JPH10202743A - ラミネート方法及びラミネート装置 - Google Patents

ラミネート方法及びラミネート装置

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JPH10202743A
JPH10202743A JP9007318A JP731897A JPH10202743A JP H10202743 A JPH10202743 A JP H10202743A JP 9007318 A JP9007318 A JP 9007318A JP 731897 A JP731897 A JP 731897A JP H10202743 A JPH10202743 A JP H10202743A
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rollers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材に寸法変化やクラック等を生じさせるこ
となく、反りを簡単にかつ確実に抑制することができる
ラミネート方法を提供すること。 【解決手段】 一対のローラ11,13に複数種の可撓
性基材3,4を巻き付けながらローラ11,13間に基
材3,4を通じ、ローラ11,13を介して基材3,4
を加温しかつ押圧することで、基材3,4同士を互いに
張り合わせる。その際、ローラ11,13に対する基材
3,4の巻き付け状態を変更することにより、基材3,
4の押圧時における温度を調整し、基材3,4の反りを
抑える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばプリント配
線板の製造工程において使用されるラミネート方法及び
ラミネート装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばプリント配線板の製造時に
は、ラミネート装置によって樹脂含浸基材に銅箔を張り
合わせることで銅張積層板の作製が行われる。そして、
ラミネート工程後にはレジスト形成工程やエッチング工
程が行われ、これらの工程を経ることによって所望の導
体パターン等が形成されるようになっている。なお、前
記ラミネート工程では、図8のような一対の圧着ローラ
41,42を備えるラミネート装置が使用される。一対
の圧着ローラ41,42間には樹脂含浸基材43と銅箔
44とが重ね合わせた状態で連続的に通じられる。銅箔
44は上側の圧着ローラ41に所定角度(図8ではθ=
135°)だけ巻き付けられ、その際に同圧着ローラ4
1と接触することにより所定温度にあらかじめ加温され
る。そして、銅箔44及び樹脂含浸基材43は、両圧着
ローラ41,42からの押圧力により互いに張り合わさ
れ、結果として銅張積層板45が得られる。
【0003】ところで、このような連続ラミネート工程
では、熱膨張係数の異なる2種の材料が張り合わされる
ことから、張り合わせ後に銅張積層板45が冷えて常温
に戻ると、銅箔44側に反りが発生する。このような反
りがあると、IC等の電子部品をプリント配線板に実装
する時の歩留まりが悪化してしまう。そこで、反りを抑
制するための方法として、従来、以下のような対策が採
られている。
【0004】第1の方法は、連続ラミネート時に樹脂含
浸基材43にテンションを付加した状態で連続ラミネー
トを行う方法である(第1の従来技術)。第2の方法
は、連続ラミネート直前に樹脂含浸基材43をヒータ等
の余熱手段に通すことにより、あらかじめ余熱を付加し
ておく方法である(第2の従来技術)。第3の方法は、
連続ラミネート実施後に銅張積層板45を屈曲させるこ
とで反りを事後的に矯正する方法である(第3の従来技
術)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの従
来技術にはそれぞれ次のような問題がある。テンション
をかける第1の従来技術では、樹脂含浸基材43自体に
寸法変化が生じるおそれがあり、銅張積層板45の反り
を確実に抑制することができない。また、樹脂含浸基材
43に適切なテンションを付加するための張力付加装置
の調整も面倒かつ困難なものであった。
【0006】余熱を付加する第2の従来技術では、樹脂
