JPH10191964A - 新規酵母及び該酵母を含有する生地 - Google Patents
新規酵母及び該酵母を含有する生地Info
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- JPH10191964A JPH10191964A JP9002467A JP246797A JPH10191964A JP H10191964 A JPH10191964 A JP H10191964A JP 9002467 A JP9002467 A JP 9002467A JP 246797 A JP246797 A JP 246797A JP H10191964 A JPH10191964 A JP H10191964A
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Abstract
酵母を提供すること。 【解決手段】 高いマルトース発酵力と高い耐糖性とを
有する酵母、好ましくは、さらに中種後の生地での耐糖
性が高い性質を有する酵母、サッカロミセス・セレビシ
エCFB27-1が提供され、上記課題が解決される。
Description
この酵母を有する生地に関する。
えないパン(リーンなパン、例えば、フランスパン)か
ら、糖を小麦粉に対して30%程度添加するパン(リッチ
なパン、例えば、菓子パン)まで、千差万別である。
は発酵力である。この酵母の発酵特性は糖濃度の影響を
受け易い。糖を全く加えないリーンな生地に用いる酵母
の発酵特性と糖を小麦粉に対して30%添加するリッチな
生地に用いる酵母の発酵特性とは、全く異なる。例え
ば、糖を全く加えないリーンな生地で発酵する酵母は、
糖を小麦粉に対して30%添加するリッチな生地ではほと
んど発酵しない。従って、この酵母は耐糖性がないとい
える。他方で、糖を小麦粉に対して30%添加するリッチ
な生地で発酵する酵母(耐糖性がある酵母)は、糖を全
く加えない生地での発酵は抑制されるという特性があ
る。
のパンの製造に適する酵母を選択する必要がある。つま
り、糖を全く加えないフランスパンを作るにはリーン用
の酵母を、そして、糖を大量に添加する菓子パンを作る
にはリッチ用の酵母を使用するという、用途に応じた使
い分けが必要であり、製パン工程でのネックの一つにな
っている。
ト(直捏)法と中種法の2種類の方法でパンが製造され
ている。ストレート法と中種法とは、ストレート法での
発酵が1段階のみであるのに対し、中種法では、中種発
酵、本捏後の発酵と2段階である点で異なる。
料の砂糖、食塩、油脂、イーストなどに水を加え、ミキ
シングして生地にしてから、1段階のみの発酵を行い、
成型、ホイロ、焼成してパンにする方法である。
フードに水を加え、ミキシングして生地にし(これを中
種生地という)、一定時間発酵させ(これを中種発酵と
いう)、さらに、小麦粉や砂糖、食塩、油脂、必要に応
じイーストなどを追加してミキシングし直し(これを本
捏という)、さらに発酵させ、成型、ホイロ、焼成して
パンにする方法である。なお、中種生地に全く糖を加え
ない製パン方法を無糖中種法といい、食パン等で一般的
に用いられている。中種生地に糖を加える製パン方法を
加糖中種法といい、菓子パンなど糖の多いリッチなパン
に一般的によく用いられている。
法を用いるのが一般的である。中種での発酵によって、
生地の熟成がより進むために生地の物性が安定し、かつ
機械耐性も高まるからである。ストレート法では、中種
法とは対照的に、生地の熟成が進みにくい為、パン生地
の機械耐性が低く、できたパンの品質が安定しにくいと
いう欠点があるため、ライン生産には不適当である。従
って、ストレート法は、中種法に比べると若干風味がよ
いという長所を生かして、風味に特徴を持たせたいパン
に限り極一部用いられているにすぎない。
は糖濃度により影響を受ける。加糖中種法の菓子パンに
おいては、糖を含まない(糖濃度の低い)中種生地での
発酵後、大量の糖が添加される。このことにより、生地
での浸透圧が極端に上昇し、酵母がダメージを受けて本
