療用材料の素材としてのあるいはその被覆
材としての使用を提供することにある。
【0023】本発明の更に他の目的は本発明の上記新規
な共重合体を素材の一部として含有する組成物からなる
医療用材料を提供することにある。
【0024】本発明のさらに他の目的は本発明の上記医
療用材料を構成する新規な上記組成物を提供することに
ある。
【0025】本発明のさらに他の目的は本発明の医療用
材料を製造する工業的に有利な方法を提供することにあ
る。
【0026】本発明のさらに他の目的および利点は以下
の説明から明らかになろう。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的は第1に、下記式(1)
【0028】
【化6】 ―[―O―Ar1―Z―Ar2―O―Ar3―]― …(1) [ここで、Ar1、Ar2およびAr3は、互いに同一も
しくは異なり、置換基を有していてもよい2価の芳香族
炭化水素基でありそしてZは>C=0または>SO2
ある。]で表わされる繰返し単位および下記式(2)
【0029】
【化7】 ―[―(―OR―)n―O―Ar3―]― …(2) [ここでRは炭素数2または3のアルキレン基である
か、炭素数2または3のアルキレン基と炭素数4のアル
キレン基との組み合わせであり、Ar3の定義は上記に
同じであり、そしてnは―(―OR―)n―で示される
単位の分子量が400〜20,000の範囲にある数で
ある。]で表わされる繰返し単位から実質的になり、上
記式(2)で表わされる繰返し単位が平均して一分子中
に少なくとも2個存在し、上記式(1)および(2)の
繰返し単位の合計重量に基づき、上記式(2)中の―
(―OR―)n―で示される単位が10〜90重量%を
占め、そしてフェノール/1,1,2,2―テトラクロ
ロエタンの重量比が6/4の混合溶媒中で35℃で測定
した還元粘度が少なくとも0.5dl/gであるポリア
ルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホンもしく
はケトン共重合体によって達成される。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明のポリアルキルエーテル/
ポリアリールエーテルスルホン共重合体およびポリアル
キルエーテル/ポリアリールエーテルケトン共重合体
は、上記式(1)および(2)で表わされる繰返し単位
から実質的に構成される。
【0031】式(1)におけるAr1、Ar2およびAr
3は、同一もしくは異なり、置換基を有していてもよい
2価の芳香族炭化水素基である。これらの芳香族炭化水
素としては、ポリアルキルエーテル/ポリアリールエー
テルスルホン共重合体の場合には、例えばp―フェニレ
ン、m―フェニレン、2,6―ナフチレン、2,7―ナ
フチレン、1,4―ナフチレン、1,5―ナフチレン、
4,4′―ビフェニレン、2,2′―ビフェニレン、
4,4′―オキシレンジフェニレン、4,4′―イソプ
ロピリデンジフェニレン、4,4′―イソプロピリデン
―2,2′,6,6′―テトラメチルジフェニレン、
4,4′―スルホニルジフェニレン等を例示することが
できる。これらのうち、Ar1、Ar2としてはp―フェ
ニレンが、Ar3としては4,4′―イソプロピリデン
ジフェニレン、4,4′―オキシレンジフェニレン、
4,4′―イソプロピリデン―2,2′,6,6′―テ
トラメチルジフェニレン、4,4′―スルホニルジフェ
ニレン等が好ましい。
【0032】但し、式(1)において、Ar3がスルホ
ン結合(―SO2―)を含有するときには、―Ar1―S
2―Ar2―と同一でないことが好ましい。
【0033】また、ポリアルキルエーテル/ポリアリー
ルエーテルケトン共重合体の場合には、例えばp―フェ
ニレン、m―フェニレン、2,6―ナフチレン、2,7
―ナフチレン、1,4―ナフチレン、1,5―ナフチレ
ン、4,4′―ビフェニレン、2,2′―ビフェニレ
ン、4,4′―オキシレンジフェニレン、4,4′―ケ
トジフェニレン、4,4′―メチレンジフェニレン、等
を例示することができる。Ar1、Ar2としてはこれら
のうちp―フェニレン、4,4′―オキシレンジフェニ
レン、4,4′―ケトジフェニレンが、Ar3としては
p―フェニレン、4,4′―メチレンジフェニレン等が
好ましい。
【0034】また、式(2)においてRは炭素数2また
は3のアルキレン基であるか、炭素数2または3のアル
キレン基と炭素数4のアルキレン基との組合せである。
かかる炭素数2または3のアルキレン基としては、例え
ばエチレン、プロピレン、トリメチレンを例示すること
ができる。Rとしてはこれらのうち特にエチレンが好ま
しい。炭素数4のアルキレン基としてはテトラメチレン
基を例示することができる。Rは単独の構造でもよい
し、二種以上の組み合わせの構造であってもよい。炭素
数2または3のアルキレン基と炭素数4のアルキレン基
との組み合わせの場合、炭素数4のアルキレン基の割合
は80モル%以下、好ましくは60モル%以下である。
また、nは−(−RO−)n−で示されるポリオキシア
ルキレン構造単位の分子量が400〜20,000とな
るような数を示す。ポリオキシアルキレン構造の分子量
は、好ましくは600〜15,000、より好ましくは
800〜10,000、特に好ましくは1,000〜
6,000である。
【0035】また、本発明の共重合体は上記式(2)で
表わされる繰返し単位が平均して一分子中に少なくとも
2個存在する。繰返し単位の数が最も小さい本発明の共
重合体は、式(1)の繰返し単位1つと式(2)の繰返
し単位2つよりなる。この場合、Ar3の単位と−(―
OR―)n−の単位合計5モルに対して―Ar1―Z―
Ar2―の単位が1モルの割合で、これらの単位を含有
する。
【0036】さらに、本発明の共重合体は、式(2)中
の構造単位は−(―OR―)n−を式(1)および式
(2)の繰返し単位の合計重量に基づき10〜90重量
%で含有する。10重量%未満では得られる共重合体の
疎水性が高過ぎ、乾燥フィルムとした場合水との濡れが
十分でなく、また90重量%を超えるときには、得られ
る共重合体の親水性が高すぎ、水中へ溶出したり、著し
く膨潤したりあるいは機械的強度も十分でなくなる。構
造単位―(―OR―)n―は同じ基準に対し30〜80
重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
【0037】さらに、本発明の共重合体はフェノール/
1,1,2,2―テトラクロロエタンの重量比が6/4
の混合溶媒中1.2g/dlの濃度で、35℃で測定し
た還元粘度が少なくとも0.5dl/gである。0.5
dl/g未満の場合には、得られる共重合体の機械的強
度が不充分となる。好ましい還元粘度は少なくとも1.
