JPH1018638A - 建築物の制振構造 - Google Patents

建築物の制振構造

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JPH1018638A
JPH1018638A JP17269396A JP17269396A JPH1018638A JP H1018638 A JPH1018638 A JP H1018638A JP 17269396 A JP17269396 A JP 17269396A JP 17269396 A JP17269396 A JP 17269396A JP H1018638 A JPH1018638 A JP H1018638A
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JP
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damper
vibration
lever member
pin
elasto
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JP17269396A
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Inventor
Yasuhiko Takahashi
泰彦 高橋
Tsuyoshi Sano
剛志 佐野
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梃子によって構造物に生ずる変位を増幅して
粘性ダンパーに入力するため、大きな振動では粘性ダン
パーの減衰抵抗が著しく大きくなって、構造物の補強を
更に増大する必要がある。 【解決手段】 主架構14の梁部材(一辺)12aの両
端角部に、逆V字状に配置した一対の斜方ブレース16
の下端をピン結合し、一方、梁部材(対向辺)12に高
剛性のレバー部材18の上端部18aをピン結合(力点
A)する。斜方ブレース16の上端をレバー部材18の
中間部分にピン結合(支点C)し、レバー部材18の自
由端部を粘性ダンパー22を介して梁部材12aに接続
する。レバー部材18の自由端部(作用点B)と支点C
との間に弾塑性ダンパー20を介設する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の制振構
造、とりわけ、主架構が柱部材と梁部材とにより矩形状
に構成される建築物の制振構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の建築物の制振構造としては、例
えば特開平2−101269号公報(Int.Cl. E04H 9/0
2 )に開示されたものがある。これは、構造物の上層と
下層との間に梃子を用いた倍力機構を設け、梃子が荷重
点から入力される変位によって支点を中心として振れ動
くことにより、この入力変位を増幅して力点に設けたダ
ンパーに入力するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来の倍力機構
を設けた制振構造に組み込むダンパーとして粘性ダンパ
ーを考慮すると、粘性ダンパーは粘性流体が移動すると
きの減衰抵抗によって振動を減衰できるようになってお
り、小さな振動から振動減衰の効果が期待できる。この
粘性ダンパーに関しては、非常に高い粘性減衰係数を有
する高減衰力オイルダンパーなどが提案され実用化に向
けて開発が進められているが、粘性ダンパーとしてこの
ような高性能なものを用いる場合、大振動の入力時にこ
の粘性ダンパーから主架構に伝達される高い減衰力に対
応するため、ダンパーと主架構の接続部や主架構自体に
補強などを施したり、ダンパーの粘性減衰特性に非線形
性を持たせてダンパーからの入力を制限するなどの配慮
が必要となる。
【0004】ところが、前記従来の制振構造にあって
は、振動を増幅して粘性ダンパーに入力するため、微小
振動にあっては粘性ダンパーの性能を増大して効果的に
振動減衰できるのであるが、大きな振動の場合にも同様
に増幅されて粘性ダンパーに入力されるため、粘性ダン
