JPH09290019A - 血液適合性に優れた医療用材料 - Google Patents

血液適合性に優れた医療用材料

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JPH09290019A
JPH09290019A JP8129227A JP12922796A JPH09290019A JP H09290019 A JPH09290019 A JP H09290019A JP 8129227 A JP8129227 A JP 8129227A JP 12922796 A JP12922796 A JP 12922796A JP H09290019 A JPH09290019 A JP H09290019A
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blood
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polyether ester
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JP8129227A
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Tomonori Sakurai
智徳 桜井
Hiroaki Kuwabara
広明 桑原
Shunichi Matsumura
俊一 松村
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血漿蛋白の吸着性、血小板の粘着性が低く、低
抗原性であり、機械特性、加工性等が良好な医療用材料
を提供する。 【解決手段】血液と接触して使用される医療用材料であ
って、少なくとも該材料の血液と接触する部分が、炭素
原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸成分(A)と、炭
素原子数2〜6の脂肪族ジオール成分(B)と、数平均
分子量400以上のポリオキシアルキレン成分(C)と
から実質的になるポリエーテルエステル共重合体(D)
からなり、該重合体(D)における成分(A)と成分
(B)とを合計した共重合量が15〜80重量%であ
り、かつ該重合体(D)における成分(C)の共重合量
が85〜20重量%であるポリエーテルエステル共重合
体(D)より主として構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な血液適合性に
優れた医療用材料に関し、更に詳しくは、該材料の血液
と接触する部分が、特定のポリエーテルエステルより構
成されてなることを特徴とする血液適合性に優れた医療
用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成高分子材料は、人工臓器、カ
テーテルをはじめとする医療用材料に広く用いられてい
る。その代表的なものは、医療用高分子材料としてはポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコー
ン樹脂、ポリメタクリル酸エステル及び含フッ素樹脂な
どの疎水性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリエー
テルウレタン(セグメント化ポリウレタン、SPU)、
ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)およびポリ
アクリルアミドなどの親水性高分子である。
【0003】医療技術の進歩に伴って、生体組織や血液
と材料が接触する機会はますます増加しており、材料の
生体親和性が大きな問題になってきている。中でも蛋白
質や血球などの生体成分が材料表面に吸着し、変性する
ことは、血栓形成、炎症反応などの通常では認められな
い悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、材料の劣
化にもつながり、医療用材料の根本的かつ緊急に解決せ
ねばならない重要な課題の一つである。材料表面での血
液凝固の防止に関しては、従来ヘパリンに代表される血
液抗凝固剤の連続投与が行われてきたが、最近長期にわ
たるヘパリン投与の影響(脂質代謝異常などの肝臓障
害、出血時間の延長あるいはアレルギー反応等の副作
用)が問題となってきており、抗凝固剤を必要としない
血液接触材料の開発が強く望まれるようになってきた。
