JPH10195694A - 抗菌性・防汚性アルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性・防汚性アルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法

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JPH10195694A
JPH10195694A JP8356590A JP35659096A JPH10195694A JP H10195694 A JPH10195694 A JP H10195694A JP 8356590 A JP8356590 A JP 8356590A JP 35659096 A JP35659096 A JP 35659096A JP H10195694 A JPH10195694 A JP H10195694A
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Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
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信之 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材強度を低下させることなく、複雑な形状
のアルミ合金基材に対しても付き廻り性良く、密着性に
優れ、さらに光触媒活性に優れた光触媒膜を形成する。 【解決手段】 アルミ合金からなる基材を陽極酸化処理
した後、光触媒作用を有する半導体微粒子を懸濁させた
溶液中に浸漬し、又は該半導体微粒子懸濁液を塗布し、
あるいは半導体微粒子懸濁液中で電気泳動法を実施する
ことによって、該半導体微粒子を陽極酸化皮膜上に担持
させる。その後、無機系高分子を含浸させることによっ
て、陽極酸化皮膜上に半導体微粒子と無機系高分子の混
合物からなる光触媒膜を形成する。本方法は湿式のプロ
セスであるため、複雑な形状のアルミ合金基材にも付き
廻り性良く、しかも低温で光触媒膜を形成できることか
らアルミ合金基材の強度を低下させる恐れもなく、量産
性に富んだ光触媒膜の形成方法である。この光触媒膜は
半導体微粒子の含有量が多く、優れた光触媒活性を示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の照射下で抗菌
・防黴・防汚性を示す光触媒膜を形成したアルミニウム
又はアルミニウム合金(以下、アルミ合金と称する)材
料及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、陽極酸化
皮膜を形成したアルミ合金基材上に、該基材への付き廻
り性、半導体微粒子の密着性に優れた光触媒膜を形成す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、MRSA(メチシリン耐性黄色ブ
ドウ球菌)等の院内感染が問題視されるようになってき
ている。院内感染の多くは日和見感染症であり、ウィル
ス、細菌、原虫、黴等が抵抗力や免疫力が低下した人体
の中で急に活発化して発症する感染症である。例えばM
RSAの感染に関して言えば、その菌は主に患者や院内
従事者の体、スリッパ、医療器具等を介して病院内に広
がるようだが、空気中の塵埃に菌が付着して空気感染を
起こすこともある。そのため、院内感染を防ぐには室内
空気全体を殺菌、浄化処理する必要があり、従来、薬品
による消毒や空気清浄器に頼ってきた。しかしながら、
消毒においては、薬品を用いるため人体への影響が無視
できず、薬品の臭いも不快感を与えるといった問題があ
り、また、作業が容易でない等の理由から頻繁に行うわ
けにもいかなかった。一方、空気清浄器による院内の浄
化は比較的容易ではあるが、空気中の塵埃等を静電気に
より除去する原理であるため、細菌、黴、及びそれに付
随する臭気等は除去しにくいといった問題があった。ま
た、煙草のヤニがサッシ、パネル材等の建築部材表面に
付着し汚れた場合、美観を損ねるだけでなく、その部分
に細菌が付着し繁殖し易いという問題もあった。
【0003】ところで、TiO2 に代表される光触媒作
用を有する半導体微粒子が、その光触媒作用により有機
物の分解を行い、その作用に基づき抗菌・防黴・防汚・
防臭作用を有することは従来から知られており、最近で
はそれらを利用して、細菌や黴が繁殖しにくい様々な材
料が研究、開発されている。例えば、特開平2−633
3号公報には酸化チタンの粒子表面に銅・亜鉛等の抗菌
性金属を担持させた抗菌性粉末について開示されてお
り、この粉末を樹脂、ゴム、ガラス等に配合することに
よって抗菌性組成物が得られ、また、公知の方法によ
り、電気機器、家具調度品、室内装飾材、食品等の包装
資材等の抗菌性処理のほか、環境衛生施設、機器類の抗
菌剤として上記粉末を利用できると教示している。