パーの減衰抵抗が著しく大きくなって、上述したような
構造物の補強を更に増大して構造強度を十分に確保しな
ければ制振構造を成立させることができないという課題
があった。
【0005】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑み
て、建築物に入力される振動を増幅してダンパーに入力
しその減衰性能を十分に発揮させつつ、小さな振動およ
び大きな振動のいずれが入力された場合にもそれら振動
入力に対応させて制振することができる建築物の制振構
造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の建築物の制振構造の第1の構成は、水平方
向および上下方向に適宜間隔を隔てて配置された柱部材
と梁部材とによって矩形状の主架構が構成された建築物
において、この矩形状の主架構の一辺の両端部または両
端角部にそれぞれの一端をピン接合してV字状に一対の
斜方ブレースを設けると共に、これら斜方ブレースの各
一端を取付けた一辺に対向する対向辺にピン接合してレ
バー部材を設け、このレバー部材の中間部分に前記一対
の斜方ブレースの各他端をピン接合し、このレバー部材
の自由端部を粘性ダンパーを介して主架構の前記一辺に
接続すると共に、このレバー部材の自由端部と斜方ブレ
ースの各他端とのピン接合部との間に弾塑性ダンパーを
介設する。
【0007】また、本発明の建築物の制振構造の第2の
構成は、水平方向および上下方向に適宜間隔を隔てて配
置された柱部材と梁部材とによって矩形状の主架構が構
成された建築物において、この矩形状の主架構の一辺の
両端部または両端角部にそれぞれの一端をピン接合して
V字状に一対の斜方ブレースを設けると共に、これら斜
方ブレースの各一端を取付けた一辺に対向する対向辺に
ピン接合してレバー部材を設け、このレバー部材の中間
部分に前記一対の斜方ブレースの各他端をピン接合し、
このレバー部材の自由端部を粘性ダンパーを介して主架
構の前記一辺に接続すると共に、このレバー部材の前記
対向辺とのピン接合部と斜方ブレースの各他端とのピン
接合部との間に弾塑性ダンパーを介設する。
【0008】以上の構成により本発明の第1の構成にあ
っては、建築物に振動が入力されると、この振動は矩形
状の主架構の柱部材および梁部材を変形させることとな
り、前記一辺に対向する対向辺にピン接合して設けたレ
バー部材は、当該ピン接合部分が力点、斜方ブレースの
各他端をレバー部材にピン接合した部分が支点となり、
そして自由端部が作用点となって振れ動く。このとき、
作用点となった自由端部には、支点・力点間の第1スパ
ンと、支点・作用点間の第2スパンとのレバー比をもっ
て力点に入力される変位が作用点で取出され、第2スパ
ンを第1スパンより大きく設定しておくことにより前記
変位の振幅が増幅される。従って、レバー部材の自由端
部に取付けた粘性ダンパーには小さな振動であっても大
きな振幅の振動が作用し、この粘性ダンパーの減衰効果
を増大させることができる。また、大きな振動が入力さ
れた場合は、レバー部材の支点と作用点との間に介設し
た弾塑性ダンパーが降伏することにより、この弾塑性ダ
ンパーと前記粘性ダンパーとの両者によって振動エネル
ギーを吸収して振動減衰する。このとき、弾塑性ダンパ
ーと粘性ダンパーとが直列配置されているため、主架構
に弾塑性ダンパーの降伏耐力以上の荷重が入力されるの
を防止でき、主架構の設計を簡単化することができる。
また、大きな振動入力により前記弾塑性ダンパーに残留
変形や残留応力が生じてこれを交換する際にも、この弾
塑性ダンパーと直列配置されている粘性ダンパーが変形
吸収機能を備えていることにより、新たな弾塑性ダンパ
ーの取付け時に粘性ダンパーで融通を利かせることがで
きて、この弾塑性ダンパーの交換作業が著しく容易にな
る。ところで、前記弾塑性ダンパーはレバー部材の自由
端部と斜方ブレースの各他端とのピン接合部との間に介
設したので、この弾塑性ダンパーには、レバー部材のレ
バー比をもって前記力点に入力される振動入力を減少し
て作用させることができるため、この弾塑性ダンパーと
しては降伏荷重の比較的小さな材質のものを選択して適
