JP4376346B2 - 製菓、製パン用冷凍耐性酵母 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な冷凍耐性酵母およびその利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンには多くの種類がある。糖を全く加えないフランスパン、糖を小麦粉に対し5〜6%加える低糖域の食パン、8〜15%加える中糖域のクロワッサンやバターロール、20〜30%加える高糖域のデニッシュペストリーや菓子パン、更には35〜50%加える酒種あんパンやコーヒーケーキ・ブリオッシュ等の発酵菓子まで幅広い。また、製パン方法もスクラッチ製法(ストレート製パンと中種製パン法が含まれる)と冷凍生地製法があり、製法とパンのアイテムの組み合わせは千差万別である。
【0003】
従来、低糖から高糖域のパンアイテム作りには、発酵力の異なる種々のイーストが使われ、また、長期保存が可能で利便性も高いため近年さかんに行われるようになった冷凍生地製法には冷凍耐性の強いイーストを使用しなければならない等の煩雑さが生じていた。一方、小麦粉に対して35%以上というような非常に高い濃度の糖が配合されるアイテム(酒種あんパンや発酵菓子等)の生地で十分に発酵できる耐糖性を備えたイーストはなく、多くのベーカリーは必要以上に発酵時間を長く取ったり、イースト量を増大させるなどの工夫をして、なんとか製品を作っており、元々設定したパン品質には到達しないボリューム感のない製品となっているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、従来にないすぐれた冷凍耐性酵母を新規に提供するだけでなく、超高糖域でもすぐれた高い発酵力を有する高い耐糖性(あるいは浸透圧耐性)も併有する酵母を新規に提供することを目的とする。
【0005】
すなわち本発明は、先ず、製造の合理化、効率化のため長期間に亘って保存しておき、所望する場合にいつでも工場で製パンできるだけでなく、家庭やコンビニエンスストア等でも焼きたてのパンをいつでも食べたいという消費者の強い要望に応えるため、近年になって、解凍、発酵、焼成すればいつでも所望するパンを製造することのできる冷凍パン生地が調製されるようになり、そのためには冷凍耐性を有するすぐれた酵母が必要となるため、この目的に適合した従来にないすぐれた冷凍耐性酵母を新たに提供する目的でなされたものである。
【0006】
更にまた本発明は、従来より、糖量30〜40%以上の超高糖生地に油脂や卵を加えた配合でパン製品が作られてはいるものの、従来の酵母では浸透圧の影響を受けるため、すぐれた品質のパン製品は得られなかったのであるが、日本人の嗜好として糖量の多い甘さのあるパンや菓子が好まれている現状に鑑み、糖量が30〜40%以上の超高糖生地でも、油脂や卵の多い配合でも浸透圧の影響を受けにくい(発酵力が低下しにくい)、従来の酵母にはない超耐糖性酵母を新たに提供する目的でなされたものである。近年の製パン技術の進歩とアイテムの多様化により、酵母もそれぞれに応じて使い分けるようになり、多くの種類の酵母が不可欠であるが、その度毎に異なった酵母を使用することは作業が繁雑となるうえ工業的ではない点に鑑み、これらの性質を併有する酵母が得られれば1種類の酵母がすべての局面に対応できるとの観点から、優れた性質を有する新しい酵母を提供するものである。
【0007】
つまり本発明は、冷凍耐性、超耐糖性という面だけでも特異的に優れた酵母を提供するものであるが、更に、従来得ることができなかった新規有用酵母、換言すれば、それぞれに酵母を使い分けることなく、ひとつの酵母ですべてのニーズに対応できる新規有用酵母として新たに提供することができるものである。
【0008】
そのうえ本発明は、冷凍生地、超高糖生地に適用できるだけでなく、通常の生地、すなわち、冷凍しない普通の生地、無糖〜低糖〜高糖生地にも適用することもできる新規有用酵母を提供するものである。つまり本発明は、ひとつの酵母で、通常の非冷凍生地〜冷凍生地、無糖生地〜高糖生地の生地に対応することのできる従来未知の新規な有用酵母、いわばオールマイティー酵母をはじめて提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷凍耐性及び高い耐糖性(あるいは浸透圧耐性)を併有するだけでなく、非冷凍生地、無糖〜低糖生地にも対応できる酵母に関するものであって、その具体的特徴は次のとおりである。