含浸基材43と銅箔44とを接着する接着剤の種類によ
り余熱時間や余熱温度を適宜変更する必要があり、その
ためには面倒かつ困難な余熱手段の調整作業を余儀なく
される。
【0007】矯正を行う第3の従来技術では、ラミネー
ト実施後に銅張積層板45に無理な応力が加わること
で、使用される材料によっては銅張積層板45にクラッ
ク等が発生するおそれがある。
【0008】本発明は上記の課題を解決するためなされ
たものであり、その目的は、基材に寸法変化やクラック
等を生じさせることなく、反りを簡単にかつ確実に抑制
することができるラミネート方法及びラミネート装置を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明では、一対のローラに複数
種の可撓性基材を巻き付けながら同ローラ間に前記基材
を通じることにより、同ローラを介して前記基材を加温
しかつ押圧することで、前記基材同士を互いに張り合わ
せるラミネート方法において、前記ローラに対する前記
基材の巻き付け状態を変更することにより、同基材の押
圧時における温度を調整することを特徴とするラミネー
ト方法をその要旨とする。
【0010】請求項2に記載の発明では、一対のローラ
に複数種の可撓性基材を巻き付けながら同ローラ間に前
記基材を通じることにより、同ローラを介して前記基材
を加温しかつ押圧することで、前記基材同士を互いに張
り合わせるラミネート装置において、前記ローラに対す
る前記基材の巻き付け状態を変更するための巻き付け状
態変更機構を設けたことを特徴とするラミネート装置を
その要旨とする。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項2におい
て、前記巻き付け状態変更機構は前記ローラの両方につ
いてそれぞれ設けられているとした。以下、本発明の
「作用」を説明する。
【0012】請求項1〜3に記載の発明によると、ロー
ラに対する基材の巻き付け状態、例えば巻き付け角度を
増加させた場合、ローラと基材との接触時間がそれにほ
ぼ比例して増加し、かつローラの周面から基材に伝達さ
れる熱の量も増加する。逆に、例えばローラに対する基
材の巻き付け角度を減少させた場合、ローラと基材との
接触時間がそれにほぼ比例して減少し、かつローラの周
面から基材に伝達される熱の量も減少する。従って、巻
き付け状態の変更を行えば、複数種の基材の熱膨張度合
いの調整を容易にかつ確実に行うことができる。よっ
て、反りを確実に抑制することが可能である。
【0013】また、上記発明によると、ローラの温度調
整、余熱手段の温度・時間調整、張力付加装置のテンシ
ョン量調整等がいずれも不要になるため、これらの調整
が必要であった従来技術の問題点が解消される。即ち、
面倒かつ困難な調整作業が要らなくことに加え、基材に
寸法変化やクラックが発生するおそれもなくなる。
【0014】請求項3に記載の発明によると、巻き付け
状態変更機構が両方のローラについてそれぞれ設けられ
ているため、各基材について個別に巻き付け状態を変更
することができる。従って、基材の押圧時における温度
を基材の種類に応じて細かく調整することが可能とな
り、かつ調整の自由度も確実に大きくなる。その結果、
反りをより確実に抑制することができるラミネート装置
を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]以下、本発明を具体化した一実施
形態のラミネート方法及びそのためのラミネート装置を
図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0016】図1には、本実施形態のラミネート装置1
の要部である基材圧着部2が示されている。このラミネ
ート装置1は、基材圧着部2の前段に図示しない基材供
給部を備え、かつ基材圧着部2の後段に図示しない積層
板巻取部を備えている。基材供給部にある2つの材料ロ
ーラ(図示略)には、可撓性基材としての金属箔3と樹
脂含浸基材4とがそれぞれ巻回されている。金属箔3は
上側に位置する金属箔用ローラから連続的に巻き出さ
れ、接着剤6付きの樹脂含浸基材4はその下側に位置す
る樹脂含浸基材用ローラから連続的に巻き出される。金
