JP5874437B2 - 亜鉛めっき鋼板の製造方法及び亜鉛めっき鋼板 - Google Patents

亜鉛めっき鋼板の製造方法及び亜鉛めっき鋼板 Download PDF

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本発明は、空気清浄装置、水質清浄装置、各種家電製品や自動車の内部部品に適用して好適な光触媒機能を有する亜鉛めっき鋼板の製造方法及びこの製造方法によって製造された亜鉛めっき鋼板に関するものである。
近年、鋼板が有する様々な性能に加えて、光触媒を利用して耐汚れ性や脱臭性等の機能を鋼板に持たせる試みがなされている(特許文献1〜4参照)。このような試みの基本となる技術は鋼板表面の塗装材や樹脂被膜等の処理層中に光触媒粒子を分散させておくものであり、塗装材としては樹脂系の塗装材(特許文献1,2参照)や無機−有機複合体(特許文献3参照)が検討されている。
特開2000−14755号公報 特開2001−131768号公報 特開2007−268761号公報 特開2002−53978号公報
Chang-soo Lee 他、Thin Solid Films 518 (2010) 4757-4761
従来技術は、通常の鋼板や亜鉛めっき鋼板の利用方法、すなわち家電製品の外板や建材等を主眼としているため、塗装や樹脂被膜などの処理層を必要とする。しかしながら、塗装材は有機材料を主体とするため、光触媒粒子はそれ自身のマトリックスである有機材料を分解し塗装材の耐久性を低くするため、様々な提案がなされているが長期間の効果持続を期待できない。また、有機材料を用いるため、製造コストが高くなるデメリットもある。
一方、多少の外観や耐候性を犠牲にしても、空気清浄装置内で光触媒鋼板として使用する目的には塗装材を必ずしも必要としない。このため、塗装材を使わず直接光触媒を付与する試みとして、溶融めっきが凝固する前にTiO粒子を吹きつける方法が提案されている(特許文献4参照)。しかしながら、光触媒を直接付与する場合には、設備や製造プロセスに多くの費用を要する。
また、亜鉛めっき鋼板に光触媒作用を付与する目的で、プラズマを利用してTiO薄膜を原子レベルで成膜する方法(plasma-enhanced atomic layer deposition)が提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、この方法は高度な技術を必要とし、コストが高いことから、工業化することは困難である。また、特許文献4及び非特許文献1記載の方法では、原料としてのTiOのコストを必要とし、亜鉛めっきの腐食等によってTiO層が消失すると光触媒効果が低下しまい効果の持続を期待できない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、TiOを使用することなく光触媒機能を有する亜鉛めっき鋼板を低コストで製造可能な亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、TiOを使用することなく高い光触媒機能を有する亜鉛めっき鋼板を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る亜鉛めっき鋼板の製造方法は、鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき処理を施すステップと、亜鉛めっき処理が施された鋼板を陰極として、電解溶液中で陰極と陽極との間に60V以上200V以下の電圧を印加するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の製造方法は、上記発明において、紫外線を照射しながら前記電圧を印加した後の鋼板を水溶液に浸漬し、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粒子を鋼板の表面に付与するステップを含むことを特徴とする。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の製造方法は、上記発明において、亜鉛めっき処理が施された鋼板を陽極酸化することによって、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粒子を鋼板の表面に付与するステップを含むことを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る亜鉛めっき鋼板は、鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき層を備え、平均長さ1000nm以下、平均直径400nm以下、平均長さを平均直径で除算した値が3以上であるロッド状の酸化亜鉛粒子を該亜鉛めっき層の表面の1000nm×1000nmの範囲内に5個以上有することを特徴とする。
