JP3210546B2 - 抗菌・防黴性の建築材料 - Google Patents

抗菌・防黴性の建築材料

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JP3210546B2 JP13572895A JP13572895A JP3210546B2 JP 3210546 B2 JP3210546 B2 JP 3210546B2 JP 13572895 A JP13572895 A JP 13572895A JP 13572895 A JP13572895 A JP 13572895A JP 3210546 B2 JP3210546 B2 JP 3210546B2
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌・防黴性の建築材
料(以下、建材という)に関し、さらに詳しくは、アル
ミニウム又はアルミニウム合金製の建材(以下、アルミ
建材という)表面に形成した陽極酸化皮膜上に、光触媒
作用を有する半導体微粒子、さらには抗菌性金属微粒子
を含有もしくは担持した塗膜を形成してなる抗菌・防黴
作用に優れたアルミ建材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、MRSA(メチシリン耐性黄色ブ
ドウ球菌)等の院内感染が問題視されるようになってき
ている。院内感染の多くは日和見感染症であり、ウィル
ス、細菌、原虫、黴等が抵抗力や免疫力が低下した人体
の中で急に活発化して発症する感染症である。例えばM
RSAの感染に関して言えば、その菌は主に患者や院内
従事者の体、スリッパ、医療器具等を介して病院内に広
がるようだが、空気中の塵埃に菌が付着して空気感染を
起こすこともある。そのため、院内感染を防ぐには室内
空気全体を殺菌、浄化処理する必要があり、従来、薬品
による消毒や空気清浄器に頼ってきた。しかしながら、
消毒においては、薬品を用いるため人体への影響が無視
できず、薬品の臭いも不快感を与えるといった問題があ
り、また、作業が容易でない等の理由から頻繁に行うわ
けにもいかなかった。一方、空気清浄器による院内の浄
化は比較的容易ではあるが、空気中の塵埃等を静電気に
より除去する原理であるため、細菌、黴、及びそれに付
随する臭気等は除去しにくいといった問題があった。ま
た、煙草のヤニがサッシ、パネル材等の建築部材表面に
付着し汚れた場合、美観を損ねるだけでなく、その部分
に細菌が付着し繁殖し易いという問題もあった。
【0003】ところで、TiOに代表される光触媒作
用を有する半導体微粒子が、その光触媒作用により有機
物の分解を行い、その作用に基づき抗菌・防黴・防汚・
防臭作用を有することは従来から知られており、最近で
はそれらを利用して、細菌や黴が繁殖しにくい様々な材
料が研究、開発されている。例えば、特開平2−633
3号公報には酸化チタンの粒子表面に銅、亜鉛等の抗菌
性金属を担持させた抗菌性粉末について開示されてお
り、この粉末を樹脂、ゴム、ガラス等に配合することに
よって抗菌性組成物が得られ、また、公知の方法によ
り、電機機器、家具調度品、室内装飾材、食品等の包装
資材などの抗菌性処理のほか、環境衛生施設、機器類の
抗菌剤として上記粉末を利用できると教示している。特
開平6−65012号公報には、銀、銅、亜鉛、白金等
の金属を含有した酸化チタン膜をコンクリート、ガラ
ス、プラスチック、セラミックス、金属等の材質からな
る基板にコーティングすることによって、該基板におい
て雑菌及び黴の繁殖を防止できる旨が開示されている。
さらに特開平4−307066号公報には、パネルの裏
面に光触媒を付設し、該パネルの裏側に短波長ランプを
配置し、このランプから光触媒へ紫外線照射することに
よって、光触媒を活性化し、パネルが設置された室内の