【0004】従来の材料において、疎水性高分子材料で
あるポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステルや、ポ
リビニルアルコール、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチル)などの親水性高分子材料は、いずれも生体親
和性において満足できるものではない。SPUに関して
は、比較的抗血栓性に優れることが知られており、Biom
er Cardiothaneなどは人工心臓への応用が試みられて
いる( J. Biomed. Mater. Res. Symp.,3, 129 (197
2)、Trans. ASAIO, 29, 81 (1983))。
【0005】ポリエチレングリコールは、高い親水性と
低い抗原性を有し、従来より非イオン性界面活性剤、可
塑剤、医薬品基材などとして用いられてきた。しかし、
ポリエチレングリコールそのものは水溶性であり、医療
用材料として加工することはできない。そこで、このポ
リマーをポリメタクリル酸へグラフト重合することによ
る表面が親水化したヒドロゲルの調製(Trans. Am. So
c. Artif. Intern. Organs, 28, 459 (1982))、ポリエ
ーテルウレタンの親水性相へ適用したセグメント化ポリ
ウレタンの調製が報告されている。これらのポリマーで
は、表面への血小板粘着が抑制されることも報告されて
いる(Adv. Chem. Ser., 199, 95 (1982))。
【0006】しかし、自由末端鎖としてポリエチレング
リコール鎖をグラフトしたメタクリル酸コポリマーは、
血小板粘着を比較的抑制するものの、ポリエチレングリ
コールの高い運動性や、生体内の極性基と強く相互作用
する遊離水酸基により、有意な細胞膜損傷性と細胞機能
低下を惹起することがin vitro 試験により示されてお
り(Polym. Prepr. ,Jpn., 33, 2143 (1984))、安全性
が重視される医療用材料への利用は適切ではない。
【0007】更にBiomer Cardiothaneなどセグメント
化ポリウレタンは、剛直な芳香族ウレタン結合部位と柔
軟なポリエーテル結合部位の間のミクロ相分離構造によ
り血小板粘着が抑制されるが、その効果は必ずしも十分
ではない。特にウレタン結合やウレア結合のように水素
結合性の部分構造は、分子鎖の剛直性向上に寄与するも
のの、主鎖の極性基間の相互作用が強いため、疎水性相
互作用を軽減しうる水分子の水和が阻害される。従って
血中タンパクが吸着した際にタンパクの変性を誘起、血
小板粘着を促進することが報告されている。そもそも一
般に水酸基、アミノ基といった極性部位は、血液接触時
に補体活性化(第二経路)を誘発し、フィブリン形成促
進による血栓形成の要因ともなる。
【0008】ポリエステル系ポリマーでは、ポリエチレ
ンオキシド(PEO)/ポリブチレンテレフタレート(PBT)共
重合体が、骨接着性に優れた生体適合ポリマーとして知
られている(J. Bio. Mater. Res., 28, 141 (1994)、i
bid, 28, 269 (1994))が、血液適合性に関する知見は
これまでにない。更に、脂肪族ポリエステルとポリオキ
シアルキレングリコールから成るポリエーテルエステル
の血液適合性に関する知見も全くない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は血漿蛋
白の吸着性、血小板の粘着性が低く、低抗原性であり、
機械特性、加工性等が良好な医療用材料を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、共重合体
成分として脂肪族ポリエステルを用い、ポリオキシアル
キレングリコール鎖を該脂肪族ポリエステル主鎖中に組
み込むことにより、オキシアルキレン単位の過度の運動
性や遊離水酸基の単位数を減少させ、ポリオキシアルキ
レングリコール鎖が有する親水性と柔軟性を維持しつつ
も前記の問題が改善された、血液適合性に優れた医療用
材料へ応用可能なポリマーの検討を行なった。その結
果、疎水性のポリマーと適当な鎖長から成るポリオキシ
アルキレングリコールとから成る共重合体、即ち、脂肪
族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオールとから主としてな
る脂肪族ポリエステルと末端にエステル形成性官能基を
有するポリオキシアルキレン化合物とから成るポリエー