0dl/gであり、より好ましくは1.0〜3.0dl
/gである。
【0038】本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリ
ールエーテルスルホン共重合体およびポリアルキルエー
テル/ポリアリールエーテルケトン共重合体は、その性
質が本質的に変化しない範囲(例えばポリマーの20重
量%以下、好ましくは10重量%以下)で他の成分を共
重合成分として含有していてもよい。共重合させる他の
成分としては、例えば、エチレンテレフタレート単位、
ブチレンテレフタレート単位、エチレンナフタレート単
位等を主たる繰り返し単位とするポリエステル、ジフェ
ニルスルホンを主たる繰り返し単位とするポリエーテル
スルホン、ジフェニルスルホンとビスフェノールAの縮
合物を主たる繰り返し単位とするポリスルホン、ビスフ
ェノールAの炭酸エステルを主たる繰り返し単位とする
ポリカーボネート等、これらを構成するモノマー成分等
を挙げることができる。
【0039】本発明の共重合体は、例えば下記のように
して製造することができる。
【0040】下記式(3)
【0041】
【化8】 X―Ar1―Z―Ar2―X …(3) [ここで、Ar1、Ar2およびZの定義は上記に同じで
ありそしてXはハロゲン原子である。]で表わされるビ
ス(ハロアリール)スルホンもしくはケトン、下記式
(4)
【0042】
【化9】 X―R―(―OR―)n-1―X …(4) [ここで、R、nおよびXの定義は上記に同じであ
る。]で表わされるα,ω―ビス(ハロアルコキシ)ポ
リオキシアルキレンおよび下記式(5)
【0043】
【化10】 HO―Ar3―OH …(5) [ここでAr3の定義は上記に同じである。]で表わさ
れるジヒドロキシアリール化合物とを、アルカリの存在
下、加熱反応せしめる方法が挙げられる。
【0044】式(3)において、Xとしては例えばフッ
素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。Xは好まし
くは塩素である。
【0045】式(3)で表わされるビス(ハロアリー
ル)スルホンとしては、例えばビス(4―フルオロフェ
ニル)スルホン、ビス(4―クロロフェニル)スルホ
ン、ビス(3―フルオロフェニル)スルホン、ビス(3
―クロロフェニル)スルホン、3―フルオロフェニル―
4′―フルオロフェニルスルホン、3―クロロフェニル
―4′―クロロフェニルスルホン等を挙げることができ
る。また、式(3)で表わされるビス(ハロアリール)
ケトンとしては、例えばビス(4―フルオロ)ベンゾフ
ェノン、ビス(4―クロロ)ベンゾフェノン、3,3′
―ジフルオロベンゾフェノン、3,3′―ジクロロベン
ゾフェノン、3,4′―ジフルオロベンゾフェノン、
3,4′―ジクロベンゾフェノン等を挙げることができ
る。
【0046】式(4)で表わされる化合物より前に、上
記式(5)で表わされるジヒドロキシアリール化合物と
しては、例えばビス(4―ヒドロキシフェニル)メタ
ン、ハイドロキノン、ビス(4―ヒドロキシフェニル)
エーテル、4,4′―ジヒドロキシビフェニル、1,5
―ジヒドロキシナフタレン、2,3―ジヒドロキシナフ
タレン、2,7―ジヒドロキシナフタレン等を挙げるこ
とができる。
【0047】式(4)において、Xとしては式(3)に
おけるものと同様のものを例示できる。
【0048】式(4)で表わされるα,ω―ビス(ハロ
アルコキシ)ポリオキシアルキレンとしては、例えば、
α,ω―ビス(2―ブロモエトキシ)ポリオキシエチレ
ン、α,ω―ビス(2―クロロエトキシ)ポリオキシエ
チレン、α,ω―ビス(2―ブロモ―1―メチルエトキ
シ)ポリオキシイソプロピレン、α,ω―ビス(2―ク
ロロ―1―メチルエトキシ)ポリオキシイソプロピレ
ン、ならびにポリオキシエチレンとポリオキシイソプロ
ピレンのブロック共重合体およびポリオキシエチレンと
ポリオキシブチレンのブロック共重合体のα,ω―ビス
ブロモ体及び/またはクロロ体を好ましいものとして挙
げることができる。
【0049】本発明で使用するα,ω―ビス(2―ハロ
アルコキシ)ポリオキシアルキレンは種々の方法で合成
することができるが、具体的には以下の方法が代表的で
ある。
【0050】(i)ポリオキシアルキレングリコールと
ハロゲン化リンとを塩基存在下で反応させる方法。
【0051】(ii)ポリオキシアルキレングリコールと
ハロゲン化チオニルとを塩基存在下で反応させる方法。
【0052】上記(i)の方法においては、相当するポ
リオキシアルキレングリコールと塩基とを任意の溶媒の
存在下、ハロゲン化リンを滴下混合し、その後加熱攪拌
することによって合成することができる。ここでポリオ
キシアルキレングリコールのモル数(A)、ハロゲン化
リンのモル数を(B)とするとき、下記式(6)
【0053】
【数1】 0.75≦(B)/(A)≦2 …(6) を満たすようにする。ここで(B)/(A)の値が大き
すぎるとハロゲン化リンの量が多すぎて無駄になり、小
さい場合は収率よく所定の物質が得られない。また、こ
の方法で用いるハロゲン化リンは、反応性の点から三臭
化リンであることが好ましい。
【0054】溶媒としては、これらの反応成分が溶解混
合し、かつハロゲン化リンと反応する官能基、例えばヒ
ドロキシル基、一級、二級アミノ基等を含有しないもの
であればよく、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭
素、1,2―ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、二
硫化炭素等を例示できる。溶解性、反応操作の簡便性の
点から、塩化メチレン又はクロロホルムを用いることが
好ましい。
【0055】かかる溶媒の量としては、反応基質の総重
量に対する重量比で1.0〜10.0倍、さらには2.
0〜5.0倍であることが好ましい。これより溶媒の量
が少ないと、反応基質が析出してしまい、これより溶媒
量が多いと生成物の精製操作が煩雑になったり、反応効
率が低下する恐れがある。
【0056】塩基としては、公知の有機塩基を用いるこ
とができ、例えばピリジン、トリエチルアミン、N,
N′―テトラメチルエチレンジアミン、HMPA(ヘキ
サメチルリン酸トリアミド)、DBU(1,8―ジアザ
ビシクロ[5.4.0]ウンデセン―7)などを例示で
きるが、ピリジンを使用することが好ましい。
【0057】かかる塩基はハロゲン化リンに対して1.
