JP2011056638A - マイクロ・ナノ突起構造体及びその製造方法 - Google Patents

マイクロ・ナノ突起構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、金属銅や銅酸化物に比べ、各種デバイスや機能材料等への適用範囲が一段と広いマイクロ・ナノ突起構造体及びその製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】亜鉛基板と、前記亜鉛基板と一体に成長・形成した亜鉛を主体とする突起とからなるマイクロ・ナノ突起構造体である。その突起は、形状が円錐体及び円柱体を含む横断面丸形であり、突起底面の3μm以下の外径に対する突起高さの比であるアスペクト比が3以上である。また、前記円錐体突起は、先端の曲率半径ρが10nm以下、開き角θが30deg以下である。そして、これらの突起構造体は、真空中で亜鉛基板の表面上に、15〜90degの照射角にて加速電圧2〜10kVのArイオンビームを照射し、励起した亜鉛原子の表面拡散で成長・形成させる。
【選択図】 図11

Description

本発明は、電子的、光学的な用途が期待されるマイクロ・ナノ突起構造体及びその製造方法に関する。
原子や分子を堆積して特別構造の結晶表面や人工格子等のマイクロ・ナノ物質を作成する場合において、適当な条件のもとでは自己組織化とは相違する非平衡反応を伴うボトムアップ的成長が進行する。この反応を利用すると、その基板表面の微小突起や格子欠陥を核として金属や酸化物の針状結晶を成長させることができるようになる。
このような非平衡反応を利用したマイクロ・ナノ突起構造体として、Cu等の金属材料を塑性変形させ、これにArイオンビームを照射して特定の方位に単体としての突起を成長、形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この突起は、集合組織の優先方位の方向に突出しているので、各種デバイスや機能材料へ応用することが期待できる。例えば、特定波長の光や電磁波に対するマイクロ・ナノ・フィルタや導波管路、発光素子、微細な半導体回路、高効率触媒、電子エミッタ、太陽電池、センサ、電界効果トランジスタ等への応用が期待できるのである。
このようなマイクロ・ナノ突起構造体の各種デバイスや機能材料等への適用範囲をさらに広げることを実現するには、マイクロ・ナノ物質を単体として作成することが可能な前記マイクロ・ナノ突起構造体並びにその製造方法をさらに改良し、発展させる必要があった。
そこで、本出願人は、先に、大気中で加熱された金属銅の高エネルギー・ビームの照射領域及び非照射領域の少なくとも一方に成長、形成させてなる銅酸化物の突起構造体を提案した(特許文献2参照)。また、上記突起をチューブ状としたり(特許文献3参照)、屈曲状、湾曲状若しくは螺旋コイル状とし(特許文献4参照)、それらの形態が特異であることに基づき、半導体材料、電気接点材料、触媒材料等の導電材料又は半導体的特性を活かした多肢の用途への使用が期待された。そして、これらの先行技術によれば、念願の単体のマイクロ・ナノ物質を安定して作成することが可能になった。
ところが、それら先行技術に詳述された突起構造体は、主成分が金属銅又は銅酸化物であるものが主体であったので、その用途には限りがあり、用途を一層拡大するには他の物質での突起作成も熱望されている。そして、最近は、酸化亜鉛のマイクロ・ナノ突起構造体に関する研究開発が盛んに行われるようになったが、金属亜鉛を基板として亜鉛のマイクロ・ナノ構造体を製造(例えば、非特許文献1参照)する試みも始まった。この非特許文献1では、基板である亜鉛結晶粒の結晶面によって突起の本数密度(基板単位面積当たりの突起本数で定義する(以下、単に「数密度」という)が異なり、その理由を理論的に結晶面の原子密度の大小にあることを教えている。
しかしながら、本発明者は、実際に突起構造体を形成するには、原子密度以外にも多くの要因(照射条件等)が影響するので、突起構造体の品質を安定した状態で製造するため、さらに詳細な検討を行ったのである。
特開2005−262373号公報(図4) 特開2008−68384号公報 特開2008−94686号公報 特開2008−221439号公報
Applied Surface Science, On-line(2009.September.8) [Fabrication of Well ordered Zn nanorod arrays by ion irradiation method at room Temmperature and effect on crystal orientations]