本発明に係る亜鉛めっき鋼板の製造方法によれば、TiOを使用することなく光触媒機能を有する亜鉛めっき鋼板を低コストで製造することができる。本発明に係る亜鉛めっき鋼板によれば、TiOを使用することなく高い光触媒機能を有する亜鉛めっき鋼板を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態である亜鉛めっき鋼板の製造処理の流れを示すフローチャートである。 図2は、図1に示すステップS2の処理において用いられる装置の一構成例を示す模式図である。 図3は、亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図であり、図3(a)は図1に示すステップS2の処理前の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図であり、図3(b)はステップS2の処理後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。 図4は、ステップS4(水溶液中で紫外光を照射した)後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。 図5は、ステップS4(陽極酸化を行った)後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。
本発明の発明者らは、簡便、且つ、低コストな方法で亜鉛めっき鋼板に光触媒機能を持たせること及びTiOを使用しないことを目標に鋭意研究開発を行った。その結果、本発明の発明者らは、亜鉛めっき鋼板の表面に微細な突起構造を形成することによって高い光触媒機能が発現することを見出した。また、本発明の発明者らは、亜鉛めっき鋼板の表面に形成される微細なZnO粒子が光触媒機能を発現することを突き止め、前述の微細突起は亜鉛めっき鋼板の表面積を大きくすることによってZnO粒子を細かく、且つ、大量に形成することに寄与していると考えた。
以上の知見から、予め微細なZnO粒子を表面に付与しておくことは、初期から光触媒機能を発現することができるため重要である。大気環境中で放置した際にもZnOが形成される場合がある。しかし大気中のClやSの影響で塩基性塩化亜鉛などが生成し、もしZnOが形成されたとしてもその割合は少なく、また微細になるとは限らないので、大気放置では安定した性能を得ることは困難である。また、ZnO粒子を形成させる方法についても検討し、陽極酸化や紫外線を照射しながら水溶液中に浸漬することが有効であることを見出した。
さらに、本発明の発明者らは、鋼板表面又は亜鉛めっき鋼板の表面にロッド状のZnO粒子を付与することによって、高い光触媒機能が発現することを見出した。また、本発明の発明者らは、亜鉛めっき鋼板又は鋼板表面に微細な突起構造を形成することによって、その効果はさらに高まることを見出した。下地を亜鉛めっき鋼板とした場合には、めっきの耐食性の向上も期待できる。
図1は、本発明の一実施形態である亜鉛めっき鋼板の製造処理の流れを示すフローチャートである。本発明の一実施形態である亜鉛めっき鋼板の製造処理では、始めに、鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき処理を施す(ステップS1)。鋼板としては、通常の軟質鋼板や高強度鋼板等を用途に応じて使用できる。また、冷間圧延材、熱間圧延材、又は鋳造材、及びその加工物(溶接等を含む)を鋼板として用いることもできる。また、鋼種は特に限定されず、炭素鋼、低合金鋼、又は高合金鋼等を利用できる。また、鋼板の形状は特に限定されず、板状、線状、棒状、パイプ状、又は加工部品を利用できる。また、亜鉛めっきには、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、AlやMgを含んだ溶融亜鉛めっきが含まれ、これらは定法で製造される。また、亜鉛めっきの付着量に制限はなく、例えば5g/m以上150g/m以下の範囲内で製造すればよい。亜鉛めっきの付着量が多いほど光触媒鋼板としての寿命が長くなるので有利である。
次に、亜鉛めっき処理が施された鋼板を陰極として、電解溶液中で陰極と陽極との間に60V以上200V以下の電圧を印加することにより、鋼板の表面に微細構造を形成する(ステップS2)。図2は、ステップS2の処理において用いられる装置の一構成例を示す模式図である。具体的には、このステップS2の処理では、図2に示すように、容器1内の電解溶液2中に陽極電極3と被処理材4としての鋼板とを浸漬し、銅ワイヤー等の導線5を介して電源6から陽極3と被処理材4とに電圧を印加することによって、被処理材4の表面に微細構造を形成させる。図3(a)は、ステップS2の処理前の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。図3(b)は、ステップS2の処理後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。図3に示すように、処理により亜鉛めっきの表面に凹凸が形成されていることがわかる。
電解溶液2は、特に限定されないが、電気伝導性を有し、且つ、被処理材4の表面処理を行う際に、被処理材4の表面を過度にエッチングしたり、陽極電極3及び被処理材4の表面に付着や析出したり、沈殿物を形成したりし難い溶液である。このような電解溶液2の電解質としては、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化アンモニウム(NHCl)、硫酸のナトリウム塩、硫酸のカリウム塩、硫酸のアンモニウム塩、硝酸のナトリウム塩、硝酸のカリウム塩、硝酸のアンモニウム塩、クエン酸ナトリウム(NaH(CO(COO)))等のクエン酸のナトリウム塩、クエン酸のカリウム塩、クエン酸のアンモニウム塩、硝酸、及び塩酸等を例示できる。
電解溶液2は、被処理材4の表面を改質可能であれば、任意のpH及び濃度とすることができる。例えば炭酸カリウム水溶液を電解溶液2として用いる場合、その濃度は特に限定されることなく、0.001mol/L以上、より好ましくは0.005mol/L以上とすることができる。電解溶液2の濃度が低すぎると、陽極電極3と被処理材4との間に電圧を印加した際に好適な放電状態を維持することが困難となる場合があるからである。なお、電解溶液2の濃度の上限は特に設けないが、例えば0.5mol/L以下とすることができる。また、電解溶液2のpHは、電極の過度の腐食やエッチングを起こさなければ任意の値とすることができ、例えばpH10〜12とすることができる。