捏後の発酵力が弱まる。従って、結果的にストレート法
の菓子パンよりも安定はしているが、小さな菓子パンし
かできなくなるという欠点がある。
糖を大量に添加した後の発酵の両方において十分な発酵
力を有するため、耐糖性がありかつ無糖生地でも発酵力
が高い酵母が望まれている(このような酵母はリーンな
パンおよびリッチなパンの両方に用いられ得る)。
ては古くから研究されており、マルトース発酵力と相関
があるといわれている。小麦粉中には、少量の損傷澱粉
とアミラーゼ活性が共存しており、小麦粉に水を加えて
生地にした時、損傷澱粉がアミラーゼで分解され、マル
トースが生成する。従って、糖を添加しない無糖生地で
も生地が膨張するのは、このマルトースをイーストが資
化するためであるといわれている。従って、マルトース
発酵力の高いイーストは無糖生地発酵力が高く、結果的
に、例えばフランスパンでの発酵力も強くなる。
酵力が高い酵母は、耐糖性があり、マルトース発酵力が
高い酵母であり得、このような酵母が望まれている。
冷凍耐性の高い酵母が、そして特開昭63-294778、特開
平2-238876、特開平5-244934にはマルトース発酵力もし
くは無糖生地発酵力が高く冷凍耐性の高い酵母が記載さ
れているが、いずれの酵母も高いマルトース発酵力と高
い耐糖性とを同時に有する酵母ではなく、生地中の糖含
量によって使い分けをする必要があった。
ビオース資化性を有する菌株が記載されているが、これ
とて、澱粉資化性及びメリビオース資化性を共有する株
のみについての記載であり、高いマルトース発酵力と高
い耐糖性とを満足する概念の物ではなく、また、中種法
菓子パンについての記載がない。
が高い酵母が望まれている。このような酵母は、リーン
なフランスパンからリッチな菓子パンにまで使用可能で
あり、特に中種法での菓子パンの製造に適した酵母であ
る。
を解決すべく、耐糖性があり、マルトース発酵力が高い
酵母を提供することを目的とする。
ース発酵力と高い耐糖性とを有する酵母に関する。さら
に、本願発明は、高いマルトース発酵力と高い耐糖性と
を有し、かつ中種後の生地での耐糖性が高い酵母に関す
る。
たり150mg以上のCO2(以下、「150mgCO2/0.1gイースト
乾物量以上」と記載する場合がある)を発生させるマル
トース発酵力および生地85gあたり200ml以上のCO2(以
下、「200mlCO2/生地85g以上」と記載する場合がある)
を発生させる耐糖性を有する酵母に関する。
あたり150mg以上のCO2を発生させるマルトース発酵力お
よび中種後の生地で、生地50gあたり、160ml以上のCO2
(以下、「160mlCO2/生地50g以上」と記載する場合があ
る)を発生させる耐糖性を有する酵母に関する。
あたり150mg以上のCO2を発生させるマルトース発酵力、
生地85gあたり200ml以上のCO2を発生させる耐糖性、お
よび中種後の生地で、生地50gあたり、160ml以上のCO2
を発生させる耐糖性を有する酵母に関する。
カロミセス・セレビシエ CFB27-1(FERM P-15903)であ
る。
生地に関する。
明する。
は、以下の測定条件で0.1gイースト乾物量あたり130mg
以上のCO2(以下、「130mgCO2/0.1gイースト乾物量以
上」と記載することがある)を発生することをいう。マ
ルトース発酵力が0.1gイースト乾物量あたり130mg未満
では、フランスパンなどの糖0%のパンの比容積が小さ
くなり、実用的なパンができない。好適には、150mgCO2
/0.1gイースト乾物量以上である。
す。
体をとり、以下の糖蜜培地5mlに植菌する。
母を作成する。この種母を全量、糖蜜培地50ml/500ml坂
口フラスコに植菌する。30℃、24時間、140rpmで振とう
培養する。培養終了後、培養液5mlをとり、遠心分離し
た後、1回水洗する。水洗後の菌体を全量用いて、マル
トース発酵力を測定する。
トースのみを含有する液(マルトース液)20mlに、上記
で得られた酵母菌体を接種し、30℃、5時間静置培養
し、発生するCO2の量を測定する。別途、培養液5mlを