【0004】また、特開平6−65012号公報には、
銀、銅、亜鉛、白金等の金属を含有した酸化チタン膜を
コンクリート、ガラス、プラスチック、セラミックス、
金属等の材質からなる基板にコーティングすることによ
って、該基板において雑菌及び黴の繁殖を防止できる旨
が開示されている。さらに特開平4−307066号公
報には、パネルの裏面に光触媒を付設し、該パネルの裏
側に短波長ランプを配置し、このランプから光触媒へ紫
外線照射することによって、光触媒を活性化し、パネル
が設置された室内の脱臭を図るという室内空気のリフレ
ッシュ法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、複雑な
形状を有するアルミ合金製の建築部材(以下、アルミ建
材と称する)、例えば押し出し形材等に、光触媒作用を
有する半導体微粒子や、半導体微粒子を含有もしくは担
持した塗料(以下、光触媒と総称する)をコーティング
する場合には、その付き廻りの問題があり、凸部や隅角
部にまで光触媒を均一にコーティングすることは困難で
ある。さらに、通常行われている半導体微粒子を含む懸
濁液を基材表面に塗布する方法では、200℃を超える
温度で処理しなければ十分な密着性が得られない。ま
た、金属薄膜を形成した後、これを酸化させて所定の光
触媒を形成させる方法でも、200℃を超える温度下で
の処理が必要である。しかし、アルミ合金の場合には、
このような高い温度にさらすとその強度が著しく低下し
てしまうという問題がある。
【0006】一方、200℃以下の温度で硬化する光触
媒も一部実用化されている。このような光触媒膜は、シ
リケート等の低温硬化型の無機系高分子中に半導体微粒
子を分散させたものであるが、そのような場合でも、基
材と光触媒膜の熱膨張係数が異なるため、加熱・降温時
に生じる熱応力の影響で光触媒膜に亀裂が生じ、基材と
の密着性に劣るものとなり、衝撃を受けた場合に光触媒
膜が剥離してしまう。また、この光触媒を、それ自体が
耐食性や耐候性を有していないアルミ合金地金あるいは
陽極酸化皮膜を形成したアルミ合金上に成膜しても、こ
の光触媒膜には前述したように亀裂が生じているため、
アルミ合金あるいは陽極酸化皮膜形成アルミ合金を腐食
する成分が該基材に直接接触することを防止できないた
め、該光触媒膜は、耐食膜としては機能できない。さら
に、このような光触媒膜の光触媒活性は含有される半導
体微粒子の量に依存し、密着性等の特性を良好にするた
めにはその半導体微粒子含有量を多くできないため、光
触媒活性は低いものとなってしまい、必ずしも十分な抗
菌性あるいは防汚性が得られない場合がある。
【0007】通常、アルミ建材は耐食性、耐候性をもた
せるため、陽極酸化皮膜上にアクリル系の塗膜が形成さ
れている。この塗膜上に光触媒膜を形成すると、その光
触媒作用によって塗膜自体が分解されてしまう。これを
防止するため、塗膜上に光触媒作用を阻害する層を形成
し、その上に光触媒膜を形成するという方法が考えられ
るが、成膜工程が2度手間になるばかりでなく、塗膜と
該阻害層あるいは阻害層と光触媒の密着性が問題とな
り、必ずしも好ましい方法ではなかった。
【0008】また、本発明者らは、光触媒膜の付き廻り
性に優れる湿式の成膜方法として電気泳動法を利用する
方法を開発し、既に出願しているが、その方法では、基
板との密着性に優れる光触媒膜が得られる条件が狭い。
また、通常の電気泳動法、すなわち、何らかの導電性基
板、例えば鉄やステンレス等の基板を用いて、この上に
電気泳動法によってTiO2 等の半導体微粒子を堆積さ
せても、その光触媒膜の強度あるいは基板との密着性は
低いものとなる。これは、半導体微粒子のみでは、粒子
間あるいは粒子と基板との間に生じる相互作用が小さい
ため、強度及び基材との密着性に乏しい光触媒膜となる
ためである。これを回避するには、電気泳動可能な塗料
中に半導体微粒子を含有させる必要がある。この塗料を
電気泳動させることによって適当な基板上に光触媒作用
を示す半導体微粒子を含有した塗膜が得られるが、通
常、この塗料自体が有機物であるため、半導体微粒子の
光触媒作用によって分解されてしまい、長期安定性に劣
り、また、光触媒膜の光触媒作用は、半導体微粒子の含
有量を多くできないため低いものとなってしまう。
【0009】従って、本発明の目的は、前記のような問
題を解決し、特別な装置を要することなく、優れた光触
媒作用を示すと共に、半導体微粒子の密着性に優れ、陽
極酸化皮膜を形成したアルミ合金基材の耐食性をも向上
させる光触媒膜を形成する方法を提供することにある。
本発明のより具体的な目的は、アルミ合金基材の強度を
低下させることなく、複雑な形状のアルミ合金基材であ
っても付き廻り性良く半導体微粒子が担持され、陽極酸
化皮膜を形成したアルミ合金自体の耐食性をも向上させ
る方法で該半導体微粒子の密着性を向上させた光触媒膜
が形成され、さらには、光触媒膜中の半導体微粒子の含