脱臭を図るという室内空気のリフレッシュ法が開示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金(以下、アルミ合金とい
う)製の建築部材、例えばパネル材上に酸化チタン等の
光触媒をコーティングすると、アルミ合金基材と光触媒
の充分な密着性が得られず、コーティングした光触媒の
膜が剥離し易いという問題がある。また、複雑な形状を
有する建材上に均一に光触媒をコーティングすることは
困難であり、さらに、通常、光触媒をコーティングする
場合、200℃を超える温度に基材を加熱する必要があ
り、このような温度にアルミ合金をさらすとアルミ合金
の強度が著しく低下してしまう。
【0005】従って、本発明の目的は、上記のような問
題を解決し、特別の装置を要することなくメンテナンス
フリーであり、しかも抗菌・防黴性の膜が高い密着強度
でコーティングされた抗菌・防黴性のアルミ建材を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、アルミニウム又はアルミニウム合
金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、さらに
該陽極酸化皮膜上に光触媒作用を有する半導体微粒子を
含有もしくは担持した塗膜をコーティングしてなり、半
導体微粒子の少なくとも一部が塗膜表面より部分的に露
出していることを特徴とするアルミ建材が提供される。
好適な態様においては、前記光触媒作用を有する半導体
微粒子と共に銀、銅等の抗菌性の金属微粒子を含有もし
くは担持した塗膜をコーティングすることにより、より
一層抗菌・防黴性に優れた建材が提供される。さらに本
発明の他の態様によれば、前記塗膜が、光触媒作用を有
する半導体微粒子が混在していない塗膜からなる層の上
に、上記半導体微粒子あるいはさらに抗菌性の金属微粒
子が混在する塗膜を形成した二層構造の塗膜からなる建
材が提供される。
【0007】
【発明の作用及び態様】前記したように、アルミ合金地
金に直接、光触媒作用を有する半導体膜(以下、光触媒
膜という)をコーティングすると、光触媒膜とアルミ合
金地金との密着性が悪く、衝撃を受けた場合に光触媒膜
が剥離してしまうという問題がある。また、複雑な形状
を有する押出形材等に光触媒膜をコーティングする場合
は、膜の付き廻りの問題があり、凹部や隅角部にまで光
触媒膜を均一にコーティングすることは困難である。さ
らに、通常行われている光触媒微粒子を含む懸濁液を基
材表面に塗布、焼結させる方法や、金属薄膜を形成した
後、これを酸化させて所定の光触媒膜を形成する方法で
は、200℃を超える温度下での処理が必要であるが、
アルミ合金の場合には、このような高い温度にさらすと
その強度が著しく低下してしまうという問題がある。
【0008】前記のような問題点を解決するためには、
光触媒膜とアルミ合金地金の間に、光触媒膜とアルミ合
金地金との密着性を強める効果を有する膜を介在させる
必要がある。このような中間膜として、本発明のアルミ
建材は、アルミ合金表面に一体的に形成される微多孔質
の陽極酸化皮膜を利用するものである。さらに本発明
は、光触媒作用を有する半導体微粒子の担体として塗膜
を用い、通常のアルミ建材の塗装工程を利用することに
より、抗菌・防黴性の膜が高い密着強度でコーティング
されたアルミ建材を提供するものである。
【0009】すなわち、本発明のアルミ建材は、アルミ
合金からなる基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、さら
にこの陽極酸化皮膜上に光触媒作用を有する半導体微粒
子を少なくともその一部が塗膜表面より部分的に露出す
るように含有もしくは担持した塗膜をコーティングした
ものである。陽極酸化皮膜は絶縁膜であり、しかも表面