5〜3.0等量程度用いるが、最適量は塩基の種類、お
よび前記(6)式の(B)/(A)の値などの反応条件
によっても異なる。例えば塩基としてピリジンを用い、
溶媒として塩化メチレンを使用し、(B)/(A)=
0.75となるようにして反応する場合には、ピリジン
はハロゲン化リンに対して3.0等量程度用いるのが好
ましい。
【0058】反応温度は、溶媒から原料成分が晶析しな
ければ室温以下でもかまわず、また100℃以下の沸点
を有する溶媒を用いる場合、溶媒環留温度で反応させて
もかまわない。ただし反応初期にハロゲン化リンを塩基
とポリオキシアルキレングリコールの混合溶液に滴下す
る際は、急激に発熱し、操作上突沸等の危険を伴う可能
性があるので、滴下時は氷冷下0〜5℃に保つのが好ま
しい。また反応温度が100℃を超える場合、副反応を
起こし目的物質の収量が減少し、温度が低すぎると反応
速度が低下する。ハロゲン化リンとして三臭化リンを用
いる場合、反応温度は30〜50℃が好適である。
【0059】上記(ii)の方法においては、相当するポ
リオキシアルキレングリコールと塩基とを任意の溶媒の
存在下、まず第一段階のハロゲン化チオニルを滴下混合
して反応させ、その後さらに第二段階として等量のハロ
ゲン化チオニルを加え加熱攪拌することによって合成す
ることができる。第一、第二段階の反応はそれぞれ下記
式(7)、(8)で表される。
【0060】
【数2】 mHO-(-RO-)n-OH + mSOX2 → -[O-(RO-)n-OS(O)]m- +2mHX …( 7) -[O-(RO-)n-OS(O)]m- +mSOX2 → mX-(-RO-)n-X + 2SO2 …( 8) 従って、ポリオキシアルキレングリコールのモル数を
(A)、ハロゲン化チオニルのモル数をB1(第一段階
でのモル数)、B2(第二段階でのモル数)とすると
き、下記式(9)、(10)
【0061】
【数3】 (B1)/(A)=1 …(9) (B2)/(A)=1 …(10) を満たすように反応条件を設定する。すなわち全体とし
て塩化チオニルはポリオキシアルキレングリコールの二
倍モル等量用いればよい。ここで(B1又はB2)/
(A)の値が大きすぎるとハロゲン化チオニルの量が多
すぎて無駄になり、小さい場合は収率よく所定の物質が
得られない。また、この方法で用いるハロゲン化チオニ
ルは、反応性の点から塩化チオニルであることが好まし
い。
【0062】溶媒としては、前記(i)の方法同様、こ
れらの反応成分が溶解混合し、かつハロゲン化チオニル
と反応する官能基、例えばヒドロキシ基、一級、二級ア
ミノ基等を含有しないものであればよく、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2―ジクロロエタ
ン、テトラヒドロフラン、二硫化炭素等を例示できる
が、溶解性、反応操作の簡便性の点から、塩化メチレン
を用いることが好ましい。溶媒の量、反応温度について
も、前記(i)の方法に準ずる。
【0063】用いる塩基の種類も前記(i)の方法に準
ずるが、ピリジンを使用することが好ましい。塩基は第
一段階の反応で加えたハロゲン化チオニルに対して、
2.0等量程度か若干過剰量(例えば2.1等量)用い
るが、第二段階の反応においては塩基を追加する必要は
ない。第一段階の反応における塩基添加量の最適量は塩
基の種類によるが、原理的に副生する塩酸を中和できる
理論量であればよい。例えば塩基としてピリジンを用
い、塩化チオニルでポリオキシアルキレングリコールを
塩素化する場合には、ピリジンは第一段階で加えたハロ
ゲン化チオニルに対して2.0等量程度用いるのが好ま
しい。
【0064】反応は、上記式(3)と(4)で表される
ビス(ハロアリール)スルホンもしくはケトンとα,ω
―ビス(ハロアルコキシ)ポリオキシアルキレンのモル
数の和が、上記式(5)で表されるジヒドロキシアリー
ル化合物のモル数とほぼ等量となるように仕込んで混合
し、適当な溶媒の存在下、アルカリと共に反応せしめ
る。ビス(ハロアリール)スルホンもしくはケトンと
α,ω―ビス(ハロアルコキシ)ポリオキシアルキレン
の仕込み量を変えることで、ポリオキシアルキレン構造
の含有量が得られる共重合体に対し、10〜90重量%
の範囲内で、種々の組成の共重合体が得られる。加熱反
応温度は120〜400℃が好ましく、より好ましくは
160〜350℃である。反応温度が400℃より高い
と副反応が起こったり、原料の分解が起こりやすく、ま
た120℃より低いと反応が遅くなる。
【0065】反応に用いるアルカリとしては、アルカリ
金属炭酸塩または水酸化物が好ましく、例えば炭酸リチ
ウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素リチ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどをあ
げることができる。なかでも炭酸塩、特に炭酸カリウム
が好ましい。アルカリの量は、反応中に発生するハロゲ
ン化水素を実質的に中和する量であることが必要である
が、実際は理論量よりも5%程度多くても、少なくて
も、反応させることができる。反応には適当な可塑剤、
溶媒を用いることもできる。適当な溶媒を例示すれば、
ジフェニルスルフォン、N―メチルピロリドン、N,N
―ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等を
用いることができるが、中でもN,N―ジメチルアセト
アミド、ジフェニルスルフォンが好ましい。
【0066】反応に際してその促進のために添加剤を加
えることができる。かかる添加剤の例として金属または
その塩、包接化合物、キレート剤、有機金属化合物など
をあげることができる。
【0067】かくして得られる本発明の共重合体は、ヒ
ト血漿に37℃で一時間接触した時のMicroBCA法により
測定した蛋白吸着量が非常に少なく、0.7μg/cm
2以下であり、血漿溶液に接したときの血液中の蛋白お
よび血小板の粘着等に対して優れた吸着抑制効果を有す
る。この理由については、以下のように考えられる。上
記共重合体は、剛直部位であるポリアリールスルホンも
しくはケトンユニット(ハード成分)及びポリマー主鎖
中に固定された親水性ポリオキシアルキレンユニット
(ソフト成分)を有しており、これら親水性セグメント
と疎水性ポリアリールスルホンもしくはケトンセグメン
ト双方は熱力学的にのみならず、巨視的に相分離した表
面構造を特徴とする。かかるポリマーには主鎖中に水素
結合供与基が存在しないため、主鎖間の相互作用が小さ
く、該親水性ポリオキシアルキレンユニットのドメイン
には、疎水性相互作用を逓減しうる水分子の接触が容易
に起こる。従ってドメインのパターンに基づく生体蛋白
の表面への選択的吸着が起こり、吸着蛋白は表面で変性
することがない。この結果、ポリマー表面は正常蛋白が
単分子層で表面吸着した状態となり、それ以上の生体成
分(赤血球、白血球および血小板)の粘着が抑制され
る。また補体活性化、血栓形成、細胞膜損傷等の有害な
生体反応を回避できる。かかる蛋白吸着量は少ないほど
望ましいが、0.3〜0.7μg/cm2の範囲であれ
ば実質的に十分効果がある。
【0068】本発明の上記共重合体は、蛋白濾過膜、浸
透膜の支持膜、医療用血液透析膜、医療用高分子の高血
栓性付与剤などとして好適に使用しうるだけでなく、限
外濾過膜、精密濾過膜等としても有用である。
【0069】それ故、本発明によれば、本発明の上記ポ
リアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共
重合体およびポリアルキルエーテル/ポリアリールエー
テルケトン共重合体のいずれも、血液と接触して使用す
るための医療用材料を製造するために好適に使用される
ことが明らかにされた。
【0070】本発明によれば、本発明の上記共重合体を
血液と接触して使用するための医療用材料を製造するた
めに使用することが提供される。
【0071】この使用には、本発明の共重合体を医療用
材料の素材として用いることはもちろん、他の素材で調
製した医療用材料を被覆するための被覆材として用いる
ことも包含される。医療用材料を調製するための他の素
材としては、例えばポリスルホン、ポリアリールエーテ
ルスルホン、セルロース、セルローストリアセテート、
ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフ
タレートの如き芳香族ポリエステル、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコ
ーン樹脂、ポリメタクリル酸メチルの如きポリメタクリ
ル酸エステル、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポ
リ(メタクリル酸2―ヒドロキシエチル)、ポリアクリ
ルアミド等を挙げることができる。
【0072】これらのうち、本発明においては、ポリス
ルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロピレ
ン、セルローストリアセテート、ポリウレタンおよびポ
リカーボネートが好適な対象となる。
【0073】本発明によれば、第1の好ましい態様とし
て、本発明の上記ポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)を、ポ
リスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプロ
ピレン、セルローストリアセテート、ポリウレタンおよ
びポリカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも
1種のポリマー(B)から形成された血液と接触して使
用されるための医療用材料の血液と接触する表面を被覆
するために使用すること、並びに本発明の第2の好まし
い態様として、本発明の上記ポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホンもしくはケトン共重合体
(A)1〜99重量部と上記ポリマー(B)1〜99重
量部とからなるポリマー組成物を血液と接触して使用す
るための医療用材料を製造するための素材として使用す
ること、但し、共重合体(A)とポリマー(B)の合計
重量は100重量部とする、が提供される。
【0074】上記共重合体(A)1〜99重量部と上記
ポリマー(B)1〜99重量部とからなるポリマー組成
物はそれ自体新規であり、本発明の請求の対象となる。
【0075】以下先ず第1の好ましい態様について説明
する。
【0076】医療用材料を構成する素材であるポリマー
(B)は、上記の如くポリスルホン、ポリアリールエー
テルスルホン、ポリプロピレン、セルローストリアセテ
ート、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンおよびポリカーボ
ネートが好ましい。これらは1種又は2種以上一緒に用
いることもできる。
【0077】ポリスルホンおよびポリアリールエーテル
スルホンとしては、下記式(11)
【0078】
【化11】
【0079】[ここで、Ar4、Ar5およびAr6は、
同一もしくは異なり核置換されていてもよい2価の芳香
族炭化水素基である]で表される繰返し単位からなる、
芳香族ポリスルホンのホモポリマー又はコポリマーが好
ましく用いられる。このポリマーは、フェノール/1,
1,2,2―テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/
4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃で測定した還
元粘度が0.5〜3.0であることが好ましい。
【0080】上記式(11)中、Ar4、Ar5およびA
6が表わす芳香族炭化水素基の例としては、式(1)
においてAr1、Ar2およびAr3について前記したも
のと同じものを例示できる。
【0081】中でも医療用グレードの芳香族ポリスルホ
ン、例えば(a)2,2′―ビス(4―ヒドロキシフェ
ニル)プロパンと4,4′―ジクロロジフェニルスルホ
ンとを加熱縮合することで得られる数平均分子量20,
000〜30,000の芳香族ポリスルホン(比重1.