テルエステル共重合体において、脂肪族ジカルボン酸、
脂肪族ジオールの種類、ポリオキシアルキレン単位の
数、およびこれらの共重合組成の制御により、ポリオキ
シアルキレングリコールの特性を維持したまま、良好な
機械的強度ならびに成形性を有する共重合体が得られ、
前記の問題点が解決できることを見出し、本発明に到達
したものである。
【0011】即ち、本発明は血液と接触して使用される
医療用材料であって、少なくとも該材料の血液と接触す
る部分が、炭素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸成
分(A)と、炭素原子数2〜6の脂肪族ジオール成分
(B)と、数平均分子量400以上のポリオキシアルキ
レン成分(C)とから実質的になるポリエーテルエステ
ル共重合体(D)からなり、該共重合体(D)における
成分(A)と成分(B)とを合計した共重合量が15〜
80重量%であり、かつ該共重合体(D)における成分
(C)の共重合量が85〜20重量%であるポリエーテ
ルエステル共重合体(D)より主として構成されている
ことを特徴とする血液適合性に優れた医療用材料によっ
て達成される。
【0012】本発明は言い換えると、血液と接触して使
用される医療用材料であって、少なくとも該材料の血液
と接触する部分が、下記式(1)〜(3)
【0013】
【化1】
【0014】(式(1)中、R1は炭素原子数2〜8の
2価の脂肪族基である。式(2)中、R2は炭素原子数
2〜6の脂肪族基である。式(3)中、R3は炭素原子
数1〜4のアルキレン基、kは(−R3−O−)kで表さ
れるポリオキシアルキレン単位の分子量が400以上と
なるような繰り返し単位数である。)で表される繰り返
し単位より実質的になり、かつ上記式(1)、(2)及
び(3)で表される繰り返し単位の合計量に基づく上記
式(3)で表される繰り返し単位の含有量が重量比で2
0〜85重量%の範囲内であるポリエーテルエステル共
重合体(D)より主として構成されていることを特徴と
する血液適合性に優れた医療用材料である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳述する。
【0016】本発明の医療用材料は、少なくとも該材料
の血液と接触する部分が、炭素原子数4〜10の脂肪族
ジカルボン酸成分(A)と、炭素原子数2〜6の脂肪族
ジオール成分(B)と、数平均分子量400以上のポリ
オキシアルキレン成分(C)とから実質的になるポリエ
ーテルエステル共重合体(D)からなる。
【0017】ここで炭素原子数4〜10の脂肪族ジカル
ボン酸成分(A)は、例えば下記式(1)
【0018】
【化2】
【0019】で表される。式(1)中、R1は炭素原子
数2〜8の2価の脂肪族基である。かかる脂肪族ジカル
ボン酸成分(A)としては、例えばコハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸を
挙げることができる。これら脂肪族ジカルボン酸はその
まま重合に使用してもよいし、その酸無水物、その低級
アルキルエステル等のエステル形成性誘導体として使用
してもよい。
【0020】上記脂肪族ジカルボン酸成分は、1種であ
っても2種以上併存してもよい。
【0021】炭素原子数2〜6の脂肪族ジオール成分
(B)は、例えば下記式(2)
【0022】
【化3】 −(−O−R2−O−)− ・・・・(2)
【0023】で表される。式(2)中、R2は炭素原子
数2〜6の脂肪族基である。かかる脂肪族ジオール成分
(B)としては、エチレングリコール、トリメチレング
リコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ジエチレングリコール、ネオペンチレングリコ
ール等のアルキレングリコールを挙げることができる。
【0024】上記脂肪族ジオール成分は、1種であって
も2種以上併存してもよい。
【0025】数平均分子量400以上のポリオキシアル
キレン成分(C)は、例えば
【0026】
【化4】 −(−R3−O−)k− ・・・・(3)
【0027】で表される。式(3)中、R3は炭素原子
数1〜4のアルキレン基、kは(−R3−O−)kで表さ
れるポリオキシアルキレン単位の分子量が400以上と
なるような繰り返し単位数である。下記式(4)
【0028】
【化5】 HO(Cm2mO)kH ・・・・ (4)
【0029】(式(4)中mは1〜4の整数、kは数平
均分子量が400以上となる適切な値を示す。)で表さ