に直径約5nm〜200nmの細孔が無数に開いた微多
孔質で、しかも凹凸のある構造を有している。従って、
多孔質構造によるアンカー効果によって、コーティン
グされる抗菌・防黴性の膜のアルミ合金地金に対する密
着性を向上させることができる。また、本発明のアルミ
建材は、通常のアルミ建材の塗装工程を利用して光触媒
作用を有する半導体微粒子を含有もしくは担持する塗膜
を陽極酸化皮膜上にコーティングしたものであるため、
従来の光触媒膜の場合のように200℃を超える温度下
での処理は不要となり、アルミ合金基材の強度低下を招
くことはない。また、パネル材から複雑な形状の押出形
材まで種々の形状のアルミ建材に対して、抗菌・防黴性
の膜を、高い密着強度で、しかも容易にかつ作業性よく
コーティングできる。
【0010】このように、本発明のアルミ建材は、塗
とアルミ合金地金との密着性を強めるアンカー効果を有
する陽極酸化皮膜の上に光触媒作用を有する半導体微粒
子を含有もしくは担持した塗膜をコーティングしたもの
であるため、光触媒膜の剥離といった問題もなく優れた
抗菌・防黴作用を示す。このような建材表面には、光触
媒作用を有する半導体微粒子、例えば、TiOが存在
しているため、この半導体微粒子に太陽光線や蛍光灯の
光が照射されると、TiO表面に正孔(h及び
子(e)が生じ光触媒作用を示し、水や各種の有機物
の分解が行われる。すなわち、この電子の作用により空
気中の酸素が還元され、酸素ラジカルを生じ、また正孔
の作用によって水が酸化され、OHラジカルが生じる。
これら活性酸素は優れた殺菌作用を有し、その結果、黴
等が生じにくくなる。
【0011】本発明のアルミ建材の使用に際しては、例
えば上記のような作用を有する建材から枠材もしくは框
材、パネル材を製作し、これを同様に光触媒作用を有す
る半導体微粒子を含有もしくは担持する水密気密材と組
み合わせて建具ユニットを構成する。この建具は室内面
全体に光触媒膜がコーティングされており、日中は太陽
光線が照射され、夜間は蛍光灯の光が照射されるため、
コーティング面は常に光触媒作用を発揮する。この光触
媒作用によって、抗菌・防黴作用を示す面となる。ま
た、室内空気は常に対流しているため建具内面に接して
おり、このようにして建具内面に触れることにより清浄
化される。
【0012】本発明で用いる半導体としては、電子及び
正孔の移動度が比較的大きく、上記のような光触媒作用
を有する半導体であればいずれも使用可能であり、例え
ばTiO 2 RuO2、Cs3Sb、InAs、InS
b、GaAs等が挙げられるが、これらの中でも特にT
iO2が好ましい。使用する半導体微粒子の粒径は、1
nm〜1μm、好ましくは5nm〜0.5μmが適当で
ある。粒径が1nmよりも小さくなると量子サイズ効果
によりバンドギャップが大きくなり、低圧水銀ランプな
どの短波長光を発生する照明下でないと光触媒性能が得
られないといった問題がある。また、粒径があまりに小
さ過ぎると取り扱いが困難であったり、分散性が悪くな
るという問題も生じてくる。取り扱い性の点からは5n
m以上の粒径が好ましい。一方、粒径が1μmを超える
と、半導体微粒子の担持性が悪くなり、基材表面に形成
される塗膜中の半導体微粒子含有量が少なくなる。さら
には、粒径が大きいと、塗膜表面に比較的大きな半導体
微粒子が存在することになるため、表面の滑らかさが乏
しくなり、また、表面に露出した粒子が脱落し易くもな
る。以上の点から、半導体微粒子は0.5μm以下の粒
径が好ましい。
【0013】本発明のアルミ建材においては、電着塗装
あるいは静電塗装等の塗装によって光触媒作用を有する
抗菌・防黴性の塗膜を形成している。従って、塗装され
る基材の形状は複雑なものからパネル状のものまで適応
可能である。電着塗装あるいは静電塗装は、建材の表面
処理に通常用いられている方法であり、この方法を適用
