JP3311570B2 - 防汚性網戸ネット - Google Patents

防汚性網戸ネット

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JP3311570B2
JP3311570B2 JP02297596A JP2297596A JP3311570B2 JP 3311570 B2 JP3311570 B2 JP 3311570B2 JP 02297596 A JP02297596 A JP 02297596A JP 2297596 A JP2297596 A JP 2297596A JP 3311570 B2 JP3311570 B2 JP 3311570B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機物質の分解作
用を有する防汚性の網戸ネットに関し、さらに詳しく
は、光触媒作用を有する半導体薄膜又は半導体微粒子を
含む薄膜をコーティングし、あるいはさらに上記薄膜上
に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析着させた抗菌・
防黴・防汚性に優れた網戸ネットに関する。
【0002】
【従来の技術】住宅、ビル、工場等に飛来する蚊、蠅、
ゴキブリ等の虫害を防止するために広範に用いられてい
る網戸ネットは、屋外に長期間設置されるために種々の
汚れが付着する。その汚れには、土砂のように水で除去
され易い成分と、油脂のように水で除去され難い成分が
含まれている。土砂等の汚れ成分のみが付着する場合
は、雨による自然洗浄あるいは水洗で除去可能である
が、通常は、油脂成分との混合状態となっているため、
水洗のみで除去することは困難である。また、一旦油脂
等の成分が付着すると、その上にはディーゼル粉塵やタ
イヤ粉塵、カーボン粒子等の洗剤を用いても除去され難
い汚れ成分が吸着し易くなり、汚れが増大していく。
【0003】網戸ネット用の洗剤も市販されているが、
網戸ネットの場合、その機械的強度及び取り付け強度が
低いため、強く擦ると変形やネットの固定枠からの脱落
を引き起こし、完全に汚れを除去することは困難であ
り、建築物の美観を低下させる大きな問題となってい
る。また、樹脂製の網戸ネットでは、その上に黴が生育
し、黒ずみ汚れを生じる場合があり、衛生的でないだけ
でなく、美観的にも悪くなってしまうという問題があっ
た。また、一旦生えた黴は除去し難く、黴処理剤等の薬
品を用いて除去する方法はあるが、薬品の安全性、臭い
等の問題から薬品による黴除去作業は容易でなかった。
【0004】ところで、TiO2に代表される光触媒作
用を有する半導体が、その光触媒作用により抗菌・防黴
・防汚・防臭作用を有することは従来から知られてお
り、最近ではそれらを利用して、細菌や黴が繁殖しにく
い様々な材料が研究、開発されている。例えば、特開平
2−6333号には酸化チタンの粒子表面に銅、亜鉛等
の抗菌性金属を担持させた抗菌性粉末について開示され
ており、この粉末を樹脂、ゴム、ガラス等に配合するこ
とによって抗菌性組成物が得られ、また、公知の方法に
より、電機機器、家具調度品、室内装飾材、食品等の包
装資材などの抗菌性処理のほか、環境衛生施設、機器類
の抗菌剤として上記粉末を利用できると教示している。
【0005】特開平6−65012号には、銀、銅、亜
鉛、白金等の金属を含有した酸化チタン膜をコンクリー
ト、ガラス、プラスチック、セラミックス、金属等の材
質からなる基板にコーティングすることによって、該基
板において雑菌及び黴の繁殖を防止できる旨が開示され
ている。さらに特開平7−51646号には、空気中の
有機物の付着で汚れを生じる恐れのあるガラス等の固体
表面に半導体微粒子を担持させ、紫外線を含有する光を
照射することにより、固体表面の汚れを浄化し、汚れの
付着を防止できると教示している。しかしながら、この
ような光触媒作用を有する半導体を、網戸ネットの防汚
性付与に利用した例は知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記したように網戸ネ