属箔3と樹脂含浸基材4とを一体化してなる図3のよう
な積層板5は、積層体巻取部にある積層板巻取ローラ
(図示略)によって連続的に巻き取られる。
【0017】基材圧着部2を構成する支持フレーム7の
側面には、上側圧着ローラ11を取り付けるための第1
のローラ取付用ブロック12が設けられている。この第
1のローラ取付用ブロック12のすぐ下方には、下側圧
着ローラ13を取り付けるための第2のローラ取付用ブ
ロック14が設けられている。同ブロック14の左端は
回動軸15に軸支されており、同ブロック14の右下端
は縦置きされた流体圧シリンダ16のロッド17に支持
されている。従って、流体圧シリンダ16を伸縮させる
と、第2のローラ取付用ブロック14が回動軸15を中
心として回動する。これにより下側圧着ローラ13が上
下に動き、両圧着ローラ11,13間の離間距離(即ち
ラミネート圧)が調整されるようになっている。
【0018】図1,図2に示されるように、上側圧着ロ
ーラ11は中心部に回転軸18を有するステンレス製円
筒部材であって、下側圧着ローラ13は中心部に回転軸
18を有するゴム製円筒部材である。各回転軸18はそ
れぞれ前記ブロック12,14に対して回転可能に支持
されている。上側圧着ローラ11はいわゆる熱ローラで
あるため、図示しない発熱源によって加熱されるように
なっている。
【0019】第1のローラ取付用ブロック12の上方に
は、ローラ駆動手段としてのモータ19が設置されてい
る。同モータ19の回転軸20にはプーリ21が嵌着さ
れ、上側圧着ローラ11の回転軸18にはプーリ22が
嵌着されている。これらのプーリ21,22には無端状
のベルト23が巻回されており、そのベルト23によっ
てモータ19の駆動力が伝達される。すると、上側圧着
ローラ11が図1の反時計回りに回転し、それに伴って
下側圧着ローラ13が図1の時計回りに回転するように
なっている。
【0020】図1において、基材圧着部2の左上側部に
は、第1のプレガイドローラ26と第2のプレガイドロ
ーラ27とが各々移動不能に固定されている。基材供給
部にあるローラから巻き出されてくる金属箔3は、これ
らのプレガイドローラ26,27に屈回されることで所
定のテンションを付加された後、上側圧着ローラ11ま
で案内される。一方、基材圧着部2において第1及び第
2のプレガイドローラ26,27の下方位置には、第3
のプレガイドローラ28が移動不能に固定されている。
このプレガイドローラ28は、下側圧着ローラ13と同
じ高さに位置しており、巻き出されてくる樹脂含浸基材
4を下面側から水平に支持する。このプレガイドローラ
28の存在によって、樹脂含浸基材4の垂れが防止され
るようになっている。
【0021】次に、このラミネート装置1における巻き
付け状態変更機構D1 について説明する。図1に示され
るように、本実施形態の巻き付け状態変更機構D1 は、
可動案内体としての可動ガイドローラ25と、その可動
ガイドローラ25を所定範囲内で駆動するための図示し
ない従来公知の駆動手段とによって構成されている。そ
して、前記巻き付け状態変更機構D1 は、このラミネー
ト装置1では、上側圧着ローラ11に対する金属箔3の
巻き付け状態(ここでは巻き付け角度θ)を変更すべ
く、1つのみ設置されている。
【0022】第2のプレガイドローラ26と上側ローラ
11との間に配置される前記可動ガイドローラ25は、
移動可能に固定されている点を除き、プレガイドローラ
26,27,28とほぼ同様の基本構成を備えている。
また、この可動ガイドローラ25は、上側圧着ローラ1
1に対する金属箔3の進入角度、言い換えると上側圧着
ローラ11に対する金属箔3の巻き付け角度θを変更さ
せる役割を果たす。前記可動ガイドローラ25は、加温
機能を持つ上側圧着ローラ11の近傍において図1のP
1 〜P5 の範囲内を移動することができる。同図では可
動ガイドローラ25がP1 の位置にある状態が示されて
いる。その他、可動ガイドローラ25はあらかじめ定め
られたP2 ,P3 ,P4 の各位置に移動することができ
る。もっとも、P1 〜P5 までの範囲内であれば可動ガ
イドローラ25は任意の位置をとることが可能である。
そして、可動ガイドローラ25の巻き付け角度θは、可