陽極電極3は、放電に際して熱的及び化学的に安定な材料によって形成されている。このような陽極電極3としては、Pt、Ir、黒鉛等を例示できる。被処理材4は電解溶液2中に浸漬されていることが必要で、少なくとも液面から1mmより深くする必要がある。放電条件は、被処理材4の表面に凹凸が形成される部分プラズマ状態から完全プラズマ状態までの範囲を利用できる。但し、めっきが融解する電圧よりも低い条件で実施する必要がある。具体的には、放電を行い、めっきが除去される又は著しく減少していないことを確認することで条件範囲を決定することができ、印加電圧は、60V以上200V以下の範囲が好適である。この電圧範囲で、めっきが除去されないように時間を調整して処理を行う。具体的には、3秒から5分の間を採用することができる。長時間の処理ではめっきが除去されるために好ましくない。
放電電圧は、めっきの表面に微細突起や窪みを形成させる電圧であることが必要条件であり、そのためには60V以上200V以下の範囲にする必要がある。実際に処理する際の電圧は上記電圧の範囲の中より以下の方法で適宜決定できる。下限の電圧未満では表面に微細突起は形成されないため、SEMで微細凹凸の有無を確認することで決定できる。上限の電圧は処理時間との兼ね合いで決定される。すなわち、電圧を高くすると表面の凹凸は大きくなるが、めっきの減少も早くなる。従って、処理にかけられる時間tを決めておき、電圧を変更して時間tだけ放電して、SEMで微細凹凸が形成されていることを確認し、めっきの減少が許容範囲であることで上限を決めることができる。許容範囲は例えば、減少量が30%以下を採用できる。望ましい電圧範囲の中では、印加電圧が大きいほど光触媒性能が高いことがわかっている。従って、最も好ましい条件は好ましい条件範囲のなかの上限に近い印加電圧を選択することである。
次に、電解溶液2中から被処理材4を取り出し、必要に応じて被処理材4を後処理として洗浄する(ステップS3)。なお、洗浄方法は、表面の電解溶液を除去する目的で行い、純水に浸漬したり、スプレーしたりする方法等が挙げられる。純水に限らず、表面の微細構造を壊さなければ、弱酸やアルカリ溶液を用いても良い。その際、電解をかけることも可能である。洗浄後は乾燥させても良いし、亜鉛めっき鋼板の表面にZnO粒子を形成する場合には、特に問題のない場合、乾燥させずに次工程へ進んでもよい。
次に、亜鉛めっき鋼板の表面にZnO粒子を形成する(ステップS4)。ZnO粒子の形成方法としては、水溶液中で紫外光を照射する方法と陽極酸化を行う方法とを例示できる。図4は、水溶液中で紫外光を照射した後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。図4に示すように、亜鉛めっき鋼板の表面が、平均粒子径が1μm以下であり、平均長さ1000nm以下、平均直径400nm以下、平均長さを平均直径で除算した値が3以上であるロッド状(角柱型)の粒子が多数存在しており、亜鉛めっき鋼板の表面の1000nm×1000nmの範囲内に5個以上、前述のロッド状粒子があることがわかる。この亜鉛めっき鋼板について、メチレンブルー脱色反応試験を実施したところ触媒性能を確認できた。
図5は、陽極酸化を行った後の亜鉛めっき鋼板表面の二次電子像を示す図である。図5に示すように、平均粒子径が1μm以下である星状(三角形)の粒子で覆われており、亜鉛めっき鋼板の表面の1000nm×1000nmの範囲内に5個以上、前述の星状粒子があることがわかる。この亜鉛めっき鋼板についても、メチレンブルー脱色反応試験を実施したところ触媒性能を確認できた。これら紫外光照射および陽極酸化といったステップS4の条件は、処理後の鋼板表面を走査電子顕微鏡により観察し、鋼板表面にロット状もしくは星状(三角形の粒子が形成される条件を適宜選択することができる。
紫外線照射は、例えば蒸留水中に試料を浸漬し、波長10nm〜400nmの紫外光を、1時間〜24時間照射すればよい。陽極酸化によりZnO粒子を形成する方法は、被処理材を陽極とし陰極をPtなど安定な材質を用いることで実施できる。溶液としては、液中プラズマ処理で使用したのと同じ溶液(電解溶液2)を使用できる。印加電圧は、60 V〜200 Vを採用でき、30秒〜1時間の処理を施せばよい。適切な処理時間は、処理した表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、ロット状あるいは星状(三角形)のZnOが形成されていること、めっき量が過度に、例えば付着量で30%以上、減少していないことを確認することで決定することができる。
なお、ステップS4の処理後の亜鉛めっき鋼板の表面は白色を呈しているため、外観を重視する用途によっては使用できない場合もあるが、製品内部や裏面、又は空気や水の浄化装置の中の触媒体として使用できる。その場合、UVランプ等の光源と組み合わせて装置に組込めばよい。
