JP2017012146A - 焼菓子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クッキーのようにサク味がある食感やバターケーキのようにしっとりとした食感が得られ、酵母の発酵風味を十分に付与することができる焼菓子の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を前記発酵中種生地に混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成する。中種生地は、更に蛋白質原料を含有することが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、発酵による自然な甘味や深い味わいを呈するようにした焼菓子の製造方法及び焼菓子に関する。
従来、乳酸菌や酵母の発酵による香りや風味を呈するようにした焼菓子が知られている。
例えば、下記特許文献1には、ラクトバチルス・コモエンシス、サツカロミセス・イグジグース、及びラクトバチルス・サンフランシスコに属する微生物を、小麦粉を主成分とする培地で培養することを特徴とするイタリアンケーキの元種の製造方法の発明が開示されている。これによって、風味、旨味、酸味に優れ、焼成後も保水性のある日持ちのよいイタリアンケーキが得られることが記載されている。
また、下記特許文献2には、少なくともラクトバチルス・スポロゲネスとラクトバチルス・ブルガリクスを用いて得た元種から作られた種と、少なくともラクトバチルス・コーカシイカスとサッカロミセス・フラギリスを用いて得た元種から作られた種とを混合し、その混合種を用いて中種、または中種と本種を作って得られた乳酸菌醗酵菓子類の製法の発明が開示されている。これによって、従来の方法では得られなかった、まる味のある香りや、程良い酸味で、独特のマイルドな風味の菓子類やパン類が得られることが記載されている。
特公平2−18811号公報 特開2002−17240号公報
しかしながら、上記特許文献1のイタリアンケーキでは小麦粉と水分とを捏上げ、「つなぎ」のある生地を形成させたうえで発酵を行う製法であるため、パン類に特有の引きのある食感があり、クッキーのようにサク味がある食感やバターケーキのようにしっとりとした食感とはならなかった。また、上記特許文献2の方法では、乳酸菌の発酵が勝ってしまい、焼菓子に酵母の発酵風味を十分に付与することができなかった。
一方、本発明者らの研究によれば、単に酵母をクッキーやバターケーキの配合に加えるだけでは、焼菓子に酵母の発酵風味を十分に付与することができなかった。
したがって、本発明の目的は、クッキーのようにサク味がある食感やバターケーキのようにしっとりとした食感が得られ、酵母の発酵風味を十分に付与することができる焼菓子の製造方法及び焼菓子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の焼菓子の製造方法は、少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を前記発酵中種生地に混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成することを特徴とする。
本発明の焼菓子の製造方法によれば、少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合するという、シュガーバッター法に準ずる方法により中種生地を作り、この中種生地を発酵させることにより、「つなぎ」のある生地の形成を抑制しつつ発酵中種生地を作ることができる。そして、この発酵中種生地に少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成するので、芳醇な酵母の発酵風味を有しつつ、クッキーのようにサク味がある食感の焼菓子やバターケーキのようにしっとりとした食感の焼菓子を得ることができる。
一般的に、シュガーバッター法とは、少なくとも油脂と糖類を混合し、水分原料を加えて混合することで、油脂の中に水分を分散させ、その後に小麦粉を主体とする粉体原料を添加して混合する方法を指す。本発明においては、油脂とともに糖類を混合してもよいし、糖類を混合しなくともよいが、水分原料を油脂に加えて混合して、油脂の中に水分を分散させた後に、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合する点で、シュガーバッター法に準じていると言える。
本発明の焼菓子の製造方法においては、前記中種生地に、該中種生地に配合する前記穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して糖類0〜30質量部を配合することが好ましい。これによれば、中種生地に添加する糖類の量を制限することにより、酵母の発酵が阻害されないようにすると共に、本種生地を作る際に残りの糖類を添加することにより、焼菓子の風味(甘味)に必要な量の糖類を添加することができる。
また、前記中種生地は、更に蛋白質原料を含有することが好ましい。これによれば、蛋白質原料を含有することにより、より良好な風味・食感の焼菓子が得られる。
また、前記油脂と、前記糖類とを混合した後、前記酵母を前記水分原料に分散させたものを混合し、これに前記穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して前記中種生地を作ることが好ましい。これによれば、酵母を中種生地中によく分散させて発酵の効率を向上させることができる。
また、前記中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に前記中種生地には、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂30〜70質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料30〜70質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、前記中種生地の水分含有量が16〜35質量%であり、前記本種生地は、前記中種生地を発酵させた発酵中種生地に、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、前記中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜70質量部と、糖類60〜120質量部と、1種又は2種以上の膨化剤0.1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものであることが好ましい。これによれば、バターケーキ等のケーキ類に適した製造方法を提供することができる。また、中種生地をシュガーバッター法に準ずる方法で作ることにより、発酵した生地を含むにもかかわらず「つなぎ」のある生地の形成が抑制されるので、バターケーキ類特有の食感、すなわち、しっとりとして引きがなく、歯切れがよく、口ほぐれのよい食感のバターケーキ類を作ることができる。
また、前記中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に前記中種生地には、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂10〜50質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料15〜35質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、前記中種生地の水分含有量が13〜30質量%であり、前記本種生地は、前記中種生地を発酵させた発酵中種生地に、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、前記中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜35質量部と、糖類10〜40質量部と、1種又は2種以上の膨化剤0.1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものであることが好ましい。これによれば、クッキー類に適した製造方法を提供することができる。また、中種生地をシュガーバッター法に準ずる方法で作ることにより、発酵した生地を含むにもかかわらず「つなぎ」のある生地の形成が抑制されるので、ワイヤーカットなどの従来のクッキー類の製法で成形することが可能となる。