することによって、複雑な形状の部材に均一な抗菌・防
黴性塗膜を形成することが可能となり、さらには現状の
生産設備を変更することなしに抗菌・防黴性塗膜の形成
を行うことが可能となる。塗料としてはアクリル系、ポ
リエステル系、ポリウレタン系、フッ素系等の塗料が使
用されるが、建材の塗膜として適度の強度と密着性と光
触媒作用に対する耐久性を有するものであれば特に限定
されず、用途に応じて適宜選定することができる。
【0014】前記塗料と半導体微粒子を使用した光触媒
作用を有する抗菌・防黴性塗膜の形成方法としては、種
々の方法を用いることができる。例えば、塗料材料に前
記半導体微粒子を適量混合し、この塗料粒子と半導体微
粒子を含む塗料溶液を用いて電着塗装を行うと、半導体
微粒子を担持した塗料粒子がアニオン化し、建材表面に
付着する。これを、水洗し、焼き付けを行うことによっ
て、表面に光触媒作用を有する半導体微粒子を含んだ塗
膜が形成された建材が得られる。また、静電塗装におい
ては、前記塗料粒子と半導体微粒子を含む塗料溶液を用
いることにより、半導体微粒子を担持した塗料粒子が微
小電荷を持ち、アースされた被塗物に付着する。これを
焼き付け処理することによって、表面に光触媒作用を有
する半導体微粒子を含んだ塗膜が形成された建材が得ら
れる。このような塗装法により、図1に示すように、ア
ルミ合金地金1表面に形成された陽極酸化皮膜2上に、
光触媒作用を有する半導体微粒子11が混在した塗膜1
0aがコーティングされたアルミ建材が得られる。塗膜
10aの一部は陽極酸化皮膜2の細孔3内に侵入してい
るため、陽極酸化皮膜2に対する上記抗菌・防黴性の塗
膜10aの密着強度は極めて優れている。
【0015】別の抗菌・防黴性塗膜の形成方法として
は、例えば電着塗装法や静電塗装法によって、陽極酸化
皮膜上に半導体微粒子が混在しない塗膜をコーティング
し、この塗膜が焼き付け処理前のまだ軟らかい段階で、
光触媒作用を有する半導体微粒子を塗膜表面に吹き付け
る方法も採用できる。このような方法によって、図2に
示すように、半導体微粒子11が一部、塗膜10bの表
面部に埋め込まれた状態に、表面部に半導体微粒子11
を担持した塗膜10bが陽極酸化皮膜(図示せず)上に
コーティングされる。この方法においては、半導体微粒
子の吹き付け圧力等を調整することによって、塗膜10
bの表面部にのみ、図2に示すように半導体微粒子11
が比較的均一に埋め込まれた状態にコントロールするこ
とができる。
【0016】前記したいずれの方法によっても、得られ
る抗菌・防黴性の塗膜が光触媒作用を発揮するために
は、光触媒作用を有する半導体微粒子の少なくとも一部
が塗膜表面より部分的に露出している状態にすることが
必要である。従って、塗膜中に含有もしくは担持される
半導体微粒子の量的割合は、塗膜全量の0.01〜10
0重量%の範囲が好ましい。0.01重量%より少なく
なると光触媒特性を発揮する半導体微粒子の量が不足
し、ひいては建材の充分な抗菌・防黴性が得られず、一
方、100重量%を超えると抗菌・防黴性の発揮に関し
ては問題ないが、塗膜の密着性が著しく低下するので好
ましくない。特に、半導体微粒子を混合した塗料溶液を
用いて電着塗装法や静電塗装法によって塗装する方法で
は、塗膜中に含有され光触媒特性の発揮に寄与しない半
導体微粒子の量的割合が増えるため、塗料溶液に混合さ
れる光触媒作用を有する半導体微粒子の混合量は、塗料
中の塗料樹脂成分に対し、10重量%以上、100重量
%未満の範囲にあることが好ましい。
【0017】塗膜の膜厚は、数μm〜数十μmが適当で
ある。膜厚が厚い程塗膜の耐候性は増大するが、建材に
穴を開けたり、切断したりする加工時や、施工時に剥離
が起きやすくなる。また、塗膜中に含まれる半導体微粒
子の量も多くなり経済的でない。
【0018】本発明の建材の別の態様は、前記光触媒作