本発明は、かかる事情に鑑み、亜鉛を主成分とし、金属銅や銅酸化物に比べて各種デバイスや機能材料等への適用範囲が一段と広い単体としてのマイクロ・ナノ突起構造体及びその製造方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。その本発明は、亜鉛基板と、前記亜鉛基板と一体に成長・形成した亜鉛を主体とする突起とからなり、その形状が円錐体及び円柱体を含む横断面丸形であり、突起底面の3μm以下の外径に対する突起高さの比であるアスペクト比が3以上であることを特徴とするマイクロ・ナノ突起構造体である。この場合、好ましくは、前記アスペクト比は5以上が良い。また、前記突起は、先端の曲率半径ρが10nm以下、開き角θが30deg以下であったり、あるいは当該円錐体突起の数密度は、イオンビームの照射で励起される前記亜鉛基板表面の結晶粒の面指数が{0001}で最小、{0001}から面方位が傾いた高指数面、例えば{10−14}近傍で大きくなり、{10−12}近傍で最大としてなるものが良い。
さらに、本発明では、前記円錐体突起の数密度が、0.05本/μm(50,000本/mm)〜6本/μm(6,000,000本/mm)の範囲にあるのが好ましい。
加えて、本発明は、真空中で亜鉛基板の表面上に、15〜90degの照射角にて加速電圧2〜10kVのArイオンビームを照射し、励起した亜鉛原子の表面拡散で前記アスペクト比が3以上である突起を成長・形成させることを特徴とするマイクロ・ナノ突起構造体の製造方法でもある。
本発明によれば、イオンビーム照射で励起された亜鉛原子が非平衡反応でナノからミクロンスケールの円錐体に成長した結果、活性な表面特性と大きな比表面積を持つ亜鉛表面をもたらす。その結果、亜鉛からなる本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体は、金属銅や銅酸化物に比べ、各種デバイスや機能材料等への適用範囲が一段と広くなり、高効率電界電子エミッタ、マイクロX線管、高輝度平面ディスプレイ、発光素子、高効率触媒、太陽電池、センサ、電界効果トランジスタ等に利用されることが期待される。
円錐状から鉛筆状に成長した本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体を模式的に示す図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の表面をGAXRD法で測定した結果を示す図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の高さ、突起底部の外径及びアスペクト比に及ぼすArイオンビームの照射角度の影響を示す図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の高さ、突起底部の直径及びアスペクト比に及ぼすArイオンビームの加速電圧の影響を示す図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の高さ、突起底部の直径及びアスペクト比に及ぼすArイオンビームの照射時間の影響を示す図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の先端形状に及ぼすArイオンビームの加速電圧の影響を示す図であり、(a)は先端の開き角と、(b)は先端の曲率半径と加速電圧との関係を、(c)は該開き角及び曲率半径の定義を明らかにしたものである。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の製造方法を実施した後の試料表面を示す図であり、(a)は突起構造体を有する試料全体のSEM像、(b)は結晶粒上の突起体を拡大したSEM像である。 亜鉛基板の表面に出現する結晶粒の面方位を決める方法を示す図であり、(a)は試料表面のSEM像、(b)はEBSP image及び(c)は各結晶粒のEBSP mapである。 図8のEBSP mapとその面指数をステレオ投影図上で説明する図であり、(a)はEBSP map、(b)は結晶方位の例、及び(c)はその逆極点図をステレオ投影図上で示した図である。 本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体を、基板を予じめ加熱せずにArイオンビーム照射を行って各結晶粒上に成長させた場合における突起体の数密度とその面指数のc軸からの角度との相関をステレオ投影図上で説明する図であり、(a)は突起体数密度とc軸からの傾き角の関係、(b)はc軸からの傾き角の例、及び(c)はその逆極点図をステレオ投影図上で示した図である。 本発明に係る製造方法で得たマイクロ・ナノ突起構造体を実際に示した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