れるポリオキシアルキレングリコール、及び下記式
(5)
【0030】
【化6】 ROOC(CH2lO(Cm2mO)k(CH2lCOOR ・・・・ (5)
【0031】(式(2)中RはHまたは炭素原子数1〜
8の1価の炭化水素残基、lは1〜4の整数、k、mは
上記式(4)と同じである。)で表されるポリオキシア
ルキレングリコールビスカルボキシメチルエーテル等の
末端にエステル形成性官能基を有するポリオキシアルキ
レン化合物を好ましく挙げることができる。
【0032】ここで、上記式(4)で表されるポリオキ
シアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールが好ましい。
【0033】また、上記式(5)で表されるポリオキシ
アルキレングリコールビスカルボキシメチルエーテルと
しては、ポリエチレングリコールビスカルボキシメチル
エーテルが好ましい。
【0034】上記ポリオキシアルキレン成分(C)は、
1種であっても2種以上併存してもよい。
【0035】ポリオキシアルキレン成分(C)の数平均
分子量は、400以上であり、上記式(3)〜(5)中
におけるkとしては、ポリオキシアルキレン構造の分子
量が、400以上となるような繰り返し単位数を示す。
ポリオキシアルキレン成分の数平均分子量は、上限は実
際的には20000である。該ポリオキシアルキレン成
分(C)の数平均分子量は好ましくは600〜1500
0、より好ましくは800〜10000、特に好ましく
は1000〜6000である。例えば、ポリオキシエチ
レングリコールの場合(式(4)中、m=2)、kはお
よそ9〜455の範囲の数となる。
【0036】ポリエーテルエステル共重合体(D)中の
上記ポリオキシアルキレン成分(C)の共重合量は、脂
肪族ジカルボン酸成分(A)、脂肪族ジオール成分
(B)及び上記成分(C)とから実質的に成るポリエー
テルエステル共重合体(D)に対し、20〜85wt%
の範囲内である。共重合された成分(C)の含有量が重
量比20%未満では、疎水性が高すぎタンパク吸着や血
小板粘着を十分に抑制できなくなる。また85%を超え
ると親水性が高すぎる為に、水中への溶出、著しい膨潤
が起こり機械的強度も十分ではない。かかる成分(C)
の含有量は、好ましくは30〜80wt%、より好まし
くは40〜75wt%である。
【0037】本発明におけるポリエーテルエステル共重
合体(D)は、ランダム共重合体であっても、ブロック
共重合体であってもよい。
【0038】本発明におけるポリエーテルエステル共重
合体(D)の重合度は、フェノール/1,1,2,2−
テトラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度
1.2g/dl、温度35℃で測定した還元粘度で、
1.0〜5.0とすることが好ましく、2.0〜3.0
とすることが成形加工性、機械特性の点でより好まし
い。
【0039】本発明におけるポリエーテルエステル共重
合体(D)は、上記脂肪族ジカルボン酸成分(A)、上
記脂肪族ジオール成分(B)、及び上記成分(C)を溶
融重縮合せしめる方法、あるいは上記脂肪族ジカルボン
酸成分(A)と上記脂肪族ジオール成分(B)とをエス
テル化あるいはエステル交換した後、上記成分(C)を
反応系中に加え溶融重縮合せしめるといった従来公知の
方法により実施することができる。
【0040】溶融反応は重縮合触媒の存在下、減圧下あ
るいは不活性ガス雰囲気下で実施される。ここで重縮合
触媒としては当該分野における従来公知のものを用いる
ことができるが、例えば酸化アンチモン等のアンチモン
化合物、酢酸錫、ジブチル錫オキシド等の錫化合物、テ
トラアルコキシチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛
等の亜鉛化合物、酢酸カルシウム等のカルシウム化合
物、酢酸マンガン等のマンガン化合物、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等のアルカリ金属化合物等が挙げられ
る。これら重縮合触媒の使用量は用いるジカルボン酸成
分に対して、大略0.001〜0.1モル%程度が好ま
しく、0.005〜0.05モル%程度がより好まし
い。生成するポリマーは、その目的に応じてポリオキシ
アルキレングリコールの分子量、含有量(共重合組成)
を任意に変化させることができる。
【0041】本発明の医療用材料は、該材料の血液と接
触する部分が、上記のポリエーテルエステル共重合体