動ガイドローラ25がP1 ,P2 ,P3 ,P4 ,P5 の
位置に移動するに従って大きくなる。
【0023】巻き付け角度θを増加させた場合、上側圧
着ローラ11と金属箔3との接触時間がそれにほぼ比例
して増加し、かつ上側圧着ローラ11の周面から金属箔
3に伝達される熱の量も増加する。それゆえ、金属箔3
及び樹脂含浸基材4に押圧力を付加することにより両者
を圧着する時に、金属箔3の温度を高く設定することが
できる。このような場合、金属箔3が熱膨張して伸びる
度合いが大きくなり、ラミネートを経て冷却したときの
金属箔3の寸法変化量(収縮量)が大きくなる。
【0024】逆に、上側圧着ローラ11に対する金属箔
3の巻き付け角度θを減少させた場合、上側圧着ローラ
11と金属箔3との接触時間がそれにほぼ比例して減少
し、かつ上側圧着ローラ11の周面から金属箔3に伝達
される熱の量も減少する。ゆえに、金属箔3及び樹脂含
浸基材4に押圧力を付加することにより両者を圧着する
時に、金属箔3の温度を低く設定することができる。こ
の場合、金属箔3が熱膨張して伸びる度合いが小さくな
り、ラミネートを経て冷却したときの金属箔3の寸法変
化量(収縮量)が小さくなる。
【0025】次に、このラミネート装置1を用いた比較
試験の方法及びその結果を図4の表に基づいて説明す
る。 <試験方法>同比較試験では、金属箔3として銅箔(厚
さ35,70μm )を用い、樹脂含浸基材4としてガラ
スエポキシ基材(厚さ120μm )を用い、接着剤6と
してエポキシ系接着剤を用いた。また、いずれの試験に
おいても、圧着ローラ11,13の寸法や材質を表の通
りに設定した。
【0026】可動ガイドローラ25を持たない現行条件
(従来例)では、上側圧着ローラ11に対する銅箔3の
巻き付け角度θは135°である。ラミネート温度は1
40℃に、ラミネート圧は11kg/cm2に設定した。
【0027】本実施形態のラミネート装置1を用いた
「試験1」では、可動ガイドローラ25の位置を適宜変
更することにより巻き付け角度θを20°,40°,9
0°,135°にそれぞれ設定した。ラミネート温度は
140℃に、ラミネート圧は6kg/cm2に設定した。
【0028】また、本実施形態のラミネート装置1を若
干設計変更した装置を用いた「試験2」では、ゴム製の
下側圧着ローラ13も140℃に加熱することとし、そ
の他の条件については「試験1」と同様に設定した。な
お、「試験3」については後述する。
【0029】上記の各条件でラミネート工程を実施した
後、得られた銅箔積層板5の反りをキュアの前後で測定
した。キュア後の測定は、吸湿の影響をなくすため、キ
ュア終了後に10分間室温で放置された製品を対象とし
て行った。その結果を図4の表に示す。
【0030】<試験結果>現行条件、試験1及び試験2
では、いずれも銅張積層板5の反りは銅箔3側に生じて
いた。また、キュア前に比べてキュア後に測定した値の
ほうが小さくなっていた。
【0031】また、現行条件では、キュア前において反
りが12mm〜13mmであり、キュア後において反りが
5.5mmであった。これに対して試験1では、135°
よりも巻き付け角度θを小さくしたものについては、キ
ュア前後を問わず反りが小さくなっていた。試験2につ
いてもほぼ同様の傾向が見られた。特に試験1,2にお
いてはθ=20°に設定した場合が最も好適であった。
以上のことを総合すると、本実施形態のラミネート装置
1により巻き付け角度θを現行条件である135°より
も小さく設定した場合に、反りが抑制されることが明ら
かとなった。
【0032】さて、本実施形態において特徴的な作用効
果を以下に列挙する。 (イ)この実施形態のラミネート方法及びラミネート装
置1によると、巻き付け状態変更機構D1 を構成する可
動ガイドローラ25の位置変更により、上記のように巻
き付け角度θを変更することが可能である。従って、金
属箔3と樹脂含浸基材4の押圧時における金属箔3の温
度を適宜調整することができる。ゆえに、金属箔3の熱
膨張度合いの調整を従来技術に比べて容易にかつ確実に
行うことができ、よって積層板5の反りを確実に抑制す
ることが可能である。そして、以上のようにして得られ
る寸法精度に優れた積層板5を用いれば、プリント配線
板の製造歩留まりも確実に向上する。さらに、このプリ
