JPH10195494A - 低密度石鹸の製造方法 - Google Patents

低密度石鹸の製造方法

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JPH10195494A
JPH10195494A JP35912296A JP35912296A JPH10195494A JP H10195494 A JPH10195494 A JP H10195494A JP 35912296 A JP35912296 A JP 35912296A JP 35912296 A JP35912296 A JP 35912296A JP H10195494 A JPH10195494 A JP H10195494A
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武 長谷川
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和彦 早川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】空洞や凹みがなく、表面がなめらな見掛け比重
が1未満の低密度石鹸を、歩留りを悪化させることなく
製造できる方法を提供する。 【解決手段】気泡群を含有する溶融石鹸4を成形型1の
キャビティ2内で固化させるに際し、そのキャビティ2
を気密状に密閉する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、見掛け比重が1未
満であって内部に気泡群が分散する低密度石鹸を製造す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】所望形状
の石鹸を製造するため、溶融石鹸を成形型のキャビティ
内で固化させることが行われている。例えば、特開昭5
9‐172599号公報は、溶融石鹸を、成形型のキャ
ビティだけでなく、そのキャビティと溶融石鹸注入口と
の間の注入通路に注入した後に固化させ、その注入通路
において固化した部分を切断除去することで、所望形状
の石鹸を得る方法を開示する。米国特許3149188
号公報は、溶融石鹸を、包装容器に直接注入後に、その
注入口をシールし、しかる後に溶融石鹸を固化する方法
を開示する。
【0003】しかし、上記何れの方法も低密度石鹸では
なく、通常の石鹸を製造する方法に関するものであっ
た。また、米国特許3149188号公報に開示された
方法では、後述の第1比較例に示すように、固化時の収
縮により石鹸が容器の内面から離反し、表面が粗くな
り、或いは空気が浸入し空洞を内包するという問題があ
る。低密度石鹸においては、通常の石鹸に比べて収縮量
が大きいため、この問題は顕著になる。
【0004】特開平4‐218599号公報は、気泡群
を含有する溶融石鹸を型枠に注入して冷却することで固
化させ、しかる後に切断する方法を開示する。また、そ
の特開平4‐218599号公報は、気泡群を含有する
溶融石鹸を包装容器に直接注入して冷却することで、そ
の包装容器に成形型を兼用させ、固化する方法を開示す
る。
【0005】しかし、低密度石鹸においては、通常の石
鹸に比べて収縮量が大きいため、固化された石鹸に空洞
や凹みが発生したり、成形型の内面から石鹸が離反して
表面が粗くなったり、不均一に変形し易い。これを防止
するため、そのキャビティへの注入口の開口面積を大き
くし、その注入口とキャビティとの間の注入通路に余分
に注入する溶融石鹸量を多くする必要がある。しかし、
その注入通路において固化する余分な石鹸量が多くなる
ため、歩留りが著しく悪くなる。
【0006】本発明は、上記問題を解決することのでき
る低密度石鹸の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、気泡群を含有
する溶融石鹸を成形型のキャビティ内で固化させる工程
を有する見掛け比重が1未満の低密度石鹸の製造方法に
おいて、その固化工程を、気密状に密閉されたキャビテ
ィ内で行うことを特徴とする。これにより、成形型に余
分に注入する溶融石鹸の量を低減し、あるいはなくして
も、その溶融石鹸を固化させる際にキャビティ内に外部
から空気が入り込むのを阻止できるので、固化された石
鹸に空洞や凹みが発生するのを阻止できる。また、固化
された低密度石鹸から不要な突起として残る部分が全く
ないか、あるいは極僅かで済む。そのため、突起を切り
取る工程が不要であり、もし切り取るにしてもロスが少
なくて済む。また、その固化工程においてキャビティが