有量が多いことから、優れた抗菌・防黴・防汚性を示す
アルミ合金材料及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、アルミ合金からなる基材表面に形
成した陽極酸化皮膜上に、光触媒作用を示す半導体微粒
子と無機系高分子からなる光触媒膜が形成されてなるこ
とを特徴とするアルミ合金材料が提供される。好適な態
様においては、上記光触媒膜の上に、さらに抗菌性金属
及び/又は抗菌性金属化合物が析着されてなることを特
徴とするアルミ合金材料が提供される。
【0011】さらに本発明によれば、前記のような抗菌
性アルミ合金材料の製造方法も提供される。その一つの
方法は、光触媒作用を有する半導体微粒子を分散した懸
濁液中に、陽極酸化皮膜を形成したアルミ合金からなる
基材を浸漬し、あるいは該半導体微粒子懸濁液を陽極酸
化皮膜を形成したアルミ合金基材上に塗布し、次いで乾
燥させることによって上記陽極酸化皮膜表面に光触媒作
用を有する半導体微粒子を担持させ、その後、無機系高
分子を含浸させることにより、例えば、該半導体微粒子
を担持した基材を無機系高分子を含有した塗料中に浸漬
し、所定の温度で乾燥・固化することにより、陽極酸化
皮膜上に上記半導体微粒子と無機系高分子が混在した光
触媒膜を形成することを特徴としている。
【0012】また、別の方法としては、光触媒作用を有
する半導体微粒子を分散した懸濁液中に、陽極酸化皮膜
を形成したアルミ合金からなる基材を浸漬し、電気泳動
法によって該陽極酸化皮膜表面に光触媒作用を有する半
導体微粒子を担持させ、乾燥させた後、例えば、該半導
体微粒子を担持した基材を無機系高分子を含有した塗料
中に浸漬し、所定の温度で乾燥・固化することによって
無機系高分子を含浸させることにより、陽極酸化皮膜上
に上記半導体微粒子と無機系高分子が混在した光触媒膜
を形成することを特徴としている。
【0013】このような方法により、複雑な形状のアル
ミ建材やアルミ建材部品に対しても、付き廻り性、半導
体微粒子の密着性に優れた光触媒膜が形成される。ま
た、該光触媒膜は、半導体微粒子が主成分であり、その
粒子間の空隙のみに無機系高分子が充填されていること
から、半導体微粒子含有量が高く、かつ、形成される光
触媒膜の表面に十分な量の半導体微粒子が露出している
ため、優れた光触媒作用を示す。好適な態様において
は、pHが使用する半導体微粒子の等電点以上であり、
かつアルミ合金基材を腐食しない値に調整された半導体
微粒子懸濁液を用いる。さらに別の好適な態様において
は、前記のような方法により形成された光触媒膜の上
に、さらに抗菌性金属及び/又は抗菌性金属化合物を析
着させる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による光触媒膜の形成は、
アルミ合金からなる基材の表面に細孔を有する陽極酸化
皮膜を形成し、さらに該アルミ合金基材を、TiO2
の半導体微粒子を懸濁させた溶液中に浸漬し、又は該半
導体微粒子懸濁液を塗布し、あるいは半導体微粒子懸濁
液中で電気泳動法を実施することによって、該半導体微
粒子をアルミ合金基材の陽極酸化皮膜上に担持させ、そ
の後、無機系高分子を含有した塗料中に浸漬することに
よってなされる。この光触媒膜の形成方法は、湿式プロ
セスであるため、複雑な形状のアルミ建材であっても、
光触媒膜の付き廻り性に優れ、また、低温での処理であ
るため、加熱によるアルミ合金の強度劣化の問題も生じ
る恐れがない。
【0015】前述したように、鉄やステンレス鋼等の基
材上に半導体微粒子を電気泳動法で堆積させても、該半
導体微粒子から成る光触媒膜の強度や密着性は低いもの
となる。また、半導体微粒子を分散させた懸濁液を上記
基材上に塗布し、あるいは該懸濁液中に上記基材を浸漬
し、乾燥させても、該半導体微粒子から成る光触媒膜の
強度や密着性は低いものとなる。しかし、本発明のよう
に、陽極酸化皮膜を形成したアルミ合金を基材として用
い、半導体微粒子を担持させたものを無機系高分子を含
有した塗料中に浸漬し、該半導体微粒子間の空隙を無機
系高分子で充填することにより、無機系高分子が半導体
微粒子間及びそれらとアルミ合金基材の陽極酸化皮膜と
の間の接着剤として働き、強度及び密着性に優れた光触
媒膜が得られる。
【0016】以下、本発明の好適な実施態様について詳
細に説明する。前記したように、本発明による光触媒膜
の形成においては、陽極酸化皮膜が形成されたアルミ合
金基材を用いる必要がある。通常の陽極酸化処理によっ
てアルミ合金上に形成される陽極酸化皮膜の細孔径は、
一般に10nm〜20nmである。また、アルミ合金を
例えば硫酸、リン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸
等の鉱酸又は有機酸の1種又は2種以上の混酸溶液中で
高電圧で陽極酸化し、該アルミ合金の表面に通常の細孔
径より大きい細孔を有する陽極酸化皮膜を形成させる方
法が知られており、一般にDC130V〜220Vの高