ント配線板を用いれば、IC等の電子部品の実装歩留ま
りも確実に向上させることができる。
【0033】(ロ)また、実施形態のラミネート方法及
びラミネート装置1によると、ローラの温度調整、余熱
手段の温度・時間調整、張力付加装置のテンション量調
整等がいずれも不要になる。つまり、可動ガイドローラ
25の位置変更により巻き付け角度θを調整するだけで
足り、ローラ温度やローラ回転速度等を一定にできるか
らである。それゆえ、面倒かつ困難な調整作業が要らな
くことに加え、金属箔3や樹脂含浸基材4に寸法変化や
クラックが発生するおそれもなくなり、従来技術の問題
点が解消される。以上のことは歩留まりの向上にも貢献
する。 [第2の実施の形態]次に、第2の実施形態のラミネー
ト装置31及びラミネート方法について説明する。
【0034】図5には、ラミネート装置31の基材圧着
部2が示されている。この装置31は実施形態1の装置
1と基本的構成を同じくしており、かかる構成について
は共通の部材番号を付してある。本実施形態では、上側
圧着ローラ11のみならず下側圧着ローラ13について
も巻き付け状態変更機構D2 が設けられている点が、実
施形態1と相違する。また、ここではゴム製の下側圧着
ローラ13も熱ローラとなっている。
【0035】巻き付け状態変更機構D2 は、可動案内体
としての可動ガイドローラ32と、その可動ガイドロー
ラ32を所定範囲内で駆動するための図示しない従来公
知の駆動手段とによって構成されている。前記巻き付け
状態変更機構D2 は、下側圧着ローラ13に対する樹脂
含浸基材4の巻き付け状態(ここでは巻き付け角度θ)
を変更する役割を果たす。可動ガイドローラ32は、図
5のP6 〜P9 の範囲内を移動することができる。同図
では可動ガイドローラ32がP6 の位置にある状態が示
されている。その他、可動ガイドローラ32はあらかじ
め定められたP7 ,P8 の各位置にも移動することがで
きる。もっとも、P6 〜P9 までの範囲内であれば可動
ガイドローラ32は任意の位置をとることが可能であ
る。そして、可動ガイドローラ32の巻き付け角度θ
は、可動ガイドローラ32がP6 ,P7 ,P8 ,P9 の
位置に移動するに従って大きくなる。
【0036】巻き付け角度θを増加させた場合、下側圧
着ローラ13と樹脂含浸基材4との接触時間がそれにほ
ぼ比例して増加し、かつ下側圧着ローラ13の周面から
樹脂含浸基材4に伝達される熱の量も増加する。ゆえ
に、銅箔3及び樹脂含浸基材4に押圧力を付加すること
により両者を圧着する時に、樹脂含浸基材4の温度を高
く設定することができる。この場合、樹脂含浸基材4が
熱膨張して伸びる度合いが大きくなり、ラミネートを経
て冷却したときの樹脂含浸基材4の寸法変化量(収縮
量)が大きくなる。
【0037】逆に、下側圧着ローラ13に対する樹脂含
浸基材4の巻き付け角度θを減少させた場合、下側圧着
ローラ13と樹脂含浸基材4との接触時間がそれにほぼ
比例して減少し、かつ下側圧着ローラ13の周面から樹
脂含浸基材4に伝達される熱の量も減少する。ゆえに、
金属箔3及び樹脂含浸基材4に押圧力を付加することに
より両者を圧着する時に、樹脂含浸基材4の温度を低く
設定することができる。この場合、樹脂含浸基材4が熱
膨張して伸びる度合いが小さくなり、ラミネートを経て
冷却したときの樹脂含浸基材4の寸法変化量(収縮量)
が小さくなる。
【0038】このラミネート装置31を用いて実施形態
1と同じ比較試験を行ったところ、図4の表に示される
ような結果を得た(同表の「試験3」参照)。なお、試
験3の条件は上記の試験2の条件に準じた。また、上側
圧着ローラ11に対する銅箔3の巻き付け角度θは20
°に設定し、下側圧着ローラ13に対するガラスエポキ
シ基材4の巻き付け角度θは100°に設定した。
【0039】このようにして試験を行ったところ、試験
3ではむしろガラスエポキシ基材4側に銅張積層板5が
反る傾向が見られた。しかし、その反り量は、従来例で
ある現行条件に比べて確実に小さくなっていた。特にキ
ュア前の時点では、試験1,2よりもさらに反りが小さ
くなることもわかった。勿論、キュア後における反り量
の測定値も、試験1,2での最適値に充分匹敵するもの
であった。