また、少なくとも油脂と、水分原料と、酵母と、果物及び/又は野菜の細断物、粉砕物、及び/又は搾汁物を混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を前記発酵中種生地に混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成することが好ましい。これによれば、発酵させる中種生地に果物及び/又は野菜の細断物、粉砕物、及び/又は搾汁物を含むので、それぞれの原料に由来する風味を付与して、より良好な風味の焼菓子を得ることができる。
また、前記果物及び/又は野菜がレーズン又はトマトであることが好ましい。これによれば、レーズン又はトマトの風味を付与して、より良好な風味の焼菓子を得ることができる。また、特に具材として、それぞれ同じ種類の原料からなるレーズン又はドライトマトを含む場合に、それらの味を引き立たせると共に、味に一体感がある、より良好な風味の焼菓子を得ることができる。
本発明によれば、少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合するというシュガーバッター法に準ずる方法により中種生地を作り、この中種生地を発酵させることにより、「つなぎ」のある生地の形成を抑制しつつ発酵中種生地を作ることができる。そして、この発酵中種生地に少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成するので、芳醇な酵母の発酵風味を有しつつ、クッキーのようにサク味がある食感の焼菓子やバターケーキのようにしっとりとした食感の焼菓子を得ることができる。
味覚センサーを用いてマドレーヌの味覚分析を行った結果を示す図表である。
本発明が適用される焼菓子に特に制限はなく、クッキー類、バターケーキ類など、いずれの焼菓子であってもよい。より具体的には、例えばマドレーヌ、パウンドケーキ、フィナンシェ、バウムクーヘン、クッキー、タルトなどが挙げられる。
本発明の焼菓子の製造方法は、焼菓子の原料として、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、油脂と、糖類と、水分原料と、酵母と、膨化剤とを用いて、少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を発酵中種生地に混合して本種生地を作る、という工程を採用する。この場合、中種生地を作るときに必要な原料は、重複してその一部を本種生地を作るときに混合してよく、あるいは本種生地を作るときに必要な原料は、重複してその一部を中種生地を作るときに混合してよく、特に制限はない。
穀物粉としては、例えば小麦粉、薄力粉、強力粉、中力粉、小麦全粒粉、米粉、ライ麦粉、大豆粉、豆粉、ジャガイモの乾燥粉末(マッシュポテト、ポテトフレーク、ポテトグラニュール等)などが挙げられる。穀物粉は2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合する穀物粉と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。
粉体澱粉質原料としては、澱粉、加工澱粉が挙げられる。澱粉は、食用澱粉類であれば特に限定されず、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、サゴ澱粉等を使用することができる。またこれら澱粉をエーテル化、エステル化、架橋化、酸化、α化などのいずれか一以上の処理を施した加工澱粉を使用することができる。粉体澱粉質原料は、食感に変化を与えるなどの目的のために穀物粉と組み合わせて用いることが好ましい。その場合、穀物粉と粉体澱粉質原料との割合が、乾燥質量にして100:0〜0:100であることが好ましく、100:0〜60:40であることが好ましい。なお、糖類や、タンパク質原料である粉乳類は、本発明における粉体澱粉質原料に含まれない。また、中種生地を作るときに混合する粉体澱粉質原料と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。
油脂としては、食用に適するものではればよく特に制限はない。得られる焼菓子の食感の観点からは、常温で可塑性を有する油脂を用いることが好ましい。これによれば、砂糖等の糖類、卵等の水分原料、酵母などの他の原料とともに、あるいは油脂自体をミキサーを用いて混合したとき、気泡を抱き込ませる効果が高く、それによって得られる焼菓子の食感がよくなる。例えばマーガリン、バター、ショートニング、ファットスプレッドなどが挙げられる。油脂は2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合する油脂と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。
糖類としては、焼菓子に甘味を付与できるものであればよく特に制限はないが、中種生地に糖類を配合する場合は、酵母による発酵を促すよう、酵母に資化される糖類であることが好ましい。例えば砂糖、上白糖、グラニュー糖、黒砂糖、三温糖、蜂蜜、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、異性化糖、水飴などが挙げられる。糖類は2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合する糖類と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、中種生地に配合する穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料に含まれる成分によっても酵母による発酵が促されるので、中種生地に糖類を配合しないこともできる。
ここで、中種生地に糖類を配合する場合、その配合量は、中種生地に配合する、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料の100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、1〜30重量部であることがより好ましく、3〜20質量部であることが更により好ましい。上記範囲の中でも、酵母に資化される糖類の量が少なすぎると、酵母による発酵を促す効果に乏しくなる傾向があるため、ある程度の量を添加することが好ましい。また、上記範囲を超えるとかえって酵母の発酵を阻害する傾向がある。
水分原料としては、焼菓子の生地を得るために必要な水分を提供するものであればよく特に制限はない。例えば水、卵、牛乳、生クリーム、ホイップクリーム、その他練り込み用のクリーム類、豆乳、濃縮乳などが挙げられる。水分原料は2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合する水分原料と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。
酵母としては、中種生地の成分を資化して他の成分を産生する能力のあるものであればよく、特に制限はない。例えばパン、ビール、酒、ワイン、ウイスキー等の酒類、味噌、醤油等の製造に用いられる酵母や、果物や穀物などの自然産物に寄生しているものを採取してなる天然酵母などが挙げられる。また、種属を挙げれば、例えばSaccharomyces cerevisiae、Saccharomyces bayanus、Saccharomyces pastorianus Saccharomyces exiguus、Saccharomyces rouxii、Zygosaccharomyces rouxiiなどが挙げられる。酵母は2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合する酵母と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、中種生地を作るときにのみ混合するようにしてもよい。