電圧で陽極酸化した場合、100nm以上の細孔径を有
する陽極酸化皮膜が得られる。
【0017】ここで、細孔径が半導体微粒子の粒径より
も小さい場合、半導体微粒子は該陽極酸化皮膜上に担持
され、光触媒膜は陽極酸化皮膜上に形成される。また、
細孔径が半導体微粒子よりも大きい場合、半導体微粒子
は細孔内部及び陽極酸化皮膜上に担持され、細孔内部及
び陽極酸化皮膜上に光触媒膜が形成されることになる。
本発明では、陽極酸化皮膜上に形成された半導体微粒子
のみからなる光触媒膜に無機系高分子を含浸させる方法
であるため、陽極酸化皮膜の細孔径は特に限定されるも
のではない。
【0018】また、陽極酸化皮膜の耐食性を向上させる
方法として封孔処理が施されることがあるが、これに関
しても、本発明における光触媒膜の製造方法上、特に限
定されるものではない。しかし、アルミ合金の耐食性を
向上させるため、封孔処理を施した後、光触媒膜を形成
する方が好ましいことは言うまでもない。
【0019】前述したように、本発明の方法によって形
成される光触媒膜は、半導体微粒子の剥離といった問題
もなく、また、優れた耐食性及び耐候性を示す。このよ
うな、光触媒膜に用いる半導体微粒子は、光触媒作用を
有する半導体微粒子、例えば、TiO2 からなってい
る。この半導体微粒子に太陽光線や蛍光灯の光が照射さ
れると、TiO2 表面に正孔(h+ )や電子(e- )が
生じて光触媒作用を示し、水や各種の有機物の分解が行
われる。また、この正孔の作用により水が酸化されてO
Hラジカルを、また、電子の作用により、空気中の酸素
が還元され、O2 -ラジカルを生ずる。これらの活性酸素
は優れた殺菌作用を有し、その結果、黴等が生じにくく
なる。
【0020】前記陽極酸化皮膜上に担持される半導体微
粒子としては、電子−正孔移動度が比較的大きく、前記
のような光触媒作用を有する半導体であればいずれも使
用可能であり、例えばTiO2 ,SrTiO3 ,Zn
O,CdS,SnO2 等が挙げられるが、これらの中で
も化学的な安定性、生体への安全性等の点から特にTi
2 が好ましい。使用する半導体微粒子の粒径は1nm
〜1000nm、好ましくは5nm〜300nmの粒径
に調整することが好ましい。粒径が1nmよりも小さく
なると量子サイズ効果によりバンドギャップが大きくな
り、低圧水銀灯等の短波長光を含む照明下でないと光触
媒作用を示さないといった問題がある。また、粒径があ
まりに小さ過ぎると取り扱いが困難であったり、分散性
が悪くなるという問題も生じてくる。取り扱い性の点か
らは5nm以上の粒径が好ましい。一方、粒径が100
0nmを超えると、懸濁液中で沈殿しやすくなったり、
速やかに泳動できなくなるという問題が生じる。
【0021】半導体微粒子を含有した懸濁液を陽極酸化
皮膜を形成したアルミ合金基材上に浸漬あるいは塗布等
の方法によって半導体微粒子を担持させる場合、半導体
微粒子の懸濁液は、0.1〜50重量%、好ましくは5
〜20重量%の半導体微粒子を水中に分散させたものを
使用する。尚、半導体微粒子の凝集や沈殿を防ぐため、
後述するアミン化合物やカルボン酸塩等の解膠剤や分散
剤を添加し、水中に安定に半導体微粒子が分散するよう
にしておく必要がある。この方法では、基材上に担持さ
せる半導体微粒子の量は、懸濁液中に含まれる半導体微
粒子の量にのみ依存する。ここで、半導体微粒子の担持
量が少なかった場合、得られる光触媒膜の光触媒活性が
小さくなり、逆に担持量が多いと、乾燥時、あるいは、
無機系高分子含有塗料中に浸漬した時に光触媒膜が剥離
し易くなる。以上のことから、半導体微粒子を含有した
懸濁液は、5〜20重量%の半導体微粒子を水中に分散
させたものを使用することが好ましい。半導体微粒子懸
濁液中に基材を浸漬し、あるいは半導体微粒子懸濁液を
基材に塗布する場合、その方法は特に限定されず、通常
のディップコート、スプレーコート等の方法で実施する
ことができる。
【0022】一方、電気泳動法で半導体微粒子を前記基
材上に担持させる場合、半導体微粒子を分散させた懸濁
液は、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜10重
量%の半導体微粒子を水中に分散させたものを使用す
る。尚、懸濁液中での半導体微粒子の凝集や沈殿を防ぐ
ため、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の有機
酸及び低級アミン類や苛性ソーダ等のソーダ塩及び界面
活性剤などからなる解膠剤や分散剤を添加し、水中に安
定に半導体微粒子が分散するようにしておく必要があ
る。上記解膠剤や分散剤としては、後述する懸濁液のp
H等の点から、上記の化合物の中でも低級アミン類を用
いることが好ましい。電気泳動法の場合、基材近辺で半
導体微粒子の濃度が増加し、また、粒子同士が凝集する
ため、前記の浸漬法や塗布法に比べて、懸濁液中の半導
体微粒子の含有量を小さくでき、懸濁液中の半導体微粒