24、ガラス転移点190℃)、(b)4,4′―ジヒ
ドロキシジフェニルスルホンと4,4′―ジクロロジフ
ェニルスルホンとを加熱縮合することで得られる数平均
分子量20,000〜30,000のポリアリールエー
テルスルホン(比重1.37〜1.60、ガラス転移点
220℃)等が好ましい。
【0082】セルローストリアセテートとしては、例え
ば数平均分子量30,000〜150,000および酢
化度2.8以上のものが好ましく用いられる。
【0083】ポリプロピレンとしては、医療用グレード
として低分子オリゴマー、不純物の溶出のない分子量1
0万以上のものであれば、ホモポリマーのみならず、成
型性、柔軟性付与の目的でエチレンなど他のオレフィン
を共重合したランダム、ブロックコポリマーの何れでも
よい。
【0084】ポリウレタンとしては、例えばメチレンジ
フェニル―4,4′―ジイソシアナートとエチレングリ
コールの重付加により得られる数平均分子量20,00
0〜30,000のポリウレタンが好ましく用いられ
る。
【0085】またポリカーボネートとしては、例えば
4,4′―イソプロピリデンジフェノールの如きビスフ
ェノール誘導体と、ホスゲンあるいはジフェニルカーボ
ネートとを重縮合して得られるポリカーボネート、特に
好ましくは数平均分子量20,000〜50,000の
ものが有利に用いられる。
【0086】医療用材料の血液と接触する面を被覆する
には、本発明の上記共重合体(A)を溶解し得うる有機
溶媒に溶解し、得られた重合体溶液中に例えば上記素材
からなる医療用材料を浸漬し、次いで乾燥により有機溶
媒を除去することにより実施することができる。
【0087】また、重合体溶液を医療用材料にハケ塗り
等をすることを、浸漬に代えて実施することもできる。
【0088】重合体溶液は、好ましくは0.1〜10重
量%、より好ましくは0.5〜2重量%の重合体濃度を
持つのが好ましい。重合体濃度が0.1重量%より低い
と、被覆が完全に行われ難く、被膜に部分的なムラが生
じる恐れがあり、また10重量%より高いと溶液粘度が
高すぎて被覆を円滑に行い難く被膜の厚みが不均一とな
り易い。
【0089】有機溶媒としては、例えばテトラヒドロフ
ラン、1,3―ジオキソラン、1,4―ジオキソランの
如き環状エーテル系溶媒;N,N′―ジメチルホルムア
ミド(DMF)、N,N′―ジメチルアセトアミド(D
MAc)、N―メチル―2―ピロリドン(NMP)等の
アミド系有機溶媒;およびクロロホルム、塩化メチレン
等のハロゲン系有機溶媒があげられる。
【0090】医療用材料に施された重合体溶液中の有機
溶媒は常温、常圧又は40〜50℃で減圧で乾燥、また
はエタノール等の、上記両ポリマーに対する貧溶媒中で
溶媒抽出することにより除去され、該医療用材料上に、
上記共重合体の被覆薄膜層が形成される。
【0091】医療用材料としては、例えば人工腎臓用中
空糸、人工肺用中空糸、カテーテル、人工血管、採血
管、血液回路用のチューブ、血液容器、血液透析膜、血
漿分離膜および医療用縫合糸を挙げることができる。
【0092】医療用材料は、該材料の少なくとも血液と
接触する部分が、本発明の上記共重合体からなる薄膜に
より被覆されている。ここで血液と接触する部分とは、
血液が接触する材料の表面およびその近傍をさす。例え
ば、人工腎臓用透析膜として使用する場合には、少なく
とも血液が流れるその内面が上記共重合体で構成されて
いればよい。
【0093】医療用材料上に形成される被膜は好ましく
は10nm〜10μmの厚み、より好ましくは100n
m〜1μmの厚みを有している。
【0094】次に、本発明の第2の好ましい態様につい
て記載する。ポリマー組成物は、本発明の上記共重合体
(A)1〜99重量部とポリマー(B)1〜99重量部
とからなる。但し、共重合体(A)とポリマー(B)の
合計重量は100重量部である。ポリマー(B)は好ま
しい第1の態様に関して記載したものと同じものであ
る。
【0095】共重合体(A)が1重量部より少ないと、
医療用材料の表面における共重合体(A)の存在量が少
なすぎるため十分な抗血栓化効果が得られず、また99
重量部を越えるとポリマー(B)の種類により本来の物
理的特定および使用条件が大きく変化するようになり好
ましくない。
【0096】ポリマー組成物は、好ましくは上記共重合
体(A)1〜50重量部とポリマー(B)50〜99重
量部(両者の合計100重量部)からなり、より好まし
くは上記共重合体(A)5〜30重量部とポリマー
(B)70〜95重量部(同)からなり、さらに好まし
くは上記共重合体(A)10〜30重量部とポリマー
(B)70〜90重量部(同)からなる。
【0097】このポリマー組成物は、例えば共重合体
(A)とポリマー(B)とを上記所定の割合で有機溶媒
に溶解し、しかる後有機溶媒を除去して調製したり、あ
るいは共重合体(A)とポリマー(B)とを上記所定の
割合で溶融混合することにより調製することができる。
【0098】有機溶媒としては、第1の好ましい態様に
おいて記述したと同じ有機溶媒が用いられる。
【0099】上記ポリマー組成物において、共重合体
(A)とポリマー(B)とは、分子レベルで均一に混合
することはなく、別個の相を形成し、相分離して存在す
る。
【0100】本発明によれば、ポリマー組成物のこのよ
うな性質を利用して、血液と接触して使用されるための
医療用材料であって、少なくとも血液と接触して使用さ
れる表面を持つ部分はポリアルキルエーテル/ポリアリ
ールエーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)と
ポリマー(B)とからなるポリマー組成物を素材として
形成され、そして該部分の表面近傍における上記共重合
体(A)の濃度が該部分を形成する該ポリマー組成物全
体中の上記共重合体(A)の濃度よりも高い、ことを特
徴とする医療用材料が提供される。
【0101】この医療用材料において、ポリマー組成物
は、好ましくは、共重合体(A)5〜30重量部とポリ
マー(B)70〜95重量部からなり(但し両者の合計
は100重量部)、より好ましくは、共重合体(A)5
〜20重量部とポリマー(B)80〜95重量部からな
り、そして該表面近傍における共重合体(A)の割合は
同じ基準に対し50〜90重量部を占める。
【0102】表面近傍における共重合体(A)の割合
は、ポリマー組成物の有機溶媒溶液から医療用材料を製
造する際に、ポリマー組成物全体中の共重合体(A)の
割合(濃度)よりも高くなる。すなわち、溶液から有機
溶媒が飛散するにつれて相分離が起り、最終的に表面近
傍において共重合体(A)の濃度の高い医療用材料が得
られる。表面近傍とは厳密ではないが表面から深さ10
0Å程度までの領域である。
【0103】本発明によれば、血液と接触して使用され
る部分が薄い厚みを持つ医療用材料は特に下記方法によ
って有利に製造される。
【0104】すなわち、本発明によれば、さらに、ポリ
アルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホンもし
くはケトン共重合体(A)、ポリマー(B)およびこれ
らを溶解し得る非プロトン性極性有機溶媒(C)とから
なり、そして上記(A)成分および(B)成分の合計濃
度が1〜30重量%であるドープを準備し、このドープ
を薄膜に形成し、この薄膜を湿式もしくは乾式成形法に