発酵の温度や湿度等の条件は適宜好適な条件を設定すればよいが、発酵温度が3℃〜38℃であることが好ましく、20℃〜30℃であることがより好ましい。発酵温度がこれより低いと発酵に時間がかかり、これより高いと酸味が強くなり風味のバランスに欠ける。湿度は60%〜90%が好ましく、70%〜80%がより好ましい。湿度がこれよりも低いと生地が乾燥し、高いと結露する。
発酵のための温度、湿度、発酵時間は上記の範囲に限らず、次に例示するように段階的に条件を変更することもできる。例えば、温度27℃から30℃、湿度70%から80%で3時間から5時間の発酵の後、3℃から20℃で15時間から24時間発酵する工程を挙げることができる。このような発酵条件をとることで作業時間に合わせて発酵時間を調整したり、風味をコントロールしたりすることができる。
ここで、中種生地に配合する酵母は、上記水分原料に分散させて、上記油脂と、上記糖類とを混合した後、これに上記穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作ることがより好ましい。これによれば、酵母を中種生地中によく分散させて発酵の効率を向上させることができる。中種生地に配合する酵母の量は、中種生地に配合する、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料の100質量部に対して0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜12質量部であることがより好ましい。上記範囲未満であると酵母による発酵を促す効果に乏しくなる傾向がある。
膨化剤としては、例えば、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、ベーキングパウダー等が挙げられ、その他、酸性膨化剤としてL−酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、グルコノデルタラクトンなどを組み合わせて使用してもよい。膨化剤は2種以上を併用してもよい。また、本種生地を作るときに混合する膨化剤と同じ種類のものを必要に応じて中種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて中種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、本種生地を作るときにのみ混合するようにしてもよい。
本発明の好ましい態様においては、上記以外の原料として、蛋白質原料を用いてもよい。これによれば、蛋白質原料を含有することにより、より良好な風味・食感の焼菓子が得られる。
蛋白質原料としては、食用に適するものであればよく特に制限はない。得られる焼菓子の風味・食感の観点からは、卵、乳、大豆などに由来するものが好ましい。例えば全卵、卵黄、卵白、その他卵加工品、牛乳、生クリーム、ホイップクリーム、その他練り込み用のクリーム類、練乳、濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、発酵乳、チーズ、豆乳、大豆蛋白、味噌、その他大豆加工品などが挙げられる。蛋白質原料は2種以上を併用してもよい。ままた、中種生地を作るときに混合してもよく、本種生地を作るときに混合してもよいが、発酵の効果を享受してより良好な風味・食感が付与されるので、前者がより好ましい。また、中種生地を作るときに混合する蛋白質原料と同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、中種生地を作るときにのみ混合するようにしてもよい。蛋白質原料の含有量としては、中種生地に混合する場合を例に挙げると、蛋白質量換算で中種生地に配合する、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料の100質量部に対して0.75〜60質量部であることが好ましく、0.75〜50質量部であることがより好ましい。上記範囲未満であると蛋白質原料によって風味・食感の改良する効果に乏しくなる傾向がある。また、上記範囲を超えると生地としての物性が損なわれる。なお、本発明においては、この蛋白質原料が、焼菓子の生地を得るために必要な水分を提供する、上記水分原料の全部又は一部を構成していてもよい。
本発明の好ましい態様においては、上記以外の原料として、果物及び/又は野菜の細断物、粉砕物、及び/又は搾汁物を用いてもよい。これによれば、それぞれの原料に由来する風味を付与して、より良好な風味の焼菓子を得ることができる。この場合、その細断物及び/又は粉砕物は、ペースト状、ピューレ状、及び/又はジュース状のものであることが好ましい。これによれば、生地に混合しやすい。
果物及び/又は野菜としては、例えば、レーズン、ブルーベリー、イチゴ、リンゴ、ブドウ、オレンジ、バナナ、トマト、キャベツ、ニンジン、キューリ、カボチャ、ピーマン、ブロッコリ、アスパラガス、レタス、ケール、セロリ、ウメ、ユズ、チェリー、レモン、グレープフルーツ、小松菜、ホウレンソウ、パセリ、ビート、天茶などが挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。また、中種生地を作るときに混合してもよく、本種生地を作るときに混合してもよいが、発酵の効果を享受してより良好な風味が付与されるので、前者がより好ましい。また、中種生地を作るときに混合するものと同じ種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて本種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、中種生地を作るときにのみ混合するようにしてもよい。その含有量としては、中種生地に混合する場合を例に挙げると、中種生地に配合する、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料の100質量部に対して1.5〜100質量部であることが好ましく、8〜65質量部であることがより好ましい。上記範囲未満であると風味の改良する効果に乏しくなる傾向がある。また、上記範囲を超えると生地としての物性が損なわれる。なお、本発明においては、この果物及び/又は野菜の細断物、粉砕物、及び/又は搾汁物が、焼菓子の生地を得るために必要な水分を提供する、上記水分原料の全部又は一部を構成していてもよい。
本発明の好ましい態様においては、上記以外の原料として、適当な具材を用いてもよい。
具材としては、例えばドライフルーツ類(レーズン、ラムレーズン、ブルーベリー、クランベリー、ストロベリー、ラズベリー、オレンジ、オレンジピール、レモンピール、チェリー、蜜リンゴなど)、乾燥野菜類(トマト、ショウガ、野沢菜、長葱、玉葱、ニンニク、サヤインゲンなど)、チョコレート類、ナッツ類(アーモンド、マカダミアナッツ、くるみ、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオナッツ、ココナッツなど)、種子類(松の実、ひまわりの種、カボチャの種など)、シリアル類(オーツ麦、大麦、小麦、トウモロコシ、米などのパフ加工品やフレーク加工品など)、チーズ類などが挙げられる。本発明の焼き菓子生地の有する発酵風味が、これらの具材の風味と焼き菓子生地の風味に一体感を持たせ、全体として風味にまとまりのある菓子とする効果がある。また、具材は2種以上を併用してもよい。また、本種生地を作るときに混合する具材と同じ種類のものを必要に応じて中種生地を作るときに混合してもよく、それと違う種類のものを必要に応じて中種生地を作るときに混合してもよい。あるいは、本種生地を作るときにのみ混合するようにしてもよい。具材の含有量としては、生地全体に配合する穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料の100質量部に対して10〜100質量部程度が好ましいが、具材の種類や求める風味、食感に合わせて、この範囲を超えても構わない。