用を有する半導体微粒子を塗膜中に混在させた層と、塗
膜だけからなる層の二層構造の塗膜を有する。二層構造
の塗膜としたことにより、光触媒作用を維持させたまま
含有させる半導体微粒子の量を減少させることが可能と
なる。この二層構造の塗膜を形成する方法としては、前
記したような塗装法により、通常の塗料を用いた塗装の
後に、塗料材料に半導体微粒子を適量混合した塗料溶液
を用いて塗装を行うことによって、二層構造で表層に光
触媒作用を有する半導体微粒子を含んだ塗膜が得られ
る。すなわち、図3に示すように、アルミ合金地金1表
面に形成された陽極酸化皮膜2上に、下層の半導体微粒
子が混在していない通常の塗膜10cと、該塗膜10c
の上にコーティングされた半導体微粒子11が混在した
塗膜10dの二層構造の塗膜が形成されたアルミ建材が
得られる。このような態様においても、下層の塗膜10
cの一部は陽極酸化皮膜2の細孔3内に侵入しているた
め、塗膜10cの陽極酸化皮膜2に対する密着強度は極
めて優れている。
【0019】尚、上記の態様においても、表層に混在さ
せる半導体微粒子の量は、前記態様と同じ理由により、
表層の塗膜10d全量の0.01〜100重量%、好ま
しくは10〜100重量%の範囲にあることが望まし
い。また、表層に使用される塗料と下層を構成するため
に使用される塗料は、それらが二層構造を形成したとき
に充分な密着強度が確保できれば異なるものでもよい
が、密着強度を考慮すると同一種類の塗料を使用するこ
とが好ましい。さらに二層構造の場合の各層の膜厚は、
前記態様と同じ理由により、表層は0.5〜1μm、基
材側の下層は数μm〜数十μm程度が好ましい。
【0020】以上、本発明の建材として二つの基本的態
様を述べたが、さらに抗菌性を向上させる材料として前
記半導体微粒子以外に銅、銀、白金等の抗菌性を有する
金属微粒子を塗膜中に含有もしくは担持(塗膜上にコー
ティング)してもよい。これらの金属は、光の照射がな
くても抗菌性を発揮するので、これらの抗菌性金属を含
有もしくは担持する塗膜では、夜間、蛍光灯の明かりが
消えても抗菌・防黴性が維持されることになる。尚、こ
れら抗菌性金属微粒子の大きさ、形状や塗膜への添加方
法も前述した光触媒作用を有する半導体微粒子の場合と
同様であり、また、その含有量は、一緒に混在する半導
体微粒子との合計量で、それらが含有もしくは担持され
る塗膜全量の0.01〜100重量%、好ましくは10
〜100重量%の範囲にあることが望ましい。
【0021】前記のような抗菌性の金属微粒子を光触媒
作用を有する半導体微粒子と共に含有もしくは担持する
塗膜の構造例を図4乃至図6に示す。図4は、アルミ合
金地金1表面に形成された陽極酸化皮膜2上に、光触媒
作用を有する半導体微粒子11と抗菌性金属微粒子12
が混在した塗膜10eがコーティングされた構造を示し
ている。一方、図5は、塗料溶液のみの塗装によって陽
極酸化皮膜上に形成した塗膜10fに、半導体微粒子1
1及び抗菌性金属微粒子12を吹き付けることによっ
て、これらの微粒子が塗膜の表面部に埋め込まれた状態
を示している。図6は、陽極酸化皮膜2上に、下層の通
常の塗膜10gと、該塗膜10gの上にコーティングさ
れた半導体微粒子11と抗菌性金属微粒子12とが混在
した塗膜10hの二層構造の塗膜が形成された例を示し
ている。
【0022】
【実施例】以下、実施例を示して本発明の効果について
さらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定
されるものでないことはもとよりである。
【0023】実施例1 硫酸電解浴中で膜厚10μmの陽極酸化皮膜を形成した
Al板上に、光触媒であるTiOの微粉末(平均粒径
20nm)をそれぞれ5重量%(試料No.1)、50
重量%(試料No.2)及び100重量%(試料No.