気密状に密閉されることで、石鹸の収縮により、成形型
の剛性が大きい場合は石鹸が包含する気泡の内圧が減少
し、また、成形型の剛性が小さい場合は石鹸の収縮に伴
い成形型が変形する。これにより、何れの場合も成形型
の内面から石鹸が離反するのを阻止でき、且つ、外部か
ら空気の浸入を阻止して石鹸に空洞を形成することを防
止でき、固化された石鹸の表面が粗くなるのを防止して
滑らかにできる。
【0008】その成形型として、その固化工程において
変形することのない剛性を有するものを用いるのが好ま
しい。この場合、固化工程において石鹸が包含する気泡
の内圧が減少するのみで、石鹸の体積を変化させず、キ
ャビティ形状に対応する所望形状の低密度石鹸を成形で
きる。
【0009】その成形型として、前記固化工程における
石鹸の収縮に伴いキャビティ容積が減少するように、少
なくとも一部が変形可能なものを用いるのが好ましい。
この場合、固化工程における石鹸の収縮に伴い成形型が
変形するので、成形型の内面から石鹸が離反するのを阻
止でき、且つ、外部から空気の浸入を阻止して石鹸に空
洞を形成することを防止でき、石鹸の表面が粗くなるの
を防止できる。また、石鹸が収縮しても成形型の内外圧
力差が大きくならないため、キャビティを気密状に密閉
するために耐圧性の大きな栓を用いる必要がなく、簡単
な構成で容易に密閉できる。さらに、成形型が変形可能
であることにより、変形不能な型であれば型抜きできな
い形状の石鹸でも成形でき、成形型を厚くして剛性を大
きくする必要がないことから、材料コストを低減でき
る。その成形型が固化工程において予め定めた形状に変
形するように、その成形型の変形し易さを場所により異
なったものにすることで、所望形状の低密度石鹸を成形
できる。
【0010】その溶融石鹸を、キャビティだけでなく、
溶融石鹸注入口とキャビティとの間の注入通路に注入
し、その注入通路における溶融石鹸を固化させることで
キャビティを気密状に密閉し、しかる後にキャビティに
おける溶融石鹸を固化させるのが好ましい。これによ
り、石鹸自体を栓としてキャビティを気密状に密閉でき
るので、専用の栓を用いる必要がなく、工程を簡単化で
きる。
【0011】その成形型として、前記固化工程において
変形することのない剛性を有するものを用い、その溶融
石鹸を、キャビティだけでなく、溶融石鹸注入口とキャ
ビティとの間の注入通路に注入し、その注入口を閉鎖す
る栓により注入通路における溶融石鹸をキャビティ内に
押し込むことで、キャビティ内の溶融石鹸を加圧した状
態でキャビティを気密状に密閉し、しかる後にキャビテ
ィにおける溶融石鹸を固化させるのが好ましい。これに
より、外部からの空気の浸入を阻止し空洞を内包しない
キャビティ形状に対応する所望形状の低密度石鹸を成形
でき、単にキャビティ内を密閉系にする場合に比べて成
形型の強度を低く設定でき、しかも、そのキャビティ内
に押し込む注入通路における溶融石鹸の量に応じて、固
化される低密度石鹸の見掛け比重を調整できる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1の(1)〜(4)を参照して
本発明の第1実施形態を説明する。
【0013】図1の(1)に示す成形型1は、一対の左
右半割片1a、1bを適宜手段により分離可能に接合す
ることにより構成され、内部にキャビティ2と、このキ
ャビティ2に連なる溶融石鹸の注入通路3とを有し、そ
の注入通路3の一端が注入口3aとされている。この成
形型1として、後述の溶融石鹸の固化工程において変形
することのない剛性を有するものが用いられる。図1の
(2)に示すように、その注入口3aから注入通路3を
介してキャビティ2に、略均一に分散する気泡群を含有
する溶融石鹸4が注入される。その気泡群を含有する溶
融石鹸は従来と同様に製造することができ、その気泡群
を構成するガスとして空気等を用いることができる。本
実施形態では、キャビティ2にのみ溶融石鹸4が注入さ
れ、注入通路3には溶融石鹸4は注入されないが、多少
の溶融石鹸4が注入通路3に注入されても従来よりは歩
留りを向上できる。次に、図1の(3)に示すように、
その注入口3aを栓5により閉鎖することで、キャビテ
ィ2内を気密状に密閉する。その栓5は、例えば注入通
路3に圧入される硬質ゴムにより構成でき、本実施形態
では、下記の溶融石鹸4の固化工程において変形するこ
とのない剛性を有するものが用いられる。次に、その気
密状に密閉されたキャビティ2内で溶融石鹸4を固化さ
せる。その固化のため、溶融石鹸4を強制冷却してもよ
いし、自然放冷してもよい。その固化が完了したなら