ットに付着した汚れを簡便に除去することは困難であ
り、その清掃に多大な労力と経費を要しているのが現状
である。従って、本発明の目的は、特別な装置、処理等
を要することなく、安全性、耐久性に優れ、メンテナン
スフリーであり、高い防汚性を示し、また、雨による自
然洗浄や簡単な水洗のみで充分な清浄度を保つことがで
きる網戸ネットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、テンレス等の金属材料からなる
網戸ネットの線材表面に、抗菌・防黴性を示す光触媒作
用を有する半導体薄膜又は半導体微粒子を含む薄膜を
コーティングし、さらにこの半導体薄膜又は半導体微
粒子を含む薄膜上に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を
析着させてなることを特徴とする防汚性網戸ネットが提
供される。さらに本発明によれば、ポリプロピレン、塩
化ビニル樹脂等の高分子材料からなる網戸ネットの線材
表面に、光触媒作用を有する半導体薄膜又は半導体微粒
子を含む薄膜をコーティングし、あるいは光触媒作用を
遮断するバリヤー層を介してコーティングし、さらにこ
の半導体薄膜又は半導体微粒子を含む薄膜上に抗菌性金
属又は抗菌性金属化合物を析着させてなることを特徴と
する防汚性網戸ネットが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、その基本的な態様とし
て、ポリプロピレン、塩化ビニル樹脂等の高分子材料又
はステンレス等の金属材料からなる網戸ネットの線材表
面に、光触媒作用を有する半導体薄膜又は半導体微粒子
を含む薄膜(以下、光触媒膜と総称する。)を形成した
網戸ネットを提供するものである。このような網戸ネッ
トの線材表面には、光触媒作用を有する半導体、例え
ば、TiO2が存在している。この半導体に太陽光線や
蛍光灯の光が照射されると、TiO2表面に正孔(h+
や電子(e-)が生じて光触媒作用を示し、水や各種の
有機物の分解が行われる。また、この正孔の作用により
水が酸化されてOHラジカルを、また、電子の作用によ
り空気中の酸素が還元されてO2 -ラジカルを生ずる。こ
れら活性酸素は優れた殺菌作用を有し、その結果、黴等
が生じ難くなる。
【0009】上記網戸ネットを屋外に設置した場合、日
中、光が照射した際に光触媒膜の作用によって有機物質
を分解する。すなわち、土砂のように水で除去され易い
成分と、油脂のように水で除去され難い成分が混合して
付着した場合でも、この油脂成分を分解することによ
り、雨水による自然洗浄あるいは水洗で除去可能な汚れ
のみが網戸ネット上に存在することになる。さらに、油
脂等の成分に吸着し易くかつ除去が困難な汚れ物質、例
えば、ディーゼル粉塵やタイヤ粉塵、カーボン粒子等の
吸着が防止されることによって汚れ自体を減じることが
可能となる。
【0010】また、TiO2等の半導体の表面に金属イ
オンが存在する時は、光照射によって生じた電子の作用
によって種々の金属イオンの還元が行われる。すなわ
ち、銀や銅などの抗菌性金属又は抗菌性金属を含む化合
物を析出させることが可能となる。これを利用して上記
光触媒膜の上に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析出
させれば、夜間であっても抗菌・防黴性が維持されるよ
うになる。
【0011】前記網戸ネットの線材表面に形成される光
触媒膜に用いられる半導体としては、電子−正孔移動度
が比較的大きく、光触媒作用を有する半導体であればい
ずれも使用可能であり、例えばTiO2、SrTiO3
ZnO、CdS、SnO2等が挙げられるが、これらの
中でも特にTiO2が好ましい。
【0012】このような、光触媒作用を有する半導体の
コーティング方法としては、スパッタ法、溶射法、レー
ザーアブレーション法、ゾルーゲル法、メッキ法など種
々の方法を用いることができる。また、適当な塗料中に
半導体微粒子を分散させ、これを基材に塗布・乾燥する
ことによってもコーティングすることができる。網戸ネ