付して厚さが1mm以下の、血液や接触して使用される
部分を持つ医療用材料を生成せしめる、ことを特徴とす
る医療用材料の製造法が提供される。
【0105】非プロトン性極性有機溶媒としては、テト
ラヒドロフラン、1,3―ジオキソラン、1,4―ジオ
キサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、N―メチル―2―ピロリドン、ジメチルスルホキサ
イド、塩化メチレン、およびクロロホルムが好適に用い
られる。
【0106】ドープを薄膜に形成するには、例えばドー
プを基板上にキャストしてフィルム状にしたりあるいは
紡糸して中空糸状にしたりすることにより行うことがで
きる。ドープ中の(A)成分と(B)成分の合計濃度
は、キャストの際には好ましくは5〜20重量%、より
好ましくは10〜15重量%であり、中空糸状に紡糸す
る際には好ましくは5〜30重量%、より好ましくは1
0〜20重量%、特に好ましくは13〜14重量%であ
る。
【0107】ドープは薄膜に形成されたのち、湿式もし
くは乾式法により非プロトン性極性有機溶媒を除去さ
れ、自立性のある成形品としての医療用材料を与える。
【0108】湿式法はドープの薄膜を水/非プロトン性
有機溶媒および次いで水中で処理することにより、ドー
プ中の非プロトン性有機溶媒を除去する方法であり、乾
式法はドープの薄膜を常温、常圧下あるいは40〜50
℃で1〜30mmHg程度の減圧下で処理することによ
り、ドープ中の非プロトン性有機溶媒を同様に除去する
方法である。
【0109】得られる医療用材料の血液と接触して使用
される部分である薄膜は好ましくは1μm〜1mmの厚
みを有し、とりわけ中空糸では10〜50μmの膜厚を
持つのが有利である。
【0110】上記した本発明のいずれの医療用材料も、
濃度5重量%であるヒト貧血小板血漿(PPP)のリン
酸緩衝液に37℃、一時間接触させた時、その表面への
蛋白吸着量が0.8μg/cm2以下(MicroBCA法によ
るアルブミン換算)であることが好ましく、0.6μg
/cm2以下であることがより好ましい。血漿接触時の
蛋白吸着量が0.8μg/cm2より大きいと、それに
続く血小板粘着、活性化を十分に抑制できないため、血
栓形成が進行し易くなる。かかる蛋白吸着量は少ないほ
ど望ましいが、0.3〜0.7μg/cm2、好ましく
は0.3〜0.5μg/cm2の範囲にあれば実際的に
十分効果がある。
【0111】本発明における医療用材料としては、例え
ば人工腎臓用中空糸、人工肺用中空糸、カテーテル、人
工血管、採血管、血液回路用のチューブ、血液容器、血
液透析膜、血漿分離膜および医療用縫合糸を挙げること
ができる。
【0112】本発明の医療用材料は、該材料の少なくと
も血液と接触する部分が、上記ポリマー組成物からな
り、例えば該ポリマー組成物からなる薄膜により被覆さ
れている。ここで血液と接触する部分とは、血液が接触
する材料の表面およびその近傍をさす。例えば、人工腎
臓用透析膜として使用する場合には、少なくとも血液が
流れるその内面が上記ポリマー組成物で構成されていれ
ばよい。
【0113】本発明におけるポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホンもしくはケトン共重合体
(A)およびポリマー(B)からなるポリマー組成物が
優れた血液適合性を示す理由としては、次のように推定
される。
【0114】上記で述べたように、本発明の共重合体は
優れた抗血栓性を示し、これを含む本発明のポリマー組
成物は、もう一つのポリマー組成物成分であり医療用高
分子素材である他のポリマー(B)と巨視的に相分離し
た状態にある。更にポリマー組成物調製の際、例えば湿
式ブレンドにおける溶媒除去の際に、上記ポリエーテル
エステル共重合体のポリオキシアルキレンユニットは、
ポリマー組成物内の界面自由エネルギーを安定化させる
べく、ポリマー組成物内部より、むしろポリマー組成物
とバルクとの界面(空気/ポリマー組成物界面、水/ポ
リマー組成物界面など)に配向する。従って水(血液)
の存在下、水接触界面の大部分にわたって上記共重合体
(A)が配向し、水和したこの共重合体のハイドロゲル
層が形成される。このため、蛋白質や血球などの生体成
分の吸着が少なく、また吸着した蛋白質の変性や接触し
た血小板の粘着、活性化を抑制することができる。更に
ポリオキシアルキレン自由末端鎖、遊離水酸基末端数等
が大幅に減少するため、補体活性化、細胞膜損傷を回避
できると推定される。
【0115】
【発明の効果】本発明のポリアルキルエーテル/ポリア
リールエーテルスルホンおよびケトン共重合体はそれ自
体で抗血栓性に優れており、蛋白質や血球などの生体成
分の吸着が少なく、また吸着した蛋白質の変性や接触し
た血小板の粘着、活性化を抑制することができる。更に
他の医療用ポリマーと配合することにより該医療用ポリ
マーに坑血栓性を付与することができる。これらは、上
記共重合体中のオキシエチレン自由末端鎖、遊離水酸基
末端数等が少ないため、補体活性化、細胞膜損傷を回避
できることによると推定される。それ故、本発明の共重
合体およびポリマー組成物は直接血液成分と接触して用
いることが主たる目的となる医療用材料として有用であ
り、例えば、人工腎臓、人工血管、人工心肺、血液透析
膜、血液バッグ、カテーテル、血漿分離膜等に用いるこ
とができる。そして、このような材料として用いる場
合、該共重合体、ポリマー組成物自体を材料として用い
中空糸、シート、フィルム、チューブとして成形するの
みならず、これらを溶剤に溶解し、この溶液をこれら各
種材料表面に塗布し、血液接触表面のみを改質すること
も可能である。
【0116】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例は本発明を
限定するものではない。また、例中の「部」は特にこだ
わらない限り「重量部」を表す。
【0117】ポリアルキルエーテル/ポリアリールエー
テルスルホンもしくはケトン共重合体(A)の還元粘度
(ηsp/c)は、フェノール/1,1,2,2−テトラク
ロルエタン混合溶媒(重量比6/4)10mlに120
mgを溶解させて35℃で測定した。
【0118】ポリマーBは、2,2’−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパンと4,4’−ジクロロジフェ
ニルスルホンを加熱反応して得られるポリスルホン(P
S)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンと
4,4’−ジクロロジフェニルスルホンを加熱反応して
得られるポリアリールエーテルスルホン(PES)およ
び酢化度2.8のセルローストリアセテート(TAC)
をそれぞれ用いた。ポリカーボネート(PC)は、ビス
フェノールAとジフェニルカーボネートとの反応縮合物
(帝人化成製、CK−4000、数平均分子量2000
0)を用いた。
【0119】数平均分子量は、GPC測定(展開溶媒ク
ロロホルム、ポリスチレン換算)によって求めた。
【0120】1H−NMRスペクトルの測定において
は、日本電子株式会社(JEOL)製JNM−A600
を用い、混合溶媒(CF3COOD/CHCl3=1/
1)で測定した。
【0121】吸着した蛋白の定量評価は、MicroB
CA法により行った。これは銅イオンおよび下記構造で