まず、図1に、本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体を模式的に示す。それは、亜鉛の基板1と、その表面上に当該亜鉛基板1と一体に成長・形成した突起2とで構成されている。この突起2は、形状がほぼ円錐体で横断面丸形であるが、円柱体を含んでいても良い。そして、突起2が亜鉛基板1と同質の金属亜鉛であることは、表面構造に敏感なGAXRD(Glancing Angle X−Ray Diffractionの略)法で測定した図2に示すX線回折の結果により確認できる。図2では、X線の照射角度を10degから0.5degまで下げて表面層のみを測定した例が示されているが、存在するのは亜鉛だけでZnOは形成されておらず、基板1を金属銅とした場合にCuOが出現するのとは異なっている。ただし、EPMAによれば酸素原子が少量固溶してはいるが導電性の良い金属亜鉛の基本結晶構造は保たれている。なお、本発明で金属の基板2として亜鉛を選択した理由は、高い防食性と水素過電圧、触媒機能など高機能性、酸化物半導体デバイスの元材料になるというメリットを期待したためである。
本発明では、上記突起2は、その底面の3μm以下の外径(直径ともいう)dに対する突起高さ(長さ)hの比であるアスペクト比A(=h/d)が3以上、好ましくは5以上であるのが良い。ここで、突起底面の直径を3μm以下とするのは、比表面積を増加させ触媒機能を高めると共に、半導体のサブミクロンレベルのデザインルールに近づけるためであり、アスペクト比を3以上とするのは、3未満では電子放出特性等において十分な効果を発揮できず、利用価値が低いからである。アスペクト比に上限を定めないのは、それがいくら大きくても利用上で支障がないからである。
また、本発明では、このような円錐体である突起2は、先端の曲率半径ρが10nm以下、開き角θが30deg以下であるのが好ましい。ここで、先端の曲率半径ρ及び開き角θは、後に示す図6(c)で定義するものである。この先端の曲率半径ρを10nm以下、開き角θを30deg以下とした理由は、例えば電子エミッタとして利用するとき、曲率半径ρが10nmを超えると、電子の放出面積が大きくなり、照射領域に誤差が生じるという問題(デメリット)が生じるし、開き角θが30deg超えでは電界が集中し難いという問題が生じるので、これらの問題を解消するために本発明では特に上記のように数値限定したのである。
さらに、本発明に係る円錐体突起1の数密度は、後に示す図10で明らかなように、イオンビームの照射で励起される前記亜鉛基板1の表面結晶粒の面指数がc面、すなわち{0001}からの傾きα(面の法線であるc軸<0001>からの傾きと同義)が大きくなるほど増加し、{10−14}近傍で大きくなり、{10−12}近傍で最大、{0001}で最小となる。なお、図10(a)に丸囲み3から丸囲み1への変化で示すように、上記傾き角αが38degの状態から47degに増加すると、{10−14}に近くで密になるのは変わりないが、{10−12}ではもっと密になる。この事実も基板1が金属酸化物である場合と異なっている。イオンビームが亜鉛基板1の表面上に照射されると、スパッタ効果で表面の亜鉛原子が活性化され、表面拡散によって亜鉛原子が移動し突起を核生成・成長するが、その核生成と成長状況が結晶粒の面指数によって異なるからである。
具体的には、本発明での数密度は、0.05本/μm(50,000本/mm)〜6本/μm(6,000,000本/mm)の範囲になる。上限が6本/μmとなるのは、それを超えてもArイオンビームの照射力で吹き飛ばされること、及び突起底面の直径により核生成が制限されるからである。
次に、以上に述べた本発明に係るマイクロ・ナノ突起構造体の製造方法は、本発明では、特に限定しないものとする。金属の基板1に、大きな衝撃とスパッタ効果を与えることが可能な高エネルギーを有するビームならいかなるものを照射し、製造しても良いからである。例えば、電子線、レーザービーム、X線、γ線、中性子線、粒子ビームが挙げられる。ただし、現在のところは、経験上の理由でArイオンビームを利用するのが好ましい。具体的には、真空中で亜鉛の平滑な基板1の表面上に、15〜90degの照射角にて加速電圧2〜10kVのArイオンビームを照射し、励起した亜鉛原子の表面拡散で突起を成長・形成させる方法であり、以下にこの方法を詳細に説明する。
まず、本発明では亜鉛の平滑な基板1を採用する。この基板は、金属亜鉛を溶解、鋳造、熱間圧延、熱間鍛造して製造したままのものでも良いが、冷間圧延等の冷間加工を施して自己集合組織化し、塑性歪みを蓄積させたものを用いるのが望ましい。塑性歪みを開放しようとする効果に基づき、上記突起を迅速に成長させることができるからである。また、本発明では、この基板1にArイオンビームを照射し、励起した亜鉛原子の表面拡散で突起を成長・形成させるのであるが、照射を真空下で行うことにする。その理由は、亜鉛が酸化されてZnOとなるのを避けるためである。真空度としては、10−2〜10−3Pa程度の所謂「低真空」で十分である。10−2Paより真空度が低いと、亜鉛の酸化が進行するし、10−3Paを超える比較的高い真空度では、Arイオンビームの照射が難しくなるからである。