遠心分離し、1回水洗して、105℃、5時間乾燥して、乾
物量を測定する。上記で得られたCO2ガス発生量を乾物
量で除して、乾物量0.1gあたりのCO2ガス発生量をマル
トース発酵力とする。
ァーの組成は、以下の通りである。
測定方法で測定したときに、生地85gあたり180ml以上の
CO2(以下、「180mlCO2/生地85g以上」と記載すること
がある)を発生することをいう。CO2の発生量が生地85g
あたり180ml未満では糖の添加量の高いストレート法で
の菓子パンでの比容積が小さく、好ましいパンができな
い。好ましくは、200mlCO2/生地85g以上である。
ら1白金耳植菌し、30℃24時間振とう培養する。得られ
た培養液(第1種母)を全量、上記と同じ培地1L/5L容
三角フラスコに植菌し、30℃、24時間振とう培養し、培
養液(第2種母)を得る。
の培地1Lを加えて殺菌し、第2種母の全量を加えて2Lと
する。
ら、12時間培養し、種培養液を得る。培養は、30〜35
℃、pH4〜5、(安水でコントロール)、300rpmで撹拌し
つつ、2NL/分通気して行う。
培地1.3Lを加えて殺菌し、上記で得られた種培養液700m
lを加えて2Lとする。
10時間培養する。培養は、30〜35℃、pH4〜5、(安水
でコントロール)、300rpmで撹拌しつつ、2NL/分通気し
て行う。得られた培養液を遠心分離、水洗して、酵母菌
体を得る。
のガス発生量の測定法に準じて、耐糖性を測定する。以
下の組成の生地を、以下の条件でミキサーにかけ、捏上
げ、その85gを用いて、CO2ガスの発生を測定する。
糖性が高い」とは、中種後の生地で140mlCO2/生地50g以
上のCO2発生量を有することをいう。中種後の耐糖性が1
40mlCO2/生地50g未満では中種法での菓子パンでの比容
積が小さく、好ましいパンにならない。160mlCO2/生地5
0g以上が好適である。
うにして測定する。酵母菌体は、耐糖性と同じ方法で調
製する。以下の生地組成の中種法における菓子パンの製
パンテストにおいて、中種発酵させ、以下の組成で本捏
して、ホイロ前の生地50gをファーモグラフにて30℃、2
時間のガス発生量を測定する。なお、パン製造の組成に
おいて、数字は、特に断らない限り、部を表す。
の耐糖性」の測定において、市販の酵母は、これらの測
定方法に用いる酵母の調製方法と同様の方法で調製され
ている場合が多い。従って、市販酵母を用いる場合は、
直接、製パンにおけるCO2発生量の測定に用いてもよ
い。
願発明の性質を有していれば、いずれの酵母も用いられ
得る。サッカロマイセス属の酵母が、好適に用いられ得
る。本願発明の酵母は、上記の「マルトース発酵力」、
「耐糖性」、「中種後の生地での耐糖性」に記載の方法
を適用して、スクリーニングされ得る。このような酵母
は、天然源からのスクリーニングのみならず、通常用い
られる酵母の育種技術、すなわち変異処理や交雑、細胞
融合などの手法を用いるスクリーニングにより、得られ
る。
セレビシエCFB27-1は、出願人が所有するパン酵母の中
から、上記「マルトース発酵力」、「耐糖性」、「中種
後の生地での耐糖性」に記載の方法を適用して、選択し
た酵母である。サッカロミセス・セレビシエCFB27-1
は、FERM P-15903として工業技術院生命工学工業研究所
に寄託されている。
スト工業会で定義される「無糖生地発酵力」(後述す
る)も高いことは、明らかである。さらに、後の実施例
で記載するように、マルトース発酵力が高く(無糖生地
発酵力が高く)かつ、耐糖性の高い酵母は、糖濃度が対
小麦粉5〜15%程度のいわゆる中糖ゾーンでも必然的に
発酵力も高くなる。従って、糖が0%のフランスパンと糖
が対小麦粉30%の菓子パンだけではなく、糖が対小麦粉1
0%のバターロールなどのパンでも比容積の大きい、すぐ
れたパンができる。つまり、本願発明の酵母は、糖が対
小麦粉0%と30%のパンのみに限定されず、あらゆる領域
の糖濃度のパンに適用され得る点で優れた酵母である。
例をあげて説明するが、本願発明がこれらの実施例に限