(D)により主として構成されていることを特徴とす
る。ここで血液と接触する部分とは、血液が接触する材
料の表面およびその近傍をさす。例えば、人工血管とし
て使用する場合には、少なくとも血液が流れるその内面
が上記ポリエーテルエステル(D)で構成されていれば
よい。上記ポリエーテルエステル(D)は、加工性、機
械特性等が良好であり、材料全体をこれにより成形して
もよいし、ポリエステル、ポリスルホン等、他の熱可塑
性樹脂を50重量%以下、好ましくは40重量%以下、
より好ましくは20重量%以下混合して用いるなど、他
の素材を組み合わせて使用することもできる。後者の場
合には、例えば他の素材の表面を上記ポリエーテルエス
テル(D)でコーティングする方法も好ましく実施でき
る。
【0042】本発明におけるポリエーテルエステル共重
合体(D)が優れた血液適合性を示す理由としては、次
のように推定される。
【0043】上記ポリエーテルエステル(D)は、ポリ
エステルハード成分により両末端をポリマー主鎖中に固
定された親水性ポリオキシアルキレングリコール鎖を有
しており、これら親水性セグメントと疎水性ポリエステ
ルセグメント双方は熱力学的にのみならず、巨視的に相
分離した表面構造を特徴とする。ポリマー主鎖中大部分
にわたって水素結合供与基が存在しないため、主鎖間の
相互作用が小さく、疎水性相互作用を低減しうる水分子
の接触が容易におこる。従って水の存在下、水接触界面
において水和したハイドロゲル層が形成される。このた
め、蛋白質や血球などの生体成分の吸着が少なく、また
吸着した蛋白質の変性や接触した血小板の粘着、活性化
を抑制することができる。更にオキシエチレン自由末端
鎖、遊離水酸基末端数等が大幅に減少するため、補体活
性化、細胞膜損傷を回避できるものと考えられる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、上記ポリエーテルエス
テル共重合体(D)から主としてなる医療用材料は、血
液と接触したときタンパク吸着量が極めて少なく、血小
板の粘着もほとんど認められず、優れた抗血栓性を有す
る。
【0045】したがって、直接血液成分と接触して用い
ることが主たる目的となる医療用透析膜素材として有用
であり、例えば、人工血管、人工腎臓、人工心肺、人工
皮膚、血液バッグ、血液透析膜、カテーテル、ステン
ト、血漿分離膜、癒着防止膜、創傷被覆材、インプラン
ト用材料等に用いることが出来る。そして、このような
材料として該ポリエーテルエステルを用いる場合、該ポ
リマー自体を材料として用いシート、フィルム、チュー
ブ、中空糸等として成形するのみならず、該ポリマーを
溶剤に溶解し、この溶液をこれら各種材料表面に塗布
し、血液接触表面のみを改質することも可能である。
【0046】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。実施例中「部」
は「重量部」を意味する。
【0047】[参考例1〜4(ポリエーテルエステル共
重合体(D)の製造例)]コハク酸ジメチル18.2
部、テトラメチレングリコール24.7部およびテトラ
ブチルチタネート0.013部を精留塔を介して留出系
を備えた反応容器に入れ、最終的に反応容器の内温が2
20℃になるまで徐々に加熱した。メタノールの留出が
終了したところでエステル交換反応を止め、撹拌装置及
び真空留出系を備えた反応容器に移し、ポリエチレング
リコールビスカルボキシメチルエーテル(平均分子量
1,000、和光純薬製)32.2部を加えた後常圧下
窒素気流中230℃で15分、次いで同温度で25分か
けて0.11mmHgの真空条件とし、同条件で更に3
70分間溶融反応させた。ポリマーの重合度は、フェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒
(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃
で測定した還元粘度(ηsp/C)で2.25であった。
【0048】更に上記方法に準じて、同様に一連のポリ
マーを重合した。重合したポリマーの組成(成分(C)
の含有量)、及びηsp/Cを表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】a) フェノール/1,1,2,2−テト
ラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)中、濃度1.