ば、図1の(4)に示すように半割片1a、1bを分離
し、成形された低密度石鹸4′を取り出す。この固化さ
れた低密度石鹸4′の見掛け比重は1未満であればよい
が、0.1〜0.9の範囲になるように調整されるのが
好ましい。
【0014】上記第1実施形態によれば、成形型1に余
分に溶融石鹸4を注入することなく、その溶融石鹸4を
固化させる際にキャビティ2内に外部から空気が入り込
むのを阻止できるので、固化された石鹸4′に空洞や凹
みが発生するのを阻止できる。また、固化された石鹸
4′から不要な突起として残る部分が全くないか、ある
いは極僅かで済む。そのため、突起を切り取る工程が不
要であり、もし切り取るにしてもロスが少なくて済む。
また、その固化工程においてキャビティ2が気密状に密
閉されることで、石鹸4の収縮により石鹸4が包含する
気泡の内圧の減少のみで、成形型1の内面から石鹸4が
離反するのを阻止できる。これにより、固化された石鹸
4′の表面が粗くなるのを防止して滑らかにできる。さ
らに、その成形型1は固化工程において変形することの
ない剛性を有するので、キャビティ2形状に対応する所
望形状の低密度石鹸4′を成形できる。
【0015】図2の(1)〜(4)は本発明の第2実施
形態を示す。上記第1実施形態との相違は、図2の
(2)に示すように、溶融石鹸4をキャビティ2だけで
なく、注入通路3にも注入し、次に、図2の(3)に示
すように、注入口3aを閉鎖する栓5により注入通路3
における溶融石鹸4をキャビティ2内に押し込むこと
で、キャビティ2内の溶融石鹸4を加圧した状態でキャ
ビティ2を気密状に密閉する点にある。これにより、キ
ャビティ2内に押し込む注入通路3における溶融石鹸4
の量に応じて、固化される低密度石鹸4′の見掛け比重
を調整できる。他は第1実施形態と同様で、同一部分は
同一符号で示す。
【0016】図3の(1)、(2)は、上記第1実施形
態あるいは第2実施形態において用いられる成形型1の
第1変形例を示す。この第1変形例の成形型11は、一
対の左右半割片11a、11bを、板状ガスケット11
cを介して分離可能に接合することで構成され、内部に
複数のキャビティ12と、各キャビティ12に連なる溶
融石鹸の注入通路13とを有し、各注入通路13の一端
が注入口13aとされている。互いに連結板15aによ
り連結される複数のゴム製の栓15それぞれが、各注入
通路13に圧入されることで、各キャビティ12が気密
状に閉鎖される。両半割片11a、11bは金属から形
成され、ガスケット11cと栓15は硬質ゴムから形成
され、溶融石鹸の固化工程において変形することのない
剛性を有するものとされている。一方の半割片11aに
はダボ11a′が形成され、そのダボ11a′が嵌め合
わされるダボ穴(図示省略)が他方の半割片11bに形
成されることで、両半割片11a、11bの互いに対す
る位置決めが可能とされている。両半割片11a、11
bの接合力は、金属製のクリップ11dの弾力により付
与される。なお、各半割片11a、11bの外面には、
そのクリップ11dを嵌まり込ませる凹部11″が形成
される。
【0017】図4の(1)、(2)は、上記第1実施形
態あるいは第2実施形態において用いられる成形型1の
第2変形例を示す。この第2変形例の成形型21は製品
容器を兼用するもので、一対の上下半割片21a、21
bを分離可能に接合することで構成され、内部にキャビ
ティ22と、そのキャビティ22に連なる溶融石鹸の注
入通路23とを有し、その注入通路23の一端が注入口
23aとされている。その上側半割片21aの下端周縁
部と下側半割片21bの上端周縁部とはインロー嵌合さ
れることで、両半割片21a、21b間が気密状にシー
ルされる。両半割片21a、21bはシュリンクテープ
21cにより被覆されることで、搬送途中或いは加圧し
た状態で溶融石鹸を注入した場合において分離するのが
防止されている。その注入通路33は、上側半割片31
aの上面中央から上方に延びる円筒部により構成され
る。その注入口23aは、注入通路23に圧入されるゴ
ム製の栓25により閉鎖され、これによりキャビティ2
2が気密状に閉鎖される。両半割片21a、21bは硬
質の合成樹脂から形成され、栓25は硬質ゴムから形成
され、溶融石鹸4の固化工程において変形することのな
い剛性を有するものとされている。
【0018】図5は上記第1実施形態において用いられ
る成形型1の第3変形例を示す。この第3変形例の成形
型31は製品容器を兼用するもので、一対の上下半割片
31a、31bを分離可能に接合することで構成され、