【0040】さて、本実施形態において特徴的な作用効
果を以下に列挙する。 (イ)この実施形態のラミネート方法及びラミネート装
置31であっても、勿論、実施形態1において述べた
イ,ロの作用効果を奏する。
【0041】(ロ)さらに、このラミネート方法及びラ
ミネート装置31では、巻き付け状態変更機構D1 ,D
2 は両方の圧着ローラ11,13についてそれぞれ設け
られていることを特徴とする。このため、金属箔3及び
樹脂含浸基材4について個別に巻き付け角度θを変更す
ることができる。従って、両者3,4の押圧時における
温度を基材の種類に応じて細かく調整することが可能と
なり、かつ調整の自由度も確実に大きくなる。その結
果、上述した試験結果からも明らかなように、積層板5
の反りをより確実に抑制することができるラミネート装
置31とすることができる。
【0042】なお、本実施形態は例えば次のような形態
に変更することが可能である。 ◎ 図6(a)に示される別例の巻き付け状態変更機構
D3 は、図示しない軸位置変更手段と、同手段によって
支持された上側圧着ローラ34とからなる。前記軸位置
変更手段は、平行関係にある一対の圧着ローラ13,3
4の回転軸18同士の相対位置を、両回転軸18の離間
距離を維持しつつ変更するものである。従って、通常状
態である図6(a)と、移動状態である図6(b)とで
は、巻き付け角度θ(特に下側圧着ローラ13に対する
樹脂含浸基材4の巻き付け角度θ)に変化が生じるよう
になっている。このような別例1の構成であっても、寸
法変化やクラック等を生じさせることなく、積層板5の
反りを簡単にかつ確実に抑制することができる。
【0043】◎ 図7(a)に示される別例の巻き付け
状態変更機構D4 は、図示しない直径変更手段と、その
直径変更手段によって直径が変化する上側圧着ローラ3
7とからなる。この構成であると、直径が大きい状態の
図7(a)に比べて、直径が小さくなった状態の図7
(b)では、上側圧着ローラ37と金属箔3との接触時
間が短くなる。これは、両者3,37が接触する時間あ
たりの面積が減少するためである。従って、上側圧着ロ
ーラ37の周面から金属箔3に伝達される熱の量も減少
し、圧着時の温度が低く設定されるようになっている。
このような別例2の構成であっても、寸法変化やクラッ
ク等を生じさせることなく、積層板5の反りを簡単にか
つ確実に抑制することができる。
【0044】◎ 前記別例についても実施形態2の巻き
付け状態変更機構D2 を設けることで、金属箔3及び樹
脂含浸基材4について個別に巻き付け状態を変更できる
構成としてもよい。
【0045】◎ 銅箔以外の金属箔3、例えばアルミ箔
や金箔等を可撓性基材として用いてもよい。また、ガラ
スエポキシ基材以外の樹脂含浸基材4、例えばポリイミ
ド基材等を可撓性基材として用いてもよく、さらには含
浸がされていない単なる樹脂フィルム等を可撓性基材と
して用いてもよい。以上の場合についても本発明を適用
することができる。
【0046】◎ 本発明は、2枚の可撓性基材をラミネ
ートする場合のみに適用が限定されるわけではなく、3
枚、4枚…というように複数枚の可撓性基材をラミネー
トするときでも有効である。なお、3枚以上でラミネー
トを行う場合には実施形態2の構成が好ましい。
【0047】ここで、特許請求の範囲に記載された技術
的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される
技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。 (1) 請求項2,3において、前記巻き付け状態変更
機構は、前記一対のローラのうち加温機能を持つものの
近傍において移動可能に設けられた可動ガイドローラを
含むことを特徴とするラミネート装置。この構成である
と、可動ガイドローラの移動位置を変更することで、ロ
ーラに対する基材の巻き付け角度を変更することができ
る。
【0048】(2) 請求項2,3において、前記巻き
付け状態変更機構は、平行関係にある前記一対のローラ
の回転軸同士の相対位置を、両回転軸の離間距離を維持
しつつ変更する軸位置変更手段を含むことを特徴とする
ラミネート装置。この構成であると、軸位置変更手段に