本発明は、例えばバターケーキ等のケーキ類の製造に好適に用いられる。この場合、中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に中種生地には、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂30〜70質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料30〜70質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、中種生地の水分含有量が16〜35質量%であるように調製することが好ましい。また、本種生地は、中種生地を発酵させた発酵中種生地に、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜70質量部と、糖類60〜120質量部と、1種又は2種以上の膨化剤1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものであることが好ましい。これによれば、上記に説明した方法で調製した本種生地を用いる以外は、従来のケーキ類の成形法や焼成法と同じようにして、焼菓子を得ることができる。例えば、本種生地をアルミカップなどの容器に23g前後入れるなどして成形し、180〜190℃で、15〜18分焼成することにより、焼菓子を得ることができる。
また、本発明は、例えばクッキー類の製造に好適に用いられる。この場合、中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に中種生地には、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂10〜50質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料15〜35質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、中種生地の水分含有量が13〜30質量%であるように調製することが好ましい。また、本種生地は、中種生地を発酵させた発酵中種生地に、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜35質量部と、糖類10〜40質量部と、1種又は2種以上の膨化剤0.1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものであることが好ましい。これによれば、上記に説明した方法で調製した本種生地を用いる以外は、従来のクッキー類の成形法や焼成法と同じようにして、焼菓子を得ることができる。例えば、本種生地をワイヤーカットなどで17g前後に成形し、180〜190℃で、12〜15分焼成することにより、焼菓子を得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[試験例1]
表1の配合で実施例1〜2及び比較例1〜3のマドレーヌタイプの焼き菓子を調製した。
(実施例1)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、全脂粉乳、マーガリンを、ミキサーにて、その設定を低速(以下、単に「低速」という。)にして30秒間、その後ミキサーの設定を高速(以下、単に「高速」という。)にして1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後20℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、濃縮乳、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
得られた本種生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(プレーン)を得た。
(比較例1)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において上白糖の配合量を100質量部から90質量部にした以外は、実施例1と同様にして、マドレーヌタイプの焼き菓子(プレーン)を得た。
(実施例2)
本種生地の調製において、マーガリンを加えて混合した後、更にラムレーズンを加えてミキサーにて低速で1分間混合した以外は、実施例1と同様にして、マドレーヌタイプの焼き菓子(ラムレーズン)を得た。
(比較例2)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において上白糖の配合量を100質量部から90質量部にした以外は、実施例2と同様にして、マドレーヌタイプの焼き菓子(ラムレーズン)を得た。
(比較例3)
中種生地を調製しないストレート法により本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、全脂粉乳、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを、ミキサーにて、低速で30秒間、混合した。
・殺菌卵、濃縮乳、蜂蜜にパン酵母をよく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒、高速で1分、混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後20℃で18時間保管した。
得られた生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(プレーン)を得た。
実施例1〜2及び比較例1〜3のマドレーヌタイプの焼き菓子について、甘味の質、生地と具材との相性、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目について下記の評価基準でパネル10名にスコアをつけてもらい、その平均点を算出した。結果を表2に示す。
(甘味の質)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
(生地と具材との相性)
3点…相性が特によい
2点…相性がよい
1点…相性が悪い
(全体的な風味)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
その結果、実施例1と比較例1との比較や、実施例2と比較例2との比較から分かるように、酵母を添加すると、酵母を添加しない場合に比べて、甘味の質、全体的な風味がより良好となった。また、実施例2と比較例2の比較から分かるように、酵母を添加すると具材のラムレーズンとの相性がより良好となった。
また、酵母を添加してストレート法で調製した比較例3のマドレーヌタイプの焼き菓子は、酵母を添加しないで中種生地を調製した比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子とあまり変わらない結果となった。これはストレート法では酵母の発酵が十分ではないためと考えられた。
なお、甘味の質に関して、実施例を比較例よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「コクがある」、「くどさがない」、「まろやか」、「さっぱりした甘さ」、「まとまりのある甘さ」、「自然な甘味」、「味わいのある甘さ」、などのコメントが得られた。
[試験例2]
表3の配合で実施例3及び比較例4のパウンドケーキタイプの焼き菓子を調製した。