【0010】
▲1▼すぐれた冷凍耐性と発酵力を有する従来の冷凍耐性酵母と同様のすぐれた冷凍耐性を有する。すなわち、前発酵した生地中でも凍結状態によく耐え、解凍して発酵させたとき、よくその能力を発揮し、これを焼上げることにより、美味なパン、菓子等のベーカリー製品が得られる。
【0011】
▲2▼小麦粉に対して糖5〜25%を添加する食パン〜菓子パン(低糖〜高糖)配合生地において、ストレート製法および中種製法で汎用の普通イースト(例えば当社レギュラーイースト)と同等の発酵力を有し、ボリューム感のある品質の安定したパンができる。
【0012】
▲3▼小麦粉に対し糖30〜50%含むような非常に高い糖濃度の冷凍生地でも解凍後発酵できる耐糖性(浸透圧耐性)を有している。
【0013】
本発明に係る酵母を得るには、各種の方法が採用できるが、例えば交雑法によって目的とする菌株を効率よく取得することができる。それには、先ず、当社パン酵母保存菌株の中から発酵力が強く、耐糖性を高める形質を備えた菌株を選抜し、それぞれの菌株を常法に従い胞子形成培地に塗沫し、胞子を形成させた後、胞子の性質を調べ、古典的な交雑法により育種した菌株から、通常のパン酵母と同様の製パン性能をもち、かつ40%糖配合の生地での発酵が強い株をスクリーニングし、同様に冷凍耐性を有する菌株を選択し、これを耐糖性菌株と交雑して、目的とする菌株をスクリーニングすればよい。もちろん、保存菌株を鋭意スクリーニングすることにより目的とする菌株を分離、取得することも可能である。
【0014】
もちろん、突然変異処理して目的とする菌株を創製することができる。なお、突然変異処理としては、γ線、紫外線、温度差等物理的処理のほか、エチジウムブロマイド、ナイトロジェンマスタード、ジエポキシブタン、コルヒチン、パーオキサイド、プリン誘導体等変異誘導剤処理といった常法が広く利用できる。
【0015】
このようにして得た新菌株は、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)P−731と命名され、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P−17272として寄託されている。その菌学的性質は次のとおりである。
【0016】
P−731株の菌学的性質
1.生育状態
YM液体培地で生育良好
細胞の形状 球形〜卵形 3〜7×4〜8μ
MM寒天培地 生育良好 コロニー(白色 光沢 平滑)
2.子のう胞子 酢酸カリ培地で形成
子のう胞子形状 球形
【0017】
3.各生理的性質
▲1▼至適生育条件 温度28〜32℃ pH4.5〜6.5
▲2▼生育の範囲 温度 5〜40℃ pH2.5〜8.0
▲3▼硝酸塩の同化 なし
▲4▼脂肪分解 なし
▲5▼カロチノイド生成 なし
▲6▼顕著な有機酸生成 なし
▲7▼ビタミン要求性 ビオチン及びパントテン酸
▲8▼冷凍耐性/耐糖性 小麦粉100重量部に対し40重量部の砂糖を含有する冷凍生地(4週間保管)の解凍後において、0.4gイースト乾物量を含む生地40gあたり、30℃、2時間で100ml以上のCO2を発生する。
【0018】
【0019】
本菌株は、上記のような菌学的性質を有し、サッカロマイセス・セレビシエに属するものと認められるが、すぐれた冷凍耐性及び超高糖域で高い発酵力を有し、しかも、通常の生地ないし非冷凍生地でも高い発酵力を有する特徴をもっている。このような菌株は従来既知の菌株には見当らず、新菌株と認定した。本発明においては、本菌株のみをその権利として包含するものではなく、上記した特性を有する菌株すべてを包含し、人工的に作出したもの、自然界から分離したものを問わず、すべて包含するものである。
【0020】
本発明に係る菌株は、次のようにして選択、育種することができる。先ず、冷凍耐性及び耐糖性を有する酵母については、小麦粉100重量部に対し40重量部の糖を含有する冷凍生地の解凍後において、0.4gイースト乾物量を含む生地40gあたり、30℃、2時間で100ml以上のCO2を発生する菌株を分離すればよい。なお以下において、本発明に係る菌株をFD−2イーストということもある。
【0021】