〔実施例1〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が90g/mの溶融亜鉛めっきを施しためっき鋼板を作製した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、めっき鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を90V、110V、120Vとした試験片をそれぞれ作製した。放電処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄、乾燥したのち、それぞれ、メチレンブルー脱色反応試験を行なった。また、比較として、めっきの基材に用いた軟質鋼板(めっきなし)および放電処理を行なっていない溶融亜鉛めっき鋼板についても、同様のメチレンブルー脱色反応試験を実施した。評価結果を表1(発明例1〜3、比較例1、3)に示す。
次に、メチレンブルー脱色反応試験について説明する。まず、メチレンブルー脱色反応試験に先立ち、セルに濃度0.1質量%のメチレンブルー水溶液のみを入れ、吸光光度計として日本分光株式会社製、型式:V630を用い、測定開始波長760nm、終了波長260nmの範囲で、上記メチレンブルー水溶液の吸光度を測定した。比較的吸光度の大きい約650nmの吸光ピークにおいて吸光度が最大となる波長(X)における吸光度AXSを求め基準とした。メチレンブルー脱色反応試験は、セルに濃度0.1質量%のメチレンブルー水溶液4mlを入れ、その中に2.5mm x 20mm x 0.8mm(板厚)の試験片(放電処理を行なった後の亜鉛めっき鋼板など)を浸漬し、紫外線(波長365nm)を上記水溶液を入れたセルに照射した。なお、セルを取り囲むようにアルミフォイルを設置し、セル全体に紫外線が照射されるようにした。紫外線を照射して6時間後、あるいは12時間後、セルより試験片を取出し、残った水溶液の吸光度を前述の方法で測定し、前述の波長(X)における吸光度AXPを求めた。そして、メチレンブルー水溶液吸光度変化としてAXP/AXSを求め、メチレンブルーの脱色の程度を評価した。AXP/AXSの値が小さいほど、脱色が進んでおり試験片の光触媒性能が大きいことをあらわす。
〔実施例2〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が20g/mの電気亜鉛めっきを施しためっき鋼板を作製した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、めっき鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を90V、120Vとした試験片をそれぞれ作製した。放電処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄、乾燥したのち、それぞれ、前述のメチレンブルー脱色反応試験を行なった。また、比較として、放電処理を行なっていない電気亜鉛めっき鋼板についても、同様のメチレンブルー脱色反応試験を実施した。評価結果を表1(発明例4,5、比較例2)に示す。
〔実施例3〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を120Vとした試験片を作製した。放電処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄、乾燥したのち、前述のメチレンブルー脱色反応試験を行なった。評価結果を表1(比較例4)に示す。
表1に示すように、本発明例は、基材に用いた軟質鋼板(比較例3、4)や、めっきを施してはあるものの放電処理を行なっていない比較例1、2と比較して、メチレンブルーによる吸光度が低下しており、脱色が進んでいることがわかる。また同じめっき内で比較すると、放電電圧が高い方がより吸光度が低下しており、光触媒性能が高いことがわかる。また、表1には示していないが、合金化溶融亜鉛めっき鋼板についても前述のメチレンブルー脱色反応試験を行ったところ、効果があることが確認された。
〔実施例4〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が90g/mの溶融亜鉛めっきを施した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、めっき鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を90V、110V、120Vの3水準とした。3水準につきそれぞれ、処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄して、乾燥後、蒸留水中で波長365nmの紫外光を6時間照射したのち取り出し乾燥させた。放電電圧を90Vとして処理しためっき鋼板(発明例6)の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果を図4に示す。図4に示すように、鋼板表面にロット状の粒子が形成されていることがわかる。X線回折装置を利用してこの粒子の組成を確認したところ、この粒子はZnOであることが確認された。これら結果は、110V、120Vで処理した試料(発明例7、8)についても同様であった。上記3水準について、前述のメチレンブルー脱色反応試験を行なった結果を表2(発明例6〜8)に示す。発明例6〜8は、6時間でメチレンブルーの吸収が消失しており、放電のみおこなった試料(上記発明例1〜3)と比較して、高い脱色反応を示すことがわかる。