さらに、本発明では、Arイオンビームの照射角度を15〜90degに限定すると共に、同時に加速電圧も2〜10kVの範囲とする。このように、照射角度を15〜90degとするのは、照射角度が15deg未満では、基板を形成する金属亜鉛に対して効率良くArイオンビームのエネルギーを供給するのが難しく、望ましい形状(例えば、円錐体状)の突起が形成されないからであり、90degを上限としたのは、それを超えて照射する必要がないからである。また、加速電圧を2〜10kVとするのは、高エネルギービームとしてArイオンビームを照射する場合には、点欠陥などの照射欠陥や注入イオンが導入され難い低加速電圧とするのが好ましいからである。なお、Arイオンビームの電流としては、本発明では特に限定しないが、0.5〜1.5mA程度で十分である。
引き続き、上記した本発明に係る製造方法において、マイクロ・ナノ突起構造体の上記した性状(突起高さ(長さ)、突起底面の外径(以下、単に外径という)、アスペクト比、先端形状、数密度等)がどのように定まるかについて述べる。
マイクロ・ナノ突起構造体の高さ(長さ)及びアスペクト比は、図3に示すように、Arイオンビームの照射角度に依存している。つまり、その外径は照射角度の影響をあまり受けず、照射角度が変化してもほぼ一定であるが、高さ(長さ)は照射角度の増加に対して右下がりの傾向を示している。従って、アスペクト比は高さ(長さ)と同様の傾向があり、照射角度の変更で、マイクロ・ナノ突起構造体のアスペクト比を所望の値にすることが可能である。
また、上記マイクロ・ナノ突起構造体の外径、高さ(長さ)及びアスペクト比は、図4に示すように、Arイオンビームの加速電圧にも依存する。つまり、外径は加速電圧の影響をあまり受けず、加速電圧が変化してもほぼ一定であるが、高さ(長さ)は加速電圧が7kVまではその増加に対して右上がりで、7kVを超えると右下がりに転じる傾向を示している。従って、アスペクト比は高さ(長さ)と同様の傾向があり、加速電圧の変更で、マイクロ・ナノ突起構造体のアスペクト比を所望の値にすることが可能である。
さらに、上記マイクロ・ナノ突起構造体の外径、高さ(長さ)及びアスペクト比は、図5に示すように、Arイオンビームの照射時間の影響も受けるので、突起2の性状を制御するには、照射時間も配慮する必要がある。
加えて、突起構造体の先端形状も、図6(a)及び(b)から明らかなように、加速電圧に依存する。加速電圧が低いと、図6(c)で定義する先端の形状は、開き角θが大きくて曲率半径ρが小さい所謂「太い」突起になるが、加速電圧が7kVを超えると、突起の成長が大きいためか、所謂「先細の」突起になり、その後は加速電圧が増加しても形状は安定している。
さらに加えて、本発明に係る製造方法における重要なポイントは、突起構造体の生成・成長が上記亜鉛基板の表面に出現する亜鉛結晶粒に依存することである。つまり、金属亜鉛の結晶粒は六方晶で形成されているが、その六方晶のいずれの面が基板表面に出現しているかによって、突起1の生成・成長する状況が変化するのである。このことも基板1がCuOの場合と異なっている。その生成・成長状況を試料表面のSEM像(図7(a))及び各結晶粒上に生成した突起体のSEM像(図7(b))で示す。これらの図より、{0001}面では突起の数密度が小さく、{10−14}面近傍で大きいことが明らかである。
そこで、発明者は、このことをもっと詳細に知るため、結晶の方位分布と突起の数密度との関係を調査した。その調査では、基板結晶粒の結晶方位解析にEBSD(Electron Backscattered Diffraction)法を採用した。つまり、結晶粒の球面投影法の一つである逆極点図を利用する方法である。その結果の一例を図8に示すが、前記SEM像(図8(a))を基に、EBSP image像(図8(b))を介してEBSP map(図8(c))を作成するものである。なお、図8(c)に記入した丸囲みの数字及び六角柱状のマークは、図9(c)の逆極点図(亜鉛の標準投影図の一部)を基に定められたものである。この図9より、基板表面の亜鉛結晶の方位が明らかになる。従って、亜鉛基板にArイオンビームを照射し、突起を形成させた後に、これら突起を除去してかかる調査を行えば、結晶の方位分布と突起の数密度との関係が判明するのである。その調査結果で、上記したように、本発明に係る円錐体突起の数密度は、イオンビームの照射で励起される前記亜鉛基板表面の結晶粒の面指数が{0001}近傍で最小、{10−14}近傍で大きくなり、{10−12}近傍で最大となったのである。なお、最大数密度はArイオンによる吹き飛ばし効果、突起体底面及び基板面積で決まるものであり、6本/μm程度である。また、予じめ亜鉛基板にArイオンビームを照射する前に、本調査を行い結晶方位を定めておけば、突起の体数密度を所望値に制御できることになる。