3)混練したアクリル系塗料を用い、塗膜の膜厚が10
μmとなるよう電着塗装を行った。また、比較のため
に、陽極酸化皮膜を形成していないAl板上に、光触媒
であるTiOの微粉末(平均粒径20nm)を50重
量%混練したアクリル系塗料を用い、塗膜の膜厚が10
μmとなるよう電着塗装を行った(試料No.4)。な
お、電着塗装は、所定量のTiO微粉末と塗料を混練
した後、水で希釈し、この塗料中に陽極酸化処理Al板
を浸し、1分間通電せずに塗料とAl板を馴染ませた
後、塗料温度20〜25℃、印加電圧DC200Vの条
件で所定の膜厚が得られるまで電圧を印加して行った。
その後、純水を用い、2回水洗した後、190℃で40
分間焼き付けを行った。
【0024】防黴性評価: 上記実施例1で得られたTiO微粉末を含有する塗膜
をコーティングした各Al板の防黴性を調べるため、温
度25℃、湿度90%に保った大気雰囲気に50日間暴
露した。その結果を表1に示す。表示方法については、
塗装表面に黴の発生が認められなかったものには○、認
められたものには×で表示してある。
【表1】
【0025】密着性評価: 上記実施例1で得られたTiO微粉末を含有する塗膜
をコーティングした各Al板に対し、スコッチテープ試
験(JIS H 8602の5.8項に記載のセロハン
粘着テープを用いた塗膜の付着性試験)を行い、またJ
IS H 8504に規定する方法にしたがってスクラ
ッチ試験を行い、それぞれ塗膜の密着性をテストした。
その結果を表2に示す。
【表2】
【0026】表1からわかるように、試料No.1にお
いては防黴性は不十分であったが、その他の試料No.
2〜4については防黴効果が認められた。これは、試料
No.1においては塗料への光触媒TiOの混入量が
少なかったため、塗膜表面に露出している光触媒が少な
く、それ故、防黴性が不十分であったといえる。その他
の試料については、光触媒の混入量が充分であったた
め、防黴効果が発揮されたものである。また、表2の密
着性試験の結果から明らかなように、試料No.3及び
No.4においては密着性に劣るという結果が得られ
た。試料No.3は、塗料への光触媒TiOの混入量
が多かったために密着性が低下したものである。また、
陽極酸化皮膜が形成されていないAl板上に塗装を行っ
た試料No.4では、陽極酸化皮膜によるアンカー効果
がないために密着性が劣ったものである。陽極酸化皮膜
上にそれぞれ5重量%及び50重量%の光触媒混合量の
塗膜が塗装された試料No.1及び2については、塗膜
の密着強度が向上し、密着性試験においても全く剥離を
生ずることはなかった。
【0027】実施例2 硫酸電解浴中で膜厚10μmの陽極酸化皮膜を形成した
Al板上に、アクリル系塗料のみを用いて塗膜の膜厚が
8μmとなるよう電着塗装を行った後、TiOの微粉
末(平均粒径20nm)を50重量%混練したアクリル
系塗料を用い、塗膜の膜厚が2μmとなるよう電着塗装
を行った。なお、電着塗装の条件及び工程は前記実施例
1の場合と同様である。
【0028】上記実施例2で得られた抗菌・防黴性の塗
膜について、前記と同様にして防黴性及び密着性の評価
を行った。その結果を表3に示す。
【表3】表3に示す結果から明らかなように、二層構造
の塗膜をコーティングしたAl板は、防黴性及び密着性
共に優れ、光触媒混入塗膜と通常の塗膜の間での剥離は
認められなかった。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明のアルミ建材は、
アルミ合金からなる基材の表面に、塗膜とアルミ合金地
金との密着性を強めるアンカー効果を有する陽極酸化皮
膜を形成し、さらにこの陽極酸化皮膜の上に光触媒作用
を有する半導体微粒子あるいはさらに抗菌性金属微粒子
を含有もしくは担持する塗膜をコーティングしたもので
あるため、触媒膜の剥離といった問題もなく、また、
光が当たる材料表面の塗膜には充分な量の半導体微粒子