(実施例3)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で2分間、混合した。このとき比重は0.65であった。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後20℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、マーガリン、流動状ショートニングを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・殺菌卵、蜂蜜を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるったものと、発酵させた中種生地を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。このとき比重は0.75であった。
・ラムレーズンを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を18cmパウンド型に350gを充填し、180℃で40分間焼成して、パウンドケーキタイプの焼き菓子を得た。
(比較例4)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において上白糖の配合量を100質量部から90質量部にした以外は、実施例3と同様にして、パウンドケーキタイプの焼き菓子を得た。
実施例3及び比較例4のパウンドケーキタイプの焼き菓子について、甘味の質、生地と具材との相性、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目について下記の評価基準でパネル10名にスコアをつけてもらい、その平均点を算出した。結果を表4に示す。
(甘味の質)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
(生地と具材との相性)
3点…相性が特によい
2点…相性がよい
1点…相性が悪い
(全体的な風味)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
表4に示されるように、酵母を添加すると、酵母を添加しない場合に比べて、甘味の質、全体的な風味がより良好となった。また、酵母を添加すると具材のラムレーズンとの相性がより良好となった。
なお甘味の質に関して、実施例を比較例よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「コクがある」、「さっぱりした甘さ」、「まろやか」、「さわやかな甘さ」、「やさしい甘さ」、などのコメントが得られた。
[試験例3]
表5の配合で実施例4〜6及び比較例5〜8のクッキータイプの焼き菓子を調製した。
(実施例4)
中種生地を以下のように調製した。
・三温糖、全脂粉乳、マーガリンを、ミキサーにて、その設定を低速にして1分間、その後ミキサーの設定を中速(以下、単に「中速」という。)にして1分間、混合した。
・パン酵母を全卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で1分間、その後中速で3分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後冷蔵で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・三温糖、食塩、ホイップクリーム、蜂蜜、バニラフレーバーを混合し、更に炭安を水に溶解させたものを加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・薄力粉と重曹を合わせてふるったものと、発酵させた中種生地を上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を絞りワイヤーでカットして約17gずつに成形し、190℃で15分間焼成して、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(比較例5)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において三温糖の配合量を35質量部から30質量部にした以外は、実施例4と同様にして、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(実施例5)
本種生地の調製において、薄力粉と重曹を合わせてふるったものと、発酵させた中種生地とを添加し、混合した後、更にチョコキューブとラムレーズンを加えてミキサーにて低速で1分間混合した以外は、実施例4と同様にして、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(比較例6)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において三温糖の配合量を35質量部から30質量部にした以外は、実施例5と同様にして、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(実施例6)
実施例4と同じ中種生地を調製した。
また、本種生地を以下のように調製した。
・三温糖、食塩、マーガリン、ホイップクリーム、蜂蜜、バニラフレーバーを混合し、更に炭安を水に溶解させたものを加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・薄力粉と重曹を合わせてふるったものと、発酵させた中種生地を上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・オーツ麦、ラムレーズンを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を絞りワイヤーでカットして約17gずつに成形し、190℃で12分間焼成して、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(比較例7)
中種生地の調製においてパン酵母を加えず、本種生地の調製において三温糖の配合量を40質量部から35質量部にした以外は、実施例6と同様にして、クッキータイプの焼き菓子を得た。
(比較例8)
中種生地を調製しないストレート法により本種生地を以下のように調製した。
・三温糖、全脂粉乳、食塩、マーガリン、バニラフレーバーを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を全卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ホイップクリーム、蜂蜜、更に炭安を水に溶解させたものを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・薄力粉と重曹を合わせてふるったものを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後冷蔵で18時間保管した。
得られた本種生地を絞りワイヤーでカットして約17gずつに成形し、190℃で15分間焼成して、クッキータイプの焼き菓子を得た。
実施例4〜6及び比較例5〜8のクッキーについて、甘味の質、生地と具材との相性、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目について下記の評価基準でパネル10名にスコアをつけてもらい、その平均点を算出した。結果を表6に示す。
(甘味の質)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
(生地と具材との相性)
3点…相性が特によい
2点…相性がよい
1点…相性が悪い
(全体的な風味)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
その結果、実施例4と比較例5との比較や、実施例5と比較例6との比較や、実施例6と比較例7との比較から分かるように、酵母を添加すると、酵母を添加しない場合に比べて、甘味の質、全体的な風味がより良好となった。また、実施例5と比較例6との比較や、実施例6と比較例7との比較から分かるように、酵母を添加すると、ラムレーズン、チョコキューブ、オーツ麦など具材との相性がより良好となった。
また、酵母を添加してストレート法で調製した比較例8のクッキーは、酵母を添加しないで中種生地を調製した比較例5のクッキーとあまり変わらない結果となった。これはストレート法では酵母の発酵が十分ではないためと考えられた。