用することができる。
【0009】また、本発明の第2の構成にあっては、前
記第1の構成と同様にレバー部材によって主架構に入力
される振動を増幅することができ、このレバー部材の自
由端部に設けた粘性ダンパーに入力される振幅を増幅す
ることができる。従って、前記粘性ダンパーには小さな
振動であっても大きな振幅の振動が作用して、減衰効果
を増大することができる。また、大きな振動が入力され
た場合は、レバー部材の支点と力点との間に介設した弾
塑性ダンパーが降伏して、この弾塑性ダンパーと前記粘
性ダンパーとの両者によって振動エネルギーを吸収して
振動減衰する。そしてこの第2の構成にあっても第1の
構成と同様に、弾塑性ダンパーと粘性ダンパーとが直列
配置されているため、主架構に弾塑性ダンパーの降伏耐
力以上の荷重が入力されるのを防止でき、主架構の設計
を簡単化することができる。また、大きな振動入力によ
り前記弾塑性ダンパーに残留変形や残留応力が生じてこ
れを交換する際にも、この弾塑性ダンパーと直列配置さ
れている粘性ダンパーが変形吸収機能を備えていること
により、新たな弾塑性ダンパーの取付け時に粘性ダンパ
ーで融通を利かせることができて、この弾塑性ダンパー
の交換作業が著しく容易になる。ところで、弾塑性ダン
パーはレバー部材の前記対向辺とのピン接合部と斜方ブ
レースの各他端とのピン接合部との間に介設されるの
で、支点よりも前段位置で大きな振動入力を弾塑性ダン
パーで効率良く吸収して減衰させることができ、粘性ダ
ンパーの高減衰能が効き過ぎないようにして合理的に制
振することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照して詳細に説明する。図1は本発明にかかる建
築物の制振構造の一実施形態を示す概略構成図である。
【0011】即ち、本実施形態の建築物は、それぞれ適
宜間隔をもって配置される柱部材10,10aおよび
上,下梁部材12,12aによってラーメン構造となる
主架構14が矩形状に構築されている。尚、図1はラー
メン構造によって門形フレームとして構成される1つの
主架構14を便宜上示してある。
【0012】矩形状に形成された前記主架構14には、
下辺となる梁部材12aの両端角部に、V字状(この実
施形態では上下逆のV字状となる)に配置された一対の
斜方ブレース16,16のそれぞれの下端をピン結合す
る。一方、上辺となる梁部材12の中央部に、高剛性の
レバー部材18の上端部18aをピン結合(A点とす
る)し、かつ、このレバー部材18はその下端部が自由
端部(B点とする)として下辺となる梁部材12aの近
傍に位置するように、垂設する。そして、前記斜方ブレ
ース16,16のそれぞれの上端を、前記レバー部材1
8の中間部分にピン結合(C点とする)することによ
り、このレバー部材18によって倍力機構を構成する。
【0013】ここで、前記レバー部材18には、自由端
部となるB点と、斜方ブレース16,16の各他端がピ
ン接合されるC点との間に弾塑性ダンパー20を介設す
ると共に、このレバー部材18の自由端部(B点)を粘
性ダンパー22を介して下辺となる梁部材12aに接続
し、これにより弾塑性ダンパー20と粘性ダンパー22
とを直列配置してある。弾塑性ダンパー20はレバー部
材18の延設方向に沿って上下方向に配置すると共に、
粘性ダンパー22はレバー部材18の揺動方向に沿って
水平方向に配置する。
【0014】前記弾塑性ダンパー20は降伏する時の塑
性吸収エネルギーで振動を減衰するようになっており、
このときの降伏耐力が大きいことから大きな振動に対し
て減衰力を発生する。一方、前記粘性ダンパー22は粘
性流体の移動で振動減衰するので、小さな振動から減衰
力を発生するが、この粘性ダンパー22には高い減衰係
数を付与して大きな振動領域まで減衰効果が発揮される
ように設定する。
【0015】以上の構成により本実施形態の建築物の制
振構造にあっては、建築物に地震等による振動力が入力
されると、矩形状の主架構14は地震発生時等に生ずる
水平方向の荷重によって変形する。即ち、ラーメン構造
を構成する主架構14では四隅の角部の剛結状態を保持
しつつ柱部材10,10aおよび梁部材12,12aが