示される BCA蛋白検出試薬を用いたMicroBCAキ
ット(Micro BCA Assay Reagen
t Kit;PierceCo.Ltd.製)による蛋
白定量法である。試料中に存在する蛋白により一価に還
元された銅イオンのみが、この試薬とキレート反応を行
い発色(570nm)するため、サンプルの吸光度測定
より蛋白濃度(アルブミン換算)を定量することができ
る。
【0122】
【化12】
【0123】ESCAによる表面組成の測定には、フィ
ルムを直径1cmの円盤上に切り出し、測定試料とした。
装置はVG社ESCALAB−200を用い、MgKα
線を光電子取り出し角45゜となるよう照射し、スキャ
ンした。測定はキャスト時、空気界面と接触した表面
(表側)について行った。
【0124】SEM写真は、金蒸着したサンプルを5×
5mmに切り出し、銅製サンプルプレート上に固定して
観察試料とした。この試料を用いて、SEM(日立製作
所製、S−510)により表面観察を行った。
【0125】[合成例1(α,ω−ビス(2−クロロエ
トキシ)ポリオキシエチレンの合成)]ポリオキシエチ
レングリコール(#2000)30部、ピリジン3.2
部、脱水クロロホルム150部をスリ付き三角フラスコ
中に仕込み、撹拌して均一溶液とした。これに塩化チオ
ニル2.4部、脱水クロロホルム15部の混合溶液を氷
冷下30分かけて滴下、その後氷冷をはずして液温が室
温に上昇した後、更にもう8時間撹拌を続けた。クロロ
ホルムを減圧留去後、更にもう15部の新鮮な塩化チオ
ニルを加え、24時間、加熱乾留した。その後減圧下で
余剰の塩化チオニルを留去し、残査を新鮮なクロロホル
ム300部に溶解し、飽和食塩水200部で三回洗浄、
ついで純水200部で一回洗浄し、クロロホルム層を分
取、無水硫酸ナトリウムで一晩乾燥した。クロロホルム
を留去し得られた油状物は室温で直ちに固化した。これ
をアセトン40部に加熱溶解し、ジエチルエーテル20
0部より再沈殿を行うことで白色粉状晶28.8部を得
た。生成物の融点は、50.5℃〜53.5℃であり、IR
(赤外分光)のチャートより、この化合物はα,ω−ビ
ス(2−クロロエトキシ)ポリオキシエチレン(数平均
分子量2000)であることが確認された。
【0126】[実施例1〜6(ポリアルキルエーテル/
ポリアリールエーテルスルホン共重合体の製造)] (実施例1)4,4’−イソプロピリデンビスフェノー
ル12.64部、ビス(4−クロロフェニル)スルホン
12.74部、α,ω−ビス(2−クロロエトキシ)ポ
リオキシエチレン(数平均分子量2000)22.11
部、トルエン20部、炭酸カリウム8.63部を、窒素
導入口と排出口を持った3つ口フラスコに入れ、これを
ディーン・スタークス・トラップに誘導し窒素置換を行
い、110℃で6時間加熱環流を行い反応させた。反応
は、この反応に伴う水の流出が終了後、トルエンを留去
し、新たにN,N−ジメチルアセトアミド20部を加
え、フラスコ内を窒素置換し、さらに160℃で15時
間加熱撹拌して反応せしめた。こうして得られたポリマ
ーはクロロホルムで抽出され、メタノールより再沈殿
後、水により煮沸洗浄し、乾燥された。最終的に得られ
たポリマーについて、還元粘度、数平均分子量を測定し
た。結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】1)略号はそれぞれ下記構造式に対応す
る。
【0129】
【化13】
【0130】さらに、上記と同様の操作により、種々の
ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン
共重合体を製造し、還元粘度、数平均分子量を測定した
(実施例2〜6)。これらの結果を表1にまとめた。
【0131】なお、得られたポリマーはNMR、IR等
により構造を確認した。実施例2で得られたポリアルキ
ルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体
(PEO2000(30)−co−PS(70))のN
MRチャートを図1に示す。
【0132】[実施例7〜9(ポリアルキルエーテル/
ポリアリールエーテルケトン共重合体の製造)] (実施例7)ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン1
0.00部、ビス(4−フルオロ)ベンゾフェノン8.1
2部、α,ω−ビス(2−クロロエトキシ)ポリオキシ
エチレン(数平均分子量約2000)38.75部、ト
ルエン20部、ジフェニルスルホン20部、炭酸カリウ
ム7部を、窒素導入口と排出口を持った3つ口フラスコ
に入れ、これをディーン・スタークス・トラップに誘導
し窒素置換を行い、110℃で6時間加熱環流を行い反
応させた。この反応に伴う水の流出が終了後、トルエン
を留去し、新たにジフェニルスルホン10部を加え、フ
ラスコ内を窒素置換し、さらに200℃で15時間加熱
撹拌して反応せしめた。こうして得られたポリマーはク
ロロホルムで抽出され、メタノールより再沈殿後、水で
煮沸洗浄し、乾燥された。最終的に得られたポリマーに
ついて、還元粘度、数平均分子量を測定した。結果を上
記表1に併記した。
【0133】(実施例8、9)さらに、上記と同様の操
作により、種々のポリアルキルエーテル/ポリアリール
エーテルケトン共重合体を製造した。これらの結果を表
1に併記した。
【0134】なお、得られたポリマーはNMR、IR等
により構造を確認した。実施例7で得られたポリアルキ
ルエーテル/ポリアリールエーテルケトン共重合体(P
EO2000(70)−co−PMEK(30))のN
MRチャートを図2に示す。
【0135】[実施例10〜15(ポリアルキルエーテ
ル/ポリアリールエーテルスルホン及びケトン共重合体
の抗血栓性の評価)] (1)評価用サンプルの作成 上記実施例で製造したポリアルキルエーテル/ポリアリ
ールエーテルスルホン及びケトン共重合体をクロロホル
ムにそれぞれ溶解させ、濃度1.0重量%ドープ溶液を
調製した。このドープ溶液10mlに、滅菌処理したポ
リエチレンテレフタレート(PET)円板(直径15mm、厚さ
0.5mm)を浸漬させた。1分後PET円板を取り出し、溶媒
雰囲気下で一晩放置することにより溶媒を揮散させ、該
共重合体をPETに被覆したサンプルを作成した。
【0136】(2)蛋白吸着量の評価 上記(1)で作成したサンプルをヒト貧血小板血漿(P
PP)溶液に接触したときに、上記共重合体に吸着する
蛋白の吸着量を分光的に定量した。評価に際しては、P
PPをリン酸緩衝液で所定濃度(5重量%リン酸緩衝液
溶液)に調製したものを37℃、1時間上記サンプルへ
接触させ、吸着した蛋白を1重量%ドデシル硫酸ナトリ
ウム水溶液で抽出する。ついでMicroBCA法により、蛋白
吸着量を見積った。サンプル数は実施例1つにつき4個
である。
【0137】(3)SEM観察による血小板粘着量の評
価 一般に、重篤な血栓形成の前段階である血小板の粘着、
凝集には、材料表面へ吸着するタンパク質の種類及びそ
の表面における配向が大きく関与することが知られてい
る。そして粘着した血小板の活性化(変形、顆粒放出)
がその後の凝集、血小板血栓形成、凝固因子系の反応促
進に影響する。従って血液(全血又は成分血)と接触し
た後の材料表面における血小板の粘着状態を観察するこ
とで、その材料の血液適合性の程度を大まかに見積もる