〔実施例5〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が90g/mの溶融亜鉛めっきを施した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、めっき鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を120Vとした。処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄して、乾燥後、試験片を陽極、Ptワイヤーを陰極として0.1mol/lのKCO水溶液中で陽極酸化処理(印加電圧100V、印加時間0.1時間)を行った。この試料について、前述のメチレンブルー脱色反応試験を行なった。結果を表2(発明例9)に示す。発明例9は、6時間でメチレンブルーの吸収が消失しており、放電のみおこなった試料(上記発明例1〜3)と比較して、高い脱色反応を示すことがわかる。
〔実施例6〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が90g/mの溶融亜鉛めっきを施した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、鋼板を陰極、Ptワイヤーを陽極として0.1mol/lのKCO水溶液中で5分間の放電処理を行なった。このとき、放電電圧を120Vとした。処理後の試験片を蒸留水でよく洗浄した。その後、この放電処理した試験片を陽極とし、Ptワイヤーを陰極として0.1mol/lのKCO水溶液に浸漬して印加電圧140Vで10分間、試験片の陽極酸化を実施した。この試験片の表面を走査電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。図5に示すように、鋼板表面に特異な形状が形成されていることがわかる。X線回折装置を利用してこの形状の組成を確認したところ、これはZnOであることが確認された。この試料について、前述と同様のメチレンブルー脱色反応試験を6時間行なったところ、約650nmの吸光度はほぼゼロとなり、陽極酸化を実施していない試料(上記発明例1〜3)と比較して、高い脱色反応を示した。また、前述と同様のメチレンブルー脱色反応試験を24時間行ない、終了後、試料を純水で洗い、再度メチレンブルー脱色反応試験を24時間行なうという手順で、さらに7回のメチレンブルー脱色反応試験を繰り返したところ、性能劣化は認められず、最後のメチレンブルー脱色反応試験においても約650nmの吸光度はほぼゼロとなり、高い脱色反応を示した。すなわち、本発明によるめっき鋼板の光触媒作用は非常に長い持続性を有することが確認された。
〔実施例7〕
厚さ0.8mmの軟質鋼板に定法により目付け量が90g/mの溶融亜鉛めっきを施した。このめっき鋼板から2.5mm×30mmの試験片を切り出し、表面を蒸留水でよく洗浄して、乾燥後、蒸留水中で波長365nmの紫外光を6時間照射したのち取り出し乾燥させた。その後、前述のメチレンブルー脱色反応試験を6時間行なった結果を表2(比較例5)に示す。発明例と比較して、脱色反応は低いことがわかる。また、実施例4〜7に関しては、得られた溶融亜鉛めっき鋼板の表面に観察されたロッド状あるいは星状粒子の形状、大きさ、存在密度を求め、表2に示した。平均粒子径は、得られた溶融めっき鋼板の表面を、図4に示したように走査型電子顕微鏡にて、ロッド状粒子の場合は、観察方向に垂直かそれに近い状態で存在する粒子を任意に20個選び、長軸と短軸の平均値として求めた。その際、平均長さ、平均直径(上から見た幅)を測定し、(平均長さ)/(平均直径)を求めた。また、形状が星状(三角形)のものは、三角形の高さと底辺の平均値として平均粒子径を求めた。ロッド状あるいは星状の粒子の個数は1000nm x 1000nmのエリアを5箇所選び、その中に含まれる(エリアにかかった全ての)粒子の数を数え平均値として求めた。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
1 容器
2 電解溶液
3 陽極電極
4 被処理材(陰極電極)
5 導線
6 電源
7 温度計

Claims (3)

  1. 鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき処理を施すステップと、
    亜鉛めっき処理が施された鋼板を陰極として、電解溶液中で陰極と陽極との間に60V以上200V以下の電圧を印加するステップと、
    前記電圧を印加した後の鋼板を、紫外線を照射しながら水溶液に浸漬し、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粒子を鋼板の表面に付与するステップと、
    を含むことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき処理を施すステップと、
    亜鉛めっき処理が施された鋼板を陰極として、電解溶液中で陰極と陽極との間に60V以上200V以下の電圧を印加するステップと、
    前記電圧を印加した後の鋼板を陽極酸化することによって、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粒子を鋼板の表面に付与するステップと、
    を含むことを特徴とする亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  3. 鋼板の表面及び裏面の少なくとも一方に亜鉛めっき層を備え、平均長さ1000nm以下、平均直径400nm以下、平均長さを平均直径で除算した値が3以上であるロッド状の酸化亜鉛粒子を該亜鉛めっき層の表面の1000nm×1000nmの範囲内に5個以上有することを特徴とする亜鉛めっき鋼板。
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