なお甘味の質に関して、実施例4を比較例5よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「コクがある」、「味わいのある甘さ」、「香ばしい甘さ」、などのコメントが得られた。同様に、実施例5を比較例6よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「コクがある」、「甘さと酸味のバランスがよい」、「旨味のある甘さ」、「香ばしい甘さ」、などのコメントが得られた。同様に、実施例6を比較例7よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「コクがある」、「味わいのある甘さ」、「まろやか」、「香ばしい甘さ」、などのコメントが得られた。
[試験例4]
表7の配合で実施例7及び比較例9、10のマドレーヌタイプの焼き菓子を調製した。
(実施例7)
実施例1と同じ調製法で、実施例7のマドレーヌタイプの焼き菓子を調製した。
(比較例9)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、全脂粉乳、マーガリン、殺菌卵、パン酵母、ふるった薄力粉を、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で2分間、混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後20℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、濃縮乳、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
得られた本種生地を20gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、比較例9のマドレーヌタイプの焼き菓子を得た。
(比較例10)
中種生地を以下のように調製した。
・ふるった薄力粉、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・上白糖、全脂粉乳を、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で30秒間、混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後20℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、濃縮乳、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
得られた本種生地を20gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、比較例10のマドレーヌタイプの焼き菓子を得た。
実施例7及び比較例9,10のマドレーヌタイプの焼き菓子について、歯切れ、口溶け、甘味の質、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目について下記の評価基準でパネル10名にスコアをつけてもらい、その平均点を算出した。結果を表8に示す。
(歯切れ)
3点…非常によい
2点…よい
1点…よくない
(口溶け)
3点…非常によい
2点…よい
1点…よくない
(甘味の質)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
(全体的な風味)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
その結果、シュガーバッター法に準ずる方法で中種を調製したマドレーヌタイプの焼き菓子(実施例7)に比べ、オールイン法で中種を調製したマドレーヌタイプの焼き菓子(比較例9)は、特に食感(歯切れ、口溶け)がよくないと評価された。これは小麦粉が卵などの水分原料の水分を吸収して中種が「つなぎ」のある生地になったためと考えられた。
また、フラワーバッター法で中種を調製したマドレーヌタイプの焼き菓子(比較例10)は、甘味の質、全体的な風味が好まれない傾向にあった。これは中種の発酵が実施例7と比較すると十分でなく、芳醇な酵母の発酵風味が得られなかったためと考えられた。
[試験例5]
表9の配合で実施例8及び比較例11、12のクッキータイプの焼き菓子を調製した。
(実施例8)
実施例4と同じ調製法で、実施例8のクッキータイプの焼き菓子を調製した。
(比較例11)
中種生地を以下のように調製した。
・三温糖、全脂粉乳、マーガリン、殺菌卵、パン酵母、ふるった薄力粉を、ミキサーにて低速で1分間、その後中速で2分間、混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後冷蔵で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・三温糖、食塩、ホイップクリーム、蜂蜜、バニラフレーバーを混合し、更に炭安を水に溶解させたものを加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・薄力粉と重曹を合わせてふるったものを上記に加え、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で1分30秒間混合した。
得られた本種生地を絞りワイヤーでカットして約17gずつに成形し、190℃で15分間焼成して、比較例11のクッキータイプの焼き菓子を得た。
(比較例12)
中種生地を以下のように調製した。
・ふるった薄力粉、マーガリンを、ミキサーにて低速で1分間、その後中速で1分間、混合した。
・三温糖、全脂粉乳を、ミキサーにて低速で1分間、その後中速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で1分間、その後中速で2分間、混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後冷蔵で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・三温糖、食塩、ホイップクリーム、蜂蜜、バニラフレーバーを混合し、更に炭安を水に溶解させたものを加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
・薄力粉と重曹を合わせてふるったものを上記に加え、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で1分30秒間混合した。
得られた本種生地を絞りワイヤーでカットして約17gずつに成形し、190℃で15分間焼成して、比較例12のクッキータイプの焼き菓子を得た。
実施例8及び比較例11,12のクッキーについて、さくさく感、口溶け、甘味の質、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目について下記の評価基準でパネル10名にスコアをつけてもらい、その平均点を算出した。結果を表10に示す。
(さくさく感)
3点…非常によい
2点…よい
1点…よくない
(口溶け)
3点…非常によい
2点…よい
1点…よくない
(甘味の質)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
(全体的な風味)
3点…非常に好ましい
2点…好ましい
1点…好ましくない
その結果、シュガーバッター法に準ずる方法で中種を調製したクッキータイプの焼き菓子(実施例8)に比べ、オールイン法で中種を調製したクッキータイプの焼き菓子(比較例11)は、特に食感(さくさく感、口溶け)がよくないと評価された。これは小麦粉が卵などの水分原料の水分を吸収して中種が「つなぎ」のある生地になったためと考えられた。
また、フラワーバッター法で中種を調製したクッキータイプの焼き菓子(比較例12)は、甘味の質、全体的な風味が好まれない傾向にあった。これは中種の発酵が実施例8と比較すると十分でなく、芳醇な酵母の発酵風味が得られなかったためと考えられた。
[試験例6]