ことができる。ここではヒト多血小板血漿(PRP)を用
い、ポリマー表面をPRPに接触させた後のポリマー表面
への血小板の粘着状態をSEMにより観察した。PRPはヒト
上腕部静脈より採取した新鮮血に3.5重量%クエン酸
三ナトリウム水溶液を1/9容加え、1000r.p.m.で10分遠
心分離した上澄み液を用いた。
【0138】上記共重合体が被覆されたサンプルは、培
養シャーレ(Falcon,24well)中、0.7mlのPRPと37℃、3
時間接触された。ついでこのサンプルを蒸留水でよく洗
浄し、2.5重量%グルタルアルデヒド水溶液中にて室
温下2時間かけて固定し、凍結乾燥後、金蒸着して観察
試料とした。(室温下二時間放置後さらに凍結乾燥させ
る。これを金蒸着して観察試料とした。)この試料を用
いて、SEMにより表面に吸着した血小板の粘着数を数
えた。サンプル数は実施例1つにつき2個である。
【0139】表2に、蛋白吸着量及び血小板粘着数を示
す。
【0140】
【表2】
【0141】以上の結果より、本発明のポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホン及びケトン共重
合体は、タンパク吸着量が少なく、血小板の粘着数もわ
ずかであり、抗血栓性に優れることが明らかとなった。
【0142】[実施例16〜22、比較例1〜3(ポリ
マー組成物の抗血栓性の評価1)] (1)ESCAによる表面解析 上記実施例で製造したポリアルキルエーテル/ポリアリ
ールエーテルスルホン共重合体と下記表3に示す各種ポ
リマーとを所定の混合割合でN-メチル-2-ピロリドン
(NMP)に加熱溶解することにより数種のドープ溶液
を製造した(濃度10重量%)。この溶液をテフロン支
持基板上にキャストし、ついで溶媒を水により抽出する
ことにより厚さ約0.5mmのポリマー組成物からなる
膜が得られた。この膜の表面近傍における上記共重合体
の濃度を、ESCAにより解析した。
【0143】(2)抗血栓性の評価 上記実施例10〜15と同様の方法により蛋白吸着量及
び血小板粘着数を求めた。
【0144】表3に、(1)及び(2)の結果を示し
た。
【0145】
【表3】
【0146】[実施例23〜25(ポリマー組成物の抗
血栓性の評価2)]上記実施例16〜22と同様の方法
により、各ポリマー組成物((PEO3000(70)
−co−PPES(30))/ポリウレタン(PU)=
10/90(組成比)、(PEO3000(50)−c
o−PES(50))/PU=10/90、(PEO3
000(50)−co−PES(50))/PMMA=
10/90)からなる膜をそれぞれ作成し、蛋白吸着量
及び血小板粘着数を測定したところ、いずれも少なかっ
た。用いたポリウレタン(PU)の構造式を下記に示
す。
【0147】
【化14】
【0148】以上の結果より、本発明のポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホンもしくはケトン
共重合体を含有するポリマー組成物は、該共重合体が表
面に高濃度の存在しており、タンパク吸着抑制能に優
れ、血小板の粘着をも有意に抑制することが明らかとな
った。
【0149】[実施例26〜29、比較例4(表面が被
覆されたポリプロピレンの抗血栓性の評価)] (1)評価用サンプルの作成 上記実施例で製造した共重合体の1.0重量%クロロホ
ルム溶液を調製し、これにポリプロピレン(PP)から
なる膜(直径15mm、厚さ0.1mm)を浸漬した。1分後、こ
の膜を取り出し、溶媒雰囲気下で一晩放置することによ
り溶媒を揮散させ、該ポリプロピレンに上記共重合体が
膜厚500μmで被覆された各サンプルを作成した。
【0150】(2)抗血栓性の評価 上記実施例10〜15と同様の方法により蛋白吸着量及
び血小板粘着数を求めた。
【0151】表4に(1)及び(2)の結果を示す。
【0152】
【表4】
【0153】[実施例30〜33(表面を被覆したポリ
マー素材の抗血栓性の評価)]上記ポリ塩化ビニル(P
VC)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PE
T)及び下記に示すシリコン樹脂の各ポリマーに上記共
重合体(PEO3000(70)−co−PMEK(3
0))を上記実施例26〜29と同様の方法により被覆
したサンプルを作成し、蛋白吸着量及び血小板粘着数を
測定したところ、いずれも少なかった。
【0154】
【化15】
【0155】以上の結果より、本発明のポリアルキルエ
ーテル/ポリアリールエーテルスルホンもしくはケトン
共重合体によって被覆したポリマーは、タンパク吸着量
及び血小板の粘着数が少なく、優れた抗血栓性を有する
ことが明らかとなった。
【0156】[実施例34〜36、比較例5](ポリエ
ーテル/ポリスルホン共重合体とセルロース・トリアセ
テートとからなるポリマー組成物のドープ溶液からの湿
式紡糸による中空糸膜の作成および評価) (1)中空糸膜の作成 上記セルロース・トリアセテート組成物を用い、湿式紡
糸による中空糸膜の作成を行った。各参考例で製造した
ポリエーテル/ポリスルホン共重合体をセルロース・ト
リアセテート(ダイセル化学製)と共にN-メチル-2-
ピロリドン(NMP)に加熱溶解することでセルロース
・トリアセテート組成物のドープ溶液を3種得た(濃度
13重量%)。これをノズルより温水中へ吐出すること
で湿式紡糸を行い、均質な多孔膜を得た。
【0157】この多孔膜について透水率(UFR)、デ
キストラン1万透析性能(DA10000)及びデキス
トラン7万篩い係数(Sc70000)を測定した。評
価には有効膜面積1.5m2の透析器を用いた。具体的
な測定条件は以下の通りである。
【0158】(a)透水率(UFR):差圧300mm
Hgで35℃の純水20mlが圧ろ過されるに要する時
間を測定することにより求めた。
【0159】(b)デキストラン1万透析性能(DA1
0000):デキストラン1万の0.02重量%水溶液
を透析液として用い、尿素透析の場合と同様にして算出
した。
【0160】(c)デキストラン7万篩い係数(Sc7
0000):デキストラン7万の0.01重量%水溶液
を原液として用い、10mmHgの加圧下で膜を透過し
たデキストラン7万濃度を測定することにより、算出し
た。
【0161】結果を表5に示す。
【0162】
【表5】
【0163】何れのポリエーテル/ポリスルホン共重合
体/セルロース・トリアセテートのブレンド物から成る
セルロース・トリアセテート組成物より作製した中空糸
膜も、セルロース・トリアセテートのそれと変わらない
優れた透析特性を示した。これにより、本発明のセルロ
ース・トリアセテート組成物を湿式紡糸することで、セ
ルロース・トリアセテートが本来有する優れた膜特性を
維持し、なおかつ血液適合性に優れた医療用材料を提供
できることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルスルホン共重合体(PEO2000
(30)−co−PS(70))のNMRチャートであ
る。
【図2】実施例7で得られたポリアルキルエーテル/ポ
リアリールエーテルケトン共重合体(PEO2000
(70)−co−PMEK(30))のNMRチャート