内部にキャビティ32と、そのキャビティ32に連なる
溶融石鹸の注入通路33とを有し、その注入通路33の
一端が注入口33aとされている。その上側半割片31
aの下端周縁部と下側半割片31bの上端周縁部とはイ
ンロー嵌合されることで、両半割片31a、31b間が
気密状にシールされる。その注入通路33は、第2変形
例の注入通路23よりも短いものとされている。なお、
その注入通路33をなくし、上側半割片31aに注入口
33aを直接に形成してもよい。その注入口33aは、
上側半割片31aを覆う可撓性を有するシート35によ
り閉鎖され、これにより、キャビティ32が気密状に閉
鎖される。そのシート35は、プラスチックフィルムや
金属箔により構成できる。そのシート35の外周縁が、
下側半割片31bから突出するフランジ31b′に接着
されることで、両半割片31a、31bは搬送途中にお
いて分離するのが防止されている。両半割片31a、3
1bは硬質の合成樹脂から形成され、シート35は張力
をかけられることで、溶融石鹸4の固化工程において変
形することのない剛性を有するものとされている。
【0019】図6の(1)〜(4)は本発明の第3実施
形態を説明する。上記第1実施形態との相違は、図6の
(2)に示すように、溶融石鹸4をキャビティ2だけで
なく、注入通路3にも注入し、次に、図6の(3)に示
すように、その注入通路3における溶融石鹸4を固化さ
せることで、栓を用いることなくキャビティ2を気密状
に密閉し、しかる後にキャビティ2における溶融石鹸4
を固化させる点にある。他は第1実施形態と同様で同一
部分は同一符号で示す。これにより、石鹸自体を栓とし
てキャビティ2を気密状に密閉できるので、専用の栓を
用いる必要がなく、工程を簡単化できる。その注入通路
3における溶融石鹸4を、キャビティ2における溶融石
鹸4よりも先に固化させる方法は特に限定されない。例
えば、注入通路3の流路面積を小さくすることで、注入
通路3における溶融石鹸4の熱容量をキャビティ2にお
ける溶融石鹸4の熱容量よりも小さくすれば、均一に冷
却しても先に注入通路3における溶融石鹸4を先に固化
できる。また、成形型1における注入通路3の構成部分
をキャビティ2の構成部分よりも熱伝導の良い材質で作
ったり、注入通路3の構成部分の肉厚をキャビティ2の
構成部分の肉厚よりも薄くしたり、注入通路3の構成部
分の周囲に放熱フィンを設けることで、注入通路3にお
ける放熱性をキャビティ2よりも向上してもよい。ま
た、注入通路3の構成部分にのみ冷却用ジャケットを設
けたり、予め冷却されたものを接触させたり、冷風を当
てることで、溶融石鹸4の注入前に冷却してもよい。あ
るいは、注入通路3の構成部分以外を、保温材で覆う等
して放熱性を低下させてもよい。なお、注入通路3の内
周に凹凸を形成し、その注入通路3において先に固化し
た石鹸がキャビティ2内に引き込まれるのを防止するよ
うにしてもよい。
【0020】図7の(1)〜(5)を参照して本発明の
第4実施形態を説明する。
【0021】図7の(1)に示す成形型51は、一対の
左右半割片51a、51bを適宜手段により分離可能に
接合することにより構成され、内部にキャビティ52
と、このキャビティ52に連なる溶融石鹸の注入通路5
3とを有し、その注入通路53の一端が注入口53aと
されている。この成形型51として、後述の溶融石鹸の
固化工程において、石鹸の収縮に伴いキャビティ容積が
減少するように少なくとも一部が変形可能なものが用い
られる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
カーボネート、PET等の可撓性を有する合成樹脂、可
撓性を有する薄板状金属、可撓性を有するゴム等に成形
型51が形成される。その左右半割片51a、51bの
接合は、剥離可能な程度に例えば接着剤により接着した
り、ヒートシールにより接着することで行える。図7の
(2)に示すように、その注入口53aから注入通路5
3を介してキャビティ52に、略均一に分散する気泡群
を含有する溶融石鹸4が注入される。本実施形態では、
注入通路53にも多少の溶融石鹸4が注入されるが、従
来よりは歩留りを向上できる。もちろん、キャビティ2
にのみ溶融石鹸4が注入されてもよい。次に、図7の
(3)に示すように、その注入口53aを栓55により
閉鎖することで、キャビティ52内を気密状に密閉す
る。その栓55は、例えば注入通路3に圧入される硬質
ゴムにより構成でき、下記の溶融石鹸4の固化工程にお
いて変形することのない剛性を有するものが用いられる