ット線材がステンレス等の金属材料からなり、高温に耐
えられる場合には、前記の種々のコーティング方法で光
触媒膜の形成が可能である。一方、網戸ネット線材がポ
リプロピレンや塩化ビニル樹脂等の樹脂材料からなる場
合は、その耐熱性が劣るため、加熱することが不可能に
なる。その場合には、適当な塗料中に半導体微粒子を分
散させ、これを基材に塗布・乾燥することによってコー
ティングする方法が好ましい。
【0013】また、前記網戸ネット線材がポリプロピレ
ンや塩化ビニル樹脂等の樹脂材料からなる場合、この線
材上に直接光触媒膜をコーティングすると、その光触媒
作用によって樹脂材料自体が分解され、光触媒膜が剥離
すると共に、網戸ネットの強度等の機械的性質を低下さ
せてしまう。このような場合には、光触媒作用を遮断す
る層(以下、バリヤー層と称する。)を網戸ネット上に
コーティングした後に光触媒膜をコーティングする方法
が好ましい。バリヤー層としては、光触媒作用を示す半
導体微粒子を含まない塗料が適用できる。このようなバ
リヤー層を設けることにより、網戸ネット線材の樹脂材
料自体の分解が防止され、樹脂材料の強度、柔軟性等の
機械的性質が低下することなく維持できるという効果の
他に、特に光触媒膜として半導体微粒子を分散させた塗
料(特にバリヤー層と同一の塗料)をコーティングする
場合に密着性がより一層向上するという効果が得られ
る。
【0014】網戸ネット上にコーティングされる光触媒
膜の膜厚は、光触媒膜のみをコーティングする場合ある
いはバリヤー層と光触媒膜をコーティングする場合共、
10nm〜10μmが適当である。10μmを超える膜
厚になると、光触媒膜が基材表面から剥離し易くなるの
で好ましくない。特に、光触媒膜をコーティングした後
に、切断したりする加工時や、施工時に剥離が起き易く
なる。また、バリヤー層を設ける場合、その膜厚は網戸
ネット線材表面全体を被覆でき、コーティングされる光
触媒膜の光触媒作用を遮断するためには5nm以上必要
である。なお、バリヤー層と光触媒膜の合計膜厚は、前
記と同様の理由により10μm以下が適当である。
【0015】半導体微粒子を含有した光触媒膜をコーテ
ィングする場合に用いる塗料あるいはバリヤー層の形成
に用いる塗料としては、フッ素系、シリケート系、アク
リル系、ポリエステル系やポリウレタン系等が挙げられ
るが、半導体微粒子が均一に分散し、網戸ネット線材上
の塗膜として適度な強度と密着性を有するものであれば
特に限定されず、用途に応じて適宜選定することができ
る。また、前記塗料の中でもフッ素系、シリケート系等
の無機系塗料が、その耐酸化力の点からより好ましい。
【0016】塗料中に半導体微粒子を分散させ、これを
塗布するコーティング方法の場合、混合される半導体微
粒子の割合は、塗料基材に対し1〜100重量%(ここ
で100重量%は、半導体微粒子の重量と塗料基材の重
量が等しいことに相当する。)の範囲にあることが好ま
しい。1重量%より少なくなると、光触媒作用を発揮す
る半導体微粒子の量が不足し、ひいては充分な光触媒作
用が得られず、一方、100重量%を超えると、光触媒
作用の発揮に関しては問題ないが、塗膜の機械的特性が
著しく低下する。
【0017】使用する半導体微粒子の粒径は、5nm〜
1μm、好ましくは10nm〜300nmが適当であ
る。粒径が5nmよりも小さくなると、量子サイズ効果
によりバンドギャップが大きくなり、低圧水銀灯等の短
波長光を発生する照明下でないと光触媒作用が得られな
いといった問題がある。また、粒径があまりに小さ過ぎ
ると、取り扱いが困難であったり、分散性が悪くなると
いう問題も生じてくる。取り扱い性の点からは10nm
以上の粒径が好ましい。一方、粒径が1μmを超える
と、材料表面に比較的大きな半導体微粒子が存在するこ
とになるため、表面の滑らかさが乏しくなり、また材料
表面に露出した粒子が脱落し易くもなる。材料表面の平
滑さ等を考慮すると300nm以下の粒径が好ましい。
【0018】光触媒膜上に抗菌性金属又は抗菌性金属化
合物を析出させる方法は、硝酸銀や塩化銅などの銀や銅
などの抗菌性金属を含む適当な化合物の溶液を調製し、