たわみ変形し、これに伴って斜方ブレース16,16も
その長さ方向に引張歪や圧縮歪を生じ、このような主架
構14の変形が倍力機構を構成するレバー部材18に入
力され、このレバー部材18によって増幅された振幅の
振動が取出される。
【0016】即ち、前記レバー部材18は、斜方ブレー
ス16,16の各他端をピン接合したC点を支点、上辺
となる梁部材12にピン接合したA点を力点とし、か
つ、自由端部となるB点を作用点として振れ動く。従っ
て、作用点Bとなった自由端部には、支点Cと力点Aと
のスパンLと、支点Cと作用点BとのスパンM(M>
L)とのレバー比M/Lをもって、力点Aに入力される
振幅が増幅して作用点Bに取出される。
【0017】従って、レバー部材18の自由端部(B
点)に取付けた粘性ダンパー22には、建築物に入力さ
れる振動が小さな場合であっても大きな振幅の振動が作
用し、この粘性ダンパー22の減衰効果を増大させるこ
とができる。また、大きな振動が入力された場合は、レ
バー部材18の支点Cと作用点Bとの間に介設した弾塑
性ダンパー20が降伏して振動エネルギーを吸収し、こ
の弾塑性ダンパー20と前記粘性ダンパー22とが同時
に作用して振動を減衰する。このため、主架構14に入
力される振動の大小にかかわらず弾塑性ダンパー20お
よび粘性ダンパー22の特長を十分に活用して効果的に
振動減衰することができる。
【0018】ところで、前記弾塑性ダンパー20はレバ
ー部材18の自由端部(B点)と斜方ブレース16,1
6の各他端とのピン接合部(C点)との間に介設したの
で、この弾塑性ダンパー20には、レバー部材18のレ
バー比M1 /L(C点と弾塑性ダンパー20とのスパン
をM1 とし、M1 >Lとする)をもって力点(A点)に
入力される振動入力が減少されて作用する。従って、前
記弾塑性ダンパー20としては、入力される振動入力が
減少されることにより、降伏荷重の比較的小さな材質の
もので構成することができる。
【0019】また、前記弾塑性ダンパー20と前記粘性
ダンパー22とは直列に配置されているので、建築物に
入力された振動力は、これら弾塑性ダンパー20と粘性
ダンパー22との双方に作用し、弾塑性ダンパー20お
よび粘性ダンパー22両者の相関性をもって振動減衰す
ることができ、主架構14には前記弾塑性ダンパー20
の降伏耐力以上の荷重が入力されるのが防止される。こ
の点を詳述すると、例えば上述した高い粘性減衰係数の
エネルギー吸収能に優れた粘性ダンパーを単独で用いる
と、層間応答速度が大きくなるにつれて減衰力が非常に
大きくなり、主架構に損傷を及ぼすおそれがある。従っ
て、このような高性能粘性ダンパーを組込む場合には、
主架構に対して損傷に対する対策を施す必要がある。こ
こに、降伏することによってエネルギー吸収を行う弾塑
性ダンパー20を採用し、この弾塑性ダンパー20と前
記粘性ダンパー22とを直列配置することで、主架構1
4に弾塑性ダンパー20の降伏耐力以上の荷重が入力さ
れないことから、この主架構14の設計を著しく簡単化
することができる。
【0020】更に、本実施形態では前記主架構14に大
きな振動が入力されて前記弾塑性ダンパー20に残留変
形や残留応力が生じた場合に、この弾塑性ダンパー20
を交換する必要があるが、この弾塑性ダンパー20の交
換時には、この弾塑性ダンパー20と前記粘性ダンパー
22との両者が直列配置されていることにより、弾塑性
ダンパー20の交換作業が容易になる。即ち、直列配置
された前記粘性ダンパー22が変形吸収機能を備えてい
ることにより、この粘性ダンパー22の当該機能で弾塑
性ダンパー20の残留変形分を吸収して、新たな弾塑性
ダンパー20の取付けを容易にすることができる。
【0021】本実施形態にあっては一対の斜方ブレース
16,16のV字状となったそれぞれの一端(図中下
端)を、下辺の梁部材12aの両端角部にピン結合した
場合を開示したが、これに限ることなく前記斜方ブレー
ス16,16の当該一端は、当該梁部材12aの両端部
にピン結合してもよく、また、上辺の梁部材12の両端
角部または両端部にピン結合することもできる。この場