よって回転軸の相対位置を変更することで、ローラに対
する基材の巻き付け状態を変更することができる。
【0049】(3) 請求項2,3において、前記巻き
付け状態変更機構は、前記一対のローラのうち加温機能
を持つのもの直径を変更する直径変更手段を含むことを
特徴とするラミネート装置。この構成であると、直径変
更手段によって加温機能を持つローラの直径を変更する
ことで、巻き付け時においてのローラと基材との接触面
積を変更することができる。
【0050】(4) 請求項1において、前記可撓性基
材は金属箔と樹脂含浸基材とであり、かつ前記巻き付け
状態とは加温機能を持つローラに対する前記金属箔の巻
き付け角度であり、前記巻き付け角度は20°〜90°
の範囲内に設定されることを特徴としたラミネート方
法。この方法によると、前記両基材を張り合わせてなる
積層板の反りを確実に抑制することができる。
【0051】なお、本明細書中において使用した技術用
語を次のように定義する。「樹脂含浸基材: ガラス等
のような無機質繊維にエポキシ等の樹脂材料が含浸され
ている基材をいう。」
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1に記載の
発明によれば、基材に寸法変化やクラック等を生じさせ
ることなく、反りを簡単にかつ確実に抑制することがで
きるラミネート方法を提供することができる。
【0053】請求項2に記載の発明によれば、基材に寸
法変化やクラック等を生じさせることなく、反りを簡単
にかつ確実に抑制することができるラミネート装置を提
供することができる。
【0054】請求項3に記載の発明によれば、請求項2
の発明の効果に加え、基材の押圧時における温度を基材
の種類に応じて細かく調整することが可能となり、かつ
調整の自由度も確実に大きくなるため、反りをより確実
に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態のラミネート装置の要部を示す
概略正面図。
【図2】同ラミネート装置における一対の圧着ローラを
示す側面図。
【図3】同ラミネート装置によって作製される銅張積層
板を示す断面図。
【図4】同ラミネート装置及び従来例等について行った
試験の結果を示す表。
【図5】第2の実施形態のラミネート装置の要部を示す
概略正面図。
【図6】(a),(b)は別例のラミネート装置におけ
る一対の圧着ローラを示す概略正面図。
【図7】(a),(b)は別例のラミネート装置におけ
る一対の圧着ローラを示す概略正面図。
【図8】従来例のラミネート装置における圧着ローラを
示す概略正面図。
【符号の説明】
1,31…ラミネート装置、3…可撓性基材としての金
属箔、4…可撓性基材としての樹脂含浸基材、11,3
4,37…上側圧着ローラ、13…下側圧着ローラ、2
5,32…可動ガイドローラ、D1 ,D2 ,D3 ,D4
…巻き付け状態変更機構。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対のローラに複数種の可撓性基材を巻き
    付けながら同ローラ間に前記基材を通じることにより、
    同ローラを介して前記基材を加温しかつ押圧すること
    で、前記基材同士を互いに張り合わせるラミネート方法
    において、 前記ローラに対する前記基材の巻き付け状態を変更する
    ことにより、同基材の押圧時における温度を調整するこ
    とを特徴とするラミネート方法。
  2. 【請求項2】一対のローラに複数種の可撓性基材を巻き
    付けながら同ローラ間に前記基材を通じることにより、
    同ローラを介して前記基材を加温しかつ押圧すること
    で、前記基材同士を互いに張り合わせるラミネート装置
    において、 前記ローラに対する前記基材の巻き付け状態を変更する
    ための巻き付け状態変更機構を設けたことを特徴とする
    ラミネート装置。
  3. 【請求項3】前記巻き付け状態変更機構は前記ローラの
    両方についてそれぞれ設けられていることを特徴とする
    請求項2に記載のラミネート装置。
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