一つの方法としては、光触媒膜をコーティングした網戸
ネットを該溶液中に浸し、紫外線ランプやブラックライ
トなどで紫外線を照射すると、光触媒作用で生じた電子
により抗菌性金属イオン又は抗菌性金属化合物イオンが
還元され、該網戸ネット表面に抗菌性金属又は抗菌性金
属化合物が析出する。この場合、抗菌性金属又は抗菌性
金属化合物の析出量は、溶液中の抗菌性金属イオンの
量、すなわち調製した溶液の濃度や溶液中に添加するア
ルコールやEDTA等の還元剤の濃度や紫外線照射時間
によって制御する。
【0019】また、別の方法としては、前記溶液を光触
媒膜をコーティングした網戸ネット上にスプレー等の適
当な方法で塗布した後、紫外線を照射する方法がある。
この方法では、溶液中の抗菌性金属イオンの量、すなわ
ち調製した溶液の濃度や溶液中に添加するアルコールや
EDTA等の還元剤の濃度や塗布量あるいは紫外線照射
時間によって抗菌性金属又は抗菌性金属化合物の析出量
が制御できる。なお、上記のいずれの方法においても、
抗菌性金属又は抗菌性金属化合物で光触媒膜表面全体を
被覆してしまうと、光触媒作用が発現できなくなるた
め、表面全体を被覆しない程度の析出量に制御する必要
がある。
【0020】前記のような方法によって、図1〜図3に
示すような光触媒膜をコーティングした網戸ネットが作
製される。図1は、ステンレス等の金属製網戸ネット線
材1上に直接光触媒膜2をコーティングした場合であ
り、図2は、ポリプロピレンや塩化ビニル樹脂等の樹脂
製網戸ネット線材3上にバリヤー層4をコーティング
し、その上に光触媒膜2をコーティングしたものであ
る。また、図3は、図1に示した態様の光触媒膜2表面
に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物5を析着させたもの
である。
【0021】前記のような光触媒膜をコーティングした
線材からなる網戸ネット、あるいは光触媒膜をコーティ
ングした後に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析着さ
せた線材からなる網戸ネットを使用する場合は、図4に
示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金等から
なる框材8を製作し、この中に光触媒膜をコーティング
した網戸ネット、あるいは光触媒膜をコーティングした
後に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析着させた網戸
ネット7を取り付けて網戸6を構成する。なお、框材8
としても、本発明に従って光触媒膜をコーティングした
框材あるいはさらに抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を
析着させた框材を用いることができる。
【0022】前記した構成の本発明に係る網戸ユニット
は、屋外に設置され日中は光が照射されるため、光触媒
作用によって有機物質を分解する作用を示す。すなわ
ち、土砂のように水で除去され易い成分と、油脂のよう
に水で除去され難い成分が混合して付着した場合でも、
この油脂成分を分解することにより、雨水による自然洗
浄あるいは水洗で除去可能な汚れのみが網戸ネット上に
存在することになる。また、油脂成分が減少するため、
ディーゼル粉塵やタイヤ粉塵、カーボン粒子等の除去困
難な汚れ物質の吸着量が減少し、汚れを減少することが
できる。さらに、光触媒作用による抗菌・防黴性によ
り、細菌や黴に起因する汚れを防止することができる。
【0023】また、前記光触媒膜をコーティングした後
に抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析着させた線材か
らなる網戸ネットを使用した場合は、光の照射量が少な
い場合や夜間等の場合であっても、抗菌性金属又は抗菌
性金属化合物の作用による抗菌・防黴性によって、細菌
や黴に起因する汚れを防止することができる。
【0024】
【実施例】以下、試験例及び比較試験例を示して本発明