子の安定性の点で優れている。さらに、電気泳動時、半
導体微粒子が凝集する作用が起こり、それ故、単に半導
体微粒子懸濁液に基板を浸漬した場合よりも半導体微粒
子の含有量が多い光触媒膜が形成される。
【0023】また、前記のように半導体微粒子の荷電状
態は、溶液のpHに依存するため、溶液のpHを調整す
る必要がある。pHの調整は、前記の解膠剤や分散剤の
種類及び添加量によって行うことができる。例えば、半
導体微粒子としてTiO2 を用いた場合、この等電点は
中性付近である。従って、pHをアルカリ性側にすれ
ば、該半導体微粒子は負電荷を帯び、陽極に電気泳動さ
れるようになる。しかし、pHが余りにも大きいと、光
触媒膜を成膜するアルミ合金基材が腐食されてしまう。
従って、懸濁液のpHは、8〜13、好ましくは10〜
12に調整する必要がある。
【0024】電気泳動処理の際に陰極として用いる電極
材料としては、懸濁液に含まれる化合物及びpHに対し
て安定で、さらに陰極で起こる電気化学反応、例えば水
素の発生に対して安定であれば適用でき、ステンレス鋼
やカーボン等が使用可能である。
【0025】電気泳動処理を行うにあたっては、図1に
示すような装置を用い、半導体微粒子懸濁液2が満たさ
れた容器1内に陽極酸化皮膜を形成したアルミ合金基材
3及び陰極4をセットし、該アルミ合金基材3を陽極と
して直流で電気泳動を行う。電気泳動法としては、直流
電圧を低電圧より高電圧へ一定の昇圧速度で所定時間走
査する直流電圧走査法、及び定電圧あるいは定電流で所
定時間電解する直流定電圧法あるいは定電流法等を採用
できる。いずれの場合も、印加する電圧は、陽極酸化皮
膜底部のバリヤー層と称する絶縁層の絶縁電圧以上であ
る必要がある。それは、バリヤー層の絶縁電圧以上の電
圧を印加しないと電流が流れず、半導体微粒子が陽極側
に泳動されないからである。また、逆に印加電圧が極端
に大きい場合、電気泳動中に陽極酸化皮膜自体が絶縁破
壊される恐れがある。以上のことから、電気泳動時に印
加する電圧は、陽極酸化皮膜バリヤー層の絶縁電圧に1
0V〜100V、好ましくは20V〜60V加えた電圧
が適している。
【0026】本発明においては、前記したように陽極酸
化皮膜を形成したアルミ合金基材上に浸漬法、塗布法、
あるいは電気泳動法によって半導体微粒子を担持させた
後に、乾燥することが必要である。前述の浸漬・塗布、
あるいは、電気泳動後の状態は、基材上に半導体微粒子
の懸濁液が載っていることと同等の状態であり、この基
材を乾燥することなく無機系高分子塗料中に浸漬する
と、半導体微粒子が塗料中に拡散していき、最終的に光
触媒膜に含有される半導体微粒子の量が少なくなり、光
触媒活性が小さくなってしまう。しかし、乾燥して溶媒
を取り除くと、塗料中に浸漬した程度では剥離しない程
度の密着性の光触媒膜が得られる。ここで、乾燥は、単
に溶媒を取り除くことが目的であるため、温度は特に限
定されない。しかし、200℃を超える温度では、アル
ミ合金基材の強度が低下すること、及び敢えて加熱する
必要性もないことから、室温程度の乾燥で十分である。
【0027】本発明に用いる無機系高分子としては、光
触媒作用に耐え得る材料である必要があり、この点か
ら、フッ素系、シリカ系高分子が適している。また、硬
化温度は、200℃を超えるとアルミ合金基材の強度低
下を引き起こし、また、200℃未満の温度であって
も、基板との熱膨張率差によって光触媒膜に亀裂が生じ
る場合がある。この点から、硬化温度は、200℃未
満、好ましくは室温〜100℃程度が適している。
【0028】無機系高分子を分散させ塗料化する溶剤と
しては、使用する無機系高分子が安定に分散し、かつ、
硬化中に飛散(蒸散)し、光触媒膜中に残存しない溶剤
であれば特に限定されるものではない。塗料中に含有さ
せる無機系高分子の量については、本発明では、無機系
高分子はあくまで半導体微粒子間の空隙を充填すること
のみが目的であり、高含有量である必要はない。通常の
塗料程度の含有量のものを用いると、光触媒膜上に塗膜
が形成されてしまい、半導体微粒子が覆い隠され、光触
媒作用が発現しなくなるという問題もある。また、逆に
含有量が少ないと、一度の含浸処理で全ての半導体微粒
子間の空隙を充填できず、含浸処理を繰り返す必要が生
じ、作業性の点から好ましくない。以上の点から、無機
系高分子の含有量は、5重量%から20重量%の範囲が
好ましい。
【0029】前述したような浸漬法、塗布法あるいは電
気泳動法によって、図2に示すような半導体微粒子10
がアルミ合金基材11の陽極酸化皮膜12上に吸着され
る。これに無機系高分子を含浸させることによって、図
3に示すように、半導体微粒子間の空隙に無機系高分子
13が含浸された光触媒膜14が形成される。このよう
な光触媒膜であれば、半導体微粒子が欠落する恐れがな
く、また、陽極酸化皮膜上に光触媒膜が形成されている
ため、アルミ合金基材の耐食性も向上している。さら
に、この光触媒膜中に含有される半導体微粒子の量が多