が、その固化工程において変形するものが用いられても
よい。次に、図7の(4)に示すように、その気密状に
密閉されたキャビティ52内で溶融石鹸4を固化させ
る。その固化のため、溶融石鹸4を強制冷却してもよい
し、自然放冷してもよい。この固化工程における石鹸の
収縮に伴い、成形型51はキャビティ容積が減少するよ
うに変形する。本実施形態では、その成形型51が上下
間中央において絞られた瓢箪形状になるように、その成
形型51の変形し易さは上下間中央において他の場所よ
りも大きくされている。なお、その固化工程における成
形型の変形後の形状は特に限定されず、予め定めた所望
の形状になるように、その成形型の変形し易さを場所に
より異なったものにすればよい。その変形し易さを場所
により異なったものにするための構成は特に限定されな
い。例えば、成形型の肉厚を場所により異なったものに
してもよく、この場合、変形を大きくする部分は薄肉に
すればよい。また、成形型の材質を場所により異なった
ものにしてもよく、この場合、変形を大きくする部分は
周囲部分よりも変形しやすい材質とすればよく、例え
ば、変形を大きくする部分をゴム膜により構成し、周囲
部分を硬質の合成樹脂等で構成する。また、成形型の形
状により変形し易さを場所により異なったものにしても
よく、例えば、成形型が肉厚一定で同一材質からなる偏
平なものであれば、中央部は周囲部よりも変形し易くな
る。その固化が完了したならば、図7の(5)に示すよ
うに半割片51a、51bを分離し、成形された低密度
石鹸4′を取り出す。この固化された低密度石鹸4′の
見掛け比重は1未満であればよいが、0.1〜0.9の
範囲になるように調整されるのが好ましい。
【0022】上記第4実施形態によれば、成形型51に
溶融石鹸4を余分に注入することなく、その溶融石鹸4
を固化させる際にキャビティ52内に外部から空気が入
り込むのを阻止できるので、固化された石鹸4′に空洞
や凹みが発生するのを阻止できる。また、固化された石
鹸4′から不要な突起として残る部分が全くないか、あ
るいは極僅かで済む。そのため、突起を切り取る工程が
不要であり、もし切り取るにしてもロスが少なくて済
む。また、その固化工程においてキャビティ52が気密
状に密閉され、石鹸の収縮に伴い成形型51が変形する
ことで、成形型51の内面から石鹸4が離反するのを阻
止できる。これにより、固化された石鹸4′の表面が粗
くなるのを防止して滑らかにできる。また、石鹸が収縮
しても成形型51の内外圧力差が大きくならないため、
キャビティ52を気密状に密閉するために耐圧性の大き
な栓を用いる必要がなく、簡単な構成で容易に密閉でき
る。さらに、成形型51が変形可能であることにより、
変形不能な型であれば型抜きできない形状の石鹸でも成
形でき、成形型51を厚くして剛性を大きくする必要が
ないことから、材料コストを低減できる。さらに、その
成形型51の変形し易さを場所により異なったものにす
ることで、所望形状の低密度石鹸4′を成形できる。
【0023】図8の(1)〜(4)は本発明の第5実施
形態を説明する。上記第4実施形態との相違は、図8の
(2)に示すように、溶融石鹸4をキャビティ52だけ
でなく、注入通路53にも注入する。次に、図8の
(3)に示すように、その注入通路53における溶融石
鹸4を固化させることで、栓を用いることなくキャビテ
ィ52を気密状に密閉する。しかる後にキャビティ52
における溶融石鹸4を固化させる。また、注入通路53
の内周に凹凸53′を形成し、その注入通路53におい
て先に固化した石鹸がキャビティ52内に引き込まれる
のを防止している。他は第4実施形態と同様で同一部分
は同一符号で示す。これにより、第4実施形態と同様の
効果を奏することができるだけでなく、第3実施形態と
同様に、石鹸自体を栓としてキャビティ52を気密状に
密閉できるので、専用の栓を用いる必要がなく、工程を
簡単化できる。その注入通路53における溶融石鹸4
を、キャビティ52における溶融石鹸44よりも先に固
化させる方法は特に限定されず、第3実施形態に例示し
た方法を採用できる。
【0024】なお、本発明は上記実施形態に限定されな
い。例えば、成形型の形状は任意に定めることができ、
また、成形型を3つ以上の部材から構成するようにして
もよい。
【0025】
【比較例】図9は第1比較例を示す。第1実施形態との
相違は、気泡群を含有しない通常の石鹸を、第1実施形
態と同様に製造する点にある。この場合、溶融石鹸を気
密状に密閉されたキャビティ2内で固化しても、固化時
の収縮により、石鹸104′は成形部1の内面から離反