試験例1で調製した実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子において、中種生地に添加する上白糖の量を、中種生地に含まれる薄力粉60質量部に対して10質量部から、下記表11に示す各配合量に代えた以外は、実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子と同様にして、実施例9、10、11、比較例13のマドレーヌタイプの焼き菓子を得た。
実施例9、10、11、比較例13のマドレーヌタイプの焼き菓子について、試験例1と同様にして官能評価を行った。結果を、実施例1の結果とともに、表12に示す。
その結果、中種生地に添加する上白糖の量が多すぎると、甘味の質や全体的な風味において良好なマドレーヌタイプの焼き菓子が得られなかった。これは糖類の量が多すぎると、酵母の発酵を阻害するためであると考えられた。
[試験例7]
表13の配合で実施例12,13のマドレーヌタイプの焼き菓子を調製した。
(実施例12)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ホイップクリームを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後10℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、レーズンペースト、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・ラムレーズンを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(レーズンペースト入り)を得た。
(実施例13)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ホイップクリーム、レーズンペーストを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後10℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・ラムレーズンを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(レーズンペースト入り)を得た。
実施例12,13のマドレーヌタイプの焼き菓子(レーズンペースト入り)について、甘味の質、生地と具材との相性、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目についてパネル10名に実施例12と実施例13を比較していずれが好ましいかを選んでもらった。結果を表14に示す。
その結果、本種にレーズンペーストを加えて調製した実施例12よりも中種にレーズンペーストを加えて調製した実施例13のほうが好ましいとするパネラーの数が、中種にレーズンペーストを加えて調製した実施例13よりも本種にレーズンペーストを加えて調製した実施例12のほうが好ましい、とするパネラーの数に比べ、多くなった。
なお、甘味の質に関して、実施例13を実施例12よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「まろやか」、「レーズンとの相性がよい」、「生地となじむ」、「ほどよい甘味」、などのコメントが得られた。
また、生地と具材との相性に関して、実施例13を実施例12よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「まとまりがよい」、「味がレーズンとなじむ」、「バランスがよい」、などのコメントが得られた。
また、全体的な風味に関して、実施例13を実施例12よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「味に深みがある」、「レーズンとの一体感」、「香り、フルーツ感が増している」、「自然で食べやすい」、「はなやか」、などのコメントが得られた。
[試験例8]
表15の配合で実施例14,15のマドレーヌタイプの焼き菓子を調製した。
(実施例14)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ホイップクリームを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後10℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、トマトペースト、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・ドライトマトダイスを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(トマトペースト入り)を得た。
(実施例15)
中種生地を以下のように調製した。
・上白糖、マーガリンを、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・パン酵母を殺菌卵によく分散させてから上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ホイップクリーム、トマトペーストを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間、その後高速で1分間、混合した。
・ふるった薄力粉を上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・温度29℃、湿度80%で5時間静置し、その後10℃で18時間保管した。
本種生地を以下のように調製した。
・上白糖、食塩、重曹、薄力粉、ベーキングパウダーを混合した。
・殺菌卵、蜂蜜を上記に加えて攪拌し、更に発酵させた中種生地を加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・湯煎溶解したマーガリンを上記に加え、ミキサーにて低速で30秒間混合した。
・ドライトマトダイスを上記に加え、ミキサーにて低速で1分間混合した。
得られた本種生地を23gずつアルミカップに充填し、190℃で15分間焼成して、マドレーヌタイプの焼き菓子(トマトペースト入り)を得た。
実施例14,15のマドレーヌタイプの焼き菓子(トマトペースト入り)について、酸味の質、生地と具材との相性、全体的な風味の各項目の官能評価を行った。官能評価では、それぞれの項目についてパネル10名に実施例14と実施例15を比較していずれが好ましいかを選んでもらった。結果を表16に示す。
その結果、本種にトマトペーストを加えて調製した実施例14よりも中種にトマトペーストを加えて調製した実施例15のほうが好ましいとするパネラーの数が、中種にトマトペーストを加えて調製した実施例15よりも本種にトマトペーストを加えて調製した実施例14のほうが好ましい、とするパネラーの数に比べ、多くなった。
なお、酸味の質に関して、実施例15を実施例14よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「トマトとの相性がよい」、「ほどよい酸味」、などのコメントが得られた。
また、生地と具材との相性に関して、実施例15を実施例14よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「バランスがよい」、「生地の甘味がまろやかでトマトに合う」、「トマトと一体感がある」、「ドライトマトの味が引き立っている」、などのコメントが得られた。
また、全体的な風味に関して、実施例15を実施例14よりも好ましいとしたパネルに対して、どのように好ましいか記述してもらったところ、「味に深みがある」、「うまみを感じる」、「トマトと一体感がある」、「甘味と酸味のバランスがよい」、「トマト感を感じる」、などのコメントが得られた。
[試験例9]
試験例1で調製した実施例1と比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子について、常法により成分分析を行った。具体的には、水分、油分、水分活性、糖組成、及び有機酸組成を調べた。その結果を表17〜19に示す。