本発明に係る菌株は、すぐれた耐糖性と同時に冷凍耐性を併有するという特徴を有するものであり、冷凍耐性に関しては、従来用いられている市販の冷凍耐性イースト(例えばFD−1イースト:オリエンタル酵母工業(株)製品)と同等の冷凍耐性を有する。しかも更に、本発明に係る菌株は、冷凍生地のほか通常の生地にも使用することができる。
【0022】
耐糖性に関しては、本発明に係る菌株は、フランスパン、食パン等のように無糖〜低糖のパンはもとより、常識をくつがえす程のすぐれた超耐糖性を有するため、菓子パン〜超高糖生地配合の発酵菓子に至るまで、また油脂や卵等を用いた各種のパンの製造に広く使用することができる。例えば、コーヒーケーキ(アメリカで多数の人々に好まれている、コーヒーに合うパン)、あんぱん、黒糖ロール,フルーツブレッド、ペストリー、バターロール、クロワッサン等の製造に使用することができる。
【0023】
本菌株を用いる製パン法としては、常法にしたがい、スクラッチ製法(ストレート製パン法、中種製パン法)のいずれの方法によっても製パンすることができ、通常のパン生地のほか冷凍パン生地も使用することができる。
【0024】
以上のように、本発明に係る菌株は、非冷凍では、無糖〜低糖〜高糖〜超高糖生地、冷凍生地では低糖〜高糖〜超高糖生地のいずれにも対応することができる。換言すれば、本菌株のみでどのような生地からもすぐれた菓子、パン、パイ等のベーカリー製品を製造することができ、従来のように製法やベーカリー製品のアイテムごとにイーストとりかえる必要がほとんどない。
以下、本発明の実施例について述べる。
【0025】
【実施例1】
下記条件にて、本発明に係るFD−2イースト(FERM P−17272)を30Lジャーファーメンターを用いて培養して、大量製造した。
【0026】
(種培養)
糖量(蔗糖換算) 1035g
尿素 103g
リン酸1ナトリウム 20.7g
2水和物
種酵母量(湿量) 20g*1
【0027】
(30Lジャー本培養)
糖量(蔗糖換算) 1400g
尿素 140g
リン酸1ナトリウムg 28g
2水和物
種酵母量(湿量) 1 420g *2
メーカー:オリエンタルバイオサービスK.K.
名 称:FERMENTER CONTROL SYSTEM MC-10
容 量:30L
攪拌子回転数:600rpm
通気量:16L/min
【0028】
*1:250mlのYPD培地/1L容坂口フラスコに1白金耳植菌し、30℃で2日間培養したのち、4本分全量をそのまま種酵母として用いた。
*2:種培養で得られた菌体を遠心分離操作によって分離し、脱イオン水により洗滌した後、その一部を使用した。
【0029】
【実施例2】
各種糖配合における本発明のイースト(P−731:FD−2イースト)と市販の冷凍耐性イースト(非耐糖性)(FD−1イースト:オリエンタル酵母工業(株)製品)の冷凍耐性の比較試験を行った。
【0030】
すなわち、上記によって製造した本発明のイーストを下記する配合でパン生地に加えて混捏した。混捏後、40gに分割し、30℃で発酵し、成型した後−20℃で所定期間冷凍保管した。対照として市販の冷凍耐性イーストを用いて、上記同様に冷凍生地を保管した。
【0031】
【0032】
【0033】
─
【0034】
上記結果から明らかなように、本発明のイーストは、市販の冷凍耐性イーストと同程度の冷凍耐性を有し、そのうえ高い糖配合生地において(小麦粉に対し糖を30〜50%含むような非常に高い糖濃度の生地でも)、本発明に係る冷凍耐性イーストは、これを充分に発酵できる超耐糖性(浸透圧耐性)も有していることが確認された。
【0035】
【実施例3】
本発明に係るイーストを用い、下記する配合、工程及び製パン法(通常の製パン法:スクラッチ製法、冷凍生地製法)により、コーヒーケーキを製造した。
【0036】
(配合:対小麦粉重量部)
小麦粉(強力粉) 100
イースト(FD2−イースト) 8
パン用品質改良剤製剤(冷凍生地用010) 2
砂 糖 40
油 脂(マーガリン) 25
食 塩 0.8
脱脂粉乳 6
全 卵 25
水 20
ロールインシート
「十勝ミルク」(対粉) 60
【0037】
(工程)
ミキシング時間(分) L2M4H6↓M3H10
捏上温度 25℃
フロア時間 40分
リタード温度 5℃
リタード時間 15〜20分
ロールイン 4つ折り1回
分 割 70g
生地冷凍 −40℃、30分
生地凍結保管 −20℃ 6週間
解凍 20℃、60分