いため、優れた光触媒作用を示す。以上のことから、本
発明によって得られる光触媒膜は、アルミ合金基材への
密着性、耐食性に優れるばかりでなく、高い光触媒作用
を示すことから、優れた抗菌・防黴・防汚性を発揮す
る。また、室温程度の温度下、湿式で光触媒膜を形成で
きることから、光触媒膜の付き廻りに優れると共に、ア
ルミ合金の強度低下を起こすこともなく、量産性に優れ
た光触媒膜の形成方法である。
【0030】また、光触媒作用は、光照射時のみ、その
作用を示すが、暗時においても抗菌・防黴性を発揮させ
たい場合には、この光触媒膜の上に、さらに銀や銅等の
抗菌性金属あるいは抗菌性金属化合物を析着させること
によって、暗時においても抗菌・防黴作用を示すように
なる。
【0031】抗菌性金属あるいは抗菌性金属化合物を析
出させる方法としては、硝酸銀や塩化銅などの銀や銅な
どの抗菌性金属を含む適当な化合物の溶液を調製し、こ
の溶液中に光触媒膜を形成したアルミ合金基材を浸す
か、あるいは、該溶液を光触媒膜にスプレー等で塗布し
た後、紫外線ランプやブラックライトなどで紫外線を照
射する方法を好適に用いることができる。この紫外線照
射により、光触媒膜の光触媒作用で生じた電子により抗
菌性金属イオンあるいは抗菌性金属化合物イオンが還元
され、該光触媒膜表面に抗菌性金属あるいは抗菌性金属
化合物が析出する。この場合、抗菌性金属あるいは抗菌
性金属化合物の析出量は、溶液中の抗菌性金属イオンあ
るいは抗菌性金属化合物イオンの量、塗布する場合はそ
の塗布量、溶液中に添加するアルコールやEDTA等の
還元剤の濃度、紫外線の強度及び照射時間によって制御
できる。
【0032】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明の効
果について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に
限定されるものでないことはもとよりである。
【0033】30℃の硫酸10重量%の電解浴中でアル
ミ合金(A1050)を陽極として直流電圧14V、電
流密度1A/dm2 の条件で陽極酸化処理を行い、細孔
径約10nm、膜厚約10μmの陽極酸化皮膜を生成さ
せた。また、光触媒であるアナターゼ型TiO2 の微粉
末、平均粒径50nmを水に5重量%混入し、解膠剤と
してモノエタノールアミンを5重量%添加して均一に分
散させ、pHをカルボン酸を添加することによって11
に調整したTiO2 ゾルを作製した。また、エタノール
に、テトラエチルシリケートを硬化後のSiO2 重量換
算で10重量%となるように添加し、さらに少量の塩酸
を加え、シリケート溶液を作製した。
【0034】実施例1 前述のTiO2 ゾル中に陽極酸化皮膜形成基板を浸漬
し、50cm/分の速度で引き上げ、室温で12時間乾
燥し、膜厚1μmの半導体微粒子のみからなる光触媒膜
を得た。その後、この光触媒膜を形成したアルミ合金基
板を前記シリケート溶液に浸漬し、10分間静置した
後、5cm/分の速度で引き上げ、80℃で2時間乾燥
させ、光触媒膜を作製した。
【0035】実施例2 前述のTiO2 ゾルに、陽極として陽極酸化皮膜成形基
板、陰極としては陽極の5倍の面積を有するステンレス
板を浸漬し、電圧74Vで2分間電気泳動処理を行い、
陽極酸化皮膜上にTiO2 粒子を吸着させ、室温で12
時間放置して乾燥させ、膜厚1μmの半導体微粒子のみ
からなる光触媒膜を得た。その後、この光触媒膜を形成
したアルミ合金基板を前記シリケート溶液に浸漬し、1
0分間静置した後、5cm/分の速度で引き上げ、80
℃で2時間乾燥させ、光触媒膜を作製した。
【0036】比較例1 前述のTiO2 ゾル中に陽極酸化皮膜形成基板を浸漬
し、50cm/分の速度で引き上げ、室温で12時間乾
燥し、膜厚1μmの半導体微粒子のみからなる光触媒膜
を得た。
【0037】比較例2 前述のTiO2 ゾルに、陽極として陽極酸化皮膜形成基
板、陰極としては陽極の5倍の面積を有するステンレス
板を浸漬し、電圧74Vで2分間電気泳動処理を行い、
陽極酸化皮膜上にTiO2 粒子を吸着させ、室温で12
時間放置して乾燥させ、膜厚1μmの半導体微粒子のみ
からなる光触媒膜を得た。
【0038】比較例3 30℃の硫酸10重量%の電解浴中でアルミ合金(A1
050)を陽極として直流電圧14V、電流密度1A/
dm2 の条件で陽極酸化処理を行い、細孔径約10n
m、膜厚約10μmの陽極酸化皮膜を生成させた。
【0039】密着性評価:前記実施例1、2及び比較例
1〜3で作製した試験片上に、カッターナイフの刃を用
いて1mm間隔で縦横11本ずつの陽極酸化皮膜に達す
る線を引き、100個の碁盤目を作成し、JIS Z
1522に規定されるセロハン粘着テープを用い密着性
試験を実施した。
【0040】硬度評価:JIS H 8602の5.9
項に記載の鉛筆引っかき抵抗性試験によって実施した。
【0041】耐食性評価:JIS H 8681の3.