合、レバー部材18は前記斜方ブレース16,16の一
端がピン接合される主架構14の一辺に対向する対向辺
にピン接合するのが望ましい。
【0022】図2は他の実施形態を示し、前記実施形態
と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略
して述べる。尚、同図は前記図1に対応する概略構成図
である。
【0023】即ち、この実施形態では前記実施形態と同
様に、レバー部材18を上辺となる梁部材12にピン結
合(A点)し、このレバー部材18の中間部分に斜方ブ
レース16,16の各上端をピン結合(C点)すると共
に、前記レバー部材18の自由端部(B点)を粘性ダン
パー22を介して下辺となる梁部材12aに接続してあ
る。
【0024】ここで、この実施形態では前記レバー部材
18に介設される弾塑性ダンパー20を、このレバー部
材18を上辺となる梁部材12にピン接合するA点と、
斜方ブレース16,16の各上端をレバー部材18にピ
ン接合するC点との間に配置してある。
【0025】従って、この実施形態にあってもレバー部
材18の自由端部(B点)に取付けた粘性ダンパー22
には、レバー部材18の支点Cと力点AとのスパンL
と、支点Cと作用点BとのスパンMとのレバー比M/L
をもって、力点Aに入力される振幅を増幅して作用させ
ることができる。従って、前記粘性ダンパー22には小
さな振動であっても大きな振幅の振動が作用して、減衰
効果を増大させることができる。
【0026】また、大きな振動が入力された場合は、レ
バー部材18に介在した弾塑性ダンパー20が降伏して
振動エネルギーを吸収し、この弾塑性ダンパー20と前
記粘性ダンパー22とが同時に作用して振動を減衰す
る。このため、主架構14に入力される振動の大小にか
かわらず弾塑性ダンパー20および粘性ダンパー22の
特長を十分に活用して効果的に振動減衰することができ
る。
【0027】ところで、この実施形態にあっては前記弾
塑性ダンパー20をレバー部材18のピン接合部A点と
斜方ブレース16,16のピン接合部C点との間に配置
してあるので、支点Cよりも前段位置で大きな振動入力
を弾塑性ダンパー20で効率良く吸収して減衰させるこ
とができ、粘性ダンパー20の高減衰能が効き過ぎない
ようにして合理的に制振することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す建築物の制振構造にあっては、斜方ブレースの一端
を取付けた主架構の一辺に対向する対向辺にピン接合し
て設けたレバー部材は、当該ピン接合部分が力点、斜方
ブレースの各他端がピン接合された部分が支点となり、
そして粘性ダンパーを接続した自由端部が作用点となっ
て、主架構の変位の振幅を増幅して粘性ダンパーに作用
させることができ、小さな振動を大きな振幅の振動とし
て粘性ダンパーに作用させてその減衰効果を増大させる
ことができる。また、大きな振動が入力された場合は、
レバー部材に介設した弾塑性ダンパーが降伏することに
より、この弾塑性ダンパーと前記粘性ダンパーとの両者
によって振動エネルギーを吸収して振動減衰することが
できる。更に、弾塑性ダンパーと粘性ダンパーとが直列
配置されるため、主架構に弾塑性ダンパーの降伏耐力以
上の荷重が入力されるのを防止でき、主架構の設計を簡
単化することができる。更にまた、大きな振動入力によ
り前記弾塑性ダンパーに残留変形や残留応力が生じてこ
れを交換する際にも、この弾塑性ダンパーと直列配置さ
れている粘性ダンパーが変形吸収機能を備えていること
により、新たな弾塑性ダンパーの取付け時に粘性ダンパ
ーで融通を利かせて、この弾塑性ダンパーの交換作業が
著しく容易になる。また、前記弾塑性ダンパーはレバー
部材の自由端部と斜方ブレースの各他端とのピン接合部
との間に介設したので、この弾塑性ダンパーには、レバ
ー部材のレバー比をもって前記力点に入力される振動入
力を減少して作用させることができるため、この弾塑性
ダンパーとしては降伏荷重の比較的小さな材質のものを
選択して適用することができる。
【0029】また、本発明の請求項2に示す建築物の制
振構造にあっては、前記請求項1に示す制振構造と同様