定されない事はいうまでもない。
CFB27-1を、上記のスクリーニングにより選択した。対
照として、市販イースト(商品名カネカレッドイース
ト、商品名カネカグリーンイースト、及び商品名カネカ
NBイースト)の各酵母とを用いて、「マルトース発酵
力」に記載した酵母菌体作成方法により、酵母菌体を作
成した。この菌体を用いて、各菌株のマルトース発酵力
の評価を行った。その結果を表1に示す。
び商品名カネカNBイーストが、130mgCO2/0.1gイース
ト乾物量以上の値を示し、マルトース発酵力が高かっ
た。
て、前記「高い耐糖性」の項で記載した方法で菌体を作
成し、イースト工業会に定める発酵力測定に従い、耐糖
性を測定した。
の糖濃度の生地での発酵力として規定している。小麦粉
に対し砂糖を添加しない無糖生地発酵力、小麦粉に対し
砂糖を5%添加する低糖生地発酵力、小麦粉に対し砂糖を
30%添加する高糖生地発酵力である。このイースト工業
会に定める高糖発酵力の測定方法は、本願発明でいう
「耐糖性」の測定方法に相当する。結果を表2に示す。
品名カネカレッドイースト、および商品名カネカグリー
ンイーストが、本願発明でいう「耐糖性」を有してい
た。
ース発酵力と耐糖性を有する酵母は、本願発明のサッカ
ロミセス・セレビシエCFB27-1だけであることがわかっ
た。
い、中種後の耐糖性を調べた。結果を表3に示す。
中種後の耐糖性が優れていた。
い、1)フランスパン(無糖)、2)中種法による食パン、
3)中種法によるバターロール、4)ストレート法による菓
子パン、および5)中種法による菓子パンを作成した。各
パンの作成方法を以下に示す。
シエCFB27-1は、フランスパンから菓子パンまで幅広い
領域のパンの製造に適し、比容積の大きい良好なパンが
製造できる。また、パンの製造方法(中種法、ストレー
ト法等)に影響を受けないという優れた効果も有してい
る。
ーストは、食パンから菓子パンまで使用され得るが、フ
ランスパンでは品質が劣る。商品名カネカグリーンイー
ストはリッチな配合のパンに適しているが、リーンなパ
ンでは比容積は非常に小さい。商品名カネカNBイースト
は、リーンなフランスパンの製造に適しているが、リッ
チな菓子パンには適用できない。
リッチな配合までの幅広い領域のパンに適用でき、特に
中種法菓子パンでも1種類の酵母で良好なパンの製造が
可能になる。本願発明の酵母を用いれば、従来のよう
に、中種法で別の酵母を使用する必要はない。
Claims (7)
- 【請求項1】 高いマルトース発酵力と高い耐糖性とを
有する酵母。 - 【請求項2】 高いマルトース発酵力と高い耐糖性とを
有し、かつ中種後の生地での耐糖性が高い酵母。 - 【請求項3】 0.1gイースト乾物量あたり150mg以上のC
O2を発生させるマルトース発酵力および生地85gあたり2
00ml以上のCO2を発生させる耐糖性を有する酵母。 - 【請求項4】 0.1gイースト乾物量あたり150mg以上のC
O2を発生させるマルトース発酵力および中種後の生地
で、生地50gあたり、160ml以上のCO2を発生させる耐糖
性を有する酵母。 - 【請求項5】 0.1gイースト乾物量あたり150mg以上のC
O2を発生させるマルトース発酵力、生地85gあたり200ml
以上のCO2を発生させる耐糖性、および中種後の生地
で、生地50gあたり、160ml以上のCO2を発生させる耐糖
性を有する酵母。 - 【請求項6】 酵母がサッカロミセス・セレビシエ CFB
27-1(FERM P-15903)であることを特徴とする請求項1
から5のいずれかに記載の酵母。 - 【請求項7】 請求項1から6のいずれかの項に記載の
酵母を含有する生地。
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JP00246797A JP4357007B2 (ja) | 1997-01-09 | 1997-01-09 | 新規酵母及び該酵母を含有する生地 |
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