1項に記載のキャス試験、試験時間24時間によって実
施した。
【0042】以上の評価結果を表1に示す。尚、表1
中、密着性試験結果で全く剥離が認められなかった試験
片には○、剥離が認められた試験片には×を記してい
る。硬度は、相当する鉛筆硬度を示している。耐食性評
価結果は、JIS H 8602付図に規定されるレイ
ティングナンバーによって行い、レイティングナンバー
が9.5以上を○、それ未満のものには×を記した。
【0043】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1及び実施例2の試験
片のみが、全ての評価項目で優れた結果を示している。
比較例1及び比較例2の試験片は、基板上に形成された
光触媒膜がTiO2 粒子のみからなり、その粒子間に空
隙が存在するため、密着性、硬度、耐食性に劣ってい
る。
【0044】比較例4 前記シリケート溶液に、光触媒であるアナターゼ型Ti
2 の微粉末(平均粒径20nm)を固形分比で50重
量%混入し均一に分散させ、ガラス基板に塗布し、80
℃で2時間保持することによって膜厚1μmの光触媒膜
を形成した。
【0045】光触媒活性評価:前記実施例1、実施例2
及び比較例3、比較例4で作製した各試料上に塗布量が
0.1mg/cm2 となるようにサラダ油を塗布し、基
板上での紫外線強度が1mW/cm2 となるようにブラ
ックライトで紫外線を照射しながら、その重量変化を測
定した。その結果を図4に示す。
【0046】図4から、実施例1、実施例2及び比較例
4の試料では紫外線を照射することによって徐々にサラ
ダ油が分解されていることが確認できた。これは、Ti
2に紫外線が入射したことによって生じた正孔等の作
用でサラダ油が分解されたものであり、各試料において
光触媒活性が確認されている。また、本発明による光触
媒膜が、比較例4のような従来の無機系高分子に担持さ
せるタイプの光触媒膜よりも高い光触媒活性を示すこと
がわかる。また、実施例2の試料が実施例1の試料より
も光触媒活性が高いことが確認された。これは、電気泳
動法を用いた方が光触媒膜中に含有されるTiO2 粒子
が多いことに起因している。
【0047】実施例3 実施例1で作製した光触媒膜を有する基板を0.05モ
ル/リットルの硝酸銀水溶液に浸漬し、100Wの紫外
線ランプで紫外線を照射し、該光触媒膜表面に4μg/
cm2 の銀を析出させた。
【0048】実施例4 実施例2で作製した光触媒膜を有する基板を0.05モ
ル/リットルの硝酸銀水溶液に浸漬し、100Wの紫外
線ランプで紫外線を照射し、該光触媒膜表面に4μg/
cm2 の銀を析出させた。
【0049】比較例5 ゼオライトに銀を担持させた抗菌剤をアクリル系塗料に
1重量%添加し、この塗料を用いて、比較例3で作製し
た陽極酸化皮膜形成基板上に10μmの抗菌塗装を施し
た。
【0050】抗菌性試験:実施例1〜実施例4及び比較
例3〜比較例5で作製した各試料上に、2×104 個の
大腸菌を分散させた蒸留水150μlを滴下し、温度2
5℃、湿度70%の条件下で、基板上での紫外線強度が
1mW/cm2 となるようにブラックライトで紫外線を
照射しながら、あるいは、暗状態で所定時間反応させ
た。反応後の菌液を滅菌ガーゼで回収し、これを生理食
塩水10mlに分散させ、該生理食塩水から100μl
を採取し、寒天培地に接種、36℃で24時間培養した
後、生成したコロニー数から反応後の生存菌数を算出し
た。光照射時の結果を図5に、暗時の結果を図6に示
す。
【0051】図5から、実施例1及び実施例2の試料に
は抗菌効果が確認され、その効果は、比較例5の抗菌塗
装よりも優れていることがわかる。同じ実施例1及び実
施例2の試料でも、図6の暗状態では、抗菌効果が認め
られないことから、この抗菌性は光触媒作用によるもの
である。また、実施例1、実施例2、比較例4の抗菌効
果の差異は光触媒活性の差異によるものである。図5中
では、実施例3及び実施例4の試料が最も優れた抗菌効
果を示している。また、これらの試料では、図6の暗状
態よりも、光照射下の方が優れた抗菌効果を示している
が、これは、試料の表面に析出している銀の効果と光触
媒作用の相乗作用によるものである。図6から、実施例
3及び実施例4の試料は、暗状態であっても比較例5の
試料よりも優れた抗菌効果を示している。これは、比較
例5のように塗料中に抗菌剤を練り込むよりも、実施例
3及び実施例4の方が試料表面に存在している銀の量が
多いためである。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明では、アルミ合金
からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、この基板
に光触媒作用を有する半導体微粒子を浸漬法、塗布法、
あるいは電気泳動法によって担持させ、乾燥させた後、
無機系高分子を含浸させることによって、陽極酸化皮膜
上に半導体微粒子と無機系高分子の混合物からなる光触
媒膜を形成させるものである。これは、湿式のプロセス
であるため、複雑な形状のアルミ合金基材にも付き廻り
性良く光触媒膜が形成でき、しかも低温で光触媒膜を形
成できることからアルミ合金基材の強度を低下させる恐
れもなく、量産性にも富んだ光触媒膜の形成方法であ