なお、本発明で得られた亜鉛を主体とする突起構造体は酸化処理すると酸化亜鉛となり、成長数密度を制御した酸化亜鉛突起構造体から様々なナノ・マイクロ・デバイスへの応用展開の道が拓けることは明らかである。
(実施例1)
冷間圧延した亜鉛板から幅2mm×長さ10mm×厚さ0.2mmの試料を切り出して基板を製作した。その基板を濃度が1.6モルの塩酸水溶液にて酸洗した後、真空室に装入し、真空度10−3Paに保持すると共に、Arイオンビームを照射角度40deg,加速電圧7kV,電流0.5mAの条件下で照射した。なお、照射時間は30分とした。
その結果、図10に示すような亜鉛による突起構造体が得られた。その突起は、平均して高さ(長さ)が6.55μm、底面の外径が0.66μmであった。また、先端の形状は、平均して曲率半径ρが8nm、開き角θが20degであった。
(実施例2)
冷間圧延した亜鉛板から幅2mm×長さ10mm×厚さ0.2mmの試料を切り出して基板を製作した。その基板を1.6モルの塩酸水溶液にて酸洗した後、大気中で150℃に加熱した。その後直ちに真空室に装入し、真空度10−3Paに保持すると共に、Arイオンビームを照射角度40deg,加速電圧5kV,電流0.5mAの条件下で照射した。なお、照射時間は20分とした。
その結果、平均で高さ(長さ)が2.6μm、底面外径が0.5μm及びアスペクト比が5.2の多数本の円錐体突起が基板上に形成された。該突起は、平均して先端の曲率半径ρが8nm、開き角θが20°であった。そこで、基板上に形成された突起の数密度を調査するため、上記したEBSD法による結晶方位の解析を行ったところ、結晶の方位によって本数密度が変化することが確認できた。ちなみに、{0001}面の数密度は0.06本/μmで、{1−104}面近傍では3本/μmであった。
(実施例3)
実施例2と同様に切り出した試料の亜鉛結晶方位を予かじめ調査した。その結果、{0001}面及び{1−104}面近傍であることがわかった、そこで、当該試料に実施例2と同じ条件でArイオンビームを照射し、突起を形成した。再度上記したEBSD法による結晶方位の解析で行ったところ、結晶の方位によって数密度が変化し、{0001}面の数密度は0.06本/μmで、{1−104}面近傍では3本/μmであり、ほぼ実施例2と同様の結果になることが確認できた。
(実施例4)
実施例2と同様に切り出した試料の亜鉛結晶方位を予かじめ調査した。その結果、{0001}面のc軸からの傾き角αが47degと大きい{10−12}面近傍であることが判明した。そこで、この面に、実施例2と同じ条件でArイオンビームを照射し、突起を形成した。そして、得られた突起の数密度を調査したところ、5本/μmでと非常に高密度であることがわかった。
1 亜鉛基板
2 突起
3 Arイオンビーム

Claims (5)

  1. 亜鉛基板と、前記亜鉛基板と一体に成長・形成した亜鉛を主体とする突起とからなり、その形状が円錐体及び円柱体を含む横断面丸形であり、突起底面の3μm以下の外径に対する突起高さの比であるアスペクト比が3以上であることを特徴とするマイクロ・ナノ突起構造体。
  2. 前記円錐体突起は、先端の曲率半径ρが10nm以下、開き角θが30deg以下であることを特徴とする請求項1記載のマイクロ・ナノ突起構造体。
  3. 前記円錐体突起の数密度は、イオンビームの照射で励起される前記亜鉛基板表面の結晶粒の面指数が{0001}で最小で、{10−14}近傍で大きくなり、{10−12}近傍で最大としてなることを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロ・ナノ突起構造体。
  4. 前記円錐体突起の数密度が、0.05本/μm(50,000本/mm)〜6本/μm(6,000,000本/mm)の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロ・ナノ突起構造体。
  5. 真空中で亜鉛基板の表面上に、15〜90degの照射角にて加速電圧2〜10kVのArイオンビームを照射し、励起した亜鉛原子の表面拡散で前記アスペクト比が3以上である突起を成長・形成させることを特徴とするマイクロ・ナノ突起構造体の製造方法。
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