の効果について具体的に説明するが、本発明が下記試験
に限定されるものでないことはもとよりである。
【0025】試験例1 直径0.3mmのステンレス線材を1mm間隔で織り上
げた網戸ネットに、水中に平均粒径20nmのTiO2
を35wt%分散させたゾルを塗布し、500℃で1時
間加熱・焼結することによって、網戸ネット線材上に膜
厚2μmの光触媒膜をコーティングした。
【0026】比較試験例1 比較のために、光触媒膜をコーティングしていないステ
ンレス製網戸ネットを使用した。
【0027】防汚性評価: 前記試験例1と比較試験例1の各網戸ネットの防汚性を
判定するため、屋外に1年間暴露し、その重量変化を測
定した。その結果を表1に示す。また、屋外暴露後の
験例1及び比較試験例1の各網戸ネットを純水中に1時
間静置し、その前後の網戸ネット上に付着した汚れ物質
の重量変化を測定した。その結果を表2に示す。
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1に示す結果から、試験例1の網戸ネッ
トの重量増加量が比較試験例1のものよりも小さくなっ
ていることがわかる。また、表2に示す結果からは、
験例1の網戸ネットの重量減少が比較試験例1のものよ
りも大きく、試験例1の網戸ネットでは付着した汚れ成
分の殆どが水洗可能であることがわかる。試験例1は、
網戸ネット表面に光触媒膜がコーティングされており、
光照射下で有機物質を分解する作用を示す。すなわち、
試験例1の網戸ネットでは、ディーゼル粉塵やタイヤ粉
塵、カーボン粒子等の汚れ成分の付着が防止され、さら
に水洗可能な成分と油脂成分等が混在していないため
に、たとえ土砂等の成分が付着しても、雨による水洗で
除去され、重量増加が少なくなったものである。また、
付着した汚れが、簡単な水洗で除去できることが表2か
らも確認できる。これに対し、比較試験例1の網戸ネッ
トでは、油脂成分が分解されないため、ディーゼル粉塵
やタイヤ粉塵、カーボン粒子等が付着し易く、また、土
砂等の成分と油脂成分が混ざっているため、雨で除去さ
れ難くなり、試験例1の網戸ネットよりも重量増加が大
きかったものであり、さらに表2からは、付着した汚れ
を水洗のみで除去することが困難であることがわかる。
以上から、本発明による光触媒膜をコーティングした網
戸ネットが良好な防汚性を示すことがわかる。
【0030】試験例2 直径0.3mmの塩化ビニル樹脂製線材を1mm間隔で
織り上げた網戸ネット上に、シリコーン樹脂を2μmコ
ーティングし、さらにその上に、平均粒径20nmのT
iO2を固形成分に対し35wt%分散させたシリコー
ン樹脂を2μmコーティングした(試料1)。さらに、
試料1を0.05モル/リットルの塩化銅水溶液に浸漬
し、100Wの紫外線ランプで紫外線を照射し、網戸ネ
ット線材表面に0.05mg/cm2の銅を析出させた
(試料2)。
【0031】比較試験例2 比較のために、光触媒膜をコーティングしていない塩化
ビニル樹脂製網戸ネットを使用した。
【0032】防黴性試験: 試料1〜2及び比較試験例2の各網戸ネットについて、
JIS Z 2911の5に記載の一般工業製品の防黴
性試験に基づき防黴性試験を実施した。また、光の照射
の有無による防黴性の差異を観察するため、各々の試料
について20cmの距離から20W蛍光灯で光を照射し
た場合と、光を全く照射しない場合について防黴性を測
定した。その結果を表3に示す。尚、表3中での判定
は、JISZ 2911に従い、網戸ネット線材表面に
対し、3が黴を接種した部分に菌糸の発育が認められな
いもの、2が菌糸の発育部分の面積が黴接種面積の1/
3を超えないもの、1が菌糸の発育部分の面積が黴接種
面積の1/3を超えるものの3段階評価で示してある。
【表3】
【0033】表3に示す結果から、光照射無しの状態で
は、試料2のみが良好な防黴性を示し、光照射下では試
料1、試料2共に良好な防黴性を示していることがわか
る。これに対し、比較試験例2は、暗時、光照射時のど
ちらでも防黴性を有しないことがわかる。すなわち、光
触媒膜のみをコーティングした試料1では、光照射下で