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/10 LCU C08L 23/10 LCU 27/06 27/06 69/00 LPQ 69/00 LPQ 71/00 LPZ 71/00 LPZ 75/04 NGJ 75/04 NGJ 81/06 LRF 81/06 LRF C09D 181/00 PMX C09D 181/00 PMX (31)優先権主張番号 特願平8−280598 (32)優先日 平8(1996)10月23日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−282173 (32)優先日 平8(1996)10月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平8−317747 (32)優先日 平8(1996)11月28日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 ―[―O―Ar1―Z―Ar2―O―Ar3―]― …(1) [ここで、Ar1、Ar2およびAr3は、互いに同一も
    しくは異なり、置換基を有していてもよい2価の芳香族
    炭化水素基でありそしてZは>C=0または>SO2
    ある。]で表わされる繰返し単位および下記式(2) 【化2】 ―[―(―OR―)n―O―Ar3―]― …(2) [ここでRは炭素数2または3のアルキレン基である
    か、炭素数2または3のアルキレン基と炭素数4のアル
    キレン基との組み合わせであり、Ar3の定義は上記に
    同じであり、そしてnは―(―OR―)n―で示される
    単位の分子量が400〜20,000の範囲にある数で
    ある。]で表わされる繰返し単位から実質的になり、上
    記式(2)で表わされる繰返し単位が平均して一分子中
    に少なくとも2個存在し、上記式(1)および(2)の
    繰返し単位の合計重量に基づき、上記式(2)中の―
    (―OR―)n―で示される単位が10〜90重量%を
    占め、そしてフェノール/1,1,2,2―テトラクロ
    ロエタンの重量比が6/4の混合溶媒中で35℃で測定
    した還元粘度が少なくとも0.5dl/gであるポリア
    ルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホンもしく
    はケトン共重合体。
  2. 【請求項2】 上記式(2)中の―(―OR―)n―で
    示される単位が30〜80重量%を占める請求項1記載
    の共重合体。
  3. 【請求項3】 還元粘度が少なくとも1.0dl/gで
    ある請求項1または2記載の共重合体。
  4. 【請求項4】 上記式(1)においてAr3は置換され
    ていてもよく、―Ar1―SO2―Ar2―とは異なる2
    価の芳香族炭化水素である請求項1〜3のいずれかに記
    載の共重合体。
  5. 【請求項5】 上記ポリアルキルエーテル/ポリアリー
    ルエーテルスルホンもしくはケトン共重合体を血液と接
    触して使用するための医療用材料を製造するために使用
    すること。
  6. 【請求項6】 上記ポリアルキルエーテル/ポリアリー
    ルエーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)を、
    ポリスルホン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリプ
    ロピレン、セルローストリアセテート、ポリ塩化ビニ
    ル、ポリウレタンおよびポリカーボネートよりなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種のポリマー(B)から形成さ
    れた、血液と接触して使用されるための医療用材料の血
    液と接触する表面を被覆するために使用すること。
  7. 【請求項7】 上記ポリアルキルエーテル/ポリアリー
    ルエーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)1〜
    99重量部と上記ポリマー(B)1〜99重量部とから
    なるポリマー組成物を血液と接触して使用するための医
    療用材料を製造するための素材として使用すること。但
    し共重合体(A)とポリマー(B)の合計重量は100
    重量部とする。
  8. 【請求項8】 上記ポリアルキルエーテル/ポリアリー
    ルエーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)1〜
    99重量部と上記ポリマー(B)1〜99重量部とから
    なるポリマー組成物。但し、共重合体(A)とポリマー
    (B)の合計重量は100重量部である。
  9. 【請求項9】 血液と接触して使用されるための医療用
    材料であって、少なくとも血液と接触して使用される表
    面を持つ部分は、ポリアルキルエーテル/ポリアリール
    エーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)とポリ
    マー(B)とからなるポリマー組成物を素材として形成
    され、そして該部分の表面近傍における上記共重合体
    (A)の濃度が該部分を形成する該ポリマー組成物全体
    中の上記共重合体(A)の濃度よりも高いことを特徴と
    する医療用材料。
  10. 【請求項10】 ポリマー組成物が共重合体(A)5〜
    20重量部とポリマー(B)80〜95重量部からなり
    (但し両者の合計は100重量部)そして該表面近傍に
    おける共重合体(A)の割合は同じ基準に対し50〜9
    0重量部を占める、請求項9記載の医療用材料。
  11. 【請求項11】 医療用材料が人工腎臓用中空糸、人工
    肺用中空糸、カテーテル、人工血管、採血管、血液回路
    用のチューブ、血液容器、血液透析膜、血漿分離膜ある
    いは医療用縫合糸である請求項9または10記載の医療
    用材料。
  12. 【請求項12】 ポリアルキルエーテル/ポリアリール
    エーテルスルホンもしくはケトン共重合体(A)、ポリ
    マー(B)およびこれらを溶解し得る非プロトン性極性
    有機溶媒(C)とからなり、そして上記(A)成分およ
    び(B)成分の合計濃度が1〜30重量%であるドープ
    を準備し、このドープを薄膜に形成し、この薄膜を湿式
    もしくは乾式成形法に付して厚さが1mm以下の、血液
    と接触して使用される部分を持つ医療用材料を生成せし
    める、ことを特徴とする医療用材料の製造法。
  13. 【請求項13】 非プロトン性極性有機溶媒がテトラヒ
    ドロフラン、1,3―ジオキソラン、1,4―ジオキサ
    ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N
    ―メチル―2―ピロリドン、ジメチルスルホキサイド、
    塩化メチレン、およびクロロホルムよりなる群から選ば
    れる少なくとも1種である請求項12記載の医療用材料
    の製造法。
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