し、石鹸104と成形型1の内面との間に真空部Sが生
じる。図10は第2比較例を示す。第3実施形態との相
違は、気泡群を含有しない通常の石鹸を、第3実施形態
と同様に製造する点にある。この場合、溶融石鹸を気密
状に密閉されたキャビティ2内で固化すると、固化され
た石鹸104′は成形型1の内面から離反し、注入通路
3において固化した石鹸はキャビティ2内に引き込まれ
る。これは、通常の石鹸は気泡群を含有しないため、固
化工程において低密度石鹸のような気泡内圧の減少作用
がなく、固化する際の収縮力が低密度石鹸よりも大きく
なり、成形型1の内面から固化された石鹸が離反するこ
とによる。この場合、固化された石鹸104′の表面が
粗くなるのを防止できず、また、所望形状に成形するこ
ともできない。なお、第1形態と同一部分は同一符号で
示す。
【0026】
【発明の効果】本発明方法によれば、空洞や凹みがな
く、表面がなめらかで、所望形状の低密度石鹸を歩留り
を悪化させることなく製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)〜(4)は本発明の第1実施形態の低密
度石鹸の製造手順を示す図
【図2】(1)〜(4)は本発明の第2実施形態の低密
度石鹸の製造手順を示す図
【図3】本発明の第1変形例の成形型の(1)は分解斜
視図、(2)は組立状態での斜視図
【図4】本発明の第2変形例の成形型の(1)は断面
図、(2)は斜視図
【図5】本発明の第3変形例の成形型の断面図
【図6】(1)〜(4)は本発明の第3実施形態の低密
度石鹸の製造手順を示す図
【図7】(1)〜(5)は本発明の第4実施形態の低密
度石鹸の製造手順を示す図
【図8】(1)〜(4)は本発明の第5実施形態の低密
度石鹸の製造手順を示す図
【図9】第1比較例に係る石鹸製造方法を示す断面図
【図10】第2比較例に係る石鹸製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1、11、21、31、51 成形型 2、12、22、32、52 キャビティ 3、13、23、33、53 注入通路 3a、13a、23a、33a、53a 注入口 4 溶融石鹸 4′ 低密度石鹸 5、15、25、55 栓 35 シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川元 賢一郎 和歌山県和歌山市湊1334番地花王株式会社 研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気泡群を含有する溶融石鹸を成形型のキ
    ャビティ内で固化させる工程を有する見掛け比重が1未
    満の低密度石鹸の製造方法において、 その固化工程を、気密状に密閉されたキャビティ内で行
    うことを特徴とする低密度石鹸の製造方法。
  2. 【請求項2】 その成形型として、その固化工程におい
    て変形することのない剛性を有するものを用いる請求項
    1に記載の低密度石鹸の製造方法。
  3. 【請求項3】 その成形型として、その固化工程におけ
    る石鹸の収縮に伴いキャビティ容積が減少するように、
    少なくとも一部が変形可能なものを用いる請求項1に記
    載の低密度石鹸の製造方法。
  4. 【請求項4】 その成形型が固化工程において予め定め
    た形状に変形するように、その成形型の変形し易さを場
    所により異なったものにする請求項3に記載の低密度石
    鹸の製造方法。
  5. 【請求項5】 その溶融石鹸を、キャビティだけでな
    く、溶融石鹸注入口とキャビティとの間の注入通路に注
    入し、その注入通路における溶融石鹸を固化させること
    でキャビティを気密状に密閉し、しかる後にキャビティ
    における溶融石鹸を固化させる請求項1〜4の何れかに
    記載の低密度石鹸の製造方法。
  6. 【請求項6】 その成形型として、その固化工程におい
    て変形することのない剛性を有するものを用い、その溶
    融石鹸を、キャビティだけでなく、溶融石鹸注入口とキ
    ャビティとの間の注入通路に注入し、その注入口を閉鎖
    する栓により注入通路における溶融石鹸をキャビティ内
    に押し込むことで、キャビティ内の溶融石鹸を加圧した
    状態でキャビティを気密状に密閉し、しかる後にキャビ
    ティにおける溶融石鹸を固化させる請求項1に記載の低
    密度石鹸の製造方法。
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