ホイロ時間 70分
ホイロ条件 35℃・85%RH
焼成条件 200℃、約12分
【0038】
解凍後焼成されたコーヒーケーキは、糖が多く配合され、甘くて美味且つソフトな食感が得られ、スポンジケーキ的な新しい食感、風味のパン製品であった。また、小麦粉に対して糖10〜25%を添加した中糖〜高糖域の配合生地をそれぞれ作製し(小麦粉100g、砂糖10〜25g、食塩0.5g、イースト6g、水52ml)、混捏後、小麦粉換算で30gに分割し、30℃で前発酵30分後、成型し、各生地を1〜3週間冷凍貯蔵し、解凍後、30℃で120分間のガス発生量をファーモグラフで測定した。その結果、本発明に係る冷凍耐性/超耐糖性イースト(FD−2イースト)は、汎用の冷凍生地風イースト(例えばFD−1イースト:オリエンタル酵母工業(株)製品)並みの冷凍耐性を有し、冷凍生地製パンにより長期間凍結保存しても、品質が良好なパンを製造できることが確認された。
【0039】
【実施例4】
本発明に係るFD−2イーストを用い、下記する配合及び工程の冷凍生地を解凍して、ミニあんぱん(酒種)を製造した。なお「熟シリーズ・サカリッチ」は酒種風の発酵風味液、「ドージャスト」冷凍生地製パンに適した製パン改良剤製剤であって、いずれもオリエンタル酵母工業(株)の製品である。
【0040】
(配合)
強力粉 70.0
準強力粉 30.0
FD−2イースト 5.0
「熟シリーズ・サカリッチ」 15.0
製パン改良剤(ドージャスト) 1.0
砂 糖 10.0
油 脂(ショートニング) 10.0
脱脂粉乳 3.0
果糖ブドウ糖液糖 40.0
食 塩 0.35
全 卵 10.0
水 19.0
【0041】
(工程)
ミキシング時間(分) L2M4H6↓M3H10
捏上温度 25℃
発酵(フロア) 40分
発酵温度 28℃
分割重量 15g
ベンチタイム 15分
フィリング重量 10g
生地冷凍 −40℃、30分
生地凍結保管 −20℃、4週間
解凍 20℃、60分
ホイロ時間 約70分
ホイロ条件 35℃・85%RH
焼成条件 200℃、約8分
【0042】
【実施例5】
本発明に係るFD−2イーストを用い、下記する配合及び工程により、黒糖ロールを製造した。なお、糖量が15〜25重量部の場合でもFD−2イーストの効果が奏された。
(配合)
強力粉 70.0
準強力粉 30.0
FD−2イースト 3.0
製パン改良剤(ドージャスト) 1.0
砂 糖 8.0
油 脂(ショートニング) 10.0
脱脂粉乳 3.0
黒 糖 15.0
食 塩 1.0
全 卵 10.0
水 54.0
【0043】
(工程)
ミキシング時間(分) L2M4H6↓M3H10
捏上温度 25℃
発酵(フロア) 30分
発酵温度 28℃
分割重量 60g
ベンチタイム 15分
生地冷凍 −40℃、30分
生地凍結保管 −20℃、5週間
解凍 20℃、60分
ホイロ時間 約60分
ホイロ条件 35℃・85%RH
焼成条件 200℃、約9分
【0044】
【実施例6】
本発明に係るFD−2イーストを用い、下記する配合及び工程の冷凍生地を解凍し、フルーツブレッドを製造した。得られた製品は、フルーツを多量に使用した軽い食べ口の菓子風のパンであり、更に、長時間熟成した果実種の発酵風味液「ぶどう種#2」(オリエンタル酵母工業(株)製品)を併用したことにより、豊かな香りも広がりきわめて美味なパンとなった。
【0045】
(配合)
強力粉 70.0
準強力粉 30.0
FD−2イースト 3.0
「ぶどう種#2」 5.0
製パン改良剤(ドージャスト) 1.0
液 糖 25.0
油 脂(ショートニング) 10.0
食 塩 1.5
全 卵 10.0
脱脂粉乳 3.0
レーズン 70.0
水 44.0
【0046】
(工程)
ミキシング時間(分) L2M8↓M5H6↓L8
捏上温度 26℃
発酵(フロア) 60分
発酵温度 28℃
分割重量 60g
ベンチタイム 15分
成 型
生地冷凍 −40℃、30分
生地凍結保管 −20℃、6週間
解凍 20℃、60分
ホイロ時間 約60分
ホイロ条件 35℃・85%RH
焼成条件 200℃、約 10分
【0047】
【実施例7】
本発明に係るFDイーストを用い、下記する配合及び工程の冷凍生地を解凍して発酵菓子(クッキー)を製造した。得られた製品は甘味たっぷりで歯ざわりの軽い発酵菓子となった。
【0048】