その結果、水分、油分、水分活性、及び糖組成は、実施例1と比較例1とでほぼ同等であった。一方、有機酸については、酵母を添加した実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子では、酵母を添加しない比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子に比べて、その含有量が増加し、特にコハク酸の含有量の増加が顕著であった。これら有機酸の含有量の増加は、添加した酵母の発酵によるものと考えられた。なお、糖組成が同等であったのは、実施例1では、酵母の発酵によって中種生地の糖が消費される分、比較例1に比べて余分に本種生地に上白糖を添加したためと考えられた。
[試験例10]
試験例1で調製した実施例1と比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子について、味覚センサー(インテリジェントセンサーテクノロジー社製 SA402B)を用いて、味覚分析を行った。具体的には、40gのマドレーヌタイプの焼き菓子を60℃の温水200mLで抽出し、遠心分離して得られた水溶液を味覚センサーに供し(分析時温度25℃)、下記表20に示す項目について分析数値を得た。分析数値の評価は、比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子のセンサー分析数値を基準(ゼロ)として、実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子の結果を相対比較することにより行った。結果を表20及び図1に示す。
その結果、実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子は、比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子に比べ、酸味、旨味コクに特徴がみられた一方、塩味、旨味については、減少傾向であった。
[試験例11]
試験例1で調製した実施例1と比較例1のマドレーヌタイプの焼き菓子について、香気成分の分析を行った。具体的には、マドレーヌタイプの焼き菓子1gをバイアルにとり、SPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)をヘッドスペースに挿入して吸着温度60℃で30分間吸着させた後、以下の条件によるGC−MS分析に供した。
(GC−MS分析)
・GC:Agilent Technologies社 7890B
・MS:Agilent Technologies社 5977A MSD
・カラム:DB−Wax 内径0.250mm 液相0.50μm 長さ60m
・気相:ヘリウム
・流量:1mL/min
・インジェクション温度:250℃
・オーブン温度:40−230℃
その結果、実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子で特徴的な成分として上記表21に示す成分が検出された。特にエタノールと脂肪酸のエタノールエステル(日本酒の吟醸香の成分として知られる)が、比較例1に比べ実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子で顕著に増加した。その他にも2−methyl−butanol、3−methyl−butanol、Phenylethylethanol(バラの香りとして知られる)などが、比較例1に比べ実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子で顕著に増加した。なお、実施例1のマドレーヌタイプの焼き菓子を分析したときの検出ピークのほうが、比較例1に比べ、全体的に検出ピークが複雑でアバンダンスが大きい結果となった。

Claims (8)

  1. 少なくとも油脂と、水分原料と、酵母とを混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を前記発酵中種生地に混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成することを特徴とする焼菓子の製造方法。
  2. 前記中種生地に、該中種生地に配合する前記穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して糖類0〜30質量部を配合する請求項1記載の焼菓子の製造方法。
  3. 前記中種生地は、更に蛋白質原料を含有する請求項1又は2記載の焼菓子の製造方法。
  4. 前記油脂と、前記糖類とを混合した後、前記酵母を前記水分原料に分散させたものを混合し、これに前記穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して前記中種生地を作る、請求項1〜3のいずれか1つに記載の焼菓子の製造方法。
  5. 前記中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に前記中種生地には、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂30〜70質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料30〜70質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、前記中種生地の水分含有量が16〜35質量%であり、前記本種生地は、前記中種生地を発酵させた発酵中種生地に、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、前記中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜70質量部と、糖類60〜120質量部と、1種又は2種以上の膨化剤0.1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼菓子の製造方法。
  6. 前記中種生地は、生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうちの30〜70質量部の、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料、を含み、更に前記中種生地には、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂10〜50質量部と、糖類0〜20質量部と、水分原料15〜35質量部と、酵母0.5〜7質量部とを含み、前記中種生地の水分含有量が13〜30質量%であり、前記本種生地は、前記中種生地を発酵させた発酵中種生地に、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部のうち、前記中種生地に含まれていない残りの、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料と、前記生地全体に含まれる、穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料100質量部に対して、油脂0〜35質量部と、糖類10〜40質量部と、1種又は2種以上の膨化剤0.1〜3質量部とを少なくとも混合して作られたものである、請求項1〜4のいずれか1つに記載の焼菓子の製造方法。
  7. 少なくとも油脂と、水分原料と、酵母と、果物及び/又は野菜の細断物、粉砕物、及び/又は搾汁物を混合した後、これに穀物粉及び/又は粉体澱粉質原料を添加混合して中種生地を作り、この中種生地を発酵させて発酵中種生地とし、少なくとも糖類と膨化剤を含む残りの原料を前記発酵中種生地に混合して本種生地を作り、この本種生地を成形して焼成する請求項1〜6のいずれか1つに記載の焼菓子の製造方法。
  8. 前記果物及び/又は野菜がレーズン又はトマトである請求項7又は8記載の焼菓子の製造方法。
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