あるいはさらに抗菌性金属微粒子が存在するため、優れ
た抗菌・防黴作用を示す。従って、本発明によれば、特
別の装置を要することなくメンテナンスフリーであり、
しかも抗菌・防黴性の膜がアルミ合金基材表面に高い密
着強度でコーティングされた自己浄化性のアルミ建材が
提供される。さらに、光触媒作用を有する半導体微粒子
を混在させた塗料を用いることにより、従来の表面処理
工程に何等変更を加えることなく、アルミ合金上に抗菌
・防黴性の膜を形成できる。この方法によれば、複雑な
形状の押出形材からパネル材に至るまで種々の形状の建
材に対して全く同じ処理方法で抗菌・防黴性の膜の形成
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】陽極酸化皮膜上に光触媒作用を有する半導体微
粒子が混在した塗膜がコーティングされたアルミ建材の
構造を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図2】半導体微粒子が塗膜表面部に埋め込まれた状態
の塗膜構造を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図3】陽極酸化皮膜上に、通常の塗膜と、半導体微粒
子が混在した塗膜の二層構造の塗膜がコーティングされ
たアルミ建材の構造を概略的に示す部分拡大断面図であ
る。
【図4】陽極酸化皮膜上に半導体微粒子と抗菌性金属微
粒子が混在した塗膜がコーティングされたアルミ建材の
構造を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図5】半導体微粒子と抗菌性金属微粒子が塗膜表面部
に埋め込まれた状態の塗膜構造を概略的に示す部分拡大
断面図である。
【図6】陽極酸化皮膜上に、通常の塗膜と、半導体微粒
子と抗菌性金属微粒子が混在した塗膜の二層構造の塗膜
がコーティングされたアルミ建材の構造を概略的に示す
部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 アルミ合金地金 2 陽極酸化皮膜 3 細孔 10a,10b,10c,10d,10e,10f,1
0g,10h 塗膜 11 半導体微粒子 12 抗菌性金属微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/18 A61L 2/16 E04F 13/12 E06B 1/00 B01J 35/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金から
    なる基材の表面に陽極酸化皮膜を形成し、さらに該陽極
    酸化皮膜上に光触媒作用を有する半導体微粒子を含有も
    しくは担持した塗膜が形成されてなり、半導体微粒子の
    少なくとも一部が塗膜表面より部分的に露出しているこ
    とを特徴とする建築材料。
  2. 【請求項2】 前記塗膜が、光触媒作用を有する半導体
    微粒子と抗菌性の金属微粒子が混在する塗膜からなる請
    求項1に記載の建築材料。
  3. 【請求項3】 前記塗膜が、半導体微粒子が混在してい
    ない塗膜からなる層の上に光触媒作用を有する半導体微
    粒子が混在する塗膜を形成した二層の塗膜構造からなる
    請求項1に記載の建築材料。
  4. 【請求項4】 前記塗膜が、半導体微粒子が混在してい
    ない塗膜からなる層の上に光触媒作用を有する半導体微
    粒子と抗菌性の金属微粒子が混在する塗膜を形成した二
    層の塗膜構造からなる請求項1に記載の建築材料。
  5. 【請求項5】 前記抗菌性の金属微粒子の少なくとも一
    部が塗膜表面より部分的に露出している請求項2又は4
    に記載の建築材料。
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