(配合:重量部)
薄力粉 100.0
FD−2イースト 5.0
上白糖 40.0
マーガリン 40.0
全 卵 10.0
加糖煉乳 0.5
バニラオイル 0.3
水 10.0
食 塩 0.5
【0049】
(製法)
1.上白糖、マーガリン、加糖煉乳、食塩をビーターで擂り合わせる。
2.卵を2回に分けて加え、乳化させる。
3.篩った小麦粉とFD−2イーストと水を加えて混合する。
4.手で軽く捏ねる。
5.ポリ袋に入れ、手で薄く延ばしてから冷蔵庫で冷やし、成形しやすい固さ
にして型ぬきをする。
6.室温で20〜30分発酵させる。
7.型ぬき生地を−40℃、30分間で生地冷凍する。
8.−20℃で6週間生地を凍結保管する。
9.20℃、60分で生地を解凍する。
10.220℃で約13分間焼成する。
【0050】
【実施例8】
本発明に係るFD−2イースト及び市販のレギュラーイースト(オリエンタル酵母工業製)を用いて、下記の配合及び工程条件により、スクラッチ製パン法(ストレート製パン法)にしたがって、食パン及び菓子パンを製造し、表1(A)の結果を得た。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
なお、上記した実施例は、本発明に係る冷凍耐性、超耐糖性イーストが非冷凍生地ですぐれた発酵力を有し卓越した各種ベーカリー製品を製造することを実証したものであるが、本発明に係るイーストは冷凍生地でも充分な冷凍耐性、超耐糖性を示し、冷凍生地法によってもすぐれた各種ベーカリー製品を製造することができた。
【0055】
【実施例10】
イーストとして実施例1で得たP−731株(FERM P−17272)を用い、下記の配合及び工程によって、大分割冷蔵生地製法にしたがいデニッシュペストリーを製造した。得られたデニッシュペストリーは、酸臭及び発酵臭は低く抑えられ、一方、バターの香りが強く、全体的に乾い風味を呈し、美味なものであった。このように、本発明に係るイーストは冷蔵生地法にも使用できることが確認された。
【0056】
ペストリー製造条件
(配合:重量部)
小麦粉(強力粉) 80
(薄力粉) 20
砂 糖 20
食 塩 1
脱脂粉乳 3
油 脂(コンパウンドマーガリン) 20
全 卵 20
パン用品質改良剤“ドージャスト” 0.5
イースト 6
水 40
ロールイン油脂 50
【0057】
(工程)
ミキシング時間(分) L2M3↓L1M3H1
捏上温度 25℃
フロア時間 60分
リタード 大分割生地量 2kg
保管温度(℃) 5℃、12時間
ロールイン 3つ折り3回
成 型 スクエア型
ホイロ温度 30℃/75%
ホイロ時間 75分
焼成条件 210℃、約12分
【0058】
【発明の効果】
本発明によって冷凍耐性を有し、且つ超高糖域で発酵力及び高い耐糖性を有する酵母が開発された。本超耐糖性酵母を使用することにより、低糖のパンのみでなく非常に甘いパンを、スクラッチ製パン法、非冷凍生地製パン法、冷凍生地製パン法などのいずれの製パン法によっても、それぞれに適した酵母を使い分ける必要がなく、本酵母のみですべての局面に対応することができる。
【0059】
すなわち、本酵母のみで、冷凍〜冷蔵〜普通生地製法、無糖〜低糖〜高糖〜超高糖生地に対応することができ、それぞれ各用途に適応した専用酵母を使い分ける必要がないという著効が奏される。つまり、本発明に係る酵母は、いわばオールマイティー酵母というべきものであって、パン、ペストリー、パイ、クロワッサン、発酵菓子、クッキーその他イースト発酵させた生地を焼成してなる各種ベーカリー製品を、ひとつの酵母で製造することができ、きわめて効率的である。
Claims (3)
- 小麦粉に対し糖を40〜50%含み、油脂や卵の配合が多い生地でも高い発酵力を有する冷凍耐性酵母であるサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)P−731(FERM P−17272)。
- 請求項1に記載の冷凍耐性酵母を含有する、小麦粉に対し糖を40〜50%含む冷凍生地を解凍後発酵し、焼成すること、を特徴とするベーカリー製品の製造方法。
- ベーカリー製品が、コーヒーケーキ又は発酵菓子であること、を特徴とする請求項2に記載の製造方法。
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