のみ光触媒作用による抗菌・防黴性を発揮するが、さら
に抗菌性金属を析着させた試料2では、光照射下では光
触媒膜の光触媒作用及び抗菌性金属の作用、光照射の無
い状態では抗菌性金属の作用で良好な抗菌・防黴性を発
揮することが確認できる。以上から、光触媒膜をコーテ
ィングし、さらに抗菌性金属を析着させた試料が、暗
時、光照射時のどちらにおいても良好な防黴性を示すこ
とが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上のように、本発明の網戸ネットは、
網戸ネット線材上に光触媒膜がコーティングされている
ため、優れた抗菌・防黴・防汚性を示す。従って本発明
によれば、特別な装置、処理等を要することなく、安全
性、耐久性に優れ、メンテナンスフリーであり、かつ高
い防汚性を示す網戸ネットが提供される。また、たとえ
汚れが付着したとしても、雨による自然洗浄や簡単な水
洗のみで充分な清浄度を保つことができる網戸ネットが
提供される。また、網戸ネット線材上に光触媒作用を遮
断するバリヤー層をコーティングした後、光触媒膜をコ
ーティングした態様の網戸ネットにおいては、網戸ネッ
トの線材に樹脂材料を用いた場合の光触媒作用による樹
脂材料自体の分解が防止され、樹脂材料の強度、柔軟性
等の機械的性質を低下させることなく維持できる。さら
に、光触媒膜の密着性、特に光触媒膜として半導体微粒
子を分散させた塗料をコーティングする場合に密着性が
より一層向上するという利点も得られる。さらに、この
光触媒膜の還元作用によって、光触媒膜上に抗菌性金属
又は抗菌性金属化合物を析出させれば、光の照射がない
状態でも優れた抗菌・防黴性を示し、黴による汚れを防
止でき、光の照射下では抗菌性金属又は抗菌性金属化合
物と光触媒膜の相乗効果でさらに優れた防汚性を示す網
戸ネットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】光触媒膜をコーティングした金属製網戸ネット
の線材の概略拡大断面図である。
【図2】光触媒膜をコーティングした樹脂製網戸ネット
の線材の概略拡大断面図である。
【図3】抗菌性金属又は抗菌性金属化合物を析着させた
光触媒膜コーティング網戸ネットの線材の概略拡大断面
図である。
【図4】本発明に係る網戸ネットを組み込んだ防汚性網
戸の概略平面図である。
【符号の説明】
1 金属製網戸ネット線材 2 光触媒膜 3 樹脂製網戸ネット線材 4 バリヤー層 5 抗菌性金属又は抗菌性金属化合物 6 網戸 7 網戸ネット 8 框材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニューシティ本郷台D棟213号 (72)発明者 中田 信之 富山県黒部市堀切1300 (72)発明者 新井 敏夫 富山県富山市藤木841 (56)参考文献 特開 平9−75633(JP,A) 特開 平8−302498(JP,A) 特開 平9−195638(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E06B 9/52

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 属材料からなる網戸ネットの線材表面
    に、光触媒作用を有する半導体薄膜又は半導体微粒子を
    含む薄膜を直にコーティングし、さらにこの半導体薄膜
    又は半導体微粒子を含む薄膜上に抗菌性金属又は抗菌性
    金属化合物を析着させてなることを特徴とする防汚性網
    戸ネット。
  2. 【請求項2】 高分子材料からなる網戸ネットの線材表
    面に、光触媒作用を有する半導体薄膜又は半導体微粒子
    を含む薄膜をコーティングし、あるいは光触媒作用を遮
    断するバリヤー層を介してコーティングし、さらにこの
    半導体薄膜又は半導体微粒子を含む薄膜上に抗菌性金属
    又は抗菌性金属化合物を析着させてなることを特徴とす
    る防汚性網戸ネット。
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