る。また、この光触媒膜は半導体微粒子の含有量が多
く、優れた光触媒活性を示す。しかも、この光触媒膜
は、無機系高分子が半導体微粒子間及びそれらとアルミ
合金基材の陽極酸化皮膜との間の接着剤として働くため
基材に対する密着性にも優れている。
【0053】さらに、この光触媒膜上に抗菌性金属及び
/又は抗菌性金属化合物を析着させれば、光の照射がな
い状態でも優れた抗菌・防黴効果を示し、光照射下では
光触媒膜と抗菌性金属及び/又は抗菌性金属化合物の相
乗効果によってさらに優れた抗菌・防黴・防汚性を示
す。従って、本発明により提供される光触媒膜が形成さ
れたアルミ合金材料は、自己浄化性に優れた抗菌・防黴
・防汚性の材料であり、サッシ、パネル材等の建築材な
ど、種々の分野で有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための電気泳動装置の
概略構成図である。
【図2】本発明に従って陽極酸化皮膜上に半導体微粒子
を担持させたアルミ合金基材の概略拡大断面図である。
【図3】陽極酸化皮膜上に半導体微粒子を担持させた
後、無機系高分子を含浸させたアルミ合金基材の概略拡
大断面図である。
【図4】光触媒活性試験におけるサラダ油を塗布した試
料の紫外線照射に伴う重量変化を示すグラフである。
【図5】抗菌性試験における試料の紫外線照射時の大腸
菌の生存率の経時変化を示すグラフである。
【図6】抗菌性試験における試料の暗時の大腸菌の生存
率の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 容器 2 半導体微粒子懸濁液 3 陽極酸化皮膜形成アルミ合金基材(陽極) 4 陰極 10 半導体微粒子 11 アルミ合金基材 12 陽極酸化皮膜 13 無機系高分子 14 光触媒膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C25D 13/00 C25D 13/00 N 13/02 13/02 Z (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニ ューシティ本郷台D棟213号 (72)発明者 中田 信之 富山県黒部市堀切1300 (72)発明者 新井 敏夫 富山県富山市藤木841

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる基材表面に形成した陽極酸化皮膜上に、光触媒作用
    を示す半導体微粒子と無機系高分子からなる光触媒膜が
    形成されてなることを特徴とするアルミニウム又はアル
    ミニウム合金材料。
  2. 【請求項2】 前記光触媒膜の上に、さらに抗菌性金属
    及び/又は抗菌性金属化合物が析着されてなることを特
    徴とする請求項1に記載のアルミニウム又はアルミニウ
    ム合金材料。
  3. 【請求項3】 前記無機系高分子がシリカ系又はフッ素
    系高分子材料であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載のアルミニウム又はアルミニウム合金材料。
  4. 【請求項4】 光触媒作用を有する半導体微粒子を分散
    した懸濁液中に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム又
    はアルミニウム合金からなる基材を浸漬し、あるいは該
    半導体微粒子懸濁液を上記基材上に塗布し、次いで乾燥
    させることによって上記陽極酸化皮膜表面に光触媒作用
    を有する半導体微粒子を担持させ、その後、無機系高分
    子を含浸させることにより、陽極酸化皮膜上に半導体微
    粒子と無機系高分子の混合物からなる光触媒膜を形成す
    ることを特徴とする抗菌性・防汚性アルミニウム又はア
    ルミニウム合金材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 光触媒作用を有する半導体微粒子を分散
    した懸濁液中に陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム又
    はアルミニウム合金からなる基材を浸漬し、電気泳動法
    によって該陽極酸化皮膜表面に光触媒作用を有する半導
    体微粒子を担持させ、乾燥させた後、無機系高分子を含
    浸させることにより、陽極酸化皮膜上に半導体微粒子と
    無機系高分子の混合物からなる光触媒膜を形成すること
    を特徴とする抗菌性・防汚性アルミニウム又はアルミニ
    ウム合金材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光触媒膜の上に、さらに抗菌性金属
    及び/又は抗菌性金属化合物を析着させることを特徴と
    する請求項4又は5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記無機系高分子としてシリカ系又はフ
    ッ素系高分子材料を用いることを特徴とする請求項4乃
    至6のいずれか一項に記載の方法。
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