にレバー部材によって主架構に入力される振動を増幅す
ることができ、このレバー部材の自由端部に設けた粘性
ダンパーに入力される振幅を増幅することができる。従
って、前記粘性ダンパーには小さな振動であっても大き
な振幅の振動が作用して、減衰効果を増大することがで
きると共に、大きな振動が入力された場合は、レバー部
材に介設した弾塑性ダンパーが降伏して、この弾塑性ダ
ンパーと前記粘性ダンパーとの両者によって振動エネル
ギーを吸収して振動減衰することができる。そしてま
た、弾塑性ダンパーと粘性ダンパーとが直列配置されて
いるため、主架構に弾塑性ダンパーの降伏耐力以上の荷
重が入力されるのを防止でき、主架構の設計を簡単化す
ることができる。また、大きな振動入力により前記弾塑
性ダンパーに残留変形や残留応力が生じてこれを交換す
る際にも、この弾塑性ダンパーと直列配置されている粘
性ダンパーが変形吸収機能を備えていることにより、新
たな弾塑性ダンパーの取付け時に粘性ダンパーで融通を
利かせることができて、この弾塑性ダンパーの交換作業
が著しく容易になる。さらに、弾塑性ダンパーはレバー
部材の前記対向辺とのピン接合部と斜方ブレースの各他
端とのピン接合部との間に介設されるので、支点よりも
前段位置で大きな振動入力を弾塑性ダンパーで効率良く
吸収して減衰させることができ、粘性ダンパーの高減衰
能が効き過ぎないようにして合理的に制振することがで
きるという各種優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる建築物の制振構造の一実施形態
を示す概略構成図である。
【図2】本発明にかかる建築物の制振構造の他の実施形
態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10,10a 柱部材 12,12a 梁部材 14 主架構 16 斜方ブレース 18 レバー部材 20 弾塑性ダンパー 22 粘性ダンパー

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平方向および上下方向に適宜間隔を隔
    てて配置された柱部材と梁部材とによって矩形状の主架
    構が構成された建築物において、この矩形状の主架構の
    一辺の両端部または両端角部にそれぞれの一端をピン接
    合してV字状に一対の斜方ブレースを設けると共に、こ
    れら斜方ブレースの各一端を取付けた一辺に対向する対
    向辺にピン接合してレバー部材を設け、このレバー部材
    の中間部分に前記一対の斜方ブレースの各他端をピン接
    合し、このレバー部材の自由端部を粘性ダンパーを介し
    て主架構の前記一辺に接続すると共に、このレバー部材
    の自由端部と斜方ブレースの各他端とのピン接合部との
    間に弾塑性ダンパーを介設したことを特徴とする建築物
    の制振構造。
  2. 【請求項2】 水平方向および上下方向に適宜間隔を隔
    てて配置された柱部材と梁部材とによって矩形状の主架
    構が構成された建築物において、この矩形状の主架構の
    一辺の両端部または両端角部にそれぞれの一端をピン接
    合してV字状に一対の斜方ブレースを設けると共に、こ
    れら斜方ブレースの各一端を取付けた一辺に対向する対
    向辺にピン接合してレバー部材を設け、このレバー部材
    の中間部分に前記一対の斜方ブレースの各他端をピン接
    合し、このレバー部材の自由端部を粘性ダンパーを介し
    て主架構の前記一辺に接続すると共に、このレバー部材
    の前記対向辺とのピン接合部と斜方ブレースの各他端と
    のピン接合部との間に弾塑性ダンパーを介設したことを
    特徴とする建築物の制振構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007211503A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd 建物の制震装置並びに建築構造物

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