2g/dl、温度35℃で測定した還元粘度 b) PEG3000:ポリエチレングリコール(平均
分子量3,000) c) PBSu:ポリブチレンサクシネート d) PEGBCME1000:ポリエチレングリコー
ルビスカルボキシメチルエーテル(平均分子量1,00
0)
【0051】[実施例1〜4、比較例1(ウサギPRP
を用いたポリマー表面への血小板粘着のSEM(走査電
子顕微鏡)観察)]PRPはウサギ頚動脈より採取した
新鮮血に3.5wt%クエン酸三ナトリウム水溶液を1
/9容加え、750 r.p.m.で10分遠心分離した上澄
みを調製した。サンプルは、参考例で製造した各種ポリ
エーテルエステル共重合体の1.0wt%クロロホルム
溶液を調整し、これに滅菌処理したPET円板(直径1
5mm、厚さ0.5mm、和光純薬製)を浸漬、1分間
放置後、溶液よりPET円板を取り出し、溶媒雰囲気下
で一晩放置することにより溶媒を揮散させて作成したポ
リマー被覆PET円板を用い、これを培養シャーレ(Fa
lcon,24well))中、0.7mlのPRPと37℃、3
時間接触した。接触後のポリマーサンプルは蒸留水でよ
く洗浄し、2.5wt%グルタルアルデヒド水溶液で室
温下2時間かけて固定し、凍結乾燥後、金蒸着して観察
試料とした。
【0052】図1〜4にPRP接触後の各種ポリマー表
面のSEM観察結果を、表2に、各ポリマーサンプルを
被覆したPET円板(直径15mm、厚さ0.5mm、
和光純薬製)を37℃、3時間ウサギ多血小板血漿に浸
漬した後の試料表面の1000μm2当りの血小板粘着
数を示す。同様に成分(C)を共重合させていないPB
Suポリマーについての結果を比較例1として示す。
【0053】本発明のPEG/PBSu及びPEGBC
ME/PBSuコポリマーでは、血小板の粘着を有意に
抑制することが明かとなった。
【0054】一般に、重篤な血栓形成の前段階である血
小板の粘着、凝集には、材料表面へ吸着するタンパク質
の種類及びその表面における配向が大きく関与すること
が知られており、粘着した血小板の活性化(変形、顆粒
放出)がその後の凝集、血小板血栓形成、凝固因子系の
反応促進に影響する。従って血液(全血又は成分血)と
接触した後の材料表面における血小板の粘着が少数であ
るほど、そのポリマーの血液適合性は優れているという
ことが出来る。
【0055】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】PEG3000/PBSu(ηsp/C(フェノ
ール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒
(重量比6/4)中、濃度1.2g/dl、温度35℃
で測定した還元粘度)2.89)を被覆したPET円板
(直径15mm、厚さ0.5mm、和光純薬製)を37
℃、3時間ウサギ血小板多血漿に浸漬した後の試料表面
のSEM写真(実施例1、写真番号0024)。
【図2】PEG3000/PBSu(ηsp/C1.8
1)を被覆したPET円板(直径15mm、厚さ0.5
mm、和光純薬製)を37℃、3時間ウサギ血小板多血
漿に浸漬した後の試料表面のSEM写真(実施例2、写
真番号0020)。
【図3】PEGBCME1000/PBSuを被覆した
PET円板(直径15mm、厚さ0.5mm、和光純薬
製)を37℃、3時間ウサギ血小板多血漿に浸漬した後
の試料表面のSEM写真(実施例3、写真番号000
3)。
【図4】PEGBCME3000/PBSuを被覆した
PET円板(直径15mm、厚さ0.5mm、和光純薬
製)を37℃、3時間ウサギ血小板多血漿に浸漬した後
の試料表面のSEM写真(実施例4、写真番号000
5)。
【図5】PBSuを被覆したPET円板(直径15m
m、厚さ0.5mm、和光純薬製)を37℃、3時間ウ
サギ血小板多血漿に浸漬した後の試料表面のSEM写真
(比較例1、写真番号0018)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液と接触して使用される医療用材料で
    あって、少なくとも該材料の血液と接触する部分が、炭
    素原子数4〜10の脂肪族ジカルボン酸成分(A)と、
    炭素原子数2〜6の脂肪族ジオール成分(B)と、数平
    均分子量400以上のポリオキシアルキレン成分(C)
    とから実質的になるポリエーテルエステル共重合体
    (D)からなり、該共重合体(D)における成分(A)
    と成分(B)とを合計した共重合量が15〜80重量%
    であり、かつ該共重合体(D)における成分(C)の共
    重合量が85〜20重量%であるポリエーテルエステル
    共重合体(D)より主として構成されていることを特徴
    とする血液適合性に優れた医療用材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1553121A4 (en) * 2002-07-03 2006-02-08 Mitsubishi Chem Corp ALIPHATIC POLYESTERPOLYETHERCOPOLYMER, PREPARATION METHOD AND ALIPHATIC POLYESTER COMPOSITION WITH THE COPOLYMER

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